ゲスト
(ka0000)
魔鷹~百年旅最初の村で
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/04/05 19:00
- 完成日
- 2016/04/19 00:47
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●森の異変
ここは同盟領、農業振興地ジェオルジの田舎村。
「ようやく暖かくなってきたのう」
「大いにええこっちゃ。果樹園じゃ剪定も終わって次は受粉作業が忙しゅうなる」
「雑草との戦いが始まる、とも言うがの」
「おお、ワシらの戦いはこれからじゃ!」
わはは、と盛り上がる住人たち。
そこに、森方面から声を張り上げる者がいた。
「おおい、大変じゃあ~!」
息も絶え絶えの体で駆け寄る、というか逃げてきたような有様だ。
「き、聞いてくれ。俺が何を言ってるか分からないかもしれないが、とにかく聞いてくれ」
真っ青になって逃げてきた男は言う。
彼の口にした話は以下の通りだ。
・森の奥で骸骨を見た。二足歩行する人骨で、間違いなく遠くで動いているのを見たが、奴はこちらに気付くとこっちを向いたままぴたりと止まって身じろぎ一つしなくなった。
・スケルトンは一体。軽武装して左手に剣を持ち右手には何も持っていない。
・足がすくんで身動きが取れなくなったが、スケルトンは動かない。狩りのため短弓を持っていたが構えることもできなかった。
・森のさらに奥から「ひゅーい」と風のなる音がして我に返り、無我夢中で逃げてきた。スケルトンがどうしたかはわからない。
「……お前、もう死んでるとかはないよな?」
「い、生きとるわい。ほれ」
疑う村民とハイタッチして、大きな音を鳴らしてみせる。
「空腹でもない熊とかならそういうこともあるが……化け物も腹を空かせてない時があるのか?」
「骨だけの化け物に満腹やら関係あるかい。一年前くらいにあの森の奥深くからエルフの娘を連れて出てきた隠者がおったろ。その人に相談してみよう」
「そうじゃそうじゃ。『ワシの住んどった方には気を付けろ』とも言っておったしの」
かくして、即座に隠者へ使者を飛ばすことになった。
これが要因となり、村や村人に被害無しの状態でハンターが到着することとなる。
●フラ・キャンディのあらすじ
そのころ、当の隠者とエルフの娘は同盟領のとある町にいた。
「ココアっていうの? これもチョコレート? チョコレートって、おいしいし面白いね」
エルフの娘、フラ・キャンディ(kz0121)がココアをちびりと口にして目を輝かせていた。
ここは、チョコレート・ショップ「チョコレート・ハウス」のテラス席。
「うーむむむ、キャンディに続きチョコレートまで……甘いものをどんどん気に入っておるの」
フラと同席する隠者、ジル・コバルトが渋い顔をした。ジルは約一年前、森の奥に隠れ住んでいたところ元気でおしゃべりなエルフの娘、フラと出会い町に出てきた。この時、しゃべりまくるフラを黙らせるためキャンディを口に含ませると自分の名前にしてしまうほど気に入ったのだったり。ともかく、森のどこかにある小さなエルフの里を「百年目のエルフ」という掟で旅に出されたフラに興味を抱き、人里に出て来るのだった。
それはそうとジル、落ち着かない様子だ。
「どうしたの、ジルさん」
「この店は若い娘が多すぎるんでな」
聞いたフラにそう返す。
「あら、店としては大助かりよ」
「あ、シエラさん。こんにちは」
ここでチョコレート・ハウスのオーナー、シエラ・エバンスがやってきた。礼儀正しいフラに満足そうな笑みを返す。先日、ここでチョコレートのお酒「ショコラヴィーナス」の宣伝依頼で働いたばかりだ。
「じいさん客を呼び込むサクラとして、かの?」
「チョコレートは男女や年齢の別に関係なく、すべからく愛されるべきですからね」
悠然とシエラが微笑んだところで新たな人影。
「じいさん、ここにいたか。身を潜めていたときに世話になった筋から緊急依頼だ」
色眼鏡を掛けた壮年の男性だ。ジルの情報屋で、資金管理などもしている。
手際よく前出の村での異変を伝えた。
「おお、あの村には世話になった。しかもそのスケルトン、明らかにあの時の奴らじゃ。一緒に戦ったハンターが戦闘後に調べて、もしかしたら逃げたヤツがいたかもしれんという話じゃったし」
思い出すジル。
内容は依頼「隠者と流離いエルフ」に詳しいが、「その森周辺は古戦場であり、ナイフ投げの得意な盗賊が暴れていたという伝説もあり、実際にジルが隠れ住んでいた時は骨をナイフのように投げて来るスケルトンの集団が襲ってきて、フラや開拓者とともに退治してからその場所を捨てた」と理解すれば問題ない。
「ねえ、やっつけに行こう。なんかその村に悪いよぅ」
フラがジルにねだる。
「普通にハンターオフィスに依頼を頼んでもいいが……隠遁してる時に生活物資とか世話になったんだ。恩返しすべきじゃねぇか?」
「分かっとるわい……投げナイフの伝説の盗賊は『ラパーチェ・ラーロ』。そしてその頭目は『ルモーレ』。早速、こちらも仲間を集めるぞ」
というわけで、フラと一緒に森の中を探索して、潜伏しているとみられるスケルトンの発見と退治を手伝ってくれる人、求ム。
ここは同盟領、農業振興地ジェオルジの田舎村。
「ようやく暖かくなってきたのう」
「大いにええこっちゃ。果樹園じゃ剪定も終わって次は受粉作業が忙しゅうなる」
「雑草との戦いが始まる、とも言うがの」
「おお、ワシらの戦いはこれからじゃ!」
わはは、と盛り上がる住人たち。
そこに、森方面から声を張り上げる者がいた。
「おおい、大変じゃあ~!」
息も絶え絶えの体で駆け寄る、というか逃げてきたような有様だ。
「き、聞いてくれ。俺が何を言ってるか分からないかもしれないが、とにかく聞いてくれ」
真っ青になって逃げてきた男は言う。
彼の口にした話は以下の通りだ。
・森の奥で骸骨を見た。二足歩行する人骨で、間違いなく遠くで動いているのを見たが、奴はこちらに気付くとこっちを向いたままぴたりと止まって身じろぎ一つしなくなった。
・スケルトンは一体。軽武装して左手に剣を持ち右手には何も持っていない。
・足がすくんで身動きが取れなくなったが、スケルトンは動かない。狩りのため短弓を持っていたが構えることもできなかった。
・森のさらに奥から「ひゅーい」と風のなる音がして我に返り、無我夢中で逃げてきた。スケルトンがどうしたかはわからない。
「……お前、もう死んでるとかはないよな?」
「い、生きとるわい。ほれ」
疑う村民とハイタッチして、大きな音を鳴らしてみせる。
「空腹でもない熊とかならそういうこともあるが……化け物も腹を空かせてない時があるのか?」
「骨だけの化け物に満腹やら関係あるかい。一年前くらいにあの森の奥深くからエルフの娘を連れて出てきた隠者がおったろ。その人に相談してみよう」
「そうじゃそうじゃ。『ワシの住んどった方には気を付けろ』とも言っておったしの」
かくして、即座に隠者へ使者を飛ばすことになった。
これが要因となり、村や村人に被害無しの状態でハンターが到着することとなる。
●フラ・キャンディのあらすじ
そのころ、当の隠者とエルフの娘は同盟領のとある町にいた。
「ココアっていうの? これもチョコレート? チョコレートって、おいしいし面白いね」
エルフの娘、フラ・キャンディ(kz0121)がココアをちびりと口にして目を輝かせていた。
ここは、チョコレート・ショップ「チョコレート・ハウス」のテラス席。
「うーむむむ、キャンディに続きチョコレートまで……甘いものをどんどん気に入っておるの」
フラと同席する隠者、ジル・コバルトが渋い顔をした。ジルは約一年前、森の奥に隠れ住んでいたところ元気でおしゃべりなエルフの娘、フラと出会い町に出てきた。この時、しゃべりまくるフラを黙らせるためキャンディを口に含ませると自分の名前にしてしまうほど気に入ったのだったり。ともかく、森のどこかにある小さなエルフの里を「百年目のエルフ」という掟で旅に出されたフラに興味を抱き、人里に出て来るのだった。
それはそうとジル、落ち着かない様子だ。
「どうしたの、ジルさん」
「この店は若い娘が多すぎるんでな」
聞いたフラにそう返す。
「あら、店としては大助かりよ」
「あ、シエラさん。こんにちは」
ここでチョコレート・ハウスのオーナー、シエラ・エバンスがやってきた。礼儀正しいフラに満足そうな笑みを返す。先日、ここでチョコレートのお酒「ショコラヴィーナス」の宣伝依頼で働いたばかりだ。
「じいさん客を呼び込むサクラとして、かの?」
「チョコレートは男女や年齢の別に関係なく、すべからく愛されるべきですからね」
悠然とシエラが微笑んだところで新たな人影。
「じいさん、ここにいたか。身を潜めていたときに世話になった筋から緊急依頼だ」
色眼鏡を掛けた壮年の男性だ。ジルの情報屋で、資金管理などもしている。
手際よく前出の村での異変を伝えた。
「おお、あの村には世話になった。しかもそのスケルトン、明らかにあの時の奴らじゃ。一緒に戦ったハンターが戦闘後に調べて、もしかしたら逃げたヤツがいたかもしれんという話じゃったし」
思い出すジル。
内容は依頼「隠者と流離いエルフ」に詳しいが、「その森周辺は古戦場であり、ナイフ投げの得意な盗賊が暴れていたという伝説もあり、実際にジルが隠れ住んでいた時は骨をナイフのように投げて来るスケルトンの集団が襲ってきて、フラや開拓者とともに退治してからその場所を捨てた」と理解すれば問題ない。
「ねえ、やっつけに行こう。なんかその村に悪いよぅ」
フラがジルにねだる。
「普通にハンターオフィスに依頼を頼んでもいいが……隠遁してる時に生活物資とか世話になったんだ。恩返しすべきじゃねぇか?」
「分かっとるわい……投げナイフの伝説の盗賊は『ラパーチェ・ラーロ』。そしてその頭目は『ルモーレ』。早速、こちらも仲間を集めるぞ」
というわけで、フラと一緒に森の中を探索して、潜伏しているとみられるスケルトンの発見と退治を手伝ってくれる人、求ム。
リプレイ本文
●
「この村の古老さんいらっしゃいませんか~?」
依頼のあった村でルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)の呼び声が響く。
そのまま古老を探してどこかに行ってしまうが、元の場所では。
「ボクとジルさん、この村のあっちの森から出てきたんだ」
「思い出の場所なら放っておくわけにもいかないよね」
説明するフラ・キャンディ(kz0121)に霧雨 悠月(ka4130)が微笑みかける。
「二人と初めて会った場所か。懐かしいね」
少し感慨にふけっているのはネーナ・ドラッケン(ka4376)。
で、少し悪戯そうな表情をした。
「フラ、少しは成長した?」
「え、ええと……」
ギクリとするフラ。ネーナがフラの頭の上に手の平を添えているのは身長測定のつもりか。
つまり、背丈はあまり変わってないようだ、ということらしい。
「フ、フラさんはそのままでいいんですよう」
慌てて会話に入る弓月・小太(ka4679)。
「まあそう言うしかないかもねー」
キーリ(ka4642)が小太の背丈を見ながら口を挟む。そして悠月の方もチラリ。
「……キーリさん」
「あー。言いたいことは分かるわ、ユッキー」
悠月の意味ありそうな視線はもちろん、キーリの背丈も以下略だったりするから。
「いいんですよ、こらからみんなで成長すれば。なんて楽しみなことでしょう」
この様子にラル・S・コーダ(ka4495)が楽しそうに言う。背後からフラを軽く抱きつつ。
「やあ、フラちゃん。と、おじーさん。久し振りだねー?」
新たにラン・ヴィンダールヴ(ka0109)もやって来た。
「あ、ランさん。前は町に誘ってくれてありがとう。おかげでたくさんの人と知り合えたよ」
フラ、左右にいた小太と悠月に腕を絡めた。小太と悠月、そして背後のラルに囲まれ幸せそうだ。「仕方ないわね」とキーリもぐりぐりと適当な位置に割り込む。さらに全体の密着度が増したりも。
「わしゃついでかの?」
「それより、調べてきたよー」
ラン、ジルのツッコミをさらりとスルーして手柄顔で話す。
「伝説の盗賊というからには伝説が残ってるはずだよねー。いろいろ聞いてきたんだけど、森の中の主要道で襲うことが多かったらしいよー」
「待って、地図を借りてきた」
ここでネーナが手に丸めていた紙をテーブルに広げた。
「周囲の地図ですか」
すす、と和装らしい歩幅で寄って来た雀舟 玄(ka5884)が覗き込む。
「ちょうどいいねー。恐れられていた主要道はここだねー」
ランが地図を指差す。
「村から遠いですね」
「村近くに来てるってことは、昔の被害の場所と今の突出地点の中間あたりに現在の拠点があるんじゃないかなぁ」
覗き込む玄の指摘に、新たな位置を指差すラン。
「さらに、村人に聞いた情報では骸骨と出合ったのはこのあたり」
ネーナもランの指した地点と村を結んだ線上を指差した。
「……ランの指す場所はワシの隠棲しておった場所じゃの」
ジル、やっぱりなというため息。
「ただ、村と隠れ家だった場所は少しずれてるよね? そして村人と目が合った……手を出さない理由はないはず。もしや捜してるのは人なのか……?」
「ジルさんでも探してるの?」
ネーナの考えにフラが口を挟む。
「人じゃないかもだけど、広範囲を探した方がいいね」
くす、とネーナが微笑した時だった。
「分かっちゃいましたー。伝説の盗賊はなんと、相当気まぐれな盗賊団だったみたいですー」
どかーん、と両手で扉を開きルンルンが戻って来た。
「広範囲索敵、決まりだね」
悠月、苦笑するしかなかった。
●
森に入った一行は三班に分かれて調べることにした。
まず中央の三人。
「……こう遮蔽物が多いと一苦労ですね」
玄がちょうど顔の位置に揺らぐ枝を手の甲で払い言う。
「冬だと枝に葉っぱも少ないかな?」
あはは、と先を行くランの陽気な声。
「暖かくなると変わった手合や陽気なのも増える」
「……なるほどです」
ネーナの言葉はランを見ながら。玄も気付き頷く。
「え、何のことかな?」
背中越しに振り向くラン。とぼけているのではなく自分の事だと素で気付いていない。
が、二人の視線はランの持つ小袋に注がれている。明らかに硬貨の詰まったものだと見て取れる。森の中でまあ、変わった手合である。
「んー…ちょっとだけ気になってるんだけどねー?」
ラン、視線の真意に気付き得意そうに小袋を軽く弾みあげてキャッチ。
「……気になるといえば」
玄、話を変えた。
「風切り音もしたそうですね」
「あはは。龍の鳴き声とかだったら面白いんだけどねー?」
楽しそうなラン。
「そう思うのはいいけど勝手に行ってしまわないようにね」
「歪虚の合図だとは思いますが……行ってしまいそうですよね」
ネーナの見立てに玄がまたも頷く。
その時。
――ひゅん。
玄に鋭く尖った骨が飛んできて刺さった。
「……あまり踏み荒らされた跡や枝折れはなかったのですが」
細められる瞳。痕跡が少ないのにまさかこのあたりも活動圏内だとは、という思い。
振り向くと、骸骨の歪虚がいた。二体である。
「ボクに少し時間をくれないか?」
ネーナ、それだけ言うと二人の返事を待たずに気配を消して木々に紛れた。そのまま右に回って敵に近寄っていく。
「あはは。いいけど僕は近寄るよ?」
ランは一直線に突進していく。
「……村人の遭遇と違ってすぐに攻撃してきましたね」
玄は不審に思いながらランについて行く。
「玄ちゃん、後ろは頼むよ~」
ツッコむランの青い瞳はらんらんと光り……先に見せた硬貨入りの袋を骸骨の足元目掛けて優しく放り投げた。自らは骨の投擲を食らうがそんなことは問題ではない。
――じゃら……。
袋は一体の骸骨の足元で口が開き、中の硬貨をまき散らした。
しかし、敵は金に気を取られるなどはない。攻撃ではないと知って改めて突っ込んでくる。
「……どういうつもりですか、ランさん?」
ランの背後に隠れ気味に位置する玄はそう聞きつつも陰陽符を光の蝶にして放つ。しっかりと敵の利き手である左肩を狙っている。
「いやー。未だに金目物に執着してるのかなーってねー?」
執着してなかったねー、などと言葉は軽いが体も軽い。銀狐の耳と尻尾を発現させつつ左へ回ったのは、彼の右目はスカルアイパッチで覆っているから。
「ネーナちゃんの方はどーかな?」
ちら、と敵の左側に一瞬視線をやる。
「こっちが先に敵を見つけた時に確認したいことがあったんだけどね」
そちらからはネーナがこっそり迫っていた。
「やっちゃっていいかな?」
「仕方ないね」
右手から神槍「ブリューナク」を軽々扱うランが、左手から白色の鞭で舞うようにネーナが突入してきた。
カカカ、と笑うように敵二体が反応しやや軸線をずらして背中合わせ。骨を投げてかわしたところを斬りつけるべく左手、右手の連続技で向かってきた。
――どすっ。
ラン、ネーナとも投擲をかわさなかった。
というか、突撃の勢いで攻撃を受けつつも正対した敵を二の太刀ごといなして、それぞれに背を向けた敵に体当たりで押しつぶしたのだ。
「……これだけ?」
伏兵を気にしていた玄は、二人を背後に周りを見回しいぶかしんでいた。
●
こちら、右翼。
「んー、死んでも働きたいなんてマメねー。絶対真似出来ないわ」
森を行きつつキーリが独り言を言っている。
「でも、何か生前の妄執に囚われて活動してる事もあると思うの」
ルンルン、周囲を警戒しつつ言葉を返す。
「そう? でもアレね。親に見られたくないモノ残したまま死んだらああやって復活出来そう」
「キーリさんは親に見られたくないモノを残して死んで、復活したいのかな?」
二人と同じ班には悠月もいる。超越感覚で敵の音に集中していたがこれを聞いてたまらずくすと微笑する。
「…冗談よ。死んでまで周りに迷惑掛けたくないし?」
「スケルトンは迷惑千万。親に見られたくなかったモノをズバッと暴いちゃうんだから!」
「あまりこちらから大きな音を立てない方がいいと思うんだけど」
悠月の言葉にわたわたと慌てて両手で口をふさぐルンルン。
「それより骨マンは偵察に来てるのよね。森の奥に見られたくないモノでもあるのかしら」
キーリ、声を落として再び話を振る。
「盗賊は目立ちたがりだったみたいです。だから、きっと目立ちたいのかなって」
ルンルン、出発前の成果を口にした。
「何かを探してるのかと思ったけど……」
悠月、意外な言葉に目を丸めた。
「とりあえず、徘徊してるとこひっ捕まえるしかないわねー」
「発見探検、骨の森です♪ ……それにしても足跡とかは見当たらないかな」
キーリのぼやきにルンルンの疑問。
「ん?」
ここで悠月のトランシーバーが反応。応対する。
「何、ユッキー?」
「玄さんから。敵と交戦したって」
「あっ」
キーリと悠月が話している時、ルンルンが骸骨を発見した。
指差す先は森の斜面の上で、倒木を盾にして周りを見張っている様子だ。幸い、こちらはまだ発見されていない。
「私に任せて。ジュゲームリリカル…ルンルン忍法分身の術!」
式符を飛ばすルンルン。すぅい、と上空から倒木の向こうを見ると骸骨は四体いた。
しばらく後。
「……敵は見張りだね」
悠月、動かない敵の様子からそう判断した。
「徘徊はしないのかしら?」
「する様子、ないのかなって」
キーリの疑問にルンルンの見立て。
「見張る理由はアレしかないよね」
「アジトがこの先にある、かしらねー」
振る悠月にため息交じりのキーリ。
「じゃ、アジトまで道案内……」
「してくれそうにはないね」
ルンルンが言ったところで悠月の言葉。
敵がついにこちらに気付いたのだ。倒木の後ろから飛び出して向かってくる。
「いいよね、戦って」
「いまさら……」
飛び出しながらキーリに聞く悠月。キーリは仕方ないわね、と続く。
もちろんルンルンも出ている。
一直線の悠月は追わず大回り……いや、いったん木々に消える。
そして、悠月。
突っ込みつつ髪が銀色に変わっていく。
「あー、避ける気なさそうね~」
キーリ、後ろからアースウォール。骸骨の投擲から悠月を護る。
その壁を迂回して……。
「これからどう?」
ざっ、と敵一団の左に出ると構えを取って止まった。
日本刀「白狼」を納刀したまま腰溜めに。
火を見るより明らかな、抜刀の構えだ。
一瞬敵も止まった。むやみに突っ込むことをしないだけの戦闘経験はあるようだ。
が、やはり骨を投げてきた。
「その銀郎君に骨を投げても取って来やしないわよ」
見守るキーリ、今度は壁を出して防ぐことをしない。
「二の太刀が来るんだね」
骨を投げ間髪入れずに踏み込んだ敵四体に生き生きとした瞳を向ける悠月。
だっ、と一気に跳んだ。
溜めていた刀を今、抜き放つ。
「月牙!」
大きく振り抜き駆け抜ける。
敵一体を斬り、残りの刃は致命傷を食らわず何とか抜けた。
「……堪らないね」
振り抜いた構えのまま、睨み合いからの殺陣に勝った感覚をかみしめる。
「そこで土蜘蛛トラップ発動&ルンルン忍法三雷神の術…行って、めがね、うくれれ、おいーっす!」
入れ替わりに、地縛符を張っておいたルンルンが振り向き悠月を追って発動した瞬間に別の符を投げ上げ風雷陣で落雷攻撃。
「ひそかにこっちに来ないでよ」
キーリも敵一体の突撃を受けていた。
かわしたところを斬られもするが……。
「駄骨は人里離れた墓場で勝手にダンスでも踊ってなさいな」
振り向きざまアイスボルト。
が、敵も離れれば骨を投げる。
「誰かと違って骨、取ってこないわよ?」
「僕も取ってこないけどね」
再び放った横から悠月が出て来て止めを刺すのだった。
「あぶないっ……もう怒った、お返しなんだからっ、シュリケーン!」
背後では服を破られたルンルンがプンプンしながら暴れまわっている。
●
その頃、左翼。
「さあ、さあ、踊りましょう あなたの相手は、このわたし!」
ソウルトーチのオーラを纏い、ラルがアックスブレードを手にすらりとモデル立ちしていた。
周りには、骸骨四体。
「フラさん、僕が絶対に守りますからねぇ」
同じ班の小太は、銃を手にフラを背負っていた。
「ご、ごめん、小太さん」
フラ、足をくじいていた。
実は山の斜面の上にいた骸骨に先に発見され、岩を転がす攻撃を受けていた。運悪く一番近くにいたフラが避けきれずに食らってしまっていたのだ。
「さあ、さあ、踊ろうか 皆で此処を彷徨いているなんて……」
ラル、敵が鋭い骨を投擲したタイミングで動いた。集中されて避けきれないが、ここではむしろ踊りの導入たる一歩が肝心。
「踊りたいに決まってるのだから!」
風になる。
疾風の如くブレードを振るう。
吹っ飛ぶ敵の左手の骨。
一方、小太。
「骸骨なのに考える脳があるというのも不思議ですよねぇ…」
いくらラルがわざと目立っても、フラを背負っている分狙われているのが分かる。
突っ込んだラルに合わせ、まずは逃げて距離を取る。
「小太さん、ボク、いいから」
「ときどき手を放しますけど、ちゃんとつかまっててくださいよぉ」
ライフル「メルヴイルM38」を構えるためフラから手を放す小太。フラ、ああは言ったが迷惑を掛けたくないのでぎゅっと小太に回した両腕に力を込めてしがみつく。
たたたん、と制圧射撃する小太。敵の動きを阻害する。
「とても踊りやすいとは言えないけれど それでも森の中は好き」
ラルは回り込み、まるでワルツを踊るように戦場を舞う。むしろ攻撃はかわさない。
「フラさんに手出しはさせないのですよぉ。凍っていてくださぃ!」
小太、魂の叫びとともに渾身のレイターコールドショット。
「芽吹く緑、鳥の囀り、風のなる音 どれもどれもわたしと歌ってくれるから!」
これを見たラル。今度は一直線に踏込で先手を打ち一撃。まるで心にまっすぐ届く歌声のように。
とはいえ小太、苦しい。
敵が彼を追っているのだ。
「小太さん!」
「奥の手がありますよぉ」
前に逃げる小太、弾を前に撃って身をかわした。
「え?」
「跳弾ですぅ…まっすぐ追い掛けて来ると避けられないですよぉ」
彼の言う通り、真正面から真後ろに飛んで来た弾が敵の額を打ち抜いていた。
そしてラルはこの列を見逃さない。
「あらあら とても行儀のよいこと」
敵は小太目掛けて一直線気味になっていた。ここに刺突一閃!
「見張り台に敵は……」
「いないみたいですねぇ」
見上げた三人、一息つく。敵は全滅だ。
この後、風を切るような音を全員が聞いた。
向かってみると一年前にジルが隠棲していた小屋と広場にたどり着く。
しかし、その姿は丸太で壁を作り巡らせた砦と化していたのだった。
その門の上に、先ほど倒した骸骨とは違い鎧武装した骸骨と、陶器のような皮膚をした薄ら笑いを浮かべる盗賊風の男の姿を見るのだった。
「この村の古老さんいらっしゃいませんか~?」
依頼のあった村でルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)の呼び声が響く。
そのまま古老を探してどこかに行ってしまうが、元の場所では。
「ボクとジルさん、この村のあっちの森から出てきたんだ」
「思い出の場所なら放っておくわけにもいかないよね」
説明するフラ・キャンディ(kz0121)に霧雨 悠月(ka4130)が微笑みかける。
「二人と初めて会った場所か。懐かしいね」
少し感慨にふけっているのはネーナ・ドラッケン(ka4376)。
で、少し悪戯そうな表情をした。
「フラ、少しは成長した?」
「え、ええと……」
ギクリとするフラ。ネーナがフラの頭の上に手の平を添えているのは身長測定のつもりか。
つまり、背丈はあまり変わってないようだ、ということらしい。
「フ、フラさんはそのままでいいんですよう」
慌てて会話に入る弓月・小太(ka4679)。
「まあそう言うしかないかもねー」
キーリ(ka4642)が小太の背丈を見ながら口を挟む。そして悠月の方もチラリ。
「……キーリさん」
「あー。言いたいことは分かるわ、ユッキー」
悠月の意味ありそうな視線はもちろん、キーリの背丈も以下略だったりするから。
「いいんですよ、こらからみんなで成長すれば。なんて楽しみなことでしょう」
この様子にラル・S・コーダ(ka4495)が楽しそうに言う。背後からフラを軽く抱きつつ。
「やあ、フラちゃん。と、おじーさん。久し振りだねー?」
新たにラン・ヴィンダールヴ(ka0109)もやって来た。
「あ、ランさん。前は町に誘ってくれてありがとう。おかげでたくさんの人と知り合えたよ」
フラ、左右にいた小太と悠月に腕を絡めた。小太と悠月、そして背後のラルに囲まれ幸せそうだ。「仕方ないわね」とキーリもぐりぐりと適当な位置に割り込む。さらに全体の密着度が増したりも。
「わしゃついでかの?」
「それより、調べてきたよー」
ラン、ジルのツッコミをさらりとスルーして手柄顔で話す。
「伝説の盗賊というからには伝説が残ってるはずだよねー。いろいろ聞いてきたんだけど、森の中の主要道で襲うことが多かったらしいよー」
「待って、地図を借りてきた」
ここでネーナが手に丸めていた紙をテーブルに広げた。
「周囲の地図ですか」
すす、と和装らしい歩幅で寄って来た雀舟 玄(ka5884)が覗き込む。
「ちょうどいいねー。恐れられていた主要道はここだねー」
ランが地図を指差す。
「村から遠いですね」
「村近くに来てるってことは、昔の被害の場所と今の突出地点の中間あたりに現在の拠点があるんじゃないかなぁ」
覗き込む玄の指摘に、新たな位置を指差すラン。
「さらに、村人に聞いた情報では骸骨と出合ったのはこのあたり」
ネーナもランの指した地点と村を結んだ線上を指差した。
「……ランの指す場所はワシの隠棲しておった場所じゃの」
ジル、やっぱりなというため息。
「ただ、村と隠れ家だった場所は少しずれてるよね? そして村人と目が合った……手を出さない理由はないはず。もしや捜してるのは人なのか……?」
「ジルさんでも探してるの?」
ネーナの考えにフラが口を挟む。
「人じゃないかもだけど、広範囲を探した方がいいね」
くす、とネーナが微笑した時だった。
「分かっちゃいましたー。伝説の盗賊はなんと、相当気まぐれな盗賊団だったみたいですー」
どかーん、と両手で扉を開きルンルンが戻って来た。
「広範囲索敵、決まりだね」
悠月、苦笑するしかなかった。
●
森に入った一行は三班に分かれて調べることにした。
まず中央の三人。
「……こう遮蔽物が多いと一苦労ですね」
玄がちょうど顔の位置に揺らぐ枝を手の甲で払い言う。
「冬だと枝に葉っぱも少ないかな?」
あはは、と先を行くランの陽気な声。
「暖かくなると変わった手合や陽気なのも増える」
「……なるほどです」
ネーナの言葉はランを見ながら。玄も気付き頷く。
「え、何のことかな?」
背中越しに振り向くラン。とぼけているのではなく自分の事だと素で気付いていない。
が、二人の視線はランの持つ小袋に注がれている。明らかに硬貨の詰まったものだと見て取れる。森の中でまあ、変わった手合である。
「んー…ちょっとだけ気になってるんだけどねー?」
ラン、視線の真意に気付き得意そうに小袋を軽く弾みあげてキャッチ。
「……気になるといえば」
玄、話を変えた。
「風切り音もしたそうですね」
「あはは。龍の鳴き声とかだったら面白いんだけどねー?」
楽しそうなラン。
「そう思うのはいいけど勝手に行ってしまわないようにね」
「歪虚の合図だとは思いますが……行ってしまいそうですよね」
ネーナの見立てに玄がまたも頷く。
その時。
――ひゅん。
玄に鋭く尖った骨が飛んできて刺さった。
「……あまり踏み荒らされた跡や枝折れはなかったのですが」
細められる瞳。痕跡が少ないのにまさかこのあたりも活動圏内だとは、という思い。
振り向くと、骸骨の歪虚がいた。二体である。
「ボクに少し時間をくれないか?」
ネーナ、それだけ言うと二人の返事を待たずに気配を消して木々に紛れた。そのまま右に回って敵に近寄っていく。
「あはは。いいけど僕は近寄るよ?」
ランは一直線に突進していく。
「……村人の遭遇と違ってすぐに攻撃してきましたね」
玄は不審に思いながらランについて行く。
「玄ちゃん、後ろは頼むよ~」
ツッコむランの青い瞳はらんらんと光り……先に見せた硬貨入りの袋を骸骨の足元目掛けて優しく放り投げた。自らは骨の投擲を食らうがそんなことは問題ではない。
――じゃら……。
袋は一体の骸骨の足元で口が開き、中の硬貨をまき散らした。
しかし、敵は金に気を取られるなどはない。攻撃ではないと知って改めて突っ込んでくる。
「……どういうつもりですか、ランさん?」
ランの背後に隠れ気味に位置する玄はそう聞きつつも陰陽符を光の蝶にして放つ。しっかりと敵の利き手である左肩を狙っている。
「いやー。未だに金目物に執着してるのかなーってねー?」
執着してなかったねー、などと言葉は軽いが体も軽い。銀狐の耳と尻尾を発現させつつ左へ回ったのは、彼の右目はスカルアイパッチで覆っているから。
「ネーナちゃんの方はどーかな?」
ちら、と敵の左側に一瞬視線をやる。
「こっちが先に敵を見つけた時に確認したいことがあったんだけどね」
そちらからはネーナがこっそり迫っていた。
「やっちゃっていいかな?」
「仕方ないね」
右手から神槍「ブリューナク」を軽々扱うランが、左手から白色の鞭で舞うようにネーナが突入してきた。
カカカ、と笑うように敵二体が反応しやや軸線をずらして背中合わせ。骨を投げてかわしたところを斬りつけるべく左手、右手の連続技で向かってきた。
――どすっ。
ラン、ネーナとも投擲をかわさなかった。
というか、突撃の勢いで攻撃を受けつつも正対した敵を二の太刀ごといなして、それぞれに背を向けた敵に体当たりで押しつぶしたのだ。
「……これだけ?」
伏兵を気にしていた玄は、二人を背後に周りを見回しいぶかしんでいた。
●
こちら、右翼。
「んー、死んでも働きたいなんてマメねー。絶対真似出来ないわ」
森を行きつつキーリが独り言を言っている。
「でも、何か生前の妄執に囚われて活動してる事もあると思うの」
ルンルン、周囲を警戒しつつ言葉を返す。
「そう? でもアレね。親に見られたくないモノ残したまま死んだらああやって復活出来そう」
「キーリさんは親に見られたくないモノを残して死んで、復活したいのかな?」
二人と同じ班には悠月もいる。超越感覚で敵の音に集中していたがこれを聞いてたまらずくすと微笑する。
「…冗談よ。死んでまで周りに迷惑掛けたくないし?」
「スケルトンは迷惑千万。親に見られたくなかったモノをズバッと暴いちゃうんだから!」
「あまりこちらから大きな音を立てない方がいいと思うんだけど」
悠月の言葉にわたわたと慌てて両手で口をふさぐルンルン。
「それより骨マンは偵察に来てるのよね。森の奥に見られたくないモノでもあるのかしら」
キーリ、声を落として再び話を振る。
「盗賊は目立ちたがりだったみたいです。だから、きっと目立ちたいのかなって」
ルンルン、出発前の成果を口にした。
「何かを探してるのかと思ったけど……」
悠月、意外な言葉に目を丸めた。
「とりあえず、徘徊してるとこひっ捕まえるしかないわねー」
「発見探検、骨の森です♪ ……それにしても足跡とかは見当たらないかな」
キーリのぼやきにルンルンの疑問。
「ん?」
ここで悠月のトランシーバーが反応。応対する。
「何、ユッキー?」
「玄さんから。敵と交戦したって」
「あっ」
キーリと悠月が話している時、ルンルンが骸骨を発見した。
指差す先は森の斜面の上で、倒木を盾にして周りを見張っている様子だ。幸い、こちらはまだ発見されていない。
「私に任せて。ジュゲームリリカル…ルンルン忍法分身の術!」
式符を飛ばすルンルン。すぅい、と上空から倒木の向こうを見ると骸骨は四体いた。
しばらく後。
「……敵は見張りだね」
悠月、動かない敵の様子からそう判断した。
「徘徊はしないのかしら?」
「する様子、ないのかなって」
キーリの疑問にルンルンの見立て。
「見張る理由はアレしかないよね」
「アジトがこの先にある、かしらねー」
振る悠月にため息交じりのキーリ。
「じゃ、アジトまで道案内……」
「してくれそうにはないね」
ルンルンが言ったところで悠月の言葉。
敵がついにこちらに気付いたのだ。倒木の後ろから飛び出して向かってくる。
「いいよね、戦って」
「いまさら……」
飛び出しながらキーリに聞く悠月。キーリは仕方ないわね、と続く。
もちろんルンルンも出ている。
一直線の悠月は追わず大回り……いや、いったん木々に消える。
そして、悠月。
突っ込みつつ髪が銀色に変わっていく。
「あー、避ける気なさそうね~」
キーリ、後ろからアースウォール。骸骨の投擲から悠月を護る。
その壁を迂回して……。
「これからどう?」
ざっ、と敵一団の左に出ると構えを取って止まった。
日本刀「白狼」を納刀したまま腰溜めに。
火を見るより明らかな、抜刀の構えだ。
一瞬敵も止まった。むやみに突っ込むことをしないだけの戦闘経験はあるようだ。
が、やはり骨を投げてきた。
「その銀郎君に骨を投げても取って来やしないわよ」
見守るキーリ、今度は壁を出して防ぐことをしない。
「二の太刀が来るんだね」
骨を投げ間髪入れずに踏み込んだ敵四体に生き生きとした瞳を向ける悠月。
だっ、と一気に跳んだ。
溜めていた刀を今、抜き放つ。
「月牙!」
大きく振り抜き駆け抜ける。
敵一体を斬り、残りの刃は致命傷を食らわず何とか抜けた。
「……堪らないね」
振り抜いた構えのまま、睨み合いからの殺陣に勝った感覚をかみしめる。
「そこで土蜘蛛トラップ発動&ルンルン忍法三雷神の術…行って、めがね、うくれれ、おいーっす!」
入れ替わりに、地縛符を張っておいたルンルンが振り向き悠月を追って発動した瞬間に別の符を投げ上げ風雷陣で落雷攻撃。
「ひそかにこっちに来ないでよ」
キーリも敵一体の突撃を受けていた。
かわしたところを斬られもするが……。
「駄骨は人里離れた墓場で勝手にダンスでも踊ってなさいな」
振り向きざまアイスボルト。
が、敵も離れれば骨を投げる。
「誰かと違って骨、取ってこないわよ?」
「僕も取ってこないけどね」
再び放った横から悠月が出て来て止めを刺すのだった。
「あぶないっ……もう怒った、お返しなんだからっ、シュリケーン!」
背後では服を破られたルンルンがプンプンしながら暴れまわっている。
●
その頃、左翼。
「さあ、さあ、踊りましょう あなたの相手は、このわたし!」
ソウルトーチのオーラを纏い、ラルがアックスブレードを手にすらりとモデル立ちしていた。
周りには、骸骨四体。
「フラさん、僕が絶対に守りますからねぇ」
同じ班の小太は、銃を手にフラを背負っていた。
「ご、ごめん、小太さん」
フラ、足をくじいていた。
実は山の斜面の上にいた骸骨に先に発見され、岩を転がす攻撃を受けていた。運悪く一番近くにいたフラが避けきれずに食らってしまっていたのだ。
「さあ、さあ、踊ろうか 皆で此処を彷徨いているなんて……」
ラル、敵が鋭い骨を投擲したタイミングで動いた。集中されて避けきれないが、ここではむしろ踊りの導入たる一歩が肝心。
「踊りたいに決まってるのだから!」
風になる。
疾風の如くブレードを振るう。
吹っ飛ぶ敵の左手の骨。
一方、小太。
「骸骨なのに考える脳があるというのも不思議ですよねぇ…」
いくらラルがわざと目立っても、フラを背負っている分狙われているのが分かる。
突っ込んだラルに合わせ、まずは逃げて距離を取る。
「小太さん、ボク、いいから」
「ときどき手を放しますけど、ちゃんとつかまっててくださいよぉ」
ライフル「メルヴイルM38」を構えるためフラから手を放す小太。フラ、ああは言ったが迷惑を掛けたくないのでぎゅっと小太に回した両腕に力を込めてしがみつく。
たたたん、と制圧射撃する小太。敵の動きを阻害する。
「とても踊りやすいとは言えないけれど それでも森の中は好き」
ラルは回り込み、まるでワルツを踊るように戦場を舞う。むしろ攻撃はかわさない。
「フラさんに手出しはさせないのですよぉ。凍っていてくださぃ!」
小太、魂の叫びとともに渾身のレイターコールドショット。
「芽吹く緑、鳥の囀り、風のなる音 どれもどれもわたしと歌ってくれるから!」
これを見たラル。今度は一直線に踏込で先手を打ち一撃。まるで心にまっすぐ届く歌声のように。
とはいえ小太、苦しい。
敵が彼を追っているのだ。
「小太さん!」
「奥の手がありますよぉ」
前に逃げる小太、弾を前に撃って身をかわした。
「え?」
「跳弾ですぅ…まっすぐ追い掛けて来ると避けられないですよぉ」
彼の言う通り、真正面から真後ろに飛んで来た弾が敵の額を打ち抜いていた。
そしてラルはこの列を見逃さない。
「あらあら とても行儀のよいこと」
敵は小太目掛けて一直線気味になっていた。ここに刺突一閃!
「見張り台に敵は……」
「いないみたいですねぇ」
見上げた三人、一息つく。敵は全滅だ。
この後、風を切るような音を全員が聞いた。
向かってみると一年前にジルが隠棲していた小屋と広場にたどり着く。
しかし、その姿は丸太で壁を作り巡らせた砦と化していたのだった。
その門の上に、先ほど倒した骸骨とは違い鎧武装した骸骨と、陶器のような皮膚をした薄ら笑いを浮かべる盗賊風の男の姿を見るのだった。
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- 光森の舞手
ネーナ・ドラッケン(ka4376)
重体一覧
参加者一覧
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/03 13:52:04 |
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相談 雀舟 玄(ka5884) 人間(リアルブルー)|11才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2016/04/05 00:10:06 |