【AP】少年、決め台詞はいつものよう

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2016/04/08 19:00
完成日
2016/04/13 21:34

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 「くりむぞんうぇすと」という世界がありました。
 歪虚も一種族として存在していますが、敵対している様子もあったり、なかったり。ハンターが退治したりしなかったり……。
 ここに一つの物語。

●イースターエッグ
 プエル(kz0127)は古城の中を歩き回る。
「どこにレチタティーヴォ様はイースターエッグを隠したんだろう?」
 隠した範囲は、城内の人の出入り可能地域とされているが、広かった。
 一方でプエルもイースターエッグを隠しており、レチタティーヴォに見つけてもらうはずだった。
「……うーん、うーん……」
 プエルはトコトコと歩いて物をどけ、高い所は脚立に登って覗き込む。
「見つけたっ!」
 舞台のグランドピアノの側にそれはあった。
「うっ……こ、このサイズは、ウズラの卵だ!」
「カエルの卵でなくて良かったですねぇ」
 世話係でついて回っていた青年エクエスは皮肉を言った。プエルは素直に「それにかけたらすごいよ」と返答していた。
 プエルは舞台の真ん中でウズラの卵のイースターエッグを眺める。細かい模様がびっしりの面と何もない面が激しい。
 エクエスはプエルを見ていて気付いた。
「危ないっ!」
 プエルははっとして、舞台の上手に跳んだ。

 ガチャーン。

 照明器具が落ちた。当たっていたら、歪虚であってもただでは済まない。
 音を聞きつけた使用人たちが集まってくる。
 プエルは震えながら、エクエスにしがみつく。
「……なんで……」
「あっ」
「あああああああああ」
 落ちた衝撃もさることながら、手に持っていたレチタティーヴォ作、生のウズラの卵イースターエッグはつぶれて二人の服に付いてた。
 照明器具が落ちたのは金具が緩んでいたためだと言う。ホールの出入りは用心のためにプエルは禁止になった。

●夕食
 夕方、周辺の道がふさがれるような嵐がやってきた。あまりのひどさに、旅人がこの城に避難してくるほどだった。
 断る理由もなく、旅人を招き入れ、客人として扱った。

 夕食はプエルとレチタティーヴォだけで取る。
 プエルは食べるが、レチタティーヴォはいるだけ。話をするコミュニケーションといった程度の日課だ。
 食後のケーキの前にプエルは誕生日プレゼントを受け取った。
「ふわあああ、レチタティーヴォ様にそっくり」
 それは50センチくらいの布製の人形で、レチタティーヴォを三頭身にした感じだ。
「ありがとうございます」
 プエルは嬉しそうにそれを抱きしめる。
「ところで、プエルはいつ私を父と呼んでくれるのかな?」
「え? ……そ、それは、レチタティーヴォ様のようになれたら!」
 答えを聞いてレチタティーヴォは笑う。
「それはいつの事か分からないな」
「うっ……僕、本当に感謝しています、養子にしてもらって……だから、今少し、父上ではなく……レチタティーヴォ様と呼ばせてください」
 プエルは上目づかいに尋ねる。
 仕方がないと言うようにレチタティーヴォは肩をすくめた。
 そこに、ケーキが運ばれてくる。
「うわああ! 美味しそう」
「……大きくなるより『ゆっくりと今を見せて欲しい』というような状況か」
 つぶやきは嬉しそうに食べるプエルの耳には届かなかった。

●誰が何を?
 プエルは窓を叩きつける風と雨の音に震える。ベッドの中に入ったが、なかなか寝付けなかった。
 寝なくてもいいらしいが、寝ないといけない気がしてプエルは寝ようとする。
「ふええ……エクエス……いる?」
 隣の部屋を見たが、エクエスはいなかった。
「……うっ、きょ、今日は僕の誕生日だし……、きょ、今日だけだよ!」
 プエルは枕と人形を持って、レチタティーヴォの部屋に向かった。
 部屋の前で深呼吸後、扉を叩く。
 沈黙が響く。
 再び叩く。
「あ、あのお……レチタティーヴォ様……お部屋に入ってもいいでしょうか? 僕……今日、怖くて眠れないので……お部屋にいてもいいですか?」
 声をかけたが返事がなかった。
「……いらっしゃらない?」
 プエルは扉を開けてみた。
 部屋には誰もいない。
 暖炉には火が入っているため部屋は暖かいし、揺り椅子や小さなテーブルがあるため、誰かはいた様子だ。
 その正面の壁に、レチタティーヴォの服が落ちている。
「え?」
 プエルはあわてて走り寄る。
「……レチタティーヴォ様? あ、あれええ……なんで?」
 たぶん、ここにいたのだ、レチタティーヴォは。揺り椅子に座っていたはずだ、そばのテーブルにはコーヒーが入っているカップが二つある。どちらも手を付けた様子はない。
「……ふええ、レチタティーヴォ様?」
 服の近くには、プエルが作ったイースターエッグが割れて転がっている。その卵の中に入っていたらしい、怪しげな色合いの液体で何か字を書こうとしたような跡がある。
「こ、これは……ダイニングメッセージ?」
 プエルは震える。廊下に出ると大きな声を上げた。
「だ、誰かっ! レチタティーヴォ様が殺されたよ! ふえええええええええ」
 プエルはここにきてようやく泣く。
 エクエスが真っ先に走ってきた。
「どうなさったと? あのお方が? まさか、冗談よしてください」
「だって、ダイニングメッセージもあるんだよ」
「……ダイイングメッセージではなくて?」
「……そ、そうともいう」
 室内には荒らされた形跡もない。
「ところであなた様は、寝間着のまま、枕と人形を持って何しに来たんです」
「レチタティーヴォ様のベッドを占拠に」
「……はあ」
「どうしよう……レチタティーヴォ様はいいヒトなのに、どうしてこんなことに」
「……自然死かもしれませんよ? 『レ』と書きかけてますが、ご自身の名前を書こうとしたのかもしれません」
「……えっ?」
 エクエスの説にプエルはうなずきかかる。
「だ、駄目だ! そんなわけがない! 城の出入りは禁止だ! 全員、広間に集めろ! こんな悪天候だ、犯人はこの城の中にいる! レチタティーヴォ様のためにっ!」
「……その前に、服着替えましょう」
 現場をそのままにしていろというプエルの命令により、扉のカギは閉じられた。

 広間に集められたのは使用人たちと荒天により入れてもらった客人たちだ。
「犯人よ、自首するなら、余が穏やかに話しているうちだ! レチタティーヴォ様になんてことをしてくれたんだ!」
 びしっと指を突き付けて、眼光鋭くプエル本人は言ったつもりだ。ぷりぷり怒っている間に自分がどんな服を着せられた気付いていない、可愛らしいフリフリの一応男の子向け衣装。
「……みなさん、今晩7時から現在まで何をしていたのか素直におっしゃっていただけると幸いです」
 エクエスがため息交じりに告げた。

リプレイ本文

●フリルぷりぷり
 怒っているプエルがいる居間に、手が離せない者以外は集められている。
 オシェル・ツェーント(ka5906)は集められた理由を聞いて真っ青になる。
「そ、そんなことになってたの……。それより先生、どうしてボクを置いていくのさ! あ、あれ……ま、まさかっ……せ、先生がやっちゃった! と、とうとう!?」
 彼の言う先生とは月叢 虎刃(ka5897)の事であり、小説家である。
 ざわり、部屋の中の空気が動く。
 プエルの目がスーと細められる。
 オシェルは小説家先生をぽこぽこ叩くが、反撃に一発の拳を食らう。
「説明によるとクローズドサークル、密室というには些かお粗末だが……いやはや。死体無き殺人とは! で、そもそも、なぜ俺ということになるんだ! ダイイングメッセージもあるというのに!」
 虎刃は密室殺人に目をキラキラさせた。
「ダイイングメッセージに自分の名前を書くヤツがいるかよ。普通に考えて犯人の名前だろ……そもそも、俺は雨宿りさせてもらった通りすがりだぜ? 城主がわざわざ名前を知っているかってことだ」
 レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は溜息をもらす、説明によるとダイイングメッセージ「レ」の文字の話。犯人に数えられていておかしくはなく、嫌疑をそらそうとしているのか必死に言葉を紡ぐ。
「はいっ! 主人が亡くなった場合、給料ってどうなるんでしょうか?」
 ステラ・レッドキャップ(ka5434)はこっそり質問をした。雇われているメイドとしては気になる点だ。
 沈黙が下り、プエルがきょとんとした顔になった。
「……え? 出るはずだよ? だって、大人がいるもの」
 プエルはステラも知っている上のヒトの名前を挙げた。
「なら問題ないです、話を続けてください」
 ステラの言葉にプエルはうなずいたが、怒りが半分ほど落ちている。程よく冷静になった。
「ところで、僕、なんでこんな服着ているのかって聞いていい?」
 エクエスは睨み付けられため、目を逸らした。

●先生と助手
「なぜ、お前はその男がやったと思ったんだ?」
 プエルはすっきりしたスーツに着替えてから、ソファーに尊大に座ってオシェルに問う。
「せ、先生はヘンタイだから!」
「……変態!?」
「変人?」
 オシェルは気付いていないのか、虎刃のこめかみが動いていることに。
「昼間はあの人と話をしていたんだ……取材でね。夜の会見にボクを置いていったのは……ほんとは、それじゃないの……? あの人と、二人きりになるため……ボクがいたら、犯行には及べないから。それに、話を聞く手筈だったってことは、難なく二人になることは可能だよね?」
「その直前まで、お前と一緒にいただろうが! 旦那殿を殺すなど俺には無理だ。誰にも気づかれず? 共犯が居っても不可能だな。それに犯人が俺だと仮定してみろ。部屋が滅茶苦茶だろう。家具の一つや二つは壊れる。……反論は?」
 虎刃があざけるように、見下ろすようにオシェルに言う。
(この人、楽しんでますねぇ……この男は犯人ではない。もしくは、そうではないという演技がうまいと言うべきか?)
 エクエスはプエルの側でじっと見ている。
「……先生、今、反論したね。ボクは力技とは言ってない。力を使ったなら部屋はめちゃくちゃになるかもしれないけど、力は物理だけじゃない。先生なら、その達者な口なら、追い詰め、自殺に誘導だって不可能じゃないよね……?」
 ピシッとオシェルは言ってのけた。
 虎刃は目をぱちくりさせた後、笑う。
「……素晴らしい。これだ。小生はこういう反応を求めていたのだ。きみこそが探偵役に相応しい、及第をやろう」
「どういたしまして」
 虎刃とオシェルはにやりとしている。
 エクエスはこのやり取りと共に、プエルを見る。どこからか取り出したハリセンを手に不機嫌そうな顔であった。
「あの……プエル様が詰まらないとおっしゃってます」
 エクエスが真顔で言う。
「……は?」
「勝手に完結するなと」
「ああ、失敬。犯人として追い込まれるとはどういった気持ちか、興味はあったのだ。遊びはここまでにして、協力しよう」
 虎刃の声は弾んでいる。
「ならね、事実を言ってよ、僕はね、レチタティーヴォ様がどうしてああなったのか知りたいんだ」
「では小生が話を聞くためにあの場に向かったのは、会う約束をしていたからだ。ノックをしても返事がないから立ち去った」
「何時か分からないの? だって、僕がレチタティーヴォ様のお部屋に行くとき、他に人とすれちがっていない。それに直前に誰も出て行ってはいない……。君の助手は、今までいなかったという……さあ、お前はそれまでどこにいたんだ?」
「ククク……小生は犯人ではないと自分で言い切る! 小生には旦那殿を今、殺す意義がないからだ!」
 プエルは余計に苛立った。

●現場へ
 雨宿りの旅人レイオスは、巻き込まれた災難に溜息をつきつつ証言する、自分のアリバイを。
「あー、俺は夕食後、客室にいたぜ? パルムくらいしか見ている奴はいないが……見つからずに城主の部屋に辿り着くことなんて無理ってもんだろ? 俺は今日初めてここにいるんだから」
 プエルはじーと彼を見つめ、首を傾げるが、それ以上何も出てこなかった。
「プエル様! 犯人探しをするのならば、現場を見たいですね!」
 ステラがわくわくとした表情で声をかけた。
「……お前だって犯人の一人だ!」
「……なんでです?」
 ステラはにこっと可愛らしく微笑む。
「まあ、確かに怪しいですよね。一応述べておきます。私は今日は非番でしたから、日中自由に行動はしていましたよ? この大嵐だと明日は庭の手入れがたいへんですし、十九時には自室で早々に寝ました」
「誰も見ていないのか」
 他の使用人の部屋が個室なのくらいはプエルだって把握している。
「そうですね……でも、私が犯人という証拠になりませんよ?」
「お前の愛用品はなんだ!」
「あっ!」
 プエルは外出時の彼の格好を知っている。
「赤ずきん……レッドキャップ」
「でも、私がレチタティーヴォ様に呼ばれる理由がありませんよ?」
 ステラは妙に切れるプエルに内心「ちっ」と舌打ちしながら、平静を崩さない。
「呼ばれる理由、確かにないね」
 プエルはしおしおとなるが、ほっとしている様子だ。
「うむ、仕方がない現場に行こう」
 ステラと虎刃とオシェルを連れて、プエルはレチタティーヴォの部屋に行く。彼らから「わくわく」と言うような雰囲気が見えてプエルはむっとしていた。
「ここだよ」
 プエルが扉を開けて、三人を通した。
(スプラッターな現場を考えたけど……そうだよなぁ……歪虚だったよなぁ)
 ステラの表情が明らかに沈み込んでいく。
 二つあるコーヒーカップは手つかずで冷えている。暖炉の火もすでに落ちている。
「あの、イースターエッグはいくつあったんですか?」
 オシェルが問いかける。
「この色は僕のだよ、一個」
「……破片多くない?」
「卵このくらい」
 鶏の卵ではなくダチョウの卵サイズをプエルは手で示した。
「誰か別の客人がいて、イベントの趣向ってことはないんでしょうか? あの方ですし」
 ステラは首をかしげる。
「僕、聞いてないよ」
「誕生日のお祝いかイースターの続きか、サプライズってやつですね」
「うーん。ここまで引っ張ったら『出るに出られない状況』ってならない?」
「あー、ひょっとして、突然、誘いが来て、観劇にでも出かけられたとか?」
「うーん。コーヒーいるってことは人間か、人間ごっこしているお友達かなぁ?」
 考えても答えは出なかった。

●第二の事件
 その人物はほくそ笑んでいた。
 暗殺の依頼を受けてから、包帯やミイラなミイラタイツで歪虚を装って出入りを繰り返していた。歪虚だけでなく人間もいるこの城では、たやすい状況だったらしく、まったく不審がられず仕事ができた。
 数日間で間取りと城主と養子、側近たちの予定や日程は把握し、日程を決めた。
 最初の仕掛け、舞台の照明を落とす事。予定や日課が突然変わり、プエルが来ないかと思われたが来たが失敗した。
 結局、それぞれ二人きりになったところをブスリが一番確実であった。
 幸運なことに嵐の夜で音が分かりにくいのを利用しようとした。
 城主が客人用に頼んだコーヒーを運ぶついでに殺せばいいと考え、ミイラなその人物は部屋に行く。
 想定外だったのは、すでに城主が倒れていた事。本当に倒れているのか不明だが、衣類の散乱はあった。
 見られているのかと注意した。
 ひとまず、これは死んだと考える。
 なら次はプエルだ。プエルに近づくにはどうするのが一番か?
 卵を割り、事件性をアピール。中に入っていた得体の知れない液体で、あえて「レ」というダイイングメッセージを書き込む。
 さて、今、居間から全員が退去したところで、ミイラの死を演出しておく。どう、彼らは動くのか。

 居間に戻ってきたプエルたちは、そこに転がっている包帯に違和感を覚えた。
 人の形をしている物が倒れている、そんな形だったからだ。
「……最近入った使用人にいたよなぁこういうやつ……」
 ぼそり、ステラがつぶやいた。
「ふえええ」
 プエルが泣き顔になり、近くにいるはずのエクエスに引っ付こうとしたが、姿がない。
「第二の犠牲者だと! オイ、犯人は本当にこの中にいるのかよ!?」
 レイオスが悲鳴に似た声を上げた。
「これは面白い! が、お前は今までどこにいたんだ? 旦那殿の部屋を見に行ったときはいなかっただろう」
「仕方がないだろう、人間は生理現象があるんだから!」
「……ふむ」
 虎刃は何か思うところがあるのか、レイオスを見ている。
「これって、暴食の歪虚ことだよね? この城っていろんなヒトいるんだね……あらためて」
「ええ、いますよ。歪虚だと大概の属性のヒトいますし、人間もほら、こういますよ」
 オシェルにステラは答えた。
「それより……誰がいなくなったのか調べないと……。皆呼ばないと……」
 プエルは真っ青の顔でふらりとよろけた。
「おっと、大丈夫か」
「う、ううう」
 レイオスにささえせられて、プエルはお礼も何も言えず口ごもる。
「エクエスがいないのはなんで……ま、まさかっ!」
「犯人か!」
 レイオスが間髪入れず言った。
「なんで!?」
 プエルは動揺しているが、虎刃は笑いながら手を叩く。
「そう、ありうることだ。君は怖くて起きたとき、使用人君を呼んだがいなかった。だからこそ旦那殿の所に行こうとした」
「ふえっ」
「もちろん、使用人君に『いいヒト』がいて、坊やが寝ている隙にあいびきをしていたのかもしれないがね」
 いくつか状況はあり得ると言いながら、城の状況を知っているだろうステラに目を向ける。
「いや、ない」
 ステラはきっぱりと答えた。
「あの野郎……下衆っていう話があって、女子に人気がない」
「……女とは限らん」
「うーん、性別も種族を拡大しても噂に聞いたことない。隠して付き合っている奴はいるかもしれないが」
 ステラが思案気になっている。
 プエルは呼び鈴を引っ張ったが、千切れて落ちた。
「……!」
 レイオスはその紐の先を見つめる。
「誰かが細工した跡があるな……あの野郎が怪しい」
「……そ、そんな! どうして? エクエスがレチタティーヴォ様を殺したり、歪虚殺したりしないといけないの?」
 プエルは震えながらあれこれ考える。今、自分がしなくてはいけないこと。
「僕が行って来るからここで待ってて」
「複数でいれば狙わない感じですね……時期主を行かせるのは問題ありなので、なら、私と誰かが行ってくるのが一番いいのかもしれません」
 プエルをステラは止める。
「ううん、僕が行ってくるよ。もし、エクエスが犯人なら、僕なら勝てるから」
「いやいや、俺も一緒に行こう。一応二人になるし」
 レイオスを客人だからと断るが、押し切られた。
 二人が廊下に出て扉が閉まる。
「犯人、見つかりそうだ! 動機が不明だけど、見つかれば、先生が問い詰めて……」
「追おう。気になる」
 オシェルの言葉を最後までいわせず、虎刃は告げる。
 ステラは銃を引き抜いてうなずいた。

●犯人はお前だ
 レイオスにしがみつくように歩くプエルは、怖いと口が動くたちのようで色々話しかける。
「……あちこち行ったんでしょ? 変わった動物や面白いこと聞きたい」
「面白い? それは……今かな?」
「……今?」
「こう、簡単に隙ができるって……」
 プエルは鋭い殺気を感じた。しかし、言葉を理解するのに手間取り反応ができなかった。

 キン!

 金属がこすれる音がする。
「え?」
 プエルは首根っこを引っ張られ、床に転がる。
 前に立つのは真紅のお仕着せを纏ったエクエスだ。手には細身の剣が握られている。
「やはり本性を現しましたねぇ、暗殺者め!」
 プエルが来た方から足音も響く。
「お、これはどういう状況かな」
 虎刃が構える。
 ステラは銃を握り、照準を合わせる。レイオスに向けて。
「犯人はお前だったんだな!」
 オシェルがびしっとエクエスを指さす。
「これは失敗か」
 レイオスは剣を構え、逃げる道を探す。
 エクエスは追及のために口を開いた。
「不自然な行動が多かったんですよ……大体……あんな包帯の」
「お前、恋人もいないのか!」
「歪虚はいなかったのに」
「僕の世話係がもてないっ!」
「……あー、プエル様、その件、すごくどうでもいいので」
 エクエスの発言を主たるプエルが台無しにした。
「なぜ、プエル様を狙ったのです」
「それは……言うわけないだろう!」
 レイオスは嘲笑した。
「お前は包囲されている、大人しく投降しろ!」
 ステラが現実を告げる。後は引き金をひけば当たる。
「逃げるにしても種明かしをしてからにしてもらいな」
「え、あ、犯人はこっちか」
 虎刃は鷹揚に言い、オシェルは頬を真っ赤にする。
「単純なことだ。前もって侵入していた、ただそれだけ」
 レイオスはエクエスに技を叩きこむ。
 間一髪で避けたエクエスは足元にいたプエルにつまずいて、盛大に転んだ。
「痛いっ!」
「あなたは、まだそこにいたんですか!」
 この隙にレイオスは走り出す。
「逃がすかっ!」
 ステラが引き金を引いた。
「ここは術を使うところかな?」
 オシェルも一応足止めを考えて術を使ってみたが距離があって無理だった。
「……まあ、届かないだろうな」
 虎刃は冷静にうなずいた。
「この城から逃げられると思うなよ……」
 プエルは立ち上がると、マテリアルを解放させる。エクエスが差し出した武器を手に、レイオスを追って走り出した。
「……これで解決しますね」
 ステラは巻き込まれないように部屋に撤退する。
「面白いことになりそうだ!」
「退いた方がいいよ」
 虎刃とオシェルも部屋に帰って行った。

 それぞれが目を覚ます時間がやってくる、朝か夜か……。

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MVP一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカーka1990

重体一覧

参加者一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士

  • 月叢 虎刃(ka5897
    人間(蒼)|28才|男性|格闘士

  • オシェル・ツェーント(ka5906
    人間(紅)|19才|男性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

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アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/08 16:52:33