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【闇光】Dragon Road~龍の道~

マスター:cr

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~7人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/13 15:00
完成日
2016/03/19 02:49

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「なんつーか、綺麗なことは綺麗だが、殺風景な場所だな」
 転移門から飛び出してきたイバラキ(kz0159)が最初に漏らした感想はそれだった。彼女がやって来た場所はカム・ラディ遺跡。かつてこの地に住んだ者が作り上げた遺跡。美しい石畳と水晶が折り重なって作り上げられたそれは陽の光を反射しキラキラと煌めく。この遺跡は今転移門が設置され、ハンター達が集まってきている。それなりに活気もある。
 だが、一歩外に出ればそこはヒトには住むことの出来ぬ場所。歪虚達の領域。この遺跡が住んでいた人々によって使われていた頃は賑わっていたのだろうが、今やハンター達のみ。一帯を濃密な死の匂いが囲っていた。
「それにしてもこれで大丈夫なのかねぇ」
 イバラキは貸し与えられたイニシャライザーを握る。ハンターズソサエティから貸し与えられたこれさえあれば汚染地域でも活動できるという代物だ。形だけ見ると心もとないが、確かにこの地で活動するための命綱である。彼女はそれをもう一度、念を込めるように握った。


 果たしてどれくらい歩いただろうか。今回イバラキ他ハンター達が請け負った依頼は遺跡東側の探索と龍鉱石の回収。そのために一行はこの地をひたすら歩く、歩く、歩く。見える風景は荒野に枯れ木が立ち並ぶ侘びしい物。それ以外は何もない、実に静かなものだった。情報によれば遺跡の外にはリザードマンをはじめとする歪虚の眷属たちがうごめいているとのことだったが、運良くか今までそのような敵に出会うこともなかった。だからこそ、距離感も時間間隔も鈍ってくる。
「何だこりゃ……」
 その時、一行の目の前に木々だったものが立ち並んだ。だが今は違う。鬱蒼と茂っていた森は枯れ、そして長い年月の果てに結晶化していた。美しく透き通った円柱がびっしりと立ち並んでいる。木漏れ日、いや、水晶を通した光が辺りに反射しこの地を輝かせる。その今まで目にしたことのない光景にイバラキは思わずここが汚染地域であることを忘れ、息を呑むのであった。


 一行は森の中の探索を開始する。ここが森だった時はかなり茂っていた様で、水晶柱同士の感覚は人が二人横に並ぶと限界ぐらいだろうか。もしここで敵襲になればまともに武器を振り回すのも一苦労だろうが、ことイバラキの武器はその徒手空拳。この地はおあつらえ向きの場所である。
「もし敵が来てもアタシがやってやるからな。大船に乗ったつもりでいてくれよ」
 自然と軽口を叩き笑みをこぼした彼女だが、次の瞬間その顔は鋭く変わった。
「本当に来やがった!」
 ガキン! という何かがぶつかった音の後に一行の前にその者は姿を表した。手足に鱗を生やし、顔はドラゴンのそれ。強欲の眷属、ドラッケンの者であった。
 ドラッケンの情報はハンター達も得ていた。だが、このドラッケンは今までの情報と違いがあった。それまでの話ではドラッケンは鎧や剣を身に着けているとの事だったが、そのようなものはしておらず、代わりに腕に巻いた赤い布が目を引いた。
「へぇ、アンタもやるんかい。楽しいねぇ」
 先ほどイバラキとドラッケンの間で繰り広げられたこと。それは高く飛び上がり急降下しつつ蹴りで襲撃してきたドラッケンを、イバラキが同じく蹴りで弾き返す一瞬の攻防だった。どうやらこの者も何かの格闘術を修めているらしい。
 さらにハンター達に聞こえてきたのは三つの足音。そして姿を現す三体のドラッケン。この者達は赤ではなく、それぞれ白、青、黒の布を腕に巻きつけていた。その身のこなし、体つきを見るにこの者達も格闘術を用いるようだ。
「そろそろ一発やり合いたいと思ってたところだ。行かせてもらうぜ!」
 そのイバラキの声と同時に、ドラッケン達は怪鳥音を轟かせる。こうして、戦いは始まった。

リプレイ本文


「ドラッケン……、それも格闘家ですか」
 赤の龍戦士が見せたその身のこなしを見てブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812)は感嘆の言葉を漏らしていた。しかし、そこまでだった。美しい金髪と蒼眼をたたえた少女は銀髪と金色の瞳を持つ獣へと化し、軽いステップを刻みながら攻防自在の構えを取る。彼女もまた、格闘家であった。
「良い戦士だ。だが……こちらとて修羅場は潜っている」
 そしてそんな彼女の前に立つのはバレル・ブラウリィ(ka1228)。彼は二本の剣を抜き構える。その様な二人を見て、また赤の龍戦士もこの二人を戦うに足る強敵と認めたようだ。両手を広げ構えを取ると、次の刹那空を駆けた。
 龍戦士は高く飛び、そのまま空中で反転させて急降下。そして突き出した脚がバレルの腹部をえぐる。
 バレルもすかさず剣を突き返す。カウンターだ。しかし龍戦士はそれをあざ笑うかのように地面を蹴ると、一瞬のうちに間合いを外す。そして外した次の瞬間には再び地を蹴り宙を舞う。
 その光景をブリュンヒルデはガードを固めながらじっと観察していた。
(……なるほど、勉強になります)
 この赤の龍戦士の戦い方は己と同じ、足技と空中殺法を中心にした戦い方。学ぶべき点が多くある。そして学び終えれば実践の場だ。彼女は勢い良く近くの水晶柱に向けて走ると思い切りそれを蹴り、その反動で空高く舞い上がった。
 高く高く、龍戦士よりも高く飛んだ彼女は勢いのままえぐるような足刀を打ち込み、龍戦士の体を弾き飛ばした。
「赤の龍戦士、相手にとって不足はございません」
 一旦着地したブリュンヒルデは再び宙に飛ぶ、呼応したかのように龍戦士も宙を飛ぶ。両者の蹴りは空中で交錯し、互いの体を吹き飛ばす。腹部に強烈な一撃を喰らって彼女の体はボロ布のように空を飛んでいた。


「格闘術を使うドラッケンっすか……いいっすね、わくわくするっす」
 一方、別の場所では西蓮寺 咏(ka5700)が青の龍戦士と向かい合っていた。龍戦士は手のひらを広げゆったりと呼吸を行う。人間で言えばへその下、丹田と呼ばれる場所に息を“集める”様な動き、間違いない。これは“気”を練っている。
 咏もまた格闘士であった。それ故、この龍戦士の狙いがわかった。
「距離を取られないように先手必勝でいくっすよ」
 そこで咏は先に動く。間合いをどんどん詰め、先制の一撃を打ち込むべく近づいていく。
「手加減ってもんが要らないのは気楽なものだがね」
 その後ろから龍崎・カズマ(ka0178)が動いていた。咏の動きを見て、彼もまた敵の動きをある程度推測していた。ならばこの状況で間合いを離すのは自殺行為だ。
 だが、青の龍戦士はそこまで読んでいた。4メートルほどまで間合いを詰め、踏み込みの一歩を出そうとしていた詠に待ちかまえていたかのようにそれまで練っていた“気”を解き放つ。両腕を広げ大きく突き出す。それと共に放たれる負のマテリアル。それが極太の光線となって戦場を貫き、一気に咏の体を包み込んだ。
 しかし同時にその“気”に巻き込まれようとしていた龍崎は、すでにそこには居なかった。脚に貯めたマテリアルで回りこむように素早く動き、龍戦士の背後を取る。そこから走りこみ、その勢いのまま龍戦士の膝を踏み台に顔面に飛び膝蹴りを叩き込んだ。マテリアルを潤滑させ、全ての動きを連動させて加速させ放つ一撃。シャイニングウィザードと呼ばれるリアルブルーで行われているプロレスの技はそのスピードをそのまま威力に変えて打ち込まれる。
 だが、龍戦士もそれを切り返す。膝蹴りを喰らいたたらを踏みつつ、龍崎の胴に手のひらを当てる。そして次の瞬間、一気にマテリアルを送り込んだ。それは体内で跳ね返り爆発する。そこにすかさず龍戦士の体当たりが来る。守りを完全に崩してからの一撃が体の芯からダメージを与え、龍崎の動きを止めた。
 遠近自在の龍戦士の戦いに二人は苦戦を強いられていた。


「よろしくな! イバラキ!」
「ああ、任せときな!」
 こちらでは一際大きな龍戦士に二人の鬼が立ち向かっていた。そこに居たのは華蜂院 蜜希(ka5703)とイバラキ。
 まず先に動いたのは蜜希。デカブツにはこれだろうとローキックで牽制していく。
 そのローキックの間に不意をついて、イバラキの拳が突き出される。相当大柄な彼女よりも大きな敵だが、この拳がまともに当たればたまらず倒れるだろう。それだけの自信はあった。だが、それは当たれば、であった。
 龍戦士はイバラキの拳を身を低くしてかわしながら、同時に蜜希の脚を受け止めその太い腕で捕まえる。そして抵抗する彼女の体を無理やり引っこ抜き投げ飛ばした。
 決して小柄ではない蜜希だが、その怪力の前になすすべない。その体はイバラキにぶつけられ、結果二人まとめて倒れることになった。
 そこを龍戦士は逃さない。おもむろにイバラキの腰に腕を差し込むと、倒れたままの彼女の体をぶっこ抜いて反り投げる。頭から地面に落下して動けなくなったところで今度は蜜希の頭に腕を回し、後方へ向かって大きく投げ落とす。痛烈なダメージを受け動けなくなる二人。
 龍戦士はそんな二人の首を手で締め付ける。さらに自らの力を誇示するかのように、二人の体をそれぞれ片腕一本で持ち上げると高々と抱え上げてみせる。
 龍戦士の手で吊り下げられた二人。首元に手が食い込み呼吸が出来ない。余りの苦痛に音を上げるかと思われた。だが
「く……やっぱつえーな……それでも諦める訳にはいかねぇ! さぁ! やってやんぜ!」
 二人の目は死んでいなかった。


「クソッ、手も足も速え……!」
 ジャック・エルギン(ka1522)は苦戦を強いられていた。彼の前にいるのは白い布を巻きつけた龍戦士。この龍戦士は左右の拳を中心に攻撃を組み立てて来ていた。だが、その速さが違う。
「狭い場所だが、路地裏での喧嘩と思えば慣れたもんだ」
 最初はそう言っていたジャックだったが、敵はこの状況を最も得意とする者。ジャックが間合いを詰めようとすれば、軽い左拳からのパンチで弾き返し、逆に間合いを離して立てなおそうとすれば強烈なボディブローが飛んできて縫い止める。
 その後ろでジャックに守られる形で龍戦士の動きを観察していたのはリンカ・エルネージュ(ka1840)。「うわぁ……綺麗ー……。触っても大丈夫なのかな?」なんて言っていた彼女もいざ戦いになれば目つきが変わる。
「んでも、ちょっと賑やかなのがいるからゆっくり見れないじゃん!」
 そんな不満を漏らしつつ、彼女は龍戦士の癖や拳の出し方をしっかりと観察する。魔術師である彼女は本来ならこのような敵に迫られた間合いは最も不得手とするところだ。だが、彼女自身は武術に興味を持ってよく調べていた。その知識と心づもりが、彼女をこの修羅場においても平常心を保たせていた。


 ボロ布の様に吹き飛ばされたブリュンヒルデだが、すぐに体制を立て直し水晶柱の上に着地して正面を向き直る。そこには同じように吹き飛ばされ、水晶柱の上に着地した龍戦士が居た。
「その独特の動き、ご教授願うとしましょう!」
 吹き飛ばされた勢いを己の体の中に取り込むかのように両手を大きく回し構えを取る。両腕を翼のように掲げ、回転の力を威力へと転換する構えだ。
 両者はしばし睨み合う。そして先に動いたのは龍戦士だった。水晶柱の端を蹴って水平に飛ぶ。飛び込んでくるのに反応したブリュンヒルデは水晶柱の上からさらに高く跳び上がり、頂点で一回転。そして体勢を変えると急降下して蹴りを突き刺した。回転の力を加え、突き刺さるように鋭く回転する。
 地面に真っ逆さまに落ちていった龍戦士だったが、死んではいなかった。地面に叩きつけられる直前で体をひねる。とどめの一撃を狙うべくそこに踏み込んできたバレルの膝を踏み台に高く飛び上がると、そのまま縦回転しつつ蹴りあげる。その爪先は降下の勢いを止められないブリュンヒルデの顎に寸分違わずねじ込まれた。
 グシャリという音と共にブリュンヒルデの体はクルクルと宙を舞う。強烈な一撃。その龍戦士の色と同じ赤い血しぶきが舞う。龍戦士はその反動で横に飛び、柱を蹴るととどめの一撃を加えるべく更に高く飛び上がった。
 だがその時だった。ブリュンヒルデに迫っていた龍戦士の体は弾き飛ばされていた。地面を見れば、膝の痛みに耐えながらバレルが二本の剣を振りぬいていた。マテリアルを込めて振りぬいた剣は衝撃波を放ち、龍戦士の体を斬り裂いた。
 そしてそこにブリュンヒルデが来た。顎を蹴り飛ばされ、痛烈なダメージを受けた彼女だが力を振り絞って己に活を入れるとその勢いを逆に利用して右足を振り上げる。彼女に加わる回転はその踵に乗り、そのまま龍戦士の顔面に叩き付けられた。
 吹き飛ばされ地に叩きつけらた龍戦士にバレルが追撃を入れるべく迫る。だがその必要は無かった。龍戦士は二、三度痙攣し、そしてそのまま動かなくなった。


 遠く離れた間合いでも、体が触れ合うほどの近距離でも自在に立ちまわる龍戦士。龍崎は己のスピードを活かし前後左右に立ちまわるが、龍戦士は巧みに捌いて受け流す。しかし本命は別にあった。
 咏は基本に則って立ち向かう。間合いを一足で詰め最短距離の下段蹴りを足元に真っ直ぐ打ち込む。恐らくその龍戦士の奥義とも言える技をいきなり喰らい、深い傷を追っていた彼女だが、それでも的確な打撃で対抗する。派手な龍崎の攻めの影に隠れてはいたが、この状況で正しい判断を下せるのは天賦の才と言って良い。
 そして蓄積された脚へのダメージは、少しずつ龍戦士の動きを止めていった。といってもこの者は、得意の“気”を使えば幾らでも対抗手段はある、と、そう考えていた。
「集中何ざさせねぇよ?」
 しかしである。そこを龍崎が狙っていた。大きく飛ぶと両足をその首に引っ掛ける。そして挟みこむと己の体重を載せ、股の間を通って一回転。綺麗に反転した龍戦士は頭から地面に突き刺さっていた。これもプロレスの技、フランケンシュタイナーという大技である。
 そして咏はここで飛んだ。龍戦士に横っ飛びしながら蹴りを食らわせる。彼女の小柄な体躯が弾丸と化し、龍戦士の土手っ腹に突き刺さる。そしてその勢いを受け吹き飛ばされた龍戦士は水晶柱に派手な音を立てて叩きつけられると、そのまま動かなくなった。


 龍戦士の手によって吊り下げられたままの蜜希とイバラキ。
 だが蜜希には秘策があった。彼女は何を思ったか手を、首が締まるのを防ぐのではなくその腕をたぐるように突き出す。そして龍戦士の上腕を握ると、一気に己の腕に力を加えた。二人まとめて持ち上げていたのが災いした。結果、龍戦士に密着するかのように彼女の体が滑りこむ。
「捕まえたぜ……! ねぇぇぇっさぁつ!」
 そのまま胴回りを抱き込むと、締め付けながら己のマテリアルを開放する。それによって生じた炎は蜜希ごと龍戦士の体を包み込んだ。
 さすがの龍戦士もこれには怯む。そこをイバラキは両足を振り上げ、右足を敵の肩口に乗せるとそのまま左足を振りぬく。振りぬかれた左足はまともに後頭部を捉えた。
「せいっ!」
 そして流れるように蜜希が攻めた。龍戦士の体に正面から再び抱きつくと、そのまま飛び上がり大きく反り返って叩きつける。B2Beeと彼女が名付けた得意技だ。
「いっくぜぇぇっ!」
 さらに蜜希は龍戦士の脚に己の腕を絡ませると、そのままステップオーバーして海老反らせる。蜜希式四つ葉固め、KB・クローバーホールドに捉えたところで彼女は叫んだ。
「今だ! 追撃頼む!」
 その時、イバラキは水晶柱をよじ登っていた。ちょうど頂点に手をかけたところで、両腕に力を入れ己の体を引き上げると、そこから高く高く飛んだ。
 ふわりと舞ったイバラキの体は重力に引かれスピードを上げて落ちていく。その重力を乗せたイバラキの両膝がピンポイントで蜜希によって捉えられている龍戦士の後頭部に突き刺さり、彼の者の頭は地面にめり込み、そしてそのまま動かなくなった。


 ジャックは散々殴られながら、彼はこの龍戦士に立ち向かう方法を考えていた。左右のパンチも確かに強力だが、それ以上に足の方が問題だ。蹴りは用いてこないが、巧みに攻撃をかわし自分に有利な間合いを保つスピード、それを生み出すフットワークを止めなければ勝利はない。どう攻めるかを考えて居た瞬間、目の覚めるような右のパンチが顎を打ち抜いた。思わず膝が崩れ、倒れそうになる。
「こうなりゃ破れかぶれだ!」
 そこを無理やりこらえ、突進する。だが、膝は言うことを聞かない。そのまま足がもつれ、龍戦士の前に倒れ伏すジャック。
「なんてな、リンカ!」
 というのは全て作戦だった。倒れそうになったジャックに龍戦士の視線はつい下に引きずられる。魔術師然としたリンカなら接近戦を挑んでこないだろうという算段もあったのかもしれない。だが
「やってやるんだからー!」
 リンカは左足を踏み込み、右足を軸に体に捻りを加える。その勢いのまま放たれた彼女の左拳がまともに龍戦士の顔面を捉えた。リアルブルーのボクシングで言うところの左ロングフック。それが炸裂する。
「水晶に氷に……綺麗でしょ?」
 もちろんリンカは格闘士ではない。彼女が本当に狙ったのは、左拳から放たれた氷の矢だった。それを確実に当てるため、状況に集中し見て覚えたパンチの打ち方を実践してみせた。その効果は抜群だった。冷気は龍戦士の体を凍りつかせ動きを止める。
「動きが、鈍ったぜ!」
 そしてそれを見逃すジャックではない。勢いをつけたまま盾を叩きつける。龍戦士がバランスを崩した時、リンカは印を組み術式を虚空に描いていた。彼女の持つ魔法剣、それのうっすらと光を通す刃に青白い炎がまとわれる。龍戦士も必死に反撃のパンチを繰り出すが、交差するように振るわれた彼女の剣が肩口からばっさりとその肉体を斬り裂いた。
 龍戦士は最後の力で一糸報いろうと、右拳をジャック目掛けて放つ。まともに食らわせれば一撃で意識を刈り取る必殺の拳。唸りを上げて迫るパンチ。
「あんだけ殴られりゃ、身体で覚えらぁ!!」
 しかしそれは叶わなかった。ジャックは冷静に盾で受け流すと、逆手の苦無を横に薙ぐ。その一撃で龍戦士の命脈は絶たれたのであった。

「ナイスタイミングの魔法だったぜ。ありがとよっ」
「へへー、どう、見た? 凄かったでしょ?」
 信頼できる相棒同士の連携で勝ち取った勝利。二人のハイタッチの音が戦場に響いていた。


「龍崎君のおかげでなんとか倒せたっすね。ありがとうっす」
 事が無事に終わり、咏は龍崎に感謝の意を伝える。しかし、次の瞬間彼女のお腹が派手に音を立てた。
「あー……ついでに何か奢ってくれると助かるんすけど」

依頼結果

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MVP一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギンka1522
  • 飛翔天蜂
    華蜂院 蜜希ka5703
  • ライジングファイター
    ブリュンヒルデ・ゲンドゥルka5812

重体一覧

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 堕落者の暗躍を阻止した者
    バレル・ブラウリィ(ka1228
    人間(蒼)|21才|男性|闘狩人
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 青炎と銀氷の魔術師
    リンカ・エルネージュ(ka1840
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 開拓者
    西蓮寺 咏(ka5700
    人間(蒼)|12才|女性|格闘士
  • 飛翔天蜂
    華蜂院 蜜希(ka5703
    鬼|25才|女性|格闘士
  • ライジングファイター
    ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812
    人間(紅)|18才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/08 03:56:32
アイコン 龍戦士討伐隊
ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/03/13 14:19:45