ゲスト
(ka0000)
【龍奏】龍族ヴォイドの罠
マスター:大林さゆる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/04/15 07:30
- 完成日
- 2016/04/20 01:50
このシナリオは3日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
北方王国リグ・サンガマ。
拠点となっていたカム・ラディ遺跡での戦いは熾烈を極めていた。
「龍族がさらに接近中だ。油断するな」
魔術師協会の補給部隊は、前線で戦うハンターたちの支援を行っていた。
怪我を負ったハンターたちが運ばれてくる度に、聖導士たちがヒールを施す。
「重体のハンターたちもいます。なんとしてでも、この場を守らなければ」
「まずいな……目を付けられたか」
護衛として参加していたマクシミリアン・ヴァイス(kz0003)が呟く。
「どういうことっすか?」
リアルブルー出身のハンター、水本 壮(みずもと・そう)の問いに応えたのは、魔術師スコットであった。
「魔術師協会も龍鉱石の回収作業をしていたから、龍族から見れば俺達も邪魔者だってことさ」
「えっ、聞いてないよ。ど、ど、どうすんだよ」
焦る壮に、マクシミリアンが睨み据えた。
「迎え撃つのが妥当だろう」
「怪我人や重体のハンターもいるから、まずは逃げた方が良いっす」
壮の言うことも一理あるが、補給部隊は龍族の集団に囲まれて逃げ場がなかった。
「俺が突破口を作る。その隙に伝令を頼む」
マクシミリアンがそう告げると、スコットが頷いた。
「分かった。ここで逃げたら逆に返り討ちに合いそうだからな。援軍を呼ぼう」
「頼んだぞ、スコット」
マクシミリアンは動じることもなく、龍族の集団と対峙する。
リザードマンの群れはマクシミリアンの攻撃で次々と倒されていき、スコットは『ファイアアロー』を放った後、結晶化した山沿いの近くに隠れた。そこには疾影士がおり、彼は伝令役だった。
「すぐに本部へ連絡してくれ」
スコットが状況を話すと、疾影士はすぐさま走り出した。
その知らせは本部まで届き、依頼が舞い込んできた。
『カム・ラディ遺跡の周辺にて、魔術師協会の補給部隊が龍族の集団と対戦中。
至急、援軍を送って欲しい。怪我人や重体のハンターもいるため、彼らの救出も願う』
その依頼を見たハンターたちは、すぐさま現場へと向かった。
●
マクシミリアンがドラゴン・ファイターを倒した頃、新たな敵の集団が現れた。
「飽きもせず、来るか」
「マクシミリアンさん、非常にヤバイっす。俺達、スキルぜーんぶ使っちまったから、無理っすよ」
壮もなんとか戦っていたが、さらに現れた敵の集団を見て、震えていた。
「援軍が来るまで、俺達で持ち堪えるんだ。良いな?」
マクシミリアンはすでに覚悟を決めていた。
たとえどうなろうとも、ハンターとしてやるべきことをやれば、悔いはないと。
「仮にスキルがあったとしても、ワイバーンは無理っす」
相も変わらず、壮は逃げ腰になっていた。
その隙を付くように矢が飛んできた。壮の右肩に矢が突き刺さる。
「いってー、なんだ、あいつら。鉄の人形か? なんで、こんな所にいるんだ」
歪虚化した鉄の人形は見た目は女性だった。
壮にとっては、因縁の敵であった。
「今度は騙されないっすよ。人形だけは許さないからな」
壮は剣を構えて、人形の放った矢を払うことができた。
「俺だってな、やるときゃやるよ」
「……その意気だ。いつも、そうだと良いんだがな」
マクシミリアンは強い眼差しで言った。
援軍が来ることを信じて、敵と立ち向かうために。
上空では、飛竜の咆哮が響き渡っていた。
まるで、人類の存在そのものを嘲笑うかのように。
それでも、オレ達は生きるために闘い続ける。
大切な人を守るため、ボク達は戦うんだ。
北方王国リグ・サンガマ。
拠点となっていたカム・ラディ遺跡での戦いは熾烈を極めていた。
「龍族がさらに接近中だ。油断するな」
魔術師協会の補給部隊は、前線で戦うハンターたちの支援を行っていた。
怪我を負ったハンターたちが運ばれてくる度に、聖導士たちがヒールを施す。
「重体のハンターたちもいます。なんとしてでも、この場を守らなければ」
「まずいな……目を付けられたか」
護衛として参加していたマクシミリアン・ヴァイス(kz0003)が呟く。
「どういうことっすか?」
リアルブルー出身のハンター、水本 壮(みずもと・そう)の問いに応えたのは、魔術師スコットであった。
「魔術師協会も龍鉱石の回収作業をしていたから、龍族から見れば俺達も邪魔者だってことさ」
「えっ、聞いてないよ。ど、ど、どうすんだよ」
焦る壮に、マクシミリアンが睨み据えた。
「迎え撃つのが妥当だろう」
「怪我人や重体のハンターもいるから、まずは逃げた方が良いっす」
壮の言うことも一理あるが、補給部隊は龍族の集団に囲まれて逃げ場がなかった。
「俺が突破口を作る。その隙に伝令を頼む」
マクシミリアンがそう告げると、スコットが頷いた。
「分かった。ここで逃げたら逆に返り討ちに合いそうだからな。援軍を呼ぼう」
「頼んだぞ、スコット」
マクシミリアンは動じることもなく、龍族の集団と対峙する。
リザードマンの群れはマクシミリアンの攻撃で次々と倒されていき、スコットは『ファイアアロー』を放った後、結晶化した山沿いの近くに隠れた。そこには疾影士がおり、彼は伝令役だった。
「すぐに本部へ連絡してくれ」
スコットが状況を話すと、疾影士はすぐさま走り出した。
その知らせは本部まで届き、依頼が舞い込んできた。
『カム・ラディ遺跡の周辺にて、魔術師協会の補給部隊が龍族の集団と対戦中。
至急、援軍を送って欲しい。怪我人や重体のハンターもいるため、彼らの救出も願う』
その依頼を見たハンターたちは、すぐさま現場へと向かった。
●
マクシミリアンがドラゴン・ファイターを倒した頃、新たな敵の集団が現れた。
「飽きもせず、来るか」
「マクシミリアンさん、非常にヤバイっす。俺達、スキルぜーんぶ使っちまったから、無理っすよ」
壮もなんとか戦っていたが、さらに現れた敵の集団を見て、震えていた。
「援軍が来るまで、俺達で持ち堪えるんだ。良いな?」
マクシミリアンはすでに覚悟を決めていた。
たとえどうなろうとも、ハンターとしてやるべきことをやれば、悔いはないと。
「仮にスキルがあったとしても、ワイバーンは無理っす」
相も変わらず、壮は逃げ腰になっていた。
その隙を付くように矢が飛んできた。壮の右肩に矢が突き刺さる。
「いってー、なんだ、あいつら。鉄の人形か? なんで、こんな所にいるんだ」
歪虚化した鉄の人形は見た目は女性だった。
壮にとっては、因縁の敵であった。
「今度は騙されないっすよ。人形だけは許さないからな」
壮は剣を構えて、人形の放った矢を払うことができた。
「俺だってな、やるときゃやるよ」
「……その意気だ。いつも、そうだと良いんだがな」
マクシミリアンは強い眼差しで言った。
援軍が来ることを信じて、敵と立ち向かうために。
上空では、飛竜の咆哮が響き渡っていた。
まるで、人類の存在そのものを嘲笑うかのように。
それでも、オレ達は生きるために闘い続ける。
大切な人を守るため、ボク達は戦うんだ。
リプレイ本文
カム・ラディ遺跡の近辺において、魔術師協会の補給部隊は援軍を待ち続けていた。
「もうダメだー!」
水本 壮(みずもと・そう)が諦めて叫んだ時、7人のハンターたちが駆けつけてきた。
「諦めるのは早いぜ」
リュー・グランフェスト(ka2419)が颯爽と現れ、レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は壮を庇うようにドラゴン・ファイターたちの前に立ちはだかる。
「待たせたな! オレたちに任せてくれ!」
レイオスは『ソウルトーチ』で周囲にいる敵が自分に注目するように、炎のようなオーラを纏った。
リューも気合いの入った声で、『ソウルトーチ』を発動させる。
「俺が相手だ! うぉおおおおおおっ!」
竜のごとく吠えるリュー。
「二人が敵を引きつけているうちに、マクシミリアンさんたちは救出組と合流してください」
アメリア・フォーサイス(ka4111)は迎撃班と救出班の間に立ち、中衛の位置で魔導拳銃「エア・スティーラー」を構え、アイアン・レディに狙いを定めて『制圧射撃』を放った。射程内にいたアイアン・レディ1体に命中して、行動不能になった。
アメリアの指示で、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)は壮を連れて、セレスティア(ka2691)と共に行動することにした。
「それでは、山沿いの窪みに陣を張りましょう」
セレスティアはゴースロンに重体のハンターを乗せて、自分は徒歩で馬を誘導していた。
「こいつが怪我をしている」
マクシミリアンはそう言いながら、表情を変えずに壮を見ていた。セレスティアには、マクシミリアンが壮のことを心配しているように思えた。
「もう大丈夫です。すぐに助けますから」
セレスティアが壮に『ヒール』を施すと、優しい光が傷を包み込むように癒していく。
「すごい……あっというまに治った」
壮は自力で立ち上がることができるようになり、他の怪我人を自らの意思で助け起こした。
「俺でも、一人くらいは運べるっすよ」
「私たちが絶対に守る。この剣に誓って!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)が魔法剣「レヴァリー」を掲げると、前方に『アースウォール』が出現する。
「少しは時間稼ぎになれば良いけど……アイアン・レディの射程距離が気になるから、無理に離れるんじゃなくて、迎撃班と付かず離れずの位置にいた方が安全かもしれないよ。ワイバーンにも気を付けてね」
リンカの機転がどうでるか、まだ分からないが、状況的には五分五分になってきた。
「まずはアイアン・レディたちを片付けます!」
和泉 澪(ka4070)は『瞬脚』からの『ランアウト』で疾風の如くアイアン・レディに接近し、試作振動刀「オートMURAMASA」で敵の胴部を切り裂いた。
粉々に砕け散り、両足だけ残っていたが、霧崎 灯華(ka5945)の放った『風雷陣』がアイアン・レディ3体に命中して、1体が消滅していく。
「あら、当たったみたいね。運が良かっただけかしら」
物は試しと使った術が利くかどうかは、実際に試してみるのも一つの手だ。
アイアン・レディに利いた術が、必ずしも他のヴォイドにも有効とは限らないが、少なくとも今回、出現した敵には術が利いたことが分かった。
龍戦士たちはソウルトーチに反応して、レイオスとリュー目掛けて『突撃』していく。
「早速、来たな」
レイオスはラージブレード「ゴーム・グラス」で龍戦士の攻撃を受けると、『カウンターアタック』を繰り出す。両者が激突した衝撃でレイオスは押し流されそうになったが、両脚に力を込めて体勢を整えた。
龍戦士は憤慨して、リューにも攻撃をしかけてきた。
「順番通りにはいかないってことか? だったら、こうしてやるまでだ」
リューは反射的に試作振動刀「オートMURAMASA」による『カウンターアタック』で、龍戦士の腹部を抉るように切り裂いた。
二体の龍戦士は激しい攻撃を受けながらも、レイオスとリューの行く手を阻んでいた。
ワイバーンはソウルトーチには反応していたが、低空飛行で様子を窺い、射程距離からは離れていた。
アイアン・レディ二体はマテリアルには反応しなかったのか、アメリアと壮に狙いを定めて『レイターコールドショット』を放つ。
すかさずアメリアは『妨害射撃』で敵の矢を撃ち抜いた。
「壮さん、気を付けてください」
「やっべーよ」
壮はとっさに土壁の陰に隠れた。アイアン・レディの放った矢が突き刺さったと同時に土壁が消滅。
リンカの作ったアースウォールのおかげで、壮は命拾いした。
「理由は分からないけど、アイアン・レディたちは水本さんを狙っているようだね」
リンカは『贈花「彼岸花」』を発動させると、投げつけられた蕾が紅色の火花を散らし、範囲内にいるアイアン・レディたちは爆発に巻き込まれた。鉄の人形は全身に罅が入っていたが、まだ防御態勢だ。
「鳴隼一刀流・抜刀術、蒼隼疾風!」
澪は『瞬脚』の体勢から『ランアウト』で敵に接近…そして刀が低い音を響かせ、切り裂く。見れば、鉄の人形が一体、消滅していた。
「あれもいると邪魔よね」
灯華は陰陽符「降魔結界」を構えて、『火炎符』を投げ飛ばす。魔法が命中して、アイアン・レディが火に包まれながら消えていく。
「おっしゃ、今度はこっちの出番だ」
リューは試作振動刀「オートMURAMASA」を構えて、龍戦士たちに突進していく。
その技は『竜貫』… 正式名は紋章剣『天槍』だ。多量のマテリアルが輝き、軌道上にいた龍戦士二体を貫いていく。
かなりのダメージを与えることができたが、龍戦士たちは身構え、尚も戦う意思を見せていた。
「さすが龍族だな。だがな、速攻で潰してやるぜ」
レイオスが『薙ぎ払い』でラージブレード「ゴーム・グラス」を振り回す。
二体の龍戦士は、レイオスとリューの連携攻撃により、跡形もなく消滅していった。
「皆さん、一旦撤退してください」
アメリアが『制圧射撃』でワイバーン一体の行動を止めることができたが、残りの三体は澪を狙っていた。
ふと見上げると、ワイバーンたちが急降下してきた。
澪は上空からの攻撃に気付き、回避するが、ワイバーン三体に囲まれてしまった。
「他の方たちには指一本、触れさせません」
澪はワイバーンの爪で身体を切り裂かれながらも、『瞬影』で敵の攻撃をいなし、刀を振りかざす。
「鳴隼一刀流、隼巻閃!」
攻撃が命中して、ワイバーン一体の両足を切り裂いた。
だが、ワイバーンの攻撃は凄まじかった。
爪や牙による二回攻撃を受けて、澪は全身から血が流れ出した。
「澪!」
レイオスがとっさに助け起こし、その場から離れることにした。
●
「……うっ…」
澪は全身の痛みで、朦朧としていた。
「セレスティア、澪の手当てを頼む」
レイオスは救護班のいる場所まで撤退していた。
「澪さん、私の声が聞こえますか?」
セレスティアは祈りを込めて『ヒール』を発動させた。
柔らかい光に包まれて、澪は意識を取り戻したが、重い傷を負ってしまった。ヒールでも一瞬で回復させるのは難しい。
「……セレスティアさん、ありがとうございます」
澪は起き上がることができるようになったが、スキルを使うことができなかった。回復に時間がかかるからだ。
リンカは負傷したハンターたちの中で自力で歩ける者たちを連れて、セレスティアの元へとやってきた。
「彼らの治癒もお願いね」
そう言いながら、リンカはワイバーンの動向にも注意していた。
「安心して下さいね。すぐに治します」
セレスティアの『ヒーリングスフィア』によって、範囲内にいたハンターたちは淡い光に包まれた。気が付けば、ハンターたちの怪我が癒され、傷口も消えていった。
「助かったよ。ありがとう」
怪我人の中には魔術師スコットもいたが、彼の怪我も回復していた。
重体で動けない者は、アメリアがゴースロンの背に乗せて、ここまで連れて来ていた。
ドラゴン・ファイターとアイアン・レディは全て倒すことができたが、ワイバーンたちが行く手を遮るように救護班へと接近していた。
「これ以上、犠牲者を増やさないためにも、ワイバーンも倒そうぜ」
リューも撤退して救護班の様子を見ていたが、このまま放っておくことなどできなかった。
「この場は私に任せてください。お気を付けて」
セレスティアは幼馴染のリューを見送り、自分の成すべきことを決意していた。
「ありがとな。心強いぜ」
ゴースロンのテンペストに騎乗したリューは、短弓「テムジン」で矢を放ち、ワイバーンたちを牽制する。
「もちろん、オレも戦うぜ」
レイオスは魔導バイク「ゲイル」を走らせ、試作型魔導銃「狂乱せしアルコル」でワイバーンを狙い撃つ。
「ワイバーンたちに救護班が襲撃されたら……それだけは阻止しなければ」
アメリアは『制圧射撃』で弾幕を張り、ワイバーン1体を行動不能にした。次の攻撃に備えてリロードもしておく。
灯華もまた、前線を援護するため、上空で飛んでいるワイバーンの動向を見据えていた。
「射程ギリギリってところね」
見計らい、灯華はワイバーンに狙いを定めて『風雷陣』を放った。投げつけた符が空中で稲妻と化し、ワイバーン3体を貫いていく。
キィィィィ!
稲妻が命中して、ワイバーンは怒り狂ったように下降すると、灯華を敵だと認識したのか、攻撃を繰り出す。
「灯華さん!」
救護班にいたリンカは堪らず叫び、魔導バイク「アレイオーン」に騎乗すると、灯華の元へと走り出す。
灯華はワイバーン3体の連続攻撃を受けてしまい、地面に崩れ落ちた。全身、血塗れになっていた。
「……さすがに…動けないわね」
「灯華さん、無理しないで」
リンカは灯華の意思を無駄にしないためにも、攻撃体勢に入った。
「レイオスさん、リューさん、お願い!」
すぐに意図を察して、レイオスとリューは『ソウルトーチ』を発動させた。二人は炎のオーラに包まれ、ワイバーンを目視した。
「うおおおおおおおっ!!」
二つの炎は、俯瞰すると燃え盛る闘争心を物語っていた。
その輝きに、ワイバーンたちは抗うことができず、ゆっくりと接近してくるではないか。
「今だ! リンカ!」
リューの合図で、リンカは魔法剣「レヴァリー」を天に翳し、『ブリザード』を放った。
「仲間は、必ず守るよ!」
冷気の嵐が吹き荒れ、ワイバーンたちは氷結してしまい、身動きが取れなくなった。
「翼を狙いましょう」
アメリアは魔導拳銃「エア・スティーラー」の二丁銃で『ダブルファイア』を放った。ワイバーン2体の翼に命中して、弾丸が貫く。
ワイバーンたちは地面に落下して、攻撃する余裕もなかった。だが、しばらくすれば動き出すだろう。
「チャンスは逃さないからな」
リューは全力で『竜貫』の技を繰り出す。
「いっけえええええ!」
試作振動刀「オートMURAMASA」を突き出すリュー。激しい攻撃は、まるでワイバーンを食い破るようにも見えた。射程内にいたワイバーン2体が消え去っていく。
「ここでケリを付けてやるぜ!」
止めとばかりに、レイオスはラージブレード「ゴーム・グラス」を振り回して『薙ぎ払い』を繰り出す。その衝撃で、ワイバーン2体が塵となり、消滅していく。
「……ワイバーンも全て倒せたね」
リンカは安堵すると、重体になった灯華をバイクの後ろに乗せて、救護班の方へと走った。
●
後衛では、セレスティアが人々を守るため、『ディヴァインウィル』を張り巡らせていた。
硬い決意を表すように、不可視の境界は敵の侵入を許すことはなかった。
効果が切れた時、リンカがバイクに乗って向かってくる姿が見えた。
「灯華さんの具合はどうかな?」
リンカが応急手当をして、セレスティアが『ヒール』を発動させて灯華の様子を窺う。
「思ったよりも重い傷です。完全に回復するまでは安静にした方が良いと思います」
「……なんとか助かったようね」
灯華は普通に動くことはできるようになったが、身体に痛みが走っていた。
セレスティアはトランシーバーで他の仲間に連絡を取った。
応答したのは、リューだった。
『そっか。灯華は無事だったか。それは何よりだぜ』
「はい、リンカさんの応急手当が的確だったので、助かりました」
セレスティアがリューに返答すると、リンカは「仲間を助けるのは当たり前だよ」と告げた。
援軍に来たハンターたちの活躍により、魔術師協会の補給部隊は危機を脱することができた。
重傷者のハンターたちも無事に救出されたと、本部へも報告が入っていた。
「もうダメだー!」
水本 壮(みずもと・そう)が諦めて叫んだ時、7人のハンターたちが駆けつけてきた。
「諦めるのは早いぜ」
リュー・グランフェスト(ka2419)が颯爽と現れ、レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は壮を庇うようにドラゴン・ファイターたちの前に立ちはだかる。
「待たせたな! オレたちに任せてくれ!」
レイオスは『ソウルトーチ』で周囲にいる敵が自分に注目するように、炎のようなオーラを纏った。
リューも気合いの入った声で、『ソウルトーチ』を発動させる。
「俺が相手だ! うぉおおおおおおっ!」
竜のごとく吠えるリュー。
「二人が敵を引きつけているうちに、マクシミリアンさんたちは救出組と合流してください」
アメリア・フォーサイス(ka4111)は迎撃班と救出班の間に立ち、中衛の位置で魔導拳銃「エア・スティーラー」を構え、アイアン・レディに狙いを定めて『制圧射撃』を放った。射程内にいたアイアン・レディ1体に命中して、行動不能になった。
アメリアの指示で、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)は壮を連れて、セレスティア(ka2691)と共に行動することにした。
「それでは、山沿いの窪みに陣を張りましょう」
セレスティアはゴースロンに重体のハンターを乗せて、自分は徒歩で馬を誘導していた。
「こいつが怪我をしている」
マクシミリアンはそう言いながら、表情を変えずに壮を見ていた。セレスティアには、マクシミリアンが壮のことを心配しているように思えた。
「もう大丈夫です。すぐに助けますから」
セレスティアが壮に『ヒール』を施すと、優しい光が傷を包み込むように癒していく。
「すごい……あっというまに治った」
壮は自力で立ち上がることができるようになり、他の怪我人を自らの意思で助け起こした。
「俺でも、一人くらいは運べるっすよ」
「私たちが絶対に守る。この剣に誓って!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)が魔法剣「レヴァリー」を掲げると、前方に『アースウォール』が出現する。
「少しは時間稼ぎになれば良いけど……アイアン・レディの射程距離が気になるから、無理に離れるんじゃなくて、迎撃班と付かず離れずの位置にいた方が安全かもしれないよ。ワイバーンにも気を付けてね」
リンカの機転がどうでるか、まだ分からないが、状況的には五分五分になってきた。
「まずはアイアン・レディたちを片付けます!」
和泉 澪(ka4070)は『瞬脚』からの『ランアウト』で疾風の如くアイアン・レディに接近し、試作振動刀「オートMURAMASA」で敵の胴部を切り裂いた。
粉々に砕け散り、両足だけ残っていたが、霧崎 灯華(ka5945)の放った『風雷陣』がアイアン・レディ3体に命中して、1体が消滅していく。
「あら、当たったみたいね。運が良かっただけかしら」
物は試しと使った術が利くかどうかは、実際に試してみるのも一つの手だ。
アイアン・レディに利いた術が、必ずしも他のヴォイドにも有効とは限らないが、少なくとも今回、出現した敵には術が利いたことが分かった。
龍戦士たちはソウルトーチに反応して、レイオスとリュー目掛けて『突撃』していく。
「早速、来たな」
レイオスはラージブレード「ゴーム・グラス」で龍戦士の攻撃を受けると、『カウンターアタック』を繰り出す。両者が激突した衝撃でレイオスは押し流されそうになったが、両脚に力を込めて体勢を整えた。
龍戦士は憤慨して、リューにも攻撃をしかけてきた。
「順番通りにはいかないってことか? だったら、こうしてやるまでだ」
リューは反射的に試作振動刀「オートMURAMASA」による『カウンターアタック』で、龍戦士の腹部を抉るように切り裂いた。
二体の龍戦士は激しい攻撃を受けながらも、レイオスとリューの行く手を阻んでいた。
ワイバーンはソウルトーチには反応していたが、低空飛行で様子を窺い、射程距離からは離れていた。
アイアン・レディ二体はマテリアルには反応しなかったのか、アメリアと壮に狙いを定めて『レイターコールドショット』を放つ。
すかさずアメリアは『妨害射撃』で敵の矢を撃ち抜いた。
「壮さん、気を付けてください」
「やっべーよ」
壮はとっさに土壁の陰に隠れた。アイアン・レディの放った矢が突き刺さったと同時に土壁が消滅。
リンカの作ったアースウォールのおかげで、壮は命拾いした。
「理由は分からないけど、アイアン・レディたちは水本さんを狙っているようだね」
リンカは『贈花「彼岸花」』を発動させると、投げつけられた蕾が紅色の火花を散らし、範囲内にいるアイアン・レディたちは爆発に巻き込まれた。鉄の人形は全身に罅が入っていたが、まだ防御態勢だ。
「鳴隼一刀流・抜刀術、蒼隼疾風!」
澪は『瞬脚』の体勢から『ランアウト』で敵に接近…そして刀が低い音を響かせ、切り裂く。見れば、鉄の人形が一体、消滅していた。
「あれもいると邪魔よね」
灯華は陰陽符「降魔結界」を構えて、『火炎符』を投げ飛ばす。魔法が命中して、アイアン・レディが火に包まれながら消えていく。
「おっしゃ、今度はこっちの出番だ」
リューは試作振動刀「オートMURAMASA」を構えて、龍戦士たちに突進していく。
その技は『竜貫』… 正式名は紋章剣『天槍』だ。多量のマテリアルが輝き、軌道上にいた龍戦士二体を貫いていく。
かなりのダメージを与えることができたが、龍戦士たちは身構え、尚も戦う意思を見せていた。
「さすが龍族だな。だがな、速攻で潰してやるぜ」
レイオスが『薙ぎ払い』でラージブレード「ゴーム・グラス」を振り回す。
二体の龍戦士は、レイオスとリューの連携攻撃により、跡形もなく消滅していった。
「皆さん、一旦撤退してください」
アメリアが『制圧射撃』でワイバーン一体の行動を止めることができたが、残りの三体は澪を狙っていた。
ふと見上げると、ワイバーンたちが急降下してきた。
澪は上空からの攻撃に気付き、回避するが、ワイバーン三体に囲まれてしまった。
「他の方たちには指一本、触れさせません」
澪はワイバーンの爪で身体を切り裂かれながらも、『瞬影』で敵の攻撃をいなし、刀を振りかざす。
「鳴隼一刀流、隼巻閃!」
攻撃が命中して、ワイバーン一体の両足を切り裂いた。
だが、ワイバーンの攻撃は凄まじかった。
爪や牙による二回攻撃を受けて、澪は全身から血が流れ出した。
「澪!」
レイオスがとっさに助け起こし、その場から離れることにした。
●
「……うっ…」
澪は全身の痛みで、朦朧としていた。
「セレスティア、澪の手当てを頼む」
レイオスは救護班のいる場所まで撤退していた。
「澪さん、私の声が聞こえますか?」
セレスティアは祈りを込めて『ヒール』を発動させた。
柔らかい光に包まれて、澪は意識を取り戻したが、重い傷を負ってしまった。ヒールでも一瞬で回復させるのは難しい。
「……セレスティアさん、ありがとうございます」
澪は起き上がることができるようになったが、スキルを使うことができなかった。回復に時間がかかるからだ。
リンカは負傷したハンターたちの中で自力で歩ける者たちを連れて、セレスティアの元へとやってきた。
「彼らの治癒もお願いね」
そう言いながら、リンカはワイバーンの動向にも注意していた。
「安心して下さいね。すぐに治します」
セレスティアの『ヒーリングスフィア』によって、範囲内にいたハンターたちは淡い光に包まれた。気が付けば、ハンターたちの怪我が癒され、傷口も消えていった。
「助かったよ。ありがとう」
怪我人の中には魔術師スコットもいたが、彼の怪我も回復していた。
重体で動けない者は、アメリアがゴースロンの背に乗せて、ここまで連れて来ていた。
ドラゴン・ファイターとアイアン・レディは全て倒すことができたが、ワイバーンたちが行く手を遮るように救護班へと接近していた。
「これ以上、犠牲者を増やさないためにも、ワイバーンも倒そうぜ」
リューも撤退して救護班の様子を見ていたが、このまま放っておくことなどできなかった。
「この場は私に任せてください。お気を付けて」
セレスティアは幼馴染のリューを見送り、自分の成すべきことを決意していた。
「ありがとな。心強いぜ」
ゴースロンのテンペストに騎乗したリューは、短弓「テムジン」で矢を放ち、ワイバーンたちを牽制する。
「もちろん、オレも戦うぜ」
レイオスは魔導バイク「ゲイル」を走らせ、試作型魔導銃「狂乱せしアルコル」でワイバーンを狙い撃つ。
「ワイバーンたちに救護班が襲撃されたら……それだけは阻止しなければ」
アメリアは『制圧射撃』で弾幕を張り、ワイバーン1体を行動不能にした。次の攻撃に備えてリロードもしておく。
灯華もまた、前線を援護するため、上空で飛んでいるワイバーンの動向を見据えていた。
「射程ギリギリってところね」
見計らい、灯華はワイバーンに狙いを定めて『風雷陣』を放った。投げつけた符が空中で稲妻と化し、ワイバーン3体を貫いていく。
キィィィィ!
稲妻が命中して、ワイバーンは怒り狂ったように下降すると、灯華を敵だと認識したのか、攻撃を繰り出す。
「灯華さん!」
救護班にいたリンカは堪らず叫び、魔導バイク「アレイオーン」に騎乗すると、灯華の元へと走り出す。
灯華はワイバーン3体の連続攻撃を受けてしまい、地面に崩れ落ちた。全身、血塗れになっていた。
「……さすがに…動けないわね」
「灯華さん、無理しないで」
リンカは灯華の意思を無駄にしないためにも、攻撃体勢に入った。
「レイオスさん、リューさん、お願い!」
すぐに意図を察して、レイオスとリューは『ソウルトーチ』を発動させた。二人は炎のオーラに包まれ、ワイバーンを目視した。
「うおおおおおおおっ!!」
二つの炎は、俯瞰すると燃え盛る闘争心を物語っていた。
その輝きに、ワイバーンたちは抗うことができず、ゆっくりと接近してくるではないか。
「今だ! リンカ!」
リューの合図で、リンカは魔法剣「レヴァリー」を天に翳し、『ブリザード』を放った。
「仲間は、必ず守るよ!」
冷気の嵐が吹き荒れ、ワイバーンたちは氷結してしまい、身動きが取れなくなった。
「翼を狙いましょう」
アメリアは魔導拳銃「エア・スティーラー」の二丁銃で『ダブルファイア』を放った。ワイバーン2体の翼に命中して、弾丸が貫く。
ワイバーンたちは地面に落下して、攻撃する余裕もなかった。だが、しばらくすれば動き出すだろう。
「チャンスは逃さないからな」
リューは全力で『竜貫』の技を繰り出す。
「いっけえええええ!」
試作振動刀「オートMURAMASA」を突き出すリュー。激しい攻撃は、まるでワイバーンを食い破るようにも見えた。射程内にいたワイバーン2体が消え去っていく。
「ここでケリを付けてやるぜ!」
止めとばかりに、レイオスはラージブレード「ゴーム・グラス」を振り回して『薙ぎ払い』を繰り出す。その衝撃で、ワイバーン2体が塵となり、消滅していく。
「……ワイバーンも全て倒せたね」
リンカは安堵すると、重体になった灯華をバイクの後ろに乗せて、救護班の方へと走った。
●
後衛では、セレスティアが人々を守るため、『ディヴァインウィル』を張り巡らせていた。
硬い決意を表すように、不可視の境界は敵の侵入を許すことはなかった。
効果が切れた時、リンカがバイクに乗って向かってくる姿が見えた。
「灯華さんの具合はどうかな?」
リンカが応急手当をして、セレスティアが『ヒール』を発動させて灯華の様子を窺う。
「思ったよりも重い傷です。完全に回復するまでは安静にした方が良いと思います」
「……なんとか助かったようね」
灯華は普通に動くことはできるようになったが、身体に痛みが走っていた。
セレスティアはトランシーバーで他の仲間に連絡を取った。
応答したのは、リューだった。
『そっか。灯華は無事だったか。それは何よりだぜ』
「はい、リンカさんの応急手当が的確だったので、助かりました」
セレスティアがリューに返答すると、リンカは「仲間を助けるのは当たり前だよ」と告げた。
援軍に来たハンターたちの活躍により、魔術師協会の補給部隊は危機を脱することができた。
重傷者のハンターたちも無事に救出されたと、本部へも報告が入っていた。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談用 アメリア・フォーサイス(ka4111) 人間(リアルブルー)|22才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/04/15 06:27:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/11 22:09:30 |