大江家の忠臣、墓参りを望む

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/03/22 19:00
完成日
2016/03/27 20:15

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●庭
 梅の花が香る。
 しばらくすると桜が咲き、初夏が来る。
 縁側に座り眺めていた三人の爺は幸せをかみしめ、そして、ここに至る道のりに消えた命を思う。
「お嬢様も立派になられた」
「子どもらも大きくなって今では、宗主を立ててやっていけよう」
「まさか、また鬼が雇われているとはのぉ」
 エトファリカ連邦国で去年は訪れると思わなかったこの平穏さ。
 狭い都の中であり、庭の中に畑があったりしても、それはそれで幸せなのだ。妖怪がいつ攻めて来るのか分からず、震えることはない。まだ、妖怪は多くいるがそれでも、都の中心部まで突然湧くようなことはない。
「……紅葉様も一時期どうなるかと思ったがのぉ」
「若葉様が亡くなったときは……わしらとてつらかったからの」
「それ以上に、宗主が妖怪に与するのではと噂立ったのも嫌じゃッたなぁ」
 しみじみと三人は話す。怒りも悲しみも、悦びも平坦に紡がれる。
 時々、お茶をすすり、お菓子を食べる。
「梅の木によく登っておったのぉ」
「登って叱られ、折って叱られ」
「活発なお子だったからのうぉ紅葉様は」
 この家の主である大江 紅葉(kz0163)は最近忙しそうにしている。今この話を聞いていたとしても、微笑んで顔を赤くするしかできない。この爺様たちには頭が上がらない、大江家宗主としていられるのは古くからの家臣のお蔭であるから。
「ご宗主にお子が生まれたら可愛かろう」
「男でも女でもきっと屋敷中走り回るじゃろう」
「くくく……若葉様もそういう意味では同じじゃ」
 三人は笑う。今この屋敷には幼い子はいない。一番年若いのは、最近雇われた鬼の子だろう。
「そもそも、結婚はどうなるんじゃ?」
「噂によると松永家の跡取り息子と良い雰囲気だと言う」
「でも、次男坊もいるからそこは融通きくんじゃなかろうか?」
 三人は大江家の事を考える。彼らには誰もが噂も情報も持ってくる。
「わしは思うんじゃ、老い先短い……せっかくなら、一度、大江の地を見てみたいと」
「ああ、それは思うておった。墓参りだけでもしたいと」
「先代のご遺体もできれば埋葬したいのぉ」
 三人はふと遠くを見る。
「汚染地域なんじゃ」
「でも、そこまでひどくはないはずじゃ」
「……妖怪は出るのだろう?」
 溜息を洩らした。
「一度、ハンターに頼んでみようかのう……」
「護衛?」
「まずは調査してもらった方がいいのかもしれぬ」
 三人はうなずく。いきなり行きたいのもやまやまだが、いても立ってもいられないとしても紅葉がいないのに出かけるのは義理を欠く。

●依頼
 ハンターズソサエティの支部で依頼を受け取った職員は丁寧にデータを記入していく。
「墓参りかぁ……大江家の里ってどのくらいの位置にあるのかしら」
 地図を見て海辺だと知る。
「南部なら、最近カカオロードも完備されたし……あ、誰に言っても通用しない事を書き込もおうとしたわ……消す消す」
 カカオが取れると言うことで南部に行くハンターたちがいったため、結構妖怪も減っているはずだ。
「チョコレート美味しかった」
 暖かくなるとチョコレートは溶けてしまうと言うため、急いで食べた思い出だ。
「あのおじいさんたち……すごく、状況理解している……さすがは『知追う者』の家臣……というより、育てた人達よね」
 紅葉の二つ名を思い出し、しみじみ考える。
 大江家の三人が良く考えてこの依頼を出している。なぜなら、休憩に使うだろう里の状況も描いてあるからだ。
 道中、どこで妖怪に遭うか分からないが、そこに潜んでいる可能性が高いと。退治してもらってもまた住みつく可能性はあるが、状況を確認することに意義はある。
「さてと、これでいいかな」
 職員はデータを送信し、仕事を終えた。この三人が無事にたどり着けるようなルートかハンターが確認してくれれば、素晴らしい事なのだとしみじみ願った。

リプレイ本文

●至る道
 カカオ回収ルートから外れた当たりから妖怪は増えた。ハンターをはじめとした人通りがなく妖怪が退治されることがなかったからなのか、大きな道から妖怪が逃げてきたからなのかは分からない。
 大江家の三人の爺に雇われたハンターは半分の工程でも結構な数の妖怪に出会った。墓参りをさせてあげる為には、一匹でも多く妖怪を狩ることを旨とする。

 魔導バイクを走らせ雪継・白亜(ka5403)は先を行く。探索二日目の午後である今、かすかに海の香りが鼻孔をくすぐる。
「人間の気配はない」
 荒涼とした大地に所々緑も見え、道もかろうじてあるが、人の往来はない。
 妖怪以外の動く気配を感じ、銃を向けた。
 そこにいたムディル(ka6175)は両手を上げる。斥候として、二陣を進んできていて今追いついたのだった。
 白亜はほっと息を吐き、銃口を下した。
「妖怪に蹂躙されていたから……人も来られない。汚染されている可能性は高いし……」
「そうだな。本当は、ここにも多くの人が通っていたんだな」
 白亜はスケッチブックを取り出し、少しの間「絵」でメモを取った。
「荷物を持った後ろの方が妖怪集まっているかな」
 ムディルは自分が通った道を眺めた。

 西と東では空気が違う、改めて万歳丸(ka5665)は思う。東に戻るとまず思うのは、やはり故郷はこちらである。必然、妖怪退治に力が入る
「妖怪退治、是非にもねェ」
 馬に付けた鉾先舞鈴が時折澄んだ音を鳴らす。
 野生動物なら逃げるかもしれないが、妖怪ならやってくる可能性は高く、寄ってくる輩と何度か戦闘となっていた。
(音羽の父祖の地はどうなっていますことか……)
 音羽 美沙樹(ka4757)は依頼を受けてから自身の家の事を考えた。彼女の家は分家も末の方であるが、先祖代々の土地は気になり、出来れば里に戻って復興したい。一晩明かした里の跡も妖怪の巣のような状況であったために、余計に気になるところだった。
「街道の掃除、確実に少しでも多く……そうすれば、もっと多くの人が来られる」
 龍崎・カズマ(ka0178)はじっくり歩く。ここに来たがっている者たちの年齢を考え、ゆっくり歩きながら、見て行きたかった。そうすることで、妖怪のも多く出会う。
「雑魔の巣があればすべてを退治する……依頼された方々の予想通り、いいルートになるための一歩です」
 ミオレスカ(ka3496)はつぶやきつつも、ハンターとして生きぬいた鋭い視線を周囲に走らせる。これまでも遭遇した雑魔たちの位置から、隠れていそうな場所をチェックしては来たが、さほど集まっているようではなかった。
「妖怪から取り戻しても変わらなェ」
「そうですわね」
 万歳丸の側で刀を振るった美沙樹は同意した。エトファリカが解放されたとはいえ、まだまだ復興は途上に写る。
「これは……海の匂いですね」
「無事合流だな」
 ミオレスカは鼻をスンスンと動かし、カズマは仲間を見つけ手を振った。

●里の中
 合流後は一同で進む、目的地は目の前だから。
 海が見えた。
 潮の香りが漂う。
「島だな……あれが里か?」
 カズマは軍用双眼鏡で確認をする
 示されている大江の旧里は海に浮かぶ島のようだった。木々や建物のような影が見える。慎重な老人たちが道のりに「小舟」言っていなかったことが不思議であるが、引き潮なら道があると知っているから言わなかっただけかもしれない。
 水のなくなった、ぬかるんだ砂地をハンターは通ることになる。
「途中で満ち潮になったら怖いですね、あと、帰りが……」
 美沙樹は驚きながらも足を進める。
「それはないと信じたい」
 白亜はいざとなったらバイクを全速だと思うが、砂地であるため難しそうだ。おおむね通れる時期だからこそ、墓参りの話も出たのかもしれないと思えた。
「妖怪はいるんでしょうか?」
 ミオレスカの問いかけは、存在しないわけがないと誰もが思うため確認だ。この道ですら狙われる危険はある。遮蔽物がないため、飛び道具だと防ぎようがない。
「警戒はした方がいいだろうね」
 ムディルはうなずきながら、空と海も見る。
 上陸すると島にあるのは枯れた木と草ばかりだと良くわかる。活力がなく、明らかに歪虚によって汚染されている場所であろう。強度な物ではなく、ハンターには大した影響はないようだった。
「どこの家がいいンだろうな」
 万歳丸が周囲を見渡した。
 一行は入ったところから頂上に向かって少し進んで、戻っていく。丘の頂点にある家は遠目にも風雨にさらされてぼろぼろであるが、上陸したところが損傷は大きくない家が多い。
「この家で良いのでしょうか?」
 美沙樹が示した家は大きさも手ごろで直しやすそうだ。材料は、落ちている、他の家の者から持ってくればいい。
「私は竃が直せるか見てみますね」
「まずは床を直すぜ」
 美沙樹と万歳丸が動き始める。
「井戸はあるのだろうか?」
 白亜はそれを確認に動く。この家の近辺にあるならそれを直して使いたい。
「ここを見て回ることも重要だな。妖怪がいるなら倒さないとならない」
「そうですね。私も行きます」
「俺もそっちに回ろう」
 カズマとミオレスカ、ムディルが見回りに出る。
 見回りに出るとそこかしこに戦いの跡らしいものを発見する。時間は経っているため生々しさはないが、死体が朽ちて残った鎧や、残っているしゃれこうべなどもある。
 妖怪は消えるが、生き物は残る。
「……鬼……」
 ムディルは頭蓋骨に特徴がある骨を見つける。
「大江家は鬼を雇っていたと言いますから、きっと傭兵の方だったのでしょう」
 ミオレスカは告げるが、敵だった可能性もあるのだ。ただ、紅葉をはじめとした大江家が鬼の嫌っていない所を見ると、彼女たちが直接戦ったことはないのだろうと想像はできた。
「さて……俺達も仕事の途中、墓の状況を確認するとともに……」
 カズマは言葉を切って武器を構える。妖怪退治の時間が来た、この里にもやはりいるのだ。
 貉の妖怪たちはハンターに襲い掛かる、三体でまとまって動いているようだ。
「掃除は隅までやります」
 ミオレスカはマテリアルを活性化させ銃弾を降らせる。
「これは一気に行けるよな」
 カズマがカードを広範囲に放つ。
「近づいてくれるなら好都合だな」
 それらをすり抜ける物もあるが、ムディルによって討たれた。
 妖怪はそれなりの数がおり、ハンターを排除しようと攻撃を仕掛けてくる。
 ハンターが回避してもしきれない分は、ダメージとして蓄積される。小さな傷も増えるときつい、道中でも同様だ。
「倒してしまわないと、また厄介ですから」
 ミオレスカは妖怪を打倒した後、周囲に目を走らせる。
「これで終わりかな、ここは」
「そうだろうね」
 カズマとムディルもとどめを刺すが、警戒は怠らない。
 そして、三人は家の方にいる仲間の方に戻っていく。そちらから銃声を聞いたからだった。

●夜の前に
 家を直していた美沙樹、白亜そして万歳丸は銃声を聞いた。この瞬間、手を休めて、広い所に武器を持って待機する。
「助けに行きますか?」
「いや、下手に動くと同士討ちもありうる」
「だなァ、ここは、互いに戦場を持つのが道理だろう」
 三人は待機したところ、ドンと家を揺らす音が響く。
 庭ではなく入口の方にそれらはいる。三人は目視するため近寄るとともに、戦闘体勢となった。
「家を直せても、ゆっくり寝られませんね」
 美沙樹は接敵すると鋭く刀を振るった。
「しかし、考えようで、見張り以外はゆっくりできるぞ?」
 白亜は正確に敵を撃つ。
「屋根と壁と床があるだけでも違うってもんだ」
 万歳丸が一か所にまとまった敵に技を振るった。
 妖怪たちは家を壊すよりも、ハンターたちを攻撃をする。回避や受け止めるが、防ぎきれなかった分は食らう。
「ふむ、我らに向かうのであれば、家は直すのが楽だ」
「そうですわね! 見回りに行った人たちが戻ってくる前に、片づけたいです」
 白亜と美沙樹が怒りから抜け、慎重にそして確実に攻撃をする。
「妖怪を消してしまえば同じことッ!」
 万歳丸ができるだけ妖怪を含み、技でとどめを刺した。
 幾度となく攻守を取り、妖怪によって家を壊される前に、ハンターは倒し切る。細かい怪我は手当すれば、ほぼ問題はない状況であった。

 一行は合流し、妖怪の巣があればそれを叩くことを念頭に見回りをしてから、家を直すことにした。雑魔程度の妖怪ではなく、力を持つ物がいないとは限らないと感じたから。
 時折出くわすだけで、特にこれと言うものはなかった。

●夜
「警戒は怠れないが、話はしやすい状況にはなったな」
 カズマは床に地図を広げて、情報を書き込む準備をする。地図にはまだ余白が多い、昨晩は屋外でテントだったためまとめることは難しかった。途中も里が使えればよかったが、妖怪が巣喰いやすく、ずらした方がいい感触だった。
 それぞれ警戒と休息、食事の支度にそれぞれ分かれていた。
 竃や水場の確保もされ、煮炊きも行えている。
「屋根は明日だが、こンだけやりゃァ老体でも肺患いはしねェだろ!」
 万歳丸は膂力を生かし、床と柵を直していた。仲間がいる今は、直した床に大の字になり一時のくつろぎを得ている。
「ここまでは妖怪が出ても道はどうにかなりそうでしたね」
 ミオレスカは縁側だっただろう所に立ち、外を見渡す。煮炊きをする火につられるように妖怪も来るかもしれないからだ。
「一応、通りに縄をはってみたけど」
 ムディルは仲間の元に戻ってきた、引っかかれば音が鳴るようにしてあれば、何か来れば分かるかもしれない。
「できましたよ、夕食です。ありあわせですが」
「食後にはコーヒーも淹れるぞ」
 土間から美沙樹と白亜がやってきた。
「あったかい飯が食えるならァ上等だ」
 万歳丸の言葉に、ハンターはうなずく。

 温かいだけでなく味も申し分なかった。
 まだ寒さも残る中、胃の中から温かさが広がる。

 夜の番を決めるとともに、野営にならない今のうちに情報をまとめる。それぞれはメモをとっていたのだから、報告には重複がない方がいい。
「これを清書してくれねェか……」
 万歳丸はメモを取り出した。自分でも理解はしている、字が素晴らしいことを。
「ほお……なんて書いたか覚えているか?」
 地図に書きいれながらカズマが問う。
「確か……」
 告げられたことを要約して書き込んだ。
「魔導トラックは持ちこめるでしょうか?」
「道は通れそうだったな」
 ミオレスカに対しバイクで通ってきた白亜がうなずく。
「転移門の状況次第でしょうか?」
 美沙樹は唸る。先の戦いでは大型の物資は運べていない。
「道を魔導トラックが通れるなら、馬車でも行けるのかな?」
 ムディルは提案する。
 それぞれのメモを集約した地図は、今後、ここに来るのにも役に立ちそうだった。
「汚染を少しでも除去できればいいんですが、四神護符は……とくにこう何も……」
「龍鉱石も……なんとなく軽くなった? って気持ちかな」
 気になっていたミオレスカとカズマは溜息をつく。少しでも役に立てばと思ったが、それらでは何かできるものではないようだった。
「もっと大量にあればどうにかできる、ということか?」
 コーヒーの入ったカップを手渡し白亜が問う。
「……現実的じゃねェな」
 万歳丸が溜息をついた。
「そうですね……私も、父祖の地に行ってみたいですが、こうなってくるとどうなっているのかもわかりません」
「そうか、行けるようになると良いな。故郷か……」
 美沙樹を励ますように言ったムディルの脳裏に一瞬故郷の風景がよぎった。

 夜が明けてから、彼らは屋根を見て光が入っていたところを中心に直した。
 朝食をとり、立ち去る。
「……?」
「何か見られているような気がしました」
 振り返った白亜は、ミオレスカの言葉にうなずいた。
「これは……報告対象だな」
 カズマは軍用双眼鏡で見るが特にこれと言った物を見つけらない。
「つまり、そこそこにできる奴ってェことか?」
 万歳丸は眉をしかめる、昨日見て回ったのに何かいる形跡はなかったのだ。
「狭い里のようだけど隠れるところは多いからなぁ」
 ムディルはもし分かることがあればと見回した。
「妖怪の方が多いので……あの方々が肩を落とさないと良いのですが」
 美沙樹は「報告を聞かないのも辛いですよね」と付け加えた。

●報告
 ハンターたちが大江家に直接報告に行くと、三人のじいやたちは穏やかに迎えた。
「ほおう、これはこれは」
「なかなかしっかりとされておる」
「若いのに偉いのぉ」
 書き込みのある地図を見つつ、三人は柔らかく笑う。
「これは……我の趣味で描いた絵だ、状況の参考になれば」
 白亜は地図に合わせて何点か絵も見せると、三人は微笑む。
「何かいる気配はあるから、より気を付けた方いいかもしれない」
「妖怪の方がまだ多いンだろうなァ……」
 カズマと苛立ちつつ万歳丸が告げると、三人はうなずく。
「そうじゃのう……」
「いきなり行くとあぶないのか……」
「いやいや……ちゃんと計画さえ立てれば」
 三人は溜息をもらす。しかし、ハンターに頼まなければ分からなかった、離れた場所の現実を知る機会になって良かったのだとつぶやく。
「いっそのこと、紅葉さんと松永さんにも一緒に行ってもらうとか?」
 ミオレスカがぽつりと言う。
「松永家のせがれのことも知っておるのか?」
「巫子だしのぉ、あれでも宗主は」
「……で、どうなんじゃ、お嬢さんの目から見てあの二人は」
 三人はわくわくして尋ねる。
「紅葉さん、あまり押すとかたくなになるかもしれません。松永さんがもっと積極的な方がいいんでしょうか?」
 ミオレスカの言葉に三人はうなずき合っている。
「一軒だけ手直しはしました。竈と井戸もあるので、休むのに問題はないと思います」
 美沙樹に三人は異口同音に礼を述べる。限られた時間でハンターたちは良くやってくれた、と。
「少しでも故郷が近くなった……なら良いですが」
 ムディルが三人に丁寧に話す。
「故郷は心の中にあり、行きたいならいける」
 三人の老人はうなずき合い、微笑んだ。
「わしらのわがままに付き合ってくれてありがとうのう」
「本当に、ありがとう」
「汚染は強くないとはいえ……」
 慎重な大江家の三人は次の一手のための情報を得ることができた。
 ハンターたちに茶菓子と茶を用意して、しばらく歓談をしたのだった。

●???
「ねえ、なぜ、他の者が来るのかしら? ここはわたくしたちの里なのに? ああ、ねえ! 殺してよ! 殺してしまって! 人間なんて! 他の人間なんて! 滅びてしまえばいいのよ! ねえ、早く帰ってきて、あなた! それと誰がわたくしの子たちを奪っていったのかしら! 早く見つけて! 見つかったら……食べてしまわないと」
 ハンターが去った里に妖艶な女の声が響く。それを聞くのは海と配下の妖怪たちだけだった。

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参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 清冽の剣士
    音羽 美沙樹(ka4757
    人間(紅)|18才|女性|舞刀士
  • 冒険者
    雪継・白亜(ka5403
    人間(紅)|14才|女性|猟撃士
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士
  • 幻獣学者の同志
    ムディル(ka6175
    人間(紅)|27才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ムディル(ka6175
人間(クリムゾンウェスト)|27才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/03/21 23:40:28
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/19 21:20:44