ゲスト
(ka0000)
ハンターなんてやめておくざます!
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/03/20 07:30
- 完成日
- 2016/03/25 02:41
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「ねえねえお母さん!」
「どうしたんざます? ユーリちゃん」
「僕、大人になった時になりたいものがやっと見つかったよ!」
「あら、それは良いことざますね」
「僕……ハンターになる!」
その瞬間、笑顔だった母親の表情が明らかに引きつった。
●
「ああ、なんということざましょう……私の可愛いユーリちゃんが……ハンターなどという野蛮な……」
先日愛する息子から聞かされたことは彼女にとってまさに青天の霹靂であった。言葉の途中で首を激しく左右に振る。
「ユーリちゃん。貴方は真実を知らないんざます。待っているざます。ママがちゃんと目を覚まさせてあげるざますよ」
母親はぶつぶつと呟きながら、ある建物の扉をくぐった。
●
「いらっしゃいま……せ……?」
グラズヘイム王国の一画にあるハンターオフィスの受付嬢は、入って来た客の方を見やりながら歓迎の言葉を発したが、その言葉は途中でかすれ声となった。
客である一人の婦人が、なぜか敵意に満ちた表情で自分に向かってまっすぐ歩いてきたからだ。受付嬢の側までやってきた婦人は両手をカウンターに激しくついた。受付嬢は顔を引きつらせてのけぞる。
「もしもし? ここはハンターオフィスざますね?」
「は、はい、その通りですが」
「聞くざます!」
「はは、はいっ!?」
受付嬢は意味も分からないまま背筋をピンと伸ばした。
「私の愛する息子、ユーリちゃんがハンターになりたいなどと言い出したのざます!」
「……そ、そうなんですか。それは立派ですね」
「何が立派なんざますか!」
「す、すみません!!」
「愛するユーリちゃんに何かあったらどうするざますか!? ユーリちゃんにはもっとふさわしい仕事があるざます……ハンターなど……ハンターなど……」
しばらく一人でぶつぶつと言っていた女性だったが、やがて顔をあげ、受付嬢を正面から見据えてオフィス内に響き渡る大声を発した。
「ハンターなどという野蛮で汚くてきつくて危険な仕事につかせるのはやめさせたいざます!」
――ガタガタガタッ!
母親の言葉にオフィス内にいたハンター達は額に青筋を浮かべて一斉に立ち上がる。
「収入は安定せず、泊まりは日常茶飯事でベッドで眠れない日が続くという話も聞いたことあるざます! うちのユーリちゃんにそんなことはさせられないざます!」
「あ、あのっ……! 出来たらもう少し小声で……!!」
ハンター達から注がれる憤怒の視線に怯え、受付嬢は必死で訴える。しかし目の前の相手は改める様子もない。
「そこで汚くてきつい仕事を受けて苦労しているハンター達の姿をユーリちゃんに見学させるざます! そうすればユーリちゃんも馬鹿な考えは捨てるはずざますよ! どうせあるんざましょ!? ハンターにふさわしい汚くてきつい仕事が!」
「は、はあ……おっしゃりたいことは分かりました……」
ますます鋭さを増しているハンター達からの視線に耐えながら、受付嬢はカウンターからファイルを取り出し、開いた。ページを進めていく途中で受付嬢の手が止まる。
そこにはある依頼の内容が書かれた一枚の紙があった。目の前にいる婦人の要求を満たせるものである。
実際、汚くてきつい仕事になりそうだったため、受けてくれるハンターがいなさそうだなと思っていたのだが、これはある意味渡りに船だとも言えるだろう。
「危険なのは今回は無しざます! ユーリちゃんに怪我をさせるわけにはいかないざます!」
受付嬢は依頼の内容をもう一度確認してうなずいた。幸い、予想される敵の強さはさほどではない。
「分かりました。ユーリ君に危険が及ばないように気をつけてもらいましょう」
「頼みましたざますよ。ああ、もちろん本当の目的はユーリちゃんに伝えないようにお願いするざますね?」
「はい。お任せください。ユーリ君にもちゃんとハンターがどういうものかは知っておいて欲しいですからね」
「ではユーリちゃんには私から伝えておくざます。それでは失礼するざます」
ハンター達の怒りの眼差しに気付いた様子もなく、母親は上機嫌で出て行った。
「え、えーと。お聞きしたとは思いますが、皆さんにちょっとお願いがあるんですけど……」
受付嬢は恐る恐るといった風情で、オフィス内で人員を募った。
「ねえねえお母さん!」
「どうしたんざます? ユーリちゃん」
「僕、大人になった時になりたいものがやっと見つかったよ!」
「あら、それは良いことざますね」
「僕……ハンターになる!」
その瞬間、笑顔だった母親の表情が明らかに引きつった。
●
「ああ、なんということざましょう……私の可愛いユーリちゃんが……ハンターなどという野蛮な……」
先日愛する息子から聞かされたことは彼女にとってまさに青天の霹靂であった。言葉の途中で首を激しく左右に振る。
「ユーリちゃん。貴方は真実を知らないんざます。待っているざます。ママがちゃんと目を覚まさせてあげるざますよ」
母親はぶつぶつと呟きながら、ある建物の扉をくぐった。
●
「いらっしゃいま……せ……?」
グラズヘイム王国の一画にあるハンターオフィスの受付嬢は、入って来た客の方を見やりながら歓迎の言葉を発したが、その言葉は途中でかすれ声となった。
客である一人の婦人が、なぜか敵意に満ちた表情で自分に向かってまっすぐ歩いてきたからだ。受付嬢の側までやってきた婦人は両手をカウンターに激しくついた。受付嬢は顔を引きつらせてのけぞる。
「もしもし? ここはハンターオフィスざますね?」
「は、はい、その通りですが」
「聞くざます!」
「はは、はいっ!?」
受付嬢は意味も分からないまま背筋をピンと伸ばした。
「私の愛する息子、ユーリちゃんがハンターになりたいなどと言い出したのざます!」
「……そ、そうなんですか。それは立派ですね」
「何が立派なんざますか!」
「す、すみません!!」
「愛するユーリちゃんに何かあったらどうするざますか!? ユーリちゃんにはもっとふさわしい仕事があるざます……ハンターなど……ハンターなど……」
しばらく一人でぶつぶつと言っていた女性だったが、やがて顔をあげ、受付嬢を正面から見据えてオフィス内に響き渡る大声を発した。
「ハンターなどという野蛮で汚くてきつくて危険な仕事につかせるのはやめさせたいざます!」
――ガタガタガタッ!
母親の言葉にオフィス内にいたハンター達は額に青筋を浮かべて一斉に立ち上がる。
「収入は安定せず、泊まりは日常茶飯事でベッドで眠れない日が続くという話も聞いたことあるざます! うちのユーリちゃんにそんなことはさせられないざます!」
「あ、あのっ……! 出来たらもう少し小声で……!!」
ハンター達から注がれる憤怒の視線に怯え、受付嬢は必死で訴える。しかし目の前の相手は改める様子もない。
「そこで汚くてきつい仕事を受けて苦労しているハンター達の姿をユーリちゃんに見学させるざます! そうすればユーリちゃんも馬鹿な考えは捨てるはずざますよ! どうせあるんざましょ!? ハンターにふさわしい汚くてきつい仕事が!」
「は、はあ……おっしゃりたいことは分かりました……」
ますます鋭さを増しているハンター達からの視線に耐えながら、受付嬢はカウンターからファイルを取り出し、開いた。ページを進めていく途中で受付嬢の手が止まる。
そこにはある依頼の内容が書かれた一枚の紙があった。目の前にいる婦人の要求を満たせるものである。
実際、汚くてきつい仕事になりそうだったため、受けてくれるハンターがいなさそうだなと思っていたのだが、これはある意味渡りに船だとも言えるだろう。
「危険なのは今回は無しざます! ユーリちゃんに怪我をさせるわけにはいかないざます!」
受付嬢は依頼の内容をもう一度確認してうなずいた。幸い、予想される敵の強さはさほどではない。
「分かりました。ユーリ君に危険が及ばないように気をつけてもらいましょう」
「頼みましたざますよ。ああ、もちろん本当の目的はユーリちゃんに伝えないようにお願いするざますね?」
「はい。お任せください。ユーリ君にもちゃんとハンターがどういうものかは知っておいて欲しいですからね」
「ではユーリちゃんには私から伝えておくざます。それでは失礼するざます」
ハンター達の怒りの眼差しに気付いた様子もなく、母親は上機嫌で出て行った。
「え、えーと。お聞きしたとは思いますが、皆さんにちょっとお願いがあるんですけど……」
受付嬢は恐る恐るといった風情で、オフィス内で人員を募った。
リプレイ本文
●
「私、ニンジャでプロカードゲーマーのルンルンって言います、ユーリくん今日はよろしくね」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はにこやかな笑顔と共に目の前の少年に話しかけた。
「はいっ! ハンターの皆さん! 今日はよろしくお願いします!」
今日は待ちに待った日なのだ。
ハンターにあこがれる少年、ユーリは元気一杯の挨拶と共に頭を下げた。
「へぇ~、大人になったらハンターになりたい? 私なんかは、子ども子どもって言われるけど、もうハンターだけどね!」
と自慢げに語るのは夢路 まよい(ka1328)だ。
ユーリは自分よりも少しだけ年嵩に見える少女がすでにハンターとして活躍していると聞き、目を輝かせる。
「あ、私はハンターの中でも、魔術師やってるんだ。魔法は面白いよ~。色々できて便利だし、いっぺんに敵をバッタバッタ倒せたりするし!」
「すごいですね!」
はしゃいでいるユーリをのんびりと見つめている一人のエンフォーサーが呟く。
「……見学かぁ。でも、することは一緒だから(……今日は雑魔、もって帰れないかなぁ)」
ミノア・エデン(ka1540)は今日の晩御飯用に倒した雑魔を持って帰れないだろうかと考えていたが、彼女の目論見を知ったら仲間たちはこぞって止めただろう。
仮に、倒した雑魔が消滅せずに残ったとしても、持ち帰りするのは明らかに危険だ。何しろ今日の雑魔は下水道を住処にしているからだ。健康を損なう可能性大である。
「ユーリは下水道にもぐる事知ってるのかしら?」
ユーリの様子を見て八原 篝(ka3104)は首をかしげた。
彼のはしゃぎぷりっからすると、どうも詳しいことは聞かされていないようだ。動きやすそうな格好はしているものの、不安になる。
「ユーリ、これをつけておきなさい」
と、篝は予備のレザーグローブ、キャスケット、LEDライトを手渡した。
「うわあ、格好いいですね、これ!」
手渡されたものを楽しげに身につけるユーリ。
「……心配で構ってしまうわね。10歳くらいなら、わたしにとっては小学生の小さい子って感覚だし」
篝は少年を見つめながらそう呟いた。
「野蛮で汚くてきつくて危険な仕事、か。……あながち間違いでもない」
ユーリの母親がハンターオフィスを訪ねて来た時の顛末を目にしていた夕鶴(ka3204)は、彼女がハンターのことを評して言った言葉を思い出し、一人ごちる。
ユーリの母親は息子につらい目に会ってほしくないという、親心から今回の依頼をするに至ったのである。もちろん母親の思い込みが激しい部分もあったが、それは決して間違いではなかった。
「私とて歩む道が違えば、王国や帝国に仕える一兵士だったかもしれないな。いずれにせよ、楽では無かっただろう。仕事とはそういうものだ」
夕鶴はうなずく。ユーリに対し、ちゃんと受けた依頼を完遂するところを見せねばなるまい。
「今回の仕事、絶対に臭いよね。まぁいいや」
結構大事なことをあっさりと流した藤堂 小夏(ka5489)。彼女は今回ユーリの護衛に徹すると決めていた。
「私から離れちゃだめだよー」
ユーリが下水道で迷子にならないように、ユーリに言って聞かせる小夏。
「臭いがきついだろうしマスクをしておくれ」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)もユーリの側に来ると、マスクを手渡した。
「あと離れないこと、取り乱さないようにの。なに、何かあれば我々が命にかえても守ってやる」
さらっと惚れてしまいそうになる言葉を口にするレーヴェ。
「うん! ありがとうお姉さんたち!」
ユーリはキラキラとした瞳を彼女達に向けている。
「どれ。見聞を広めるため、社会見学といこうではないか」
シャウラ・アルアイユーク(ka2430)の言葉で、ハンター8人とユーリはやがて地下下水道への一歩を踏み出した。
●
「酷い場所だ……発展した城下の地下がこれ程までに汚れていたとは……」
石の通路を歩くハンター達。
横手には下水が流れており、いやーな匂いが漂ってきている。もちろん、見た感じ水質も酷いもののように思える。
「こ、こんな風になってるんですね、王国の地下って……」
「うむ。飛び出さぬようにな、少年」
シャウラの忠告にユーリはこくこくと頷く。
薄布を被せて光量を抑えたハンディLEDライトで天井、床を照らすシャウラ。ユーリも見よう見まねで手持ちのライトで地下の壁をなぞる。
「滑らないように気をつけてね」
「足元に注意するのじゃぞ」
篝、レーヴェはユーリに注意を促しつつ、自分たちも周囲を照らす。
小夏もユーリに寄り添い、何か近づく者がいないかと耳をすませている。
ユーリの近くを歩いていたルンルンが、彼に気さくに話しかけた。
「ところでユーリくん、どうしてハンターの仕事見たいって思ったの?」
「格好いいハンターになりたいと思ったんです。それで実際の姿を見たくなって……簡単に考えすぎでしょうか?」
子供らしい理由を無邪気に答えるユーリ。
「そうか。良いと思うぞ、そんな理由でも」
側で聴いていたレーヴェは笑顔で彼を肯定した。
ユーリははにかみ、ルンルンになぜハンターになったかを尋ねた。
「私がハンターになった理由……地球からこっちの東方に一人でいきなり来ちゃったから、これも運命かと思って!」
「リアルブルーから来たんですか! 凄いです!」
クリムゾンウェストで生まれたユーリは、目の前にいるのが転移者だと知ってさらに胸を躍らせた。
そんな中、流る月夜のカンデラールを手に前方を警戒していたまよいは目を細めた。鋭敏な視覚を持つ彼女に何か動く影が見えたのだ。仲間を制すると共に、注意深く前方を見据えるまよい。
彼女の瞳に映るのは、闇に蠢く無数の異形の者達。
まよいはすばやくフェアリーワンドをかざす。機先を制すとばかりに放たれたライトニングボルトが閃光となり、闇を切り裂く。巻き込まれた雑魔の群れは吹き飛び、あるいは消滅した。
それが遭遇戦の開始の合図となった。
●
「私は絶っっ対に下水に入水などしたくはないぞ!!」
シャウラの言葉は全員が内心思っていたことであろう。ハンター達は水路に落ちないように素早く陣形を整えた。普通に歩ける場所はあまり広くはない。まよいは必要ならば仲間にウォーターウォークをかけるつもりだ。文字通り、水の上を歩くことができるスキルである。下水の流れはそこまで速くなく、スキルがかかれば戦闘はともかく移動手段の一つにはなりそうだ。
ミノアはアックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」を手に前へと出た。雷光に撃たれなかった雑魔の群れが襲い掛かってくる。
雑魔を後ろに通さないように気をつけながら、目についた敵――巨大なネズミ型の雑魔へと強く踏み込み、思い切り得物を振るった。
刃に断たれ、あっさりと消滅する雑魔。
夕鶴もミノアと同じように前に立ち、果敢に騎士剣「ローレル・ライン」で敵を切りつける。普段は両手剣を操る彼女だったが、今回は取り回しのよい片手で操れる剣を選んでいた。
夕鶴に飛びかかろうとした雑魔は逆に切り伏せられ、無へと帰した。
レーヴェは天井を這う不快な形をした虫型の何かを見つけ、ライフル「ペネトレイトC26」のトリガーを引いた。レイターコールドショットにより冷気をまとった弾丸はその雑魔を一撃で凍らせ、そのまま粉砕させる。
戦いの最中、後方から聞こえた異音に小夏が気付き、首をめぐらせた。
ちょうど、そこには下水の中から通路に上がろうとしていたスライムの群れがいた。彼女が気付かなかったら危うく背後から襲われるところであった。
小夏が仲間に注意を促し、ルンルンが応える。
「ユーリくん、私達の後ろに。そこでトラップカード発動……」
ルンルンの放った地縛符が彼我の間に不可視の結界を築いた。一体のスライムはそれに捕らわれ、動きを止める。
小夏はすばやく魔導拳銃「ベンティスカ」を引き抜き、狙いをつけた。
「こっち来ないでよね。臭いから」
心を抉るような言葉と共にスライムに向けて発砲する小夏。しかし、銃弾だけではスライムを倒すには至らず、雑魔はまだぴんぴんしている。スライムに心があったら言葉で多大なダメージを負わせられたかもしれないが。
小夏はユーリが飛び出してしまったりしないように彼の襟をぎゅっと掴む。恐怖のあまり取り乱しそうになっていたユーリは多少冷静な心を取り戻せた。
篝もヒートソードを構えた。近づくスライムの前に立ち塞がり、一閃する。赤熱する刃がスライムを切り裂いた。
しかし、スライムはそのしぶとさもあってまだ動いている。篝にまとわりつき、彼女は不快な感触に顔をしかめた。
刹那、後方から飛翔した四角い数枚の札が粘体に突き刺さる。シャウラのスローイングカードだ。
(……虫も鼠もスライムも、何もかもが汚い。だが流石にメンバーの前で取り乱す訳にもいかぬ)
精神に傷を負いながらもそれを見せまいとするシャウラ。先ほどから叫びたい気持ちでいっぱいなのだ。
(それでも婦人の前だ。取り繕い、カッコは付ける……ぞ……)
次のカードを取り出す彼の横で、ルンルンが宙へと陰陽護符を放り投げた。
「ジュゲームリリカル、ルンルン忍法三雷神&シュリケーン!」
風雷陣によって生まれた稲妻がスライム三体をそれぞれ貫いた。それが終わるとすぐに手裏剣「八握剣」を構えるルンルン。
ハンター達の連携攻撃により、ついに一体のスライムが崩れ落ち、消滅した。大した反撃も受けることなく、彼らはそのままスライム達を駆逐していく。
ミノア、夕鶴も目の前のネズミ雑魔達をそれぞれの武器で切り払う。
二人の視線の先には新たな雑魔の群れが見えていたが、まよいのスリープクラウドが後続の雑魔を眠らせた。
ハンターの背後から出現していたスライムも、ついに最後の一体のみとなる。
本能的に危機を悟ったか、すばやく下水の中に逃げ込んだ最後のスライムだったが、一発の銃弾が貫き、汚れた水の中でスライムは消滅した。
レーヴェがこんなこともあろうかと持ち込んでいた水中銃である。
後方の憂いが無くなった後、ミノアと夕鶴はさきほどスリープクラウドによって眠らされた雑魔の下に駆け寄り、素早く彼らを屠った。
とりあえず危機は去ったようだ。
シャウラは持ち込んでいた鏡を覗き込み、自分の体が汚水などで汚れてないかを入念にチェックしている。目ざとく汚れを見つけ、神経質そうにハンカチでついたそれをぬぐうシャウラ。
ミノアと篝は自分が受けた傷をマテリアルヒーリングによって癒した。
夕鶴もダメージを負っていたが、それも大した傷ではない。
篝はヒートソードをしまい、ユーリの側に歩み寄る。
「皆が普通に生活しているすぐ足元にもこういうものが居る。……ちょっと怖いと思わない?」
篝の言葉に、まだ興奮冷めやらぬユーリはぼうっとしたような表情で頷いた。
●
軽い休息の後、再び王国地下を歩き始めたハンター達。
広大な地下下水道を歩くなかで何度か現在地が分からなくなり、立ち止まることもしばしばあった。
「こっちだよ」
その度にミノアがすたすたと歩いていく。
サバイバル技術に長けているからか、持ち前の方向感覚の賜物か、正しい方向がなんとなく分かるらしい。
一応簡易地図を借りてきていたハンター達は、ミノアが進む方角に間違いがないことに驚きながらも後に続いた。
それからも敵は散発的に現れたものの、苦戦することはなかった。ユーリも彼らに言い含められていた通り、危険な行動は取らず、じっとハンター達の活躍を見続けていた。
シャウラはある時、巣穴と思しき横穴に干し肉の刻んで撒いた。たちまち鼠が群がり、それらに混ざるように現れた大型の鼠――雑魔がハンター達に襲い掛かってきたが、あっさりとそれを全員で返り討ちにする。
天井や壁に張り付くうねうねした虫型の雑魔を、文字通り綺麗に掃除していくことも忘れない。
依頼を受けた際に聞いていた通り強敵はいなかったが、とにかく汚くてきつい仕事ではあった。最初の戦い以降、特に怪我も負わなかったのだが精神的に疲労した。
しかしそれをユーリの手前おくびにも出さず、なんとか今回の依頼は完遂できたのである。
●
――はあーーーーーーーーーっ。
誰からともなく、地上に戻ってきた彼らは深呼吸をした。
空気が美味い。
さきほどまでのよどんだ空間に比べると、まさにここは天国である。
「まずは湯浴みかの。勿論ユーリも」
レーヴェが全員を見回して言った。
今、彼らは鼻が麻痺しているが、かなりの異臭を放っているはずだ。
シャウラは管理者へ返却するため仲間達から地図を回収した。彼ももちろん早く風呂に入りたいと思っている。なお、地下から出てくるまでなんとか悲鳴をあげずにすんだ。
ちなみにミノアにとっては幸か不幸か、雑魔をお持ち帰りすることは出来なかった。
「さて、ユーリ少年」
「は、はいっ!」
夕鶴はユーリに話しかけた。
「ハンターの仕事と一口に言っても、その内容は様々だ。中には今日とは違い、華々しいものもある。……それほど多くはないがな」
ユーリは何も言わずに耳を傾けている。
「また機会があれば、他の皆の仕事ぶりも見てみるといい。これから歩む道を決めるのは、その後でも遅くはないだろう」
「は、はい……確かに僕がぼんやりと思ってたものとは全然違いました……。正直言ってつらくて怖かったです……」
「そ~かもね~。でも、私はユーリ君がしょ~らい危険な目にあったとしても、好きなことやるためだったら別にしょ~がないんじゃないかな、って思うから気にしないな」
無邪気に、でもある意味残酷なことを口にするまよい。
「実際の仕事を見て何を感じたかの? ま、たった1回の仕事を見ただけじゃ。今決められなくてもこれからゆっくり見定めればよい。大切なのはどんな仕事でも投げ出さない意志よ」
レーヴェが優しく諭すように言った。
「わたしがハンターになると両親に言った時は反対された。と言うより怒られたっけ。せっかくヴォイドの襲撃から家族みんなで助かったのにって。苦労して説得したの思い出すわね」
篝がぶっきらぼうに呟く。
ユーリは自分が簡単に考えていたことを反省した。
ハンターになるということは、決して格好いいという単純な言葉だけで言い表せるものではない。
しかし……。
●
「だ、大丈夫だったざますか!? 怪我とかしてないざますか!?」
「うん。平気だったよ。ハンターの皆さんが守ってくれたから」
「そ、そうざますか。それでどうだったざますか? ハンターは?」
「……そうだね。僕が思ってたほど簡単じゃないのかも……」
「そうざますよね!!」
してやったりと笑う母親。しかし、ユーリの心の中には確かに燃え盛る灯火がきらめいていた。
「私、ニンジャでプロカードゲーマーのルンルンって言います、ユーリくん今日はよろしくね」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)はにこやかな笑顔と共に目の前の少年に話しかけた。
「はいっ! ハンターの皆さん! 今日はよろしくお願いします!」
今日は待ちに待った日なのだ。
ハンターにあこがれる少年、ユーリは元気一杯の挨拶と共に頭を下げた。
「へぇ~、大人になったらハンターになりたい? 私なんかは、子ども子どもって言われるけど、もうハンターだけどね!」
と自慢げに語るのは夢路 まよい(ka1328)だ。
ユーリは自分よりも少しだけ年嵩に見える少女がすでにハンターとして活躍していると聞き、目を輝かせる。
「あ、私はハンターの中でも、魔術師やってるんだ。魔法は面白いよ~。色々できて便利だし、いっぺんに敵をバッタバッタ倒せたりするし!」
「すごいですね!」
はしゃいでいるユーリをのんびりと見つめている一人のエンフォーサーが呟く。
「……見学かぁ。でも、することは一緒だから(……今日は雑魔、もって帰れないかなぁ)」
ミノア・エデン(ka1540)は今日の晩御飯用に倒した雑魔を持って帰れないだろうかと考えていたが、彼女の目論見を知ったら仲間たちはこぞって止めただろう。
仮に、倒した雑魔が消滅せずに残ったとしても、持ち帰りするのは明らかに危険だ。何しろ今日の雑魔は下水道を住処にしているからだ。健康を損なう可能性大である。
「ユーリは下水道にもぐる事知ってるのかしら?」
ユーリの様子を見て八原 篝(ka3104)は首をかしげた。
彼のはしゃぎぷりっからすると、どうも詳しいことは聞かされていないようだ。動きやすそうな格好はしているものの、不安になる。
「ユーリ、これをつけておきなさい」
と、篝は予備のレザーグローブ、キャスケット、LEDライトを手渡した。
「うわあ、格好いいですね、これ!」
手渡されたものを楽しげに身につけるユーリ。
「……心配で構ってしまうわね。10歳くらいなら、わたしにとっては小学生の小さい子って感覚だし」
篝は少年を見つめながらそう呟いた。
「野蛮で汚くてきつくて危険な仕事、か。……あながち間違いでもない」
ユーリの母親がハンターオフィスを訪ねて来た時の顛末を目にしていた夕鶴(ka3204)は、彼女がハンターのことを評して言った言葉を思い出し、一人ごちる。
ユーリの母親は息子につらい目に会ってほしくないという、親心から今回の依頼をするに至ったのである。もちろん母親の思い込みが激しい部分もあったが、それは決して間違いではなかった。
「私とて歩む道が違えば、王国や帝国に仕える一兵士だったかもしれないな。いずれにせよ、楽では無かっただろう。仕事とはそういうものだ」
夕鶴はうなずく。ユーリに対し、ちゃんと受けた依頼を完遂するところを見せねばなるまい。
「今回の仕事、絶対に臭いよね。まぁいいや」
結構大事なことをあっさりと流した藤堂 小夏(ka5489)。彼女は今回ユーリの護衛に徹すると決めていた。
「私から離れちゃだめだよー」
ユーリが下水道で迷子にならないように、ユーリに言って聞かせる小夏。
「臭いがきついだろうしマスクをしておくれ」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)もユーリの側に来ると、マスクを手渡した。
「あと離れないこと、取り乱さないようにの。なに、何かあれば我々が命にかえても守ってやる」
さらっと惚れてしまいそうになる言葉を口にするレーヴェ。
「うん! ありがとうお姉さんたち!」
ユーリはキラキラとした瞳を彼女達に向けている。
「どれ。見聞を広めるため、社会見学といこうではないか」
シャウラ・アルアイユーク(ka2430)の言葉で、ハンター8人とユーリはやがて地下下水道への一歩を踏み出した。
●
「酷い場所だ……発展した城下の地下がこれ程までに汚れていたとは……」
石の通路を歩くハンター達。
横手には下水が流れており、いやーな匂いが漂ってきている。もちろん、見た感じ水質も酷いもののように思える。
「こ、こんな風になってるんですね、王国の地下って……」
「うむ。飛び出さぬようにな、少年」
シャウラの忠告にユーリはこくこくと頷く。
薄布を被せて光量を抑えたハンディLEDライトで天井、床を照らすシャウラ。ユーリも見よう見まねで手持ちのライトで地下の壁をなぞる。
「滑らないように気をつけてね」
「足元に注意するのじゃぞ」
篝、レーヴェはユーリに注意を促しつつ、自分たちも周囲を照らす。
小夏もユーリに寄り添い、何か近づく者がいないかと耳をすませている。
ユーリの近くを歩いていたルンルンが、彼に気さくに話しかけた。
「ところでユーリくん、どうしてハンターの仕事見たいって思ったの?」
「格好いいハンターになりたいと思ったんです。それで実際の姿を見たくなって……簡単に考えすぎでしょうか?」
子供らしい理由を無邪気に答えるユーリ。
「そうか。良いと思うぞ、そんな理由でも」
側で聴いていたレーヴェは笑顔で彼を肯定した。
ユーリははにかみ、ルンルンになぜハンターになったかを尋ねた。
「私がハンターになった理由……地球からこっちの東方に一人でいきなり来ちゃったから、これも運命かと思って!」
「リアルブルーから来たんですか! 凄いです!」
クリムゾンウェストで生まれたユーリは、目の前にいるのが転移者だと知ってさらに胸を躍らせた。
そんな中、流る月夜のカンデラールを手に前方を警戒していたまよいは目を細めた。鋭敏な視覚を持つ彼女に何か動く影が見えたのだ。仲間を制すると共に、注意深く前方を見据えるまよい。
彼女の瞳に映るのは、闇に蠢く無数の異形の者達。
まよいはすばやくフェアリーワンドをかざす。機先を制すとばかりに放たれたライトニングボルトが閃光となり、闇を切り裂く。巻き込まれた雑魔の群れは吹き飛び、あるいは消滅した。
それが遭遇戦の開始の合図となった。
●
「私は絶っっ対に下水に入水などしたくはないぞ!!」
シャウラの言葉は全員が内心思っていたことであろう。ハンター達は水路に落ちないように素早く陣形を整えた。普通に歩ける場所はあまり広くはない。まよいは必要ならば仲間にウォーターウォークをかけるつもりだ。文字通り、水の上を歩くことができるスキルである。下水の流れはそこまで速くなく、スキルがかかれば戦闘はともかく移動手段の一つにはなりそうだ。
ミノアはアックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」を手に前へと出た。雷光に撃たれなかった雑魔の群れが襲い掛かってくる。
雑魔を後ろに通さないように気をつけながら、目についた敵――巨大なネズミ型の雑魔へと強く踏み込み、思い切り得物を振るった。
刃に断たれ、あっさりと消滅する雑魔。
夕鶴もミノアと同じように前に立ち、果敢に騎士剣「ローレル・ライン」で敵を切りつける。普段は両手剣を操る彼女だったが、今回は取り回しのよい片手で操れる剣を選んでいた。
夕鶴に飛びかかろうとした雑魔は逆に切り伏せられ、無へと帰した。
レーヴェは天井を這う不快な形をした虫型の何かを見つけ、ライフル「ペネトレイトC26」のトリガーを引いた。レイターコールドショットにより冷気をまとった弾丸はその雑魔を一撃で凍らせ、そのまま粉砕させる。
戦いの最中、後方から聞こえた異音に小夏が気付き、首をめぐらせた。
ちょうど、そこには下水の中から通路に上がろうとしていたスライムの群れがいた。彼女が気付かなかったら危うく背後から襲われるところであった。
小夏が仲間に注意を促し、ルンルンが応える。
「ユーリくん、私達の後ろに。そこでトラップカード発動……」
ルンルンの放った地縛符が彼我の間に不可視の結界を築いた。一体のスライムはそれに捕らわれ、動きを止める。
小夏はすばやく魔導拳銃「ベンティスカ」を引き抜き、狙いをつけた。
「こっち来ないでよね。臭いから」
心を抉るような言葉と共にスライムに向けて発砲する小夏。しかし、銃弾だけではスライムを倒すには至らず、雑魔はまだぴんぴんしている。スライムに心があったら言葉で多大なダメージを負わせられたかもしれないが。
小夏はユーリが飛び出してしまったりしないように彼の襟をぎゅっと掴む。恐怖のあまり取り乱しそうになっていたユーリは多少冷静な心を取り戻せた。
篝もヒートソードを構えた。近づくスライムの前に立ち塞がり、一閃する。赤熱する刃がスライムを切り裂いた。
しかし、スライムはそのしぶとさもあってまだ動いている。篝にまとわりつき、彼女は不快な感触に顔をしかめた。
刹那、後方から飛翔した四角い数枚の札が粘体に突き刺さる。シャウラのスローイングカードだ。
(……虫も鼠もスライムも、何もかもが汚い。だが流石にメンバーの前で取り乱す訳にもいかぬ)
精神に傷を負いながらもそれを見せまいとするシャウラ。先ほどから叫びたい気持ちでいっぱいなのだ。
(それでも婦人の前だ。取り繕い、カッコは付ける……ぞ……)
次のカードを取り出す彼の横で、ルンルンが宙へと陰陽護符を放り投げた。
「ジュゲームリリカル、ルンルン忍法三雷神&シュリケーン!」
風雷陣によって生まれた稲妻がスライム三体をそれぞれ貫いた。それが終わるとすぐに手裏剣「八握剣」を構えるルンルン。
ハンター達の連携攻撃により、ついに一体のスライムが崩れ落ち、消滅した。大した反撃も受けることなく、彼らはそのままスライム達を駆逐していく。
ミノア、夕鶴も目の前のネズミ雑魔達をそれぞれの武器で切り払う。
二人の視線の先には新たな雑魔の群れが見えていたが、まよいのスリープクラウドが後続の雑魔を眠らせた。
ハンターの背後から出現していたスライムも、ついに最後の一体のみとなる。
本能的に危機を悟ったか、すばやく下水の中に逃げ込んだ最後のスライムだったが、一発の銃弾が貫き、汚れた水の中でスライムは消滅した。
レーヴェがこんなこともあろうかと持ち込んでいた水中銃である。
後方の憂いが無くなった後、ミノアと夕鶴はさきほどスリープクラウドによって眠らされた雑魔の下に駆け寄り、素早く彼らを屠った。
とりあえず危機は去ったようだ。
シャウラは持ち込んでいた鏡を覗き込み、自分の体が汚水などで汚れてないかを入念にチェックしている。目ざとく汚れを見つけ、神経質そうにハンカチでついたそれをぬぐうシャウラ。
ミノアと篝は自分が受けた傷をマテリアルヒーリングによって癒した。
夕鶴もダメージを負っていたが、それも大した傷ではない。
篝はヒートソードをしまい、ユーリの側に歩み寄る。
「皆が普通に生活しているすぐ足元にもこういうものが居る。……ちょっと怖いと思わない?」
篝の言葉に、まだ興奮冷めやらぬユーリはぼうっとしたような表情で頷いた。
●
軽い休息の後、再び王国地下を歩き始めたハンター達。
広大な地下下水道を歩くなかで何度か現在地が分からなくなり、立ち止まることもしばしばあった。
「こっちだよ」
その度にミノアがすたすたと歩いていく。
サバイバル技術に長けているからか、持ち前の方向感覚の賜物か、正しい方向がなんとなく分かるらしい。
一応簡易地図を借りてきていたハンター達は、ミノアが進む方角に間違いがないことに驚きながらも後に続いた。
それからも敵は散発的に現れたものの、苦戦することはなかった。ユーリも彼らに言い含められていた通り、危険な行動は取らず、じっとハンター達の活躍を見続けていた。
シャウラはある時、巣穴と思しき横穴に干し肉の刻んで撒いた。たちまち鼠が群がり、それらに混ざるように現れた大型の鼠――雑魔がハンター達に襲い掛かってきたが、あっさりとそれを全員で返り討ちにする。
天井や壁に張り付くうねうねした虫型の雑魔を、文字通り綺麗に掃除していくことも忘れない。
依頼を受けた際に聞いていた通り強敵はいなかったが、とにかく汚くてきつい仕事ではあった。最初の戦い以降、特に怪我も負わなかったのだが精神的に疲労した。
しかしそれをユーリの手前おくびにも出さず、なんとか今回の依頼は完遂できたのである。
●
――はあーーーーーーーーーっ。
誰からともなく、地上に戻ってきた彼らは深呼吸をした。
空気が美味い。
さきほどまでのよどんだ空間に比べると、まさにここは天国である。
「まずは湯浴みかの。勿論ユーリも」
レーヴェが全員を見回して言った。
今、彼らは鼻が麻痺しているが、かなりの異臭を放っているはずだ。
シャウラは管理者へ返却するため仲間達から地図を回収した。彼ももちろん早く風呂に入りたいと思っている。なお、地下から出てくるまでなんとか悲鳴をあげずにすんだ。
ちなみにミノアにとっては幸か不幸か、雑魔をお持ち帰りすることは出来なかった。
「さて、ユーリ少年」
「は、はいっ!」
夕鶴はユーリに話しかけた。
「ハンターの仕事と一口に言っても、その内容は様々だ。中には今日とは違い、華々しいものもある。……それほど多くはないがな」
ユーリは何も言わずに耳を傾けている。
「また機会があれば、他の皆の仕事ぶりも見てみるといい。これから歩む道を決めるのは、その後でも遅くはないだろう」
「は、はい……確かに僕がぼんやりと思ってたものとは全然違いました……。正直言ってつらくて怖かったです……」
「そ~かもね~。でも、私はユーリ君がしょ~らい危険な目にあったとしても、好きなことやるためだったら別にしょ~がないんじゃないかな、って思うから気にしないな」
無邪気に、でもある意味残酷なことを口にするまよい。
「実際の仕事を見て何を感じたかの? ま、たった1回の仕事を見ただけじゃ。今決められなくてもこれからゆっくり見定めればよい。大切なのはどんな仕事でも投げ出さない意志よ」
レーヴェが優しく諭すように言った。
「わたしがハンターになると両親に言った時は反対された。と言うより怒られたっけ。せっかくヴォイドの襲撃から家族みんなで助かったのにって。苦労して説得したの思い出すわね」
篝がぶっきらぼうに呟く。
ユーリは自分が簡単に考えていたことを反省した。
ハンターになるということは、決して格好いいという単純な言葉だけで言い表せるものではない。
しかし……。
●
「だ、大丈夫だったざますか!? 怪我とかしてないざますか!?」
「うん。平気だったよ。ハンターの皆さんが守ってくれたから」
「そ、そうざますか。それでどうだったざますか? ハンターは?」
「……そうだね。僕が思ってたほど簡単じゃないのかも……」
「そうざますよね!!」
してやったりと笑う母親。しかし、ユーリの心の中には確かに燃え盛る灯火がきらめいていた。
依頼結果
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MVP一覧
- スライムの御遣い
藤堂 小夏(ka5489)
重体一覧
参加者一覧
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/19 18:25:49 |
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相談卓 シャウラ・アルアイユーク(ka2430) 人間(クリムゾンウェスト)|22才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/03/19 18:28:16 |