ゲスト
(ka0000)
【審判】クルセイダーの巡礼
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/04/04 09:00
- 完成日
- 2016/04/09 06:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
街道を歩く二人の人物。
一人はまだ年齢が10を越えたかどうかといった風情の少女。首からは手作りらしいエクラの聖印を下げている。
隣を歩くもう一人は白を基調とした鎧を纏う銀髪の女性。
ロザリーこと、ロザリア=オルラランである。
「本当に良かったの?」
「ええ。巡礼者の方を護衛するのは、クルセイダーとして当然のことですわ」
「でも……何のお礼もできないのに……」
申し訳なさを隠さない少女に対し、にこりと笑みを浮かべてロザリーは言い添えた。
「それに、わたくしもちょうどこちらに用事があったんですの。気になさらないでくださいな」
「……ありがとう、お姉さん!」
少女は一瞬言葉を捜したものの、笑みを浮かべて素直に頭を下げた。
ロザリーの言葉が自分に対して気を使わせないための嘘であることは、少女の目から見ても明白だ。しかし、何も言わずにその気遣いを受け取ろうと思ったのである。
二人が出会ったのは、つい先日のことだ。
少女はエクラ教徒であり、巡礼の最中に立ち寄った小さな街でロザリーと出会った。
少女がたった一人でエクラ教の巡礼を行っていると聞いたロザリーは驚き、隣の大きな聖堂がある街まで少女の護衛を申し出たのである。
●
エクラ教徒がよく行う巡礼を、ロザリーは生まれてこの方したことが一度もない。
言うまでもなく、巡礼するより歪虚や雑魔をメイスでぶん殴るほうが好きだからである。
もちろん、少女を護衛したいというのは本心であったが、ロザリーにはもう一つ別の思惑があった。少女と一緒に巡礼路を歩くことにより、巡礼を行ったという既成事実を作ろうとしているのである。
本来なら始まりの村トルティアから王国各地の聖堂を経由し、最終的に王都イルダーナの聖ヴェレニウス大聖堂へと至る長い旅を巡礼と呼ぶのだ。
あくまで一つの順路を通過しただけで巡礼したと言い張るのは少々……どころか確実に誇張表現なのだが、そんなことを気にするロザリーではなかった。
これでわたくしも巡礼をしたと胸を張って言えますわ! などとやや不真面目なことを考えているロザリーであった。
●
街道を歩く二人はそれぞれ笑顔を浮かべ、楽しげに話を弾ませていた。
はしゃぐ少女はやがてロザリーの手を取る。
「お姉さん、ほらほら早く!」
「ふふ、お待ちなさい、聖堂は逃げたりはしませんわ」
走り出した少女に手を引かれ、ロザリーはやや駆け足で街道を進むが……。
――バサバサッ。
その時、ロザリーは翼が羽ばたく音を聞いた。
音に導かれるように空へと瞳を向けたロザリーは少女の手を掴んだまま、立ち止まる。つられて少女も足を止め、不思議そうにロザリーを振り返ったあと、その視線を追いかけて自分も空を見上げた。
そこには純白の翼を生やした人型の存在がいた。
数は十数体はいようか。それぞれ鎧を身にまとい、手に剣を、あるいは槍を持ち、優雅に空を舞っている。
二人がリアルブルーの出身だったなら、きっと彼らの姿を見てこう思っただろう。天使、と。
「うわあ……綺麗……あたしたちを祝福に来てくれたのかな!?」
はしゃぐ少女にロザリーは答えない。しばし黙していたロザリーは、やがて重々しく口を開いた。
「いえ……違いますわ」
ロザリーは少女の前に立つ。すでに彼女の右手にはメイスが、左手には盾が構えられていた。
「えっ? ……じゃあ、あれは何?」
「敵……ですわ」
空を舞うその姿は美しく、神々しい。少女が神聖なものと勘違いしたのも無理はなかった。
しかし、その舞は言うならば猛禽類が地上の獲物を襲う際に見せるものと同義であった。
相手はすでにこちらを捕捉している。自分だけならともかく、隣の少女を連れて逃げることは難しい。
ロザリーはメイスを握りなおし、油断なく頭上の敵を見据えた。
遠目に見るだけでも分かる。
有象無象の雑魔とは比較にならないほどの強さを備えていることが。
街道を歩く二人の人物。
一人はまだ年齢が10を越えたかどうかといった風情の少女。首からは手作りらしいエクラの聖印を下げている。
隣を歩くもう一人は白を基調とした鎧を纏う銀髪の女性。
ロザリーこと、ロザリア=オルラランである。
「本当に良かったの?」
「ええ。巡礼者の方を護衛するのは、クルセイダーとして当然のことですわ」
「でも……何のお礼もできないのに……」
申し訳なさを隠さない少女に対し、にこりと笑みを浮かべてロザリーは言い添えた。
「それに、わたくしもちょうどこちらに用事があったんですの。気になさらないでくださいな」
「……ありがとう、お姉さん!」
少女は一瞬言葉を捜したものの、笑みを浮かべて素直に頭を下げた。
ロザリーの言葉が自分に対して気を使わせないための嘘であることは、少女の目から見ても明白だ。しかし、何も言わずにその気遣いを受け取ろうと思ったのである。
二人が出会ったのは、つい先日のことだ。
少女はエクラ教徒であり、巡礼の最中に立ち寄った小さな街でロザリーと出会った。
少女がたった一人でエクラ教の巡礼を行っていると聞いたロザリーは驚き、隣の大きな聖堂がある街まで少女の護衛を申し出たのである。
●
エクラ教徒がよく行う巡礼を、ロザリーは生まれてこの方したことが一度もない。
言うまでもなく、巡礼するより歪虚や雑魔をメイスでぶん殴るほうが好きだからである。
もちろん、少女を護衛したいというのは本心であったが、ロザリーにはもう一つ別の思惑があった。少女と一緒に巡礼路を歩くことにより、巡礼を行ったという既成事実を作ろうとしているのである。
本来なら始まりの村トルティアから王国各地の聖堂を経由し、最終的に王都イルダーナの聖ヴェレニウス大聖堂へと至る長い旅を巡礼と呼ぶのだ。
あくまで一つの順路を通過しただけで巡礼したと言い張るのは少々……どころか確実に誇張表現なのだが、そんなことを気にするロザリーではなかった。
これでわたくしも巡礼をしたと胸を張って言えますわ! などとやや不真面目なことを考えているロザリーであった。
●
街道を歩く二人はそれぞれ笑顔を浮かべ、楽しげに話を弾ませていた。
はしゃぐ少女はやがてロザリーの手を取る。
「お姉さん、ほらほら早く!」
「ふふ、お待ちなさい、聖堂は逃げたりはしませんわ」
走り出した少女に手を引かれ、ロザリーはやや駆け足で街道を進むが……。
――バサバサッ。
その時、ロザリーは翼が羽ばたく音を聞いた。
音に導かれるように空へと瞳を向けたロザリーは少女の手を掴んだまま、立ち止まる。つられて少女も足を止め、不思議そうにロザリーを振り返ったあと、その視線を追いかけて自分も空を見上げた。
そこには純白の翼を生やした人型の存在がいた。
数は十数体はいようか。それぞれ鎧を身にまとい、手に剣を、あるいは槍を持ち、優雅に空を舞っている。
二人がリアルブルーの出身だったなら、きっと彼らの姿を見てこう思っただろう。天使、と。
「うわあ……綺麗……あたしたちを祝福に来てくれたのかな!?」
はしゃぐ少女にロザリーは答えない。しばし黙していたロザリーは、やがて重々しく口を開いた。
「いえ……違いますわ」
ロザリーは少女の前に立つ。すでに彼女の右手にはメイスが、左手には盾が構えられていた。
「えっ? ……じゃあ、あれは何?」
「敵……ですわ」
空を舞うその姿は美しく、神々しい。少女が神聖なものと勘違いしたのも無理はなかった。
しかし、その舞は言うならば猛禽類が地上の獲物を襲う際に見せるものと同義であった。
相手はすでにこちらを捕捉している。自分だけならともかく、隣の少女を連れて逃げることは難しい。
ロザリーはメイスを握りなおし、油断なく頭上の敵を見据えた。
遠目に見るだけでも分かる。
有象無象の雑魔とは比較にならないほどの強さを備えていることが。
リプレイ本文
●
「王国で何か起きてるって話を聞いて、はるばる来てみりゃあ幸先良いじゃねーか。いきなり現場に立ち会えるなんてな!」
ジャック・エルギン(ka1522)は嬉々として馬の足を速めた。彼の視線の先にいるのは空を舞う天使のような存在と、それを見上げる二人の人間。
「あれは……女の子と……ロザリーさん? 襲われてるみたいね……助けなきゃ!」
ティス・フュラー(ka3006)は一緒にいたアニス・エリダヌス(ka2491)と顔を見合わせると頷き合い、それぞれゴースロンを勢い良く走らせた。
「天使ってのは慈悲深きってのが相場じゃねえのかね、どうみても慈悲もへったくれもなさそうだし遠慮なくぶっ飛ばさせてもらうかね」
同じようにゴースロンにまたがる春日 啓一(ka1621)は、駆けて行くハンター達の援護をすることにした。ロングボウ「ソウルクラッシュ」を手に取り、弦を強く引く。狙いはもちろん空を舞う天使達。
そしてこの場を通りかかったのは彼らだけではなかった。
「……あれはロザリーの姐さんか。厄介な敵に付きまとわれているようだな。早めに合流してやらないとな」
ロザリーに密かに想いを寄せるAnbar(ka4037)も戦馬を駆り、彼女の下へと急ぐ。
「ジル。ごめんなさいね、少し無茶をします」
愛馬の名を呼び、エステル(ka5826)も戦場へと身を投じた。
「……王国が騒がしいから様子を見に来たのだけど。見覚えのある銀髪ね。あれはたしか……そう、聖女さま。ロザリーだったかしら」
にわかに慌しくなる街道で、手をひさしにして遠くを見る者が一人。
「もう一人の子は、服装からしてエクラ教の巡礼者? ま、何でもいいけど。あの趣味の悪い飛行物体は歪虚でしょ。だったら斃す。それだけよ」
言葉の主、キサ・I・アイオライト(ka4355)は己の足で走る。走る。走る。
戦場はもう少しだけ遠い。
●
空を舞う天使の一団の中、槍を持つ者達がロザリーと少女目掛けて急降下した。
ロザリーは少女を庇いつつ、天使が繰り出す槍を盾で受けた。耳障りな音が生まれ、空へと消えた。
技量ではロザリーが勝る。しかし、数の差と守るべき少女の存在が彼女の動きを鈍らせる。一体目の攻撃は凌いだが、二体目の敵はすぐそこだ。
ロザリーの額を汗が伝ったその時。
「飛び入り参加させてもらうぜ!」
ジャックが大太刀「獅子王」で続く天使の槍を器用に弾く。
「!? 貴方は!?」
「後ろにハンターが来てる。その嬢ちゃん守りながら下がるぜ」
驚くロザリーと少女に声をかけ、ジャックは天使達と二人との間に割り込んだ。彼の言葉だけで状況を理解したロザリー。
そこにアニスとティスが同時に駆けつけた。
「お怪我はありませんか」
「アニスさん! ティスさん!」
歓喜の声を出したロザリーとは裏腹に、背中から翼を生やしているアニスを見た少女は怯えたようにロザリーにすがる。
「大丈夫ですわ。この方はわたくしの友人です」
ロザリーの言葉に、ようやく少女は安堵の表情を浮かべた。
「……どちらの翼が輝くか、勝負です。有翼の敵。わたしの信じる神も翼持つ人、負けるつもりはありません」
アニス、ティスはそれぞれ得物を構えた。
彼らを狙い舞い降りる集団の中に一筋の影が横切り、一体の天使はバランスを大きく崩した。地へと不時着した天使の脇腹には矢が突き刺さっている。何事かと意識を向ける天使たち。
その視線の先には新たな矢をつがえ、挑発的な視線をよこす啓一の姿があった。さらにソウルトーチを用い、己のマテリアルを燃やしてオーラを纏う。
「おうおう阿呆鳥ども、雁首揃えて女子供に襲いかかるったあ程度が知れてんな!」
混沌としだした戦場に今度はエキゾーストノートが響き渡る。
「多勢で女性を襲うなんて放ってはおけないよ、お前達の相手はざくろだ!」
馬を操るハンター達の中、颯爽と試作魔導バイク「ナグルファル」で現れた時音 ざくろ(ka1250)。素早くバイクから降り、グレートソード「エッケザックス」を構える。
「ロザリー久しぶり……彼奴らはざくろ達に任せて、その子の安全を頼むね」
「ありがとうございます!」
「超機導パワーオン……彼女達には一歩も近づけさせないよ」
攻性防壁の効果により光を纏った大剣でさくろは迫る天使の槍を上手く受け止めた。たちまち天使は光の雷撃を浴びて吹き飛ばされる。
「嬢ちゃん。怖い敵は俺たちがきちんと追い払ってやるから、そこの美人の姐さんのそばからけして離れるなよ!」
「Anbarさん!」
戦線にたどり着いたAnbarは斧を振るい、天使達を二人に近づけまいとする。
隙あらば二人を連れて下がるつもりの彼だったが、残念ながら天使の一団は新たな獲物を取り囲もうと動きつつあった。
乱戦になりつつあるフィールドに突っ込んだエステルは、目の前に立ち塞がった敵へと武器を振りかぶる。
(私はまだ未熟でエクラの名の下になどとはいえません。ですが、一人のこの世界に生きるものとして)
彼女の魔力が赤いメイスに集まっていく。
「信仰という大義名分を掲げ、殺戮を繰り広げる貴方たちを、私は絶対に認めません!」
思い切り武器を叩きつけるエステル。
フォースクラッシュで打たれた敵は吹き飛んだ。しかし新たな敵がエステル目掛けて槍を突き出す。かわしきれず、彼女は腕を切り裂かれる。
アニスはホーリーライトで狙い撃ち、エステルから敵を一旦引き離すことに成功した。
ティスが味方を巻き込まないように放ったファイアーボールが二体の槍天使を飲み込む。衝撃があたりを揺らすが、爆炎の中に羽ばたく音は健在だ。
まだ死滅した敵は一体もいない。そして、上空には剣と盾を持つ天使が三体控えていた。
●
「あなたたち風情に、私たちが後れを取るとでも?」
自分の足でようやく距離を詰めたキサは手近な槍兵を睨みつけた。ベルセルクのスキル、ブロウビートだ。……真の戦士は視線で殺す。らしい。
しかし天使は動じず、キサの顔を一瞥しただけであった。
無視するなとばかりに、キサはその天使を指差す。
「行きなさい、アリス!」
彼女の言葉に従い、桜型妖精「アリス」が飛び出した。
ファミリアアタックにて魔力を帯びた妖精が果敢に突撃し、今度こそ天使はしたたかに打たれ、宙でよろけた。
「さて……景気良く喧嘩を吹っ掛けたのはいいけれど」
先の一撃を受けた天使がすでにバランスを取り戻し、槍を構えて彼女へと向かってくる。
「私はそんなに強くないし、早めに皆と連携が取れる場所に移動を済ませましょう」
すれ違いざまに繰り出された槍をなんとか受け流して最小限の傷に抑えつつ、キサもハンター達が作る陣形へと駆け寄った。
「囲ませはしないよ……必殺、デルタエンド!」
ざくろのデルタレイが三本の光線となって三体の天使を襲った。一本は避けられたものの、二本はそれぞれ天使の胸を貫く。ティスの火球を身に受けていたその内の一体は、ついに力なく地に落ち、消滅した。
啓一も仲間に合流して下馬し、左手に盾を構えて右の「プロミネント・グリム」を振るっていた。
「一発くれてありがとよ、こいつは釣りだとっときな!」
敵の攻撃をあえて受け止め、間合いを詰めてきた敵を思いっきりぶん殴る。さすがに避けきれず、天使は吹き飛び大地を転げた。
Anbarは敵の狙いがロザリー、もしくは少女に向けられていると感じるとすぐさま間に割って入り、野獣のような咆哮を浴びせて敵を威圧する。萎縮した敵は進路を変更することを余儀なくされた。アニスも二人を守るべき対象と定め、盾を構えて付かず離れずの位置でホーリーライトを放っている。
「うおっと! 危ねえだろうが、よ!」
その反対側でもジャックが奮戦していた。ソウルトーチによりオーラに包まれている彼が大太刀を一閃すると、二体の天使がまとめて切り裂かれた。
槍を持つ天使はその数を少しずつ減らしている。しかし、気になるのはまだ動かない剣と盾を手にした上空の天使達だ。
「あの剣持ってるヤツ、ヤベえ気がする。魔法狙えねーか?」
ジャックが仲間の魔法使いに呼びかける。
ちょうどその時、静観していた上空の天使達が動いた。キサがその動きにいち早く反応し、仲間に注意を促す。
三体の天使が剣を掲げると、複数の光が宙に生まれた。
それが光の弾丸となって襲い掛かろうとした時、突如その一部が掻き消えた。一体の天使は驚愕し、地を睨みつける。そこには八卦鏡「止水」をかざしているティスがいた。彼女のカウンターマジックが敵の魔法を打ち破ったのだ。しかし、これが効果を及ぼせるのは一体の敵のみ。
阻害されなかった二体の天使はそのまま光弾を解き放つ。
一体につき六つ。つごう十二の光弾が乱戦中のハンター達を襲う。
啓一はティスを守るように立ち、ロザリーも少女を、Anbarとアニスはさらにその二人を守ろうと身構えた。
天より強襲した光のつぶてが彼らを穿ち、轟音と共にいくつもの土煙が上がった。命中した光弾はおそるべき威力でハンター達にけして軽くない損傷を与えた。ロザリーも攻撃をその身に受けていたが、皆に庇われた少女は幸い無事である。
エステルは即座にヒーリングスフィアを行使する。優しい光が仲間を包みこみ、その傷を癒すが完治には至らない。
槍を持つ天使がそこに殺到した。ハンター達にとって幸運だったのは、敵の内一体が光弾に巻き込まれて消滅していたことだろう。
光の弾丸をその身に受けずにすんだキサが大身槍「紅椿」を手に天使を迎え撃つ。
「さっさと墜ちなさいっての!」
霊魔撃をまとった大身槍は見事天使の胴体を貫いた。蓄積したダメージにより、消滅する敵。
ほっとひと息つく彼女の前に、突如白銀が閃いた。先ほど彼らを魔法で撃った、剣を持つ天使がすでに肉薄していたのだ。
咄嗟にロザリーがプロテクションをキサへと行使する。しかし、天使の剣はその防護もろともあっさりとキサの腕を切り裂いた。鮮血が迸り、大地を赤く染める。
キサは危うく武器を手放しそうになったが歯を食いしばり、痛みに耐えた。
ジェットブーツで飛翔したざくろがキサを助けんと天使を切りつける。しかし、敵はその攻撃を素早く回避してのける。並の動きではない。
他の二体の剣を持つ天使もすでに間合いを詰めていた。
一体はAnbarにその刃を振るい、彼の鎧ごと胴体を切り裂いた。
お返しとばかりに振るわれたAnbarの怒りのクラッシュブロウを、天使は盾で防ぐ。きしむような音が聞こえ、天使は衝撃によろめくがそれもわずかだ。
ジャックはもう一体からの攻撃を受け止め、カウンターアタックを見舞う。大太刀は見事に天使の腕を薙ぐが、敵の剣を受けたジャックとて無傷ではない。
そんな中、啓一は聖拳で目の前の天使を殴り飛ばす。打たれた天使の手から槍が零れ落ち、その姿も消失した。
ティスのファイアーボールが再び宙で炸裂し、残る槍天使を巻き込んだ。手負いだった相手はもはや爆炎から飛び出してくることもなく、そのまま無と帰した。
ようやく槍天使は死滅した。しかし、まだ油断は出来ない。剣を持つ天使が優雅に空を舞い刃を振るっている。
ざくろのデルタレイが幾度目かの光を放ち、三本の光条が翼あるものを撃つがまだ死には至らない。
一体は剣を手に彼らへと迫り、二体は再び先の光の弾を生み出す魔法を用いた。ティスが最後のカウンターマジックで対抗し、一体の力を見事に封じる。
飛来した六つの光弾をハンターは受け、あるいは避けて耐え忍ぶ。
すかさずエステル、ロザリーが癒しの力を行使し、ハンター達の傷を可能な限り癒す。
肉薄してきた一体を啓一が迎撃し、剣を盾で受けつつ反撃の拳を叩きつける。
キサのファミリアアタックが突出してきた天使を横から撃った。アニスもホーリーライトで追撃する。
ぐらつく敵の後ろから、先ほど魔法を行使した二体の天使が迫り、ジャック、Anbarがそれぞれ迎え撃つ。
ジャックはもう一度果敢にカウンターアタックを試み、自分の傷と引き換えに斬撃を見舞う。Anbarのクラッシュブロウは今度こそ、天使の構えた盾をかいくぐり胴体へと刃を埋め込んだ。
ティスの聖銀の水弾が啓一と渡り合っている天使を穿った。よろけた敵を、啓一がチャンスとばかりにぶん殴る。
ついに、剣を持つ天使は崩れ落ち、そのまま消滅した。
残るは二体。
キサの霊魔撃が翼を貫き、アニスのホーリーライトが頭に直撃する。それがとどめとなり、二体目の天使も無へと帰した。
最後の一体はすばやく身を翻し、上空へと舞い上がろうとしたがその時。ざくろがジェットブーツの効果で彼の逃げ道を塞いでいた。天使がざくろを切り伏せようと剣を振る。
しかし、それこそがざくろの狙いだった。
「そうくると思ってた、そのまま落ちろぉぉ……みんな、今だっ!」
ざくろが纏う攻性防壁の効果をまともに受け、天使は地へと叩きつけられた。すぐにジャック、Anbarが駆けつけ、とどめの一撃を振るう。
ついに、天よりの襲撃者は壊滅したのだった。
●
「ひゅう、終わったか。と、姉ちゃんと嬢ちゃんは怪我ねーかい?」
ジャックがようやく、といった風で呟き、振り返った。ロザリーと少女はほっと安堵の息を吐く。
「ええ、わたくしもこの子も大丈夫ですわ。本当に助かりました」
「ありがとう! お兄さん達!」
ロザリー、少女の満面の笑みこそがハンター達の望んだ報酬であったろう。
エステル、ロザリーがそれぞれのスキルで仲間の傷を癒す。キサが負っていた深い傷も含めて、全てが癒された。
Anbarがロザリーに語りかける。
「……今回は災難だった。でも、ギリギリで間に合ったんだ。神さんの恩寵というのは実際あるものなのかもな」
「ふふ、皆さんのおかげですわ」
にこりと微笑むロザリー。
そんな中、アニスは今回の敵と巡礼路、テスカ教団のベリトとの関連性を調査しようと考えていた。その隣でなにやら缶詰を空けるティス。
「大変でしたね、ロザリーさん。これでも食べて、一息ついてください」
ティスが得意のツナサンドを手早く作り、ロザリーと少女に差し出した。二人共喜んで受け取る。
早速かぶりつく少女の顔をキサが覗き込んだ。
「……その歳で一人で巡礼なんて、すごいわね」
「えへへ、だってエクラ教徒だもん!」
少女の受け答えに、隣でなにやら肩身が狭そうな表情をしているロザリー。
キサは少しだけ考えたあと、ぶっきらぼうに言葉を続けた。
「旅なら慣れてるわ。私も同道しましょうか。……お礼? 要らないわよ、別に。ちょうどこの先の街に用事があるから一緒に行くだけ。……本当よ?」
明らかに嘘であったが、少女は笑顔を浮かべる。
やがて新たな同行者と共に、少女は再び巡礼路を歩き出した。
「王国で何か起きてるって話を聞いて、はるばる来てみりゃあ幸先良いじゃねーか。いきなり現場に立ち会えるなんてな!」
ジャック・エルギン(ka1522)は嬉々として馬の足を速めた。彼の視線の先にいるのは空を舞う天使のような存在と、それを見上げる二人の人間。
「あれは……女の子と……ロザリーさん? 襲われてるみたいね……助けなきゃ!」
ティス・フュラー(ka3006)は一緒にいたアニス・エリダヌス(ka2491)と顔を見合わせると頷き合い、それぞれゴースロンを勢い良く走らせた。
「天使ってのは慈悲深きってのが相場じゃねえのかね、どうみても慈悲もへったくれもなさそうだし遠慮なくぶっ飛ばさせてもらうかね」
同じようにゴースロンにまたがる春日 啓一(ka1621)は、駆けて行くハンター達の援護をすることにした。ロングボウ「ソウルクラッシュ」を手に取り、弦を強く引く。狙いはもちろん空を舞う天使達。
そしてこの場を通りかかったのは彼らだけではなかった。
「……あれはロザリーの姐さんか。厄介な敵に付きまとわれているようだな。早めに合流してやらないとな」
ロザリーに密かに想いを寄せるAnbar(ka4037)も戦馬を駆り、彼女の下へと急ぐ。
「ジル。ごめんなさいね、少し無茶をします」
愛馬の名を呼び、エステル(ka5826)も戦場へと身を投じた。
「……王国が騒がしいから様子を見に来たのだけど。見覚えのある銀髪ね。あれはたしか……そう、聖女さま。ロザリーだったかしら」
にわかに慌しくなる街道で、手をひさしにして遠くを見る者が一人。
「もう一人の子は、服装からしてエクラ教の巡礼者? ま、何でもいいけど。あの趣味の悪い飛行物体は歪虚でしょ。だったら斃す。それだけよ」
言葉の主、キサ・I・アイオライト(ka4355)は己の足で走る。走る。走る。
戦場はもう少しだけ遠い。
●
空を舞う天使の一団の中、槍を持つ者達がロザリーと少女目掛けて急降下した。
ロザリーは少女を庇いつつ、天使が繰り出す槍を盾で受けた。耳障りな音が生まれ、空へと消えた。
技量ではロザリーが勝る。しかし、数の差と守るべき少女の存在が彼女の動きを鈍らせる。一体目の攻撃は凌いだが、二体目の敵はすぐそこだ。
ロザリーの額を汗が伝ったその時。
「飛び入り参加させてもらうぜ!」
ジャックが大太刀「獅子王」で続く天使の槍を器用に弾く。
「!? 貴方は!?」
「後ろにハンターが来てる。その嬢ちゃん守りながら下がるぜ」
驚くロザリーと少女に声をかけ、ジャックは天使達と二人との間に割り込んだ。彼の言葉だけで状況を理解したロザリー。
そこにアニスとティスが同時に駆けつけた。
「お怪我はありませんか」
「アニスさん! ティスさん!」
歓喜の声を出したロザリーとは裏腹に、背中から翼を生やしているアニスを見た少女は怯えたようにロザリーにすがる。
「大丈夫ですわ。この方はわたくしの友人です」
ロザリーの言葉に、ようやく少女は安堵の表情を浮かべた。
「……どちらの翼が輝くか、勝負です。有翼の敵。わたしの信じる神も翼持つ人、負けるつもりはありません」
アニス、ティスはそれぞれ得物を構えた。
彼らを狙い舞い降りる集団の中に一筋の影が横切り、一体の天使はバランスを大きく崩した。地へと不時着した天使の脇腹には矢が突き刺さっている。何事かと意識を向ける天使たち。
その視線の先には新たな矢をつがえ、挑発的な視線をよこす啓一の姿があった。さらにソウルトーチを用い、己のマテリアルを燃やしてオーラを纏う。
「おうおう阿呆鳥ども、雁首揃えて女子供に襲いかかるったあ程度が知れてんな!」
混沌としだした戦場に今度はエキゾーストノートが響き渡る。
「多勢で女性を襲うなんて放ってはおけないよ、お前達の相手はざくろだ!」
馬を操るハンター達の中、颯爽と試作魔導バイク「ナグルファル」で現れた時音 ざくろ(ka1250)。素早くバイクから降り、グレートソード「エッケザックス」を構える。
「ロザリー久しぶり……彼奴らはざくろ達に任せて、その子の安全を頼むね」
「ありがとうございます!」
「超機導パワーオン……彼女達には一歩も近づけさせないよ」
攻性防壁の効果により光を纏った大剣でさくろは迫る天使の槍を上手く受け止めた。たちまち天使は光の雷撃を浴びて吹き飛ばされる。
「嬢ちゃん。怖い敵は俺たちがきちんと追い払ってやるから、そこの美人の姐さんのそばからけして離れるなよ!」
「Anbarさん!」
戦線にたどり着いたAnbarは斧を振るい、天使達を二人に近づけまいとする。
隙あらば二人を連れて下がるつもりの彼だったが、残念ながら天使の一団は新たな獲物を取り囲もうと動きつつあった。
乱戦になりつつあるフィールドに突っ込んだエステルは、目の前に立ち塞がった敵へと武器を振りかぶる。
(私はまだ未熟でエクラの名の下になどとはいえません。ですが、一人のこの世界に生きるものとして)
彼女の魔力が赤いメイスに集まっていく。
「信仰という大義名分を掲げ、殺戮を繰り広げる貴方たちを、私は絶対に認めません!」
思い切り武器を叩きつけるエステル。
フォースクラッシュで打たれた敵は吹き飛んだ。しかし新たな敵がエステル目掛けて槍を突き出す。かわしきれず、彼女は腕を切り裂かれる。
アニスはホーリーライトで狙い撃ち、エステルから敵を一旦引き離すことに成功した。
ティスが味方を巻き込まないように放ったファイアーボールが二体の槍天使を飲み込む。衝撃があたりを揺らすが、爆炎の中に羽ばたく音は健在だ。
まだ死滅した敵は一体もいない。そして、上空には剣と盾を持つ天使が三体控えていた。
●
「あなたたち風情に、私たちが後れを取るとでも?」
自分の足でようやく距離を詰めたキサは手近な槍兵を睨みつけた。ベルセルクのスキル、ブロウビートだ。……真の戦士は視線で殺す。らしい。
しかし天使は動じず、キサの顔を一瞥しただけであった。
無視するなとばかりに、キサはその天使を指差す。
「行きなさい、アリス!」
彼女の言葉に従い、桜型妖精「アリス」が飛び出した。
ファミリアアタックにて魔力を帯びた妖精が果敢に突撃し、今度こそ天使はしたたかに打たれ、宙でよろけた。
「さて……景気良く喧嘩を吹っ掛けたのはいいけれど」
先の一撃を受けた天使がすでにバランスを取り戻し、槍を構えて彼女へと向かってくる。
「私はそんなに強くないし、早めに皆と連携が取れる場所に移動を済ませましょう」
すれ違いざまに繰り出された槍をなんとか受け流して最小限の傷に抑えつつ、キサもハンター達が作る陣形へと駆け寄った。
「囲ませはしないよ……必殺、デルタエンド!」
ざくろのデルタレイが三本の光線となって三体の天使を襲った。一本は避けられたものの、二本はそれぞれ天使の胸を貫く。ティスの火球を身に受けていたその内の一体は、ついに力なく地に落ち、消滅した。
啓一も仲間に合流して下馬し、左手に盾を構えて右の「プロミネント・グリム」を振るっていた。
「一発くれてありがとよ、こいつは釣りだとっときな!」
敵の攻撃をあえて受け止め、間合いを詰めてきた敵を思いっきりぶん殴る。さすがに避けきれず、天使は吹き飛び大地を転げた。
Anbarは敵の狙いがロザリー、もしくは少女に向けられていると感じるとすぐさま間に割って入り、野獣のような咆哮を浴びせて敵を威圧する。萎縮した敵は進路を変更することを余儀なくされた。アニスも二人を守るべき対象と定め、盾を構えて付かず離れずの位置でホーリーライトを放っている。
「うおっと! 危ねえだろうが、よ!」
その反対側でもジャックが奮戦していた。ソウルトーチによりオーラに包まれている彼が大太刀を一閃すると、二体の天使がまとめて切り裂かれた。
槍を持つ天使はその数を少しずつ減らしている。しかし、気になるのはまだ動かない剣と盾を手にした上空の天使達だ。
「あの剣持ってるヤツ、ヤベえ気がする。魔法狙えねーか?」
ジャックが仲間の魔法使いに呼びかける。
ちょうどその時、静観していた上空の天使達が動いた。キサがその動きにいち早く反応し、仲間に注意を促す。
三体の天使が剣を掲げると、複数の光が宙に生まれた。
それが光の弾丸となって襲い掛かろうとした時、突如その一部が掻き消えた。一体の天使は驚愕し、地を睨みつける。そこには八卦鏡「止水」をかざしているティスがいた。彼女のカウンターマジックが敵の魔法を打ち破ったのだ。しかし、これが効果を及ぼせるのは一体の敵のみ。
阻害されなかった二体の天使はそのまま光弾を解き放つ。
一体につき六つ。つごう十二の光弾が乱戦中のハンター達を襲う。
啓一はティスを守るように立ち、ロザリーも少女を、Anbarとアニスはさらにその二人を守ろうと身構えた。
天より強襲した光のつぶてが彼らを穿ち、轟音と共にいくつもの土煙が上がった。命中した光弾はおそるべき威力でハンター達にけして軽くない損傷を与えた。ロザリーも攻撃をその身に受けていたが、皆に庇われた少女は幸い無事である。
エステルは即座にヒーリングスフィアを行使する。優しい光が仲間を包みこみ、その傷を癒すが完治には至らない。
槍を持つ天使がそこに殺到した。ハンター達にとって幸運だったのは、敵の内一体が光弾に巻き込まれて消滅していたことだろう。
光の弾丸をその身に受けずにすんだキサが大身槍「紅椿」を手に天使を迎え撃つ。
「さっさと墜ちなさいっての!」
霊魔撃をまとった大身槍は見事天使の胴体を貫いた。蓄積したダメージにより、消滅する敵。
ほっとひと息つく彼女の前に、突如白銀が閃いた。先ほど彼らを魔法で撃った、剣を持つ天使がすでに肉薄していたのだ。
咄嗟にロザリーがプロテクションをキサへと行使する。しかし、天使の剣はその防護もろともあっさりとキサの腕を切り裂いた。鮮血が迸り、大地を赤く染める。
キサは危うく武器を手放しそうになったが歯を食いしばり、痛みに耐えた。
ジェットブーツで飛翔したざくろがキサを助けんと天使を切りつける。しかし、敵はその攻撃を素早く回避してのける。並の動きではない。
他の二体の剣を持つ天使もすでに間合いを詰めていた。
一体はAnbarにその刃を振るい、彼の鎧ごと胴体を切り裂いた。
お返しとばかりに振るわれたAnbarの怒りのクラッシュブロウを、天使は盾で防ぐ。きしむような音が聞こえ、天使は衝撃によろめくがそれもわずかだ。
ジャックはもう一体からの攻撃を受け止め、カウンターアタックを見舞う。大太刀は見事に天使の腕を薙ぐが、敵の剣を受けたジャックとて無傷ではない。
そんな中、啓一は聖拳で目の前の天使を殴り飛ばす。打たれた天使の手から槍が零れ落ち、その姿も消失した。
ティスのファイアーボールが再び宙で炸裂し、残る槍天使を巻き込んだ。手負いだった相手はもはや爆炎から飛び出してくることもなく、そのまま無と帰した。
ようやく槍天使は死滅した。しかし、まだ油断は出来ない。剣を持つ天使が優雅に空を舞い刃を振るっている。
ざくろのデルタレイが幾度目かの光を放ち、三本の光条が翼あるものを撃つがまだ死には至らない。
一体は剣を手に彼らへと迫り、二体は再び先の光の弾を生み出す魔法を用いた。ティスが最後のカウンターマジックで対抗し、一体の力を見事に封じる。
飛来した六つの光弾をハンターは受け、あるいは避けて耐え忍ぶ。
すかさずエステル、ロザリーが癒しの力を行使し、ハンター達の傷を可能な限り癒す。
肉薄してきた一体を啓一が迎撃し、剣を盾で受けつつ反撃の拳を叩きつける。
キサのファミリアアタックが突出してきた天使を横から撃った。アニスもホーリーライトで追撃する。
ぐらつく敵の後ろから、先ほど魔法を行使した二体の天使が迫り、ジャック、Anbarがそれぞれ迎え撃つ。
ジャックはもう一度果敢にカウンターアタックを試み、自分の傷と引き換えに斬撃を見舞う。Anbarのクラッシュブロウは今度こそ、天使の構えた盾をかいくぐり胴体へと刃を埋め込んだ。
ティスの聖銀の水弾が啓一と渡り合っている天使を穿った。よろけた敵を、啓一がチャンスとばかりにぶん殴る。
ついに、剣を持つ天使は崩れ落ち、そのまま消滅した。
残るは二体。
キサの霊魔撃が翼を貫き、アニスのホーリーライトが頭に直撃する。それがとどめとなり、二体目の天使も無へと帰した。
最後の一体はすばやく身を翻し、上空へと舞い上がろうとしたがその時。ざくろがジェットブーツの効果で彼の逃げ道を塞いでいた。天使がざくろを切り伏せようと剣を振る。
しかし、それこそがざくろの狙いだった。
「そうくると思ってた、そのまま落ちろぉぉ……みんな、今だっ!」
ざくろが纏う攻性防壁の効果をまともに受け、天使は地へと叩きつけられた。すぐにジャック、Anbarが駆けつけ、とどめの一撃を振るう。
ついに、天よりの襲撃者は壊滅したのだった。
●
「ひゅう、終わったか。と、姉ちゃんと嬢ちゃんは怪我ねーかい?」
ジャックがようやく、といった風で呟き、振り返った。ロザリーと少女はほっと安堵の息を吐く。
「ええ、わたくしもこの子も大丈夫ですわ。本当に助かりました」
「ありがとう! お兄さん達!」
ロザリー、少女の満面の笑みこそがハンター達の望んだ報酬であったろう。
エステル、ロザリーがそれぞれのスキルで仲間の傷を癒す。キサが負っていた深い傷も含めて、全てが癒された。
Anbarがロザリーに語りかける。
「……今回は災難だった。でも、ギリギリで間に合ったんだ。神さんの恩寵というのは実際あるものなのかもな」
「ふふ、皆さんのおかげですわ」
にこりと微笑むロザリー。
そんな中、アニスは今回の敵と巡礼路、テスカ教団のベリトとの関連性を調査しようと考えていた。その隣でなにやら缶詰を空けるティス。
「大変でしたね、ロザリーさん。これでも食べて、一息ついてください」
ティスが得意のツナサンドを手早く作り、ロザリーと少女に差し出した。二人共喜んで受け取る。
早速かぶりつく少女の顔をキサが覗き込んだ。
「……その歳で一人で巡礼なんて、すごいわね」
「えへへ、だってエクラ教徒だもん!」
少女の受け答えに、隣でなにやら肩身が狭そうな表情をしているロザリー。
キサは少しだけ考えたあと、ぶっきらぼうに言葉を続けた。
「旅なら慣れてるわ。私も同道しましょうか。……お礼? 要らないわよ、別に。ちょうどこの先の街に用事があるから一緒に行くだけ。……本当よ?」
明らかに嘘であったが、少女は笑顔を浮かべる。
やがて新たな同行者と共に、少女は再び巡礼路を歩き出した。
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質問卓 春日 啓一(ka1621) 人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/03/30 15:48:20 |
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相談卓 ティス・フュラー(ka3006) エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/04/03 23:03:25 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/31 16:41:17 |