• 春郷祭1016

【春郷祭】遊ぶ少年たち

マスター:大林さゆる

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~7人
サポート
0~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/15 07:30
完成日
2016/05/21 19:38

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 自由都市同盟。
 農耕推進地域ジェオルジ近辺、とある小さな村。
 しばらく一人旅をしていたラキ(kz0002)は、祭りで賑わう人々の様子を見ながら、広場へと続く通りを歩いていた。
「なんだか、こういう雰囲気、久し振りね」
 出店に並ぶ子供たち、売り買いに懸命な商人たち、音楽隊が奏でる音色。
 活気に満ちた村の風景に、ラキの心は自然とワクワクしていた。
 ふと、野菜売りの店主が声を荒げた。
「こらあ、イタズラ小僧、また来たな」
 数人の少年たちは野菜を盗み取ると、ラキに向かって投げ飛ばす。
「え、なんなの、いきなり」
 とっさに回避するラキ。
 少年たちはフードを深く被り、布の服を着ていたが、割と素早い動きで逃げていった。
 突然のことで驚きながらも、ラキは地面に落ちた野菜を拾い上げて、店主に手渡した。
「大丈夫ですか?」
「なに、子供のイタズラだ。気にするな。祭りが楽しくて、はっちゃけてるだけだろうよ」
 店主はやれやれと思いつつも、ラキに礼を言う。
「ありがとよ、嬢ちゃん。ここに来るのは初めてかい?」
「はい、噂では聞いていたけど、実際に祭りを見たくて来ちゃいました」
 ラキが楽しそうに笑う。
 店主は何かを思い出したように目を見開いた。
「おっ、そういや、去年の秋に参加していたマクシミリアン・ヴァイスって男も来てるみたいだぜ。相変わらずツンツン顔だが、根は良いヤツだから、良かったら誘ってやりなよ」
「マクシミリアンか……確か訓練場にいたハンターだったよね」
 ラキは、以前から気になることがあり、ぜひとも彼に会って、どういうことなのか確かめたいことがあった。



 一方、路地裏では。
「マクシミリアンさん、警備の闘狩人たちが『ソウルトーチ』を使っても、反応が無い少年たちがいるっす」
 水本 壮(みずもと・そう)は、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)と同行して祭りに参加していた。
「スコットの予想通りだったな。この村には『鉄の人形』が紛れ込んでいる可能性がある」
 魔術師協会に所属するスコットに頼まれて、マクシミリアンたちは村の中を調べていたのだ。
「どうしたら、少年たちを誘き寄せることができるっすかねー」
 壮が欠伸をしながら言うと、マクシミリアンは壮の腕を掴んだ。
「な、なんのつもりっすか?」
「こうするまでだ」
 マクシミリアンは有無も言わせぬ勢いで、壮を路地裏から通りへと突き出した。
「どういうつもりっすか?」
 首を傾げる壮。
 気が付けば、少年たちに囲まれていた。
「なんだ、おまえらは。俺になんか用か?」
 少年たちは不敵な笑みを浮かべると、壮に狙いを定めて芋を投げつけた。
「いってーな。なにしやがる!」
 さすがの壮も、怒り心頭。芋は全て壮の顔に命中した。
「あなた達、またイタズラしてるの?」
 ラキが騒動に気が付いて、近寄ってきた。
 少年たちはマクシミリアンの姿を見ると、その場から逃走した。
「……やはりな」
 路地裏から出てきたマクシミリアンは、納得したように呟いた。
「何が『やはりな』っすか。俺が何したって言うんだよ」
 壮は子供のようにマクシミリアンの背中を何度も叩いていた。
「おまえは何もしていない。あの少年たちが、水本を引っかけようとしているらしい」
「そんなこと、誰が言ったっすか」
 壮が地団駄を踏むが、マクシミリアンは全く気にしていなかった。
「あの、もしかして、マクシミリアン?」
 ラキが戸惑いながら声をかけると、壮は我に返り、身形を整えながら言った。
「お見苦しいところを見せて申し訳ない。俺は水本 壮。それで、隣にいるのがマクシミリアン・ヴァイスだ」
「あたしはラキ。……マクシミリアン、会いたかったよ。ずっと聞きたいことがあって」
 ラキは頬を染めながら、マクシミリアンに近付く。
「なんだ?」
「……えっとね……以前から気になることがあって」
 照れ笑いのラキ。
「なんすか……このムードは……まさか、まさか……」
 壮の脳裏にリアルブルーにいた頃……中学時代の思い出が蘇る。
 自分の目の前で、好きだった少女が、別のクラスメイト男子に告白している場面を……。
「こっちの世界でもなのかー」
 項垂れる壮。
 ラキは今まで胸に秘めていたことをマクシミリアンに告げた。
「あのね、訓練場にペット受付の窓口があるけど、どうしてなのかな?」
 興味津々に目を輝かせるラキ。
 マクシミリアンは淡々と応えた。
「訓練場の近辺にはペット専用の施設がある。動物の力を借りて発動するスキルもあるからな。そうしたスキルは相棒の動物を連れてスキルを修得するハンターもいる」
「そういうことだったんだね。言われてみれば、馬に騎乗して使うスキルとかあるよね」
 ラキがそう言った後、悲鳴が聴こえてきた。
「キャー! 私の猫ちゃんがーっ!」
「俺の大切な犬がぁぁぁぁーっ!」
 叫び声があった方角に向うと、猫や犬の顔に落書きをしている少年たちがいた。
 マクシミリアンたちが駆け寄ると、少年たちはすぐさま逃げ出した。
 飼い主たちはペットを抱えると、自宅に引きこもってしまった。
「イタズラにしては、やり過ぎじゃないの!」
 ラキが怒る。飼い主たちにとっては大切なペットたち。
 そのペットたちにイタズラをして楽しむなど、言語道断だ。
「あの少年たちを野放しにしていたら、さらに行為は酷くなっていくだろうな」
 マクシミリアンがそう言うと、ラキは拳を握り締めた。
「だとしたら許せないよ」
「そうだな。相手は嫉妬の歪虚だ。遠慮はいらない」
 当然のように言い切るマクシミリアン。
「あの子たち、歪虚なの?! だったら尚更、捕まえないと」
 ラキの言葉に、マクシミリアンが頷く。
「まだ村人たちは少年たちの正体に気付いていない。歪虚だと分かれば混乱するだろう」
「そうだね。だけど、村長さんには話しておこうよ」
 ラキの提案に、マクシミリアンも異論はなかった。
 魔術師協会広報室も陰ながら村の警護を支援していたが、嫉妬の歪虚を退治するため、さらにハンターを募集することにした。

リプレイ本文

 もこもこ飯の屋台で、ご飯を試食していた玉兎 小夜(ka6009)は、逃走する少年たちを見つけて、事の次第を知った。
「せっかくの祭りなのに、邪魔者が入ったみたいだねー」
 小夜は「ごちそうさま」と言うと、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)の後を追って、村長の屋敷へと向った。
 騒ぎを聞き付け、鞍馬 真(ka5819)も出店の菓子を片手に持ち、歩き出した。
「皆が祭りを楽しんでいるというのに、誰であろうと許し難いな」
 真が菓子を食べ終わった頃には、村長宅に辿り着いた。
 門の前にいたラキ(kz0002)が手招きしている。
「ここだよ。まずは準備から始めよう」
 部屋の中に案内されると、すでにマリィア・バルデス(ka5848)が何やら作業をしていた。
「これでよしっと。簡易的なものだけど、村長から布切れを貰って作ってみたわ」
 マリィアは人数分の腕章を作り、『自警団手伝い』と手書きした。
 村にも自警団はいたが、一般人の男性ばかりだった。ハンターが手伝ってくれるなら頼もしいと村長も賛成してくれたのだ。
「今回の歪虚は動物も狙ってるらしいよね。だったら、遠慮はしないよ!」
 Honor=Unschuld(ka6274)にとっても、動物は大切な存在だった。
「アナ、興奮し過ぎて、皆さんにご迷惑をかけないように」
 月影 葵(ka6275)はHonorを「アナ」と呼び、会釈した。
「ふぇぇ、ごめんなさい。ここは冷静にならないとね」
 アナは葵に言われて、皆にお辞儀をした。
「ボクは北側を廻るね」
「なら、私も北へ行くわ」
 アルスレーテ・フュラー(ka6148)はさっさと鉄の人形を退治して、祭りを楽しみたかった。
「虎猫を連れてきたわ。これで引っかかってくれると良いけど」
 と言いつつ、出店に並ぶ料理を想像するアルスレーテ。
「水本様、鉄の人形に狙われる心当たりはありますか?」
 レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は、水本 壮(みずもと・そう)が嫉妬の念により狙われているのではと推測していたが、壮は全く気付いていなかった。
「俺には、さっぱり分からないっす」
 壮に自覚がなくても、嫉妬の感情が鉄の人形を誘き寄せている可能性は十分にある。かと言って、それだけが理由ではないだろう。
 多かれ少なかれ『ヒト』には感情があるからだ。
(……何故、水本様が?)
 壮の心に隠された何かを、レイは感じ取っていた。
 それはまだ嫉妬に秘められた不可視なもの……見えない思念であることは確かだ。
 だが、それ故、レイは深く追求することはしなかった。
「それでは、私は東側に廻り、南にある空き地まで鉄の人形たちを追い込むように動いてみます」
 レイは祭りに配慮して、ハルバード「ヒュペリオン」を布で巻き、背に掛けた。
 マリィアも東に行くことにして、皆に手作りの腕章を一つずつ渡した。
「歪虚と言っても、傍目からすれば少年を追いかける訳だから、少しでも不安材料は減らしておきたいしね」
 そのための腕章でもあるが、依頼が終わったら村長に返すことになった。
 葵は丁寧に受け取った。
「私は腕章を付けて、東側から見回りをしてみます」
 アナは葵に腕章を付けてもらい、思わずニッコリ。
「西側は、私と水本、それから小夜さんに来てもらえると助かる」
 真はペットを連れていなかったため、小夜が兎を同行させて、敵を引き付けるつもりでいた。
「任せて。西に着いたら、すぐに作戦開始だね」
 こうして、ハンターたちの『イタズラ少年、捕獲作戦』が始まった。
 葵の提案で、ラキは西側、マクシミリアンとスコットは北側を警備することになった。



 東の通りにて。
 葵は腕章を付けて、定期的にトランシーバーで仲間と連絡を取り合いながら見回りをしていたこともあり、村人たちから「助かるよ」などと声をかけられた。
(これもマリィアさんが作ってくれた腕章のおかげですね)
 周辺の様子を見ながら、葵はグレイハウンドとスターリングシルバーを連れて通りを歩いていた。
 物陰から少年が姿を現し、葵のグレイハウンドに接近して落書きの体勢を取った。
「申し訳ありませんが、そうはさせませんよ」
 葵は愛犬を庇うように、少年の前に立ちはだかった。
 とっさにレイが村人たちに注意を促す。
「只今、少年たちが動物を見つけると『この世のものとは思えないほどの落書きをする』という、イベントが発生しました。犬や猫、小動物を飼っておられる方は、御自宅にお隠れになってください」
 レイの機転により、ペットを連れている者たちがすぐさま自宅へと入り、窓から様子を窺っていた。
 これで経路が確保できた。
 マリィアは『直感視』を使い、犬を連れて南の空地へと続く道を歩いていた。
「来たわね」
 少年一人が野菜を投げつけてきた。
 回避することは簡単だったが、マリィアは少しイラついていた。
「村の中で野菜を銃で撃ち落とす訳にもいかないし、地味にムカつくわね」
 発砲すれば事件だと思われ、村人たちがパニック状態になる可能性が高い。
 マリィアは愛犬たちに野菜が当たらないように注意しながら、ゆっくりと南へと少年を誘導していく。
 レイはパルムと狛犬を連れていたが、少年の狙いは狛犬だけだったようだ。
 パルムがレイの肩に乗り、狛犬が走り出すと、少年は芋を投げ飛ばしてきた。
 布で包んだハルバード「ヒュペリオン」で受け流すレイ。
 少年は遊び相手が見つかり、うれしそうに南へと駆け出した。


 北側では。
「ほらほら、私を捕まえてごらんなさい」
 道化師の仮面を付けたアルスレーテは、虎猫二匹を抱えて、人混みの中をすり抜けていく。
 村の子供たちが楽しそうに付いて来るが、肝心の少年が現れない。
 アルスレーテは立ち止り、ゆっくりと座り込んだ。
「……人がたくさん……ふぅ…どこにいるのかしら?」
 どうにも人が多い場所は苦手であったが、アルスレーテは村の子供たち一人一人に握手。
 少し離れた場所から犬の鳴き声が聴こえてきた。
 アナが連れていたダックスフンドが吠えていたのだ。
「ボクのインコ、返してよ!」
 大事なインコを奪われて、アナが怒ると、少年はインコを手放した。
「大丈夫? 痛くない?」
 アナはインコを優しく撫でると、犬を連れて南へと走り出した。
「こっちまで、おいでー」
 目的地に誘導するため、アナは少年と付かず離れずの距離から叫んだ。
 虎猫を抱えたアルスレーテも、ふらふらと歩き出した。
「かわいい猫がいるわよ。いらっしゃい」
 少年は動物たちに釣られて、南へと向った。


 一方、西の通りでは、壮がいたせいか、少年は野菜を投げまくっていた。
「だから、なんで俺ばっかりー」
 壮は自分でも何故、狙われるのか見当がつかなかった。
「かもーん、月兎、因幡!」
 小夜の呼び掛けに、うさうさ隊の配下である兎二匹が姿を現した。
 少年は兎に気付き、警戒しながら小夜に近付いていく。
 小夜は小柄な因幡を抱っこして、月兎は足元で丸くなっていた。
 兎たちの鼻がヒクヒク。
 背中の柔らかなラインを撫でる小夜。
 うさうさ、うさうさ。
 その仕草に刺激されて、少年は小夜の後を追いかける。
「ふっ、ちょろいな」
 南へと向う小夜を見送り、真はトランシーバーで仲間と連絡を取った。
「私もこれから南へ行く。空き地に着いたら、戦闘開始になりそうだな」
『ボクも、南へ向ってる途中だよ。手筈通りにいくといいね』
 応答したのは、アナだ。
「では、行くとしよう」
 イタズラ少年を追いかけて、真は南へと駆けていく。
 その姿は、至って鬼ゴッコをしているようであった。



 南の空き地に辿り着き、動物たちはハンターたちから離れた場所で待機していた。
「まんまと引っかかったな、まあ、無理もない。兎が最強だと思い知らせてしまったな」
 小夜は『一之太刀』で攻撃体勢に入った。盈月は思うように発動しなかったが、通常攻撃で斬り付けることができた。
「動物たちにイタズラするなんて、それだけは絶対にやっちゃいけないんだ!」
 アナは『瞬脚』を発動させ、聖機剣「タンホイザー」で鉄の人形に攻撃をしかけた。
「せっかくの楽しい一時を邪魔するとは、不届きだな」
 真は後衛から短弓「ファルコン」で矢を放つ。鉄の人形一体に命中して、肩に突き刺さった。
 覚醒した葵の全身が青いオーラに包まれる。
「歪虚ならば、相手にとって不足はありません」
 葵は刀「紅丸」による『円舞』からの攻撃を繰り出し、人形一体の胴部を切り裂く。
 続いて、アルスレーテが鉄扇「北斗」で人形に触れ『鎧徹し』を発動。鎧の防御を無視した打撃により、人形の左腕が砕け散る。
「嫉妬の歪虚が祭りに紛れ込んでいたなんて、どうしてかしらね」
「村人たちが気付く前に、殲滅するわよ」
 マリィアが神罰銃「パニッシュメント」とリボルバー「グラソン」を構えて『ダブルファイア』を放った。
 人形二体に命中し、そのうちの一体が消滅していく。
 歪虚は人を傷つける。ならば、人は……?
 あらゆる感情が渦巻いてくる。
 それを解き放つように、前衛にいたレイが『ワイルドラッシュ』を叩き込み、別の人形が一体、消えていく。
「残り一体です」
 鉄の人形が『ダブルシューティング』でダーツを投げつけてくるが、小夜は斬魔刀「祢々切丸」を構えて『肉斬骨断』の技で反撃。
 身体の表面が砕け散る鉄の人形……かなりのダメージを受けていたが、まだ全身は残っていた。
 アナが覚醒して妖艶な顔立ちになり、『ドッジダッシュ』で敵のダーツを受け流す。
「ふふっ」
 唇を舐めながら、聖機剣「タンホイザー」で攻撃をしかけるアナ。だが、自分の覚醒した姿に自覚はなかった。
「逃しはしない」
 真は試作振動刀「オートMURAMASA」を振りかざし、『踏込』からの『強打』を、残りの人形に狙いを定めて打ち込んだ。衝撃が走り、鉄の人形は粉々になって、消滅した。
「……平気みたいね」
 マリィアは周辺に村人がいないか確認してみたが、誰もいなかった。
 どうやら銃の音は、音楽隊の曲で消されていたようだ。
 広場から、賑やかな音楽が響き渡っていた。



 村人たちは歪虚がいたことも知らず、祭りは大いに盛り上がっていた。
 広場にて、葵が舞踊を披露すると、アナが楽しそうに朗らかな声で小鳥に纏わる歌を唄う。
 真は横笛を取り出し、指を動かしながら音色を奏でる。
 踊り、歌、笛の音。
 三つが調和して、穏やかな雰囲気に包まれた。
 葵が御辞儀すると、観ていた人々が拍手していた。
 アナは皆の笑顔を見渡して、お日様のような笑みを浮かべた。
「みんな、ありがとう!」
「……やはり演奏して良かった」
 真もまた、喜びに満ちた表情をしていた。
 ラキが駆け寄ってきた。
「すごいね、あたしも感動しちゃったよ」
「ありがとうございます」
 葵が手を差し伸べ、ラキと握手。
 アナはマクシミリアンに声をかけた。
「挨拶代わりに歌ってみたんだ」
「落ち着いて観たのは久し振りだった」
 マクシミリアンなりの賛辞であった。彼は巧みに褒めることができなかったが、内心は楽しいと感じていたのだ。
「目つきの悪いアンちゃん、みっけ。怪我は治った?」
 小夜は兎たちに地面に落ちていた野菜を食べさせていたが、マクシミリアンがいることに気が付いた。
「怪我はない。それよりも小夜、腕を上げたな」
「さすがアンちゃん、見る目があるねー」
 小夜はマクシミリアンの傷跡が気になっていたが、それは歴戦の名残なのだろうと思った。
「マクシミリアン、射的で勝負よ」
 マリィアは最終日まで見回りすることに決め、その合間、祭りに参加することにした。
 マクシミリアンはマリィアと五回勝負をしたが、引き分けになった。
「もう一回、勝負するわよ」
「良いだろう」
 マクシミリアンとマリィアの射的勝負は、良い気分転換になっていた。
 壮と言えば、レイと一緒に通りを歩いていた。
「水本様、今回も何か悩みでもあったのですか?」
 レイが壮にジュースを手渡す。
「……レイさんは良いよな」
「はい?」
「レイさんは男の俺から見ても綺麗だからモテるんだろうな」
 壮の意外な言葉に、レイは少し戸惑っていた。
「え、あの、それは、私は客観視したことがないので、なんとも」
「真さん、レイさんを見てどう思う?」
 壮が言うと、真はしばらく考えてから答えた。
「キレイか」
「だろー、やっぱり」
 壮は勢いよくジュースを飲み干した。
 その頃、アルスレーテはご当地料理の出店を廻り、至福の時を過ごしていた。
 恋人から言われた言葉を思い出すが、すぐにかき消すアルスレーテ。
「文句を言われても、聞こえないわよ。運動したから、カロリー補給なの、補給!」
 視線の先に、とある出店で、何やら食べている小夜。
「うまー」
「私も、それ一つ」
 アルスレーテは、心ゆくまで買い食いを楽しむことにした。

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MVP一覧

  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォードka2398
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデスka5848
  • 新米聖導士を諫めし者
    月影 葵ka6275

重体一覧

参加者一覧

  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士
  • 動物愛は止まらない
    Honor=Unschuld(ka6274
    人間(紅)|12才|女性|疾影士
  • 新米聖導士を諫めし者
    月影 葵(ka6275
    人間(蒼)|19才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン いたずらしょうねんの事件簿
レイ・T・ベッドフォード(ka2398
人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/05/14 19:43:54
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/13 19:57:18