ゲスト
(ka0000)
花想~山菜採りを邪魔するもの
マスター:君矢

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/18 22:00
- 完成日
- 2016/05/26 19:38
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
薄暗い廃墟
嬉しそうな男の声が響いていた。
声の主は、つば広の黒い帽子、全身を覆う黒いマントに長い嘴のある白い革製の仮面という姿だった。無彩色の姿の中、帽子と胸元に大きな向日葵が鮮やかに咲いている。
廃墟の薄暗がりに掛けられた少女の肖像画を見上げて弾むように話しかけている。
男は、とても喜んでいた。こんなに喜ばしいのはお嬢様を失って以来のはずだ。
「お嬢様、よいご報告が出来てこのディーナーとても嬉しく思います。やっと、やっとお嬢様ともう一度お会いできる日が近づいてきたとご報告できる、そんな気がいたします。勿論、克服すべき課題は多々ございますが……」
と言って、視線を足元に下げる。枯れてしまった雑魔の残骸がサラサラと乾いて朽ちていくのが見えた。
「とても人らしい顔でした。青白かった皮膚に紅みがさしていて。ええ、お嬢様の花のような笑顔には及びませんが無表情の人形の様な顔とは違います。些細な違いですが、前進は前進です。残念ながらすぐに枯れてしまいましたが、もっともっとマテリアルを集めて、必ずお嬢様ともう一度……」
肖像画の中の少女に報告を続ける。マテリアルの集め方、克服すべき点、いつかの思い出と話が進んだところで、口調が怒気に変った。
「そうシェノグ族です! あいつら十年前、お嬢様を見捨てただけでなく、また私とお嬢様の邪魔をする! ハンターを雇って私の実験の邪魔を! このままにしておくわけにいきません! お嬢様の味わった絶望と死の恐怖を思い知らせてやります! じわじわと、じわじわと大切なものを失った怒りを―」
辺境の山の中 シェノグ族の村
緑の眩しい季節。
例年、村は毎日がお祭りのような騒がしい雰囲気に包まれて村中総出で、時にはハンターの手も借りて薬草や山菜の収穫に目を回す大忙しの毎日、のはずだった。
今年は重苦しい空気が村を覆い、大半の部族の人間は家に閉じこもり、外に出ている者も村の広場で身を寄せ合って暗く話し合いをしていた。
「どうする今週中にも残りを採集しないと育っちまう。季節が終わるぞ」
「分かってるさ。採れるなら山に入っているさ」
「あと少し収穫できれば、商人との契約も果たせるんだが」
「今年は、ここまでか……」
「無理って、お前なぁ! 諦めてどうする。採集して稼がないと生活が立ちいかないぞ!」
「しかし、歪虚がいたんじゃ……」
「この前少し様子を見てくるって山に入って、フードを被った歪虚に襲われた奴がいたじゃないか」
「一緒に弓を構えた歪虚だとか、剣を持った歪虚もいたらしい」
「山に何がいるってんだ。何度、退治しても歪虚が現れる」
「命あっての物種さ、諦めるしかないかなぁ」
悲観的な空気が支配する中、諦めきれない男性が声を張り上げる。
「十年前を忘れたか! 収穫ができなくて苦しくなった生活を! やっと余裕が出来たってのに。二の舞だ」
「あの時とは違うじゃないか。十年前は村がもえ……」
「そこまでじゃ。みなまで言わんでいい」
議論の輪の中で沈黙していた長い髭の族長が口を開いた。広場が静かになり、話し合いに参加していた人々が族長の言葉を待つ。
「歪虚が現れれば、ハンターに依頼して倒してもらう。今までどうりじゃ」
「族長。それじゃ、変わりませんよ。奴らすぐに現れる。元を断たないと」
一人が反論した。
去年から、何度か雑魔が出現しそのたびにハンターに討伐してもらった。
特に沢に出た歪虚を退治してくれたハンターによると歪虚はみな同じ顔をしていたという。つまり、どこかにくり返し出現する「原因」があるのだ。
その原因を断たない限り歪虚はくり返し現れてシェノグ族の生活を脅かす。それは族長にも分かっていた。
「それには調査が必要じゃ。時間もかかる。しかし、今、問題なのは商人と契約している山菜の収穫じゃ。山菜の旨い時期は短いからのう」
そういって髭を撫でた。
「危険な事は分かっておる。分かっておるが、未来の生活のためにも山菜の収穫をしなければならん。契約を破って信用を失うこともこれからの生活の為に避けねばならんのじゃ」
「でも、倒すのを待っていたら時期はすぎちまう」
「倒したところで、すぐに出てくるだろうしなぁ」
ここしばらくの間、歪虚は間をおかずに山に出没していた。
族長は再び沈黙し、考え込んだ。
ハンターオフィス
「つまり、山菜採りをする間、歪虚から守ってほしいという依頼、ですか」
ハンターオフィスの受付係は、内容を確認する。
「はい、そうです」
紫髪の少女ツアンプ・シェノグ(kz0170)は頷いた。
「その、山菜採りを延期されて安全の確保をしてからではいかがですか?」
「それでは、間に合いません! 山菜と言っても私たちシェノグ族にとっては重要な交易品なんです。これが採れるかどうかで、来年、いえ今年の生活が変るんです。」
受付係のもっともな意見にツアンプは強く反論する。
目撃されるたびに雑魔討伐の依頼は出され、その都度、退治されているがすぐに出てくるのだとツアンプは言った。
「原因から断つことが必要な事は分かっています。でも、今は山菜収穫を急がないと生活が成り立たない。お願いします……」
言葉の最期の部分は泣き声交じりだった。受付係はそっとハンカチを差し出す。
「ここに来る間に、襲われたりして怪我はありませんか?」
怪我があるようには見えないが、歪虚が徘徊する山から出てきたというのだから確認したほうがいいだろうと受付係はツアンプに訊ねる。
「はい、それは大丈夫です。なぜか歪虚は村よりも下には出ないんです。今のところ村にも侵入していません。本当に私たちが山菜や薬草を採りに行く場所にばかり出るのです。おかげで採集に出かけた仲間が何人か……。どうかよろしくお願いします」
ツアンプは深く一礼した。
嬉しそうな男の声が響いていた。
声の主は、つば広の黒い帽子、全身を覆う黒いマントに長い嘴のある白い革製の仮面という姿だった。無彩色の姿の中、帽子と胸元に大きな向日葵が鮮やかに咲いている。
廃墟の薄暗がりに掛けられた少女の肖像画を見上げて弾むように話しかけている。
男は、とても喜んでいた。こんなに喜ばしいのはお嬢様を失って以来のはずだ。
「お嬢様、よいご報告が出来てこのディーナーとても嬉しく思います。やっと、やっとお嬢様ともう一度お会いできる日が近づいてきたとご報告できる、そんな気がいたします。勿論、克服すべき課題は多々ございますが……」
と言って、視線を足元に下げる。枯れてしまった雑魔の残骸がサラサラと乾いて朽ちていくのが見えた。
「とても人らしい顔でした。青白かった皮膚に紅みがさしていて。ええ、お嬢様の花のような笑顔には及びませんが無表情の人形の様な顔とは違います。些細な違いですが、前進は前進です。残念ながらすぐに枯れてしまいましたが、もっともっとマテリアルを集めて、必ずお嬢様ともう一度……」
肖像画の中の少女に報告を続ける。マテリアルの集め方、克服すべき点、いつかの思い出と話が進んだところで、口調が怒気に変った。
「そうシェノグ族です! あいつら十年前、お嬢様を見捨てただけでなく、また私とお嬢様の邪魔をする! ハンターを雇って私の実験の邪魔を! このままにしておくわけにいきません! お嬢様の味わった絶望と死の恐怖を思い知らせてやります! じわじわと、じわじわと大切なものを失った怒りを―」
辺境の山の中 シェノグ族の村
緑の眩しい季節。
例年、村は毎日がお祭りのような騒がしい雰囲気に包まれて村中総出で、時にはハンターの手も借りて薬草や山菜の収穫に目を回す大忙しの毎日、のはずだった。
今年は重苦しい空気が村を覆い、大半の部族の人間は家に閉じこもり、外に出ている者も村の広場で身を寄せ合って暗く話し合いをしていた。
「どうする今週中にも残りを採集しないと育っちまう。季節が終わるぞ」
「分かってるさ。採れるなら山に入っているさ」
「あと少し収穫できれば、商人との契約も果たせるんだが」
「今年は、ここまでか……」
「無理って、お前なぁ! 諦めてどうする。採集して稼がないと生活が立ちいかないぞ!」
「しかし、歪虚がいたんじゃ……」
「この前少し様子を見てくるって山に入って、フードを被った歪虚に襲われた奴がいたじゃないか」
「一緒に弓を構えた歪虚だとか、剣を持った歪虚もいたらしい」
「山に何がいるってんだ。何度、退治しても歪虚が現れる」
「命あっての物種さ、諦めるしかないかなぁ」
悲観的な空気が支配する中、諦めきれない男性が声を張り上げる。
「十年前を忘れたか! 収穫ができなくて苦しくなった生活を! やっと余裕が出来たってのに。二の舞だ」
「あの時とは違うじゃないか。十年前は村がもえ……」
「そこまでじゃ。みなまで言わんでいい」
議論の輪の中で沈黙していた長い髭の族長が口を開いた。広場が静かになり、話し合いに参加していた人々が族長の言葉を待つ。
「歪虚が現れれば、ハンターに依頼して倒してもらう。今までどうりじゃ」
「族長。それじゃ、変わりませんよ。奴らすぐに現れる。元を断たないと」
一人が反論した。
去年から、何度か雑魔が出現しそのたびにハンターに討伐してもらった。
特に沢に出た歪虚を退治してくれたハンターによると歪虚はみな同じ顔をしていたという。つまり、どこかにくり返し出現する「原因」があるのだ。
その原因を断たない限り歪虚はくり返し現れてシェノグ族の生活を脅かす。それは族長にも分かっていた。
「それには調査が必要じゃ。時間もかかる。しかし、今、問題なのは商人と契約している山菜の収穫じゃ。山菜の旨い時期は短いからのう」
そういって髭を撫でた。
「危険な事は分かっておる。分かっておるが、未来の生活のためにも山菜の収穫をしなければならん。契約を破って信用を失うこともこれからの生活の為に避けねばならんのじゃ」
「でも、倒すのを待っていたら時期はすぎちまう」
「倒したところで、すぐに出てくるだろうしなぁ」
ここしばらくの間、歪虚は間をおかずに山に出没していた。
族長は再び沈黙し、考え込んだ。
ハンターオフィス
「つまり、山菜採りをする間、歪虚から守ってほしいという依頼、ですか」
ハンターオフィスの受付係は、内容を確認する。
「はい、そうです」
紫髪の少女ツアンプ・シェノグ(kz0170)は頷いた。
「その、山菜採りを延期されて安全の確保をしてからではいかがですか?」
「それでは、間に合いません! 山菜と言っても私たちシェノグ族にとっては重要な交易品なんです。これが採れるかどうかで、来年、いえ今年の生活が変るんです。」
受付係のもっともな意見にツアンプは強く反論する。
目撃されるたびに雑魔討伐の依頼は出され、その都度、退治されているがすぐに出てくるのだとツアンプは言った。
「原因から断つことが必要な事は分かっています。でも、今は山菜収穫を急がないと生活が成り立たない。お願いします……」
言葉の最期の部分は泣き声交じりだった。受付係はそっとハンカチを差し出す。
「ここに来る間に、襲われたりして怪我はありませんか?」
怪我があるようには見えないが、歪虚が徘徊する山から出てきたというのだから確認したほうがいいだろうと受付係はツアンプに訊ねる。
「はい、それは大丈夫です。なぜか歪虚は村よりも下には出ないんです。今のところ村にも侵入していません。本当に私たちが山菜や薬草を採りに行く場所にばかり出るのです。おかげで採集に出かけた仲間が何人か……。どうかよろしくお願いします」
ツアンプは深く一礼した。
リプレイ本文
「よろしくお願いします」
ツアンプ・シェノグ(kz0170)が丁寧な挨拶をした。彼女の後ろには大きな山菜採り用の籠を持ち、不安そうな表情をしたシェノグ族が並んでいる。
「お任せください、皆さま」
レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は普段から家事全般を任されている身として生活を護るその大事さをよく知っていた。
「十分採取できるまで護衛するからね。任せて」
霧雨 悠月(ka4130)は五人が安心できるように言う。
「山菜は酒のツマミにも良いですからね。流通は止めさせませんよ」
月影 葵(ka6275)は山菜とお酒の取り合わせを想像して楽しそうだった。
「お姉ちゃん、またお酒の事考えてるー。もう! 弱いのにどうしてそんなに飲みたがるのかなぁ」
Honor=Unschuld(ka6274)は姉の笑顔を見て今晩、飲みすぎないように釘を刺そうと思った。
「やっぱり自然の中はいいですね」
ナナセ・ウルヴァナ(ka5497)はんんー、と背伸びをした。元は森住まいの部族出身のため山の中は落ち着くのだ。
「たくさん採れるといいですね!」
ナナセはツアンプに話しかける。
「はい本当に」
ツアンプはリーダーの緊張と責任感から表情が硬かった。
「村より下には現れないのが不思議ですね。このあたりが縄張りなんでしょうか」
ナナセは借りた手書きの地図を見て敵襲のありそうな方向や警戒範囲を大雑把に思い浮かべる。地図を参考に採集場所と歪虚の遭遇地点を重ねてみると重なる部分が多い。
「今までの歪虚について同じ特徴がないか気付いた点、疑問点なんでも構いません。何か思いつくことはありませんか」
葵も部族に問いかけた。
「他に集落はないんでしょうか」
ナナセが言う。
「縄張りか分かりませんが村よりも奥、古い採集場所の方が遭遇します。似た顔の歪虚だと……。他に居住地はありません」
ツアンプが真面目に答えていく。
「山菜の取り方について教えていただけませんか」
葵が軽い話題を、と話しかける。五人が話に乗ってきて緊張していた雰囲気がほぐれる。
「生活がかかっているから大変だね」
悠月が言った。
「何度退治してもすぐにまた現れる、か」
岩井崎 旭(ka0234)が難しい表情をした。
「頻度が上がったのはここ最近のようね。過去の事件は全て村の外で起きているわ」
マリィア・バルデス(ka5848)は出発前にハンターオフィスで目を通してきた部族が遭遇した依頼を思い返した。
「山に入ると襲ってくる雑魔なぁ。近くに人が住んでるとなれば追ってきそうなもんだがな」
五黄(ka4688)も会話に加わる。
「近くになんかあんだろーけど、別んとこには全然出ないでシェノグ族ばっか被害にあってるってのも変な話じゃね?」
旭が疑問を口にする。
「襲ってくる歪虚の目的も気になるね。人を襲うだけなら村の方に現れてもおかしくない筈だし」
悠月が言って考え込む。
旭は打ち合わせ中のツアンプに相談を持ちかけ部族の古着と山菜採り道具を借り受けた。鎧の上から羽織ってハルバードは布を巻いて柄の長い鎌と一緒に持って武器とは見えないように偽装した。最後に部族の象徴だという赤い鞭を身に着ける。
「シェノグ族狙い、にしても村が襲われてるとかでもねーんだよなぁ。ま、用心はしとくべきか」
と旭は呟いた。
「まぁ今回は別目的だ。きっちり仕事しねぇとな」
考え込む一行に五黄が言って雰囲気を変えた。
「万難を排して皆様と山菜をお護り致します」
とレイが五人に言った。
踏み固められた細い道が地形に沿って続く。
「流石に慣れない山の中じゃ馬だのバイクだのはやめといた方がいいか」
五黄は部族の歩くペースに合わせて山を歩く。周辺を警戒することも怠らない。
「たくさん採れるといいですね!」
ナナセは徒歩で同伴し暗い雰囲気を明るくするため部族に積極的に話しかけている。
「貴方たちが依頼人で生活もかかっていることはわかっているけど一人で勝手に沢に下りたり木陰や岩陰に近づいたりするのは避けてほしいの。いくら私たちが警戒していても待ち伏せを完璧に防げるわけではないわ。誰一人怪我することなく帰るためにも貴方達に協力をお願いしたいのよ」
マリィアが部族に行動について言った。邪魔をしたいわけではない。部族全員の無事な帰還のためにもお願いしたいと。
「命と村の未来を守るためにも守り易い様動いては頂けませんか?」
葵も一塊になって端から一点集中採取し移動の繰り返しでバラバラに行動しないようにと言った。
野原に到着しさっそく山菜採りを始める。ハンター達に忠告されたように一か所に固まって作業を開始する。
「離れすぎないこと、理由があって離れる場合は必ず声をかけること、決して一人にならんようにな」
五黄は厳しい口調で五人に言うと自身は周辺警戒に努めるため行動した。
「それじゃ護衛は任せてください!」
ナナセは山菜摘みに混ざらずに、野原の外周を巡回する。草は低く見通しはいい。
以前に歪虚に襲われた場所だろうか草が倒れたり荒れている場所が、何か所か見えた。
「おかしいとこないか見ててね。敵が出たらお姉ちゃんのペットさん達と一緒に避難だよ!」
ペットの頭を撫でながらHonorは言った。
「ボクは周辺警戒! 行ってくるね!」
ペットたちを共に部族の周囲に残すとHonorは馬を使って野原を横断する。何かおかしいところはないかと確認した。
「ふーん、こういう物も交易品になるんだ。勉強になるな」
悠月が山菜採りの手元を覗き込みながら言った。
ツアンプが手を動かしながら楽しみにしてくれる人もいると答える。
「いい天気だね。こうして仕事してると何だか歌を歌いたくなるよね」
まだ歪虚の気配はない。このまま終われば気持ちいいピクニックの様に終わるだろう。悠月は護衛対象から目を離さず話し声の届く距離を保っている。
「何かおかしかったら知らせて下さいね」
葵は言って道具を借りると部族に交じって山菜摘みを始めた。ペットたちを自分たちの周囲に置く。自分も違和感を感じればすぐに覚醒できるように気をつける。
「これがワラビだな」
「そちらがゼンマイですね」
部族の古着を着て部族に変装している旭は五人に交じって山菜摘みをしていた。ツアンプが摘む山菜を教えている。
「山菜採り楽しいよな」
旭も山菜採りが好きだが目立ってしまっては意味がないと興奮を抑えて山菜を摘んでいる。
「来年以降も山菜狩りは行うはずです。できる限り踏み荒らしたくありませんね」
レイは摘んでいる手元を確認しつつ警戒に当たった。戦闘が起きた時に踏み荒らさないようにするため目的の山菜のある場所を覚えていく。
「何事もないのが一番ですけどどうでしょうね」
ナナセは野原にぽつんと生えている木に登って周囲を見渡した。
マリィアは全体を見渡せるように山菜摘みからは離れた場所から部族の安全を確認する。気になるときには直感視を使用し観察の目を走らせる。
「あれは。来たわ!」
マリィアの視界に人影が森から出てくるのが見えた。
「来ました、敵襲です!」
ナナセは森の淵に人影を捉える。人影の外見がフードにサボテン、紫の手袋と事前情報一致することを確認すると仲間へ警告を促し木から飛び降りて戦闘準備に入る。
レイは警告を聞いて覚醒し超聴覚を使用、状況確認すると五人に駆け寄って直衛として敵の攻撃に備えた。
「ツアンプ様。私達の後方へ。皆様を取りまとめ周囲の警戒もお願いします」
ツアンプに言って五人を一か所にまとめさせる。
一人立ち上がって敵を見て固まってしまっていた。五人から悲鳴が上がる。
古着を着て変装している旭は、敵から見えないようにハルバードを握って囮になるためふらりと離れてしまうように前へ出る。
「5人とも集まってしゃがんで、早く!」
マリィアは五人に警告をだし歪虚との間に入り込んでマシンガンを構えた。
「お客さんが来た見たいだ。招かれざる客がね」
敵の見た目は人の姿をしていて超聴覚を使用して移動する音を聞いてみると七人くらいが向かってきている様だった。
「シェノグ族の皆さんはバラバラにならないように、全て退治するまでの辛抱です」
五人を振り返って悠月は安心するように声を掛けて前線へ出て行く。
「すぐ動けるよう籠は常に持っていてください。ペットは邪魔にならない所へ。敵から遠ざかる様に一塊で移動を。護衛から離れないように」
葵も五人に素早く動けるように指示を出す。
「大丈夫。守ると言った以上、必ずお守り致します」
籠を握りしめて怯えている五人に笑顔で声を掛けた。彼らが頷くのを確認すると葵は剣を抜いた。
「フードが本命ですね」
レイは部族に近づこうとするフードの動きを見て敵の本命と判断した。
「近寄らせないもん!」
Honorは敵襲と聞いて大きな魔導銃を構える。部族と敵の間に入って雨霧のように銃弾をばら撒いて敵を近寄らせないように牽制した。
敵はHonorの攻撃を避けると手薄な方向へ大きく回り込むように移動する。
「見張りのお手伝いお願いです」
肩にしがみついている妖精さんにお願いすると、高速射撃をして離れるように移動する少女を狙う。
「させるか!」
闘心昂揚をした五黄は走り込んで先頭を移動するサボテンにクラッシュブロウを叩き込む。
少女はギリギリ避けると、レイピアを構えて五黄に対峙した。紫手袋のジキタリスたちが放った矢は五黄に刺さる。
「くっ!」
傷は浅かったが矢にドロリとした紫の液体が付着していて傷口がピリピリと痛む。
「矢に毒がある! 気をつけろ!」
五黄は毒に抵抗しながら仲間に警告を発した。
フードは固まっている部族へ走り寄ってくる。
「かかったな!」
一人前に出ていた部族、古着を来た旭にフードが殺到してきた。
「熱砂の風纏い!」
旭は攻撃的なマテリアルを纏わせた一握りの灼熱のような一撃をフードに叩き込んだ。
フードは部族から攻撃を受けたと思ったのか驚いたらしく首を傾げていた。フードの下の顔は見えないが旭と奥の五人を見比べ武器を持っていない奥の方が襲いやすいと思ったらしい、そちらへ対象を変更する。
「させません!」
レイが五人の前に出てワイルドラッシュを繰り出しフードを近づけさせない。
「近寄らせません!」
マリィアは神罰銃パニッシュメントを引き抜くとサボテンたちが移動できないように制圧射撃を行った。
フードの方に移動しようとするサボテンを足止めする。
「やらせませんよ、っと!」
ナナセはジキタリスを双頭蛇で射貫いていく。
「さぁ、胸が高鳴るね。この昂る気持ちにキミは応えてくれるかな?」
悠月は日本刀白狼を構えサボテンと剣を合わせる。サボテンの渾身の一撃を難なくかわすと好戦的な笑顔を浮かべてサボテンを切り裂いた。
「ちんたら一人に構っていられんからな!」
五黄はクラッシュブロウを惜しまずにサボテンに叩き込んで止めを刺すとさっさと部族の方へと走って行った。
「寄らば斬る。遠ければ撃つ。それだけです」
葵は剣を構え、近寄ってくるサボテンに疾風剣を放った。
悠月はサボテンを倒しながら疑問に思った。この歪虚の狙いは何なのだろうか。自分達よりも部族へと向かっている。
旭は籠を下ろして身軽になるとハルバードを構えて少女と対峙して撃退を開始する。
「変ですね」
シェノグ族を庇いながらレイは呟いた。フードは部族ばかりを重点的に狙っていた。何か部族とそれ以外を見分けている何かがあるのだろうか。
「シェノグ族の証的な物はありますか?」
同じ疑問を持った葵が確認をすると赤い鞭だという。
「ツアンプ様。その鞭お借りできますか?」
レイが鞭を受け取りフードの少女へこれ見よがしに翳した。フードはレイの持つ鞭を見るとレイに向かってくる。
「他の方も鞭を貸してください。護衛はお任せを。敵はお願いしますね」
葵が他からも鞭を集めて集まってきた味方に手渡していく。
五黄はフードにノックバックを叩き込んで部族と距離を開けた。
Honorは瞬脚を使用し距離を詰めてフードと対峙する。距離を詰めてくる敵からドッジダッシュを使用して間合いを保った。
「吼え猛る爆突風!」
旭はハルバードを振り抜いた。重い一撃を部族に接近していたフードに叩き込んで引き離す。
「やっぱり気になるよね?」
Honorは気になるもん! と倒れたフードに近寄ると「えいっ!」とフードをはいだ。フードの中には、サボテンやジキタリスと同じ顔をした少女の顔があった。大きい目に長い睫毛、笑顔を浮かべていれば誰からも好意を寄せられる可愛らしい少女だったろう。しかし、その無表情な顔はよくできた人形の様だった。
フードは姿を保てなくなったのか、Honorが観察しているとサラサラと枯れて消えていった。
「植物交じりの人型で武器を使うヴォイド? 何がどうしたらこんなんが発生する」
旭のもっともな意見に皆が頷いた。
「退治完了かな、帰り道も、周囲警戒しながら帰ろう」
悠月はジキタリスが倒された事を確認し、部族の側までやってきた。
「たくさん採れました?」
五人に向かって安心させるように微笑んだ。
襲撃してきた雑魔を倒し、山菜採取を終わらせた一行は無事に村まで戻ってきた。
葵は族長の家の台所を借りて、山菜とは別に採ってきた野草を調理していた。お疲れ様ですと言って、みんなに振る舞う。野草と部族のお茶を前に、皆で歪虚について報告をしていた。
「ノルマに足りなければ山菜セットを使っていただけないでしょうか」
「使ってほしいな。皆の笑顔のためになるならそれが一番だもん!」
葵とHonorは山菜セットを出して提案した。
「皆様のおかげで十分採集できましたのでお気持ちだけで十分です。ありがとうございます」
二人の申し出にツアンプが丁重に対応する。
「今回はとりあえずで対応したがあまり良い状態とは言えんな。生活の目途が立ったら、早めに調査依頼でも討伐依頼でも出すことを勧めとくぜ。襲撃された村の救援依頼なんてのは勘弁してくれよ」
五黄はお茶を飲みながら族長に提案する。
「もちろん。早いとこ安心したいもんですじゃ」
族長は早急に依頼を出すことを約束する。
「ところで貴方達あの歪虚の顔に見覚えがあったりしないかしら? 似た顔ばかりってことは作りこんだ誰かがいると思うの。貴方達の記憶が頼りなのよ」
マリィアが集まっている村人たちに訊ねる。
「人をモチーフにした雑魔は珍しい。何か見覚えなどは?」
レイも補足する。
「こんな感じの顔だったよ!」
Honorが記憶を頼りに描いた似顔絵を見せる。大まかな特徴は捉えられている絵だった。
若い世代はうーんと首をひねっている様子だったが、大人たちはもしかしてとざわついている。
「お嬢様、かもしれんの」
族長がポツリとつぶやいた。
ツアンプ・シェノグ(kz0170)が丁寧な挨拶をした。彼女の後ろには大きな山菜採り用の籠を持ち、不安そうな表情をしたシェノグ族が並んでいる。
「お任せください、皆さま」
レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は普段から家事全般を任されている身として生活を護るその大事さをよく知っていた。
「十分採取できるまで護衛するからね。任せて」
霧雨 悠月(ka4130)は五人が安心できるように言う。
「山菜は酒のツマミにも良いですからね。流通は止めさせませんよ」
月影 葵(ka6275)は山菜とお酒の取り合わせを想像して楽しそうだった。
「お姉ちゃん、またお酒の事考えてるー。もう! 弱いのにどうしてそんなに飲みたがるのかなぁ」
Honor=Unschuld(ka6274)は姉の笑顔を見て今晩、飲みすぎないように釘を刺そうと思った。
「やっぱり自然の中はいいですね」
ナナセ・ウルヴァナ(ka5497)はんんー、と背伸びをした。元は森住まいの部族出身のため山の中は落ち着くのだ。
「たくさん採れるといいですね!」
ナナセはツアンプに話しかける。
「はい本当に」
ツアンプはリーダーの緊張と責任感から表情が硬かった。
「村より下には現れないのが不思議ですね。このあたりが縄張りなんでしょうか」
ナナセは借りた手書きの地図を見て敵襲のありそうな方向や警戒範囲を大雑把に思い浮かべる。地図を参考に採集場所と歪虚の遭遇地点を重ねてみると重なる部分が多い。
「今までの歪虚について同じ特徴がないか気付いた点、疑問点なんでも構いません。何か思いつくことはありませんか」
葵も部族に問いかけた。
「他に集落はないんでしょうか」
ナナセが言う。
「縄張りか分かりませんが村よりも奥、古い採集場所の方が遭遇します。似た顔の歪虚だと……。他に居住地はありません」
ツアンプが真面目に答えていく。
「山菜の取り方について教えていただけませんか」
葵が軽い話題を、と話しかける。五人が話に乗ってきて緊張していた雰囲気がほぐれる。
「生活がかかっているから大変だね」
悠月が言った。
「何度退治してもすぐにまた現れる、か」
岩井崎 旭(ka0234)が難しい表情をした。
「頻度が上がったのはここ最近のようね。過去の事件は全て村の外で起きているわ」
マリィア・バルデス(ka5848)は出発前にハンターオフィスで目を通してきた部族が遭遇した依頼を思い返した。
「山に入ると襲ってくる雑魔なぁ。近くに人が住んでるとなれば追ってきそうなもんだがな」
五黄(ka4688)も会話に加わる。
「近くになんかあんだろーけど、別んとこには全然出ないでシェノグ族ばっか被害にあってるってのも変な話じゃね?」
旭が疑問を口にする。
「襲ってくる歪虚の目的も気になるね。人を襲うだけなら村の方に現れてもおかしくない筈だし」
悠月が言って考え込む。
旭は打ち合わせ中のツアンプに相談を持ちかけ部族の古着と山菜採り道具を借り受けた。鎧の上から羽織ってハルバードは布を巻いて柄の長い鎌と一緒に持って武器とは見えないように偽装した。最後に部族の象徴だという赤い鞭を身に着ける。
「シェノグ族狙い、にしても村が襲われてるとかでもねーんだよなぁ。ま、用心はしとくべきか」
と旭は呟いた。
「まぁ今回は別目的だ。きっちり仕事しねぇとな」
考え込む一行に五黄が言って雰囲気を変えた。
「万難を排して皆様と山菜をお護り致します」
とレイが五人に言った。
踏み固められた細い道が地形に沿って続く。
「流石に慣れない山の中じゃ馬だのバイクだのはやめといた方がいいか」
五黄は部族の歩くペースに合わせて山を歩く。周辺を警戒することも怠らない。
「たくさん採れるといいですね!」
ナナセは徒歩で同伴し暗い雰囲気を明るくするため部族に積極的に話しかけている。
「貴方たちが依頼人で生活もかかっていることはわかっているけど一人で勝手に沢に下りたり木陰や岩陰に近づいたりするのは避けてほしいの。いくら私たちが警戒していても待ち伏せを完璧に防げるわけではないわ。誰一人怪我することなく帰るためにも貴方達に協力をお願いしたいのよ」
マリィアが部族に行動について言った。邪魔をしたいわけではない。部族全員の無事な帰還のためにもお願いしたいと。
「命と村の未来を守るためにも守り易い様動いては頂けませんか?」
葵も一塊になって端から一点集中採取し移動の繰り返しでバラバラに行動しないようにと言った。
野原に到着しさっそく山菜採りを始める。ハンター達に忠告されたように一か所に固まって作業を開始する。
「離れすぎないこと、理由があって離れる場合は必ず声をかけること、決して一人にならんようにな」
五黄は厳しい口調で五人に言うと自身は周辺警戒に努めるため行動した。
「それじゃ護衛は任せてください!」
ナナセは山菜摘みに混ざらずに、野原の外周を巡回する。草は低く見通しはいい。
以前に歪虚に襲われた場所だろうか草が倒れたり荒れている場所が、何か所か見えた。
「おかしいとこないか見ててね。敵が出たらお姉ちゃんのペットさん達と一緒に避難だよ!」
ペットの頭を撫でながらHonorは言った。
「ボクは周辺警戒! 行ってくるね!」
ペットたちを共に部族の周囲に残すとHonorは馬を使って野原を横断する。何かおかしいところはないかと確認した。
「ふーん、こういう物も交易品になるんだ。勉強になるな」
悠月が山菜採りの手元を覗き込みながら言った。
ツアンプが手を動かしながら楽しみにしてくれる人もいると答える。
「いい天気だね。こうして仕事してると何だか歌を歌いたくなるよね」
まだ歪虚の気配はない。このまま終われば気持ちいいピクニックの様に終わるだろう。悠月は護衛対象から目を離さず話し声の届く距離を保っている。
「何かおかしかったら知らせて下さいね」
葵は言って道具を借りると部族に交じって山菜摘みを始めた。ペットたちを自分たちの周囲に置く。自分も違和感を感じればすぐに覚醒できるように気をつける。
「これがワラビだな」
「そちらがゼンマイですね」
部族の古着を着て部族に変装している旭は五人に交じって山菜摘みをしていた。ツアンプが摘む山菜を教えている。
「山菜採り楽しいよな」
旭も山菜採りが好きだが目立ってしまっては意味がないと興奮を抑えて山菜を摘んでいる。
「来年以降も山菜狩りは行うはずです。できる限り踏み荒らしたくありませんね」
レイは摘んでいる手元を確認しつつ警戒に当たった。戦闘が起きた時に踏み荒らさないようにするため目的の山菜のある場所を覚えていく。
「何事もないのが一番ですけどどうでしょうね」
ナナセは野原にぽつんと生えている木に登って周囲を見渡した。
マリィアは全体を見渡せるように山菜摘みからは離れた場所から部族の安全を確認する。気になるときには直感視を使用し観察の目を走らせる。
「あれは。来たわ!」
マリィアの視界に人影が森から出てくるのが見えた。
「来ました、敵襲です!」
ナナセは森の淵に人影を捉える。人影の外見がフードにサボテン、紫の手袋と事前情報一致することを確認すると仲間へ警告を促し木から飛び降りて戦闘準備に入る。
レイは警告を聞いて覚醒し超聴覚を使用、状況確認すると五人に駆け寄って直衛として敵の攻撃に備えた。
「ツアンプ様。私達の後方へ。皆様を取りまとめ周囲の警戒もお願いします」
ツアンプに言って五人を一か所にまとめさせる。
一人立ち上がって敵を見て固まってしまっていた。五人から悲鳴が上がる。
古着を着て変装している旭は、敵から見えないようにハルバードを握って囮になるためふらりと離れてしまうように前へ出る。
「5人とも集まってしゃがんで、早く!」
マリィアは五人に警告をだし歪虚との間に入り込んでマシンガンを構えた。
「お客さんが来た見たいだ。招かれざる客がね」
敵の見た目は人の姿をしていて超聴覚を使用して移動する音を聞いてみると七人くらいが向かってきている様だった。
「シェノグ族の皆さんはバラバラにならないように、全て退治するまでの辛抱です」
五人を振り返って悠月は安心するように声を掛けて前線へ出て行く。
「すぐ動けるよう籠は常に持っていてください。ペットは邪魔にならない所へ。敵から遠ざかる様に一塊で移動を。護衛から離れないように」
葵も五人に素早く動けるように指示を出す。
「大丈夫。守ると言った以上、必ずお守り致します」
籠を握りしめて怯えている五人に笑顔で声を掛けた。彼らが頷くのを確認すると葵は剣を抜いた。
「フードが本命ですね」
レイは部族に近づこうとするフードの動きを見て敵の本命と判断した。
「近寄らせないもん!」
Honorは敵襲と聞いて大きな魔導銃を構える。部族と敵の間に入って雨霧のように銃弾をばら撒いて敵を近寄らせないように牽制した。
敵はHonorの攻撃を避けると手薄な方向へ大きく回り込むように移動する。
「見張りのお手伝いお願いです」
肩にしがみついている妖精さんにお願いすると、高速射撃をして離れるように移動する少女を狙う。
「させるか!」
闘心昂揚をした五黄は走り込んで先頭を移動するサボテンにクラッシュブロウを叩き込む。
少女はギリギリ避けると、レイピアを構えて五黄に対峙した。紫手袋のジキタリスたちが放った矢は五黄に刺さる。
「くっ!」
傷は浅かったが矢にドロリとした紫の液体が付着していて傷口がピリピリと痛む。
「矢に毒がある! 気をつけろ!」
五黄は毒に抵抗しながら仲間に警告を発した。
フードは固まっている部族へ走り寄ってくる。
「かかったな!」
一人前に出ていた部族、古着を来た旭にフードが殺到してきた。
「熱砂の風纏い!」
旭は攻撃的なマテリアルを纏わせた一握りの灼熱のような一撃をフードに叩き込んだ。
フードは部族から攻撃を受けたと思ったのか驚いたらしく首を傾げていた。フードの下の顔は見えないが旭と奥の五人を見比べ武器を持っていない奥の方が襲いやすいと思ったらしい、そちらへ対象を変更する。
「させません!」
レイが五人の前に出てワイルドラッシュを繰り出しフードを近づけさせない。
「近寄らせません!」
マリィアは神罰銃パニッシュメントを引き抜くとサボテンたちが移動できないように制圧射撃を行った。
フードの方に移動しようとするサボテンを足止めする。
「やらせませんよ、っと!」
ナナセはジキタリスを双頭蛇で射貫いていく。
「さぁ、胸が高鳴るね。この昂る気持ちにキミは応えてくれるかな?」
悠月は日本刀白狼を構えサボテンと剣を合わせる。サボテンの渾身の一撃を難なくかわすと好戦的な笑顔を浮かべてサボテンを切り裂いた。
「ちんたら一人に構っていられんからな!」
五黄はクラッシュブロウを惜しまずにサボテンに叩き込んで止めを刺すとさっさと部族の方へと走って行った。
「寄らば斬る。遠ければ撃つ。それだけです」
葵は剣を構え、近寄ってくるサボテンに疾風剣を放った。
悠月はサボテンを倒しながら疑問に思った。この歪虚の狙いは何なのだろうか。自分達よりも部族へと向かっている。
旭は籠を下ろして身軽になるとハルバードを構えて少女と対峙して撃退を開始する。
「変ですね」
シェノグ族を庇いながらレイは呟いた。フードは部族ばかりを重点的に狙っていた。何か部族とそれ以外を見分けている何かがあるのだろうか。
「シェノグ族の証的な物はありますか?」
同じ疑問を持った葵が確認をすると赤い鞭だという。
「ツアンプ様。その鞭お借りできますか?」
レイが鞭を受け取りフードの少女へこれ見よがしに翳した。フードはレイの持つ鞭を見るとレイに向かってくる。
「他の方も鞭を貸してください。護衛はお任せを。敵はお願いしますね」
葵が他からも鞭を集めて集まってきた味方に手渡していく。
五黄はフードにノックバックを叩き込んで部族と距離を開けた。
Honorは瞬脚を使用し距離を詰めてフードと対峙する。距離を詰めてくる敵からドッジダッシュを使用して間合いを保った。
「吼え猛る爆突風!」
旭はハルバードを振り抜いた。重い一撃を部族に接近していたフードに叩き込んで引き離す。
「やっぱり気になるよね?」
Honorは気になるもん! と倒れたフードに近寄ると「えいっ!」とフードをはいだ。フードの中には、サボテンやジキタリスと同じ顔をした少女の顔があった。大きい目に長い睫毛、笑顔を浮かべていれば誰からも好意を寄せられる可愛らしい少女だったろう。しかし、その無表情な顔はよくできた人形の様だった。
フードは姿を保てなくなったのか、Honorが観察しているとサラサラと枯れて消えていった。
「植物交じりの人型で武器を使うヴォイド? 何がどうしたらこんなんが発生する」
旭のもっともな意見に皆が頷いた。
「退治完了かな、帰り道も、周囲警戒しながら帰ろう」
悠月はジキタリスが倒された事を確認し、部族の側までやってきた。
「たくさん採れました?」
五人に向かって安心させるように微笑んだ。
襲撃してきた雑魔を倒し、山菜採取を終わらせた一行は無事に村まで戻ってきた。
葵は族長の家の台所を借りて、山菜とは別に採ってきた野草を調理していた。お疲れ様ですと言って、みんなに振る舞う。野草と部族のお茶を前に、皆で歪虚について報告をしていた。
「ノルマに足りなければ山菜セットを使っていただけないでしょうか」
「使ってほしいな。皆の笑顔のためになるならそれが一番だもん!」
葵とHonorは山菜セットを出して提案した。
「皆様のおかげで十分採集できましたのでお気持ちだけで十分です。ありがとうございます」
二人の申し出にツアンプが丁重に対応する。
「今回はとりあえずで対応したがあまり良い状態とは言えんな。生活の目途が立ったら、早めに調査依頼でも討伐依頼でも出すことを勧めとくぜ。襲撃された村の救援依頼なんてのは勘弁してくれよ」
五黄はお茶を飲みながら族長に提案する。
「もちろん。早いとこ安心したいもんですじゃ」
族長は早急に依頼を出すことを約束する。
「ところで貴方達あの歪虚の顔に見覚えがあったりしないかしら? 似た顔ばかりってことは作りこんだ誰かがいると思うの。貴方達の記憶が頼りなのよ」
マリィアが集まっている村人たちに訊ねる。
「人をモチーフにした雑魔は珍しい。何か見覚えなどは?」
レイも補足する。
「こんな感じの顔だったよ!」
Honorが記憶を頼りに描いた似顔絵を見せる。大まかな特徴は捉えられている絵だった。
若い世代はうーんと首をひねっている様子だったが、大人たちはもしかしてとざわついている。
「お嬢様、かもしれんの」
族長がポツリとつぶやいた。
依頼結果
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相談卓・山菜摘みガーディアンズ マリィア・バルデス(ka5848) 人間(リアルブルー)|24才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/05/18 00:06:33 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/16 22:22:27 |