シモフリ乳のパン~廃墟の集落~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/05 12:00
完成日
2016/05/13 18:09

みんなの思い出

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オープニング

 グラズヘイム王国・古都【アークエルス】東方の森に、かつてナガケと呼ばれる集落が存在した。
 集落で行われていた畜産は幻獣の獅子鷹『メニュヨール』によって崩壊させられる。家畜の仔攫いが激増したからだ。
 集落解散の憂き目に遭い、青年ガローア・ラグアは父親のマガンタと共に放浪の身となる。父が亡くなってからも根無し草な生き方をしてきたガローアだが、覚悟を決めた。ハンターの力を借りてメニュヨール退治に成功する。
 その後、ガローアは古都でドワーフの青年『ベッタ』と出会う。意気投合した二人は集落の復興に動きだす。
 二人はベッタの故郷に棲息していた幻獣『幻の青』を家畜として育てることにした。その味がリアルブルーの高級和牛霜降り肉を彷彿させたところから、『シモフリ』と呼称することとなる。
 シモフリ六頭はオークの樹木が並ぶ放牧場へと放たれた。樹木の上で暮らす生態と思われたが、危険がなければ地表で暮らすことがわかる。好物は木の実だが玉蜀黍の粒にも旺盛な食欲をみせた。
 他に乳牛一頭と鶏の雌鳥六羽も飼うことで、毎日新鮮な牛乳と鶏卵が手に入るようになった。
 荒れ地を畑として開墾しだした頃、紅の兎のような幻獣二体が出没。柵を壊されてしまう。それが過ぎ去ると雑魔の巨大蜂が飛来。雑魔蜂はハンターによって巣ごと退治された。
 森が紅葉に染まる秋、ある商人一家が集落に泊まった。シモフリ料理を味わった商人一家はいたく気に入ってくれる。シモフリ肉を市場へだす際には是非に声をかけてくれと約束を交わした。
 シモフリの仔が産まれ、やがて日が経つ。ある寒い日の早朝、以前に柵を壊して姿を消した赤い兎二羽が放牧場の片隅に倒れている。放ってはおけずに看病すると、二羽は元気を取り戻して二人に懐いた。
 賊が森で迷った一団を装って集落にやってきたときもある。滞在中のハンターの機転で正体を看破して事なきを得た。
 仔シモフリは順調に育つ。仔が乳離れをした頃にガローアとベッタは気づく。甘くてクセの少ないシモフリの乳を使えばおいしい加工食品ができるのではないかと。
 ハンターの協力もあってシモフリ乳を使ったチーズ、バター、ヨーグルトが完成。古都【アークエルス】での商売を考えるものの難題は山積していた。
 春が到来。小屋の玉蜀黍が熊に食べられてしまう。熊退治と玉蜀黍の粒蒔きが同時期に行われる。熊の危険は去り、そして農作業も無事に済んだのだった。


 仔シモフリ達は放牧場で順調に育つ。
 家畜の餌用として開墾した畑では撒いた粒が芽吹いている。各種の罠や、懐いた赤い兎二羽が畑に棲みついたことで野生動物に荒らされることもなくなるだろう。
 順風満帆のガローアとベッタだったが問題も残っていた。それは古都での乳製品販売である。
「タリアナさんからの手紙、預かってきたで」
 古都から集落の家へ戻ってきたベッタがガローアに一通の手紙を手渡す。タリアナとは以前に集落に泊まった商人一家の若い二代目だ。シモフリ肉を気に入ってくれた一人でもある。
 ガローアは一ヶ月ほど前に乳製品の販売について相談の手紙を送っていた。椅子に腰かけて早速読んでみると希望が記されている。
「タリアナさんが、ある空き家の大家さんを紹介してくれるって。家賃も格安にしてくれるそうだ」
「それ、どういうことや?」
「その空き家は以前にパン屋を営んでいたって。調理道具や棚とかがそのままらしいよ。ああ、これを先にいわないといけなかったね。乳製品をただ売るんじゃなくて、パンにして売ったほうがいいんじゃないかって書かれてある」
 手紙にはタリアナの出資についても言及されていた。それに経理として一人、世話してくれるという。
「なるほどやが……それってパン屋職人を自前で探さなあかんってことやな」
「それぐらいは頑張ろう。パン職人を目指そうとしている人ならそれなりにいると思うんだ」
 二人は古都へ行く度にパン職人の希望者を探す。そして二人を見つけだした。
「よ、よろすく、いえ、よろしく、お願いしますっ」
 セリナは引っ込み思案な十五歳の娘である。
「あたいに任せておきな!」
 逆にチナサは自信家な十四歳の娘だ。
「金勘定についてはわたくしに任せて頂ければ大丈夫です。ただパン作りについてはまったくの素人ですので期待しないでください」
 タリアナから派遣されたマリーシュは妙齢の女性であった。
 最後まで面倒を見たかったが、このままでは集落の仕事が疎かになってしまう。そこでガローアはハンターに開店までの応援を頼むのだった。

リプレイ本文


 転移門で古都を訪れたハンター一行は、その足で店の予定地へと向かう。するとガローアと女性三人の姿があった。
「ベッタは集落での世話が忙しくてね。この人達が――」
 ガローアがハンター達にパン屋を任せる三人を紹介した。パン職人のセリナとチナサ、そして会計兼店長のマリーシュである。
 ハンター側の自己紹介も終わったところで、さっそく掃除や改装が行われた。
「窓を開けてから箒で掃きますね」
 カティス・ノート(ka2486)が窓を開け放つと店内に陽光が射し込む。
「食品を売るならキッチリ綺麗に、細かい部分まで掃除しないとね」
 リューリ・ハルマ(ka0502)は口元を布で覆うとハタキを手にした。腕を伸ばして棚の上を叩くと白煙のような埃が舞う。
「試食なら任せて下さい。野草から食せる雑魔まで、色々と食して来ましたので。その前に掃除でお腹を空かせておくのもよいでしょう」
「それは頼もしいです」
 ガローアから箒を受け取った最上 風(ka0891)が外にでた。玄関先から掃き始めて、店の周囲をぐるりと一周する。
「水はどこですか?」
「ちゅ、厨房内に井戸があります」
 ミオレスカ(ka3496)とセリナは井戸から桶に水を汲んだ。大まかにゴミや埃が取り除かれたところで雑巾を濡らして水拭きする。チナサとマリーシュもそれを手伝った。
 マリィア・バルデス(ka5848)とザレム・アズール(ka0878)は傷んだ建物の修理から取りかかった。
「ザレム、悪いけどこの棚支えてくれる? 一人で支えながら釘打つのは効率悪いのよ」
「これでいいか。さっきジェットブーツで飛んでみたんだが、屋根の一部が壊れていたぞ」
 店内改装は修理が終わってからである。マリィアとザレムは一つずつこなしていく。
 掃除の大半は初日で終わった。その後は近所の食堂で夕食を頂きながら話し合う。こうして今後の方針等が決まっていく。
 まずは最上風の初案から全員で相談し、屋号は『パン屋シモフリ堂』と名づけられる。
 ガローアが「古都には何軒もパン屋があるからね。それらに食い込むのは大変だ」と呟く。
 ザレムは「シェアに食い込むには売りが要るんだ。さっき話した幻のシモフリミルクのパンもその一つだ」と意気込んだ。
「毎日食べるからこそ、どんなに美味しくても高すぎると手が出なくなっちゃうと思うのよ。その辺はマリーシュさんが原価計算してくれると思うけど」
 マリィアは朝昼晩とバイクで走り回り、競合店に探りをいれるつもりである。
「次に来るときには開店用の食材をたくさん積んでくるからね」
 翌朝、ガローアは一同に後のことを任せて森のナガケ集落へ帰っていくのだった。


 二日目、マリィアが競合店から買ってきたパンの味を全員で確かめた。
「この店は結構繁盛していたわね」
 マリィアが手にしたのは近場のパン屋『マイルディ』のクロワッサンだ。牧場経営の親戚がいるらしく、新鮮な牛乳やチーズ等の使用を売り文句にしていた。
「この店の状況とよく似ています」
「牛とシモフリの違いだけですね」
 カティスとミオレスカもそのクロワッサンを味わう。バターがふんだんに使われた味は素晴らしかった。
「普通なら太刀打ちは難しいけど、シモフリ乳を使ったパンなら越えられるはずだよね」
 リューリがチーズパンを千切って口の中へと放り込む。
「風は思いました、食事用のパンを味見するなら、実際にパン以外の食事も必要だと!」
「いわれてみればもっともですね」
 最上風の提案にマリーシュがくいっと眼鏡をあげながら賛同してくれる。
「スープ料理と、肉料理と、魚料理とサラダをお願いします! 新作パンのために!」
「お、落ち着いて。明日には何とかするから!」
 迫る最上風からマリーシュが壁に張りつくまで後ずさった。
「そういえば、ガローアさんが機導術式冷蔵庫付きの馬車なら何とかなるっていってたぞ。店用のも手配中だといっていたし。そうなれば夏場でも安心して新鮮なシモフリ乳を提供できるな」
 ザレムは夏に向けてアイスクリームが提供できればと考えていた。開店当初には間に合いそうもないが、それでも期待は膨らむ。
「お、美味しいんですけど」
 マイルディのパンを食べたセリナが涙目になる。
「ダメよ。これ以上のパンを焼くのがあたいたちの仕事でしょ」
 そんなセリナをチナサは励ますのだった。


 競合店の手の内がわかったところでパンの試作が本格化する。ハンターが持ち寄ったレシピを参考にしてセリナとチナサがパンを焼いていく。
「ヨーグルトパンはどうかな? シンプルだけど普通にパン生地を作る材料にヨーグルトを足すとふわふわのパンが出来るんだよ。簡単でオススメ!」
 リューリが調理台に置いた壺の中身はヨーグルトである。
「がんばろー!」
「は、はい!」
 チナサとセリナが張り切って小麦粉を練り始めた。乳製品はすべてシモフリ由来のものばかり。リューリも手伝って発酵、二次発酵させてから石釜で焼きあげる。
「風、スープを温め直します」
 いつの間にか最上風も現れて試食の時間と相成った。
「想像以上の味ね。角切りのチーズを入れてチーズパンはどうかな? シモフリのお肉の角切りを入れても美味しいかも? お肉は今回難しいけど。それにサンドイッチとかホットサンドも良いかも?」
「味は申し分ありません。ただ外見のインパクトは重要なので、シモフリ型のパンを作るとかどうですかー?」
 リューリと最上風の意見を採り入れた上でもう一度作る。砂糖を多めにしたヨーグルトパンをまん丸な形に。さらにレーズンで目と鼻をつけてから焼きあげた。
 こうして子供向けのシモフリヨーグルトパンが完成する。
「あ! あと、バター多めに使ったクロワッサンも美味しいよね」
 チーズパンやホットサンドを食べていたリューリが思いだす。真っ向勝負を挑むためにクロワッサンは欠かせなかった。
 後日、四人で事務室のマリーシュのところへクロワッサンを持っていく。
「マイルディのクロワッサンよりも、こちらの方が絶対に美味しいです」
 マリーシュの感想にセリナとチナサが笑みを零す。リューリと最上風はよかったと呟いたのだった。


 別の日にはミオレスカがセリナとチナサとパンの試作を手伝った。
「定番のパンは毎日作ることになりますから、分量の配分や、発酵時間を吟味しましょう」
 ミオレスカは砂時計を用意して作業時間を細かく計る。季節によって変わるが、最初に基準を探った。
「まずはシモフリの乳パン。あとはやはりバターパンですね。香りが漂いやすいように、外寄りに小さなバターを巻き込むと良いと思います」
 ミオレスカが焼きたてパンを試食。料理と一緒に最上風も現れる。
「食事用のパンなら、メインは他の料理などで、あまり主張しない味で、良いかもしれませんねー」
 最上風はシモフリ乳パンを高く評価した。単体でこれより美味しいパンはある。しかし肉料理と合わせるのならこれが一番だと。
「バターパンはサンド用が、よさそうかなって」
「あたいもそう思ったよ」
 セリナとチナサはバターパンに薄切りハムを挟んで食べてみた。ミオレスカも頂いたところ、かなりマッチした味である。
「もう少しだけバター風味を強めたほうがよさそうです」
 ミオレスカの意見を採り入れてもう一度焼いてみる。
「パンを捏ねるのは大変ですけど、慣れてくれば……」
 ミオレスカも一緒になって小麦粉を捏ねた。試行錯誤を繰り返し、バターパンはサンド用として満足な仕上がりとなる。
「今度は何を挟んでみま……もう五個目でした」
 ついつい、たくさん試食してしまうミオレスカであった。


「集落でシモフリ乳のチーズやヨーグルトを作ったことがあるんです。まずチーズやヨーグルトをパンの生地と一緒に、よく混ぜ込んで焼きます。量は一対一の分量で。ドライフルーツを使ってバリエーションを増やすのもよいでしょう」
 まずはカティスがお手本を示す。
「こんな感じですか?」
 その通りにセリナが食材を混ぜていく。発酵を妨げるドライフルーツは最後に外側へと塗して押し込んだ。
 同時に作る二つ目のパン担当はチナサである。
「生地を袋状にしてください。こんな感じです」
「これを入れるんだな」
 カティスの言うとおりにチナサがクリームチーズを詰めて生地を閉じた。
「こうしないと爆発することもあるんです」
 ナイフを手にしたカティスが蒸気を逃がすための工夫として生地に切れ込みを入れる。
「このパン、パンズ……そ、そうです!」
 カティスはシモフリ肉の炒め物を挟んでハンバーガーにするのを思いつく。しかし食材がなく、普通の牛肉で試してみることに。
 試食になると最上風の姿が。名が示すように風の如く現れた。
「ど、どうでしょうか? えと。味は……大丈夫だと思うのですけれども」
 カティスが心配そうに最上風の試食を見守る。
「程よい酸味がとてもよいのです。もう一個いいですか?」
 最上風の笑顔を見てカティスも自ら試食。セリナとチナサも口にした。どのパンも美味しく、小腹を満たすのにちょうどよかった。最上風が淹れた紅茶がとても合う。
 特製ハンバーガーも酸味がきいたパンズのおかげか仲間達からも好評を博す。
「シモフリ肉のハンバーガー、食べてみたいですね」
「冷蔵庫が設置されたらなんとかなると思うのですね」
 ミオレスカとカティスはシモフリバーガーの味に思いを馳せるのだった。


「マリィアはどう考えているんだ?」
 ザレムはマリィアの改装作業を手伝いながらパンを話題にする。
「毎朝七時に焼き立てバゲット、バタール、ブールは外せないわね。クロワッサンとパン・ドゥ・ミも愛好者がでると思うわ。十六時からも夕食用に同じように焼いて、十時~十六時がみんなの考えたパンをだすのが適当な時間じゃないかと思うわ」
 どのパン屋も朝食夕食の品揃えはとても似ていた。そうマリィアはいう。
「俺も食パンやバゲットは必要だと考えていた。仲間が作ったようにミルクパンもいいだろう。ただどんなものでも売りが必要だ。天然酵母や石窯パンといった部分を看板では強調してくれないか?」
「それも必要よね。わかったわ。そうそう、昼にはホットドッグとか惣菜パンも捨てがたいわね」
 マリィアの手伝いが終わった後、ザレムはセリナ、チナサと一緒にパンを焼いた。
 食事パンはシモフリの乳製品を使うとよい感じに仕上がる。リゼリオで手に入れた選りすぐり天然酵母をパンの種とした。元々店に設置されていたのは石釜なので問題はない。看板に偽りなしである。
「特に俺が推すのはこれだ」
 ザレムがセリナとチナサに見せたレシピは『オークの実入りのカンパーニュ』だった。ナガケ集落のオークの木で採れる木の実を使う。
「シモフリも大好きな実……アク抜けば美味いんだよ。炒って珈琲にも出来るから、店でもだせばよい」
 ザレムが下拵えを済ませてある。
「この味、好きです」
「いいね、これ!」
 オークの実で作ってみると素朴ながら新しい味のパンに仕上がった。
 オーク珈琲は甘くて風味がよい。コーヒーフレッシュに使うのはシモフリ乳。パンの端切れはラスクにすればよい。
 マリィアが店内飲食用に用意した卓で試食してみる。
「これは試食係の風の出番です」
 そういいながら現れた最上風が早速味わう。においに誘われてマリーシュもやってくるのだった。



 晴れた日、マリィアは野外で看板を描いた。刷毛に油性の絵の具を染みこませて板の上で滑らせていく。
「差し入れだ」
 陽が高くなった頃、ザレムが昼食を持ってきてくれる。石階段を椅子にして、二人でホットドックを囓った。
「よいソーセージが手に入ったようね」
 一口味わったマリィアがコクリと頷く。
「シモフリ肉のソーセージが使える日も近いだろうさ」
 ザレムが差しだした飲み物はオーク珈琲。受け取ったマリィアが飲んで「おいしい」と呟いた。
 書きかけの屋号用の大きな看板をザレムがじっと見つめる。
「どのパンも焼きたてな感じがよくでているな」
「あら、誉めてくれるのね。道沿いの小さな看板ならもう設置済みよ」
 店内の改装も終わっていた。道沿いの窓から店内の陳列棚が見えるように工夫が凝らされている。
 二人が話していると、店前を通りすがろうとしていた女性達の声が耳に届いた。
「パン屋シモフリ堂。またここ、パン屋をやるみたい。今度は大丈夫なのかしら?」
「でもこの絵のパン、とても美味しそうよ」
 足を止めて小看板を眺めている女性達にザレムが近づく。
「準備中の店の者です。こちら試食してみますか? まだ手をつけていませんので」
 驚きつつもホットドックを試食した女性達はとても喜んでくれる。
「いい前宣伝になったかもね」
「だといいんだが」
 マリィアは戻ってきたザレムに自分のホットドック半分に千切って手渡すのだった。


 開店前日、ガローアが新鮮なシモフリ乳と乳製品を載せた馬車でやってくる。
 馬車には冷蔵庫が搭載されていて牛乳の新鮮さが保たれていた。開店初日には間に合わないものの、店内にも冷蔵庫が設置される予定である。
「これはいい感じだね」
 ガローアが感嘆の声をあげた。綺麗になった店内。そして外に飾られている看板も素晴らしかったからだ。汚れていた空き店舗を想像させるものは何一つ残っていなかった。
 夜明け前からパンを焼いた。最初に石釜からだしたパンは朝食として頂く。マリーシュが用意したシチューと肉料理、更にオーク珈琲付きで。
「作ってみたんだが、どうだろう?」
 ザレムが手にしていた鍋の中身はシモフリ乳のミルクジャムである。
「朝食にぴったりだね」
「私もそう思う」
 リューリとマリィアがパンにつけて頬張った。ミルクジャムも小瓶に分けて売りだされる。
「何とか間に合いました」
 珍しく試食に遅れてきた最上風は沢山の札を抱えていた。パンに合う料理等が書かれた商品説明の札であった。
「これは、ここでいいんですよね?」
 朝食が終わり、カティスが焼きたてのパンが乗ったトレイを棚へと並べる。一緒に札を並べるのも忘れない。
「ガローアさん、シモフリのお肉はどうなっています?」
「想像したよりも、早く育っているから夏頃には最初の出荷ができそうかな。雌はもう次の仔を宿しているみたいだし」
 ミオレスカの問いにガローアが上機嫌で答えた。パン屋で使う分のシモフリ肉は問題ない。但し、食肉としての流通はまだかかりそうである。

 パンの焼けるにおいに誘われたのか、夜明け前から店前には行列ができていた。初日は引っ切りなしで客が訪れる。パンを焼き続けても足りないぐらいに忙しかった。
 それから数日間後、ハンター一行はお土産のパンをもらって帰路に就く。その後も充分な客入りが続いたパン屋シモフリ堂であった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師

  • 最上 風(ka0891
    人間(蒼)|10才|女性|聖導士
  • ティーマイスター
    カティス・フィルム(ka2486
    人間(紅)|12才|女性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 開店準備!
リューリ・ハルマ(ka0502
エルフ|20才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/05/05 10:38:06
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/04 19:07:44