ゲスト
(ka0000)
いままさに、ぼくらはやんでいるのです
マスター:龍河流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~20人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 3日
- 締切
- 2016/03/12 22:00
- 完成日
- 2016/03/22 18:58
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
き そ く た だ し い せ い か つ
それ、なに?
おいしい?
ハンターさんは、辛いお仕事です。
依頼によっては、昼も夜もありません。
一日中走り回ったりもします。
戦う時だってあります。
早寝早起きをしたくても、簡単ではありません。
まあ、何かと大変なのです。
しかし、これはどうしたわけでしょう?
咳が出ます。
体が熱いです。
関節がギシギシと痛みます。
背中がぞくぞくしたりもします。
目が回ったり、耳鳴りもしちゃってるかも。
あぁ、おなかまで痛くなってきました。
とにかく、だるいのです。
元気が出ません。
起きて、依頼を受けに行ったりなんて、とんでもない!
声もろくろく出ません。
ご飯も喉を通らないかも。
でも美味しいものなら食べられるかも。
自分で作るのと、買いに行くのは面倒だけど。
「もう、だめだ」
死ぬほどの病気じゃないけど、すっごく辛い。
でも、どうしたらいいのかわからない。
今、そんな感じ。
それ、なに?
おいしい?
ハンターさんは、辛いお仕事です。
依頼によっては、昼も夜もありません。
一日中走り回ったりもします。
戦う時だってあります。
早寝早起きをしたくても、簡単ではありません。
まあ、何かと大変なのです。
しかし、これはどうしたわけでしょう?
咳が出ます。
体が熱いです。
関節がギシギシと痛みます。
背中がぞくぞくしたりもします。
目が回ったり、耳鳴りもしちゃってるかも。
あぁ、おなかまで痛くなってきました。
とにかく、だるいのです。
元気が出ません。
起きて、依頼を受けに行ったりなんて、とんでもない!
声もろくろく出ません。
ご飯も喉を通らないかも。
でも美味しいものなら食べられるかも。
自分で作るのと、買いに行くのは面倒だけど。
「もう、だめだ」
死ぬほどの病気じゃないけど、すっごく辛い。
でも、どうしたらいいのかわからない。
今、そんな感じ。
リプレイ本文
●不養生しました
調子が悪い時、病人はこう言われます。
「暖かくして、消化の良い物を食べて、薬をしっかり飲んでください……って」
薬草師見習いのユリアン(ka1664)さんも、毎日そう言っていました。
ところが。
「無理だ」
本日、ぜろぜろした声での突然の悟り。
そんなの、誰かに看病してもらえるならともかく、一人では無理でした。
ユリアンさんは生真面目なのでしょう。患者さんから貰ってしまった風邪やら何やら色々で関節が痛むような熱が出ているのに、天井を見詰めて一人反省会を開いていました。テーマは、自分がなってみて分かる、患者さんの立場です。
今度から、一人暮らしっぽい人にはなんて言おうか、どんなお薬をあげようか等々。おうちだと同居人に移してしまったらいけないからと、わざわざ仕事場兼任のお宿でお部屋を借りての反省会。
でも、枕元にお水が、お部屋のどこかに林檎もあるし、お薬は煎じるのが面倒だから、とりあえず寝ていればいいやと独り決めしたユリアンさんは、もう色々考えていられません。
寝たのだか、失神したのだか。鼻詰まりさんの寝息がしてきました。
お弟子が倒れたお師匠のエアルドフリス(ka1856)さんは、忙しくて看病してあげる暇もありません。季節の変わり目には、色々な患者さんが押し寄せるのです。
まあ、エアルドフリスさんは風邪一つ引いたことがないのが自慢ですし、お弟子さんがお休みでもお仕事は出来ると、過信していました。
そう、過信です。
「あぁ、棚に薬があったのに……」
朝起きたら、頭が金槌で叩かれるように痛むので、エアルドフリスさんは本日休診を決めました。もしお仕事をしたら、間違いなくお薬を盛り過ぎてしまいます。
やっと休診のお知らせを出した後、寝台に戻ることに夢中で棚にあるお薬を取るのを忘れてしまいました。もう動くのも辛いので、布団の中に潜り込みます。
「まったく、こんな様子で弟子を取るなんて」
ゆっくり寝られればいいのですが、どうもお布団の中でこちらも一人反省会を始めた模様です。
「あれもこれも……全部俺がふがいないから」
お布団の中で、地を這うような声を出し始めました。大丈夫……の訳はありません。
昨日はとてもいい気分で、材料が麦と米と馬乳と芋と葡萄と謎のモノとをそれぞれ発酵させた液体を西方と東方の両方取り混ぜて、最後によく分からない液体でたっぷりと流し込みました。
「ぐえっ、げほっ」
とある大きな橋の下、お日様の光が届かない暗いところで、川に頭を突っ込んでいたケイ(ka4032)さんは、盛大に咳をしま……せんでした。ちょびっとげふげふして、不思議そうにあたりを見回しています。
「ここ、どこ……あ、橋の下ね。いつも通り、いつもどーり」
橋の下で転がっているのがいつも通りとは、ケイさんには不思議でも何でもない様子です。見るからに、もう動きたくないと毛布包みになった背中が語っていました。
「これが、二日酔いという奴なのね……水が利くなんて、嘘っぱちじゃない」
これでもかと多彩なアルコール飲料の取り過ぎで頭痛はじめという体調不良に襲われているケイさんは、間違いなく二日酔いです。
「水と味噌汁がいい……味噌汁ってなに?」
二日酔いに効く物を思い出しているケイさんは、でもあんまり頭痛がひどいので考えるのを止めてしまいました。
時々『もうお酒は飲まない』と呟いていますが、きっと明日には忘れていることでしょう。
おなかが痛いのは、きっと食べたものが悪かったのです。
玄間 北斗(ka5640)さんの場合、それはきっと今朝飲んだ牛乳のせいでしょう。
「止めておけばよかったのだ~」
玄間さんは脂汗だらだらで横になっていました。二時間前まではベッドの上にいたのですが、今は毛布にくるまって床に転がっています。
なんで?
「うぅ、またおなかが」
おなかが痛いとき、人は何度も通わねばならない場所があるのです。そこまで行くのが大変なので、近くの床に寝ているのでした。
あ、出てきた玄間さんに、飼い犬の柴わんこ達が心配そうに寄っていきました……けれど、また戻っていきましたよ。わんこではなくて、玄間さんが今出てきた個室に。
「ご、ごめんね、今日はおいらがご飯の用意をしてあげられないのだ。ご近所の穂香ちゃんは覚えているのだ?」
そこに行ってご飯を貰ってきてと、わんこ達にご近所さんの名前を出した途端に、わんこ達はすたこらと出掛けて行きましたよ。
おなかが痛いのは、食べるものを間違えたからです。
生の魚やら貝とかを、幾ら美味しいからって風邪の引き始めで調子がいまひとつかなーなんて思った時に食べてはいけません。
結果、ラティナ・スランザール(ka3839)さんは、おうちの二階にある自分の部屋で、周りがグルグル回って見えてしまっています。おなかは痛いし、吐き気はするし、熱もあるし、咳も出てきます。
「み、水……」
お水があるのは、一階です。いつもだったら、このおうちには共同生活している幼馴染さん達がいるのですが、今日に限って誰もいません。そう、昨日も他の人がいないからって外食に出掛けて、生ものを食べてしまったのでした。
食べた時は美味しかったけれど、なんて思い返している余裕はラティナさんにはありません。なんとかお水を取りに行くため、気合を入れて起き上がってみましょう。
「お、うぉあ?」
どーんと大きい音がしましたが、どうしてでしょう。
ちょっと怪我をしたので、クレール(ka0586)さんは普段お仕事しているお店からお休みを貰いました。お休みですから、ゆっくりしたらよかったのです。
そう。そこで以前の下宿が鍛冶で作ったもの倉庫になってしまっているのを、掃除と整頓しようなんて考えなければ……
「あれ? なんだかぴりぴりする?」
傷口がピリピリしたり、一寝入りした後に頭が痛くて目が覚めるなんてことはなかったはず。
頭は痛いし、咳は出るし、熱がひどいから汗びっしょりです。
「お、おうちを出てから、こんなになったことないのにぃ」
おうちを出て、鍛冶師の修行中のクレールさん、実家のお父さんとお母さん、弟さんのお顔はしばらく見ていません。なのになぜか皆のお顔が見える気がします。
「おうちに……帰りたいよぉ」
ちゃんと枕元に飲み物があるから、きっとすぐに熱も下がると気合を入れかけたクレールさんでしたが、誰もいなくて寂しくて、しくしく泣き始めてしまいました。
おうちへの帰り道、風が冷たくて乾燥していて、喉が渇くなーと思いました。もうちょっと考えたら、喉の調子が悪いと気が付いたことでしょう。
誰もいないので寒いはずのおうちに入ったら、それでも外と温度が違うせいで咳が出ました。そうディーナ・フェルミ(ka5843)さんは思ったのですが、どうやら違ったようです。
「はれ? なんで座ってるの?」
ふと気付いたら、ディーナさんは床に座り込んでいました。大事なお気に入りのコートも着たままです。すぐ近くに椅子もベッドもあるのに、どうしてと悩みかけましたが、答えはすぐに分かりました。
ものすごく咳が出て、パルムちゃん達がたくさんに見えます。これは……風邪です。それも悪性の。
「移っちゃった気が、するの~」
実はディーナさん、応急手当てを出来るようになりたいと、時々お医者さんのお手伝いをしています。今日は、その時に誰かから風邪を移されてしまったようです。
いつもだったらキュアを一回は使えるようにしておくのですが、今日はひどい症状の人が多くて使い切ってしまいました。
「こ、コートが……」
一人暮らしだと、こんな時には大変なんだと考えたりしながら、ディーナさんは結局コートのままで床にころりと横になりました。
パルムちゃん達が不思議そうにお顔を覗いているので、ディーナさんは抱っこしようとしましたが……そこから先のことは、覚えていません。
「うむ、風邪じゃな」
真っ赤なお顔で、ぜいぜいしながら、レーヴェ・W・マルバス(ka0276)さんは頷きました。昨日、うっかり飲み過ぎて布団に入らずに寝てしまったのです。ドワーフさんなのに、なんという不覚!
風邪の他に、二日酔いもありそうですが、レーヴェさんはそうは考えません。ドワーフさんが二日酔いだなんて、そんなのみっともないからです。
とりあえず、自分で作ってみたどてらを着ます。ちょっと丈が短いのはご愛敬で、失敗ではありません。
「水、じゃな」
大きな器にお水を汲んで……手がぶるぶるするので、なかなか上手にお水が器に入りません。疲れて来たので、まずはちょびっと入った分を飲みましょう。
「全然足りん。そうだ、何か食わねば」
早く使わないといけない卵と鰹節と麦があったから、麦がゆが作れる。と考えているレーヴェさんは、まだお水がちょっとしか汲めていません。
それなのに、おうちを覗いているパルムを見付けて、なにやら考え出しました。
「あのパルムが成長して、服を着るようになると、生活ぶりはどうなるのであろうなぁ」
今度はレーヴェさんの持った器から、お水がどばどば流れ出しました。
熱が高いレーヴェさん、やろうと思ったことがすぐに頭から抜けてしまうようです。
「椅子、皿、テーブルクロス……紅茶、あ、水」
とりあえず、まずはお水を飲みましょう。
●養生しましょ
一人反省会、ユリアンさんはまた新たなそれに突入していました。正確には今は一人ではないのですが。
「林檎を擦りましたから、早めに食べてくださいね」
たまたま顔を出してくれたお友達のルナさんを、何を思ったのかお母さんと間違えてしまいました。失礼千万だと反省会をしている間に、ルナさんは食べ物飲み物を用意して、着替えも借りて来てくれました。今はお薬を煎じています。
「あの、今度……お礼する、から」
「そんなことより、今はお茶を飲んで汗かいてください」
妹がいたら、何を言われることかと、ユリアンさんはまた反省会をしながらお茶を飲んで、林檎を少し食べて……急に眠くなってきました。
今度は、寝息が穏やかです。
その頃、師匠のエアルドフリスさんは熟睡していました。お薬も飲んだので、顔色も良くなってきたような?
でも、まだ頭が痛いのか、時々しかめっ面になります。だからお見舞いに来たジュードさんは、首から肩のあたりを擦ってあげていました。
「だんだん熱は下がってきたかな? 起きたら、何か食べた方がいいと思うけど」
ジュードさん、そうっとお布団に潜り込んでいるエアルドフリスさんのお顔を覗いて、熱も下がってきたようなので一安心。もっと元気になるように、美味しいものを用意してあげたいのですが……
肩を擦っているのと反対の手を、がっちり抱え込まれているので動けません。
日が暮れて、また昇って、太陽が空の真ん中に昇ったあたりで、ケイさんはようやく目が覚めました。昨日のあの凄まじい頭痛とは、ご縁が切れたようです。
「あ~、迎え酒はいらないわね」
どうしてお酒を飲む人は、二日酔いに迎え酒と考えるのでしょう。そんなことをしていたら、今頃もっと大変だったかもしれませんが……ケイさんは、まあまあ元気です。
でも、なんだか気になることがあるような?
「あ、そうそう味噌汁。何かしらね、味噌汁って」
何に効くんだったかしらと首を傾げていたケイさんですが、ふと思い出しました。味噌汁は、ケイさんが昔出会った大切な人から教えてもらったリアルブルーの料理です。
それを忘れていたことを思い出して、ケイさんはなぜかふて寝を始めています。
柴わんこ達の様子が変だったので、穂香さんはたぬきさんこと玄間さんのおうちを覗きに来てみました。何かあったに違いないと思っていたら、やはりたぬきさんがうんうん言いながら、ベッドではないところで横になっています。
「わんこさん達のことは心配せずに、ゆっくり休んでください。ベッドで」
ご飯のことも何にも心配しないでねと優しく声を掛けられながら、玄間さんはベッドに引き摺って行かれました。もちろん、穂香さんとわんこ達に、です。
予定より早く依頼から戻ったアルカさんが、いるはずのラティナさんがお帰りを言ってくれないのでお部屋を覗いたら、大の字になっていたラティナさんを発見したのは一時間前。よいしょとベッドまで引っ張って、お水を汲んだり、頭を冷やしたり、体を拭いてあげたりしていたら、ラティナさんの目が覚めたようです。
「あれ、誰かいんのか?」
「うん、あ、何か食べたいものある?」
あぁよかったとほっとしたアルカさんに、食べたいものを尋ねられたラティナさんはしばらく考えていました。なんとなく、ちゃんとアルカさんが見えていなさそうです。
「アルカが食べたい」
なんでそんなことを口走ったのか。思わず病人を叩いてしまったアルカさんが、慌てています。
頬っぺたと鼻の下が痛い気がします。
「ふんだ、次におうちに帰るのは、一人前になってからなんだから。それまではカフェのお仕事だって、鍛冶のお仕事だって、頑張っちゃうわよ」
一晩休んで、かなり元気になったクレールさんが、お顔を洗いながらひとり言を続けています。昨夜も色々言いましたが、今日は違います。
「しばらくお母さんの手料理がお預けだって、我慢出来るんだから。でも!」
一刻も早く消化に良いものは食べないとと、固く決心しました。
おなかがぐうぐう言っていますから。
一晩我慢したら、なんとか法術が使えるようになりました。
そう、キュアが使えます!
「なるほど。こんな風に楽になるですの~」
自分の法術を体験して、何かを悟ったお顔のディーナさんが、よっこらしょと起き上がりました。結局床で寝てしまったので、コートはちゃんとお手入れしなくては。
あと、自分と一晩ぎゅうぎゅう抱きしめてしまったパルムちゃん達にも、美味しいものが必要です。パルムちゃん達はあんまり暖かく感じませんでしたが、一人っきりよりはちょっと良かった気がします。
でも、出来れば、
「ふわもこして、あったかいペットを飼って……もっといっぱい人のお役に立つ人になるの」
ディーナさん、かたく決心しました。
なんだかあんまりにもだるかったので、鰹節を削るのは諦めました。麦は煮え過ぎだし、卵はほとんど生。塩味が効き過ぎですが、昨夜は鼻も舌も利かなかったので、食べられた記憶はあります。
「うーん、しかしこれは何じゃろう?」
レーヴェさんは、昨日の熱が出てからのことを思い出して、多少の失敗は水に流しつつ、大体思い出せたと一安心しました。
でも、大きな問題が一つ残っています。
「椅子とテーブルの設計図なのは分かるが、この寸法は何用のつもりじゃ?」
開けた窓からパルムちゃん達が覗いていますが、もちろん答えは教えてくれません。
調子が悪い時、病人はこう言われます。
「暖かくして、消化の良い物を食べて、薬をしっかり飲んでください……って」
薬草師見習いのユリアン(ka1664)さんも、毎日そう言っていました。
ところが。
「無理だ」
本日、ぜろぜろした声での突然の悟り。
そんなの、誰かに看病してもらえるならともかく、一人では無理でした。
ユリアンさんは生真面目なのでしょう。患者さんから貰ってしまった風邪やら何やら色々で関節が痛むような熱が出ているのに、天井を見詰めて一人反省会を開いていました。テーマは、自分がなってみて分かる、患者さんの立場です。
今度から、一人暮らしっぽい人にはなんて言おうか、どんなお薬をあげようか等々。おうちだと同居人に移してしまったらいけないからと、わざわざ仕事場兼任のお宿でお部屋を借りての反省会。
でも、枕元にお水が、お部屋のどこかに林檎もあるし、お薬は煎じるのが面倒だから、とりあえず寝ていればいいやと独り決めしたユリアンさんは、もう色々考えていられません。
寝たのだか、失神したのだか。鼻詰まりさんの寝息がしてきました。
お弟子が倒れたお師匠のエアルドフリス(ka1856)さんは、忙しくて看病してあげる暇もありません。季節の変わり目には、色々な患者さんが押し寄せるのです。
まあ、エアルドフリスさんは風邪一つ引いたことがないのが自慢ですし、お弟子さんがお休みでもお仕事は出来ると、過信していました。
そう、過信です。
「あぁ、棚に薬があったのに……」
朝起きたら、頭が金槌で叩かれるように痛むので、エアルドフリスさんは本日休診を決めました。もしお仕事をしたら、間違いなくお薬を盛り過ぎてしまいます。
やっと休診のお知らせを出した後、寝台に戻ることに夢中で棚にあるお薬を取るのを忘れてしまいました。もう動くのも辛いので、布団の中に潜り込みます。
「まったく、こんな様子で弟子を取るなんて」
ゆっくり寝られればいいのですが、どうもお布団の中でこちらも一人反省会を始めた模様です。
「あれもこれも……全部俺がふがいないから」
お布団の中で、地を這うような声を出し始めました。大丈夫……の訳はありません。
昨日はとてもいい気分で、材料が麦と米と馬乳と芋と葡萄と謎のモノとをそれぞれ発酵させた液体を西方と東方の両方取り混ぜて、最後によく分からない液体でたっぷりと流し込みました。
「ぐえっ、げほっ」
とある大きな橋の下、お日様の光が届かない暗いところで、川に頭を突っ込んでいたケイ(ka4032)さんは、盛大に咳をしま……せんでした。ちょびっとげふげふして、不思議そうにあたりを見回しています。
「ここ、どこ……あ、橋の下ね。いつも通り、いつもどーり」
橋の下で転がっているのがいつも通りとは、ケイさんには不思議でも何でもない様子です。見るからに、もう動きたくないと毛布包みになった背中が語っていました。
「これが、二日酔いという奴なのね……水が利くなんて、嘘っぱちじゃない」
これでもかと多彩なアルコール飲料の取り過ぎで頭痛はじめという体調不良に襲われているケイさんは、間違いなく二日酔いです。
「水と味噌汁がいい……味噌汁ってなに?」
二日酔いに効く物を思い出しているケイさんは、でもあんまり頭痛がひどいので考えるのを止めてしまいました。
時々『もうお酒は飲まない』と呟いていますが、きっと明日には忘れていることでしょう。
おなかが痛いのは、きっと食べたものが悪かったのです。
玄間 北斗(ka5640)さんの場合、それはきっと今朝飲んだ牛乳のせいでしょう。
「止めておけばよかったのだ~」
玄間さんは脂汗だらだらで横になっていました。二時間前まではベッドの上にいたのですが、今は毛布にくるまって床に転がっています。
なんで?
「うぅ、またおなかが」
おなかが痛いとき、人は何度も通わねばならない場所があるのです。そこまで行くのが大変なので、近くの床に寝ているのでした。
あ、出てきた玄間さんに、飼い犬の柴わんこ達が心配そうに寄っていきました……けれど、また戻っていきましたよ。わんこではなくて、玄間さんが今出てきた個室に。
「ご、ごめんね、今日はおいらがご飯の用意をしてあげられないのだ。ご近所の穂香ちゃんは覚えているのだ?」
そこに行ってご飯を貰ってきてと、わんこ達にご近所さんの名前を出した途端に、わんこ達はすたこらと出掛けて行きましたよ。
おなかが痛いのは、食べるものを間違えたからです。
生の魚やら貝とかを、幾ら美味しいからって風邪の引き始めで調子がいまひとつかなーなんて思った時に食べてはいけません。
結果、ラティナ・スランザール(ka3839)さんは、おうちの二階にある自分の部屋で、周りがグルグル回って見えてしまっています。おなかは痛いし、吐き気はするし、熱もあるし、咳も出てきます。
「み、水……」
お水があるのは、一階です。いつもだったら、このおうちには共同生活している幼馴染さん達がいるのですが、今日に限って誰もいません。そう、昨日も他の人がいないからって外食に出掛けて、生ものを食べてしまったのでした。
食べた時は美味しかったけれど、なんて思い返している余裕はラティナさんにはありません。なんとかお水を取りに行くため、気合を入れて起き上がってみましょう。
「お、うぉあ?」
どーんと大きい音がしましたが、どうしてでしょう。
ちょっと怪我をしたので、クレール(ka0586)さんは普段お仕事しているお店からお休みを貰いました。お休みですから、ゆっくりしたらよかったのです。
そう。そこで以前の下宿が鍛冶で作ったもの倉庫になってしまっているのを、掃除と整頓しようなんて考えなければ……
「あれ? なんだかぴりぴりする?」
傷口がピリピリしたり、一寝入りした後に頭が痛くて目が覚めるなんてことはなかったはず。
頭は痛いし、咳は出るし、熱がひどいから汗びっしょりです。
「お、おうちを出てから、こんなになったことないのにぃ」
おうちを出て、鍛冶師の修行中のクレールさん、実家のお父さんとお母さん、弟さんのお顔はしばらく見ていません。なのになぜか皆のお顔が見える気がします。
「おうちに……帰りたいよぉ」
ちゃんと枕元に飲み物があるから、きっとすぐに熱も下がると気合を入れかけたクレールさんでしたが、誰もいなくて寂しくて、しくしく泣き始めてしまいました。
おうちへの帰り道、風が冷たくて乾燥していて、喉が渇くなーと思いました。もうちょっと考えたら、喉の調子が悪いと気が付いたことでしょう。
誰もいないので寒いはずのおうちに入ったら、それでも外と温度が違うせいで咳が出ました。そうディーナ・フェルミ(ka5843)さんは思ったのですが、どうやら違ったようです。
「はれ? なんで座ってるの?」
ふと気付いたら、ディーナさんは床に座り込んでいました。大事なお気に入りのコートも着たままです。すぐ近くに椅子もベッドもあるのに、どうしてと悩みかけましたが、答えはすぐに分かりました。
ものすごく咳が出て、パルムちゃん達がたくさんに見えます。これは……風邪です。それも悪性の。
「移っちゃった気が、するの~」
実はディーナさん、応急手当てを出来るようになりたいと、時々お医者さんのお手伝いをしています。今日は、その時に誰かから風邪を移されてしまったようです。
いつもだったらキュアを一回は使えるようにしておくのですが、今日はひどい症状の人が多くて使い切ってしまいました。
「こ、コートが……」
一人暮らしだと、こんな時には大変なんだと考えたりしながら、ディーナさんは結局コートのままで床にころりと横になりました。
パルムちゃん達が不思議そうにお顔を覗いているので、ディーナさんは抱っこしようとしましたが……そこから先のことは、覚えていません。
「うむ、風邪じゃな」
真っ赤なお顔で、ぜいぜいしながら、レーヴェ・W・マルバス(ka0276)さんは頷きました。昨日、うっかり飲み過ぎて布団に入らずに寝てしまったのです。ドワーフさんなのに、なんという不覚!
風邪の他に、二日酔いもありそうですが、レーヴェさんはそうは考えません。ドワーフさんが二日酔いだなんて、そんなのみっともないからです。
とりあえず、自分で作ってみたどてらを着ます。ちょっと丈が短いのはご愛敬で、失敗ではありません。
「水、じゃな」
大きな器にお水を汲んで……手がぶるぶるするので、なかなか上手にお水が器に入りません。疲れて来たので、まずはちょびっと入った分を飲みましょう。
「全然足りん。そうだ、何か食わねば」
早く使わないといけない卵と鰹節と麦があったから、麦がゆが作れる。と考えているレーヴェさんは、まだお水がちょっとしか汲めていません。
それなのに、おうちを覗いているパルムを見付けて、なにやら考え出しました。
「あのパルムが成長して、服を着るようになると、生活ぶりはどうなるのであろうなぁ」
今度はレーヴェさんの持った器から、お水がどばどば流れ出しました。
熱が高いレーヴェさん、やろうと思ったことがすぐに頭から抜けてしまうようです。
「椅子、皿、テーブルクロス……紅茶、あ、水」
とりあえず、まずはお水を飲みましょう。
●養生しましょ
一人反省会、ユリアンさんはまた新たなそれに突入していました。正確には今は一人ではないのですが。
「林檎を擦りましたから、早めに食べてくださいね」
たまたま顔を出してくれたお友達のルナさんを、何を思ったのかお母さんと間違えてしまいました。失礼千万だと反省会をしている間に、ルナさんは食べ物飲み物を用意して、着替えも借りて来てくれました。今はお薬を煎じています。
「あの、今度……お礼する、から」
「そんなことより、今はお茶を飲んで汗かいてください」
妹がいたら、何を言われることかと、ユリアンさんはまた反省会をしながらお茶を飲んで、林檎を少し食べて……急に眠くなってきました。
今度は、寝息が穏やかです。
その頃、師匠のエアルドフリスさんは熟睡していました。お薬も飲んだので、顔色も良くなってきたような?
でも、まだ頭が痛いのか、時々しかめっ面になります。だからお見舞いに来たジュードさんは、首から肩のあたりを擦ってあげていました。
「だんだん熱は下がってきたかな? 起きたら、何か食べた方がいいと思うけど」
ジュードさん、そうっとお布団に潜り込んでいるエアルドフリスさんのお顔を覗いて、熱も下がってきたようなので一安心。もっと元気になるように、美味しいものを用意してあげたいのですが……
肩を擦っているのと反対の手を、がっちり抱え込まれているので動けません。
日が暮れて、また昇って、太陽が空の真ん中に昇ったあたりで、ケイさんはようやく目が覚めました。昨日のあの凄まじい頭痛とは、ご縁が切れたようです。
「あ~、迎え酒はいらないわね」
どうしてお酒を飲む人は、二日酔いに迎え酒と考えるのでしょう。そんなことをしていたら、今頃もっと大変だったかもしれませんが……ケイさんは、まあまあ元気です。
でも、なんだか気になることがあるような?
「あ、そうそう味噌汁。何かしらね、味噌汁って」
何に効くんだったかしらと首を傾げていたケイさんですが、ふと思い出しました。味噌汁は、ケイさんが昔出会った大切な人から教えてもらったリアルブルーの料理です。
それを忘れていたことを思い出して、ケイさんはなぜかふて寝を始めています。
柴わんこ達の様子が変だったので、穂香さんはたぬきさんこと玄間さんのおうちを覗きに来てみました。何かあったに違いないと思っていたら、やはりたぬきさんがうんうん言いながら、ベッドではないところで横になっています。
「わんこさん達のことは心配せずに、ゆっくり休んでください。ベッドで」
ご飯のことも何にも心配しないでねと優しく声を掛けられながら、玄間さんはベッドに引き摺って行かれました。もちろん、穂香さんとわんこ達に、です。
予定より早く依頼から戻ったアルカさんが、いるはずのラティナさんがお帰りを言ってくれないのでお部屋を覗いたら、大の字になっていたラティナさんを発見したのは一時間前。よいしょとベッドまで引っ張って、お水を汲んだり、頭を冷やしたり、体を拭いてあげたりしていたら、ラティナさんの目が覚めたようです。
「あれ、誰かいんのか?」
「うん、あ、何か食べたいものある?」
あぁよかったとほっとしたアルカさんに、食べたいものを尋ねられたラティナさんはしばらく考えていました。なんとなく、ちゃんとアルカさんが見えていなさそうです。
「アルカが食べたい」
なんでそんなことを口走ったのか。思わず病人を叩いてしまったアルカさんが、慌てています。
頬っぺたと鼻の下が痛い気がします。
「ふんだ、次におうちに帰るのは、一人前になってからなんだから。それまではカフェのお仕事だって、鍛冶のお仕事だって、頑張っちゃうわよ」
一晩休んで、かなり元気になったクレールさんが、お顔を洗いながらひとり言を続けています。昨夜も色々言いましたが、今日は違います。
「しばらくお母さんの手料理がお預けだって、我慢出来るんだから。でも!」
一刻も早く消化に良いものは食べないとと、固く決心しました。
おなかがぐうぐう言っていますから。
一晩我慢したら、なんとか法術が使えるようになりました。
そう、キュアが使えます!
「なるほど。こんな風に楽になるですの~」
自分の法術を体験して、何かを悟ったお顔のディーナさんが、よっこらしょと起き上がりました。結局床で寝てしまったので、コートはちゃんとお手入れしなくては。
あと、自分と一晩ぎゅうぎゅう抱きしめてしまったパルムちゃん達にも、美味しいものが必要です。パルムちゃん達はあんまり暖かく感じませんでしたが、一人っきりよりはちょっと良かった気がします。
でも、出来れば、
「ふわもこして、あったかいペットを飼って……もっといっぱい人のお役に立つ人になるの」
ディーナさん、かたく決心しました。
なんだかあんまりにもだるかったので、鰹節を削るのは諦めました。麦は煮え過ぎだし、卵はほとんど生。塩味が効き過ぎですが、昨夜は鼻も舌も利かなかったので、食べられた記憶はあります。
「うーん、しかしこれは何じゃろう?」
レーヴェさんは、昨日の熱が出てからのことを思い出して、多少の失敗は水に流しつつ、大体思い出せたと一安心しました。
でも、大きな問題が一つ残っています。
「椅子とテーブルの設計図なのは分かるが、この寸法は何用のつもりじゃ?」
開けた窓からパルムちゃん達が覗いていますが、もちろん答えは教えてくれません。
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/12 20:21:28 |