ゲスト
(ka0000)
男のみを襲うスライム雑魔が誕生した?!
マスター:星群彩佳

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 8日
- 締切
- 2016/05/31 19:00
- 完成日
- 2016/06/13 03:57
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「……ちょっと勘弁してよぉ」
雨の日の昼間、応接室のソファ椅子に座りながら報告書を読み終えたルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)は、うんざりしながら大きなため息を吐く。
そんな主の姿を見たフェイト・アルテミス(kz0134)は、真剣な表情で声をかける。
「しかしルサリィお嬢様、状況はかなり深刻です。早急にハンターの方達にご依頼をした方が……」
「ええ、それは決定事項よ。……でも問題は男性ハンターが来てくれるかどうか、よ」
ルサリィは報告書を封筒に入れると、テーブルの上に放り投げた。
その視線の先には、魔術師養成学校で生徒に水の魔術を教えているアープという女性が、ソファ椅子に座って平然と紅茶を飲んでいる。
アープは見た目は三十代後半ぐらいの美しい女性だが、ウィクトーリア家の依頼で領地内の監視を担当していた。
監視と言っても主に魔術関係の事件を調査するのが仕事であり、今日もその報告でウィクトーリア家の屋敷に訪れたのだ。
「まあ女性ハンター達だけでも、事足りることかもしれません。自信はありませんが」
自らの発言に責任は持たない――とハッキリと笑顔で語るアープは、それでも真実を言っている。
ここ数日、ここら辺の地域では雨が降る日が続いていた。
そのせいでウィクトーリア家の領地内にある池や川の水の量が増えてしまった為、住人達に被害が及ばないように、アープのように水を扱うことに関して詳しい魔術師達が動いていたのだ。
いろいろな所にある大きな池や川を見回って対処していたアープ達は、とある山の中にある池で異変が起きていることに気付いた。
「まさか池の中でスライムが雑魔として発生しているとは、ね。しかもどこぞの魔術師が妙な魔法薬をその池に捨てていたせいで、妙な性質を持っているようですしねぇ」
クスクスと意地悪く笑うアープは、『あの時』の事を思い出しているのだろう。
アープ達が池から感じる異変に気付いた頃、一人の冴えない中年男性がコソコソしながらやって来たらしい。
アープ達は咄嗟に隠れて、何をするのか見ることにした。
中年男性は大きな皮の袋から紫色の液体が入った小さなガラス瓶を取り出すと、蓋を開けて次々と中身を池に捨てていく。
すると液体を得た池の水は、怪しく揺れ動いた。
ガラス瓶の液体を全て捨て終えた中年男性は、再びコソコソしながら帰ろうとしたらしいが……。
「突如、池の中に潜んでいたスライムが触手を伸ばして、男性の体に絡んだんですよ。そして服の隙間から入り込み、肌をまさぐり……」
「はい、そこまでで結構です」
楽しそうにアープは語っていたものの、フェイトが険しい顔で止めた。
「要するに、男性を好むスライムが誕生してしまったということですね」
「まあそうです。しかも肌に触れられるとどうも麻痺成分に当てられるようで、徐々に暴れる力が弱くなっていきました。男性が大人しくなると、スライムは池の中に引きずり込もうとしましてね。慌ててアクティブスキルのストーンアーマーを男性に使いましたところ、水属性のスライムなだけに土属性には弱いようですぐに触手を外しました。その間に男性を助け出しましたよ」
「――で、彼が捨てていた魔法薬って何なの?」
仏頂面でローズティーを飲みながら、ルサリィはアープに尋ねる。
「男性をターゲットにした媚薬……のようなものだと聞きました。どこで扱われていたかはルサリィお嬢様の前では言えませんが、まあ不評だったようなので捨てていたようです」
「ところが捨てていた池の中には雑魔と化したスライムがいて、魔法薬の影響で男性を狙うようになったワケね。しかも女性相手では無反応とは……、分かりやすいわね」
ルサリィが先程眼を通した報告書の中には、スライムが女性を相手にした場合も書かれていた。
アープや他の女性魔術師達がスライムの触手に攻撃しようと近付いたところ、眼にも止まらぬ速さで池に戻ったらしい。
しかも池に戻ったスライムは水属性のせいで、どこにいるのか見ても分からない。
その上、現場の池は広くてそこそこ深いので、入って探すことは困難となる。
「恐らくですが、女性ハンターが危険を承知で池に入っても、スライムは逃げるだけでしょう。エサ……いえ、囮役の男性ハンターがいた方が、あちらから喜んで襲ってくるだけに倒すのは楽でしょうね」
「……ますます男性ハンターが参加しなさそうだわ」
ルサリィは指で痛むこめかみを押すも、事件はよりにもよってウィクトーリア家の領地内で起きている。
このまま放置しておけば、『ウィクトーリア家の領地内で、男のみ襲われる雑魔がいる』と話が広がるだろう。
仕事に影響が出るのはもちろんのことだが、ルサリィを信じて領地を預けている両親に知られればとんでもないことになる。
ルサリィの父であり、領主であるマルセドは娘に愛情は持っているものの、それでも仕事となれば別だ。
母のミナーヴァもそれは同じであり、両親の信用を失えば、ルサリィは今の生活を変更させられるだろう。
――早急に、解決しなければならない。
「まあわたし達がどうこう言っててもはじまらないわ。とにかく、ハンター達に依頼をしに行きましょう」
雨の日の昼間、応接室のソファ椅子に座りながら報告書を読み終えたルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)は、うんざりしながら大きなため息を吐く。
そんな主の姿を見たフェイト・アルテミス(kz0134)は、真剣な表情で声をかける。
「しかしルサリィお嬢様、状況はかなり深刻です。早急にハンターの方達にご依頼をした方が……」
「ええ、それは決定事項よ。……でも問題は男性ハンターが来てくれるかどうか、よ」
ルサリィは報告書を封筒に入れると、テーブルの上に放り投げた。
その視線の先には、魔術師養成学校で生徒に水の魔術を教えているアープという女性が、ソファ椅子に座って平然と紅茶を飲んでいる。
アープは見た目は三十代後半ぐらいの美しい女性だが、ウィクトーリア家の依頼で領地内の監視を担当していた。
監視と言っても主に魔術関係の事件を調査するのが仕事であり、今日もその報告でウィクトーリア家の屋敷に訪れたのだ。
「まあ女性ハンター達だけでも、事足りることかもしれません。自信はありませんが」
自らの発言に責任は持たない――とハッキリと笑顔で語るアープは、それでも真実を言っている。
ここ数日、ここら辺の地域では雨が降る日が続いていた。
そのせいでウィクトーリア家の領地内にある池や川の水の量が増えてしまった為、住人達に被害が及ばないように、アープのように水を扱うことに関して詳しい魔術師達が動いていたのだ。
いろいろな所にある大きな池や川を見回って対処していたアープ達は、とある山の中にある池で異変が起きていることに気付いた。
「まさか池の中でスライムが雑魔として発生しているとは、ね。しかもどこぞの魔術師が妙な魔法薬をその池に捨てていたせいで、妙な性質を持っているようですしねぇ」
クスクスと意地悪く笑うアープは、『あの時』の事を思い出しているのだろう。
アープ達が池から感じる異変に気付いた頃、一人の冴えない中年男性がコソコソしながらやって来たらしい。
アープ達は咄嗟に隠れて、何をするのか見ることにした。
中年男性は大きな皮の袋から紫色の液体が入った小さなガラス瓶を取り出すと、蓋を開けて次々と中身を池に捨てていく。
すると液体を得た池の水は、怪しく揺れ動いた。
ガラス瓶の液体を全て捨て終えた中年男性は、再びコソコソしながら帰ろうとしたらしいが……。
「突如、池の中に潜んでいたスライムが触手を伸ばして、男性の体に絡んだんですよ。そして服の隙間から入り込み、肌をまさぐり……」
「はい、そこまでで結構です」
楽しそうにアープは語っていたものの、フェイトが険しい顔で止めた。
「要するに、男性を好むスライムが誕生してしまったということですね」
「まあそうです。しかも肌に触れられるとどうも麻痺成分に当てられるようで、徐々に暴れる力が弱くなっていきました。男性が大人しくなると、スライムは池の中に引きずり込もうとしましてね。慌ててアクティブスキルのストーンアーマーを男性に使いましたところ、水属性のスライムなだけに土属性には弱いようですぐに触手を外しました。その間に男性を助け出しましたよ」
「――で、彼が捨てていた魔法薬って何なの?」
仏頂面でローズティーを飲みながら、ルサリィはアープに尋ねる。
「男性をターゲットにした媚薬……のようなものだと聞きました。どこで扱われていたかはルサリィお嬢様の前では言えませんが、まあ不評だったようなので捨てていたようです」
「ところが捨てていた池の中には雑魔と化したスライムがいて、魔法薬の影響で男性を狙うようになったワケね。しかも女性相手では無反応とは……、分かりやすいわね」
ルサリィが先程眼を通した報告書の中には、スライムが女性を相手にした場合も書かれていた。
アープや他の女性魔術師達がスライムの触手に攻撃しようと近付いたところ、眼にも止まらぬ速さで池に戻ったらしい。
しかも池に戻ったスライムは水属性のせいで、どこにいるのか見ても分からない。
その上、現場の池は広くてそこそこ深いので、入って探すことは困難となる。
「恐らくですが、女性ハンターが危険を承知で池に入っても、スライムは逃げるだけでしょう。エサ……いえ、囮役の男性ハンターがいた方が、あちらから喜んで襲ってくるだけに倒すのは楽でしょうね」
「……ますます男性ハンターが参加しなさそうだわ」
ルサリィは指で痛むこめかみを押すも、事件はよりにもよってウィクトーリア家の領地内で起きている。
このまま放置しておけば、『ウィクトーリア家の領地内で、男のみ襲われる雑魔がいる』と話が広がるだろう。
仕事に影響が出るのはもちろんのことだが、ルサリィを信じて領地を預けている両親に知られればとんでもないことになる。
ルサリィの父であり、領主であるマルセドは娘に愛情は持っているものの、それでも仕事となれば別だ。
母のミナーヴァもそれは同じであり、両親の信用を失えば、ルサリィは今の生活を変更させられるだろう。
――早急に、解決しなければならない。
「まあわたし達がどうこう言っててもはじまらないわ。とにかく、ハンター達に依頼をしに行きましょう」
リプレイ本文
六月の曇りの日の昼間、六人の男性ハンターは例の池を目指して山の中を歩いていた。
外見年齢が最年少のジョージ・ユニクス(ka0442)は、不思議そうに首を傾げる。
「男のみ襲ってくるスライム雑魔ですか……。奇妙な雑魔ですけど、男性の命に関わる邪悪な存在は退治しなければなりませんね! 急いで行きましょう!」
「まあ確かに、僕が今まで聞いたことのあるスライムとは違っていて珍しいです。でもどうやって性別を判別しているんでしょうね? 実は今日ドレス・ワンダーランドを着てきたのは、もしかしたら見た目で判別するかも?と思ったからですよー」
葛音 水月(ka1895)はスカートの裾を指でつまみながら、考え込むように遠い目をした。
「モシカシタラ、男性フェロモンニ反応シテイルノカモシレナイ。フェロモンハ相手ヲ夢中ニサセル効果ガアルカラナ!」
ゴンザレス=T=アルマ(ka2575)は兜の奥の赤い両目に怪しい光を宿しながら、熱く語る。
反対に、カムイ=アルカナ(ka3676)は戸惑いがちに仲間達に尋ねた。
「難しい敵……がいるとお聞きしましたが……、スライム……とは、どういったモノ何でしょう……?」
たまたまカムイの近くにいた帳 金哉(ka5666)は、スライムの情報を思い出す。
「ん~、まあ戦い辛い敵ではあるかのぅ。だが攻撃は当たれば効くのじゃ」
そこで金哉は、弟分の凰牙(ka5701)を心配そうに見る。
「凰よ、それでも無茶だけはするではないぞ」
「大丈夫さ、兄さん! 兄さんのことは俺が守るんだぜ!」
「凰っ……!」
かたく手を握り合い、熱く見つめ合う二人。
四人は二人から視線をそらして、先に進むのであった。
池が見える所までくると、六人は木の影にサッと身を隠す。
「えーと、まずは触手を誘き寄せて、本体が池から出た後に攻撃をした方が良いんですよね? 触手には麻痺成分があるようですが、僕は全身に鎧を身に付けているのでそこら辺は大丈夫だと思います」
囮役を立候補するように、ジョージは片手を上げる。
「じゃあ僕は別方向から、池へ向かって行きますよ」
水月は足音と気配を消しながら、歩いて行った。
「それがしモ別ノ場所へ移動スル。一ヶ所二集マッテイルト、危険カモシレナイカラナ」
ゴンザレスも移動する中、カムイが恐る恐る手を上げる。
「あの……俺も囮役をしますが……、少し離れた場所から……にします」
カムイが歩き始めると、凰牙は勢いよく手を上げた。
「兄さん! ここは俺が囮役となって、雑魔を池から引きずり上げるだ。兄さんは本体が出てきたら、動いてくんろ」
「凰がそう言うのならば、任せるのじゃ。気を付けて、挑め」
各々配置についた時、まずはジョージが動いた。池の縁ギリギリまで来ると立ち止まり、中を覗き込む。
「――風は吹いていないのに、水面が揺れていますね。コレは一体……」
池の水面は次第に強くうねりだしたかと思うと、突然太くてヌルヌルした触手が出てきた。
「ひいぃっ! 思っていた以上に、生々しいです!」
自分へ向かってくる触手から、ジョージは背を向けて走り出す。
触手はヌラヌラと光り輝いており、先に聞いていた情報通りに伸びるたびに太さは細くなっていく。
だがスピードがあり、触手はジョージの体に今にも絡み付こうとしている。
「くぅっ……! もうここら辺で迎え撃ちますか!」
立ち止まったジョージは覚醒状態になると、すぐにアクティブスキルの迎賓の帝剣を発動した。
シールド・セラフィム・アッシュを前に構えて、触手の攻撃を防ぐ。そしてすぐさまショートソード・クラウンナイツにて、触手を斬り裂いた。
だが一瞬の間の後、真っ二つに斬り裂かれた触手はくっついて元通りになってしまう。
「やはり触手だけを攻撃しても、意味は無いようですね! 本体はっ……後少しですか!」
再び襲いかかってきた触手を、クラウンナイツを用いてアクティブスキルの薙ぎ払いにて攻撃する。
触手が再生している隙に、ジョージは走って池から距離を取った。
ジョージが五メートル以上離れると、触手が伸びて本体が池からズルッ……と姿を現す。
「あっアレがスライムの本体……ですか」
水色のゼリー状のウネウネした塊が、どうやらスライム雑魔の本体らしい。
本体は常に蠢いており、時折紫色へと変わることから、あの怪しげな魔法薬を取り込んでいることが一目で分かる。
「本体が現れれば、勝機はこちらにあります!」
ジョージはアクティブスキルの撃砲で、雑魔の触手ごと本体を攻撃した。
ジョージが雑魔を一体退治した頃、数メートル離れた場所ではカムイが触手と対峙している。
「……まっまさか、こんな薄気味悪い雑魔だとは……」
囮役として池に近付いて水面に顔を映した途端、中から触手が水飛沫を上げながら出てきた。
それに驚き、思わずカムイは後ろに倒れてしまう。
「とっとりあえず、池から離れなければっ……!」
ヨロヨロと立ち上がったカムイは、薙刀・巴を持ち直す。
そして覚醒状態になり、アクティブスキルの地を駆けるものを発動しながら走り出した。
すると触手はカムイを追い掛けるように、伸びてくる。
「触手だけを相手にしても……、あまり意味は無い……ですね。やはり……本体が出てくるまで、頑張りましょう……!」
周囲に生えている木を盾代わりに使いながら、カムイは触手を避けた。
やがて池の中からズルリッ……と本体が出てくると、カムイは立ち止まって振り返る。
触手の攻撃を避けつつ本体へ近付き、アクティブスキルのクラッシュブロウを発動させた。祖霊の力を薙刀に込めて本体へ向けて大きく振りぬくと、まるで巨大な水風船が弾けるように雑魔は消滅する。
「まずは一体……。他の仲間達は……大丈夫でしょうか?」
一方で、凰牙は囮役として池へ近付いていた。
「――ここはやっぱり触手を避けつつ本体を出してから、兄さんと一斉攻撃を仕掛けた方が確実だべな。……あーっ、でもやっぱり兄さんには近づけたくないさ!」
と、ハンターとしての心と、兄を思う弟心がせめぎ合っている。
だが悩んでいる間に、凰牙は池の縁に到着した。
「おっとっと……。とにかく雑魔を出さなきゃ、話にならないだべさ」
凰牙はしゃがみ込むと、手を浅く池の中に入れてみる。
すると池の中から何かがこちらに向かって来るのが見えたので、慌てて手を引いて後ろに下がった。
次の瞬間、激しい水飛沫が上がり、二本の触手が姿を現す。
凰牙は池に背を向けて走り出すのと同時に、手にはジャマダハル・ザラームを持つ。
「兄さんっ、触手が出てきたぜ!」
「良くやったのじゃ! 流石は俺の弟分!」
木の影に隠れていた金哉は、池へ向かって走り出す。
凰牙を追っている触手はどんどん細くなり、池の中から一体の本体が出てきた。
しかし向かってくる金哉に気付いたのか、本体が出ている方の触手が方向を転換する。
「おっと、こちらに気付いたのかえ」
自分へ向かってきた触手を、金哉は混元傘を広げて攻撃を防ぐ。
その間に金哉は覚醒状態になり、アクティブスキルの練気にて攻撃の威力を上げる。
そして闘脚絆・猩々を用いて、アクティブスキルの闘脚絆・猩々を本体へ放ち、退治した。
「よしっ! ――凰の方は大丈夫じゃろうか?」
凰牙はもう一体が本体を現したので、再び体の向きを変えて池へ向かって走り出す。
そしてアクティブスキルの練気を発動させて、本体へアクティブスキルの突構えで攻撃した。
「ははっ! やっぱり兄さんと俺がいれば、百人力だべさ!」
雑魔を倒したことを喜ぶ凰牙は、池に異変が起きつつあるのを気付かずにいる。
「皆さん、大丈夫ですか?」
「大分……、雑魔は減らせたかと……」
金哉と凰牙の所へ、それぞれ雑魔を倒したジョージとカムイが走って来た時、とうとう池の中から異変が姿を現す。
四本の触手が突如、眼にもとまらぬスピードで四人の体に絡み付いたのだ。触手はそのまま四人の体を宙に持ち上げて、衣類の隙間から入り込む。
あまりにも突然の出来事に、四人は武器を手放してしまった。
ジョージは全身鎧の隙間から分裂した触手が入り込んできて、素肌を撫でる感触に思わず叫ぶ。
「のぅわーっ! 冷たくてヌルヌルした触手が、僕の素肌をまさぐっているぅ! 気持ち悪いぃ!」
冷たい生き物の舌で体の至るところを舐められているような感覚に、ジョージは涙目になりながら悶える。
カムイはアクティブスキルを発動させることも忘れて、赤く潤んだ眼で息を荒げながら触手から逃れようとしていた。
「だっ誰か……、ひぃっ! あっああ……、そんなところ……ヌルヌルしたモノで触らないでっ……! ダメ……、はっ放してぇ……!」
しかし暴れるほど触手はきつくカムイの体に絡み付き、麻痺成分を出してくる。
そのせいで冷たい感触は無くなるものの、余計に触手のヌルヌルした感触が伝わってきた。
「ううっ……、こっこの卑怯雑魔め! 戦いならば正々堂々と勝負……あっ、そこはダメなのじゃあ~!」
金哉は凰牙が近くにいるので必死に抵抗しようとするが、次第に体の力が抜けてしまう。
「にいさ、この触手、体の変なとこばっか触ってくるべ……! きっ気持ち悪いだ! 俺の首や胸、腹がヌルヌルでこすられて……! あぅんっ! しっ痺れてきただ……。にいさ、助け……」
「凰っ、しっかりするのじゃ! ……くっ! このままでは全員がいろんな意味で昇天してしまうのぅ。……ん? 残りの二人はどこにいるのじゃ?」
ふと金哉は水月とゴンザレスの姿が見えない事に気付き、周囲を見回す。
「オオゥ、良イオカズガ揃ッタ! 美味シク頂コウ!」
四人が襲われている現場から池を挟んだ向こう岸で、ゴンザレスはおにぎり草・まめしを頬張っていた。
「ウムウム。ジョージハ鉄壁カト思エタ全身鎧カラ触手ガ入リ込ンデキテ、初メテノ経験ヲシテイルヨウダ。反応ガ何トモ初々シイクテ、タマラン。カムイハ整ッタ容姿カラハ考エラレヌホド、触手ノ動キニ素直ニ反応シテイル。乱レタ姿ガトテモ艶ッポイ。金哉ノ小麦色ノ肌ニ絡ミ付ク触手ハ、余計二イヤラシク見エル。色ッポイノガ良イナ。凰牙ハ今ハ小柄ダガ、将来有望ダ。イツモハ強気ノ者ガ、弱ル姿ハソソラレル。――ダガモウ少シ、サービスガアルト良イナ」
「……ゴンザレスさんの思考は全部、口から出ていますねー。ここは一つ、仲間達を助けに行ってもらいましょうか」
ゴンザレスの数メートル後ろにいる水月は、特殊強化鋼製ワイヤーウィップを手に持つ。
そして覚醒状態になると、アクティブスキルのエンタングルを発動させる。水月はワイヤーウィップを、ゴンザレスの腰に背後から巻き付けた。
「ナッ何ダッ!?」
「仲間達が襲われている姿をオカズに食事をしてないで、囮役になるか、戦ってきてください」
ニッコリ笑った水月は、ゴンザレスを向こう岸へ向けて放り投げる。
「ウオオオッ!」
ところが池の中心までゴンザレスが来た時、突如池の中から一本の触手が出てきて体に絡み付いた。
「ンNooooo! それがしノ筋肉二、ヌルヌル触手ガ這ウゥ!」
「おや、捕まってしまいましたか。……しかし襲われている四人はともかく、巨漢の狼男さんが触手攻めに合っている姿は視界の暴力ですねー。見ているだけで、頭痛・吐き気・眩暈が……」
「水月っ! 風邪の症状を語っておらんで、とっとと俺達を助けるのじゃ! もうそろそろ力が尽きそうなのじゃー!」
金哉の必死の叫びで、水月はハッと我に返る。
「おっと、いけませんね。先に襲われている四人が既に息も絶え絶えになっていますし、真面目に戦いますかー」
水月はワイヤーウィップから試作雷撃刀・ダークMASAMUNEに持ち変えると、向こう岸目指して走り出す。
「皆さんが触手を引き付けてくれているおかげで、戦いに集中できます。四人を捕らえているのは二体の雑魔ですかー。本体はもう池から上がっていますね」
池の縁には二体の本体が上がっており、水月はアクティブスキルの連撃を発動させて斬った。
解放された四人はドサドサッと地面に落ちたものの、水月は未だ捕らえられたままのゴンザレスに視線を向ける。
「あのままでは池へ引きずり込まれてしまいますねー。ちょっと乱暴ですけど、本体に出てきてもらいましょうか」
水月はダークMASAMUNEを池に入れると、高圧電流を少しだけ流す。
ビリビリッと水面に電気が走り、ゴンザレスも触手越しに軽く感電する。
「ヌオオオッ! 癖二ナリソウナ刺激ダッ☆」
電気に驚いた触手がゴンザレスを放したので、水月はすぐにワイヤーウィップで回収してこちらの岸に落とした。
すると池の中から本体が這い上がり、触手を水月に向けてくる。
水月はアクティブスキルの瞬影を発動させて攻撃から逃れて、ワイヤーウィップの特殊モーターを起動させて本体を切り裂いた。
――ところが次の瞬間、水月は新たな雑魔の触手に体を絡め取られてしまう。
「うわわっ!? ちょっと待ってください! こんな突然っ……」
いきなりの事だったので、つい武器を手放してしまった。
水月はよりにもよってドレスを着てきてしまった為に、触手の侵入を容易く許してしまう。
「ひぃっ……! こっこんな事になるなら、ドレスなんて着てくるんじゃ……はぁんっ! ソコを触るのはダメですぅ! ああっ……、僕、おかしくなってしまいます……!」
水月が抵抗するよりも早く、触手は肌を舐め回し始めた。
自然と顔が赤くなり、甲高い声が出てしまうのを止められない。
「ヤレヤレ、因果応報ダナ」
誰よりも早く復活したゴンザレスは池の中へ向けて、魔導拳銃・ペンタグラムを撃った――。
戦闘後、ジョージはゲッソリしながらも自分の体を見回して、安堵のため息を吐く。
「鎧を溶かされなくて良かったですが、スライムの恐ろしさを体験しました……。ううっ、気持ちを切り替えなければなりませんけど……、しばらく夢に見そうです」
水月は乱されたドレスを、青白い顔で直している。
「はあ……、やっと戦い終えました。でも気持ち悪い感触が、まだ体に残っているようです」
カムイはグッタリしながらも、何とか立ち上がった。
「少し休んだら……何とか、回復しました。触手のヌルヌルは……残っていないようで……安心、しました」
金哉は泣きじゃくる凰牙を抱き締めながら、必死に慰めている。
「にいさっ、気持ち悪かっただ!」
「大変じゃったのぅ。だが凰がしっかりと雑魔を倒した姿、この眼にしっかりと焼き付けたのじゃ。立派じゃったな」
五人が疲弊している中、ゴンザレスだけは何故か興奮していた。
「ハアハアッ……! 中々良イ仕事ダッタ。新タナ世界ガ見エタゾ……!」
【終わり】
外見年齢が最年少のジョージ・ユニクス(ka0442)は、不思議そうに首を傾げる。
「男のみ襲ってくるスライム雑魔ですか……。奇妙な雑魔ですけど、男性の命に関わる邪悪な存在は退治しなければなりませんね! 急いで行きましょう!」
「まあ確かに、僕が今まで聞いたことのあるスライムとは違っていて珍しいです。でもどうやって性別を判別しているんでしょうね? 実は今日ドレス・ワンダーランドを着てきたのは、もしかしたら見た目で判別するかも?と思ったからですよー」
葛音 水月(ka1895)はスカートの裾を指でつまみながら、考え込むように遠い目をした。
「モシカシタラ、男性フェロモンニ反応シテイルノカモシレナイ。フェロモンハ相手ヲ夢中ニサセル効果ガアルカラナ!」
ゴンザレス=T=アルマ(ka2575)は兜の奥の赤い両目に怪しい光を宿しながら、熱く語る。
反対に、カムイ=アルカナ(ka3676)は戸惑いがちに仲間達に尋ねた。
「難しい敵……がいるとお聞きしましたが……、スライム……とは、どういったモノ何でしょう……?」
たまたまカムイの近くにいた帳 金哉(ka5666)は、スライムの情報を思い出す。
「ん~、まあ戦い辛い敵ではあるかのぅ。だが攻撃は当たれば効くのじゃ」
そこで金哉は、弟分の凰牙(ka5701)を心配そうに見る。
「凰よ、それでも無茶だけはするではないぞ」
「大丈夫さ、兄さん! 兄さんのことは俺が守るんだぜ!」
「凰っ……!」
かたく手を握り合い、熱く見つめ合う二人。
四人は二人から視線をそらして、先に進むのであった。
池が見える所までくると、六人は木の影にサッと身を隠す。
「えーと、まずは触手を誘き寄せて、本体が池から出た後に攻撃をした方が良いんですよね? 触手には麻痺成分があるようですが、僕は全身に鎧を身に付けているのでそこら辺は大丈夫だと思います」
囮役を立候補するように、ジョージは片手を上げる。
「じゃあ僕は別方向から、池へ向かって行きますよ」
水月は足音と気配を消しながら、歩いて行った。
「それがしモ別ノ場所へ移動スル。一ヶ所二集マッテイルト、危険カモシレナイカラナ」
ゴンザレスも移動する中、カムイが恐る恐る手を上げる。
「あの……俺も囮役をしますが……、少し離れた場所から……にします」
カムイが歩き始めると、凰牙は勢いよく手を上げた。
「兄さん! ここは俺が囮役となって、雑魔を池から引きずり上げるだ。兄さんは本体が出てきたら、動いてくんろ」
「凰がそう言うのならば、任せるのじゃ。気を付けて、挑め」
各々配置についた時、まずはジョージが動いた。池の縁ギリギリまで来ると立ち止まり、中を覗き込む。
「――風は吹いていないのに、水面が揺れていますね。コレは一体……」
池の水面は次第に強くうねりだしたかと思うと、突然太くてヌルヌルした触手が出てきた。
「ひいぃっ! 思っていた以上に、生々しいです!」
自分へ向かってくる触手から、ジョージは背を向けて走り出す。
触手はヌラヌラと光り輝いており、先に聞いていた情報通りに伸びるたびに太さは細くなっていく。
だがスピードがあり、触手はジョージの体に今にも絡み付こうとしている。
「くぅっ……! もうここら辺で迎え撃ちますか!」
立ち止まったジョージは覚醒状態になると、すぐにアクティブスキルの迎賓の帝剣を発動した。
シールド・セラフィム・アッシュを前に構えて、触手の攻撃を防ぐ。そしてすぐさまショートソード・クラウンナイツにて、触手を斬り裂いた。
だが一瞬の間の後、真っ二つに斬り裂かれた触手はくっついて元通りになってしまう。
「やはり触手だけを攻撃しても、意味は無いようですね! 本体はっ……後少しですか!」
再び襲いかかってきた触手を、クラウンナイツを用いてアクティブスキルの薙ぎ払いにて攻撃する。
触手が再生している隙に、ジョージは走って池から距離を取った。
ジョージが五メートル以上離れると、触手が伸びて本体が池からズルッ……と姿を現す。
「あっアレがスライムの本体……ですか」
水色のゼリー状のウネウネした塊が、どうやらスライム雑魔の本体らしい。
本体は常に蠢いており、時折紫色へと変わることから、あの怪しげな魔法薬を取り込んでいることが一目で分かる。
「本体が現れれば、勝機はこちらにあります!」
ジョージはアクティブスキルの撃砲で、雑魔の触手ごと本体を攻撃した。
ジョージが雑魔を一体退治した頃、数メートル離れた場所ではカムイが触手と対峙している。
「……まっまさか、こんな薄気味悪い雑魔だとは……」
囮役として池に近付いて水面に顔を映した途端、中から触手が水飛沫を上げながら出てきた。
それに驚き、思わずカムイは後ろに倒れてしまう。
「とっとりあえず、池から離れなければっ……!」
ヨロヨロと立ち上がったカムイは、薙刀・巴を持ち直す。
そして覚醒状態になり、アクティブスキルの地を駆けるものを発動しながら走り出した。
すると触手はカムイを追い掛けるように、伸びてくる。
「触手だけを相手にしても……、あまり意味は無い……ですね。やはり……本体が出てくるまで、頑張りましょう……!」
周囲に生えている木を盾代わりに使いながら、カムイは触手を避けた。
やがて池の中からズルリッ……と本体が出てくると、カムイは立ち止まって振り返る。
触手の攻撃を避けつつ本体へ近付き、アクティブスキルのクラッシュブロウを発動させた。祖霊の力を薙刀に込めて本体へ向けて大きく振りぬくと、まるで巨大な水風船が弾けるように雑魔は消滅する。
「まずは一体……。他の仲間達は……大丈夫でしょうか?」
一方で、凰牙は囮役として池へ近付いていた。
「――ここはやっぱり触手を避けつつ本体を出してから、兄さんと一斉攻撃を仕掛けた方が確実だべな。……あーっ、でもやっぱり兄さんには近づけたくないさ!」
と、ハンターとしての心と、兄を思う弟心がせめぎ合っている。
だが悩んでいる間に、凰牙は池の縁に到着した。
「おっとっと……。とにかく雑魔を出さなきゃ、話にならないだべさ」
凰牙はしゃがみ込むと、手を浅く池の中に入れてみる。
すると池の中から何かがこちらに向かって来るのが見えたので、慌てて手を引いて後ろに下がった。
次の瞬間、激しい水飛沫が上がり、二本の触手が姿を現す。
凰牙は池に背を向けて走り出すのと同時に、手にはジャマダハル・ザラームを持つ。
「兄さんっ、触手が出てきたぜ!」
「良くやったのじゃ! 流石は俺の弟分!」
木の影に隠れていた金哉は、池へ向かって走り出す。
凰牙を追っている触手はどんどん細くなり、池の中から一体の本体が出てきた。
しかし向かってくる金哉に気付いたのか、本体が出ている方の触手が方向を転換する。
「おっと、こちらに気付いたのかえ」
自分へ向かってきた触手を、金哉は混元傘を広げて攻撃を防ぐ。
その間に金哉は覚醒状態になり、アクティブスキルの練気にて攻撃の威力を上げる。
そして闘脚絆・猩々を用いて、アクティブスキルの闘脚絆・猩々を本体へ放ち、退治した。
「よしっ! ――凰の方は大丈夫じゃろうか?」
凰牙はもう一体が本体を現したので、再び体の向きを変えて池へ向かって走り出す。
そしてアクティブスキルの練気を発動させて、本体へアクティブスキルの突構えで攻撃した。
「ははっ! やっぱり兄さんと俺がいれば、百人力だべさ!」
雑魔を倒したことを喜ぶ凰牙は、池に異変が起きつつあるのを気付かずにいる。
「皆さん、大丈夫ですか?」
「大分……、雑魔は減らせたかと……」
金哉と凰牙の所へ、それぞれ雑魔を倒したジョージとカムイが走って来た時、とうとう池の中から異変が姿を現す。
四本の触手が突如、眼にもとまらぬスピードで四人の体に絡み付いたのだ。触手はそのまま四人の体を宙に持ち上げて、衣類の隙間から入り込む。
あまりにも突然の出来事に、四人は武器を手放してしまった。
ジョージは全身鎧の隙間から分裂した触手が入り込んできて、素肌を撫でる感触に思わず叫ぶ。
「のぅわーっ! 冷たくてヌルヌルした触手が、僕の素肌をまさぐっているぅ! 気持ち悪いぃ!」
冷たい生き物の舌で体の至るところを舐められているような感覚に、ジョージは涙目になりながら悶える。
カムイはアクティブスキルを発動させることも忘れて、赤く潤んだ眼で息を荒げながら触手から逃れようとしていた。
「だっ誰か……、ひぃっ! あっああ……、そんなところ……ヌルヌルしたモノで触らないでっ……! ダメ……、はっ放してぇ……!」
しかし暴れるほど触手はきつくカムイの体に絡み付き、麻痺成分を出してくる。
そのせいで冷たい感触は無くなるものの、余計に触手のヌルヌルした感触が伝わってきた。
「ううっ……、こっこの卑怯雑魔め! 戦いならば正々堂々と勝負……あっ、そこはダメなのじゃあ~!」
金哉は凰牙が近くにいるので必死に抵抗しようとするが、次第に体の力が抜けてしまう。
「にいさ、この触手、体の変なとこばっか触ってくるべ……! きっ気持ち悪いだ! 俺の首や胸、腹がヌルヌルでこすられて……! あぅんっ! しっ痺れてきただ……。にいさ、助け……」
「凰っ、しっかりするのじゃ! ……くっ! このままでは全員がいろんな意味で昇天してしまうのぅ。……ん? 残りの二人はどこにいるのじゃ?」
ふと金哉は水月とゴンザレスの姿が見えない事に気付き、周囲を見回す。
「オオゥ、良イオカズガ揃ッタ! 美味シク頂コウ!」
四人が襲われている現場から池を挟んだ向こう岸で、ゴンザレスはおにぎり草・まめしを頬張っていた。
「ウムウム。ジョージハ鉄壁カト思エタ全身鎧カラ触手ガ入リ込ンデキテ、初メテノ経験ヲシテイルヨウダ。反応ガ何トモ初々シイクテ、タマラン。カムイハ整ッタ容姿カラハ考エラレヌホド、触手ノ動キニ素直ニ反応シテイル。乱レタ姿ガトテモ艶ッポイ。金哉ノ小麦色ノ肌ニ絡ミ付ク触手ハ、余計二イヤラシク見エル。色ッポイノガ良イナ。凰牙ハ今ハ小柄ダガ、将来有望ダ。イツモハ強気ノ者ガ、弱ル姿ハソソラレル。――ダガモウ少シ、サービスガアルト良イナ」
「……ゴンザレスさんの思考は全部、口から出ていますねー。ここは一つ、仲間達を助けに行ってもらいましょうか」
ゴンザレスの数メートル後ろにいる水月は、特殊強化鋼製ワイヤーウィップを手に持つ。
そして覚醒状態になると、アクティブスキルのエンタングルを発動させる。水月はワイヤーウィップを、ゴンザレスの腰に背後から巻き付けた。
「ナッ何ダッ!?」
「仲間達が襲われている姿をオカズに食事をしてないで、囮役になるか、戦ってきてください」
ニッコリ笑った水月は、ゴンザレスを向こう岸へ向けて放り投げる。
「ウオオオッ!」
ところが池の中心までゴンザレスが来た時、突如池の中から一本の触手が出てきて体に絡み付いた。
「ンNooooo! それがしノ筋肉二、ヌルヌル触手ガ這ウゥ!」
「おや、捕まってしまいましたか。……しかし襲われている四人はともかく、巨漢の狼男さんが触手攻めに合っている姿は視界の暴力ですねー。見ているだけで、頭痛・吐き気・眩暈が……」
「水月っ! 風邪の症状を語っておらんで、とっとと俺達を助けるのじゃ! もうそろそろ力が尽きそうなのじゃー!」
金哉の必死の叫びで、水月はハッと我に返る。
「おっと、いけませんね。先に襲われている四人が既に息も絶え絶えになっていますし、真面目に戦いますかー」
水月はワイヤーウィップから試作雷撃刀・ダークMASAMUNEに持ち変えると、向こう岸目指して走り出す。
「皆さんが触手を引き付けてくれているおかげで、戦いに集中できます。四人を捕らえているのは二体の雑魔ですかー。本体はもう池から上がっていますね」
池の縁には二体の本体が上がっており、水月はアクティブスキルの連撃を発動させて斬った。
解放された四人はドサドサッと地面に落ちたものの、水月は未だ捕らえられたままのゴンザレスに視線を向ける。
「あのままでは池へ引きずり込まれてしまいますねー。ちょっと乱暴ですけど、本体に出てきてもらいましょうか」
水月はダークMASAMUNEを池に入れると、高圧電流を少しだけ流す。
ビリビリッと水面に電気が走り、ゴンザレスも触手越しに軽く感電する。
「ヌオオオッ! 癖二ナリソウナ刺激ダッ☆」
電気に驚いた触手がゴンザレスを放したので、水月はすぐにワイヤーウィップで回収してこちらの岸に落とした。
すると池の中から本体が這い上がり、触手を水月に向けてくる。
水月はアクティブスキルの瞬影を発動させて攻撃から逃れて、ワイヤーウィップの特殊モーターを起動させて本体を切り裂いた。
――ところが次の瞬間、水月は新たな雑魔の触手に体を絡め取られてしまう。
「うわわっ!? ちょっと待ってください! こんな突然っ……」
いきなりの事だったので、つい武器を手放してしまった。
水月はよりにもよってドレスを着てきてしまった為に、触手の侵入を容易く許してしまう。
「ひぃっ……! こっこんな事になるなら、ドレスなんて着てくるんじゃ……はぁんっ! ソコを触るのはダメですぅ! ああっ……、僕、おかしくなってしまいます……!」
水月が抵抗するよりも早く、触手は肌を舐め回し始めた。
自然と顔が赤くなり、甲高い声が出てしまうのを止められない。
「ヤレヤレ、因果応報ダナ」
誰よりも早く復活したゴンザレスは池の中へ向けて、魔導拳銃・ペンタグラムを撃った――。
戦闘後、ジョージはゲッソリしながらも自分の体を見回して、安堵のため息を吐く。
「鎧を溶かされなくて良かったですが、スライムの恐ろしさを体験しました……。ううっ、気持ちを切り替えなければなりませんけど……、しばらく夢に見そうです」
水月は乱されたドレスを、青白い顔で直している。
「はあ……、やっと戦い終えました。でも気持ち悪い感触が、まだ体に残っているようです」
カムイはグッタリしながらも、何とか立ち上がった。
「少し休んだら……何とか、回復しました。触手のヌルヌルは……残っていないようで……安心、しました」
金哉は泣きじゃくる凰牙を抱き締めながら、必死に慰めている。
「にいさっ、気持ち悪かっただ!」
「大変じゃったのぅ。だが凰がしっかりと雑魔を倒した姿、この眼にしっかりと焼き付けたのじゃ。立派じゃったな」
五人が疲弊している中、ゴンザレスだけは何故か興奮していた。
「ハアハアッ……! 中々良イ仕事ダッタ。新タナ世界ガ見エタゾ……!」
【終わり】
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 6人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/28 16:55:20 |
|
![]() |
【相談】スライム対策会議室 帳 金哉(ka5666) 鬼|21才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/05/31 17:22:15 |