【西参】旅立ちの日

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/01 19:00
完成日
2016/05/11 20:02

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●エトファリカ連邦国「天ノ都」―「龍尾城」
 武家四十八家門、第一位立花院家当主にして「八代目征夷大将軍」である立花院 紫草(kz0126)は、爽やかな微笑を湛えながら、報告書の書状を読み終わった。
 滅亡の一途を辿るこの国を守る為に、スメラギを支え、残り少ない武家集団を束ね、優秀な配下である朱夏(kz0116)を当時、聖地奪還の激闘が繰り広げられていた西方へと派遣した。
 紆余曲折あったにせよ、歪虚王獄炎を打ち倒し、エトファリカ連邦国は救われた。
「……私は、東方が救われるのは『糸を1里先の針の穴に通すよりも難しい』と表現した事がありましたが……」
 を呟きながら城下町を見降ろす。
「いつも、人の持つ力に驚かされます」
 絶体絶命の死線をいくつも越えながら、どれか一つでも綻びが生じれば後が無かった戦いに勝利した。
 そして、十数年という長い年月、歪虚の勢力域に取り残されたままだった十鳥城と城下町を救うという新しい奇跡が起こった。
「立花院様、それでは、いよいよでしょうか?」
 声をかけたのは、「女将軍」鳴月 牡丹(kz0180)である。
 明るい茶髪を結いあげ、スリットが入った真っ赤な衣服と鋭い赤眼が彼女の活発な性格を表していた。
「天ノ都から南側の脅威はある程度、取り除けましたからね。次は、こちらが打って出る番です」
 獄炎を倒したといっても歪虚勢力域は残ったままである。
 これらをハンター達と協力し、取り戻してきた。長江一帯や十鳥城周辺から歪虚勢力を排除してきた。
 武家集団も壊滅的な状況から立ち直ってきている。
「当面の問題は、獄炎の近親者を名乗る災狐の討伐、それと、北側を塞いでいる強欲に属する歪虚集団、そして、西方への陸路を封鎖している歪虚集団です」
「僕が部隊を率いて打ち破っていきます!」
 牡丹が意気込む。
 陸路で西方に行くのはかなりの距離がある。
 転移門がある以上、無理して通過する必要はない。それでも、行かなければならない理由があった。
「十鳥城の件はある意味、この国に住まう民にも当てはまりますからね。非覚醒者にとっては歪虚勢力に国を閉ざされたまま、ですから」
「……『希望』という事ですか?」
 西方までの陸路の完全制圧は不可能に近いだろう。
 だが、軍勢が陸路を渡り、西方まで辿り着いたという事実に意味があるのだ。
「希望ある未来を民の多くが観えるようにしておく。それが、将軍としての役割の1つです」
 ハンター達の応援が東方に訪れるまで、東方にはかすかな希望さえ見えなかった時期もあった。
 その時の民の顔を、紫草は今でも忘れる事ができない。
 瞳を一瞬だけ閉じて、開いた時は真剣な眼差しで牡丹を見つめる。
「……鳴月牡丹に命じる。現時刻を持って、遠征隊『征西部隊』を率いて、歪虚勢力域を突破し、赤き大地のホープを目指せ」
 牡丹は仰々しく頭を下げた。

●「龍尾城」―「武家屋敷」
「牡丹様! これはどういう事なのですか!?」
 悲鳴にも近い声を荒げて紡伎 希(kz0174)が手に資料を抱えながら牡丹の部屋に駆け込んだ。
 普段は冷静沈着を通り過ぎて感情がないのかという位、めったな事で動じない希がそれほど慌てている。
「……僕、着替え中なんだけど、ノゾミ……」
 言葉通り、牡丹は道着から普段着に着替えている最中だった。
 豊かな二つの胸丘が揺れる。
「そんな、たゆんたゆんさせてる場合じゃないです! これは、どういう事ですか!」
 勢いよく突き出した資料がボヨンと牡丹のそれに当たった。
 資料には遠征隊『征西部隊』の管理に関する数値のアレコレが書き込んである。
 自覚はあったのだろう、牡丹は着替えている最中というのに、キリッとした表情で希に言い放った。
「あぁ……実は、僕、計算は苦手なんだ」
「堂々と言う所ですか! いいですか、これだけの規模の隊を管理なのです! ザルではいけません!」
 牡丹が行った、部隊の運営に必要な物資や兵糧の計算は大雑把だった。
 おまけに、単純な計算ミスや桁間違いなどもあり、これでは出発する前に大惨事だ。
「えと……ノゾミに任せた!」
「今からですかぁ!? というか、これ、受付嬢の仕事じゃないですよ!」
「細かい事は言わない。そもそも、私の部隊がホープに着かないと、ノゾミの仕事も終わらないでしょ」
 まるで仕事を人質に取られている気分だと希は思った。
「……分かりました。ただ、最終的な承認に関しては牡丹様のお仕事ですからね」
「はいはい」
 手をひらひらと振りながら着替えを再開する牡丹。
「それと、ちゃんと、別料金頂きますからね。これは牡丹様の仕事の一部分なので、請求は牡丹様にさせていただきます」
 それだけ宣言すると希は一礼して部屋から出て行った。
「ひぇ! ま、待って、ノゾミ! 僕が払える額にしてよ!」
 着替えながら飛び出して希を追いかける牡丹。
 服がはだけて、色々際どい。
「分かってます! それと、そのボヨンボヨンしたのをちゃんとしまってから出てきて下さい!」
 顔を真っ赤にして希が叫んだ。

●「武家屋敷」―「臨時窓口」
 ハンターズ・ソサエティの受付嬢見習いである希が険しい表情で机に広げられた書類を見つめていた。
 牡丹の出鱈目な計算のおかげで一から行う事になった書類の山である。
「遠征隊『征西部隊』は後方支援を含めると三百人程……うち、直接、戦闘に当たる人が……」
 ぶつぶつと呟きながら手元のメモ帳になにやら書き込んでいる。
 純粋な戦闘隊員だけで構成されている訳では無く、輸送隊や通信隊なども含んでいる総合的な部隊だ。
 必要な物資はそれぞれ違う為、それらの調達も大事な事である。なにより、半年以上にも及ぶ遠征に備える為に、予備費には余裕を持たせたい。
「……これは、ダメですね」
 希は溜め息をついた。
 出陣の日取りまでには計算は終わらない。そして、一度出発してしまえば、これだけの量の計算を落ち着いて出来ないだろう。
「こうなったら、出発の日を無理矢理でもズラすしかありませんね」
 淡々と別の書類になにか書き込んでいく。
 遥か彼方、赤き大地を目指す出陣の日を、計算が終わりませんでしたのでズラしますとはいかない。
 そこで、彼女は妙案にて乗り切る事にした。

 すなわち、出陣の日は、天ノ都でハンター達との交流会を開催するという事だ。
 道中、必要に応じてハンター達に協力を要請する事としているので、交流会はコミュニケーションの上でも大切な事だ。
 それだけに留まらず、例えば、強欲や怠惰などに属する歪虚との戦い方の注意点や、純粋な戦闘技術の訓練等、多岐に渡る効果が期待できる。
「一石二鳥とはこの事ですね……フフ」
 微笑を浮かべる希であった。

リプレイ本文

●武家屋敷
 二人の前に姿を現した紡伎 希(kz0174)が、訪ねてきた二人を交互に見て、笑いだす。
 少女の突然の反応にヴァイス(ka0364)とNon=Bee(ka1604)がお互いの顔を見た。変な顔はしていないはずだ。
「フフ…だって、『両親が来ているよ』って、言われて…出てみれば…フフ」
「まぁ、その方が自然よね」
 Nonがウィンクしながら、ヴァイスの腕を掴んで身体を密着させた。
 一方のヴァイスは苦笑を浮かべている。
「お疲れ様だな、希。東方での話し、聞かせてくれないか」
 希の頭を優しく撫でるヴァイス。
 受付嬢としての仕事に就いてそれなりに経つ。愚痴の一つや二つ吐き出せば、少しは楽になれるかもしれない。
「なんだか大変なお仕事だったのでしょう。少し疲れて見えるわ」
 そして、背負い袋から差し入れを取り出した。
「希にも差し入れがあるのよ。久々に楽しくお話しながら食べましょう」
「はい! もう、それは沢山、沢山、お話したい事があるのです」
 笑顔を浮かべた希に連れられ、二人は屋敷で、親子ではないが、親子水入らずのような時間を過ごしたのであった。

●仮設広場
 広場に姿を現した鳴月 牡丹(kz0180)にミィリア(ka2689)は話しかけた。
「おはようで、ござる」
「君は……十鳥城の件のハンターさんだったね」
 ミィリアは牡丹の台詞にこくりと頷いた。
「城での事、お礼をと思ったので……それに、代官の事もなにか知っているかと思ったのでござる」
「派兵の件は立花院様の命だしね。それと、代官の事はノゾミちゃんの方が詳しいはずだよ」
 そう言われてしまえば、あの受付嬢見習いの所へと足を運ぶ所になるのだが、一礼して踵を返すミィリアよりも先に牡丹が口を開いた。
「ちょうどいい所に居たよ。立ち会いをお願いできないかな」
 キュッとグローブを装着した彼女の言葉をミィリアはすぐに理解した。
 道着と袴姿の青年が鋭い視線を向けながら右拳を左手で包み込んでいる。
 手合わせなのだろう。
(もっと上を目指さなければならない今、女将軍と手合わせ願えるこの機会、大事にせねば……)
 春日 啓一(ka1621)がそんな決意と共に牡丹と対峙する。
 向かい合った瞬間、啓一は直感した――敵わない――と。彼女の全身から放たれるオーラは並大抵のものではない。
 立ち会い人であるミィリアの開始の合図に啓一は慎重に両手を構えて間合いを探る。
「……へぇ。君もなかなかの猛者だね」
 牡丹が口元を緩めた。彼女は構えてもいない。ただただ、啓一の動きを観察している。
 唐突に牡丹が動いた。軽いステップと共に繰り出される蹴りを啓一はガードして防ぐ。牡丹からの攻撃を幾度かいなしてから反撃に出る啓一。
 全身で荷重を集中させた必殺の拳。
 それを――牡丹は肘打ちで迎撃しつつ、更に踏み込み啓一の喉元へと迫った。
「……さすが、女将軍と言われるだけはある。己の弱さを再確認できた」
 ゆっくりと息を吐き出し、啓一は言った。
 実力差があるのは分かっていた。だが、それでも挑まなければならない理由が彼にはあった。
「自身の弱さを知るからこそ、強くなれる……僕の言葉じゃないけど」
 胡坐をかくようでは成長は望めない。
「とても良い拳だった。僕自身にとっても、ね」
「手合わせ感謝する」
 差し出された牡丹の手を啓一は握手で応える。
 より高みへと至る為に。

●武家屋敷
 銀 真白(ka4128)と七葵(ka4740)の二人は武家屋敷へと足を運んでいた。
 先だって、十鳥城を巡る依頼での件でどうしても伝えなければならない事があるからだ。
「私らは代官殿の最後を看取った。最後の言葉や見た物を伝えられればと思っている」
 その時の状況を思い出しながら言った真白の言葉に、七葵は続けた。
「代官殿の縁者がいればその最後を伝えたい」
「畏まりました。ただ、すぐには難しいので、この屋敷でお待ちになって戴きたいと思います」
 二人を出迎えた希は深く一礼すると、部屋へと案内する。
 きっと、代官の想いは誰かに繋がる――そんな予感を真白と七葵は感じた。

●仮設広場
「事後の細かい事は、殆ど別の人達に任せてたし、ちょっと気になって……」
 少し寂しげな口調でシェルミア・クリスティア(ka5955)は牡丹に言った。
 十鳥城のその後や矢嗚文が何か遺した物が無いか確認したかったからだ。
「残念ながら僕もあまり詳しく分からないけど、十鳥城は蒼人が一時的に治めているみたいだよ」
「蒼人さんが……」
 武家四十八家門、第九位大轟寺家の当主であり、十鳥城を巡る一連の依頼で一緒になる事が多かった大轟寺蒼人の事だ。住民らによる一斉蜂起の指揮していた流れから妥当といえば妥当な人選だろう。
「それ以外なら、ノゾミちゃんに訊いてみる方が早いかもね」
 牡丹の言葉に後で武家屋敷を尋ねようとシェルミアは考えながら頷いた。
「私も征西部隊の人達との訓練に参加させてもらうね。あの人と約束……とは違うかもだけど、受け取れる物を全部受け取って、未来へ繋げたいって思ったから」
「そういう事なら、大歓迎さ! 他のハンター達と一緒に頼むよ。僕一人じゃどうしても殴り合っただけで終わっちゃうから」
 苦笑を浮かべながら牡丹が言う。
 彼女の視線の先は、兵士達を指導するハンターらに向けられていた。

「護るっていうなら判りやすいさ」
 兵士達に話しているのは龍崎・カズマ(ka0178)だった。
 長い遠征になるだろう彼らの心情をフォローする事も必要だと思って事だ。
「だが、その逆、攻めるとなると何のために、と言う理由を見失いやすい。部隊としての目的を共通認識しておく事は大切だ」
 カズマの言葉に兵士達はお互い顔を見合した。
 男女比率的には男性が多い様だが、女将軍が率いるからか女性の姿も見える。
「では、改めて、征西部隊の目的を確認しよう」

 兵士達が真剣な眼差しでカズマの話しを聞いている所とは別の所でもハンターによる訓練が行われていた。
「へへっ、訓練、鍛錬!」
 鼻をこすりながら岩井崎 旭(ka0234)が兵士達と混じって長柄武器を振りまわしていた。
 整列からの陣形、一斉に穂先を揃え、別の隊との連携を重視した訓練だ。そういった訓練は少人数で動く事の多いハンターではあまり行わない。
 旭は彼らと共に混ざってみて体で覚えようとしていた。
「兄ちゃん、動きがいいなぁ~。なんて名だ?」
 真横にいた中年の兵士が驚きの顔を浮かべていた。
「俺は旭だ。岩井崎旭。おっさんは?」
「ゲンタだ。今日はよろしくだ」
 中年の兵士が構えた手を、旭は力強くタッチした。

 陣形訓練だけではなく、より実践的な訓練も行われている。
 だが、打ち合う事に弱気になっている兵士もいるようだった。
 イッカク(ka5625)はそんな兵士達に気合いを入れ直してやろうと思った。ましな指導ができる程、彼自身も上品な生活を送ってきたわけではないつもりだ。
「金勘定もマトモに出来ねぇ様なクソ女が上でよぉ、お前ら下っ端は大変だなぁオイ!」
 ニヤリと口元を緩める鬼に兵士達の視線が集まる。
「どこぞで野垂れ死んじまう位だとならよ、ここで、俺に斬られちまった方が良いんじゃねぇか!」
「お、鬼の癖に、お、俺らを愚弄しやがって!」
 一人の青年が喰いついてきた。
 青年の後に続くように何人かも声を上げ、その勢いは広がっていく。
「やる気になったようだな!」
 悪党かと言わんばかりの表情でイッカクは訓練用の木刀を掲げた。

 近接戦の訓練が始まった。ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)は刀を正眼に構える。
「皆様が生き残る為に出来る事をやっておきたいです」
 相対した兵士も同様に刀を構えている。
「私から打ち込みますので、軌道をよく読んで、適切な防御ができるように訓練します」
 相手を倒す事も大切だが、自身を守るという術を知らなければ生き残れない。
 生き残る事ができなければ、敵を倒す機会は得られない。
 ユーリは手加減して打ち込むが、その太刀筋には実戦さながらの気迫に満ちていた。
「訓練だからと言って、油断は禁物です!」
 兵士達はその勢いに飲まれないよう、声をあげた。

「気合いだけは十分だが、冷静さも忘れるなよォ」
 シガレット=ウナギパイ(ka2884)が盾を兵士に渡しながら言った。
 受けの訓練を請け負う事にしていた。何かを護ると決め込んだ時の自身が強いと自負していたからだ。
 アタッカーとして依頼に参加し、小悪党をしばき倒したい気持ちもあるが、役割分担だと割り切っている。
「……それに、東方は攻めは強いが守りが犠牲になっている感じもするしなァ」
 彼のその感覚はあながち間違いではないかもしれない。
 事実、ハンター達の力が大きいとはいえ、長年守勢に回っていたのにも関わらず、攻めに転じ、獄炎を打ち破ったのだから。
「受け止めるだけが盾の役割じゃねぇ。相手の動きをよく見るんだぜェ」

 実戦的な訓練が行われている脇で、征西部隊の兵站を担当する兵士達にJ(ka3142)からの講義も行われていた。
「行軍開始と後に準備体操を行いましょう」
 長きに渡る遠征なのだ。
 行軍に関する助言や諸々を重視し、それらのアイデアを補給担当の彼らに伝えておけば、遠征の役に必ず立つはずである。
「これにより、ウォームアップとクールダウンを行うことで身体の疲労軽減、怪我防止を図れます」
 Jの言葉を一言も逃さないように兵士達はメモを必死に取る。
 長期に渡って遠征をするという事は直近ではほとんど無かった事も影響しているかもしれない。遠征に関するノウハウが足らないのではないかと感じた。
「隊を進める速度は一定、水分を適宜摂取し、脱水には注意です」
 実戦的な訓練の喧騒に混じって、筆を走らせる音が聞こえてきた。

●仮設広場
 女将軍こと、鳴月牡丹の周囲にもハンター達は集まっていた。
「ご無礼でなければ『牡丹様』とお呼びしても宜しいでしょうか?」
 自身を名乗ってから天・芙蓉(ka4826)はその様に尋ねた。
「僕の事は自由に呼んでいいよ。その方が、皆も楽だろうし」
 ニッコリと笑った牡丹の姿をリューリ・ハルマ(ka0502)は胸の痛みに耐えながら見つめていた。
(スタイル良い……そして、凄い! 何がって言わないけど、凄い!)
 大きいという言葉では足らない双丘に思わず生唾を飲み込んだ。
「五つ尾、以来かな? お久しぶり」
 爽やかなスマイルでアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が話しかけた。
 妖狐五つ尾との戦いは昨年の事だ。
「久しぶりだね。そして、どうやら、集まったのは女子会ではないみたいだね」
 応えた牡丹は全員を見渡す。
 どう見ても拳で語り合いたい感じの雰囲気である。
「考えてみれば、強いと噂の格闘士と闘う機会だからな。私の強欲がそうさせる」
 クリスティン・ガフ(ka1090)が牡丹を値踏みしながら言えば、アイビス・グラス(ka2477)は己の拳を握り締めながら口を開いた。
「願ってもない東方の格闘士との交流の機会。自分の力量を測るにはうってつけかな」
「良い機会なのかもしれません。一手ご教授願います」
 アイビスに続き、丁寧な物腰でブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812)が言った。
 ハンター達の言葉に牡丹は思わず不敵な笑みを浮かべる。
「そうだね。それじゃ、まずはお互いのスタイルを話し合って、午後から拳で始めようか」
 こうして、女子会(武闘)が始まったのであった。

●武家屋敷
 バーンと扉を開き、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)が堂々と現れた。胸元も威風堂々の動きだ。
「希さん! 仕事が大変だって聞いてお手伝いに来ちゃいました。任せてください私の力に!」
「あ……ルンルン様、実はもう、終わってまして」
 申し訳なさそうに頭を下げる希。
「えっ……もう終わっちゃった……それは良かったのです」
 少ししょぼんとしたルンルンの手を希は両手で掴んだ。
「せっかくですので、部隊の皆様と交流いただければ」
「なら、一杯、一杯応援しちゃいます!」
 ビシっと体を跳ねさせ――ついでいうと胸もビシっと揺れ――ルンルンはピースサインを作った。
「それなら、私も同席させて貰いますね」
 央崎 遥華(ka5644)が優しげな雰囲気を湛えながらやってきた。
 手には鞠を持っていた。
「たぶん、西へは初めてって人が多くいると思うので」
 確かに、東西の交流は大侵攻によって遮断されていた。
 一部では交流はあったかもしれない。だが、大部分の人にとっては未知なる世界にも等しい場合もある。
「それに、私、リアルブルー人で、クォーターでもあります。東方の雰囲気は懐かしさを覚えますし」
 遥華とルンルンは頷き合うと、屋敷の中庭へと目指した。
 きっと、素敵な交流ができるはずだから。

●仮設広場in星輝 Amhran(ka0724)&Uisca Amhran(ka0754
 太陽の陽がちょうど真上に差しかかる頃、仮設広場の一角ではテントが和風テイストの模様が描かれた張られていた。
 神像の如く――白龍様のぬいぐるみが置いてあり、その隣で半能面を付けた少女が踊っている。
 その背後には、でかでかと『B.Grossaの女子力UP講座』と幕に書かれていた。
「いらっしゃいませ♪ B.Grossaの女子力UP講座へようこそ!」
 露出が多いヒラヒラの巫女服姿のUiscaがニコっと笑って興味津々に訪れてた征西部隊の女性隊員に呼び掛ける。
「ようこそじゃぁ♪ 白龍と黒龍の巫女が色んなヒ☆ケ☆ツをご教授するのじゃ!」
 半能面を付けた少女――星輝――が華麗な舞を披露していた。
 そして、ピタっと動きを止め、能面を外す――。
「ほら、姉さまを見てください。実年齢は50歳を過ぎているのに、この若さ!」
 おぉぉと声があがる中、Uiscaは続ける。
「強いマテリアルを獲得できれば、マテリアルの活性化で、お肌もすべすべに」
「うむ! これでも数えで50はゆうに過ぎておるでな」
 証拠とばかりにハンターの証明書を掲げる。
「日頃の手入れは重要じゃぞ。牡丹殿と希や、ほれじっとして居れ?」
 客寄せに休憩時間を連れて来られた二人が椅子に座っている。
 希の生い立ちでは、お肌の手入れに疎いはずと星輝は思っていた。肌は女の命。ケアは欠かせない。
「それじゃ、始めるかのぅ」
「皆さん、これから牡丹さまとノゾミちゃんが西方の美容を体験します。ぜひとも、ご見学下さい」
 肩をポキポキと鳴らし星輝が準備に入る。
 Uiscaも露出際どく巫女服をヒラヒラさせながら、香油の香りが漂わせるランプを持って牡丹と希の周囲を歩いた。
「なんか、気分が落ち着く香だね」
「良い気持ちです……」
 二人が率直な感想を口にした。
 巫女二人による女子力アップ講座が開始され、征西部隊に参加する多くの女性兵士らが釘つけとなった。

●仮設広場inキヅカ・リク(ka0038
 巫女らによってすっかり癒された鳴月牡丹が女子会(武闘)の場所へと戻ろうとした時だ。一人の青年に呼び止められた。
「あ、どうも。キヅカ・リクって言います」
「西方のハンターだね。僕に用かな?」
 ボヨンと胸のそれを揺らしながら牡丹はキヅカに振り返った。
 キヅカは頷くと軽食を広げながら話し出した。相談しておきたかったのだ。『強い』という意味について。
「僕は守るために強く成らなきゃいけない。でも、その強いっていうことが、解らなくて」
 力だけではない強さ、何か解る事があるのかと、牡丹と話せば何か解決へと至るかと思ったのだ。
 青年の言葉に牡丹は真剣に聞き入っていた。相槌を打つ度に胸が揺れるが今はそこを気にしている場合ではない。
「……実は、僕も解らない。……僕は歪虚を根絶やしにするまで強さを求める。君がなにかを守る為に強くなれるのであれば……」
 そこで牡丹は一息ついて、赤い瞳を真っ直ぐキヅカへと向けた。
「君が証明してみせてよ。人は自分ではないなにかを守る為に強くなれると、ね」
 踵を返し歩き出した牡丹の背中をみつめながら、キヅカは拳を強く握った。

●仮設広場―訓練
「それでは、栄養面ですが……」
 兵站担当の兵士達へのJの講座は続いていた。
 今は長い遠征に耐えられるように食事や栄養に関する内容だ。
「筋肉の形成や疲労回復の肉類、活動の燃料となる穀物は主として欠かせません」
 さすがにまめしは浸透されている様子に見えないが穀物類であれば、玄米に似たものはあるはずだ。
「肉や穀物類だけでは、船乗りの壊血病と同様の症状が出る場合もあります。野菜類も忘れずに用意しましょう」
 と言っても生鮮品は難しい所があるはずだ。
「塩分の補給も必要なので、漬物も1つの手です」
 彼女の講義がまだまだ続くように、広場では実戦的な訓練が昼休憩を挟まずに続けられていた。
「多人数で同時に掛って来てもいいぜ」
 ヴァイスが大剣を振りまわしながら兵士らに言い放った。
 個々の能力は劣っている訳ではないのはすぐに解った。実戦慣れしているだろう。
 それでもヴァイスにすぐに一本取られてしまう兵士らの背中をイッカクがドンと叩いた。
「最後にモノいうのは感情だ」
 全力で当たっていけとばかりに発破をかける。
「よし、それなら、俺は兵士側に加勢するんだぜ!」
 旭がハルバートを構える。それに続くように兵士らが盾を構えて並んだ。シガレットが指導した兵士らだ。
 兵士らの補充がすぐに望めない遠征であれば、可能な限り戦闘不能者を減らす方が良い。それに仲間を守るという意識は集団を形成するのに大事な認識事項である。
「多少の無茶も今は回復させるから、全力でやっていいぜェ」
 今は訓練だ。
 回復の術を多くセットしてきたから、怪我する勢いで訓練に臨めという訳だ。生き残る為に。
「先程の訓練を思い出すのです。相手の太刀筋の動きをよく見て下さい」
 ユーリの言葉に刀を構えた兵士達は各々短く返事をした。
「ザブロウ、ジゴロ、イチガイ。我ら三侍、ユーリ嬢の教えで戦うなりぃぃ」
 暑っ苦しい三人組が雄叫びを上げながらヴァイスと対峙する。
 嬢とは……と思わず呆れながらユーリはバラエティパックを開いた。
 昼休憩を取らずにずっと訓練を続けてきたのだ。お腹も減る。
「これが終わったら、これから一杯どうだい?」
 ヴァイスが口元を緩めながら言った。
 お互い汗を流し合った仲だ。飲みで語り合えばより交流は深くなるだろう。
「……俺は指導の後はさっさと帰るぜ」
 ボソっと言ったイッカクに向かって青年の兵士が喰ってかかる。
「なんだ? 逃げるのか? チャンバラでは勝てても飲みでは勝てないから逃げるのか?」
「あん? なんだ、てめー、さっきからよぉ」
「てめーじゃねぇ、俺の名は瞬だ。覚えていやがれ、クソ鬼がぁ」
 売り言葉に買い言葉。
 イッカクは踵を返すのを止めて、どっしりと座りこんだ。
 この訓練が終わるのを見届け、そして、売られた喧嘩を買う為だ。飲みで負ける訳にはいかない。

 訓練を終え、ユーリが振舞いたバラエティパックを頬ぼりながらハンター達と兵士らは歓楽街へと繰り出した。
 小生意気な青年が鬼のハンターに無謀な勝負を挑んだり、暑苦しい三人の侍がユーリを囲って盛り上げたり、おっさん兵士がなにか語りだしたりと騒がしい。
「行軍中の拠点が、街になるかもって考えたら、名前つけるチャンスだぜ!」
 楽しそうに旭が言った言葉に、今から名前を決めるかと無駄に盛り上がる面々。
 その中で、カズマは『彼ら自身の遠征の目的』について兵士らに聞いていた内容を思い出していた。
「西方に到着したら、西方の歓楽街を紹介する」
 確かにカズマはそう言っていった。
 彼らは喜んだ表情をみせた。けれど、心底とは思えなかった。むしろ、それは――
(これから、死に逝くような者が見せる顔のようだ)
 士気も高い、訓練の内容も上場だ。だが、1つ、大きななにかを彼らは抱えているように思えた。

●仮設広場―模擬戦
 牡丹がスッと動く度に豊満なそれが揺れる。
「噂に違わぬご立派な物をお持ちで……」
 女性の身でありながら無類の強さを誇る女将軍に芙蓉は一目惚れしていた。
 だが、ゆっくりと眺めている暇は無かった。なぜなら、模擬戦は既に開始されていたからだ。
「間合いは確保させてもらいます」
 太刀を振るって牡丹の侵入を防ぐ――つもりだった。
 だが、振われた太刀を拳で弾き、牡丹が一気に迫る。気がつけば、芙蓉の端正な顔元に拳が突き付けられていた。
「もっともっと経験を積んで、また、僕に挑んで欲しいな」
 芙蓉と同じかそれ以上か、胸を揺らしながら牡丹は微笑を浮かべながら言った。

 次に対峙したのはブリュンヒルデだ。
 彼女は足を刀に見立て、斬り払い、突きを繰り出す。
「東方の『武の術理』は興味深く感じます、ね」
 間合いを図った上で、跳び蹴りを体を回しながら放ったブリュンヒルデ。
「女性らしい上に美人だね。男が黙ってなさそう」
 牡丹の率直な感想だったのだろうが、ブリュンヒルデにとってが触れられたくない所だった。しかも、真剣勝負中である。
「え? あ、そ、その、実は……」
「隙あり!」
 狼狽した所を狙われ、牡丹に一本取られてしまった。

「語るまでもないだろう」
 長大な刀を上段、蜻蛉で構えたクリスティン。
 見た目以上の間合いを誇る上に、彼女は牡丹の足元を積極的に狙い、体勢の観察に務める。
「女将軍の動き、見定めさせてもらう」
「良い動きだね」
 牡丹は感嘆していた。鋭い観察眼に、柔軟な身体の動き。そして、長大な刀を用いた攻防一体の戦術。
「まさか、僕のとっておきを使うとは思いもしなかったよ」
 牡丹がそう言った直後の事だった。
「ぐっ!」
 咄嗟にクリスティンは刀の柄で懐に飛び込んで来た牡丹を迎撃しようとした。だが、間に合わなかった。
 体内のマテリアルを操り、目にも止まらぬ速さで牡丹は数歩の距離を詰め、勝負が決したのだ。

 拳を握りしめ、アイビスが対峙する。
「私がやれる事が何か、見失いかけてるから、良い機会かな……」
 多くの疾影士は刀や剣で戦う中、アイビスは拳を獲物としていた。
 今回の戦いでなにか得られればと思う。
「謙遜する事はないよ。限られた状況下で最強を目指すなら、君なら、無二の存在になれると僕は感じるよ」
 数度の打ち合いの末、牡丹にアイビスは押し切られ敗北を喫した。
 だが、それは、この状況下における敗北であった。
「君が迷っているのは無二の存在になれる場所を見つけられないからのように見える」
「私がそんな存在になれる時が来たら、また戦ってくれるよね?」
 アイビスの問い掛けに牡丹は頷いた。

「リューリちゃん、よろしくね」
「うん。アルトちゃん。頑張ってきて」
 愛刀をリューリに預け、拳を握るアルト。
 怪我をして模擬戦に参加できないリューリの為に拳で戦う事を選んだ。
「なるほど。あの時よりも良い動きになってる」
 牡丹がそう言った。あの時とは五つ尾の時の事を指しているのであろう。
「行くよ」
 アルトと牡丹の打ち合いが始まった。
 蹴り主体で戦うアルトに対し、牡丹は拳での打撃主体で戦う。
「凄い、よ……」
 その攻防の様相にリューリが絶句した。
 アルトのしなやかな足捌きは無駄が無いし、相手の拳による攻撃を自身の手でいなす。
 軌道が変わる蹴り、膝蹴りからの連続した前蹴り。全身の荷重とマテリアルを操るからこそできる動きだろう。
「あんな闘い方もあるんだ……」
 じっくりと観察を続けるリューリは胸元の傷を無意識に抑えた。
 今すぐにでも動きたい衝動を抑える。その時、アルトの動きに変化があった。
「ここまで打ち込んでも届かない、のか」
 アルトの猛攻は続いていた。だが、どれも決定打にはなっていない。
 ザッと牡丹が間合いを取ったのを見てアルトは二戦前に見せたスキルを警戒する。
「覇ッ!」
 牡丹から放たれたのはマテリアルの衝撃波だった。
 直撃した訳では無かった。ギリギリで避けきると追撃に来た牡丹を迎撃すべく蹴りを繰り出す。
「あ……」
 先程の衝撃波が囮だったと気がついたのは、アルトが牡丹によって投げられた後だった。
 差し出された牡丹の手を取って立ち上がるアルト。
「とても良い模擬戦だったよ。でも、君は本気じゃなかった。勝負は持ち越しにさせてもらうよ」
 台詞の途中でリューリが持つ武器に視線を変えて牡丹は言った。
「こちらこそ、ありがとう。おかげで、リューリちゃんの役には立てたみたいだから」
 アルトも微笑を浮かべながら、親友に視線を向けた。

●未来を刻む刀
「……そうですか、父上は最後まで、代官としての役目を果たしたのですね」
 真白と七葵からの代官の最後の話しを聞き、一人の青年が静かに言った。代官の実の息子で、正秋という。
「代官さん……」
 幾度か代官と交流があったシェルミアとミィリアの言葉が重なった。
 少し沈黙が続いたが、希が話の流れを変えるようにシェルミアに向かって言う。
「牡丹様が入城後の事なのですが、お話しておきますね」
 ハンター達が城主を打ち破り、住民達の一斉蜂起の後、十鳥城は一時的に大轟寺蒼人が治めている。特に問題はないらしい。
 代官の息子は征西部隊への参加を希望し、今に至っている。
「拙者も矢鳴文様や父上のように強くなりたいです」
 代官の息子の決意は強いようだ。
「矢嗚文さんは色んな意味で強かったって、代官さんと飲み交わしながら語らいたかったでござる」
 ミィリアが優しげな表情で代官の息子に言った。
 確かに、どこか面影があるように見える。
「代官さんの分も背負い、未来の為に前へ進んで、この征西部隊、絶対に成功させてみせる!」
 どんと両手をついて、ミィリアは宣言した。
 災狐の事もあるが、矢嗚文や代官らが守った人々が住む、この東方の為になりたいからと思いながら。
「気合を入れて、いってきます! でござる!」
「私も、手伝える事があったら、出来る限りの事はするからね」
 ミィリアとシェルミアはお互いの顔を見合すと深く頷いた。
 死を覚悟して絶望を破り、真の勝利を手にした矢鳴文と代官のように、開かれた未来に新しい一歩を刻む為に。
「……だが、やはり目の前で命が失われる事は、重い……重いが、これも立ち会った縁である」
 複雑な心境が伝わってくる真白の表情は言葉通り重かった。
 その真白の手を代官の息子は手を重ねた。
「お伝え戴き、誠にありがとうございます。これで、悔いはまったくありません」
 重なった二人の手に七葵も手を重ねる。
「よし、ならば、この、七葵。西方に赴いた先達として、鍛錬の相手になろう」
 あの時、もっと早くあの場に駆けつけていれば代官の死を止められたのではないかと七葵は思っていた。しかし、悔いても時間が遡るわけではない。
 今は、昨日よりも今日を。今日よりも明日を。
 一人でも多くの人を救えるように、強くなる為に、前に、前に、進まねばならない時だ。
「ご鞭撻の程、よろしくお願いします」
 代官の息子は礼儀正しく頭を下げた。

●武家屋敷―中庭
「手鞠で……蹴鞠は難しそうですから、チームに分かれて投げ合いましょうか」
 遥華が庭で手鞠を持って兵士らに呼び掛けていた。
 そこにルンルンも一緒に混じって参加する。
「旅の時のちょっとしたニンジャの知恵を教えちゃいます! こういう遊びでも有効なのです!」
 彼女は先程からハンターとしての活動で得た事を兵士らに教えていたが、ここに来て、ついに、遠征中の遊び方、時間の潰し方まで教えるようになった。
「班分けもカードを使って決めちゃいます☆」
 カードを勢いよく取り出し掲げると、豊かな彼女の胸も同様に跳ねた。
 どこからか、「おぉぉ」と声が上がる。
 我先にカードを手にしようとする兵士らの群れにルンルンと、不幸にも近くにいた遥華も巻き込まれた。
 その様子をNonが楽しげに――いや、目を光らせて見つめている。
 異文化交流! こんな機会はまたとない!
「やだあなたちょっと素敵! 一緒に飲まない?」
 スッとお酒を掲げ、もう片方の手で投げキッス。
 勢いに呑まれたのか、幾人かの野郎共がNonを囲む。
 たちまち始まる酒盛り。
 そこに、手鞠が物凄いスピードで投げ込まれた。誤まって飛んできたらしい。こうなったら、もはや、チーム分けとか関係ない。手鞠の応酬が始まった。
「皆さん、楽しみ過ぎです」
 苦笑を浮かべながら言った遥華の台詞にNonが優しげな顔で応える。
「ここから先、大変な事も沢山あるでしょうけれど、今の楽しい気持ちを忘れなければ、きっと、無事に帰って来られるわぁ」
「私も応援します!」
 ルンルンがそう宣言しながらカードを天高く舞上げた。


 征西部隊の隊員との交流は大いに盛り上がった。
 ハンター達との過ごした時間は有意義なものとなり、征西部隊は満を持して出陣したのである。


 おしまい。


●拠の言葉
 小鳥遊 時雨(ka4921)は、希に会いに来ていた。
「ノゾミが決めたことなら、私からは特になし! ホープ目指して、ふぁいとー!」
 グッと、片手を勢いよく突き出した時雨。
「私は何だって応援するよん。言ったっしょ? 私も都合がつけば参戦するし!」
「時雨さん……」
「今度の遠征自体も無理しなくてもって気持ちも、しょーじきある、けど……“約束”したし……ね」
 微笑を浮かべた時雨に希は不安そうな顔をした。
「時雨さんも無理しないで、下さいね」
「……うん……なんていうか……私も私で頑張るから」
 そう、やるべき事は多い。
 彼女の時間は無限ではないのだから。
「だから……ノゾミも、ノゾミで、ノゾミらしく、で……!」
「私、らしく……?」
 時雨のありったけの笑顔を作って言った言葉を希は繰り返したのであった。

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MVP一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマka0178
  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭ka0234
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌスka0239

  • ヴァイス・エリダヌスka0364
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイka2884
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベルka3142
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白ka4128
  • 千寿の領主
    本多 七葵ka4740
  • 義惡の剣
    イッカクka5625

重体一覧

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • Beeの一族
    Non=Bee(ka1604
    ドワーフ|25才|男性|機導師
  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白(ka4128
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 千寿の領主
    本多 七葵(ka4740
    人間(紅)|20才|男性|舞刀士
  • 牡丹の羨望
    天・芙蓉(ka4826
    人間(紅)|22才|女性|舞刀士

  • 小鳥遊 時雨(ka4921
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 義惡の剣
    イッカク(ka5625
    鬼|26才|男性|舞刀士
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • ライジングファイター
    ブリュンヒルデ・ゲンドゥル(ka5812
    人間(紅)|18才|女性|格闘士
  • 符術剣士
    シェルミア・クリスティア(ka5955
    人間(蒼)|18才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/30 18:20:21
アイコン 相談卓
シガレット=ウナギパイ(ka2884
人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
アイコン ここが、僕の質問卓だ!
鳴月 牡丹(kz0180
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/04/28 06:55:06