• 審判

【審判】聖者の遺産

マスター:鹿野やいと

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/03/04 19:00
完成日
2016/03/19 15:15

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 拠点制圧失敗の翌日夕方。王国騎士団長エリオット・ヴァレンタインと聖堂戦士団長ヴィオラ・フルブライトは、王国を襲うであろう史上最大級の災厄を阻止するべく得た情報を共有していた。ベリトの発言を真とするならば「まもなく法術陣を通り、偉大なる存在が顕現する」。
 ここまでの事件で判明した事実と照らし合わせれば全体像も見えてくるだろう。法術陣へのマテリアルを供給するエクラの巡礼者の殺害、堕落者の巡回による法術陣への干渉。長く歪虚に支配された地域が負の浸食を受けるように、それに近い原理でマテリアルの浸食を意図しているのだろうこの作業を継続することにより法術陣に貯蔵されたマテリアルを負の方向に浸食・転換し、大精霊エクラと対になる負の存在の召喚に利用する魂胆だろう。
 状況が切迫している。しかし同時に準備不足による幾ばくの猶予がある事も示唆されていた。互いの情報を照らし合わせ、推論を導き出した後、エリオットがこんな問いを投げかけた。
「法術陣を作ったのは、誰だと思う?」
「……え?」
「この国に超大な仕掛けを施せるほど法術に長け、相応の力を持つ。条件に合致する存在を歴史から総ざらいしてはみたが、それは恐らくはエクラ信仰の起源となった人物……ではないかと考えている」
 ヴィオラが息を呑む。どくりと脈打つ心臓を落ち着かせるように、ゆっくりと言葉を絞りだした。
「エクラの起源となった……聖人ヴェレヌス。聖ヴェレニウス大聖堂の名の元になった、始祖たる修道士」
「あぁ。ちなみに、エクラの巡礼のルートを思い返してみてくれないか」
「ルート? 教会の定めた特定の市町村の聖堂を順に巡り、最終目的地として聖ヴェレニウス大聖堂へと至るのが……旅の、目的……まさか」
 エリオットは一呼吸おくと、思案気なヴィオラに最後の問いを投げかけた。
「……噂では、聖ヴェレニウス大聖堂の地下霊廟に聖人ヴェレヌスの遺体が安置されているそうだが、間違いないな?」
「もしや、安置されている聖人ヴェレヌスの遺体……“聖遺物”そのものが、何らかの理由で術式の起点、ひょっとすればマテリアルプールとなっている可能性も……?」
 ぶつかり合う視線。ヴィオラは確かに頷くと、深く息を吐いた。
「エクラ教の聖堂の中でも、あの大聖堂は確かに特別です。国の最重要拠点たる王城の横に並び建ち、幾重もの城壁の中へと囲って国と戦士団とで厳重に守り継いでいるのですから。
 ただ聖遺物を守るためなら、解りづらい場所にそれを隠せばいい。けれど、国はそれをしなかった。どうやら大聖堂自体にも何らかの秘密がありそうですね」
「ともあれ、ここまでは全て机上の空論。俺たちが動くのは、ここから先の真実を見極め、そこから逆算した策を立ててベリトにどう対処するかということだ」
 ──だがもし推論が正しければ、聖ヴェレニウス大聖堂を調査することでベリトへの対抗策が見えてくるはずだ。
「解りました。その調査は、貴方の提案通り、管轄から言っても適任は私たち聖堂戦士団でしょう。この件は国のため、そして……貴方の調査検証を無にしないためにも、私たちが必ず明かしてみせます」



 大聖堂地下、聖ヴェレヌスの墓所は文字通りの迷宮であった。石造りの回廊は下に向かって果てしなく続くようにも見え、第1の広間から既に法術を利用したトラップが複数配されていた。
 内部確認に降りたヴィオラはこの時点ですぐさま引き返し、探索部隊の編成を始めた。後方支援として回復魔法に優れた聖導士を地上部に残し、突入の戦力には多岐に渡る経験と技能を備えるハンターを雇う事とした。
 本来であれば建設も管理も聖堂教会が行っているのだが、秘匿された聖ヴェレヌスの術式を完全に継承するのは並大抵でなく、トラップ解除の暗号も散逸を免れなかった。それでもヴィオラはこの難事に自身が直接当たると聞かなかった。
「もう時間がありません。であれば、私が行くのが適任でしょう」
 聖堂地下探索の許可はカリギリス・ヴィルマンティ大司教より早々と認可されたが、ヴィオラ自身の参加だけは身を案じる司教達としばらく揉めたらしい。
 探索当日となってハンター達が地下道入口付近で準備を進める中、出発まで後少しとなった頃、ヴィオラの心配事は他所に向けられていた。セミロングの金髪が印象的な腹心の女性、アイリーンのことだ。
「アイリーン、具合は悪く無いですか?」
「私? おかげさまで元気よ」
 アイリーンは以前のように柔らかい笑みを浮かべる。その気遣いが余計に、ヴィオラには辛かった。
 テスカ教との戦闘で負傷したアイリーンは無事復帰している。失血と疲労で一時は意識が戻らなかったが、適切な治療さえあれば覚醒者の回復は早い。
 撤退戦となったあの日、ヴィオラには彼女を助ける術がなかった。魔力は完全に枯渇し、ヒールの1回も残していなかったのだ。
 あの時、ハンターがアイリーンに気を配っていなければ、彼女は矢に晒されて絶命していただろう。
「何を要求されるか、わかったものじゃないけどね」
 アイリーンは命の恩人である彼の発言を思い返して苦笑するばかりだ。場を和ませる為の言葉ではあったが、ヴィオラの顔は明るくはならなかった。
「病み上がりの貴方が無理しなくても……」
「らしくないな、ヴィオラ・フルブライト。いや、フルブライト司教」
 ぴしゃりと言い放ったのはセドリック・マクファーソン大司教であった。どこから話を聞いていたのか、つかつかと2人に歩み寄る。
「人を導く立場の者が迷いを口にするのは、決して良いことではない」
「…………」
 ヴィオラに言葉はない。あの日以降、これまで見せていた舌鋒の鋭さはなりを潜めている。まるで市井に住む歳相応の女性のように小さな事で迷いを見せるようになった。セドリックは目を逸らすヴィオラに優しく微笑んだ。四角い顔の彼の笑顔は、強面であることを忘れるほどに愛嬌があった。
「……だが司教の迷いもわかる。答えがすぐに出るのなら、人類に宗教など不要だろう」
 聖職者然とした穏やかな微笑みを湛えるセドリックに何事かと皆が振り返る。そんな笑い方もできるのだと、政治家であるイメージが先行する大司教に驚かされた。
「司教は覚えておかねばならない。これまで誰もが司教に甘えていたという事。そして司教は甘やかしが過ぎたという事を」
「え?」
 ぽかんとしてヴィオラは大司教を見返した。
 甘やかしているなど、欠片も思ったことはなかった。
「司教は使徒の声に導かれ、一足飛びに答えにたどり着いた。
 得た答えは正しい。それが故に重荷となっている」
 ヴィオラの疑問には答えず、大司教は十字を切った。
「考えよ、フルブライト司教。この地下探索は良い時間だ。
 虚無に向かい合う前に、己の答えを見つけよ」
 去りゆくセドリックに、ヴィオラは何も応えることができず、ただ背中を黙礼して見送った。

リプレイ本文

 聖ヴェレニウス大聖堂。地下1階には地下の墓所へ続く通路がぽっかりと開いていた。普段は厳重に施錠されているが、既に鍵を取り払い扉が開け放たれている。閉鎖空間にありがちな埃っぽさや湿っぽさは不思議となく、扉の向こうからは地下とは思えない大草原のただ中のような清涼な風が吹いてきていた。ここがただの地下室で無い事は参加者にも実感として残り、探索者達の興奮は徐々に高まっていく。
 今日が迷宮攻略1日目。探索者一行にはやや浮ついた空気があった。
「遂にやってきたぜこの日がよ。掘り尽くすぜ」
「冒険だー!」「冒険きたー!」
 ジルボ(ka1732)に合わせて腕を大きく振り上げたのは時音 ざくろ(ka1250)、超級まりお(ka0824)の2人。装備は本気の重装備だが会話の内容はまるでピクニックである。見送りにきた司祭達が困惑して顔を見合わせる中、同じハンター達は慣れた風で準備を続けていた。
「ご心配なく。彼らもプロです。仕事は果たします」
 努めて冷静に受け答えするマヘル・ハシバス(ka0440)。それで不安の全てが払拭されるわけでもないが、ポーズというのは必要だ。ナタナエル(ka3884)は受け答えをしないものの、周囲を安心させるように笑顔を浮かべている。
 不安要素といえばもう1件、忘れてはならない人物が居た。
「アイちーん、僕ちんアイちんの命の恩人になったんだけどにゃー。何かご褒美貰っても良いんじゃないのかにゃーん?」
「…………」
「ねえねえねえねえねえってばぁー」
 準備が終わってからのギルベルト(ka0764)は、アイリーンにべたべたくっつきつつ常時こんな調子であった。うざ絡みにもほどがある。ヴィオラ・フルブライト(kz0007)が流石に止めるという周囲の予想だったが、何故だかヴィオラは小さくなっている。この女傑が柄にもなく「あー……」とか「うー……」とか言っているのは稀な光景であった。
「……止めなくていいのか?」
 オウカ・レンヴォルト(ka0301)は状況を把握してはいないが、なんとか同じ疑問を抱えた小鳥遊 時雨(ka4921)という仲間を見つけた。他にも声をかけたが、どうにも歯切れの悪い人間ばかりであったのだ。事情を知るはずのナタナエルも「うん、あれは仕方ない」と関わる素振りがない。
「あはは……。別に……良いんじゃない?」
 小鳥遊も状況を眺めながら何度となく止めようと思い立つが、どうにも命の恩人という話自体は事実らしく止め時を見失っていた。
(何してくれって言ってないのがまたいやらしいなあ……)
 正直なところ、2人の関係性を見ているとだいたいの無茶が通りそうな気がしている。問題は、命の恩人のほうの言動だ。 
「今日からさぁ、暗い地下室で一緒に過ごすじゃん? これはもうさー、すること一つしかないよねえ!」
「だからそれ完全にセクハラですから!!」
 ひっつくギルベルトへの拒絶がだんだん本気になってきた。最高の大当たりで積み上げた貯金を凄まじい勢いでがりがりと削っている。
「……ほっといて良いんじゃない?」
「そういうものか?」
 これはもう何も無いと確信した小鳥遊は放っておくことにした。オウカがまだ不安そうな顔していたが、じきに理解するだろう。
 騒がしい一行はギルベルトがビンタを食らって静かになったところで、迷宮への侵入を開始した。




 地下は黒い石の積まれた迷宮となっていた。黒い花崗岩のような質感と色合いで、何枚もの岩が重なり合っている。崩れてこないか不安にもなるが、法術の影響で柱の位置と無関係に空洞を維持していた。迷宮内には不思議と空気の流れがあり、壁も床もひんやりとしている。かといって季節柄の身を切るような寒さではない。
「良かった。チョークは使えるみたいだな」
 ジルボがほっと息を吐く。ざくろにマッピングを任せてはいるが、彼が幻覚の術で迷ったままマッピングを間違えないとも限らない。幾つかの手段を同時並行で実施する慎重さが必要だ。
「それじゃあ頼んだぜ」
「ヒヒヒ、任せてくれていいよぉ」
 チョークを受け取ったギルベルトが姿勢を低くしながら前に出た。長身の彼は屈んでもまだ女性たちの胸ぐらいには頭が来る。ギルベルトは低い姿勢の猫背のまま床や壁に目を配りつつ、丹念に周囲を調べつつ前に進んだ。
 その後ろを軽い足取りでナタナエルがついていく。
「それじゃあ僕も。もしもの時はお願いね」
 ナタナエルはギルベルトが確認しきれない壁を調査しつつ進む。亀の歩み、というほどではないがやはり遅い。最初こそテンションの高かったまりおだが、早々に黒い壁と牛歩の如き進行に飽き始めていた。
「やっぱりこういう時は、ダッシュして罠が発動する前に駆け抜けたくなるよね」
「……止めてね?」
 にこりと笑うナタナエル。目が笑っていなかった。小さい声で「はい」とだけ答えると、まりおはあっさりと引き下がる。元々半分冗談のつもりで言ったことだったので、まりおは特に反抗したりはしなかった。
「だいたいそれでワープとかしたらどうするんだよ」
 ジルボは今回の迷宮で考えられる至極真っ当な指摘を投げかけた。
「そんな時もまっすぐ走る! まっすぐ走ればいつかゴールにつくからね」
「何の冗談だよそれ……。てか誰の受け売りだよ」
「誰って、僕の尊敬する人だよ」
 彼女の格好と話の内容から誰のことか理解したオウカは深い溜息をついた。
「真に受けるなジルボ。彼女の言う人物は俺も知ってるが、別に迷宮探索のプロではない」
「あ、酷いなー。世界中で洞窟に潜ってるから立派な探索者だよ!」
「だから何者なんだよそいつは……」
 ついていけないとばかりにジルボが呻く。他のリアルブルーの人間もついてきてないのだから、どうもローカルな話だということは彼にもわかった。
 ざくろは終わらない話を断ち切る為に、迷宮の話に話題を変えた。
「そ、そういえばヴィオラ。聖ヴェレヌスについてもう少し詳しく教えてもらえない?」
「聖ヴェレヌスについて、ですか?」
「うん。信者が必要な時には墓所に至れる様、そう言う教えや聖人の使徒や神話にちなんだ事で突破口開ける様になってるかもって」
 笑顔の眩しいざくろ。しかしヴィオラの反応は鈍い。
「申し訳ありません、私はその……そこまで詳しくは無くて」
 まさかの告白に一行の空気が固まる。
「私は研究者ではなく戦士団に入ったので、戦い方を学んでばかりで……」
 よくよく考えれば無理も無い話で、彼女は説法や研究よりもそれが本業だ。若い彼女が周囲の期待に応えるべく血の滲むような努力をしてきたのは間違いない。しかし何も持たなかった彼女にはどうしても優先順位があった。
「じゃあ、諦めるしかないですね」
 ダメ元でもあったのでざくろはそれほど落胆しなかった。研究者達は今もこの迷宮の資料を探して教会の書庫を歩きまわっている。もしも有用なヒントがあれば後からでも伝えてくれるだろう。ハンターはハンターで出来ることをするだけだ。
 通路は時折曲がりながらも続いていく。一行が20分程進んだところで、石と石がこすれるような音が後方から響いてきた。
「何か動きましたね」
「……壁が動いたのか?」
 後列に居たマヘルとオウカが走る。戻って確かめると、確かに退路が塞がれていた。壁の引っかき傷の後から横の壁がせりだして来たのだと分かるが、その壁を動かすのはサイズ的にどう考えても不可能だ。
 ジルボは口を不敵に歪めた。
「へっ、そうこなくっちゃな」
 これでこそ迷宮。直接殺しはしないが、道を見失えば餓死もありえる。求めていた緊張感は、ジルボの感覚を研ぎ澄ませていく。決意を新たにした一行は退路に見切りをつけ、前へ前へと進んでいった。
 その後最初の階層の攻略は時間ばかり掛かりはしたが、罠の傾向が見えてくると罠解除の手間も減り、2階層目の攻略はそれほど時間はかからなかった。
 3人の斥候が正しく機能したこと、マッピングに十分な時間が当てられたことが、素早い攻略に大きく影響する。
 第3階層は第1階層・第2階層と大きく雰囲気を異にしていた。外見上は黒い石壁が続く回廊であり変化らしい変化ない。最初に異変に気づいたのは先頭に近い位置に居た猟撃士のジルボだった。
「止まってくれ」
「何かあるのか?」
 オウカは連れた柴犬に視線を移すが、柴犬は特に警戒をしている気配はない。となればジルボは匂いではなく視界に、直感視による異常を感知したのだろう。
「あの柱の……ほら、天井付近。何かおかしいぞ」
 一行は彼の指差す先を見るが何も見当たらない。じっと見続けてようやく、背景に溶け込むように何らかの装置が備えられていることがわかった。ランタンの光を揺らすと、不自然な反射を起こしている。
 しかし遠巻きには形も不明瞭で装置の機能も判然としない。
「どうします? 触って調べるぐらいなら出来ますけど……」
 ナタナエルの懸念はその先、触って何が起こるか不明瞭ということだ。ジルボは答えの代わりに弓を構えた。
「こうするのさ」
 装置めがけて矢を放つ。矢が装置に突き刺さってヒビ割れる。
 何事も無いと安心したのも束の間、ジルボは荒い息で片膝をついた。ジルボの全身に鉛を抱えたような疲労が行き渡っていた。駆け寄ったまりおが辛うじて地面に倒れ込むのを防ぐ。
「大丈夫? 今のってまずかったんじゃ?」
「いや、ラッキーだぜ。この階がこういう趣向なんだって最初にわかったからな」
 その後はジルボの言葉通りとなった。罠は法術を利用したものが大半で、精神に作用する系統の術がふんだんに使われていた。
 精神的疲労、肉体的疲労は直撃すれば行動不能に陥ることもあるが、準備して望めばダメージを軽減もできるし、最悪ヒールで持ち直すこともできる。
 乱暴な手段ではあるが有効には違いなかった。本来ならじっくり攻略するのが正しいが今は時間が惜しい。一行はジルボの方針を受け入れ、新たな階層の攻略に乗り出した。



 複雑な仕掛けに悩まされながらも、一行はなんとか4階層目を突破した。後半は幻覚の罠も多数配されていたが、予想して陣形を組んでいたハンター達は難なく突破。あとは第1・第2階層と同様に丁寧なマッピングが物を言った。この段階でまだ余力はあったが、まりおの提案をうけてその日の調査を打ち切る事となる。
「あとちょっとだけなら進めそう、は戻るべきタイミング」
 この言葉には全員が同意し、4層で安全地帯であった場所にキャンプを張った。周辺の法術のトラップは入念に基点を破壊することで無力化されている。これで引き返すにも便利になった。
「この部屋の周囲の通路は何もない。身支度が必要ならそこを使おう」
 実際に罠を破壊してきたオウカが部屋の両側面を指す。丁度通路が折れ曲がっており、服を整えるのに丁度いい遮蔽となっている。一人では緊急時に不安もあるが、幸いにも男女の比率に偏りはない。2人1組以上を徹底すれば問題ないと判断した。
「男女半々だから、睡眠も同じ比率で分かれて順番に取りましょう」
 アイリーンがそう提案すると、ざくろからは妙に安心したようなため息が漏れた。
「どうしたの?」
「いえ……。僕、よく女の子に間違えられてて……」
 頬を掻きながら説明するざくろに、アイリーンは苦笑する。
「わかりますよ」
「本当に?」
「ええ。やはり男性と女性では骨格が違います。ね、ヴィオラ。……ヴィオラ?」
 アイリーンが振り返った先でヴィオラは固まっている。しばらく迷った後、ヴィオラは素直に頭を下げた。
「…………その……すみません」
「あ、はい」
 ざくろもなんとなく釣られて、頭を下げる。顔を上げたヴィオラはまだ頬が赤かった。
「しかし骨格とは、よく観察しないと出ない言葉ですね」
 ナタナエルの揶揄に気づき、アイリーンは口をつぐんだ。ざくろも意味に気づき、一人で顔を赤くする。
 見分けられるほど眺めた経験があるとは、つまりそういう事だ。何とも言えない雰囲気で会話が止まってしまったが、男女差の話は集団生活において大事な話でもあるので、誰もそれ以上の疑義を挟めなかった。
 その後の事件もあり、ざくろの性別の話はすぐに忘れ去られる。事件が起きたのは先行の休息組が寝静まった頃だった。
「キャアアアアッ!」
 突如としてあがる悲鳴。頬をはる音。明かりを声のした方向、休息に入ったメンバーが眠る場所に向けると、案の定ギルベルトがアイリーンにはり倒されていた。はり倒されたというのにギルベルトは嬉しそうな顔をしている。
 事情聴取をすることになったマヘルが、その表情にやや気後れを感じた。
「で、何をしたの?」
「何ってぇ、胸の筋肉のストレッチだよぉ」
 揉んだのか。それはビンタを食らっても仕方ない。頭痛がしてくるがひとまず耐える。
「どうしてそんなことするの?」
「なんでって、愛してるからに決まってるじゃん」
 ヒヒヒと笑うギルベルトに、マヘルはため息を隠さない。その「愛してる」のニュアンスだけ、少し気にはなった。普通の人が言う愛とはどうも違う。でも嘘をついてる気配はない。歪んでいるが本人に自覚はなく、それ以上詰め寄ることはできなかった。 
 マヘルの懊悩を他所に、ギルベルトの寝床は強制的にジルボの隣に場所を移されていた。何かと文句を垂れてはいたが最後にはおとなしく毛布をかぶった。
「羨ましいな、お前……」
「なんで?」
「なんでもねえ」
 見張っておけと女性陣にきつく言い含められたが、後ろを向いて毛布をかぶる。その開き直りっぷりもそうだが、これだけ堂々と胸揉んでも怒られた程度で済んでるのが既に羨ましい。邪険にされつつも無視には至っていない。
 その苛立ちをギルベルトは見逃さなかった。
「なにー? 女の子の悲鳴で興奮しちゃった? 羨ましい?」
「ちげえって。寝ろよ」
「ヒヒヒ、暗い中だからわかんねえって。ほれ、手を伸ばせばすぐに……」
「うるさい! 寝ろ!」
 まりおが容赦なく枕代わりにしていた背負い袋を投げる。流石にギルベルトは静かになったが、ジルボは納得できない。
「俺、完全に被害者……」
 と呟くも無視され、ふてくされたまま寝るはめになった。
 


 その階層に侵入した者達は呆然とした。第5階層は縦と横に規則的に柱が並んでいた。縦に数十列、横にも数十列。一部の乱れもなくだ。
「視覚的に錯覚が起きやすいように作ってますね。その上に魔術を置いているようです」
 ナタナエルは目眩を感じて目を閉じた。墓所が近いためか巨大なマテリアルの気配を感じる。それだけこの階にも法術が使われているという証拠でもあった。 魔術の素養という意味ではクラスの補正も無いナタナエルでこれであれば、ヴィオラのような法術に素養のある者は更に強く場の異常を感じているだろう。
「さっきみたいに頬を叩いたら治らない?」
 小鳥遊が調査に入ったマヘルに問いかける。
「おそらく無駄です。この術は目ではなく景色にかけているもの。私達の体がおかしいわけではないですから」
 小鳥遊が先ほど解呪したのは精神へ作用する術だ。今回のこれは視覚情報に既に異常がある。抵抗の余地がない。
「えーと?」
「光学迷彩……他の皆さんにもわかりやすく言うなら蜃気楼でしょうか」
「それはつまり、見えてるけどそこには無いってこと?」
「大まかに言ってそういう理解で正解です」
「むむむ……」
 この系統の術への準備は今回多くは持ち込んでいない。結局は上の階層よりも更に地道な調査を強制されることになる。
 術の解除に失敗した一行の迷宮攻略は遅々として進まなかった。術によって階段が隠されているだけではなく、思考を乱す術や、退去を促す結界の類も多数設置されている。
 柱を数えている最中に急に全ての思考を見失ってしまったり、まっすぐ歩いているつもりが唐突に向きを変えていたり。部屋の構造に神経をやられている中でこれは効果的に響いた。
 結果としてお互いを術から守るために固まっての調査となり、さらに調査は遅れることになった。
「止め! 一旦中止!」
 そう叫んだのはまりおだった。隣に居たざくろが驚いてびくりと体を跳ね上げる。
「どうしたのさ急に」
「今日はここまでにしよう。こんな状態じゃ何かあったら対処できないよ」
 本当はもっと早くに手を引くべきだった。それが延々と続く繰り返し作業で神経をやられていた。疲労のピークに達してもそれにきづけなかった。
「……うん、そうだね。今日はもう、ここまでにしよう」
 ざくろがそれに賛同すると、途端に前衛の者達は腰をかがめる。これ以上緊張感を維持するのは限界であった。



 一行は迷宮の中で2日目を終えた。4階層目の安全地帯にキャンプを作った一行は、3班に分かれて休憩を取っていた。涼しい程度とは言え、そのまま寝るには支障がある。火を使えない室内ではまりおの持ち込んだヒートソードの熱は何より有り難かった。
「今日は静かですね」
 コーヒーを配り終えたマヘルが誰にともなく呟く。ジルボ、ギルベルト、オウカの3人は先頭に立って調査に向かった為、魔術の洗礼を一日たっぷりと受けた。疲れ切った彼らは毛布を被って横になると、すぐに死んだように眠りについた。
 騒がしかったこの数日だが、石の壁の中では静寂は身に堪える。そこでようやく、ギルベルトの起こす騒動が幾分なりとも精神の安定に役立っていたのだと理解した。
「……一晩休憩して、明日からどうしましょうか?」
「…………」
 マヘルの問いに応える者は居ない。有効な手立てが、地道な調査以外に思いつかないのだ。迷宮探索の前に一行は様々な準備をしており、幻覚のトラップはその段階で想定されていた。しかしそれは精神に影響させる術を想定しており、光の屈折を利用した術は準備が不足していた。
 最悪触れればわかるという類の物もあるが、頻繁に法術の精神攻撃を受けていては調査にも移れない。
 幸いにも死人を出す類の罠では無い為に命の危険はないが、この状況で時間をかけるのはまずい。
「マッピング、このまま続けるしか無いのかな?」
 ざくろは目をこすりながら、今日得た情報を新しい紙に清書していく。
 設置されたトラップや、法術によってもたらされた不自然な現象など、書き込みが増えすぎて最初の地図は真っ黒になっていた。
 地道な攻略が最も安全で確実とわかっていながらも、弱音をつぶやいてしまう程に彼の精神は疲弊していた。
「考えてもしょうがないならさ、話題変えよう?」
 小鳥遊はおずおずとそう提案した。難しい顔の仲間の顔を窺い、小さくなりながら。無言の時間が続いたため最後には「やっぱりダメかな?」と消え入るような声で呟いたが、マヘルは小さく笑みでもって答えとした。
「そうですね。今日はもう頭をつかうのは止めましょう」
「……うん」
 再び沈黙が落ちる。先程と違い緊張感はない。話題の変更は口実だったため小鳥遊はしばらく話題に困ったが、折角なので気になることを尋ねることにした。
「ヴィオラはさ、ここに潜る前に何か話してたけど、何かあったの?」
「……あの話ですか」
「うん。聖女だからって畏まる人いなさそうだし、存分に遠慮なく迷い悩むがいいと思うよん」
 畏まる人は居ない、のところで小鳥遊がギルベルトに視線を移したのを見て、ヴィオラは張り詰めた表情を崩した。
 マグカップを包んだ手にじんわりと熱が伝わってくる。熱に後押しされるように、ヴィオラは初めて戦いに敗れた日の話をした。
 天使ベリトとの戦闘で敗北した事は、世間一般にとって大きな事件であった。何しろ団長への就任以来不敗を持って知られた戦乙女のことだ。
 しかし悩みの本体はそこではなく、ヴィオラにとってはベリトの存在を否定出来なかったことこそが大きな心の傷となった。
「でもさ、人を救うのは「人」だけっしょ? 聖女「が」救うんじゃなくて、さ」
 小鳥遊の言葉は事実そうだ。心の支えという部分を除けば、エクラは直接手を下すようなことはしない。
「悩んで迷って苦しんで、自分を賭けて晒して、根っこな部分を揺らがせて。すっごいつらくてキツいけど、それで辿りつく答えってあると思う。……ってのが最近救って救われちゃった時雨さんの意見ー」
 舌を出して自分の言葉を茶化す小鳥遊。真面目すぎた事が気恥ずかしかったのか、誤魔化すように笑顔を作る。
「ヴィオラには何を今更って話かもだけど。次があるか、分かんないしさ? なんかそれだけ伝えたいなって思って」
「……ありがとうございます」
「余計なお世話かもだけどねっ」
「そんなことはありません」
 ヴィオラの口調は固いが、社交辞令での言葉ではなかった。
「私も貴方と同じ意見です。ですが、貴方のように強い気持ちで居られる人ばかりではありませんでした。
 生きることが辛くて、答えにたどり着く前に生きることを止めてしまった人が大勢居たのです。
 救われたからこそ、その闇を抜けたからこそ、過去の辛さをいつか笑えるようになるのだと思います」
 小鳥遊の胸にそれは実感を伴って甦る。辛い時期にもし先が見えなかったら、辛い時期がもっと長く続いていたら。苦しみが強ければ強いほど、未来の希望に縋りたくなる気持ちはよくわかる。
「私にはなじみがありませんけど、こちらの世界の人にとってはエクラ教は心の支えだったですね。だからこそ余計に、救いが無いことに失望したのでしょうか」
 マヘル自身はこの世界に住む人の宗教観に関わりはない。救いという考え方もなじまない。
 だが信じる物に裏切られる苦痛は理解できた。相手が大きいほど、苦しみは募るだろう。
「救うという考え方がそもそも間違いでしょう」
 ぼそりと話に加わったのはナタナエルだ。手元ではランタンを始め今日使った道具を分解整備している。
「ベリトの言う死が僕の救済になり得なかったように、エクラの教えもまた僕を救済することは出来ません。無理と諦めるわけではありませんが、救済とはそんなお手軽なものでしょうか?」
 もちろん違う、と答えかかったヴィオラだが、ベリトの示した安易な自殺を否定できなかった彼女はそれ以上何も言えない。ナタナエルは視線だけを隣で黙ったままのまりおに向けた。
「貴方はどう思います?」
「え、僕? えーと、白馬の王子様が来てくれたら?
 ……あ、違った。僕は助けるほうがいいかな。抱っこしたお姫様のキスが貰えたらそれでいいや」
 唐突に話題を振られたまりおは、曖昧な返事を返す。彼女の思う白馬の王子とはどのような人物なのだろうか。迷宮の入り口で口にした、尊敬できる人物であろうか。
 どこまでいっても意味は無い。答えも見つからない。ただ、少しばかり気が楽になった。納得できる答えを今見つけなくても、常に答えを探し続けることにこそ意味がある。探し続ければいつか答えは出せる。それを突き付ければいい。
 気持ちの軽くなったヴィオラは、ようやく疲労を感じることが出来た。



 目処がたったのは翌日のこと。外周の調査を終えた段階でざくろとマヘルがデルタレイの応用を提案した。光が屈折しているのなら屈折する地点を探せば良いということなのだが、元が攻撃魔術で有るために使用に躊躇いがあったのだ。
 最終的にはLEDライトやランタンの応用する方策を思いつかなかった為に、この案が受け入れられる事になった。
 更に地道にタイルを調べること2日。存在が発覚した法術の罠をこつこつと解除し、あるいは破壊し続けた一行は、ようやく目的の物を見つけ出した。
「あったぞ!!」
 柱を調べていたジルボが快哉をあげる。それは2階層でも見かけた岩の切れ目に偽装されたスイッチであった。仕掛けを動かすと床石が動きだし、広間の中央に新たな階段が現れる。一行は喜びに緩む頬を引き締めて5階層目を抜け6階層目へ。
 ハンター達が目にしたのは、網の目のように水路が張り巡らされた墓所であった。中央には石棺が安置され、その周囲をマテリアルが渦のように巡っている。渦は力に満ちており、無色透明のはずのマテリアルを視認できるほどであった。
「こいつはすげえや」
 ジルボは笑みを隠しきれぬまま、部屋の中央へと飛び込んだ。広さは5階層目程ではないが、仕掛けの大掛かりさでは負けていない。石棺と埋葬された聖遺物の全てを法術の基点として利用し、床の水路と合わせてマテリアルの貯蔵庫として作り変えているのだ。
「この水路の形は何か意味があるのかな?」
 小鳥遊は水路の様子を窺いながらもそっと手をつける。冷たくも清涼な流水は、疲労した心を一時忘れさせた。側にいたマヘルは水路の配置を俯瞰する。魔術知識を持つ彼女にはすぐに正体は知れた。
「水には不浄を流す役割があります。おそらくマテリアルを浄化する役割を担っているのでしょう」
 マヘルは水の流れ来る先と流れ行く先を視線で追い、自身の発言に確信を持つ。水は地下水か何かを引いているのか、どこを見ても淀みがない。
「マテリアルって方向性が無いって聞いたけど?」
「その前段階でしょう。これだけ大きな装置で集めたのなら、中に不純物が混じることもあります。これはその不純物を洗い流す役割があるのです」
 何も知らない歪虚でも巡礼路の上を通ることはある。巡礼路上の教会も荒廃する日もあるし、巡礼の信徒が心に闇を抱えていることもある。大掛かりゆえに出てくる回避できない諸々のマイナス要素を、ここで吸収し浄化しているのだ。
「お宝って感じじゃないが、これはこれで……」
 ふとジルボはオウカを見た。水路の先を睨んだまま微動だにしない。
「どうかしたか?」
「……おしゃべりはそこまでだ」
 オウカの視線が険しくなる。連れた柴犬がけたたましく吠え始めた。ジルボは視線の先を追うが水が流れるばかりで変化がない。何事かと目を凝らすと、突如として水路から水の塊が持ち上がった。
「……侵入者を殺す罠はなかったんじゃないのか?」
 オウカは剣の柄に手をかけ油断なく敵を見据える。それは天井すれすれまで盛り上がった巨大なスライムであった。無色透明だった水は斑の赤黒に変色している。ヴィオラは驚きながらも、すぐに視線を険しくする。彼女には思い当たる事があるのだ。
「罠ではありません」
「じゃあなんだ?」
「それは……」
 言葉を発する前にスライムは触手のようにその身を震わせ、ハンター達に襲いかかる。一斉に跳んでその場を回避したハンター達は、すぐさま攻撃に移った。ここまで巨大になったところでスライムは大した敵ではない。
「一気に決着をつけるよ、マヘルさん!」
「わかりました。時間差で撃ちます」
 ざくろ、続いてマヘルのデルタレイが連続で照射される。巨体相手には狙いを付ける必要もない。前衛が壁を形成するまでもなく、スライムは一方的に焼却されていく。スキルを墓所の終着点で温存する理由もなく、大盤振る舞いの掃射で20秒を数える頃にはスライムは核を失ってただの水に戻っていた。
 問題はこのスライムを産んだ環境にある。ヴィオラは粘液に戻ったスライムに触れた。
「なんとなく違和感があったのです。聖遺物に付き物の、清浄なマテリアルの気配がなかった。……このマテリアルプールは汚染されています」
「汚染されてたらどうなるんだ」
 魔術知識の乏しいオウカは流水に沈むスライムの残骸を睨みながら腕を組む。汚染の影響が良くないものであることは、今のスライムで彼にも理解できていた。
「法術陣はここを基点に王国全土に広がっています。汚染がこのまま進めば、法術陣を逆流して王国全土に負のマテリアルが溢れることになるでしょう」
「……それはまずいのか?」
「何が起きるかはわかりませんが、良い事が起こると思いますか?」
 オウカの険しい顔は、眉間のシワを更に増やす。歪虚に浸食された土地は生命活動を許さない荒野となる。王国全土がそうなる可能性も、十分にあるということだ。
「浄化が必要です、この不浄を洗い流す作業が」
 法術陣起動の為にはこのマテリアルが正しくあらねばならない。しかし作業が簡単でないことは明らかだった。マテリアルの量は膨大だ。スイッチ一つ、呪文一つで片付くようなものではない。
 ヴィオラだけではなく、何人もの司祭を連れてくる必要があるだろう。
「皆さん、お疲れ様でした。ここからは私の仕事です。
 ここは私達に任せて、次の仕事まで英気を養ってください」
 ヴィオラは笑った。神秘さとは無縁だが気負いの無い爽やかな笑みであった。これからの大仕事に微塵の不安も抱いていない。以前の張りつめた戦乙女としてのヴィオラとも違っている。
 彼女を案じていたマヘルや小鳥遊には不安があったが、その笑顔は信頼に足る笑顔に見えていた。

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参加者一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 憧れのお姉さん
    マヘル・ハシバス(ka0440
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 猛毒の魔銀
    ギルベルト(ka0764
    エルフ|22才|男性|疾影士

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士
  • 《死》を翳し忍び寄る蠍
    ナタナエル(ka3884
    エルフ|20才|男性|疾影士

  • 小鳥遊 時雨(ka4921
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ダンジョンアタック!
ジルボ(ka1732
人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/03/04 07:18:22
アイコン 質問卓
ジルボ(ka1732
人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/03/01 18:23:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/29 21:38:12