ゲスト
(ka0000)
焼ける蝶とバイク ~ミヤサ~
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/13 19:00
- 完成日
- 2016/05/20 04:54
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、マール城にまで届くこととなった。
(私にどのような依頼なのだろう)
ミヤサ・カミーは侍女に案内されたソファへと座り、広々とした応接間を眺める。綺麗な漆喰の白壁には絵画が飾られていただけでない。それ自体にも複雑な意匠が施されていた。様々な彫刻が施された棚が並び、天井を見あげればシャンデリアが輝いている。
ここは城塞都市マールにある伯爵城の一室だ。
「お待たせしましたの」
現れた依頼人はとても若かった。十五歳前後で自分よりも年下である。彼女は領主アーリア・エルブンの妹、ミリア・エルブンを名乗った。立ちあがったミヤサは挨拶を交わす。
ミヤサとミリアがソファに座り、侍女が冷めてしまった紅茶を交換したところで本題が始まった。
「まずはこちらを見て頂けますか。一族の家宝なのですが」
ミリアが振り向いた壁際には侍女が一人立っている。彼女が家具の扉を開けると中には鎧が仕舞われていた。
「黄金の鎧……」
ミヤサが言葉を途切れさせる。鎧は確かに黄金製だが一部が違う。
「冑と胴の上半身、そして左足は普通の鋼鉄製ですの。これら三個所の部位はあくまで仮の物。昔、城での騒ぎに乗じて盗難にあいまして」
ミリアが手共にあった巻かれた紙をミヤサに手渡す。広げるとそれは地図であった。
「領内のこの辺りに地割れがありますの。とても深いのをよいことに、何者かが鉱物マテリアルの残滓を大量に捨てたようで……魔法公害によって魔法生物が発生しています。騎士や職人を使って順次、退治と処理を行っているのですが、思うように進まず。その過程で冑が見つかったのですわ。しかし難儀な場所にありまして」
ミリアはもう一枚の紙をテーブルに置く。それは現地の様子を描いた絵であった。
地割れの岸壁の途中にある突起部分に、黄金の冑を抱きかかえる骸骨が引っかかっている。真下は魔法生物等が吐きだした酸の池が広がっていた。
「この骸骨の人物が盗っ人なのか、そのようなことはわかりません。魔法生物の種類なのですが、スライムの他に蝶型がとても多くいるのです。魔法蝶は全身から酸に塗れていまして、触ると酷い火傷になります。そして口元の管で蚊のように刺しますの。それが強烈な毒で……すでに何人もの犠牲者がでていますの。その数が凄まじくて」
ミリアが沈んだ表情を浮かべる。
「何か対処法は?」
ミヤサは絵を眺めながらミリアに質問した。
「理由はよくわからないのですが、魔法蝶には魔導バイクを追いかける習性が認められますの。何台かの魔導バイクが囮になれば、骸骨のところまで降りられるのではないかと」
ミリアがすがるような瞳でミヤサを見つめた。
ごく最近、ミヤサも魔導バイクを手に入れている。クライミングの腕を買われての仕事だったが、いざとなれば囮役も可能だ。また応援に呼ぶ予定のハンターなら、バイク所有者も多いはず。そう考えて引き受けることにした。
マール城からの帰り道。ミヤサはハンターズソサエティーの支部に立ち寄って募集をかけるのであった。
数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、マール城にまで届くこととなった。
(私にどのような依頼なのだろう)
ミヤサ・カミーは侍女に案内されたソファへと座り、広々とした応接間を眺める。綺麗な漆喰の白壁には絵画が飾られていただけでない。それ自体にも複雑な意匠が施されていた。様々な彫刻が施された棚が並び、天井を見あげればシャンデリアが輝いている。
ここは城塞都市マールにある伯爵城の一室だ。
「お待たせしましたの」
現れた依頼人はとても若かった。十五歳前後で自分よりも年下である。彼女は領主アーリア・エルブンの妹、ミリア・エルブンを名乗った。立ちあがったミヤサは挨拶を交わす。
ミヤサとミリアがソファに座り、侍女が冷めてしまった紅茶を交換したところで本題が始まった。
「まずはこちらを見て頂けますか。一族の家宝なのですが」
ミリアが振り向いた壁際には侍女が一人立っている。彼女が家具の扉を開けると中には鎧が仕舞われていた。
「黄金の鎧……」
ミヤサが言葉を途切れさせる。鎧は確かに黄金製だが一部が違う。
「冑と胴の上半身、そして左足は普通の鋼鉄製ですの。これら三個所の部位はあくまで仮の物。昔、城での騒ぎに乗じて盗難にあいまして」
ミリアが手共にあった巻かれた紙をミヤサに手渡す。広げるとそれは地図であった。
「領内のこの辺りに地割れがありますの。とても深いのをよいことに、何者かが鉱物マテリアルの残滓を大量に捨てたようで……魔法公害によって魔法生物が発生しています。騎士や職人を使って順次、退治と処理を行っているのですが、思うように進まず。その過程で冑が見つかったのですわ。しかし難儀な場所にありまして」
ミリアはもう一枚の紙をテーブルに置く。それは現地の様子を描いた絵であった。
地割れの岸壁の途中にある突起部分に、黄金の冑を抱きかかえる骸骨が引っかかっている。真下は魔法生物等が吐きだした酸の池が広がっていた。
「この骸骨の人物が盗っ人なのか、そのようなことはわかりません。魔法生物の種類なのですが、スライムの他に蝶型がとても多くいるのです。魔法蝶は全身から酸に塗れていまして、触ると酷い火傷になります。そして口元の管で蚊のように刺しますの。それが強烈な毒で……すでに何人もの犠牲者がでていますの。その数が凄まじくて」
ミリアが沈んだ表情を浮かべる。
「何か対処法は?」
ミヤサは絵を眺めながらミリアに質問した。
「理由はよくわからないのですが、魔法蝶には魔導バイクを追いかける習性が認められますの。何台かの魔導バイクが囮になれば、骸骨のところまで降りられるのではないかと」
ミリアがすがるような瞳でミヤサを見つめた。
ごく最近、ミヤサも魔導バイクを手に入れている。クライミングの腕を買われての仕事だったが、いざとなれば囮役も可能だ。また応援に呼ぶ予定のハンターなら、バイク所有者も多いはず。そう考えて引き受けることにした。
マール城からの帰り道。ミヤサはハンターズソサエティーの支部に立ち寄って募集をかけるのであった。
リプレイ本文
●
晴天の丘陵地帯に一両の馬車が停まる。現地を訪れたミヤサとハンター一行は木々や茂み、丘の斜面に身を隠しながら地割れへと近づく。
「蝶、いますね。おそらく魔法蝶でしょう」
立ち止まった夜桜 奏音(ka5754)が持参した双眼鏡を覗きこむ。仲間にも貸して全員が確認。地割れの上空には数十の魔法蝶が舞っていた。
「あれはごく一部で、かなりの数がは地割れに潜んでいるんでしょうね」
最後に眺めたミヤサが双眼鏡を夜桜奏音に返す。
「しかし、骸骨が何でこんなところにあるのでしょうか? 生前、うっかり落ちて亡くなったということでしょうか?」
エルバッハ・リオン(ka2434)が考え続けてきた疑問を呟く。
「魔法蝶も冑も地割れの中、つまり虎穴に入らずんば……というやつか」
「黄金のカブト、ねェ……いやァ、景気がイイのは嫌いじゃねェぜ!」
ロニ・カルディス(ka0551)が懐から取りだした冑の絵を万歳丸(ka5665)が眺める。その絵はザレム・アズール(ka0878)に手渡された。
「責任重大だな」
絵を見て呟いたザレムが深呼吸してミヤサへと振り向く。
「ミヤサも気をつけてな」
「酸の池に落ちるのはまっぴらご免ですからね。ザレムも無理してはダメですよ」
クライミングで冑を確保する役目は事前にザレム、ミヤサと決まっていた。
「普通の人間が鎧を抱えたまま白骨化したっていうなら、黄金の冑を抱えていられないと思うわ。脅かしたくはないけど、あの白骨は歪虚だと思うわよ? 下手に退治しようとすると鎧を落としそうだから今は撃たないけど。気を付けて、ミヤサ、ザレム」
マリィア・バルデス(ka5848)が冑回収の二人に注意を促す。
全員が馬車のところまで戻って準備を整える。まずは地割れの奥がどのようになっているのか実際に確かめる必要があった。
「どういう経緯であんなところに落ちているのか気にはなるが、回収しないと始まらないか。この分だと剣とか槍まであるんじゃないか?」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)が魔導バイク「ゲイル」へと跨がる。
「オレも囮役をやるぜ。しかし骸骨になっても宝を離さないとは……どこの誰だが知らねぇが、強突く張りだな」
ステラ・レッドキャップ(ka5434)は魔導バイク「バルバムーシュ」に乗り、首から提げていたゴーグルをかけた。
ロニに乗る法輪「精霊馬」は少々変わった魔導バイクである。フレームが神木でできていて、法具としても利用可能だ。
囮役の三人はバイクを押して地割れから離れたところでエンジンを始動させる。そして一気に地割れへと近づくのだった。
●
「オフ車のこいつならいけるだろ!」
ステラは走らせたバルバムーシュのステップ上に立つ。そして地割れに架けられていた橋を渡って向こう側へと到達。迫る魔法蝶の群れに追いつかれないようアクセルを開放する。
「駆動音を聴いて底から湧いてきたようだな」
「それではまた後で!」
ターンを決めたロニとレイオスが左右に分かれた。ロニは北東方面、レイオスが南西方面といった具合で地割れに沿ってバイクを走らせる。
魔法蝶の多くは三台が引き連れていった。その間に六人が地割れを確認しに向かう。
万歳丸、マリィアが手にした銃でわずかに残る魔法蝶を狙撃。その間にザレムとミヤサがLEDライトで照らしながら地割れの内部に目をこらす。夜桜奏音とエルバッハは背中合わせに立ちながら、見張りとして周囲の状況を仲間達へと伝える。
最初は黄金の冑を抱えた骸骨の在処がわからなかった。しかし以前の調査隊が残した地上の杭打ちを発見。その真下をザレムとミヤサがLEDライトで照らしてみる。
ミヤサに呼ばれた夜桜奏音が「さて、崖下の状況はどうなっているでしょうか」と呟きながら双眼鏡で探した。まもなく発見。依頼内容の通り、三十mほどの真下にある崖面の突起で骸骨が黄金の冑を抱えている。
「あの煙の辺りが酸の池か?」
ザレムが真っ暗な地割れの底から立ちのぼる煙に眉をひそめた。強い異臭が鼻をつく。
「酸の池だとすれば、その池から蝶が発生しているような……」
ミヤサの言うとおり、煙と一緒に魔法蝶が地割れの底から現れているようにも見える。
「やっぱり連れて来なくてよかったわ。αやγが魔法蝶に集られたら可哀想だもの。ζ達なら、魔法蝶に右ストレートくらいしそうなんだもの」
マリィアはペット達のことを思いだす。
「オレは秘策を考えてきたぜェ!」
万歳丸は魔導バイクを持ってきていた。
「私もアレイオーンを使うつもりですから」
夜桜奏音も愛車を有効活用するつもりである。
「私は魔法蝶をまとめて処理する役目に徹します。そのためのブリザードですので」
エルバッハはここぞというときのために能力を温存した。
しばらくして魔法蝶の群れが遠くの空に見えたので地割れ付近から撤退。それから三十分程度で囮役の三人が戻ってくる。
実際に試したおかげでわかったことがいくつかあった。
「魔法蝶は速くは飛べないようだぜ。余裕で振り切ることができるから余裕だせ。その分、加減は難しいが何とかなるだろ」
一番目にステラが報告。
「あまりに引き離してしまうと魔法蝶が地割れへと戻ってしまうようだ。三十mまでが限界じゃないかな」
二番目はレイオスだ。
「魔導バイクのエンジンを停めると魔法蝶は人を襲ってきた。停止した魔導バイクには目もくれなかったな」
報告の最後はロニである。
現地到着が遅かったので夕暮れが近づいていた。本番の冑回収は明日に持ち越して、地割れから離れた場所で野営を行う。
「占いでどうにかなればいいですが、冑までの最適ルートを占ってみましょう」
焚き火の前で夜桜奏音が占ったところ、真っ直ぐに降りるが吉とでる。決行は太陽が高い位置にある十二時前後がよいようだ。
一行は糧食で空腹を満たしながら作戦に修正を加えるのだった。
●
翌日の十一時三十分頃、全員が覚醒。魔導バイクのエンジン音が呻りをあげる。
「追って来るのが蝶々ってのがアレだが、鬼ごっこの開始だ!」
レイオスの魔導バイク「ゲイル」が土煙をあげて走りだす。
ロニ、レイオス、ステラが地割れの周辺を走り回った。
突如現れた雲のような魔法蝶の群れが三台を追いかける。離れた位置で待機していた夜桜奏音とエルバッハが迫る魔法蝶に攻撃を仕掛けた。
「ますは減らすだけ減らしませんと」
夜桜奏音の五色光符陣がステラを追いかける魔法蝶を光で焼き尽くす。
「効かないようですね。これではどうでしょうか」
エルバッハは魔法蝶がスリープクラウドで眠らないのを確認。引き続き、旋回したレイオスを追いかける魔法蝶に対してブリザードの嵐を見舞う。
「まずは一回目だな」
ロニは精霊馬を停車させた。そしてセイクリッドフラッシュの光波動で自らに集ろうとした魔法蝶を殲滅する。
魔法蝶の数減らしは二回行われた。割れ目に隠れている魔法蝶すべてを退治するには至らなかったが、クライミング地点を中心にした百m前後の数は激減する。囮の三台は残った魔法蝶を誘いながら地割れ周辺から離れていく。
万歳丸とマリィアが遠隔射撃でわずかに残る魔法蝶を仕留めていった。
「一掃したわ。また湧くとは思うけど」
二挺の銃を構えたマリィアの合図で囮班を除く全員が地割れへと近づく。
「大船に乗ったつもりでイケよ! ザレムにミヤサァ!」
万歳丸が押してきた魔導バイク「ソーペルデュ」に跨がってエンジンを動かす。冑回収の二人に近寄ろうとした魔法蝶が停まったままのバイクへと引き寄せられていく。
夜桜奏音も万歳丸と同じように魔導バイク「アレイオーン」で魔法蝶を呼び寄せようとしていた。その前にザレムとミヤサへと口伝符を手渡す。
「こちらを使えば二回まで連絡できます。回収時や緊急時に使ってください」
夜桜奏音に感謝しながらザレムとミヤサはクライミングを決行する。地上に打ち込んだ杭に特殊仕様の縄を結びつけて、強烈なにおいが漂う地割れの壁面を降りていく。
その直後、北東方面で湧きだした蝶の群れがクライミング地点に迫る。
「風向きなのか、他の要因があるのか、どうであれ来てしまったものは仕方ありませんね」
身構えたエルバッハが冷気の嵐を巻き起こす。魔法蝶をまとめて屠った。
わずかに残った魔法蝶が停まる二台のどちらかへと引き寄せられていく。それらを万歳丸がアサルトライフルで仕留めきる。
(サブマシンガンだとザレムたちごと吹き飛ばしそうだから使うのは見合わせたけど、正解だったわね。この姿勢辛いし)
地割れへと体を乗りだして銃口を真下に向けていたのはマリィアだ。縄や冑回収の二人へ止まろうとする魔法蝶を狙撃していく。
この時間帯だと地割れの底まで日差しが届いていた。そんな中、マリィアは目撃する。酸の池が一斉に泡だって魔法蝶が大量発生したのを。
「奏音、頼めるかしら!」
マリィアが夜桜奏音に声をかける。
「これは落ちたら溶けますね……きっといろいろ」
バイクから降りた夜桜奏音がタイミングを計った。五色光符陣の光で魔法蝶をまとめて焼き尽くす。敵のみを倒せるので範囲に仲間が重なっていても問題はなかった。
「いくぜェ。おらッ! ブイブイ吹かすぜ!!」
万歳丸が派手にアクセルの開閉を繰り返した。ザレムやミヤサに集ろうとする魔法蝶を地上付近まで呼び寄せてから撃ち抜く。
援護の四人は神出鬼没な魔法蝶を迅速に倒しきる。その間に冑回収のザレムとミヤサは骸骨目指して降りていくのだった。
●
バルバムーシュを駆るステラは丘陵の間を縫うようにして走らせていた。バックミラーで後方の魔法蝶を確認。時に地割れに沿って直進して、新たに湧きだした魔法蝶を引き寄せる。
「蝶共は無理に倒しても意味無さそうだよな」
そういいながらステラは銃撃で遠方の魔法蝶を撃ち落とす。引き寄せきれなかった個体が地割れ付近へ戻るのを防ぐために。
丘の上を通過するとき、クライミング地点で奮闘する仲間達の姿が小さく見える。
「回収は任せたぜ!」
ステラは大声でエールを送りつつ、土煙をあげながら丘の急斜面を一気にくだっていった。
ここぞと判断したロニが急ブレーキをかける。タイヤを滑らしつつ精霊馬が停車したのは丘陵の狭間だ。狭い故に魔法蝶の群れもより一塊になっていた。
ロニはすぐにでもセイクリッドフラッシュを発動させたい気分を抑え込んだ。魔法蝶が彼の背中へと集ろうとした刹那に光り輝かせる。
光の波動によって魔法蝶は一瞬のうちに消滅した。残った個体もクロノスサイズを何振りかするだけで処理しきれる程度の数である。
「ふぅ……昨日の分も合わせればこれで六回目の駆逐か。徐々に少なくなっているが、果たしてどれだけの蝶が地割れに潜んでいるのだろう」
再びエンジンを始動させたロニは地割れへと向かう。新たに湧いた魔法蝶を引き連れてクライミング地点から遠ざけていった。
「これぐらいなら何とかなりそうだ」
ゲイルで地割れ付近を通過したレイオスだが、想像していたよりも魔法蝶が集まっていなかった。そこで急停止と同時にターンを決めつつ、スタンドを立てて下車。大太刀を大きく構えて迫る魔法蝶の群れを薙ぎ払う。
色鮮やかな魔法蝶がまるでシャボン玉のように散っていく。距離を置いて二度繰り返すとすべての魔法蝶が無に還る。
「斬り続けると刀があっという間にボロボロになりそうだな」
酸は強烈で魔法蝶が止まった岩にくっきりと跡が残っていた。レイオスは用意してあった灰を混ぜた水筒の水で刃を洗い流しておく。
少々の火傷はヒーリングを使えば問題はなかった。再びゲイルに跨がってエンジンを再始動。地割れ付近へと向かう。
今度は一斉に湧きだした瞬間に出くわす。エンジン音をけたたましく鳴り響かせて魔法蝶を呼び寄せる。間近まで迫ったところでアクセルをふかすレイオスだった。
●
ザレムとミヤサは慎重に縄を伝って降りていく。援護射撃の邪魔にならないため。また魔法蝶やスライム等との接触をできるだけ避けるためだ。
「ミヤサ、止まれ」
ザレムが口伝符を使ってミヤサに注意を促す。一頭の魔法蝶がミヤサの背中に近づいていたからだ。その場に留まったミヤサが身を屈めていると、マリィアがダブルファイアで撃ち落としてくれる。二人は崖上に向けてサムシングで合図を送ると再び下方を目指す。やがて突起部分に乗っかっていた骸骨のところまで辿り着いた。
「スライムがもしいたのなら、これで」
ミヤサがレイオスが託してくれた灰入りの水を骸骨にかけた。すると激しく骸骨が揺れて抱えていた黄金の冑を落とした。ザレムは命綱を頼りに逆さまになりながら、すでに手にしていた袋で冑を受け取る。
骸骨は雑魔だったが、それだけではなかった。裏側にスライムも潜んでいた。ミヤサが咄嗟にスライムを蹴り落とす。だが骸骨は隠し持っていた斧で襲いかかってる。
「こいつを使えッ!」
地上の万歳丸が縄を投げ込む。ザレムがその縄に冑入りの袋を結びつけた。
ミヤサが骸骨が振り下ろした斧をナイフで受け止める。彼女の危機を知ったザレムは逆さまのままデルタレイの光条を放つ。貫かれた骸骨雑魔が姿勢を崩して眼下の酸の池へと落ちていく。
すると一斉に魔法蝶が沸いた。「ミヤサ、先にあがってくれ」と叫んだザレムがファイアスローワーを眼下へと浴びせかける。
冑は万歳丸によって引き揚げられた。
ザレムはスラッシュアンカーを打って姿勢を元に戻す。更にジェットブーツを使用。一気によじ登って事なきを得る。
地上に辿り着いたミヤサが撤退の合図を示す呼子笛を吹く。
地割れ付近から一斉に退去。囮になっていた三人も乗っていたバイクを加速させて魔法蝶を一気に引き離した。
馬車を停めてあった場所に全員が集まった。少々の火傷は負っていたものの、全員に大事はない。ヒーリング等で全員が回復したところで、これ以上留まることなく帰路についたのだった。
●
ミヤサと一緒にハンター達も王城を訪れる。ミリアと面会して直接黄金の冑を手渡すことにした。
「ありがとうございます。こんなにも早くに回収して頂けるなんて」
ミリアが全員に感謝の言葉を述べる。そしてミヤサが被せてあった布を外して黄金の冑を露わにした。
ミリアが手にとって眺めているとバイザー部分から羊皮紙の端切れが床へと落ちる。
「この文字に意味はあるのでしょうか?」
ミヤサが拾ったボロボロの羊皮紙には『鍵の一つ』と記されていた。
晴天の丘陵地帯に一両の馬車が停まる。現地を訪れたミヤサとハンター一行は木々や茂み、丘の斜面に身を隠しながら地割れへと近づく。
「蝶、いますね。おそらく魔法蝶でしょう」
立ち止まった夜桜 奏音(ka5754)が持参した双眼鏡を覗きこむ。仲間にも貸して全員が確認。地割れの上空には数十の魔法蝶が舞っていた。
「あれはごく一部で、かなりの数がは地割れに潜んでいるんでしょうね」
最後に眺めたミヤサが双眼鏡を夜桜奏音に返す。
「しかし、骸骨が何でこんなところにあるのでしょうか? 生前、うっかり落ちて亡くなったということでしょうか?」
エルバッハ・リオン(ka2434)が考え続けてきた疑問を呟く。
「魔法蝶も冑も地割れの中、つまり虎穴に入らずんば……というやつか」
「黄金のカブト、ねェ……いやァ、景気がイイのは嫌いじゃねェぜ!」
ロニ・カルディス(ka0551)が懐から取りだした冑の絵を万歳丸(ka5665)が眺める。その絵はザレム・アズール(ka0878)に手渡された。
「責任重大だな」
絵を見て呟いたザレムが深呼吸してミヤサへと振り向く。
「ミヤサも気をつけてな」
「酸の池に落ちるのはまっぴらご免ですからね。ザレムも無理してはダメですよ」
クライミングで冑を確保する役目は事前にザレム、ミヤサと決まっていた。
「普通の人間が鎧を抱えたまま白骨化したっていうなら、黄金の冑を抱えていられないと思うわ。脅かしたくはないけど、あの白骨は歪虚だと思うわよ? 下手に退治しようとすると鎧を落としそうだから今は撃たないけど。気を付けて、ミヤサ、ザレム」
マリィア・バルデス(ka5848)が冑回収の二人に注意を促す。
全員が馬車のところまで戻って準備を整える。まずは地割れの奥がどのようになっているのか実際に確かめる必要があった。
「どういう経緯であんなところに落ちているのか気にはなるが、回収しないと始まらないか。この分だと剣とか槍まであるんじゃないか?」
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)が魔導バイク「ゲイル」へと跨がる。
「オレも囮役をやるぜ。しかし骸骨になっても宝を離さないとは……どこの誰だが知らねぇが、強突く張りだな」
ステラ・レッドキャップ(ka5434)は魔導バイク「バルバムーシュ」に乗り、首から提げていたゴーグルをかけた。
ロニに乗る法輪「精霊馬」は少々変わった魔導バイクである。フレームが神木でできていて、法具としても利用可能だ。
囮役の三人はバイクを押して地割れから離れたところでエンジンを始動させる。そして一気に地割れへと近づくのだった。
●
「オフ車のこいつならいけるだろ!」
ステラは走らせたバルバムーシュのステップ上に立つ。そして地割れに架けられていた橋を渡って向こう側へと到達。迫る魔法蝶の群れに追いつかれないようアクセルを開放する。
「駆動音を聴いて底から湧いてきたようだな」
「それではまた後で!」
ターンを決めたロニとレイオスが左右に分かれた。ロニは北東方面、レイオスが南西方面といった具合で地割れに沿ってバイクを走らせる。
魔法蝶の多くは三台が引き連れていった。その間に六人が地割れを確認しに向かう。
万歳丸、マリィアが手にした銃でわずかに残る魔法蝶を狙撃。その間にザレムとミヤサがLEDライトで照らしながら地割れの内部に目をこらす。夜桜奏音とエルバッハは背中合わせに立ちながら、見張りとして周囲の状況を仲間達へと伝える。
最初は黄金の冑を抱えた骸骨の在処がわからなかった。しかし以前の調査隊が残した地上の杭打ちを発見。その真下をザレムとミヤサがLEDライトで照らしてみる。
ミヤサに呼ばれた夜桜奏音が「さて、崖下の状況はどうなっているでしょうか」と呟きながら双眼鏡で探した。まもなく発見。依頼内容の通り、三十mほどの真下にある崖面の突起で骸骨が黄金の冑を抱えている。
「あの煙の辺りが酸の池か?」
ザレムが真っ暗な地割れの底から立ちのぼる煙に眉をひそめた。強い異臭が鼻をつく。
「酸の池だとすれば、その池から蝶が発生しているような……」
ミヤサの言うとおり、煙と一緒に魔法蝶が地割れの底から現れているようにも見える。
「やっぱり連れて来なくてよかったわ。αやγが魔法蝶に集られたら可哀想だもの。ζ達なら、魔法蝶に右ストレートくらいしそうなんだもの」
マリィアはペット達のことを思いだす。
「オレは秘策を考えてきたぜェ!」
万歳丸は魔導バイクを持ってきていた。
「私もアレイオーンを使うつもりですから」
夜桜奏音も愛車を有効活用するつもりである。
「私は魔法蝶をまとめて処理する役目に徹します。そのためのブリザードですので」
エルバッハはここぞというときのために能力を温存した。
しばらくして魔法蝶の群れが遠くの空に見えたので地割れ付近から撤退。それから三十分程度で囮役の三人が戻ってくる。
実際に試したおかげでわかったことがいくつかあった。
「魔法蝶は速くは飛べないようだぜ。余裕で振り切ることができるから余裕だせ。その分、加減は難しいが何とかなるだろ」
一番目にステラが報告。
「あまりに引き離してしまうと魔法蝶が地割れへと戻ってしまうようだ。三十mまでが限界じゃないかな」
二番目はレイオスだ。
「魔導バイクのエンジンを停めると魔法蝶は人を襲ってきた。停止した魔導バイクには目もくれなかったな」
報告の最後はロニである。
現地到着が遅かったので夕暮れが近づいていた。本番の冑回収は明日に持ち越して、地割れから離れた場所で野営を行う。
「占いでどうにかなればいいですが、冑までの最適ルートを占ってみましょう」
焚き火の前で夜桜奏音が占ったところ、真っ直ぐに降りるが吉とでる。決行は太陽が高い位置にある十二時前後がよいようだ。
一行は糧食で空腹を満たしながら作戦に修正を加えるのだった。
●
翌日の十一時三十分頃、全員が覚醒。魔導バイクのエンジン音が呻りをあげる。
「追って来るのが蝶々ってのがアレだが、鬼ごっこの開始だ!」
レイオスの魔導バイク「ゲイル」が土煙をあげて走りだす。
ロニ、レイオス、ステラが地割れの周辺を走り回った。
突如現れた雲のような魔法蝶の群れが三台を追いかける。離れた位置で待機していた夜桜奏音とエルバッハが迫る魔法蝶に攻撃を仕掛けた。
「ますは減らすだけ減らしませんと」
夜桜奏音の五色光符陣がステラを追いかける魔法蝶を光で焼き尽くす。
「効かないようですね。これではどうでしょうか」
エルバッハは魔法蝶がスリープクラウドで眠らないのを確認。引き続き、旋回したレイオスを追いかける魔法蝶に対してブリザードの嵐を見舞う。
「まずは一回目だな」
ロニは精霊馬を停車させた。そしてセイクリッドフラッシュの光波動で自らに集ろうとした魔法蝶を殲滅する。
魔法蝶の数減らしは二回行われた。割れ目に隠れている魔法蝶すべてを退治するには至らなかったが、クライミング地点を中心にした百m前後の数は激減する。囮の三台は残った魔法蝶を誘いながら地割れ周辺から離れていく。
万歳丸とマリィアが遠隔射撃でわずかに残る魔法蝶を仕留めていった。
「一掃したわ。また湧くとは思うけど」
二挺の銃を構えたマリィアの合図で囮班を除く全員が地割れへと近づく。
「大船に乗ったつもりでイケよ! ザレムにミヤサァ!」
万歳丸が押してきた魔導バイク「ソーペルデュ」に跨がってエンジンを動かす。冑回収の二人に近寄ろうとした魔法蝶が停まったままのバイクへと引き寄せられていく。
夜桜奏音も万歳丸と同じように魔導バイク「アレイオーン」で魔法蝶を呼び寄せようとしていた。その前にザレムとミヤサへと口伝符を手渡す。
「こちらを使えば二回まで連絡できます。回収時や緊急時に使ってください」
夜桜奏音に感謝しながらザレムとミヤサはクライミングを決行する。地上に打ち込んだ杭に特殊仕様の縄を結びつけて、強烈なにおいが漂う地割れの壁面を降りていく。
その直後、北東方面で湧きだした蝶の群れがクライミング地点に迫る。
「風向きなのか、他の要因があるのか、どうであれ来てしまったものは仕方ありませんね」
身構えたエルバッハが冷気の嵐を巻き起こす。魔法蝶をまとめて屠った。
わずかに残った魔法蝶が停まる二台のどちらかへと引き寄せられていく。それらを万歳丸がアサルトライフルで仕留めきる。
(サブマシンガンだとザレムたちごと吹き飛ばしそうだから使うのは見合わせたけど、正解だったわね。この姿勢辛いし)
地割れへと体を乗りだして銃口を真下に向けていたのはマリィアだ。縄や冑回収の二人へ止まろうとする魔法蝶を狙撃していく。
この時間帯だと地割れの底まで日差しが届いていた。そんな中、マリィアは目撃する。酸の池が一斉に泡だって魔法蝶が大量発生したのを。
「奏音、頼めるかしら!」
マリィアが夜桜奏音に声をかける。
「これは落ちたら溶けますね……きっといろいろ」
バイクから降りた夜桜奏音がタイミングを計った。五色光符陣の光で魔法蝶をまとめて焼き尽くす。敵のみを倒せるので範囲に仲間が重なっていても問題はなかった。
「いくぜェ。おらッ! ブイブイ吹かすぜ!!」
万歳丸が派手にアクセルの開閉を繰り返した。ザレムやミヤサに集ろうとする魔法蝶を地上付近まで呼び寄せてから撃ち抜く。
援護の四人は神出鬼没な魔法蝶を迅速に倒しきる。その間に冑回収のザレムとミヤサは骸骨目指して降りていくのだった。
●
バルバムーシュを駆るステラは丘陵の間を縫うようにして走らせていた。バックミラーで後方の魔法蝶を確認。時に地割れに沿って直進して、新たに湧きだした魔法蝶を引き寄せる。
「蝶共は無理に倒しても意味無さそうだよな」
そういいながらステラは銃撃で遠方の魔法蝶を撃ち落とす。引き寄せきれなかった個体が地割れ付近へ戻るのを防ぐために。
丘の上を通過するとき、クライミング地点で奮闘する仲間達の姿が小さく見える。
「回収は任せたぜ!」
ステラは大声でエールを送りつつ、土煙をあげながら丘の急斜面を一気にくだっていった。
ここぞと判断したロニが急ブレーキをかける。タイヤを滑らしつつ精霊馬が停車したのは丘陵の狭間だ。狭い故に魔法蝶の群れもより一塊になっていた。
ロニはすぐにでもセイクリッドフラッシュを発動させたい気分を抑え込んだ。魔法蝶が彼の背中へと集ろうとした刹那に光り輝かせる。
光の波動によって魔法蝶は一瞬のうちに消滅した。残った個体もクロノスサイズを何振りかするだけで処理しきれる程度の数である。
「ふぅ……昨日の分も合わせればこれで六回目の駆逐か。徐々に少なくなっているが、果たしてどれだけの蝶が地割れに潜んでいるのだろう」
再びエンジンを始動させたロニは地割れへと向かう。新たに湧いた魔法蝶を引き連れてクライミング地点から遠ざけていった。
「これぐらいなら何とかなりそうだ」
ゲイルで地割れ付近を通過したレイオスだが、想像していたよりも魔法蝶が集まっていなかった。そこで急停止と同時にターンを決めつつ、スタンドを立てて下車。大太刀を大きく構えて迫る魔法蝶の群れを薙ぎ払う。
色鮮やかな魔法蝶がまるでシャボン玉のように散っていく。距離を置いて二度繰り返すとすべての魔法蝶が無に還る。
「斬り続けると刀があっという間にボロボロになりそうだな」
酸は強烈で魔法蝶が止まった岩にくっきりと跡が残っていた。レイオスは用意してあった灰を混ぜた水筒の水で刃を洗い流しておく。
少々の火傷はヒーリングを使えば問題はなかった。再びゲイルに跨がってエンジンを再始動。地割れ付近へと向かう。
今度は一斉に湧きだした瞬間に出くわす。エンジン音をけたたましく鳴り響かせて魔法蝶を呼び寄せる。間近まで迫ったところでアクセルをふかすレイオスだった。
●
ザレムとミヤサは慎重に縄を伝って降りていく。援護射撃の邪魔にならないため。また魔法蝶やスライム等との接触をできるだけ避けるためだ。
「ミヤサ、止まれ」
ザレムが口伝符を使ってミヤサに注意を促す。一頭の魔法蝶がミヤサの背中に近づいていたからだ。その場に留まったミヤサが身を屈めていると、マリィアがダブルファイアで撃ち落としてくれる。二人は崖上に向けてサムシングで合図を送ると再び下方を目指す。やがて突起部分に乗っかっていた骸骨のところまで辿り着いた。
「スライムがもしいたのなら、これで」
ミヤサがレイオスが託してくれた灰入りの水を骸骨にかけた。すると激しく骸骨が揺れて抱えていた黄金の冑を落とした。ザレムは命綱を頼りに逆さまになりながら、すでに手にしていた袋で冑を受け取る。
骸骨は雑魔だったが、それだけではなかった。裏側にスライムも潜んでいた。ミヤサが咄嗟にスライムを蹴り落とす。だが骸骨は隠し持っていた斧で襲いかかってる。
「こいつを使えッ!」
地上の万歳丸が縄を投げ込む。ザレムがその縄に冑入りの袋を結びつけた。
ミヤサが骸骨が振り下ろした斧をナイフで受け止める。彼女の危機を知ったザレムは逆さまのままデルタレイの光条を放つ。貫かれた骸骨雑魔が姿勢を崩して眼下の酸の池へと落ちていく。
すると一斉に魔法蝶が沸いた。「ミヤサ、先にあがってくれ」と叫んだザレムがファイアスローワーを眼下へと浴びせかける。
冑は万歳丸によって引き揚げられた。
ザレムはスラッシュアンカーを打って姿勢を元に戻す。更にジェットブーツを使用。一気によじ登って事なきを得る。
地上に辿り着いたミヤサが撤退の合図を示す呼子笛を吹く。
地割れ付近から一斉に退去。囮になっていた三人も乗っていたバイクを加速させて魔法蝶を一気に引き離した。
馬車を停めてあった場所に全員が集まった。少々の火傷は負っていたものの、全員に大事はない。ヒーリング等で全員が回復したところで、これ以上留まることなく帰路についたのだった。
●
ミヤサと一緒にハンター達も王城を訪れる。ミリアと面会して直接黄金の冑を手渡すことにした。
「ありがとうございます。こんなにも早くに回収して頂けるなんて」
ミリアが全員に感謝の言葉を述べる。そしてミヤサが被せてあった布を外して黄金の冑を露わにした。
ミリアが手にとって眺めているとバイザー部分から羊皮紙の端切れが床へと落ちる。
「この文字に意味はあるのでしょうか?」
ミヤサが拾ったボロボロの羊皮紙には『鍵の一つ』と記されていた。
依頼結果
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MVP一覧
- ベゴニアを君に
マリィア・バルデス(ka5848)
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 マリィア・バルデス(ka5848) 人間(リアルブルー)|24才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/05/13 18:28:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/11 22:48:44 |