ゲスト
(ka0000)
反転討伐~闇の魔術卿と歪虚騎士
マスター:草なぎ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/03/07 09:00
- 完成日
- 2016/03/12 02:54
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国西方リベルタース。エフェックス男爵領が逃げ出したカントリーハウスに、上級歪虚がいるかもしれないという情報はすぐに王国上層部に伝えられ、密偵が放たれた。最初の密偵は帰還せず、次の密偵も戻ってこなかった。そこで、王国騎士団のリュミリエン卿を指揮官とする十名の部隊が派遣された。そして、また帰ってこなかった。この件を預かっていた王宮のニールセン子爵は、さすがに事態を重く見て、自ら騎士団を率いてエフェックス男爵領へと向かうのであった。
「これは……」
子爵は、カントリーハウスの庭園に倒れ伏す騎士たちを見て、目を見張った。
「どう思う?」
子爵が問うたのは、騎士団のデロンハイム卿であった。
「分かりませんな……。踏み込んでみないことには……。私が行きましょう」
卿は抜刀すると、ゆっくりと庭園に足を踏み入れた。そして、頭の中に響き渡る怪音波に眉をしかめた。
「これは……」
歴戦のデロンハイム卿は、この精神攻撃に耐え、リュミリエン卿を発見した。他の騎士たちも、生きていた。意識もある。だがどうやら、動けなくなっているようであった。デロンハイム卿は危険を察知してさっさとカントリーハウスの敷地から出ると、ニールセン子爵に事の次第を告げる。敷地から出ると怪音波は止んだ。
「子爵、このカントリーハウスは、何かの結界に包まれています。精神攻撃が襲ってくる」
「ふむ……」
子爵と卿はカントリーハウスをぐるりと回った。ようく観察していると、中空に小型のダイヤモンドの形をしたものがあちこちに浮かんで動き回っていた。
子爵は、このまま突撃するのは愚策であると考え、庭園に倒れていたリュミリエン卿らを何とか敷地の外へ救いだし、いったん王都へ帰還した。
ニールセン子爵は自身が側に置いているマギステル、レーベルトを呼んだ。
「結界……ですか」
レーベルトは眉間にしわを寄せた。
「並みの騎士を軒並み行動不能にするとは、それなりに強力な結界のようですね……」
「いかがしたものであろうか……?」
「少し、お時間を頂けますか?」
「何か考えがあるのか?」
「ガラハイム司教区へ行ってまいります。司教なら、邪悪な力を打ち破る策をお持ちかも知れません」
レーベルトが向かったガラハイム司教区は、王都から馬車で数日行ったところであった。町に入り、教会の司教を訪ねる。
「ようこそレーベルト様。お久しぶりですな。ローゼンバロスの歪虚の一件以来ですな」
「司教猊下、今回も、歪虚の件で参りました。状況が似ておりましてな」
「と言われると?」
レーベルトは主君が遭遇したエフェックス男爵領のカントリーハウスの件について話した。
「なるほど……歪虚結界ですか。ああいった類のものは、高位の歪虚が関わっていますからな。そのバルマングルドの魔術卿とやら、存在するとして、並みの歪虚ではありますまい」
「お力をお貸し頂けますか」
「やってみましょう」
ガラハイム司教は、レーベルトを伴って、礼拝堂へと足を運んだ。
「ですが」
と司教は付け加えた。
「このようなものは、負のマテリアルの中で長続きするものではありません。それに、私の力にも限界があります。聖別されたものは、七つか、八つが限界です」
司教はそう付け加えると、司祭らとともに八つの十字架にマテリアルを施した。十字架に祈りを込め、魔を祓う聖なる力を込める。
儀式が終わると、司教は崩れ落ちた。額には大粒の汗が滲んでいる。レーベルトは司教を支えた。
「これを……」
司教は、祭壇の上の八つの十字架を、レーベルトに差し出した。
十字架は、薄い燐光を纏っていた。
リゼリオから子爵のもとへ呼ばれたハンターたちは、事の次第をつぶさに聞いていた。彼らの手にはマテリアルが込められた十字架があった。先の報告書は読んでいたが、魔術卿の力は未知数である。そして魔戦士ゾフィルシアの存在。
「我々は貴公らを支援する。結界を張っていると思しきダイヤモンドを何とかできないか、やってみるつもりだ。その間に、貴公らは邸の中の探索と、いるならば、歪虚を破壊してい欲しい」
ハンターたちは重々しく頷いた。子爵と騎士団、二十騎と、件のカントリーハウスへと向かう。
……エフェックス男爵領。カントリーハウス。その一室は、かつて男爵家の正餐室だった。しかし、今は歪虚の闇に包まれている。バルマングルド魔術卿は、その中にいた。闇からまた結界を構築するダイヤモンドが生まれ、飛び立って行く。
「人間どもが来たか」
「そのようです」
魔戦士ゾフィルシアは、闇の空間から外を見ていた。
「無駄なことを……。わしのもとに辿りつけるものか」
邸の中は不浄な塵に満たされており、ぽつぽつと黒い陽炎が点在していた。
魔術卿は顔を上げた。漆黒のローブとオーラををまとい、黄金の角が生えていて、蛇のような尻尾を生やした精悍な顔つきをした男である。
「人間が入ってきます」
ゾフィルシアは不審にハンターたちを見ていた。どういうことであろうか……。結界の中で通常行動など出来る筈がない……。
「行け」
バルマングルドは言った。
「はい」
ゾフィルシアは一礼すると闇から出て行く。
魔術卿は椅子に腰かけた。待つことにしよう。果たして、ここまで辿りつくことは出来るのだろうか……? バルマングルドは目を閉じた。
闇が震える。
邸の外では、騎士たちが弓でダイヤモンドを攻撃している。あまり効果のほどは無いようだ。
ハンターたちは首からかけた十字架を握りしめた。怪音波に違和感を覚えるが、それはほぼ聞こえない。邸の扉を開き、ハンターたちは歪虚の拠点へと踏み込むのであった。
「これは……」
子爵は、カントリーハウスの庭園に倒れ伏す騎士たちを見て、目を見張った。
「どう思う?」
子爵が問うたのは、騎士団のデロンハイム卿であった。
「分かりませんな……。踏み込んでみないことには……。私が行きましょう」
卿は抜刀すると、ゆっくりと庭園に足を踏み入れた。そして、頭の中に響き渡る怪音波に眉をしかめた。
「これは……」
歴戦のデロンハイム卿は、この精神攻撃に耐え、リュミリエン卿を発見した。他の騎士たちも、生きていた。意識もある。だがどうやら、動けなくなっているようであった。デロンハイム卿は危険を察知してさっさとカントリーハウスの敷地から出ると、ニールセン子爵に事の次第を告げる。敷地から出ると怪音波は止んだ。
「子爵、このカントリーハウスは、何かの結界に包まれています。精神攻撃が襲ってくる」
「ふむ……」
子爵と卿はカントリーハウスをぐるりと回った。ようく観察していると、中空に小型のダイヤモンドの形をしたものがあちこちに浮かんで動き回っていた。
子爵は、このまま突撃するのは愚策であると考え、庭園に倒れていたリュミリエン卿らを何とか敷地の外へ救いだし、いったん王都へ帰還した。
ニールセン子爵は自身が側に置いているマギステル、レーベルトを呼んだ。
「結界……ですか」
レーベルトは眉間にしわを寄せた。
「並みの騎士を軒並み行動不能にするとは、それなりに強力な結界のようですね……」
「いかがしたものであろうか……?」
「少し、お時間を頂けますか?」
「何か考えがあるのか?」
「ガラハイム司教区へ行ってまいります。司教なら、邪悪な力を打ち破る策をお持ちかも知れません」
レーベルトが向かったガラハイム司教区は、王都から馬車で数日行ったところであった。町に入り、教会の司教を訪ねる。
「ようこそレーベルト様。お久しぶりですな。ローゼンバロスの歪虚の一件以来ですな」
「司教猊下、今回も、歪虚の件で参りました。状況が似ておりましてな」
「と言われると?」
レーベルトは主君が遭遇したエフェックス男爵領のカントリーハウスの件について話した。
「なるほど……歪虚結界ですか。ああいった類のものは、高位の歪虚が関わっていますからな。そのバルマングルドの魔術卿とやら、存在するとして、並みの歪虚ではありますまい」
「お力をお貸し頂けますか」
「やってみましょう」
ガラハイム司教は、レーベルトを伴って、礼拝堂へと足を運んだ。
「ですが」
と司教は付け加えた。
「このようなものは、負のマテリアルの中で長続きするものではありません。それに、私の力にも限界があります。聖別されたものは、七つか、八つが限界です」
司教はそう付け加えると、司祭らとともに八つの十字架にマテリアルを施した。十字架に祈りを込め、魔を祓う聖なる力を込める。
儀式が終わると、司教は崩れ落ちた。額には大粒の汗が滲んでいる。レーベルトは司教を支えた。
「これを……」
司教は、祭壇の上の八つの十字架を、レーベルトに差し出した。
十字架は、薄い燐光を纏っていた。
リゼリオから子爵のもとへ呼ばれたハンターたちは、事の次第をつぶさに聞いていた。彼らの手にはマテリアルが込められた十字架があった。先の報告書は読んでいたが、魔術卿の力は未知数である。そして魔戦士ゾフィルシアの存在。
「我々は貴公らを支援する。結界を張っていると思しきダイヤモンドを何とかできないか、やってみるつもりだ。その間に、貴公らは邸の中の探索と、いるならば、歪虚を破壊してい欲しい」
ハンターたちは重々しく頷いた。子爵と騎士団、二十騎と、件のカントリーハウスへと向かう。
……エフェックス男爵領。カントリーハウス。その一室は、かつて男爵家の正餐室だった。しかし、今は歪虚の闇に包まれている。バルマングルド魔術卿は、その中にいた。闇からまた結界を構築するダイヤモンドが生まれ、飛び立って行く。
「人間どもが来たか」
「そのようです」
魔戦士ゾフィルシアは、闇の空間から外を見ていた。
「無駄なことを……。わしのもとに辿りつけるものか」
邸の中は不浄な塵に満たされており、ぽつぽつと黒い陽炎が点在していた。
魔術卿は顔を上げた。漆黒のローブとオーラををまとい、黄金の角が生えていて、蛇のような尻尾を生やした精悍な顔つきをした男である。
「人間が入ってきます」
ゾフィルシアは不審にハンターたちを見ていた。どういうことであろうか……。結界の中で通常行動など出来る筈がない……。
「行け」
バルマングルドは言った。
「はい」
ゾフィルシアは一礼すると闇から出て行く。
魔術卿は椅子に腰かけた。待つことにしよう。果たして、ここまで辿りつくことは出来るのだろうか……? バルマングルドは目を閉じた。
闇が震える。
邸の外では、騎士たちが弓でダイヤモンドを攻撃している。あまり効果のほどは無いようだ。
ハンターたちは首からかけた十字架を握りしめた。怪音波に違和感を覚えるが、それはほぼ聞こえない。邸の扉を開き、ハンターたちは歪虚の拠点へと踏み込むのであった。
リプレイ本文
「子爵、邸の見取り図はあるのか?」
マリィア・バルデス(ka5848)が問うと、子爵は首を振った。
「いや、そのようなものは無いが……。まあやるしかあるまい」
「そうか」
マリィアは肩をすくめた。
「えー。無いんですか? ソフィアぐれちゃいそうです。てへ」
ソフィア・フォーサイス(ka5463)の言葉に子爵はむずがゆそうに身じろぎした。
「おい、あのダイヤ、そんなに堅いのか? ちょっと信じられんが……」
ロニ・カルディス(ka0551)の言葉に、弓を撃っていた騎士たちは吐息した。
「良く分からん。当たってはいるのだが……。俺達の攻撃不足かな」
「さっさと潰してしまおう」
「……良かろう……」
No.0(ka4640)、レイヴェンと呼ばれる男は呟いた。
「さっそく始めるぞ。俺達は踏み込むぞ」
四人は結界内部に踏み込んだ。
と、すうっとダイヤが接近してくる。
マリィアはパニッシュメントを連射した。バン! バン! バン! バン! ダイヤは粉々になった。
「ふむ……こんなものか。これならば行けそうだな。寄ってくるぞ」
ダイヤが次々とハンターたちに近づいてくる。
「浮いてるダイヤって……もしかしてあれも歪虚なのかも」
ソフィアが太刀で切りつけた。もしかしてではなく歪虚の一種である。ソフィアが何発も切りつけると、ダイヤは粉々になった。
ロニも次々とダイヤを破壊していく。クロノスサイズを振るいダイヤを撃破していく。
「余興はこれくらいにしてもらおうか」
レイヴェンもホーリーパニッシャーを振り回して超重錬成で薙ぎ払う。
「…………」
パニッシャーの一撃を受けて破壊されて行くダイヤ。
こうして結界の一部が破壊されると、急激に怪音波が止んで行く。
「意外に早く済みそうだな。もう少し潰して行くか?」
「そうね」
ハンターたちはどんどんダイヤを潰して行く。新たなダイヤが飛んでくるまでには、あらかた片付いた。
「やったー。ほぼほぼオッケーじゃないですか?」
ソフィアは上空を見上げる。残るダイヤは僅か。これくらいなら騎士たちでも何とかなるだろう。
「こちらソフィア。もしもし~。邸の中はどうですか?」
トランシーバーで連絡を取る。
返ってきたのは真田 天斗(ka0014)からの言葉。
「今ちょっと忙しいですね。そっちはどうですか?」
「結界はほとんど壊せたよ」
「それは何より。援軍を頼みます」
「了解しました~」
ソフィアは仲間たちを顧みる。
「だって」
「よし、行こうか」
マリィアは弾層に弾を込め直すと、頷いた。
「たァァのォォォォもォォォォォォォオオオ!!!」
ソウルトーチで全身ファイアのウィンス・デイランダール(ka0039)が、喚いていた。グレイブで邸の中を破壊して回る。
「しかしこの不浄な塵は……少し歪虚化が進行しているな……」
クローディア(ka3392) は二刀を手に、ウィンスのあとから付いて行っていた。
「ゾフィの野郎。来てやったぜ。感謝してもらいたいね」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)は、言ってにいっと牙を剥きだしにした。
「出ェェて来やがれクソ雑魚歪虚共がァァァァァァァ!! さっさと俺に倒されて、俺の強さの踏み台になれェェェェェ!!!」
ウィンスは相変わらず激しく叫んでいた。
建物の影から現れる雑魔兵を一体、ウィンスは殴り倒した。
と、ばらばらと雑魔兵が現れて、群がってくる。
「上等だ」
ボルディアはウラガンクーペを構えた。
クローディアもMURAMASAを構える。
「囮役、お疲れ様です」
真田は言って、戦闘態勢に入る。
「さて、と」
ウィンスもグレイブを構え直した。
襲い掛かってくる雑魔を、ハンターたちは薙ぎ払った。
その時だった。隣の部屋に通じる扉が開いて、女戦士が姿を見せた。黒い甲冑を身に付け、赤いオーラを纏っている。ゾフィルシアである。
「ようこそ騎兵隊諸君」
ゾフィルシアは笑っていた。
ボルディアも笑った。
「よぅ、ゾフィルシアちゃん? 先日は熱烈なデートのお誘い、ありがとよ。お礼に今日は死ぬほど楽しませてやっから、最後までついてきやがれェ!」
「貴様は……」
ゾフィルシアの目が発光する。赤いオーラが歪虚の全身から吹き出した。
「私は真田天斗と申します。出来ればお名前をお聞かせいただけますか?」
「ゾフィルシア。冥府への旅立ちに刻みつけるがいい」
「そうですか、分かりました。それでは行きます! イクシード!」
「来たな」
ウィンスの赤い瞳が閃く。銀に紅が滲むオーラが足元から立ち上る。その勢いが増してゆく。
「始めるとしようかゾフィルシアとやら。ダレン卿の無念も……ここで晴らすとしよう。卿……私とともにあれ」
クローディアは二刀のMURAMASAを構えた。
「行くぜえ!」
ボルディアの体から炎の柱が立ち上る。戦斧を叩きつける。ゾフィルシアは抜刀して受け止めた。
ウィンスも加速、渾身撃でグレイブを振り下ろした。ゾフィルシアはもう一方の腕で受け止める。
クローディアは二刀流で連撃。ゾフィルシアの胴を薙いだ。
真田はゾフィルシアの背後に回り込んで行く。
ゾフィルシアの全身からオーラが噴き出す。ハンターたちは貫かれた。
「我々の力は強大。虚無の力は無限だ。人間たちよ、無限のパワーを受けるがいい」
「――上等、だ」
ウィンスは歯を食いしばった。
「俺達をナメるなよ……幾つもの地獄を越えて此処にいる……てめえ如きに垂れる首なんざ、此処には一つだって……ねーんだよ……ッ!!」
ウィンスの体から炎が爆ぜた。
「ゾフィ!」
ボルディアがワイルドラッシュで連打を浴びせる。ゾフィルシアは受け止めつつ、ボルディアを刀身のオーラで薙ぎ払った。切り裂かれるボルディア。
真田は壁を蹴ると、上空からゾフィルシアの頭部にスラッシュエッジを叩き込んだ。ゾフィルシアは角で受け止めた。
クローディアが冷静に確実にMURAMASAの連撃を浴びせる。
ゾフィルシアは刀身を地面に突き立てると、全方位にオーラを放射した。吹っ飛ぶハンターたち。
「ここまで来たことは勇者の証。私も相応の姿で応えねばなるまい」
ゾフィルシアは全身を震わせた。その姿が変容していく。角が更に伸びて大きくなり、背中からは翼が、そしてドラゴンのような尻尾が生えて来て、顔も邪悪な黒い異形に変容していき、口からは牙が生えてきた。赤いオーラは激しく燃え上がる。ゾフィルシアは限界突破した。ゾフィルシアは刀身を一閃した。ざらついた声で咆哮する。
「こい! 人間ども!」
「そいつがお前の正体か……! 面白え!」
ボルディアは口許の血を拭った。
「行くぜみんな!」
ハンターたちの連続攻撃がゾフィルシアを貫く。
今や異形と化した歪虚は、刀身を振り回してオーラをまき散らした。無制限の力の解放。ハンターたちは吹っ飛ぶ。
「おおおおおおおお!」
ボルディアは炎を纏い、突進した。ズン! と戦斧がゾフィルシアにめり込む。ゾフィルシアはボルディアの頭部を鷲掴みにすると、壁に向かって投げつけた。
ウィンスのグレイブがゾフィルシアを貫通する。しかし歪虚はウィンスを信じ難い速さの剣の一撃で吹き飛ばした。
「クローディアさん!」
「はい!」
真田とクローディアが連携して打撃を与える。ゾフィルシアの背中を切り裂き、腹をえぐった。
ゾフィルシアは咆哮した。
「この怪物が……!」
ウィンスは立ち上がった。
「どこまでやる!」
ウィンスとボルディアが全力で切り掛かる。グレイブと戦斧が歪虚を貫く。それでもゾフィルシアは暴風となって吹き荒れた。
ハンターたちのスキルを半分使い果たす激戦。
ぼとぼと……と、ゾフィルシアも血を流していた。
「オオオオオオオオオオオ……!」
ゾフィルシアは咆哮した。
「こなくそ……!」
ボルディアが立ち上がった。
「行けええええええ!」
イモータルブラッドが加速する。ウィンス、真田、クローディアが四方から襲い掛かる。ゾフィルシアのオーラもお構いなしに激突する。刺し貫かれるゾフィルシア。
「ゴオオオオオ……」
ゾフィルシアの姿が人間だったものに戻っていく。口から血を吐き出した歪虚。
「ふん……ぬかったわ……。甘く見ていたか……。しかし……あの方には及ぶ……まい……」
ゾフィルシアは倒れ伏すと、闇へと還元していく。
「さよならだ。ゾフィ」
ボルディアは口元の血を拭った。
やがて、外の結界を破壊した援軍が到着する。
「大丈夫か」
ロニは仲間のもとに駆け付けると、ヒーリングスフィアを掛けた。
「化け物だったな」
クローディアは顔をしかめる。
ややあって、ハンターたちはゾフィルシアのことを確認しておくと、態勢を立て直した。
真田が言った。
「このまま一階の排除が終わったら二階を調査、最後に地下室という段取りを提案します。もし地下室に歪虚が大挙していたら地下室へ通じるドアを閉鎖すればいいだけですから。二階はそういう手段が取れない以上早めに抑えた方が宜しいかと。また、頭上からの攻撃と言うのは思う以上に厄介ですから」
「ふーん……。ま、了解したわ」
マリィアは言って肩をすくめた。
「私は燃やされれば終わる地上部より地下に引きこもるが……」
騎士たちと合流を果たしたハンターたちは、邸内の捜索に乗り出した。まずは一階を捜索する。
マリィアは床を叩いて音を確認していた。
その時だった。ゴオオオオオオオオ……! と音がして、黒い無数のカラスが室内を通過して地下へと吸い込まれていった。
「今のは何?」
ソフィアはちょっと不安そうに地下の方を見やる。
一階を制圧したハンターたちは、二階へと上がる。レイヴェンは雑魔を叩きつぶしながら進んでいた。
「…………」
ソフィアもマリィアも用心して進む。ロニは扉を開けて、寝室などを確認する。
「ん……?」
マリィアが扉の向こうから漏れてくる闇の影を確認して、仲間たちに注意を呼び掛ける。
「ここは……」
ソフィアと目配せする。レイヴェンもパニッシャーとシールドを構える。
「いい?」
仲間達も備えた。
バン! と勢い扉を開ける。マリィアは銃を向けながら室内を確認する。
闇があった。この空間は歪虚化がかなり進行しており、すでに闇に没していた。後で浄化作業が必要になるだろう。だが、バルマングルドはいなかった。
騎士たちを警戒に当たらせ、ハンターたちは地下へと向かう。
「これが消えるまでに見つけられなければこっちの負けだろう? この十字架がいくら霊験あらたかでも」
マリィアは言って、ランプをかざした。
「スカウト職がいるなら別だが……この辺りは私の仕事だろうな」
ウィンスとボルディア、真田が先頭に立ち、後から仲間が降りて行く。
ロニとソフィアが殿を務める。
地下は、食糧庫であったのだろうか。ワインの樽や調理室などがあった。召使いらの部屋であろうか、ベッドが置かれた部屋などもある。
「さっきのカラスの大群が気になりますね……」
ソフィアが言った。ロニも頷き、レイヴェンは「……何か」と思案していた。
マリィアはライトで奥を照らしだす。
と、隣の部屋から火炎弾が飛んできた。爆発がハンターたちを薙ぎ倒す。火炎弾の連弾。ハンターたちは吹っ飛んだ。
闇カラスの群れが飛んできて合体し、人の姿を形成していく。悠然と姿を現したのは、黒衣のローブに身を包んだ男だった。
ハンターたちは立ち上がった。
「あなたがバルマングルド……?」
ソフィアの問いに、魔術卿は笑った。
「ゾフィルシアを倒したか……。ならば、私も本気を出さねばなるまいな」
「私は真田天斗と申します。出来ればお名前をお聞かせいただけますか?」
「我が名は……バルマングルド……!」
バルマングルドの体が膨れ上がっていく。異形の黒い筋肉の肉体がローブを引き裂き、尻尾が伸びて顔は獣と化した。限界突破した。
「散れ!」
マリィアは動きながらダブルファイアを連発した。
ソフィアも歪虚の側面に回り込んで行く。
ロニはウィンスとボルディア、クローディア、真田、ソフィア、レイヴェンの突進に合わせてセイクリッドフラッシュを解放した。閃光がバルマングルドを焼き尽くす。
バルマングルドは掌に青白い光を浮かべると、それを頭上に掲げた。光が爆発する。
「あなたが親玉さん? 私と遊んでください♪ 強い歪虚と戦うのは初めてだけどちょっとワクワクする!!」
「…………」
ソフィアもレイヴェンも堪え、バルマングルドに切り掛かる。
加速したソフィアは、太刀をバルマングルドに突き立てた。返すバルマンの尻尾で吹き飛ばされる。
レイヴェンはバルマングルドの目の前に立ち塞がり、ムーバブルシールドで撹乱した。
「小僧が!」
バルマングルドは火炎弾を発射した。レイヴェンは直撃に耐える。
ロニはヒーリングスフィアを解放。バルマングルドの周辺の仲間たちを回復する。
ウィンス、ボルディア、真田、クローディアの猛攻。
マリィアはあっという間にダブルファイアを使いきった。
「ちっ!」
弾丸を再装填して高加速射撃に切り替える。銃弾がバルマングルドをのけぞらせる。
ソフィアは背後に回り込み、「えい!」とバルマングルドの尻尾を切り落とした。
「小娘が!」
歪虚はソフィアを腕で薙ぎ払った。
レイヴェンが超重練成で獣の顔面にパニッシャーを叩き込む。バルマンの顔が激しく揺さぶられる。
吹き荒れるバルマングルドの魔法攻撃。閃光と火炎が室内を薙ぎ払う。
「ええい……!」
ロニは回復に追われる。味方の負傷も馬鹿にならない。スキルもどんどん尽きて行く。
ウィンスとボルディアが殴りかかり、クローディアと真田が切りつけた。
「ていやあああああ!」
ソフィアも裂帛の気合とともにバルマングルドを貫いた。そしてレイヴェンも、この怪物を万力を込めて殴りつけた。
「セイクリッドフラッシュ!」
ロニはクロノスサイズをかざした。閃光がバルマングルドを貫く。
マリィアも息も荒く銃撃を連射。バン! バン! バン! バン!
レイヴェンが回り込み、バルマングルドの注意を引き付ける。歪虚が蠢いたところで、ソフィアが側面から襲い掛かり、バルマングルドの腕を切り飛ばした。
絶叫するバルマン。
ハンターたちが突っ込む。バルマングルドの巨体に、その打撃が次々と叩きこまれる。そして――。
「ゴオオオオオウウ……」
バルマングルドは遂に崩れた。激しい出血を伴い、歪虚は膝をつく。ガボッと、体液を吐き出し、その肉体が崩壊していく。闇へと還元していった。
終わった。ハンターたちはあとは貴族らに任せリゼリオへ帰還する。後日聞いたところによると、カントリーハウスは無事に浄化されたという。かくして、一連の事件は無事に解決したのであった。
マリィア・バルデス(ka5848)が問うと、子爵は首を振った。
「いや、そのようなものは無いが……。まあやるしかあるまい」
「そうか」
マリィアは肩をすくめた。
「えー。無いんですか? ソフィアぐれちゃいそうです。てへ」
ソフィア・フォーサイス(ka5463)の言葉に子爵はむずがゆそうに身じろぎした。
「おい、あのダイヤ、そんなに堅いのか? ちょっと信じられんが……」
ロニ・カルディス(ka0551)の言葉に、弓を撃っていた騎士たちは吐息した。
「良く分からん。当たってはいるのだが……。俺達の攻撃不足かな」
「さっさと潰してしまおう」
「……良かろう……」
No.0(ka4640)、レイヴェンと呼ばれる男は呟いた。
「さっそく始めるぞ。俺達は踏み込むぞ」
四人は結界内部に踏み込んだ。
と、すうっとダイヤが接近してくる。
マリィアはパニッシュメントを連射した。バン! バン! バン! バン! ダイヤは粉々になった。
「ふむ……こんなものか。これならば行けそうだな。寄ってくるぞ」
ダイヤが次々とハンターたちに近づいてくる。
「浮いてるダイヤって……もしかしてあれも歪虚なのかも」
ソフィアが太刀で切りつけた。もしかしてではなく歪虚の一種である。ソフィアが何発も切りつけると、ダイヤは粉々になった。
ロニも次々とダイヤを破壊していく。クロノスサイズを振るいダイヤを撃破していく。
「余興はこれくらいにしてもらおうか」
レイヴェンもホーリーパニッシャーを振り回して超重錬成で薙ぎ払う。
「…………」
パニッシャーの一撃を受けて破壊されて行くダイヤ。
こうして結界の一部が破壊されると、急激に怪音波が止んで行く。
「意外に早く済みそうだな。もう少し潰して行くか?」
「そうね」
ハンターたちはどんどんダイヤを潰して行く。新たなダイヤが飛んでくるまでには、あらかた片付いた。
「やったー。ほぼほぼオッケーじゃないですか?」
ソフィアは上空を見上げる。残るダイヤは僅か。これくらいなら騎士たちでも何とかなるだろう。
「こちらソフィア。もしもし~。邸の中はどうですか?」
トランシーバーで連絡を取る。
返ってきたのは真田 天斗(ka0014)からの言葉。
「今ちょっと忙しいですね。そっちはどうですか?」
「結界はほとんど壊せたよ」
「それは何より。援軍を頼みます」
「了解しました~」
ソフィアは仲間たちを顧みる。
「だって」
「よし、行こうか」
マリィアは弾層に弾を込め直すと、頷いた。
「たァァのォォォォもォォォォォォォオオオ!!!」
ソウルトーチで全身ファイアのウィンス・デイランダール(ka0039)が、喚いていた。グレイブで邸の中を破壊して回る。
「しかしこの不浄な塵は……少し歪虚化が進行しているな……」
クローディア(ka3392) は二刀を手に、ウィンスのあとから付いて行っていた。
「ゾフィの野郎。来てやったぜ。感謝してもらいたいね」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)は、言ってにいっと牙を剥きだしにした。
「出ェェて来やがれクソ雑魚歪虚共がァァァァァァァ!! さっさと俺に倒されて、俺の強さの踏み台になれェェェェェ!!!」
ウィンスは相変わらず激しく叫んでいた。
建物の影から現れる雑魔兵を一体、ウィンスは殴り倒した。
と、ばらばらと雑魔兵が現れて、群がってくる。
「上等だ」
ボルディアはウラガンクーペを構えた。
クローディアもMURAMASAを構える。
「囮役、お疲れ様です」
真田は言って、戦闘態勢に入る。
「さて、と」
ウィンスもグレイブを構え直した。
襲い掛かってくる雑魔を、ハンターたちは薙ぎ払った。
その時だった。隣の部屋に通じる扉が開いて、女戦士が姿を見せた。黒い甲冑を身に付け、赤いオーラを纏っている。ゾフィルシアである。
「ようこそ騎兵隊諸君」
ゾフィルシアは笑っていた。
ボルディアも笑った。
「よぅ、ゾフィルシアちゃん? 先日は熱烈なデートのお誘い、ありがとよ。お礼に今日は死ぬほど楽しませてやっから、最後までついてきやがれェ!」
「貴様は……」
ゾフィルシアの目が発光する。赤いオーラが歪虚の全身から吹き出した。
「私は真田天斗と申します。出来ればお名前をお聞かせいただけますか?」
「ゾフィルシア。冥府への旅立ちに刻みつけるがいい」
「そうですか、分かりました。それでは行きます! イクシード!」
「来たな」
ウィンスの赤い瞳が閃く。銀に紅が滲むオーラが足元から立ち上る。その勢いが増してゆく。
「始めるとしようかゾフィルシアとやら。ダレン卿の無念も……ここで晴らすとしよう。卿……私とともにあれ」
クローディアは二刀のMURAMASAを構えた。
「行くぜえ!」
ボルディアの体から炎の柱が立ち上る。戦斧を叩きつける。ゾフィルシアは抜刀して受け止めた。
ウィンスも加速、渾身撃でグレイブを振り下ろした。ゾフィルシアはもう一方の腕で受け止める。
クローディアは二刀流で連撃。ゾフィルシアの胴を薙いだ。
真田はゾフィルシアの背後に回り込んで行く。
ゾフィルシアの全身からオーラが噴き出す。ハンターたちは貫かれた。
「我々の力は強大。虚無の力は無限だ。人間たちよ、無限のパワーを受けるがいい」
「――上等、だ」
ウィンスは歯を食いしばった。
「俺達をナメるなよ……幾つもの地獄を越えて此処にいる……てめえ如きに垂れる首なんざ、此処には一つだって……ねーんだよ……ッ!!」
ウィンスの体から炎が爆ぜた。
「ゾフィ!」
ボルディアがワイルドラッシュで連打を浴びせる。ゾフィルシアは受け止めつつ、ボルディアを刀身のオーラで薙ぎ払った。切り裂かれるボルディア。
真田は壁を蹴ると、上空からゾフィルシアの頭部にスラッシュエッジを叩き込んだ。ゾフィルシアは角で受け止めた。
クローディアが冷静に確実にMURAMASAの連撃を浴びせる。
ゾフィルシアは刀身を地面に突き立てると、全方位にオーラを放射した。吹っ飛ぶハンターたち。
「ここまで来たことは勇者の証。私も相応の姿で応えねばなるまい」
ゾフィルシアは全身を震わせた。その姿が変容していく。角が更に伸びて大きくなり、背中からは翼が、そしてドラゴンのような尻尾が生えて来て、顔も邪悪な黒い異形に変容していき、口からは牙が生えてきた。赤いオーラは激しく燃え上がる。ゾフィルシアは限界突破した。ゾフィルシアは刀身を一閃した。ざらついた声で咆哮する。
「こい! 人間ども!」
「そいつがお前の正体か……! 面白え!」
ボルディアは口許の血を拭った。
「行くぜみんな!」
ハンターたちの連続攻撃がゾフィルシアを貫く。
今や異形と化した歪虚は、刀身を振り回してオーラをまき散らした。無制限の力の解放。ハンターたちは吹っ飛ぶ。
「おおおおおおおお!」
ボルディアは炎を纏い、突進した。ズン! と戦斧がゾフィルシアにめり込む。ゾフィルシアはボルディアの頭部を鷲掴みにすると、壁に向かって投げつけた。
ウィンスのグレイブがゾフィルシアを貫通する。しかし歪虚はウィンスを信じ難い速さの剣の一撃で吹き飛ばした。
「クローディアさん!」
「はい!」
真田とクローディアが連携して打撃を与える。ゾフィルシアの背中を切り裂き、腹をえぐった。
ゾフィルシアは咆哮した。
「この怪物が……!」
ウィンスは立ち上がった。
「どこまでやる!」
ウィンスとボルディアが全力で切り掛かる。グレイブと戦斧が歪虚を貫く。それでもゾフィルシアは暴風となって吹き荒れた。
ハンターたちのスキルを半分使い果たす激戦。
ぼとぼと……と、ゾフィルシアも血を流していた。
「オオオオオオオオオオオ……!」
ゾフィルシアは咆哮した。
「こなくそ……!」
ボルディアが立ち上がった。
「行けええええええ!」
イモータルブラッドが加速する。ウィンス、真田、クローディアが四方から襲い掛かる。ゾフィルシアのオーラもお構いなしに激突する。刺し貫かれるゾフィルシア。
「ゴオオオオオ……」
ゾフィルシアの姿が人間だったものに戻っていく。口から血を吐き出した歪虚。
「ふん……ぬかったわ……。甘く見ていたか……。しかし……あの方には及ぶ……まい……」
ゾフィルシアは倒れ伏すと、闇へと還元していく。
「さよならだ。ゾフィ」
ボルディアは口元の血を拭った。
やがて、外の結界を破壊した援軍が到着する。
「大丈夫か」
ロニは仲間のもとに駆け付けると、ヒーリングスフィアを掛けた。
「化け物だったな」
クローディアは顔をしかめる。
ややあって、ハンターたちはゾフィルシアのことを確認しておくと、態勢を立て直した。
真田が言った。
「このまま一階の排除が終わったら二階を調査、最後に地下室という段取りを提案します。もし地下室に歪虚が大挙していたら地下室へ通じるドアを閉鎖すればいいだけですから。二階はそういう手段が取れない以上早めに抑えた方が宜しいかと。また、頭上からの攻撃と言うのは思う以上に厄介ですから」
「ふーん……。ま、了解したわ」
マリィアは言って肩をすくめた。
「私は燃やされれば終わる地上部より地下に引きこもるが……」
騎士たちと合流を果たしたハンターたちは、邸内の捜索に乗り出した。まずは一階を捜索する。
マリィアは床を叩いて音を確認していた。
その時だった。ゴオオオオオオオオ……! と音がして、黒い無数のカラスが室内を通過して地下へと吸い込まれていった。
「今のは何?」
ソフィアはちょっと不安そうに地下の方を見やる。
一階を制圧したハンターたちは、二階へと上がる。レイヴェンは雑魔を叩きつぶしながら進んでいた。
「…………」
ソフィアもマリィアも用心して進む。ロニは扉を開けて、寝室などを確認する。
「ん……?」
マリィアが扉の向こうから漏れてくる闇の影を確認して、仲間たちに注意を呼び掛ける。
「ここは……」
ソフィアと目配せする。レイヴェンもパニッシャーとシールドを構える。
「いい?」
仲間達も備えた。
バン! と勢い扉を開ける。マリィアは銃を向けながら室内を確認する。
闇があった。この空間は歪虚化がかなり進行しており、すでに闇に没していた。後で浄化作業が必要になるだろう。だが、バルマングルドはいなかった。
騎士たちを警戒に当たらせ、ハンターたちは地下へと向かう。
「これが消えるまでに見つけられなければこっちの負けだろう? この十字架がいくら霊験あらたかでも」
マリィアは言って、ランプをかざした。
「スカウト職がいるなら別だが……この辺りは私の仕事だろうな」
ウィンスとボルディア、真田が先頭に立ち、後から仲間が降りて行く。
ロニとソフィアが殿を務める。
地下は、食糧庫であったのだろうか。ワインの樽や調理室などがあった。召使いらの部屋であろうか、ベッドが置かれた部屋などもある。
「さっきのカラスの大群が気になりますね……」
ソフィアが言った。ロニも頷き、レイヴェンは「……何か」と思案していた。
マリィアはライトで奥を照らしだす。
と、隣の部屋から火炎弾が飛んできた。爆発がハンターたちを薙ぎ倒す。火炎弾の連弾。ハンターたちは吹っ飛んだ。
闇カラスの群れが飛んできて合体し、人の姿を形成していく。悠然と姿を現したのは、黒衣のローブに身を包んだ男だった。
ハンターたちは立ち上がった。
「あなたがバルマングルド……?」
ソフィアの問いに、魔術卿は笑った。
「ゾフィルシアを倒したか……。ならば、私も本気を出さねばなるまいな」
「私は真田天斗と申します。出来ればお名前をお聞かせいただけますか?」
「我が名は……バルマングルド……!」
バルマングルドの体が膨れ上がっていく。異形の黒い筋肉の肉体がローブを引き裂き、尻尾が伸びて顔は獣と化した。限界突破した。
「散れ!」
マリィアは動きながらダブルファイアを連発した。
ソフィアも歪虚の側面に回り込んで行く。
ロニはウィンスとボルディア、クローディア、真田、ソフィア、レイヴェンの突進に合わせてセイクリッドフラッシュを解放した。閃光がバルマングルドを焼き尽くす。
バルマングルドは掌に青白い光を浮かべると、それを頭上に掲げた。光が爆発する。
「あなたが親玉さん? 私と遊んでください♪ 強い歪虚と戦うのは初めてだけどちょっとワクワクする!!」
「…………」
ソフィアもレイヴェンも堪え、バルマングルドに切り掛かる。
加速したソフィアは、太刀をバルマングルドに突き立てた。返すバルマンの尻尾で吹き飛ばされる。
レイヴェンはバルマングルドの目の前に立ち塞がり、ムーバブルシールドで撹乱した。
「小僧が!」
バルマングルドは火炎弾を発射した。レイヴェンは直撃に耐える。
ロニはヒーリングスフィアを解放。バルマングルドの周辺の仲間たちを回復する。
ウィンス、ボルディア、真田、クローディアの猛攻。
マリィアはあっという間にダブルファイアを使いきった。
「ちっ!」
弾丸を再装填して高加速射撃に切り替える。銃弾がバルマングルドをのけぞらせる。
ソフィアは背後に回り込み、「えい!」とバルマングルドの尻尾を切り落とした。
「小娘が!」
歪虚はソフィアを腕で薙ぎ払った。
レイヴェンが超重練成で獣の顔面にパニッシャーを叩き込む。バルマンの顔が激しく揺さぶられる。
吹き荒れるバルマングルドの魔法攻撃。閃光と火炎が室内を薙ぎ払う。
「ええい……!」
ロニは回復に追われる。味方の負傷も馬鹿にならない。スキルもどんどん尽きて行く。
ウィンスとボルディアが殴りかかり、クローディアと真田が切りつけた。
「ていやあああああ!」
ソフィアも裂帛の気合とともにバルマングルドを貫いた。そしてレイヴェンも、この怪物を万力を込めて殴りつけた。
「セイクリッドフラッシュ!」
ロニはクロノスサイズをかざした。閃光がバルマングルドを貫く。
マリィアも息も荒く銃撃を連射。バン! バン! バン! バン!
レイヴェンが回り込み、バルマングルドの注意を引き付ける。歪虚が蠢いたところで、ソフィアが側面から襲い掛かり、バルマングルドの腕を切り飛ばした。
絶叫するバルマン。
ハンターたちが突っ込む。バルマングルドの巨体に、その打撃が次々と叩きこまれる。そして――。
「ゴオオオオオウウ……」
バルマングルドは遂に崩れた。激しい出血を伴い、歪虚は膝をつく。ガボッと、体液を吐き出し、その肉体が崩壊していく。闇へと還元していった。
終わった。ハンターたちはあとは貴族らに任せリゼリオへ帰還する。後日聞いたところによると、カントリーハウスは無事に浄化されたという。かくして、一連の事件は無事に解決したのであった。
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作戦相談所 No.0(ka4640) 人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/03/07 01:36:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/05 01:20:53 |