ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】東方茶屋で休憩を
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2016/05/25 19:00
- 完成日
- 2016/06/08 01:43
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●青竜紅刃流の門下生たち
同盟領ジェオルジの寒村「タスカービレ」が慌ただしい。
「師範たちの護衛任務が好評だったらしい」
「いや、師範たちがちんぴらと変態をのしたのがよかったって話しじゃねえ?」
「違うよ、チンピラに絡まれて困ってた店を助けて、そのお礼に東方茶屋を隅っこで出すことができて……」
「それがなかなか評判だった、ってこと」
どたばた、どたばたとロッソ移民集会所を兼ねたログハウス風道場で行き交いつつ話す。
「とにかく、今日の稽古は休止。師範たちからも東方茶屋開店の手伝いをしろと指示が来た。全員出るぞ!」
ハンターたちが師範という事情もあり、留守に皆をまとめる師範代が声を張る。
運ぶ物は、急遽作った杵と臼。大豆からきな粉も作るので、すりこぎとすり鉢も。
東方をイメージするので、赤い繊毛に店員として働く人数分の和服や中華服。
門下生がどんどん馬車に詰め込んでいく。
「ほかに何がいる?」
師範代、元からの住民たる老人に聞く。
「東方風の茶飲みとかは焼いて用意した。それもじゃ」
「もちろん、タスカービレ自慢の白茶や緑茶も運ばにゃの」
「ほかに東方風の小道具が必要なら自作してやる」
がはは、と笑い合う老人たち。住民流出が問題だった村に活気が戻ったのだ。うれしそうで、若々しくさえある。
「そういえば、メニューはどうするんだっけ?」
門下生の一人が首をひねる。
「ええと、先に開店したときはたしか……飲み物は緑茶に白茶、食べ物はきな粉餅だけだったとか聞いたな……」
「ま、開店する予定もなく各方面へのあいさつ用に持っていったものを使ったからねぇ」
つまり、最低限茶屋としてのメニューがあるだけだ。
「どうする、何か増やすか?」
「ほかに何ができます?」
門下生はロッソから移民した日系や中華系が大半だ。こういうのがあればいい、とは思うが西洋文化圏のこの村で材料がそろうかどうかが問題である。
「『あんこ』っていうのは教わったからできるな。米も小麦もソバ粉もある。タケはないんでタケノコちゅうのはないがの」
「よし、師範たちに伝えてこっちに来るときに何を出すか決めてもらおう。必要なのは調達してきてくれるはずだ」
「後は、屋台の店構えかな?」
「やっぱり赤い日除け傘を立てて赤い繊毛を敷いた長いすを屋台の前に並べるのがいいだろう」
「場所がとれるのか?」
門下生たちは老人たちを見る。
「中心部から外れてはおるが各地の催し会場に行く途中の場所を確保したぞぇ。移動途中にちょっと休むとかいう人にはぴったりじゃろ?」
「ちょうどバラも咲いておる」
「じゃが目的はあくまで、後日タスカービレまで観光にくる人を増やすことじゃ」
「そうそう。後は白茶の取り引きをポルカ商会などのほかにも増やすこと」
「緑茶も伸ばしたいの」
祭への出店にはそんな思惑もあるようだ。
で、そんな注文が青竜紅刃流師範のイ寺鑑(kz0175)の元にも届く。
「なるほど、『タスカービレ良いとこ一度はおいで』をやるわけね。……で、今回、魔術師協会広報室の変態出没情報はどうなってる?」
鑑、ハンターオフィス担当者に聞いてみる。
「祭も最高潮だからもうどんなのがでるのか分からない、ということです」
「何だかなぁ」
あくまで、魔術師協会広報室の一部の好き者が気まぐれでとっている統計なので突っ込まないように。
「それより前回の警備依頼で、『変態退治の青竜紅刃流』と評判が高まってますよ。頑張ってくださいね」
「な、何ィ?!」
くすくす笑う係員。半分からかっているのでご安心を。
とにかく、手柄は手柄であったようだ。
同盟領ジェオルジの寒村「タスカービレ」が慌ただしい。
「師範たちの護衛任務が好評だったらしい」
「いや、師範たちがちんぴらと変態をのしたのがよかったって話しじゃねえ?」
「違うよ、チンピラに絡まれて困ってた店を助けて、そのお礼に東方茶屋を隅っこで出すことができて……」
「それがなかなか評判だった、ってこと」
どたばた、どたばたとロッソ移民集会所を兼ねたログハウス風道場で行き交いつつ話す。
「とにかく、今日の稽古は休止。師範たちからも東方茶屋開店の手伝いをしろと指示が来た。全員出るぞ!」
ハンターたちが師範という事情もあり、留守に皆をまとめる師範代が声を張る。
運ぶ物は、急遽作った杵と臼。大豆からきな粉も作るので、すりこぎとすり鉢も。
東方をイメージするので、赤い繊毛に店員として働く人数分の和服や中華服。
門下生がどんどん馬車に詰め込んでいく。
「ほかに何がいる?」
師範代、元からの住民たる老人に聞く。
「東方風の茶飲みとかは焼いて用意した。それもじゃ」
「もちろん、タスカービレ自慢の白茶や緑茶も運ばにゃの」
「ほかに東方風の小道具が必要なら自作してやる」
がはは、と笑い合う老人たち。住民流出が問題だった村に活気が戻ったのだ。うれしそうで、若々しくさえある。
「そういえば、メニューはどうするんだっけ?」
門下生の一人が首をひねる。
「ええと、先に開店したときはたしか……飲み物は緑茶に白茶、食べ物はきな粉餅だけだったとか聞いたな……」
「ま、開店する予定もなく各方面へのあいさつ用に持っていったものを使ったからねぇ」
つまり、最低限茶屋としてのメニューがあるだけだ。
「どうする、何か増やすか?」
「ほかに何ができます?」
門下生はロッソから移民した日系や中華系が大半だ。こういうのがあればいい、とは思うが西洋文化圏のこの村で材料がそろうかどうかが問題である。
「『あんこ』っていうのは教わったからできるな。米も小麦もソバ粉もある。タケはないんでタケノコちゅうのはないがの」
「よし、師範たちに伝えてこっちに来るときに何を出すか決めてもらおう。必要なのは調達してきてくれるはずだ」
「後は、屋台の店構えかな?」
「やっぱり赤い日除け傘を立てて赤い繊毛を敷いた長いすを屋台の前に並べるのがいいだろう」
「場所がとれるのか?」
門下生たちは老人たちを見る。
「中心部から外れてはおるが各地の催し会場に行く途中の場所を確保したぞぇ。移動途中にちょっと休むとかいう人にはぴったりじゃろ?」
「ちょうどバラも咲いておる」
「じゃが目的はあくまで、後日タスカービレまで観光にくる人を増やすことじゃ」
「そうそう。後は白茶の取り引きをポルカ商会などのほかにも増やすこと」
「緑茶も伸ばしたいの」
祭への出店にはそんな思惑もあるようだ。
で、そんな注文が青竜紅刃流師範のイ寺鑑(kz0175)の元にも届く。
「なるほど、『タスカービレ良いとこ一度はおいで』をやるわけね。……で、今回、魔術師協会広報室の変態出没情報はどうなってる?」
鑑、ハンターオフィス担当者に聞いてみる。
「祭も最高潮だからもうどんなのがでるのか分からない、ということです」
「何だかなぁ」
あくまで、魔術師協会広報室の一部の好き者が気まぐれでとっている統計なので突っ込まないように。
「それより前回の警備依頼で、『変態退治の青竜紅刃流』と評判が高まってますよ。頑張ってくださいね」
「な、何ィ?!」
くすくす笑う係員。半分からかっているのでご安心を。
とにかく、手柄は手柄であったようだ。
リプレイ本文
●
「見事に何もないところだな」
現場に到着するなりイ寺鑑(kz0175)がぼやいた。
「ん、多くの人は通るようですけど……」
「皆急いでるな」
サクラ・エルフリード(ka2598)が言い淀み、ザレム・アズール(ka0878)がはっきり言う。
「その分、この広場を自由に使えるようです」
静かにたたずむ雀舟 玄(ka5884)は動じない。
「腰を据えてやりましょう」
今度はマリィア・バルデス(ka5848)が髪を払いながら言う。その辺に置いてあった長椅子に座り足を組む。
「よし」
ここでザレム、決心した。
「あそこに小川が流れている。足浴の場所にしよう。……そこの木陰の下には長椅子を。とにかく広く使って目に付くように、何をやっているか興味を引くようにする」
「あ、それいいね」
ザレムの提案にウーナ(ka1439)が乗った。
「目立つ分には任せてよね」
ざ、と背を向け両手を頭上に構えるウーナ。背後に「東方茶屋」の屋号が大きく。
そして背中から胸にかけて刺繍された昇竜がうねるようにくるりと回り正面を向くと……。
「しっかり興味を引くよ!」
はあっと強そうに正拳突きの構え。チャイナドレス「龍工」で客引きだ。
「わたしは餡子で新たなメニューを用意して……」
それに合わせ、狐中・小鳥(ka5484)もくるりと回りウーナの横に。
「接客に頑張るんだよ!」
こちらもチャイナ服だ。すいっ、と膝を腰の高さまで上げて片足立ち。
「……また変態の寄ってきそうな服だな」
これを見た鑑、二人の衣装のスリットの深さに突っ込む。
「前回ぶっとばしたからもう来ないでしょ?」
「東方の雰囲気は大事に、だよ」
ウーナと小鳥、正論で反論。
「変態でも剣呑な客でもいい」
ここで二人の前をパープルヘアの女性が横切った。
オレンジのパルム柄の着物で、両肘を上げて長い髪をポニーテールにまとめつつ。白い割烹着で袖はたすき掛けでしっかり固定。
そして腰に佩いた斬魔刀「祢々切丸」の長さが目を引く。
「……もしもそんな輩が来れば目立つことになるだろう」
クリスティン・ガフ(ka1090)である。
「そうですか。いろんな人が来ますか……」
それを聞いてサクラも態度を改めクリスティンの傍までやって来る。
「ん、では私もお店が成功するよう、邪魔をしに来る方の対応をさせて貰いますね…」
ぴしり、と捕縛用の綱を持ち構えてみせるが、その拍子に着込んだ着物「桜吹雪」の帯が緩み合わせがだらり。
「きゃ…」
「東方ではそういうのを『一肌脱ぐ』っていうんだったかしら?」
マリィアがいたずらそうに微笑しつつ聞いてみる。
「とにかくすぐに準備しよう」
「そうですね」
ザレムと玄、そう言って急ぐ。
おっと。玄が自分の着ている寂しげな色合いの着物「銀蝶」に何かしているぞ。
「それは?」
「……ああ。これは子供も来店すると思うので、装備してみました。どうでしょう?」
聞いたザレムの方に顔を上げて、彼女にしては珍しくほんの少しだけ誇らしい顔をした。
見ると、着物の帯ににゃにゃんと黒猫のぬいぐるみが引っかかるように付いていた。
「ああ。可愛いし、いいな」
「ある人から教わりました」
ザレムが目を細めると玄はすぐに元の表情に。
●
「あら、こんなところに何かある」
しばらくすると、会場間を移動する人たちが通り掛かり始めた。
「何かやってるし」
ぺったんと鑑が門下生と餅つきをしている。
「とりあえず餡こがあるならそれを使わない手はないよねー。きな粉の代わりにお餅に付けてもいいね♪」
小鳥はつきたての餅を小分けにして作り置きを量産している。
「……何だろう、『東方茶屋』? とにかく次の会場まで急ごう」
通り掛かった人はのぼり旗を見上げ、一応飲食屋台であることは理解するが、だからといって休憩はしない。馴染みがないからだ。
が。
「確かに私はリアルブルー出身だけど、なじみ深いお茶は紅茶だけなのよね。だから白茶も緑茶も興味あるわ。異世界で異国を感じるって面白いと思わない?」
「マリィアがそういうならそうなのだろう。この世界で異国を感じることができるのはありがたい」
湯を沸かしているマリィアとクリスティンの会話を聞いて足を止める客もいた。
「着物って初めて着るのですが変じゃないでしょうか…。ちょっと動きづらいです…」
「ああ、大丈夫だ。……よし、水出し麦茶ができたぞ。喉の渇きをいやして白米の握飯を頬張る。旅の友として絶対に欠かせないな」
んんん、と背後の帯の結びを気にしてうなじを晒すサクラと、それを励ましつつ麦茶の出来に満足そうなザレムの声。
「その猫耳は? 着物に必要ないが」
「これは……いつもの…」
艦に突っ込まれ赤面するサクラだったり。
「……猫喫茶」
この様子を見ていた玄、自分の帯につけた猫のぬいぐるみに目をやりそんなひとことをぽそり。
それはそれとして。
「いらっしゃいませだよ♪ 美味しいお茶とお餅を食べて休憩していってね♪」
小鳥の明るい声と笑顔。
「じゃ、少し休んでいくか」
最初の客が座ると、次々客が入るようになった。
さあ、忙しくなりそうだ。
「おうおう!」
しばらくするとそんな声が。
「誰の許可があってここで商売しよんなら?」
ならず者が遠くから声を張ってがに股で近寄ってきている。ゆっくりしている客に緊張が走る。
――ざっ。
「如何様か」
クリスティン、近付くならず者の行く手を塞ぐように仁王立ちした。
「何なら、貴様は」
「見てわかる通りそこなる店の呼び込みをやっている」
堂々と言い放つクリスティン。
「待て。そりゃ何だ?」
「これか? 割烹着という」
「違う! 腰の斬馬刀だ!」
「斬魔刀、だな。騒ぎを起こすなら私が相手してやる、ただし気がすんだら呼び込みを手伝え」
「そっちの気がすんだら俺っちに付き合えよ?」
そんなこんなで双方抜刀。切り込む。
――かきぃ……ん。
「ひ、ひぃぃ」
ならず者、刀を弾かれ逃げ出した。
「やるねぇ。セラータ・スパーダのグランジだ。俺にも付き合ってくんねぇか?」
圧倒したクリスティンに近寄る髭面のおっさん。ただし、名の通ったならず者の頭目であるようで、周囲の住民がビビり始めている。
「いいだろう。気がすんだら呼び込み……」
「三段突きっ!」
距離はあったが剣を構えいきなり突っ込んできた。突撃系の技だ。
「いいだろう、『流歩』!」
クリスティンも突撃。真っ向勝負に応じたッ!
「むおッ?!」
――ガッ!
大きな音がして通り過ぎた二人。クリスティン、すぐさま振り向く。
「まだだ。私の天剣絶刀は止まらんぞ」
「負けたよ。……いやあ、楽しかった。素直に客になろう」
あっさり引くグランジ。もともと客として来たようだ。
「あのグランジの剣を納めさせたぞ」
周りでは驚嘆の声が上がっていた。
●
さて、しばらく屋台は平和だ。
「小豆…ほとんど食べたことないわね。あれって苦くてスープにもサラダにも入れにくいじゃない」
「そう思うでしょ? それが違うんだよー」
マリィアの疑問に餡子でくるんだ牡丹餅を出す小鳥。
「…柔らかいし甘いわね。へぇぇ、これは茹で零してかなり砂糖を入れて煮たのかしら?」
「そうなんだよー。印象が変わってびっくりだよねー」
二人のそんなやり取りを見る客たち。
「わ、わしもそれを頼む」
「こっちも牡丹餅お願い」
「ありがとうなんだよー」
商売繁盛である。
そんな中で。
「はっ!」
殺気を感じてウーナが小太刀を抜いて身をひねった。
「惜しい。もうちょっとで龍を串刺しにできたのに」
眠そうな男が突きを繰り出していたのだ。
「ちょっといきなり何!」
「ボスがここにいるって聞いた。ボクはエドアム」
セラータ・スパーダ一味らしい。
「女性の胸を襲うから変態と思ったじゃない!」
あまりに近かったため、小太刀を捨て拳銃の銃床で殴り掛かる。
「龍がカッコよかっただけ。……それより、店員がそんなことしていいの?」
「屋台の運営ってウェイトレスしながら、ならずものや変態集団をブチのめしていく事だよね?」
にっこりとこたえるウーナ。銃床でぐわしー、と地面に叩き付けた姿勢のままだ。
「そう? 面白そうだし、客になる」
起き上がったエドアム、素直に足浴に向かう。
「ま、こっちが専門だから……わっ!」
「おお、これは噂に違わず」
気付くと太腿にぞわぞわと悪寒。スリット深度計測隊に取り付かれているではないか。
この時、玄。
「いらっしゃいませ。ご注文は何にしましょう」
「太腿ばさみ」
「……」
玄、はあはあと息の荒い男性客の注文に沈黙。
「そのようなものは……」
「でも、東方茶屋なら太腿で挟んでもらえるという噂を聞いて……」
これを背中越しに耳にしたウーナ、ぐぐぐと拳を固め怒りを溜め込む。
「もうちょっとこの切れ込み、上げてみていいですか?」
「変な噂を信じるなーーーーっ!」
気持ちの悪い上目遣いの変態をどげしー、と蹴り上げノックアウト。気付くとすでにスリットに腰骨のふくらみまで切り込みを入れられていたが。
で、玄。
「ないなら自分で挟まれます。あ、お気遣いな……ぐはっ」
変態がもそもそと寝転がりまずは玄の足の間に入ろうとしていたが、ゴン、ごろり。
「店員さん。コイツ、白目剥いてるけど?」
「………峰打ちなので問題ないです。それより白茶のお味、いかがでしょう」
心配する普通の客に淡々と言い、一瞬打撃武器と化した銀盆を胸に抱く玄だった。
「アレで峰打ち、か……」
客、戦慄するのみ。
●
「きゃーっ!」
店内で絹を裂くような女性の悲鳴が響いた。
「セラータ・スパーダを負かした奴がいると聞いた。俺と勝負しろ。俺の方が強いことを証明してやる!」
ならず者がやって来たようで。
そこに背後から肩ぽむ。
「いらっしゃいませ…。…お客様、そういった事は他のお客様の迷惑になりますので…」
サクラである。
「おどれか? 勝負せいや!」
振り向きつつ拳を弓引くならず者。
その目の前で桜と猫の気配が舞った。
「ぐはっ!」
身を屈めたサクラの着る着物は「桜吹雪」。そして猫耳カチューシャの頭も下がり、鳩尾に正拳突きが入ったのだ。モロに食らって崩れるならず者。
さらにその時。
「きゃーっ!」
別の所から女性の悲鳴。
「あいや、しばし。スカートの股下丈を測っているだけなので落ち着いて」
変態「スカート股下測り隊」にスカートの中に手を突っ込まれた女性がいるぞ。
「噂には聞いてましたがあれが変態さんですか…。…本当にいるのですね…」
現場に向かおうと一歩を踏み出した時、ぶぎゅると変な感触。
「ああ、すらりとした足が見えたり隠れたりで最高……」
「きゃっ。いつの間に足元に…! 何をして…ぁ、見ないでください…!」
サクラにも変態は取り付いていた。両手で顔を隠して恥ずかしがるサクラだが踏んづけていた変態が「白?」とか言うものだから思いっきり足をぐりぐりして止めを刺すことになる。
一方、先の被害者。
「お客さん、他の人の迷惑になるような事をしたらダメなんだよ? 言っても聞かない人には……」
「何かくれるの?」
小鳥が急行していたが、変態はむしろ期待する。
「お仕置きだよ!」
がしっ、どげし!
「がはっ。ご褒美付き……」
蹴り上げから笑顔の踵落としを食らう変態。その動きで下着が見えたようで、満足しつつ昇天したり。
「ほかに食らいたい人、いる?」
きっ、と振り返る小鳥。
「ええと……」
――ガウン、ガゥン!
数人おずおずと挙手仕掛けたところで、銃声。
「食らうなら牡丹餅にしておいてね。甘いわよ?」
マリィア、威嚇射撃してからお椀に口を付けてウインクするのだったり。
●
こちら、足浴の小川。
「おほっ、こりゃ気持ちいい。歩き詰めの疲れがふっとぶわい」
「この握り飯と麦茶もいいな」
漬かる客たちに好評である。
この様子にザレム、背中を向けつつ瞳を伏せつつ満足そうにする。
そして向かった先には、懲らしめた変態たちがいた。
「どうしたら改心するかなー」
「最後に触らせてくれたら改心を考えてもいい」
変態、考えを巡らせるウーナの横にいたクリスティンの足に手を伸ばそうとしていた。
「飴と鞭、という言葉がリアルブルーにある。素直に飴を頼めばよいが……」
ごごご、と殺気を纏うクリスティン。
ここでザレムが首を突っ込む。
「スリットも膝上も捨てがたいだろうが……」
ちょいちょい、と遠くで給仕するサクラと玄を呼ぶ。
「……どうしました?」
「何かあったのでしょうか……」
やって来た二人を並べ、さらにクリスティンにも並んでもらう。
「いや、問題というわけではないが」
ザレム、前置きしつつ三人にいろいろポーズを取ってもらう。
襟足から見える白い首筋。
襷で皺になる和服の粋な着こなし。
スラリとする立居振舞い。
カラコロ鳴る下駄の奥ゆかしさ。
「どうだ? こういった店員を見るだけでもいいもんだろ? 美味いと褒めたら溢れる笑顔を向けてくれるだろう」
歓迎されるのもクセになると思わないか、などと変態たちの意識改革に熱弁を振るう。
「うーん」
「むむむ、良くはあるが」
変態たち、一定の理解を示すがあともう少しといったところか。
「だったら魅力が分かるまで通え!」
「は、はい……」
クリスティンの殺気籠る一言で態度を改める変態たちだった。
●
「しまった」
しばらくのち、鑑が困っていた。
「どうしてこんなに子供が多いんだ?」
「こっちに誘導してますので」
玄が答える。
子供、玄の方へ。
「わあっ、猫さん可愛い」
「はい、撫で撫でどうぞ」
子供の手がぬいぐるみに届くよう、屈んでやる。
「なでなで~」
「わ、私は猫さんじゃないですよ…」
猫耳のサクラもここにいて少し困り顔。
で、周りを見て理解する鑑。
「セラータ・スパーダのアルゼアだが、ここに来ると楽しいって聞いたぜ?」
「……気が済んだら接客を手伝えよ?」
ならず者はあっちでクリスティンが対応している。
「うへへ、いい脚してまんなぁ」
「またぁ? 売られた喧嘩は『青竜紅刃流』の名にかけて、受けて立つよ?!」
変態は、ちらちらふりん♪な感じで挑発的なモデル歩きで色仕掛けしていたウーナが囮になり引き寄せていた。
「歩いて疲れたなら少し休憩はどうかな? 疲れた時は甘い物が美味しんだよ♪」
「これ、まだちょっと見た目がね……デザートスープと思えば楽しめるんだけど」
「ふんふん、なるほど」
小鳥とマリィアは汁粉を交えグルメ客と会話が弾む。
「孫も楽しそうで、何よりですわい」
「それは良かった。漬物はいかがか?」
ザレムは足浴で子供の保護者の対応。とても満足そうだ。
「成程。うまく振り分けてるな」
感心する鑑に、子供用のグラスや椅子などこれあるを予見して準備していた玄が頷く。
来客の東風茶屋に対する評判は良く、タスカービレへの関心も高まったという。
「見事に何もないところだな」
現場に到着するなりイ寺鑑(kz0175)がぼやいた。
「ん、多くの人は通るようですけど……」
「皆急いでるな」
サクラ・エルフリード(ka2598)が言い淀み、ザレム・アズール(ka0878)がはっきり言う。
「その分、この広場を自由に使えるようです」
静かにたたずむ雀舟 玄(ka5884)は動じない。
「腰を据えてやりましょう」
今度はマリィア・バルデス(ka5848)が髪を払いながら言う。その辺に置いてあった長椅子に座り足を組む。
「よし」
ここでザレム、決心した。
「あそこに小川が流れている。足浴の場所にしよう。……そこの木陰の下には長椅子を。とにかく広く使って目に付くように、何をやっているか興味を引くようにする」
「あ、それいいね」
ザレムの提案にウーナ(ka1439)が乗った。
「目立つ分には任せてよね」
ざ、と背を向け両手を頭上に構えるウーナ。背後に「東方茶屋」の屋号が大きく。
そして背中から胸にかけて刺繍された昇竜がうねるようにくるりと回り正面を向くと……。
「しっかり興味を引くよ!」
はあっと強そうに正拳突きの構え。チャイナドレス「龍工」で客引きだ。
「わたしは餡子で新たなメニューを用意して……」
それに合わせ、狐中・小鳥(ka5484)もくるりと回りウーナの横に。
「接客に頑張るんだよ!」
こちらもチャイナ服だ。すいっ、と膝を腰の高さまで上げて片足立ち。
「……また変態の寄ってきそうな服だな」
これを見た鑑、二人の衣装のスリットの深さに突っ込む。
「前回ぶっとばしたからもう来ないでしょ?」
「東方の雰囲気は大事に、だよ」
ウーナと小鳥、正論で反論。
「変態でも剣呑な客でもいい」
ここで二人の前をパープルヘアの女性が横切った。
オレンジのパルム柄の着物で、両肘を上げて長い髪をポニーテールにまとめつつ。白い割烹着で袖はたすき掛けでしっかり固定。
そして腰に佩いた斬魔刀「祢々切丸」の長さが目を引く。
「……もしもそんな輩が来れば目立つことになるだろう」
クリスティン・ガフ(ka1090)である。
「そうですか。いろんな人が来ますか……」
それを聞いてサクラも態度を改めクリスティンの傍までやって来る。
「ん、では私もお店が成功するよう、邪魔をしに来る方の対応をさせて貰いますね…」
ぴしり、と捕縛用の綱を持ち構えてみせるが、その拍子に着込んだ着物「桜吹雪」の帯が緩み合わせがだらり。
「きゃ…」
「東方ではそういうのを『一肌脱ぐ』っていうんだったかしら?」
マリィアがいたずらそうに微笑しつつ聞いてみる。
「とにかくすぐに準備しよう」
「そうですね」
ザレムと玄、そう言って急ぐ。
おっと。玄が自分の着ている寂しげな色合いの着物「銀蝶」に何かしているぞ。
「それは?」
「……ああ。これは子供も来店すると思うので、装備してみました。どうでしょう?」
聞いたザレムの方に顔を上げて、彼女にしては珍しくほんの少しだけ誇らしい顔をした。
見ると、着物の帯ににゃにゃんと黒猫のぬいぐるみが引っかかるように付いていた。
「ああ。可愛いし、いいな」
「ある人から教わりました」
ザレムが目を細めると玄はすぐに元の表情に。
●
「あら、こんなところに何かある」
しばらくすると、会場間を移動する人たちが通り掛かり始めた。
「何かやってるし」
ぺったんと鑑が門下生と餅つきをしている。
「とりあえず餡こがあるならそれを使わない手はないよねー。きな粉の代わりにお餅に付けてもいいね♪」
小鳥はつきたての餅を小分けにして作り置きを量産している。
「……何だろう、『東方茶屋』? とにかく次の会場まで急ごう」
通り掛かった人はのぼり旗を見上げ、一応飲食屋台であることは理解するが、だからといって休憩はしない。馴染みがないからだ。
が。
「確かに私はリアルブルー出身だけど、なじみ深いお茶は紅茶だけなのよね。だから白茶も緑茶も興味あるわ。異世界で異国を感じるって面白いと思わない?」
「マリィアがそういうならそうなのだろう。この世界で異国を感じることができるのはありがたい」
湯を沸かしているマリィアとクリスティンの会話を聞いて足を止める客もいた。
「着物って初めて着るのですが変じゃないでしょうか…。ちょっと動きづらいです…」
「ああ、大丈夫だ。……よし、水出し麦茶ができたぞ。喉の渇きをいやして白米の握飯を頬張る。旅の友として絶対に欠かせないな」
んんん、と背後の帯の結びを気にしてうなじを晒すサクラと、それを励ましつつ麦茶の出来に満足そうなザレムの声。
「その猫耳は? 着物に必要ないが」
「これは……いつもの…」
艦に突っ込まれ赤面するサクラだったり。
「……猫喫茶」
この様子を見ていた玄、自分の帯につけた猫のぬいぐるみに目をやりそんなひとことをぽそり。
それはそれとして。
「いらっしゃいませだよ♪ 美味しいお茶とお餅を食べて休憩していってね♪」
小鳥の明るい声と笑顔。
「じゃ、少し休んでいくか」
最初の客が座ると、次々客が入るようになった。
さあ、忙しくなりそうだ。
「おうおう!」
しばらくするとそんな声が。
「誰の許可があってここで商売しよんなら?」
ならず者が遠くから声を張ってがに股で近寄ってきている。ゆっくりしている客に緊張が走る。
――ざっ。
「如何様か」
クリスティン、近付くならず者の行く手を塞ぐように仁王立ちした。
「何なら、貴様は」
「見てわかる通りそこなる店の呼び込みをやっている」
堂々と言い放つクリスティン。
「待て。そりゃ何だ?」
「これか? 割烹着という」
「違う! 腰の斬馬刀だ!」
「斬魔刀、だな。騒ぎを起こすなら私が相手してやる、ただし気がすんだら呼び込みを手伝え」
「そっちの気がすんだら俺っちに付き合えよ?」
そんなこんなで双方抜刀。切り込む。
――かきぃ……ん。
「ひ、ひぃぃ」
ならず者、刀を弾かれ逃げ出した。
「やるねぇ。セラータ・スパーダのグランジだ。俺にも付き合ってくんねぇか?」
圧倒したクリスティンに近寄る髭面のおっさん。ただし、名の通ったならず者の頭目であるようで、周囲の住民がビビり始めている。
「いいだろう。気がすんだら呼び込み……」
「三段突きっ!」
距離はあったが剣を構えいきなり突っ込んできた。突撃系の技だ。
「いいだろう、『流歩』!」
クリスティンも突撃。真っ向勝負に応じたッ!
「むおッ?!」
――ガッ!
大きな音がして通り過ぎた二人。クリスティン、すぐさま振り向く。
「まだだ。私の天剣絶刀は止まらんぞ」
「負けたよ。……いやあ、楽しかった。素直に客になろう」
あっさり引くグランジ。もともと客として来たようだ。
「あのグランジの剣を納めさせたぞ」
周りでは驚嘆の声が上がっていた。
●
さて、しばらく屋台は平和だ。
「小豆…ほとんど食べたことないわね。あれって苦くてスープにもサラダにも入れにくいじゃない」
「そう思うでしょ? それが違うんだよー」
マリィアの疑問に餡子でくるんだ牡丹餅を出す小鳥。
「…柔らかいし甘いわね。へぇぇ、これは茹で零してかなり砂糖を入れて煮たのかしら?」
「そうなんだよー。印象が変わってびっくりだよねー」
二人のそんなやり取りを見る客たち。
「わ、わしもそれを頼む」
「こっちも牡丹餅お願い」
「ありがとうなんだよー」
商売繁盛である。
そんな中で。
「はっ!」
殺気を感じてウーナが小太刀を抜いて身をひねった。
「惜しい。もうちょっとで龍を串刺しにできたのに」
眠そうな男が突きを繰り出していたのだ。
「ちょっといきなり何!」
「ボスがここにいるって聞いた。ボクはエドアム」
セラータ・スパーダ一味らしい。
「女性の胸を襲うから変態と思ったじゃない!」
あまりに近かったため、小太刀を捨て拳銃の銃床で殴り掛かる。
「龍がカッコよかっただけ。……それより、店員がそんなことしていいの?」
「屋台の運営ってウェイトレスしながら、ならずものや変態集団をブチのめしていく事だよね?」
にっこりとこたえるウーナ。銃床でぐわしー、と地面に叩き付けた姿勢のままだ。
「そう? 面白そうだし、客になる」
起き上がったエドアム、素直に足浴に向かう。
「ま、こっちが専門だから……わっ!」
「おお、これは噂に違わず」
気付くと太腿にぞわぞわと悪寒。スリット深度計測隊に取り付かれているではないか。
この時、玄。
「いらっしゃいませ。ご注文は何にしましょう」
「太腿ばさみ」
「……」
玄、はあはあと息の荒い男性客の注文に沈黙。
「そのようなものは……」
「でも、東方茶屋なら太腿で挟んでもらえるという噂を聞いて……」
これを背中越しに耳にしたウーナ、ぐぐぐと拳を固め怒りを溜め込む。
「もうちょっとこの切れ込み、上げてみていいですか?」
「変な噂を信じるなーーーーっ!」
気持ちの悪い上目遣いの変態をどげしー、と蹴り上げノックアウト。気付くとすでにスリットに腰骨のふくらみまで切り込みを入れられていたが。
で、玄。
「ないなら自分で挟まれます。あ、お気遣いな……ぐはっ」
変態がもそもそと寝転がりまずは玄の足の間に入ろうとしていたが、ゴン、ごろり。
「店員さん。コイツ、白目剥いてるけど?」
「………峰打ちなので問題ないです。それより白茶のお味、いかがでしょう」
心配する普通の客に淡々と言い、一瞬打撃武器と化した銀盆を胸に抱く玄だった。
「アレで峰打ち、か……」
客、戦慄するのみ。
●
「きゃーっ!」
店内で絹を裂くような女性の悲鳴が響いた。
「セラータ・スパーダを負かした奴がいると聞いた。俺と勝負しろ。俺の方が強いことを証明してやる!」
ならず者がやって来たようで。
そこに背後から肩ぽむ。
「いらっしゃいませ…。…お客様、そういった事は他のお客様の迷惑になりますので…」
サクラである。
「おどれか? 勝負せいや!」
振り向きつつ拳を弓引くならず者。
その目の前で桜と猫の気配が舞った。
「ぐはっ!」
身を屈めたサクラの着る着物は「桜吹雪」。そして猫耳カチューシャの頭も下がり、鳩尾に正拳突きが入ったのだ。モロに食らって崩れるならず者。
さらにその時。
「きゃーっ!」
別の所から女性の悲鳴。
「あいや、しばし。スカートの股下丈を測っているだけなので落ち着いて」
変態「スカート股下測り隊」にスカートの中に手を突っ込まれた女性がいるぞ。
「噂には聞いてましたがあれが変態さんですか…。…本当にいるのですね…」
現場に向かおうと一歩を踏み出した時、ぶぎゅると変な感触。
「ああ、すらりとした足が見えたり隠れたりで最高……」
「きゃっ。いつの間に足元に…! 何をして…ぁ、見ないでください…!」
サクラにも変態は取り付いていた。両手で顔を隠して恥ずかしがるサクラだが踏んづけていた変態が「白?」とか言うものだから思いっきり足をぐりぐりして止めを刺すことになる。
一方、先の被害者。
「お客さん、他の人の迷惑になるような事をしたらダメなんだよ? 言っても聞かない人には……」
「何かくれるの?」
小鳥が急行していたが、変態はむしろ期待する。
「お仕置きだよ!」
がしっ、どげし!
「がはっ。ご褒美付き……」
蹴り上げから笑顔の踵落としを食らう変態。その動きで下着が見えたようで、満足しつつ昇天したり。
「ほかに食らいたい人、いる?」
きっ、と振り返る小鳥。
「ええと……」
――ガウン、ガゥン!
数人おずおずと挙手仕掛けたところで、銃声。
「食らうなら牡丹餅にしておいてね。甘いわよ?」
マリィア、威嚇射撃してからお椀に口を付けてウインクするのだったり。
●
こちら、足浴の小川。
「おほっ、こりゃ気持ちいい。歩き詰めの疲れがふっとぶわい」
「この握り飯と麦茶もいいな」
漬かる客たちに好評である。
この様子にザレム、背中を向けつつ瞳を伏せつつ満足そうにする。
そして向かった先には、懲らしめた変態たちがいた。
「どうしたら改心するかなー」
「最後に触らせてくれたら改心を考えてもいい」
変態、考えを巡らせるウーナの横にいたクリスティンの足に手を伸ばそうとしていた。
「飴と鞭、という言葉がリアルブルーにある。素直に飴を頼めばよいが……」
ごごご、と殺気を纏うクリスティン。
ここでザレムが首を突っ込む。
「スリットも膝上も捨てがたいだろうが……」
ちょいちょい、と遠くで給仕するサクラと玄を呼ぶ。
「……どうしました?」
「何かあったのでしょうか……」
やって来た二人を並べ、さらにクリスティンにも並んでもらう。
「いや、問題というわけではないが」
ザレム、前置きしつつ三人にいろいろポーズを取ってもらう。
襟足から見える白い首筋。
襷で皺になる和服の粋な着こなし。
スラリとする立居振舞い。
カラコロ鳴る下駄の奥ゆかしさ。
「どうだ? こういった店員を見るだけでもいいもんだろ? 美味いと褒めたら溢れる笑顔を向けてくれるだろう」
歓迎されるのもクセになると思わないか、などと変態たちの意識改革に熱弁を振るう。
「うーん」
「むむむ、良くはあるが」
変態たち、一定の理解を示すがあともう少しといったところか。
「だったら魅力が分かるまで通え!」
「は、はい……」
クリスティンの殺気籠る一言で態度を改める変態たちだった。
●
「しまった」
しばらくのち、鑑が困っていた。
「どうしてこんなに子供が多いんだ?」
「こっちに誘導してますので」
玄が答える。
子供、玄の方へ。
「わあっ、猫さん可愛い」
「はい、撫で撫でどうぞ」
子供の手がぬいぐるみに届くよう、屈んでやる。
「なでなで~」
「わ、私は猫さんじゃないですよ…」
猫耳のサクラもここにいて少し困り顔。
で、周りを見て理解する鑑。
「セラータ・スパーダのアルゼアだが、ここに来ると楽しいって聞いたぜ?」
「……気が済んだら接客を手伝えよ?」
ならず者はあっちでクリスティンが対応している。
「うへへ、いい脚してまんなぁ」
「またぁ? 売られた喧嘩は『青竜紅刃流』の名にかけて、受けて立つよ?!」
変態は、ちらちらふりん♪な感じで挑発的なモデル歩きで色仕掛けしていたウーナが囮になり引き寄せていた。
「歩いて疲れたなら少し休憩はどうかな? 疲れた時は甘い物が美味しんだよ♪」
「これ、まだちょっと見た目がね……デザートスープと思えば楽しめるんだけど」
「ふんふん、なるほど」
小鳥とマリィアは汁粉を交えグルメ客と会話が弾む。
「孫も楽しそうで、何よりですわい」
「それは良かった。漬物はいかがか?」
ザレムは足浴で子供の保護者の対応。とても満足そうだ。
「成程。うまく振り分けてるな」
感心する鑑に、子供用のグラスや椅子などこれあるを予見して準備していた玄が頷く。
来客の東風茶屋に対する評判は良く、タスカービレへの関心も高まったという。
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相談…というか行動宣言?スレ ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/05/25 18:36:16 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/25 18:12:26 |