ゲスト
(ka0000)
鉱山でアルバイト
マスター:蒼かなた

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/23 22:00
- 完成日
- 2014/08/30 21:32
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●鉱山のモンスター
「なにぃ、モンスターが現れただとぉ!」
野太い声で声をあげるのは立派な長い髭を携えた背は低いながらも筋骨隆々なドワーフの男。
「ああ、さっき掘ってたら空洞が見つかってな? そこから急に現れたんだ」
怒声を浴びせられた男もドワーフで、それくらい何時ものことなのか平然としたまま溜息混じりにそう答えた。
実は先ほど坑道を掘っていたら壁が崩れ、ちょっとした空洞が見つかったのだ。
その空洞には鉱物マテリアルを含む色々な鉱石が壁面に露出しているまさに宝の部屋だった。
だが、美味しい話には裏もあった。鉱物マテリアルの影響なのかそこには魔法生物が湧いていたのだ。
その際に襲われた者もいたが幸いたいした怪我もなかった。
その魔法生物は今はその部屋をうろついている様だが、いつ他の場所に移動してくるかもわからない。
そうなれば鉱石を掘る仕事もままならず色々な場所で支障がでてしまう。
「ぐう、困ったな。そうなったら来週の納品が間に合わんぞ」
「となると、手は一つしかないんじゃないか?」
少し悩んだドワーフは仕方がないなと重い腰を上げ、最寄のハンターオフィスへと足を向けた。
●ハンターオフィス
今日も賑わうハンターオフィス。そこに一つの依頼が登録され何名かのハンターが参加することとなった。
参加するハンターは説明を受けるために個室に通されオフィスの職員の話に耳を傾ける。
「こほん、それじゃあ説明します。ご存知の通り今回退治して貰うのは魔法生物――スライムです」
パッとハンター達の目の前にホログラムウィンドウが表示され、そこにはねちゃねちゃぐちょぐちょとリアルに動くスライムの姿が映し出された。
説明される依頼の内容はハンター達が依頼書で読んだ通り、とある鉱山に現れたスライムを退治することだ。
「鉱山の中にはガスなどは出てないから安心してください。ああ、あと明りとしてカンテラを支給しますが後でちゃんと返してくださいね?」
そう言ってオフィスの職員は3つのカンテラをテーブルの上に並べる。
「それと今回は急ぎのお仕事です。このあと皆さんにはすぐに現地に行ってもらいますよ。準備はいいですか?」
そこも依頼書にあった通りで各ハンター達は既に準備も万端にしてここに集まっている。
説明が終わりホログラムウィンドウも消え、ハンター達がいざと立ち上がったところでオフィスの職員があっと声をあげる。
「念のために言っておきますが、鉱山で拾った鉱石などは持ち出せないので注意してくださいね?」
にっこりとした笑顔でしっかり釘を刺すオフィスの職員。ハンター達はそれに苦笑いを浮かべながら転移門へと足を向けた。
「なにぃ、モンスターが現れただとぉ!」
野太い声で声をあげるのは立派な長い髭を携えた背は低いながらも筋骨隆々なドワーフの男。
「ああ、さっき掘ってたら空洞が見つかってな? そこから急に現れたんだ」
怒声を浴びせられた男もドワーフで、それくらい何時ものことなのか平然としたまま溜息混じりにそう答えた。
実は先ほど坑道を掘っていたら壁が崩れ、ちょっとした空洞が見つかったのだ。
その空洞には鉱物マテリアルを含む色々な鉱石が壁面に露出しているまさに宝の部屋だった。
だが、美味しい話には裏もあった。鉱物マテリアルの影響なのかそこには魔法生物が湧いていたのだ。
その際に襲われた者もいたが幸いたいした怪我もなかった。
その魔法生物は今はその部屋をうろついている様だが、いつ他の場所に移動してくるかもわからない。
そうなれば鉱石を掘る仕事もままならず色々な場所で支障がでてしまう。
「ぐう、困ったな。そうなったら来週の納品が間に合わんぞ」
「となると、手は一つしかないんじゃないか?」
少し悩んだドワーフは仕方がないなと重い腰を上げ、最寄のハンターオフィスへと足を向けた。
●ハンターオフィス
今日も賑わうハンターオフィス。そこに一つの依頼が登録され何名かのハンターが参加することとなった。
参加するハンターは説明を受けるために個室に通されオフィスの職員の話に耳を傾ける。
「こほん、それじゃあ説明します。ご存知の通り今回退治して貰うのは魔法生物――スライムです」
パッとハンター達の目の前にホログラムウィンドウが表示され、そこにはねちゃねちゃぐちょぐちょとリアルに動くスライムの姿が映し出された。
説明される依頼の内容はハンター達が依頼書で読んだ通り、とある鉱山に現れたスライムを退治することだ。
「鉱山の中にはガスなどは出てないから安心してください。ああ、あと明りとしてカンテラを支給しますが後でちゃんと返してくださいね?」
そう言ってオフィスの職員は3つのカンテラをテーブルの上に並べる。
「それと今回は急ぎのお仕事です。このあと皆さんにはすぐに現地に行ってもらいますよ。準備はいいですか?」
そこも依頼書にあった通りで各ハンター達は既に準備も万端にしてここに集まっている。
説明が終わりホログラムウィンドウも消え、ハンター達がいざと立ち上がったところでオフィスの職員があっと声をあげる。
「念のために言っておきますが、鉱山で拾った鉱石などは持ち出せないので注意してくださいね?」
にっこりとした笑顔でしっかり釘を刺すオフィスの職員。ハンター達はそれに苦笑いを浮かべながら転移門へと足を向けた。
リプレイ本文
●暗い坑道を行く
「それじゃあ任せたぞー!」
坑道の入り口でドワーフに見送られハンター達はスライムが出たと言う場所へと向かう。
坑道の通路の高さは2メートルほどで頭をぶつけるほどではないがやはり狭い。
「こう暗くて狭いところで飲むお酒もまた……ドワーフの気持ちも解りますね!」
薄暗い坑道の中で何を思ったのか酔仙(ka1747)はうんうんと満足げに頷いている。
彼女の頭の中には依頼を始める前からお酒のことしか入っていないようである。
ハンター達は各々の光源で周囲を照らしながら奥へと進んでいく。
「まるで迷路みたいです。幸い今回は一本道のようですが」
坑道の地図を借りていたLuegner(ka1934)はその複雑に絡み合った通路を目を細めて見ながら呟く。
縦に横にと縦横無尽に掘られたこの鉱山はよく崩落しないものだと思うほど掘りつくされてるように見えた。
「けど坑道にスライムか。ある意味定番の組み合わせじゃな?」
ファンタジーの洞窟の冒険に欠かせない存在、それがスライムだ。
クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659)はそんなリアルブルーでのお約束を思い出す。
「しかしスライムですか。まだ浅い経験とはいえ……何気に初めてスライムを相対する事になるのですね」
意外と名前の知られているスライムというモンスターだが何気にハンターオフィスに舞い込む依頼にはその退治依頼は少ないのかもしれない。
米本 剛(ka0320)はそう思いながら坑道の壁を触れてみる。ひんやりとした感触と確かな硬さ。確かにこれならそう簡単には崩落なんてことはなさそうだ。
「まあスライムで良かったぜ。俺の苦手な動物よりかは数倍マシってトコだな」
軽く肩を竦めて苦笑するデルフィーノ(ka1548)は丁度LEDライトを自分の利き腕に巻きつけているところだった。
両手をフリーにしてその手を向けた方向に照準と明りが向く。そんな一石二鳥の案だ。
「けど採掘してたら行き成りスライムが出てくるなんて災難だよな。早く掃除してやらないとな」
ヘルメットを脇に抱えた青年――鳴神 真吾(ka2626)はそう言う。
気合も十分と言った様子でこれからの戦闘に志気を高めていた。
「なんでもいいけど……まあ、食費分くらいは稼いで帰らねぇとなぁ」
その横では対照的に如何にも気だるげという雰囲気を纏ったハスキー(ka2447)はこつんこつんと手に持った杖で床を叩きながら進む。
如何にも面倒くさいという態度が顔に出て隠そうともしていないが既に諦めているのかその足取りはしっかりと他のハンター達に合わせていた。
その後ろではこれまた悪態をつきながら柊 真司(ka0705)が続いている。
「ちっ、鉱石は持ち帰り禁止かよ。ならさっさとスライム退治して帰るとするかな」
元CAMのパイロットだった真司は鉱石マテリアルが代替燃料になるかと期待して調べる為に持ち帰りたかったようだ。
生憎とハンターオフィスの職員にしっかり釘を刺されているのでそれが出来ないと分かりさっさと仕事を終わらせて帰ろうと思考を切り替えていく。
「そろそろ件の空洞の近くですね」
Luegnerの言葉に各々のハンターは口を噤みそれぞれの武器を取り出す。
目の前にはぽっかりと明いた暗闇の入り口。ランタンで僅かに照らされた向こうに確かに何か動くものが見えた。
「それではいきましょうか」
剛の言葉と共にハンター達は一気に坑道の空洞内に入っていった。
●ぐちょぐちょぬるぬるとの対決
ハンター達が突入すると空洞の中が一気に明るくなる。
そこには地面に壁にとずるずると這いずっている何匹ものスライムが確かにいた。
「よっしゃ、これからはヒーローの時間だ! 覚醒!」
そう一言咆えた真吾は抱えていたヘルメットを被ると体の中央から光を発っする。
すると首から肩、そして胴から脚へと青と黒を基調としたメタリック調なヒーローの姿へと変わっていった。
「機導特査! ガイアード参上! これ以上お前等の好きにはさせん!」
完全にヒーローになりきった真吾は手にした魔導拳銃を構えて手前にいた一匹のスライムに引き金を引く。
スライムの体の一部は弾けるが、ただそれだけで飛び散った部分を補うかのようにスライムは元の形を取り戻していく。
「ふふ~、それじゃー君の相手はボクですぅ」
突然酔っ払い呂律が回らなくなったような口調の酔仙が近くにいたもう一匹に抉るような拳を叩きつける。
スライムに触れた感触は粘体特有のべとべとした気持ち悪い感触がした。
その殴られたスライムは軽く弾き飛ばされると壁にぶつかり、べちょりと平たく広がるがすぐにまた半球状の形に戻りうぞうぞと動き出す。
「しかし、ここに集まったまま動かないということは……肉食というわけではないのでしょうか?」
そんな疑問を抱きつつLuegnerは腰から日本刀を引き抜き、壁に張り付いていた一匹を切りつける。
予想以上に柔らかく言葉通りゼリーを斬る様な切れ味でその身を裂かれたスライムだが、しかしその切り傷はすぐに粘体同士がくっついて元に戻ってしまう。
「ふむ、どうやらただ斬ったり叩いたりするだけでは効果は薄いみたいですね」
剛はするりと日本刀を抜くと、覚醒の証である各関節に灯る炎で軌跡を描きながら刀の刃を1体のスライムへと向ける。
「八百万の神々よ……聖なる光を!」
詠唱か祝詞か、それとも真言か。剛の唱えた言葉と共に日本刀の刀身に光が宿り、その先端から光の軌跡を描きながら光弾が放たれる。
それを避けることもなく受けたスライムの身は大きく弾けるが、またぐずぐずと元の形に戻ろうと集まっていく。
しかし、先ほどと比べて見れば一回りほど小さくなっているように感じた。
「成る程、用はこいつらの肉っていうか身を削いでいけばいいんだな」
デルフィーノはその手に持つ銃身に輝きかせた銃をスライムに向けて引き金を引く。
そこから放たれたのはただの弾丸ではなく、マテリアルが凝縮されたエネルギー弾だ。
バチュンッと一際大きな音をたててその身を弾けさせたスライムはすぐには再生せずぴくんぴくんと痙攣している。
そしてそのスライムの身の中央には淡く赤色に光る玉のようなものが露出していた。
そこにすかさず真司が飛び込み、刃にマテリアルを纏わせた剣を突き立てる。
するとピキッと何かが割れる音と共にスライムの玉は割れ、形を取り戻すことなくその場で溶けて水のように周囲へ広がった。
「つまりこーやって倒せばいいわけだな」
輝きが収まった剣を振るい真司は早速解った対処法にニッと笑みを浮かべる。
と、ここで急にスライム達がその身を揺らしだした。
空洞内のスライム全員がまるで仲間が倒されたことに怒りを覚えたのかの如くその身を波打たせる。
「っと、危ないなぁ」
スライム達は今漸くハンター達を敵と認識したかのように襲い掛かってきた。
飛び掛ってくるスライムをハスキーは身を捻って避ける。
さらに数匹のスライムがその身から何か液状のものをハンター達に吐きかけてくる。
「くっ、これは……酸ですか!」
液体を受けた盾がジュゥと音をたてるのを聞いてLuegnerは顔を顰める。
「あはは~、でもボクには当たらないんです!」
相変わらず酔った口調の酔仙はふらふらとした動きで飛んでくる酸の液をひらりひらりとかわして見せる。
しかし次々に飛んでくる酸の雨にハンター達は若干攻めあぐねていた。
「うえー、本当に気持ち悪ぃ……」
悪態を吐きながら一歩前に出たのはハスキーだった。
コトリと手にしていたライトを丁度いい高さにあった岩の上に置いて一匹のスライムを照らすようにする。
そんなハスキーに向けて数匹のスライムが酸の液を吐きかける。
しかし、ハスキーはその瞬間限界まで身を低くして正面に突撃する。酸の液はハスキーの頭上を放物線描いて飛んでいき床を僅かに溶かす。
あっという間にハスキーは先ほど照らし出していたスライムの目の前に立っていた。
「面倒くさいなぁ」
そう呟くハスキー。その手には杖――否、鋭利な刃が仕舞われた仕込杖。その隠された刃を僅かに見せている。
そして気づけば目の前のスライムの体が縦に裂けていた。ずるりと現れるスライムの核と思わしき玉。
それを見据えてハスキーはもう一言だけ呟く。
「本当に面倒くさいなぁ」
チンと仕込み杖を収める音の後、音もなく抜き放たれた刃が露出した核を両断する。
自分の置いたライトに照らされながら、溶けていくスライムには一瞥もせずハスキーは刃を一つ振るうとまた杖へとその刃を仕舞いこんだ。
「どうやら一気に弾け飛ばしたほうがいいらしいな。それならこれだ――マテリアルキャノンモード!!」
真吾がそう叫ぶとアルケミストデバイスから溢れ出たホログラムが、真吾の持つ銃の周囲を飛び交いパーツを組み立てるように重なっていく。
そして銃身部分を無骨で機械的なホログラムが覆い、そこには多くのマテリアルが収束されていく。
真吾が引き金を引くと一条の光が走りスライムの体を爆発させるようにして四散させ、また核を露出させる。
「トドメは任せてください」
そう言ったLuegnerの振るった日本刀がまたスライムの核を砕く。
数匹を片付けたところで酸の雨も弱まり攻勢に出られる。そう思ったときだった。
「っ! やべぇ、上だ!」
突然デルフィーノのがそう叫びながらその体を横に向けて投げ出す。
その声に釣られて後衛にいた数名が天井を見上げると、今まさに数匹のスライムが天井から酸の液を降らせてきた。
「くっ、熱っ!」
それを浴びてしまったクラリッサは自分のじわじわと肌が焼ける痛みに襲われる。
「不味いですね。八百万の神々よ……癒しの力を!」
そこに剛が刀を法具とし癒しの力を顕現させてクラリッサの傷を癒す。
「おい、まだ安心できねぇぞ!」
デルフィーノがさらに叫びながら天井に張り付くスライムにマテリアルを凝縮した一撃を喰らわせる。
その体の半分を吹き飛ばされたスライムは天井から剥がれ落ち、地面に落ちて広がるとそのまま溶けていった。
そして天井にいた一匹が今度はクラリッサに向かって飛び降りてくる。
「させませんよ。八百万の神々よ……護りの力を!」
剛の言葉と共にクラリッサの体が光の膜に覆われ飛び降りてきたスライムを弾き飛ばす。
「よくも妾の肌に傷をつけてくれたな。万死に値する」
クラリッサは杖を構えると周囲の風が一瞬震える。そして幾重にも風が鳴き、鋭い刃となった風がスライムに迫り通り過ぎる。
するとその身を斜めに引き裂かれたスライムは己の核を露出する。
「汝もじゃ。逃しはせぬぞ」
さらに天井に張り付いているスライムにも風の刃を放ち、縦に真っ二つにされたスライムが天井から地面に落ちてきた。
「弱点さえ分かっちゃえばらくしょーです」
そして落ちてくるスライムの核を正確に捉え、酔仙は軽く握ったその核をそのまま握りつぶした。
「数も減ってきましたね。このまま押し切りましょう」
Luegnerは吐きつけてくる酸を盾で防ぎ、そのまま接近して刀でスライムを切りつけながらそう言う。
対処法も分かり数も減ったスライム達をハンター達は次々と駆逐していく。
「むっ、あんなところに一匹。もしや逃げようとしているな」
真吾が見つけたそこには天井に向けて登っていくスライムが一匹。その先には何やら小さな穴がある。
あそこに逃げ込まれては厄介だと銃を構えるが、そこで真吾の横を一つの影が追い抜いていった。
その影はすぐ傍の岩に飛び乗ると軽業師の如く壁の出っ張りを足場にまるで壁を走るように駆け上がりスライムに追いついた。
「逃がすと絶対に面倒が増えるんだから駄目」
瞬間、一瞬だけ刃の煌きが見えそれもすぐに杖の中へを収められる。
切り裂かれたスライムはコアを露出しながら落ちてきた、そこを真吾が見事打ち抜いた。
そしてそれと一緒にハスキーも天井付近から地面へと向けて自由落下を始める。
「ちょ、うおおぉ!」
それに慌てた真吾は走りこんでその下にくると落ちてきたハスキーを見事に受け止めた。
「あー、登った後のこと忘れてたよ。ありがと、助かったー」
「いや、これもヒーローの仕事の内だ」
少々一悶着あったが何はともあれこの後スライムは無事に全滅させることに成功した。
●お持ち帰りは厳禁です
全てのスライムを退治し終え、あらかた見回りも終わったハンター達は坑道から出ることにする。
そんな中、部屋を探索中に見つかった幾つかの輝かしい宝石のような石、鉱石マテリアルを前に真司が唸っている。
「おいおい、昔の女を引きずってるみたいで女々しいぞ。そんなことより外で一服しようぜ」
「誰が女々しいだ。……でも、一欠けらくらい持って帰りたかったぜ」
デルフィーノの言葉に促され、真司は重い腰を上げてこの空洞の部屋の出口へと向かう。
「ぷはー! やっぱり仕事終わりのビールは最高です」
そしてその帰り道で酔仙は早速持ってきていたビールを開けて一杯やりだす。
まさかビール持参とは思わず他のハンター達も苦笑を浮かべる。
「しかし何でまた今回のスライム達はあんなカラフルだったんでしょうかね?」
赤から青に黄色までと色んな色をしていたスライム達の色に剛が疑問を持つ。
そこでずいっとクラリッサが一歩前に出てずいっと一本指を立てる。
「ああ、それはちょっとした推測になるんじゃがのう。核となった鉱石マテリアルが関係していると妾は見ておる」
溶けて消えてしまった後に核のあった場所に欠片程度の鉱石マテリアルがあったことからクラリッサはそう推測していた。
実際のところは分からないが、色が違っても特に特性は違わなかったし詳しいことはきっと偉い学者なりが調べることになるだろう。
「ところでLuegner、なんか歩き方がぎこちないけどどこか怪我でもしてるのか?」
ヘルメットを外して元の姿に戻った真吾が列の最後尾で歩いているLuegnerに声をかける。
「あっ、えっと……それは、その」
「ああ、服が溶けてしまったのか。なんだそれくらい見られても大したことないだろ」
素早く回り込んで事態を把握したハスキーがかんらかんらと笑いながら手をひらひらと振る。
その言葉にLuegnerは顔を僅かに赤くして盾でその身を隠す。
「気にします……あまり見ないでください」
そうこうしつつハンター達は坑道を出てドワーフ達に依頼の達成を告げる。
何はともあれ一件落着。ハンター達はまず体を癒すべくそれぞれの安らぎの地へと戻っていった。
「それじゃあ任せたぞー!」
坑道の入り口でドワーフに見送られハンター達はスライムが出たと言う場所へと向かう。
坑道の通路の高さは2メートルほどで頭をぶつけるほどではないがやはり狭い。
「こう暗くて狭いところで飲むお酒もまた……ドワーフの気持ちも解りますね!」
薄暗い坑道の中で何を思ったのか酔仙(ka1747)はうんうんと満足げに頷いている。
彼女の頭の中には依頼を始める前からお酒のことしか入っていないようである。
ハンター達は各々の光源で周囲を照らしながら奥へと進んでいく。
「まるで迷路みたいです。幸い今回は一本道のようですが」
坑道の地図を借りていたLuegner(ka1934)はその複雑に絡み合った通路を目を細めて見ながら呟く。
縦に横にと縦横無尽に掘られたこの鉱山はよく崩落しないものだと思うほど掘りつくされてるように見えた。
「けど坑道にスライムか。ある意味定番の組み合わせじゃな?」
ファンタジーの洞窟の冒険に欠かせない存在、それがスライムだ。
クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659)はそんなリアルブルーでのお約束を思い出す。
「しかしスライムですか。まだ浅い経験とはいえ……何気に初めてスライムを相対する事になるのですね」
意外と名前の知られているスライムというモンスターだが何気にハンターオフィスに舞い込む依頼にはその退治依頼は少ないのかもしれない。
米本 剛(ka0320)はそう思いながら坑道の壁を触れてみる。ひんやりとした感触と確かな硬さ。確かにこれならそう簡単には崩落なんてことはなさそうだ。
「まあスライムで良かったぜ。俺の苦手な動物よりかは数倍マシってトコだな」
軽く肩を竦めて苦笑するデルフィーノ(ka1548)は丁度LEDライトを自分の利き腕に巻きつけているところだった。
両手をフリーにしてその手を向けた方向に照準と明りが向く。そんな一石二鳥の案だ。
「けど採掘してたら行き成りスライムが出てくるなんて災難だよな。早く掃除してやらないとな」
ヘルメットを脇に抱えた青年――鳴神 真吾(ka2626)はそう言う。
気合も十分と言った様子でこれからの戦闘に志気を高めていた。
「なんでもいいけど……まあ、食費分くらいは稼いで帰らねぇとなぁ」
その横では対照的に如何にも気だるげという雰囲気を纏ったハスキー(ka2447)はこつんこつんと手に持った杖で床を叩きながら進む。
如何にも面倒くさいという態度が顔に出て隠そうともしていないが既に諦めているのかその足取りはしっかりと他のハンター達に合わせていた。
その後ろではこれまた悪態をつきながら柊 真司(ka0705)が続いている。
「ちっ、鉱石は持ち帰り禁止かよ。ならさっさとスライム退治して帰るとするかな」
元CAMのパイロットだった真司は鉱石マテリアルが代替燃料になるかと期待して調べる為に持ち帰りたかったようだ。
生憎とハンターオフィスの職員にしっかり釘を刺されているのでそれが出来ないと分かりさっさと仕事を終わらせて帰ろうと思考を切り替えていく。
「そろそろ件の空洞の近くですね」
Luegnerの言葉に各々のハンターは口を噤みそれぞれの武器を取り出す。
目の前にはぽっかりと明いた暗闇の入り口。ランタンで僅かに照らされた向こうに確かに何か動くものが見えた。
「それではいきましょうか」
剛の言葉と共にハンター達は一気に坑道の空洞内に入っていった。
●ぐちょぐちょぬるぬるとの対決
ハンター達が突入すると空洞の中が一気に明るくなる。
そこには地面に壁にとずるずると這いずっている何匹ものスライムが確かにいた。
「よっしゃ、これからはヒーローの時間だ! 覚醒!」
そう一言咆えた真吾は抱えていたヘルメットを被ると体の中央から光を発っする。
すると首から肩、そして胴から脚へと青と黒を基調としたメタリック調なヒーローの姿へと変わっていった。
「機導特査! ガイアード参上! これ以上お前等の好きにはさせん!」
完全にヒーローになりきった真吾は手にした魔導拳銃を構えて手前にいた一匹のスライムに引き金を引く。
スライムの体の一部は弾けるが、ただそれだけで飛び散った部分を補うかのようにスライムは元の形を取り戻していく。
「ふふ~、それじゃー君の相手はボクですぅ」
突然酔っ払い呂律が回らなくなったような口調の酔仙が近くにいたもう一匹に抉るような拳を叩きつける。
スライムに触れた感触は粘体特有のべとべとした気持ち悪い感触がした。
その殴られたスライムは軽く弾き飛ばされると壁にぶつかり、べちょりと平たく広がるがすぐにまた半球状の形に戻りうぞうぞと動き出す。
「しかし、ここに集まったまま動かないということは……肉食というわけではないのでしょうか?」
そんな疑問を抱きつつLuegnerは腰から日本刀を引き抜き、壁に張り付いていた一匹を切りつける。
予想以上に柔らかく言葉通りゼリーを斬る様な切れ味でその身を裂かれたスライムだが、しかしその切り傷はすぐに粘体同士がくっついて元に戻ってしまう。
「ふむ、どうやらただ斬ったり叩いたりするだけでは効果は薄いみたいですね」
剛はするりと日本刀を抜くと、覚醒の証である各関節に灯る炎で軌跡を描きながら刀の刃を1体のスライムへと向ける。
「八百万の神々よ……聖なる光を!」
詠唱か祝詞か、それとも真言か。剛の唱えた言葉と共に日本刀の刀身に光が宿り、その先端から光の軌跡を描きながら光弾が放たれる。
それを避けることもなく受けたスライムの身は大きく弾けるが、またぐずぐずと元の形に戻ろうと集まっていく。
しかし、先ほどと比べて見れば一回りほど小さくなっているように感じた。
「成る程、用はこいつらの肉っていうか身を削いでいけばいいんだな」
デルフィーノはその手に持つ銃身に輝きかせた銃をスライムに向けて引き金を引く。
そこから放たれたのはただの弾丸ではなく、マテリアルが凝縮されたエネルギー弾だ。
バチュンッと一際大きな音をたててその身を弾けさせたスライムはすぐには再生せずぴくんぴくんと痙攣している。
そしてそのスライムの身の中央には淡く赤色に光る玉のようなものが露出していた。
そこにすかさず真司が飛び込み、刃にマテリアルを纏わせた剣を突き立てる。
するとピキッと何かが割れる音と共にスライムの玉は割れ、形を取り戻すことなくその場で溶けて水のように周囲へ広がった。
「つまりこーやって倒せばいいわけだな」
輝きが収まった剣を振るい真司は早速解った対処法にニッと笑みを浮かべる。
と、ここで急にスライム達がその身を揺らしだした。
空洞内のスライム全員がまるで仲間が倒されたことに怒りを覚えたのかの如くその身を波打たせる。
「っと、危ないなぁ」
スライム達は今漸くハンター達を敵と認識したかのように襲い掛かってきた。
飛び掛ってくるスライムをハスキーは身を捻って避ける。
さらに数匹のスライムがその身から何か液状のものをハンター達に吐きかけてくる。
「くっ、これは……酸ですか!」
液体を受けた盾がジュゥと音をたてるのを聞いてLuegnerは顔を顰める。
「あはは~、でもボクには当たらないんです!」
相変わらず酔った口調の酔仙はふらふらとした動きで飛んでくる酸の液をひらりひらりとかわして見せる。
しかし次々に飛んでくる酸の雨にハンター達は若干攻めあぐねていた。
「うえー、本当に気持ち悪ぃ……」
悪態を吐きながら一歩前に出たのはハスキーだった。
コトリと手にしていたライトを丁度いい高さにあった岩の上に置いて一匹のスライムを照らすようにする。
そんなハスキーに向けて数匹のスライムが酸の液を吐きかける。
しかし、ハスキーはその瞬間限界まで身を低くして正面に突撃する。酸の液はハスキーの頭上を放物線描いて飛んでいき床を僅かに溶かす。
あっという間にハスキーは先ほど照らし出していたスライムの目の前に立っていた。
「面倒くさいなぁ」
そう呟くハスキー。その手には杖――否、鋭利な刃が仕舞われた仕込杖。その隠された刃を僅かに見せている。
そして気づけば目の前のスライムの体が縦に裂けていた。ずるりと現れるスライムの核と思わしき玉。
それを見据えてハスキーはもう一言だけ呟く。
「本当に面倒くさいなぁ」
チンと仕込み杖を収める音の後、音もなく抜き放たれた刃が露出した核を両断する。
自分の置いたライトに照らされながら、溶けていくスライムには一瞥もせずハスキーは刃を一つ振るうとまた杖へとその刃を仕舞いこんだ。
「どうやら一気に弾け飛ばしたほうがいいらしいな。それならこれだ――マテリアルキャノンモード!!」
真吾がそう叫ぶとアルケミストデバイスから溢れ出たホログラムが、真吾の持つ銃の周囲を飛び交いパーツを組み立てるように重なっていく。
そして銃身部分を無骨で機械的なホログラムが覆い、そこには多くのマテリアルが収束されていく。
真吾が引き金を引くと一条の光が走りスライムの体を爆発させるようにして四散させ、また核を露出させる。
「トドメは任せてください」
そう言ったLuegnerの振るった日本刀がまたスライムの核を砕く。
数匹を片付けたところで酸の雨も弱まり攻勢に出られる。そう思ったときだった。
「っ! やべぇ、上だ!」
突然デルフィーノのがそう叫びながらその体を横に向けて投げ出す。
その声に釣られて後衛にいた数名が天井を見上げると、今まさに数匹のスライムが天井から酸の液を降らせてきた。
「くっ、熱っ!」
それを浴びてしまったクラリッサは自分のじわじわと肌が焼ける痛みに襲われる。
「不味いですね。八百万の神々よ……癒しの力を!」
そこに剛が刀を法具とし癒しの力を顕現させてクラリッサの傷を癒す。
「おい、まだ安心できねぇぞ!」
デルフィーノがさらに叫びながら天井に張り付くスライムにマテリアルを凝縮した一撃を喰らわせる。
その体の半分を吹き飛ばされたスライムは天井から剥がれ落ち、地面に落ちて広がるとそのまま溶けていった。
そして天井にいた一匹が今度はクラリッサに向かって飛び降りてくる。
「させませんよ。八百万の神々よ……護りの力を!」
剛の言葉と共にクラリッサの体が光の膜に覆われ飛び降りてきたスライムを弾き飛ばす。
「よくも妾の肌に傷をつけてくれたな。万死に値する」
クラリッサは杖を構えると周囲の風が一瞬震える。そして幾重にも風が鳴き、鋭い刃となった風がスライムに迫り通り過ぎる。
するとその身を斜めに引き裂かれたスライムは己の核を露出する。
「汝もじゃ。逃しはせぬぞ」
さらに天井に張り付いているスライムにも風の刃を放ち、縦に真っ二つにされたスライムが天井から地面に落ちてきた。
「弱点さえ分かっちゃえばらくしょーです」
そして落ちてくるスライムの核を正確に捉え、酔仙は軽く握ったその核をそのまま握りつぶした。
「数も減ってきましたね。このまま押し切りましょう」
Luegnerは吐きつけてくる酸を盾で防ぎ、そのまま接近して刀でスライムを切りつけながらそう言う。
対処法も分かり数も減ったスライム達をハンター達は次々と駆逐していく。
「むっ、あんなところに一匹。もしや逃げようとしているな」
真吾が見つけたそこには天井に向けて登っていくスライムが一匹。その先には何やら小さな穴がある。
あそこに逃げ込まれては厄介だと銃を構えるが、そこで真吾の横を一つの影が追い抜いていった。
その影はすぐ傍の岩に飛び乗ると軽業師の如く壁の出っ張りを足場にまるで壁を走るように駆け上がりスライムに追いついた。
「逃がすと絶対に面倒が増えるんだから駄目」
瞬間、一瞬だけ刃の煌きが見えそれもすぐに杖の中へを収められる。
切り裂かれたスライムはコアを露出しながら落ちてきた、そこを真吾が見事打ち抜いた。
そしてそれと一緒にハスキーも天井付近から地面へと向けて自由落下を始める。
「ちょ、うおおぉ!」
それに慌てた真吾は走りこんでその下にくると落ちてきたハスキーを見事に受け止めた。
「あー、登った後のこと忘れてたよ。ありがと、助かったー」
「いや、これもヒーローの仕事の内だ」
少々一悶着あったが何はともあれこの後スライムは無事に全滅させることに成功した。
●お持ち帰りは厳禁です
全てのスライムを退治し終え、あらかた見回りも終わったハンター達は坑道から出ることにする。
そんな中、部屋を探索中に見つかった幾つかの輝かしい宝石のような石、鉱石マテリアルを前に真司が唸っている。
「おいおい、昔の女を引きずってるみたいで女々しいぞ。そんなことより外で一服しようぜ」
「誰が女々しいだ。……でも、一欠けらくらい持って帰りたかったぜ」
デルフィーノの言葉に促され、真司は重い腰を上げてこの空洞の部屋の出口へと向かう。
「ぷはー! やっぱり仕事終わりのビールは最高です」
そしてその帰り道で酔仙は早速持ってきていたビールを開けて一杯やりだす。
まさかビール持参とは思わず他のハンター達も苦笑を浮かべる。
「しかし何でまた今回のスライム達はあんなカラフルだったんでしょうかね?」
赤から青に黄色までと色んな色をしていたスライム達の色に剛が疑問を持つ。
そこでずいっとクラリッサが一歩前に出てずいっと一本指を立てる。
「ああ、それはちょっとした推測になるんじゃがのう。核となった鉱石マテリアルが関係していると妾は見ておる」
溶けて消えてしまった後に核のあった場所に欠片程度の鉱石マテリアルがあったことからクラリッサはそう推測していた。
実際のところは分からないが、色が違っても特に特性は違わなかったし詳しいことはきっと偉い学者なりが調べることになるだろう。
「ところでLuegner、なんか歩き方がぎこちないけどどこか怪我でもしてるのか?」
ヘルメットを外して元の姿に戻った真吾が列の最後尾で歩いているLuegnerに声をかける。
「あっ、えっと……それは、その」
「ああ、服が溶けてしまったのか。なんだそれくらい見られても大したことないだろ」
素早く回り込んで事態を把握したハスキーがかんらかんらと笑いながら手をひらひらと振る。
その言葉にLuegnerは顔を僅かに赤くして盾でその身を隠す。
「気にします……あまり見ないでください」
そうこうしつつハンター達は坑道を出てドワーフ達に依頼の達成を告げる。
何はともあれ一件落着。ハンター達はまず体を癒すべくそれぞれの安らぎの地へと戻っていった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/18 21:28:14 |
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相談卓 米本 剛(ka0320) 人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/08/23 17:15:04 |