ゲスト
(ka0000)
【壊神】シヴァの要塞、上陸す
マスター:草なぎ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/03/24 15:00
- 完成日
- 2016/03/29 23:35
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国西方、イスルダ島。黒大公ベリアルが拠点とする歪虚の前線基地とも呼べる闇の島である。
上級歪虚シヴァは、黒公爵と呼ばれる位置におり、大規模な作戦を除いてほぼ独自の軍団を自由に動かせる立場にある。
シヴァは自身の居城ブラフマーに座していた。ブラフマーは七年前のホロウレイドの戦いで死んだシヴァのライバルであった。シヴァはそのライバルに尊厳の意味を込めて自身の城にその名を頂いた。そして、ブラフマーの中枢にある機動装置、コアマテリアルクリスタルを、ヴィシュヌと呼ぶ。ヴィシュヌもまたシヴァのライバルであったが、先の大戦で死んだ。ブラフマーと同じくヴィシュヌの名を頂き、クリスタルは静かな光を放っている。
「シヴァ」
パールバティが帰還した。手に薄い燐光を放つ魔槍トリシューラを持っている。
「ただいま」
パールバティはトリシューラをシヴァに手渡す。シヴァは槍を受け取り、頷いた。
「ご苦労だったな」
トリシューラを壁に掛けると、シヴァは立ち上がった。
「どういたしまして。お安い御用よ。それで? 始めるの?」
「ああ」
シヴァは歩き出した。パールバティもその後に続いた。
「己の心に住まうと言う意識に考えを巡らせたことはあるか」
「何それ?」
「まあ……今の人間はそんなことを考えはしまい。そもそも今彼らは歪虚との戦いに忙しいし、人々もそれぞれに生活がある。誰しも未来が大事だ」
「それで?」
「歪虚王であれ何であれ、マテリアルや生命力が枯渇すれば死ぬのだ。無限のパワーなど存在しない。我々も人間も、宇宙や惑星があるから世界に存在しているにすぎん。我々が世界を滅ぼしたとして、それからどうなる」
「シヴァ」
「ん?」
「あなたの話聞いてると頭が痛くなってくるんだけど!」
「だろうな。こんなことは王が考えることだ。理屈は分かっても頭痛がするな」
シヴァは笑った。
「からかってるのね!」
パールバティはシヴァを小突いた。
やがて、二人は城の中の広間に入った。広間の中には、中心に台座があり、その周りに燐光を放つクリスタルのコンソールがあって、歪虚兵たちが詰めていた。台座の上にはホログラフィが浮かんでいて、そこに王国のハルトフォート砦が映し出されていた。
「シヴァ様」
戦闘服を着た金髪の歪虚が主を確認して軽く頭を下げる。
「インドラ、首尾は」
「すでに、いつでも出立出来ます」
「では始めよう。進めてくれ」
「はっ」
インドラが台座に歩み寄っていく。パールバティは楽しそうだった。
「では始めるぞ! ヴィシュヌを起動せよ!」
兵士達がコンソールを操作していく。
「コアマテリアルクリスタル、ヴィシュヌ、覚醒状態に入ります」
「ヴィシュヌ起動」
「覚醒状態五十パーセント」
ブラフマーが軽く振動する。室内に蒼い燐光がきらめく。
「ヴィシュヌ、覚醒状態九十パーセントを越えました。間もなく覚醒します」
そして……。
「コアマテリアルクリスタル、ヴィシュヌ、覚醒。機動要塞ブラフマー、発進準備整いました」
インドラがシヴァを見やる。シヴァは頷いた。インドラは再び号令した。
「ブラフマー、発進!」
イスルダ島の闇から、巨大な黒いピラミッドが姿を現した。全長約一キロ。シヴァの機動要塞ブラフマーである。ブラフマーは地面を滑るように進んでいた。そして、そのまま海中に沈んで行った。
ハルトフォート砦。司令官のドワーフ、ラーズスヴァンは物見台に立っていた。腕組みして、ここからは見えないイスルダ島の方角を睨みつけていた。七年前のホロウレイドの戦いを思い出す。そして二年前のベリアルの攻撃を。そして今。異端審問……王都イルダーナにおけるきな臭い話やエリオット・ヴァレンタイン、ヴィオラ・フルブライトらの動きも耳に入っていたが。いずれ大きな災厄が訪れるやもしれん……。そのような疑念を抱きつつ、ラーズスヴァンは北西の闇を見つめていた。イスルダ島。先日のシヴァの動きもそれに同調したものであろうか……。ドワーフは吐息した。歪虚は忌むべき敵であり、人類共通の世界の災厄である。
「日は沈む。我々の力は余りに小さいが……夜明けの無い夜は無い、などと言った奴もいる」
ラーズスヴァンは手にしたジョッキのエールをあおって、吐息した。
そこへ、魔導砲担当の士官ベルトハイムがやってきた。
「司令官。どうにかこうにかしたいところですが、魔導砲、もう少し時間を下さい。必ず初号機を実現して見せます」
「そのためにお前を呼んだんだからな」
「ええ。まあ……それどころではなくなってきたことは分かっていますが……大砲など役にたつのでしょうか?」
「確かに悠長なことは言ってられなくなった。もし歪虚が本格的に動き出したら戦いは数だ。一門の新式魔導砲より百門の野戦砲を配備した方が良いかも知れんがな」
ラーズスヴァンは肩をすくめた。
そこへ、ラーズスヴァンの司令部で実戦部隊の指揮官を務めている古参の女性リンスファーサ上級騎士卿が姿を見せた。甲冑ではなく軍服を着ている。
「司令官」
「おう、リンス」
「リベルタース沿岸部に歪虚が侵攻してきました」
「来たか……それで?」
「敵は黒い巨大なピラミッド型の移動式の城で上陸。周辺に雑魔が発生し始めています」
「そいつは……聞いたこともない。今更驚かんが、しかし恐らくは……」
「ええ。十中八九、シヴァかと」
「ふうむ……」
「歪虚の一隊が南方の街を攻撃に向かっています」
リンスファーサからの報告を受けて、ラーズスヴァンは舌打ちした。まだ先日のカーラミネとやらの攻撃も影響しているというのに。
「シヴァの奴……」
ラーズスヴァンはみぞおちのあたりをさすった。胃が痛い。
「リンス」
「すでに部隊を整えてあります。ハンターたちも呼びました」
「頼んだぞ。しかしまた……移動要塞か……」
ラーズスヴァンは歩き出した。ブラフマーをその目で見るために、沿岸部へと向かう。
リベルタース沿岸にイスルダ島から海中を移動して出現したブラフマーは、周辺に雑魔を展開して屹立していた。ピラミッドに打ち寄せる波も負のマテリアルに感化されて行く。そこから出撃していった歪虚の集団がいた。
黄金の円盤に乗って移動する歪虚の集団である。集団のなかほどに、金色のオーラを纏った金の甲冑を身に付けた歪虚がいた。歪虚の名を、セルレイオスと言った。シヴァ麾下の魔導師である。
「ふ……ハルトフォートの砦など、我ら傲慢の眷族が本気を出せばひとたまりもないというもの。あのような矮小なる人間ごときが城、ブラフマーで踏み潰してしまえばよいものを。そうしないのはシヴァ様に想像もつかぬ考えがあるのか」
セルレイオスには全く理解していない。極端な話、人類が全軍を以て押し寄せればシヴァとて撤退しかない。
ハルトフォートから王国軍とハンターたちが到達する。とはいえ、セルレイオスもただの雑魚ではないのも確かであるが。
上級歪虚シヴァは、黒公爵と呼ばれる位置におり、大規模な作戦を除いてほぼ独自の軍団を自由に動かせる立場にある。
シヴァは自身の居城ブラフマーに座していた。ブラフマーは七年前のホロウレイドの戦いで死んだシヴァのライバルであった。シヴァはそのライバルに尊厳の意味を込めて自身の城にその名を頂いた。そして、ブラフマーの中枢にある機動装置、コアマテリアルクリスタルを、ヴィシュヌと呼ぶ。ヴィシュヌもまたシヴァのライバルであったが、先の大戦で死んだ。ブラフマーと同じくヴィシュヌの名を頂き、クリスタルは静かな光を放っている。
「シヴァ」
パールバティが帰還した。手に薄い燐光を放つ魔槍トリシューラを持っている。
「ただいま」
パールバティはトリシューラをシヴァに手渡す。シヴァは槍を受け取り、頷いた。
「ご苦労だったな」
トリシューラを壁に掛けると、シヴァは立ち上がった。
「どういたしまして。お安い御用よ。それで? 始めるの?」
「ああ」
シヴァは歩き出した。パールバティもその後に続いた。
「己の心に住まうと言う意識に考えを巡らせたことはあるか」
「何それ?」
「まあ……今の人間はそんなことを考えはしまい。そもそも今彼らは歪虚との戦いに忙しいし、人々もそれぞれに生活がある。誰しも未来が大事だ」
「それで?」
「歪虚王であれ何であれ、マテリアルや生命力が枯渇すれば死ぬのだ。無限のパワーなど存在しない。我々も人間も、宇宙や惑星があるから世界に存在しているにすぎん。我々が世界を滅ぼしたとして、それからどうなる」
「シヴァ」
「ん?」
「あなたの話聞いてると頭が痛くなってくるんだけど!」
「だろうな。こんなことは王が考えることだ。理屈は分かっても頭痛がするな」
シヴァは笑った。
「からかってるのね!」
パールバティはシヴァを小突いた。
やがて、二人は城の中の広間に入った。広間の中には、中心に台座があり、その周りに燐光を放つクリスタルのコンソールがあって、歪虚兵たちが詰めていた。台座の上にはホログラフィが浮かんでいて、そこに王国のハルトフォート砦が映し出されていた。
「シヴァ様」
戦闘服を着た金髪の歪虚が主を確認して軽く頭を下げる。
「インドラ、首尾は」
「すでに、いつでも出立出来ます」
「では始めよう。進めてくれ」
「はっ」
インドラが台座に歩み寄っていく。パールバティは楽しそうだった。
「では始めるぞ! ヴィシュヌを起動せよ!」
兵士達がコンソールを操作していく。
「コアマテリアルクリスタル、ヴィシュヌ、覚醒状態に入ります」
「ヴィシュヌ起動」
「覚醒状態五十パーセント」
ブラフマーが軽く振動する。室内に蒼い燐光がきらめく。
「ヴィシュヌ、覚醒状態九十パーセントを越えました。間もなく覚醒します」
そして……。
「コアマテリアルクリスタル、ヴィシュヌ、覚醒。機動要塞ブラフマー、発進準備整いました」
インドラがシヴァを見やる。シヴァは頷いた。インドラは再び号令した。
「ブラフマー、発進!」
イスルダ島の闇から、巨大な黒いピラミッドが姿を現した。全長約一キロ。シヴァの機動要塞ブラフマーである。ブラフマーは地面を滑るように進んでいた。そして、そのまま海中に沈んで行った。
ハルトフォート砦。司令官のドワーフ、ラーズスヴァンは物見台に立っていた。腕組みして、ここからは見えないイスルダ島の方角を睨みつけていた。七年前のホロウレイドの戦いを思い出す。そして二年前のベリアルの攻撃を。そして今。異端審問……王都イルダーナにおけるきな臭い話やエリオット・ヴァレンタイン、ヴィオラ・フルブライトらの動きも耳に入っていたが。いずれ大きな災厄が訪れるやもしれん……。そのような疑念を抱きつつ、ラーズスヴァンは北西の闇を見つめていた。イスルダ島。先日のシヴァの動きもそれに同調したものであろうか……。ドワーフは吐息した。歪虚は忌むべき敵であり、人類共通の世界の災厄である。
「日は沈む。我々の力は余りに小さいが……夜明けの無い夜は無い、などと言った奴もいる」
ラーズスヴァンは手にしたジョッキのエールをあおって、吐息した。
そこへ、魔導砲担当の士官ベルトハイムがやってきた。
「司令官。どうにかこうにかしたいところですが、魔導砲、もう少し時間を下さい。必ず初号機を実現して見せます」
「そのためにお前を呼んだんだからな」
「ええ。まあ……それどころではなくなってきたことは分かっていますが……大砲など役にたつのでしょうか?」
「確かに悠長なことは言ってられなくなった。もし歪虚が本格的に動き出したら戦いは数だ。一門の新式魔導砲より百門の野戦砲を配備した方が良いかも知れんがな」
ラーズスヴァンは肩をすくめた。
そこへ、ラーズスヴァンの司令部で実戦部隊の指揮官を務めている古参の女性リンスファーサ上級騎士卿が姿を見せた。甲冑ではなく軍服を着ている。
「司令官」
「おう、リンス」
「リベルタース沿岸部に歪虚が侵攻してきました」
「来たか……それで?」
「敵は黒い巨大なピラミッド型の移動式の城で上陸。周辺に雑魔が発生し始めています」
「そいつは……聞いたこともない。今更驚かんが、しかし恐らくは……」
「ええ。十中八九、シヴァかと」
「ふうむ……」
「歪虚の一隊が南方の街を攻撃に向かっています」
リンスファーサからの報告を受けて、ラーズスヴァンは舌打ちした。まだ先日のカーラミネとやらの攻撃も影響しているというのに。
「シヴァの奴……」
ラーズスヴァンはみぞおちのあたりをさすった。胃が痛い。
「リンス」
「すでに部隊を整えてあります。ハンターたちも呼びました」
「頼んだぞ。しかしまた……移動要塞か……」
ラーズスヴァンは歩き出した。ブラフマーをその目で見るために、沿岸部へと向かう。
リベルタース沿岸にイスルダ島から海中を移動して出現したブラフマーは、周辺に雑魔を展開して屹立していた。ピラミッドに打ち寄せる波も負のマテリアルに感化されて行く。そこから出撃していった歪虚の集団がいた。
黄金の円盤に乗って移動する歪虚の集団である。集団のなかほどに、金色のオーラを纏った金の甲冑を身に付けた歪虚がいた。歪虚の名を、セルレイオスと言った。シヴァ麾下の魔導師である。
「ふ……ハルトフォートの砦など、我ら傲慢の眷族が本気を出せばひとたまりもないというもの。あのような矮小なる人間ごときが城、ブラフマーで踏み潰してしまえばよいものを。そうしないのはシヴァ様に想像もつかぬ考えがあるのか」
セルレイオスには全く理解していない。極端な話、人類が全軍を以て押し寄せればシヴァとて撤退しかない。
ハルトフォートから王国軍とハンターたちが到達する。とはいえ、セルレイオスもただの雑魚ではないのも確かであるが。
リプレイ本文
歪虚の集団は悠然と巡航速度で進軍していた。邪魔されるものは無く、その中心にいるセルレイオスは余裕の笑みを浮かべていた。
「……いましたね~。ふざけた金ぴかの歪虚の群れが。上手くいくと思ったら大間違いっすよ」
無限 馨(ka0544)は双眼鏡で歪虚を確認していた。トランシーバーで伝える。
「敵さんを発見。数はざっと見て五十くらいっすかね」
「了解した」
リュー・グランフェスト(ka2419)の声が返ってくる。
「……と、まあ、敵さんを捕捉したところで、だ」
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)が地図を確認する。
「攻撃を掛けるならこの辺りだろう。町への距離も考えると……無限の報告からも、この辺りがぎりぎりのラインだろうな」
リンスファーサ上級騎士卿は頷いた。
「よし、リュー、無限にそのまま監視を続けるよう伝えてくれ。俺達もすぐに追いつく」
エヴァンスが呼び掛ける。
「エヴァンスさん」
「お疲れさんだな」
「ええ……。歪虚達は余裕のつもりか、のんびり行ってるっすね~」
「ピクニックはここまでだな」
柊 真司(ka0705)が言うと、全員戦闘態勢に入る。
リンスファーサは全軍に突撃の合図を出した。ハンターたちも加速する。
「セルレイオス様、人間どもが」
セルレイオスは腹心から接近してくる人間たちの報告を受けた。
「来ましたか……」
言うと、セルレイオスは手を突き出して上空に閃光を撃ち放った。光が爆発する。
「何なの?」
ティス・フュラー(ka3006)は突如として空に出現した光の塊に眉をひそめた。
「まるで太陽だ」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が見ているものは、セルレイオスが打ち上げた人工太陽である。
不動シオン(ka5395)は未知の光に戦意が高揚する。
「破壊神の眷属とは、極上の獲物だな。じっくり狩りを楽しませてもらうぞ」
「とは言え、何が起きる?」
鞍馬 真(ka5819)の不安は、すぐさま歪虚たちの異変となって現れた。
歪虚たちが咆哮すると、輝き始めた。セルレイオスの軍団は、輝きながらハンターたちへと反転すると加速を開始した。
「クルセイダーみたいなもんか……?」
リューは敵の様子を見て首を傾げた。歴戦の経験がすぐに状況を察知させた。
「……あんだけの数の兵隊をまとめて範囲に収めるとは」
そのままハンターとハルトフォート軍、歪虚の集団は激突に向かって接近していく。
「撃て!」
人間たちと歪虚の双方から攻撃の号令が飛ぶ。
ハルトフォートマギステルからファイアーボールが飛ぶ。
「それじゃあ私も行くわよ。ここが魔法使いの見せどころ!」
ティスも高威力のファイアーボールを連射した。火炎が炸裂して歪虚の戦列を薙ぎ払う。
歪虚軍から飛びかう光弾がハンターと兵士たちを襲う。
しかし歪虚軍の足は止まった。それでも歪虚達の攻撃は間断なく続く。
「こっちも撃ち落とせ!」
ハルトフォート軍も弓と銃で応酬する。
「俺も遠慮なくやらせてもらおう」
柊はデルタレイを連射した。
飛び交う攻撃と攻撃。
――と、歪虚軍から巨大な光弾が落下して来た。爆発がハンターと兵士たちを薙ぎ倒す。
「何……!」
エヴァンスは舌打ちした。
続いて飛び交うひときわ分厚い光線。兵士たちを貫く。そして歪虚の爆発弾。ハンターと兵士達は吹っ飛んだ。
「ちい……っ」
柊も巻き込まれた。ティスも軽くダメージを受ける。その他にも巻き込まれた者多数。
勢いづく歪虚軍は輝きながら突進して来た。
それでもハルトフォート軍は銃撃と矢弾で円盤を破壊して、歪虚の魔戦士達を叩き落とした。
「勝負はここからだ」
アルトはグレースに鞭を入れた。
無限は魔導槍を振るって歪虚兵と打ち合う。
「にい……! おたくらの相手をしている暇は無いっす!」
ネーベルナハトで殴り倒す。
「ボスがいるはずっす!」
「やってくれるじゃねえか! 歪虚どもが!」
エヴァンスも切り込んだ。歪虚兵と打ち合い、薙ぎ倒して行く。
「押し通る!」
「随分と団体で攻めてきやがって、まとめて撃ち落としてやる!」
柊もデルタレイを連射した。
「にゃろうが! 大将首はどこに居やがる!」
リューはテンペストを駆りながら右に左にMURAMASAを振るう。
「こうなると、私はただの置物よね……」
ティスも魔導銃に持ち替え、仕方ないとも言ってられないので銃撃を開始する。
アルトもMURAMASAを抜いて加速。魔戦士と切り結ぶ。これが雑魚とも思えないほどにしぶとい。
「あの太陽のせいか……?」
シオンも激しく魔戦士たちと切り結んでいた。歪虚は猛烈な勢いで襲い掛かってくる。シオンの闘争心が爆発していた。
「私を殺せると思うな!」
「こいつはとんでもない。あの太陽……」
鞍馬はMASAMUNAEで魔戦士を弾き返して、吐息した。
一進一退。ハルトフォート軍は歪虚の攻勢を受け止めていた。乱戦に突入し、ハンターたちは敵戦列を突破しつつあった。
セルレイオスは戦況を見やりつつ腹心の神官戦士たちに問うた。
「しぶといですねえ。どう見ますか?」
「我々にお任せを」
「そうですねえ……。少し出て行って人間たちを潰して来なさい」
「はっ」
二人の神官戦士らは前進した。
「おおっと! 出てきたッすね大物が!」
無限は、神官戦士らを見て、スローイングカードを投擲した。カードは盾に弾き返された。
「お前らと長々と遊ぶつもりは無い、さっさと滅びてもらおうか」
グレースを加速させるアルト。
「タダでは町に進攻させん、行きたくばこの私と戦え。さもなくば破壊神シヴァの名が泣くぞ!」
シオンも魔導バイクを加速させる。
「そもそもだ! 私と戦わずして町に入るとは、不遜なること極まりない!」
「では私もそろそろ行くとしよう」
鞍馬も戦馬に鞭を入れた。
「ぬん!」
神官戦士二人は、モーニングスターを一閃した。フラッシュがほとばしって、ハンターたちを焼き尽くした。
「あっちち!」
無限はバイクを敵側面に付けると、ワイヤーウィップを投げつけた。風を切る音とともに、鞭が歪虚を打つ。
アルトはMURAMASAで切りつけた。アルトの連撃、連華。神官を凄絶に切り裂く。
シオンも激突。槍を突き出せば盾を貫通した。
「邪煌滅殺!」
「シオン殿に続いて、私の打撃を受けよ」
鞍馬もチャージからの渾身撃を振り下ろす。激突して神官の頭部を殴った。
「おのれ!」
神官戦士の一人が手を突き出し閃光を解き放った。ハンターたちは抵抗した。
もう一人はモーニングスターを万力で振り切った。鞍馬が直撃を受ける。
「鞍馬!」
シオンは槍で神官を殴った。
アルトが突進して連撃を撃ち込む。無限もウィップを叩き込んだ。鞍馬は立て直して反撃した。
神官は味方を巻き込むのも構わずフラッシュを撃ち込んだ。
アルト、シオン、鞍馬、無限は一体に集中攻撃を浴びせた。さすがの神官歪虚も崩れ落ちて闇に還元した。
「お前も死ぬぞ」
アルトは言った。
「やかましい!」
神官はフラッシュを撃ち込んだ。ハンターたちは突進した。
無限がウィップで絡め取ると、そこへアルトが連華を撃ち込んだ。続いて、シオンと鞍馬が激突する。
神官はモーニングスターをアルトに振り下ろした。アルトは回避した。すれ違いざまに神官の腕を切り落とした。
シオンの鋭い突きが神官を貫き、鞍馬の渾身の打撃が神官を切り裂く。
「これでもっす!」
無限は鞭を一閃した。白銀の風鳴りの音とともに、ウィップは神官の首を刎ね飛ばした。崩れ落ちる神官戦士。闇へと還元していく。
アルトも吐息した。
「だが、まだ……か?」
「来ましたか……人間たち」
セルレイオスは穏やかな笑みを浮かべて手を上げた。マテリアルフラッシュを解放。
ハンターたちは一斉に全力攻撃を開始した。
フェンリルが駆け抜ける。エヴァンスの渾身の打撃を受けて、セルレイオスは軽く手を上げて顔をしかめた。
「果てなあ! 傲慢の大将!」
柊は冷静にマシンガンを連射した。凄まじい銃撃がセルレイオスを貫く。
「さて……やけどの借りは返させてもらうぞ」
「いっくぜええええ!!」
リューは吠え声を上げ、輝くマテリアル弾となって突撃。
「紋章剣、天槍(グングニル)!」
そのままセルレイオスに激突。MURAMASAが貫通する。
「こいつがボスね。何て悪趣味な……ぴかぴかの兵隊を連れてくるなんて……ね!」
ティスはアイスボルトを撃ち込んだ。
セルレイオスは顔を片手で覆って、伏した。
ハンターたちはいったん距離を保つ。続く打撃に備える。
「くくくくく……痛え……痛えなあ……おい!」
セルレイオスは、がばっと顔を上げた。穏やかな顔が歪んでいる。
びりびりと威圧がハンターたちを襲う。
「本気出すかあ……仕方ねえ……!」
セルレイオスの姿がみるみる変容していく。金の邪眼は大きく膨らみ、口は裂けて牙が伸びて来て、頭部も大きくなって体全体が膨れ上がっていく。金の甲冑は異様に変容していき、黄金の翼が生えて来て、角は巨大に伸びた。また巨大な尻尾が生えて、手にも足にも鋭い爪が伸びた。セルレイオスは限界突破した。
「おい! 生きて帰れると思うなよ! 人間ども!」
凄まじいプレッシャーである。魔物のボスクラスが人間を越える壁。どんな熟練ハンターでも「一人では」太刀打ちできまい。
「こいつは……」
エヴァンスはにいっと笑った。
「面白え! やるかあ!」
「行くぞおおおおお!」
リューは咆哮した。
柊は冷静にマシンガンを構える。
「ふう……全く……」
ティスは肩をすくめて、アイスボルトを構えた。
「行け!」
柊はマシンガンの攻撃とともに号令を出した。銃撃を燐光が弾き返す。
「バリアー? シールドか?」
柊は軽くそれを確認する。
エヴァンスとリューは再突撃。唯 一刀両断。そしてリューは守りの構えからMURAMASAを繰り出す。
ティスのアイスボルトが貫く。
「支援役はひやひやものよねえ」
「ガアアアアアアアアア――!」
セルレイオスは手に光の魔剣を生み出すとエヴァンスとリューを連続で刺した。焼けるような痛みが走る。
「者ども吹っ飛べ!」
セルレイオスは地面に爆発弾を叩きつけた。自らのダメージを顧みず、ハンターたちを吹き飛ばす。さらに続いてマテリアルフラッシュがほとばしる。
柊は再度マシンガンを叩き込んだ。今度は銃撃は貫通した。
「約十秒……」
柊はマシンガンの照準先のセルレイオスから目を離さず、位置を変える。
「先手先手を取ってくるし……速い……! おとなしくしなさいよ怪物!」
ティスはアイスボルトを叩き込んだ。氷の矢弾が破裂する。セルレイオスの肉体を切り裂き貫通する。
そこへ、アルトに鞍馬、シオンに無限が到達した。
「どうやら……とんでもないことになっているようだな……」
アルトはグレースを逃がしておくと、MURAMASAと盾を構えた。
「そのようだ」
鞍馬はシオンに軽く視線を向けると、彼女は吐息した。
「やるしかないようだな」
「ひえ~、怪物っすね~。でもやるしかないっす!」
無限も吐息した。
アルトは踏鳴で一気に加速した。連華を叩き込む。
「お前の腹心は退屈だった、お前は私を楽しませてくれるだろうな?」
「何言ってやがる小娘が!」
セルレイオスは高速で拳を叩き込んで来た。アルトは瞬影でさばいて、切りつけたが、再来した高速の拳に腹を直撃されて吹っ飛んだ。
「速い……何だ今の二段攻撃は……」
「アルトさん!」
無限がウィップを振るう。ワイヤーがセルレイオスの腕に絡みつく。
シオンと鞍馬は呼吸を合わせて突撃した。
「貴様の腕前を拝見させてもらうぞ、シヴァの眷属とやら!」
二人の連撃がセルレイオスを貫く、瞬間、燐光が湧きあがり、そして消失した。
ティスだ。カウンターマジックでセルレイオスのバリアーを打ち消した。
「何でも思い通りに行くと思わないでね」
続いて、エヴァンスとリューが突撃する。
「とんでもモンスターだなおい! お前を逃がすわけにはいかねえ!」
エヴァンスは万力で切りつける。リューはその逆方向から切りつけ、セルレイオスを切り裂く。
柊はマシンガンを連射する。
「どこまでタフな奴だ……。単純計算でも……どうなってる?」
ハンターたちはさらに全員で攻撃を行った。
セルレイオスは反撃から凄まじい速さで動き出し、エヴァンスとリュー、アルトにシオンを光剣で切り裂いた。
「これでも!」
無限はウィップを全力で引いた。ハンターに切り裂かれながらも、セルレイオスは無限を引きずり込んだ。
「いい加減……落ちなさいよ!」
ティスは腕を振り上げると、全身でそれを振り下ろした。アイスボルトを満身で叩き込む。貫く氷弾。ティスはもう一発アイスボルトを撃ち込んだ。
柊はそのまま距離を保ち、移動してマシンガンを叩き込む。
「当たってるよな? まだかよ」
セルレイオスは崩壊しつつあるが……。
「シヴァ様麾下の俺を……ここまで追い詰めるとは……。貴様らもとんでもない手練だな。生かしておけん……。だが……シヴァ様の前に、パールバティ様やインドラ様には遠く及ばぬわ……人間など!」
「名を……聞いておこうか……歪虚」
アルトは血を拭って言った。
「聞いてどうする、女」
「私の歴史の一枚に加えてやろう」
「俺はセルレイオス。矮小なる人間よ。虚無のパワーを……思い知るがいい!」
セルレイオスはそう言うと、上空の人工太陽に手を伸ばし、「それ」を引き寄せた。
「何?」
柊は眉をひそめ、そして上空を見上げた。人工太陽が落下してくる。
「おいみんな! 逃げろ! ティス!」
柊はティスとともに離脱した。
他のハンターたちも離脱する……!
セルレイオスは笑っていた。そして人工太陽が大きく輝く。
ハンターたちは、間一髪、太陽の落下範囲から逃げ出した。
閃光が消失して、中のセルレイオスは膝を突いてずたぼろになって力尽きていた。そのまま肉体が崩壊して闇に還元していく。
「死んだ……か」
エヴァンスは頭をかいていた。それから、リューの肩に手を置く。
「ああ」
リューは頷いた。
「ところで、歪虚兵は。ハルトフォート軍はどうなってる?」
鞍馬の問いに、ハンターたちは後方を見やる。
見ると、歪虚兵らは恐慌をきたして壊走していた。生き残った歪虚は次々と逃げ出して行く。
ハルトフォート軍は追撃を行い、決定的に歪虚を殲滅した。ハンターも掃討戦に加わり、この戦いに完全に終止符を打った。
「シオン殿、お疲れさまでした」
鞍馬が言うと、シオンは軽く笑みを浮かべた。
「また生きながらえたか」
ティスは団長に歩み寄る。
「お疲れさまでした」
「良く頑張ったな」
エヴァンスはティスの頭を撫でた。
そしてハンターたちは、いったんハルトフォート砦に立ち寄り、ラーズスヴァンに報告を行ってからリゼリオへの帰路に着くのだった。
「……いましたね~。ふざけた金ぴかの歪虚の群れが。上手くいくと思ったら大間違いっすよ」
無限 馨(ka0544)は双眼鏡で歪虚を確認していた。トランシーバーで伝える。
「敵さんを発見。数はざっと見て五十くらいっすかね」
「了解した」
リュー・グランフェスト(ka2419)の声が返ってくる。
「……と、まあ、敵さんを捕捉したところで、だ」
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)が地図を確認する。
「攻撃を掛けるならこの辺りだろう。町への距離も考えると……無限の報告からも、この辺りがぎりぎりのラインだろうな」
リンスファーサ上級騎士卿は頷いた。
「よし、リュー、無限にそのまま監視を続けるよう伝えてくれ。俺達もすぐに追いつく」
エヴァンスが呼び掛ける。
「エヴァンスさん」
「お疲れさんだな」
「ええ……。歪虚達は余裕のつもりか、のんびり行ってるっすね~」
「ピクニックはここまでだな」
柊 真司(ka0705)が言うと、全員戦闘態勢に入る。
リンスファーサは全軍に突撃の合図を出した。ハンターたちも加速する。
「セルレイオス様、人間どもが」
セルレイオスは腹心から接近してくる人間たちの報告を受けた。
「来ましたか……」
言うと、セルレイオスは手を突き出して上空に閃光を撃ち放った。光が爆発する。
「何なの?」
ティス・フュラー(ka3006)は突如として空に出現した光の塊に眉をひそめた。
「まるで太陽だ」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が見ているものは、セルレイオスが打ち上げた人工太陽である。
不動シオン(ka5395)は未知の光に戦意が高揚する。
「破壊神の眷属とは、極上の獲物だな。じっくり狩りを楽しませてもらうぞ」
「とは言え、何が起きる?」
鞍馬 真(ka5819)の不安は、すぐさま歪虚たちの異変となって現れた。
歪虚たちが咆哮すると、輝き始めた。セルレイオスの軍団は、輝きながらハンターたちへと反転すると加速を開始した。
「クルセイダーみたいなもんか……?」
リューは敵の様子を見て首を傾げた。歴戦の経験がすぐに状況を察知させた。
「……あんだけの数の兵隊をまとめて範囲に収めるとは」
そのままハンターとハルトフォート軍、歪虚の集団は激突に向かって接近していく。
「撃て!」
人間たちと歪虚の双方から攻撃の号令が飛ぶ。
ハルトフォートマギステルからファイアーボールが飛ぶ。
「それじゃあ私も行くわよ。ここが魔法使いの見せどころ!」
ティスも高威力のファイアーボールを連射した。火炎が炸裂して歪虚の戦列を薙ぎ払う。
歪虚軍から飛びかう光弾がハンターと兵士たちを襲う。
しかし歪虚軍の足は止まった。それでも歪虚達の攻撃は間断なく続く。
「こっちも撃ち落とせ!」
ハルトフォート軍も弓と銃で応酬する。
「俺も遠慮なくやらせてもらおう」
柊はデルタレイを連射した。
飛び交う攻撃と攻撃。
――と、歪虚軍から巨大な光弾が落下して来た。爆発がハンターと兵士たちを薙ぎ倒す。
「何……!」
エヴァンスは舌打ちした。
続いて飛び交うひときわ分厚い光線。兵士たちを貫く。そして歪虚の爆発弾。ハンターと兵士達は吹っ飛んだ。
「ちい……っ」
柊も巻き込まれた。ティスも軽くダメージを受ける。その他にも巻き込まれた者多数。
勢いづく歪虚軍は輝きながら突進して来た。
それでもハルトフォート軍は銃撃と矢弾で円盤を破壊して、歪虚の魔戦士達を叩き落とした。
「勝負はここからだ」
アルトはグレースに鞭を入れた。
無限は魔導槍を振るって歪虚兵と打ち合う。
「にい……! おたくらの相手をしている暇は無いっす!」
ネーベルナハトで殴り倒す。
「ボスがいるはずっす!」
「やってくれるじゃねえか! 歪虚どもが!」
エヴァンスも切り込んだ。歪虚兵と打ち合い、薙ぎ倒して行く。
「押し通る!」
「随分と団体で攻めてきやがって、まとめて撃ち落としてやる!」
柊もデルタレイを連射した。
「にゃろうが! 大将首はどこに居やがる!」
リューはテンペストを駆りながら右に左にMURAMASAを振るう。
「こうなると、私はただの置物よね……」
ティスも魔導銃に持ち替え、仕方ないとも言ってられないので銃撃を開始する。
アルトもMURAMASAを抜いて加速。魔戦士と切り結ぶ。これが雑魚とも思えないほどにしぶとい。
「あの太陽のせいか……?」
シオンも激しく魔戦士たちと切り結んでいた。歪虚は猛烈な勢いで襲い掛かってくる。シオンの闘争心が爆発していた。
「私を殺せると思うな!」
「こいつはとんでもない。あの太陽……」
鞍馬はMASAMUNAEで魔戦士を弾き返して、吐息した。
一進一退。ハルトフォート軍は歪虚の攻勢を受け止めていた。乱戦に突入し、ハンターたちは敵戦列を突破しつつあった。
セルレイオスは戦況を見やりつつ腹心の神官戦士たちに問うた。
「しぶといですねえ。どう見ますか?」
「我々にお任せを」
「そうですねえ……。少し出て行って人間たちを潰して来なさい」
「はっ」
二人の神官戦士らは前進した。
「おおっと! 出てきたッすね大物が!」
無限は、神官戦士らを見て、スローイングカードを投擲した。カードは盾に弾き返された。
「お前らと長々と遊ぶつもりは無い、さっさと滅びてもらおうか」
グレースを加速させるアルト。
「タダでは町に進攻させん、行きたくばこの私と戦え。さもなくば破壊神シヴァの名が泣くぞ!」
シオンも魔導バイクを加速させる。
「そもそもだ! 私と戦わずして町に入るとは、不遜なること極まりない!」
「では私もそろそろ行くとしよう」
鞍馬も戦馬に鞭を入れた。
「ぬん!」
神官戦士二人は、モーニングスターを一閃した。フラッシュがほとばしって、ハンターたちを焼き尽くした。
「あっちち!」
無限はバイクを敵側面に付けると、ワイヤーウィップを投げつけた。風を切る音とともに、鞭が歪虚を打つ。
アルトはMURAMASAで切りつけた。アルトの連撃、連華。神官を凄絶に切り裂く。
シオンも激突。槍を突き出せば盾を貫通した。
「邪煌滅殺!」
「シオン殿に続いて、私の打撃を受けよ」
鞍馬もチャージからの渾身撃を振り下ろす。激突して神官の頭部を殴った。
「おのれ!」
神官戦士の一人が手を突き出し閃光を解き放った。ハンターたちは抵抗した。
もう一人はモーニングスターを万力で振り切った。鞍馬が直撃を受ける。
「鞍馬!」
シオンは槍で神官を殴った。
アルトが突進して連撃を撃ち込む。無限もウィップを叩き込んだ。鞍馬は立て直して反撃した。
神官は味方を巻き込むのも構わずフラッシュを撃ち込んだ。
アルト、シオン、鞍馬、無限は一体に集中攻撃を浴びせた。さすがの神官歪虚も崩れ落ちて闇に還元した。
「お前も死ぬぞ」
アルトは言った。
「やかましい!」
神官はフラッシュを撃ち込んだ。ハンターたちは突進した。
無限がウィップで絡め取ると、そこへアルトが連華を撃ち込んだ。続いて、シオンと鞍馬が激突する。
神官はモーニングスターをアルトに振り下ろした。アルトは回避した。すれ違いざまに神官の腕を切り落とした。
シオンの鋭い突きが神官を貫き、鞍馬の渾身の打撃が神官を切り裂く。
「これでもっす!」
無限は鞭を一閃した。白銀の風鳴りの音とともに、ウィップは神官の首を刎ね飛ばした。崩れ落ちる神官戦士。闇へと還元していく。
アルトも吐息した。
「だが、まだ……か?」
「来ましたか……人間たち」
セルレイオスは穏やかな笑みを浮かべて手を上げた。マテリアルフラッシュを解放。
ハンターたちは一斉に全力攻撃を開始した。
フェンリルが駆け抜ける。エヴァンスの渾身の打撃を受けて、セルレイオスは軽く手を上げて顔をしかめた。
「果てなあ! 傲慢の大将!」
柊は冷静にマシンガンを連射した。凄まじい銃撃がセルレイオスを貫く。
「さて……やけどの借りは返させてもらうぞ」
「いっくぜええええ!!」
リューは吠え声を上げ、輝くマテリアル弾となって突撃。
「紋章剣、天槍(グングニル)!」
そのままセルレイオスに激突。MURAMASAが貫通する。
「こいつがボスね。何て悪趣味な……ぴかぴかの兵隊を連れてくるなんて……ね!」
ティスはアイスボルトを撃ち込んだ。
セルレイオスは顔を片手で覆って、伏した。
ハンターたちはいったん距離を保つ。続く打撃に備える。
「くくくくく……痛え……痛えなあ……おい!」
セルレイオスは、がばっと顔を上げた。穏やかな顔が歪んでいる。
びりびりと威圧がハンターたちを襲う。
「本気出すかあ……仕方ねえ……!」
セルレイオスの姿がみるみる変容していく。金の邪眼は大きく膨らみ、口は裂けて牙が伸びて来て、頭部も大きくなって体全体が膨れ上がっていく。金の甲冑は異様に変容していき、黄金の翼が生えて来て、角は巨大に伸びた。また巨大な尻尾が生えて、手にも足にも鋭い爪が伸びた。セルレイオスは限界突破した。
「おい! 生きて帰れると思うなよ! 人間ども!」
凄まじいプレッシャーである。魔物のボスクラスが人間を越える壁。どんな熟練ハンターでも「一人では」太刀打ちできまい。
「こいつは……」
エヴァンスはにいっと笑った。
「面白え! やるかあ!」
「行くぞおおおおお!」
リューは咆哮した。
柊は冷静にマシンガンを構える。
「ふう……全く……」
ティスは肩をすくめて、アイスボルトを構えた。
「行け!」
柊はマシンガンの攻撃とともに号令を出した。銃撃を燐光が弾き返す。
「バリアー? シールドか?」
柊は軽くそれを確認する。
エヴァンスとリューは再突撃。唯 一刀両断。そしてリューは守りの構えからMURAMASAを繰り出す。
ティスのアイスボルトが貫く。
「支援役はひやひやものよねえ」
「ガアアアアアアアアア――!」
セルレイオスは手に光の魔剣を生み出すとエヴァンスとリューを連続で刺した。焼けるような痛みが走る。
「者ども吹っ飛べ!」
セルレイオスは地面に爆発弾を叩きつけた。自らのダメージを顧みず、ハンターたちを吹き飛ばす。さらに続いてマテリアルフラッシュがほとばしる。
柊は再度マシンガンを叩き込んだ。今度は銃撃は貫通した。
「約十秒……」
柊はマシンガンの照準先のセルレイオスから目を離さず、位置を変える。
「先手先手を取ってくるし……速い……! おとなしくしなさいよ怪物!」
ティスはアイスボルトを叩き込んだ。氷の矢弾が破裂する。セルレイオスの肉体を切り裂き貫通する。
そこへ、アルトに鞍馬、シオンに無限が到達した。
「どうやら……とんでもないことになっているようだな……」
アルトはグレースを逃がしておくと、MURAMASAと盾を構えた。
「そのようだ」
鞍馬はシオンに軽く視線を向けると、彼女は吐息した。
「やるしかないようだな」
「ひえ~、怪物っすね~。でもやるしかないっす!」
無限も吐息した。
アルトは踏鳴で一気に加速した。連華を叩き込む。
「お前の腹心は退屈だった、お前は私を楽しませてくれるだろうな?」
「何言ってやがる小娘が!」
セルレイオスは高速で拳を叩き込んで来た。アルトは瞬影でさばいて、切りつけたが、再来した高速の拳に腹を直撃されて吹っ飛んだ。
「速い……何だ今の二段攻撃は……」
「アルトさん!」
無限がウィップを振るう。ワイヤーがセルレイオスの腕に絡みつく。
シオンと鞍馬は呼吸を合わせて突撃した。
「貴様の腕前を拝見させてもらうぞ、シヴァの眷属とやら!」
二人の連撃がセルレイオスを貫く、瞬間、燐光が湧きあがり、そして消失した。
ティスだ。カウンターマジックでセルレイオスのバリアーを打ち消した。
「何でも思い通りに行くと思わないでね」
続いて、エヴァンスとリューが突撃する。
「とんでもモンスターだなおい! お前を逃がすわけにはいかねえ!」
エヴァンスは万力で切りつける。リューはその逆方向から切りつけ、セルレイオスを切り裂く。
柊はマシンガンを連射する。
「どこまでタフな奴だ……。単純計算でも……どうなってる?」
ハンターたちはさらに全員で攻撃を行った。
セルレイオスは反撃から凄まじい速さで動き出し、エヴァンスとリュー、アルトにシオンを光剣で切り裂いた。
「これでも!」
無限はウィップを全力で引いた。ハンターに切り裂かれながらも、セルレイオスは無限を引きずり込んだ。
「いい加減……落ちなさいよ!」
ティスは腕を振り上げると、全身でそれを振り下ろした。アイスボルトを満身で叩き込む。貫く氷弾。ティスはもう一発アイスボルトを撃ち込んだ。
柊はそのまま距離を保ち、移動してマシンガンを叩き込む。
「当たってるよな? まだかよ」
セルレイオスは崩壊しつつあるが……。
「シヴァ様麾下の俺を……ここまで追い詰めるとは……。貴様らもとんでもない手練だな。生かしておけん……。だが……シヴァ様の前に、パールバティ様やインドラ様には遠く及ばぬわ……人間など!」
「名を……聞いておこうか……歪虚」
アルトは血を拭って言った。
「聞いてどうする、女」
「私の歴史の一枚に加えてやろう」
「俺はセルレイオス。矮小なる人間よ。虚無のパワーを……思い知るがいい!」
セルレイオスはそう言うと、上空の人工太陽に手を伸ばし、「それ」を引き寄せた。
「何?」
柊は眉をひそめ、そして上空を見上げた。人工太陽が落下してくる。
「おいみんな! 逃げろ! ティス!」
柊はティスとともに離脱した。
他のハンターたちも離脱する……!
セルレイオスは笑っていた。そして人工太陽が大きく輝く。
ハンターたちは、間一髪、太陽の落下範囲から逃げ出した。
閃光が消失して、中のセルレイオスは膝を突いてずたぼろになって力尽きていた。そのまま肉体が崩壊して闇に還元していく。
「死んだ……か」
エヴァンスは頭をかいていた。それから、リューの肩に手を置く。
「ああ」
リューは頷いた。
「ところで、歪虚兵は。ハルトフォート軍はどうなってる?」
鞍馬の問いに、ハンターたちは後方を見やる。
見ると、歪虚兵らは恐慌をきたして壊走していた。生き残った歪虚は次々と逃げ出して行く。
ハルトフォート軍は追撃を行い、決定的に歪虚を殲滅した。ハンターも掃討戦に加わり、この戦いに完全に終止符を打った。
「シオン殿、お疲れさまでした」
鞍馬が言うと、シオンは軽く笑みを浮かべた。
「また生きながらえたか」
ティスは団長に歩み寄る。
「お疲れさまでした」
「良く頑張ったな」
エヴァンスはティスの頭を撫でた。
そしてハンターたちは、いったんハルトフォート砦に立ち寄り、ラーズスヴァンに報告を行ってからリゼリオへの帰路に着くのだった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/22 20:48:24 |
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教えて☆ソフィアちゃん! 無限 馨(ka0544) 人間(リアルブルー)|22才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/03/21 14:10:39 |
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攻撃阻止作戦会議 無限 馨(ka0544) 人間(リアルブルー)|22才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/03/24 08:36:43 |