ゲスト
(ka0000)
辺境の平和は俺達が支えている
マスター:真太郎

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/01 12:00
- 完成日
- 2016/06/09 06:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
辺境は歪虚の活動が特に活発な地域であり、人類と歪虚の勢力地が常に揺れ動いている場所である。
そんな土地柄な事もあり、辺境では農耕が盛んではなく、辺境に暮らす者の多くは食料を輸入に頼っている。
そのため辺境の隣国であるゾンネンシュトラール帝国や、海を挟んだ対岸の自由都市同盟から、多くの輸出入業者が食料を運び込みにやってくる。
品物を運ぶ場所は辺境に点在する町や各地に散らばる部族など多岐にわたる。
もちろんその道中で歪虚などに襲われる可能性は他の国よりも格段に高い。
故に大半の業者は護衛を雇う。
その際に利用されるのは、やはり多くのハンターを抱えているハンターズソサイエティだ。
そして今日もとある業者の荷馬車が食料を満載して辺境の地を走っていた。
2頭立ての馬車が2台、前後に一定の距離を保ちながら悠々と駆けている。
前の馬車に乗るのは兄の『ハンス』。
後ろの馬車に乗るのは弟の『トム』。
2人とも30代の男性で、家族でやっている輸送業者の運搬係だ。
「なぁ兄貴」
弟のトムが無線機を使い、前をゆく馬車に乗る兄に話しかけた。
「なんだ?」
兄のハンスも無線機で応える。
「今日はいつもの道と違うけど大丈夫なのか?」
「仕方ねぇだろ。いつもの道はどっかから現れた歪虚とハンターがドンパチやってて通れねぇってんだから」
「でもこっちはゴブリンがよく出るって道だろ」
「だから雇ったハンターに斥候と警戒を頼んでるんだろうが」
「でもよぉ……」
と話していると、斥候に出していたハンターの1人から無線連絡がきた。
聞くと、狼にまたがったゴブリンの集団が荷馬車に向かっているとの事だった。
「やっぱりじゃねーかっ! どうすんだよ兄貴っ!?」
「うっせぇ! ゴチャゴチャぬかすな! とにかく全力で馬車を走らせろ」
しかし荷物を積載しまくった荷馬車は重くてスピードが出ない。
「これじゃ逃げきれねーよ! 兄貴が欲張って荷物を満載するから」
「お前だって満載するのに反対しなかっただろうがっ!」
「そうだけどよぉ……荷物少し捨てようぜ兄貴。そうすりゃ捨てた荷物にゴブリンが群がる。その隙に逃げりゃ……」
「バッカ野郎!! この食いもんは腹減らした辺境の奴らに食わせるために運んでんだっ!! ゴブリンに食わすためじゃねぇ!! 何が何でも守んだよ!」
「命あっての物種だろ~」
「命も大事だがプライドも大事だ」
「なんでだよ? プライド抱えて死んじまったら何にもなんねーじゃん」
「いいか弟よ。俺達運び屋が弱気になって輸送を止めたら辺境は飢えておしまいだ。辺境が倒れたら次は帝国、同盟、王国だ。つまり!」
「つまり?」
「俺達が辺境に運んでる食いもんが世界の平和を守ってんだーっ!!」
「なんだってぇーー!!」
「俺達の食いもんが奪われたら世界が滅ぶっ!!」
「そうだったのかぁーー!!」
「だから俺達はどんな事があっても儲けのために荷物を死守する! 絶対にだっ!!」
「分かったよ兄貴! 俺感動した。俺達すごい事してたんだな」
ハンスはポロリと本音も漏らしていたが、感動で興奮していたトムは聞き漏らした。
「そうだ弟よ。だったら俺達が今からしなきゃいけない事も分かるな?」
「わかってるよ。戦うんだろ」
「違う! 逃げるんだ」
「……え?」
「俺達が戦って怪我したらどうすんだ。戦いはハンターに任せてとにかく逃げんだよ」
「……兄貴、さっきまですっげぇイイコト言ってたのに」
「適材適所って奴だよ。という訳でハンターさん、後は頼んだぜ」
そんな土地柄な事もあり、辺境では農耕が盛んではなく、辺境に暮らす者の多くは食料を輸入に頼っている。
そのため辺境の隣国であるゾンネンシュトラール帝国や、海を挟んだ対岸の自由都市同盟から、多くの輸出入業者が食料を運び込みにやってくる。
品物を運ぶ場所は辺境に点在する町や各地に散らばる部族など多岐にわたる。
もちろんその道中で歪虚などに襲われる可能性は他の国よりも格段に高い。
故に大半の業者は護衛を雇う。
その際に利用されるのは、やはり多くのハンターを抱えているハンターズソサイエティだ。
そして今日もとある業者の荷馬車が食料を満載して辺境の地を走っていた。
2頭立ての馬車が2台、前後に一定の距離を保ちながら悠々と駆けている。
前の馬車に乗るのは兄の『ハンス』。
後ろの馬車に乗るのは弟の『トム』。
2人とも30代の男性で、家族でやっている輸送業者の運搬係だ。
「なぁ兄貴」
弟のトムが無線機を使い、前をゆく馬車に乗る兄に話しかけた。
「なんだ?」
兄のハンスも無線機で応える。
「今日はいつもの道と違うけど大丈夫なのか?」
「仕方ねぇだろ。いつもの道はどっかから現れた歪虚とハンターがドンパチやってて通れねぇってんだから」
「でもこっちはゴブリンがよく出るって道だろ」
「だから雇ったハンターに斥候と警戒を頼んでるんだろうが」
「でもよぉ……」
と話していると、斥候に出していたハンターの1人から無線連絡がきた。
聞くと、狼にまたがったゴブリンの集団が荷馬車に向かっているとの事だった。
「やっぱりじゃねーかっ! どうすんだよ兄貴っ!?」
「うっせぇ! ゴチャゴチャぬかすな! とにかく全力で馬車を走らせろ」
しかし荷物を積載しまくった荷馬車は重くてスピードが出ない。
「これじゃ逃げきれねーよ! 兄貴が欲張って荷物を満載するから」
「お前だって満載するのに反対しなかっただろうがっ!」
「そうだけどよぉ……荷物少し捨てようぜ兄貴。そうすりゃ捨てた荷物にゴブリンが群がる。その隙に逃げりゃ……」
「バッカ野郎!! この食いもんは腹減らした辺境の奴らに食わせるために運んでんだっ!! ゴブリンに食わすためじゃねぇ!! 何が何でも守んだよ!」
「命あっての物種だろ~」
「命も大事だがプライドも大事だ」
「なんでだよ? プライド抱えて死んじまったら何にもなんねーじゃん」
「いいか弟よ。俺達運び屋が弱気になって輸送を止めたら辺境は飢えておしまいだ。辺境が倒れたら次は帝国、同盟、王国だ。つまり!」
「つまり?」
「俺達が辺境に運んでる食いもんが世界の平和を守ってんだーっ!!」
「なんだってぇーー!!」
「俺達の食いもんが奪われたら世界が滅ぶっ!!」
「そうだったのかぁーー!!」
「だから俺達はどんな事があっても儲けのために荷物を死守する! 絶対にだっ!!」
「分かったよ兄貴! 俺感動した。俺達すごい事してたんだな」
ハンスはポロリと本音も漏らしていたが、感動で興奮していたトムは聞き漏らした。
「そうだ弟よ。だったら俺達が今からしなきゃいけない事も分かるな?」
「わかってるよ。戦うんだろ」
「違う! 逃げるんだ」
「……え?」
「俺達が戦って怪我したらどうすんだ。戦いはハンターに任せてとにかく逃げんだよ」
「……兄貴、さっきまですっげぇイイコト言ってたのに」
「適材適所って奴だよ。という訳でハンターさん、後は頼んだぜ」
リプレイ本文
馬車の南西に斥候に出てゴブリン集団を発見し、一報を入れた超級まりお(ka0824)だったが、実は酷い体調不良を感じていた。
「さっき命が1個増えそうな緑のキノコを見つけて食べたのが悪かったのかな……」
まりおは腹痛を抱えながらも馬車に向かって愛馬を走らせた。
「見逃してしまっていましたか。気を抜いていたつもりはないんですがね」
北に斥候に出て一番前を走っていた保・はじめ(ka5800)は首を傾げつつバイクをUターンさせた。
発見状況をまりおに聞くと、ゴブリンは掘った穴の中に隠れていたらしい。
「だとしたら、まだ隠れている敵がいるかもしれませんね」
保は伏兵に注意しつつもバイクを全速で走らせた。
「ふむん、ゴブリン共め、飛んで火にいる夏の虫とはこのことよのう」
南の斥候のミグ・ロマイヤー(ka0665)は物騒な独り言を漏らつつ『ライディングファイト』を発動。
機導術でバイクの性能を限界まで引き出し、スロットルを全開。
「こんな事もあろうかと準備はしておる!」
急加速で浮き上がる前輪に体重をかけて押さえ込みつつバイクを加速させた。
「この速度なら通常の3分の2の時間で戻れるはずじゃ!」
北東の斥候のザレム・アズール(ka0878)も『ライディングファイト』と同じく高速移動の可能な『車乗攻撃』で馬車に引き返していた。
「ハンス! トムの馬車と合流しろ! 守るために固まって移動するんだ!」
悪路と高速で跳ねる車体を制しつつ器用にトランシーバーを使って指示を出す。
南東の斥候のルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は敵襲と荷馬車の兄弟の会話を聞くと、バイクのカウルに置いていた『口伝符』を発動させた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法ニンジャテレカ!
運ぶ食料が世界の平和を守る、感動しちゃいました! 正義のニンジャでプロカードゲーマーとしては、その心意気護らなくちゃなのです!」
純真なのか、根が単純なのか、ハンスの力説を信じたルンルンは符にそう伝えるとバイクを荷馬車に向けて走らせる。
ただ『口伝符』の声は覚醒者でないと聞こえないため、残念ながら兄弟には伝わっていなかったが。
その兄弟は必死に馬車を走らせたが、ゴブリン集団の方が速いため、徐々に差を詰めれていた。
「辺境の荷馬車の護衛ならゴブリンが出る可能性が高いと思ったが、案の定だな」
荷馬車の傍で護衛に残っていたカイン・マッコール(ka5336)がゴブリンに嫌悪と憎悪の眼差しを向ける。
「このままだと追いつかれますの」
同じく護衛に残っていたディーナ・フェルミ(ka5843)は状況を判断して兄弟に声を掛けた。
「ハンスさん、私が声掛けしたら馬車を止めて下さいなの! トムさんもハンスさんに並んで追いついたらすぐ馬を止めて下さいなの!」
「そんな事したら追いつかれちまうよっ!」
「結界で馬車ごと守るから大丈夫なの。そしてみんなが敵を殲滅するのを待つの」
「結界? そんなんでホントにあの数を防げるのか?」
「防げるの! 信じて下さいなの!」
兄弟は懐疑的だったが、ディーナの必死の懇願に折れた。
「……分かった。追いつかれたなら止まっても同じだしな。指示に従えトム」
「わ、わかったよ兄貴」
ゴブリン集団に最初に会敵したのは北西に斥候に出ていて距離が一番近かった榊 兵庫(ka0010)だった。
ゴブリン達は迫ってくる榊に気づくと一斉に矢を放った。
榊の頭上から矢が雨のように降り注ぐ。
だが榊は馬をジグザクに走らせつつ十文字槍で矢を打ち払い、自身にも馬にも矢を1本も当てさせなかった。
「荷馬車の荷はそれを待ちわびている辺境の民にとっては何よりも大切なものだ。招かれざる盗賊は冥土にお引き取り願おう」
榊は『チャージング』を発動して馬を敵群に突っ込ませ『渾身撃』で跳ね飛ばす。
そして馬に跳ね上げられたゴブリンの体を槍で真っ二つに斬り裂き、狼は馬で踏み潰し、早々に一組倒した。
だが残りのゴブリン達は仲間が死のうとも構わず馬車に突っ込んでゆく。
榊は敵群に追いすがると『薙ぎ払い』で更に2体のゴブリンの首を斬り飛ばしたが、敵の勢いは止まらない。
不審に思って敵を観察すると、狼は血走った目で涎を零し、一心不乱に駆けている。どうやら相当飢えているらしい。
「獲物にありつくまで止まらんという事か」
「近寄らせないの!」
ディーナは敵が『ホーリーライト』の射程内に入ると、すぐさま光弾を放ってゴブリンの頭を撃ち抜いた。
「ゴブリンはすべて殺す」
カインはゴブリン群の前に立ちはだかるように馬を進めると、大剣で薙ぎ払う。
大剣はゴブリンの体を両断。上半身が宙を飛び、下半身が狼の背からずり落ちる。
だが後続のゴブリン群が止まらず殺到し、その内の一組がカインの馬にぶつかった。
「くっ!」
カインは馬が転ばないように手綱を制御したが、その隙に1体のゴブリンがカインに組み付き、剣を振り下ろしてくる。
カインは咄嗟にダガーを抜いて受け止めると『カウンターアタック』を発動。
剣をダガーで弾くと逆手に持ち替えてゴブリンの肩口に突き刺し、更に顔面を拳で殴打。
組み付いている手が緩むと前方に投げ捨てて、馬で弾き殺す。
そのまま馬を駆けさせ敵群に追いつくと『チャージ』でもう1体弾き殺し、残った狼は大剣で突き殺した。
しかし敵はまだ数多く残っている。
このままでは多くの敵が馬車に殺到してしまうだろう。
だが。
「体を低くし身を潜めろ。頭も上げるな。絶対にだ!」
全速で駆けつけてきたザレムが無線機に叫びながら『デルタレイ』を放ち、敵の先頭3体を光で撃ち抜く。
ザレムは『車乗攻撃』で敵群と馬車の間に割って入ると手近なゴブリンにラリアットを喰らわせて狼から落とし、後輪で轢き殺した。
「次に倒されたいのはどいつだ」
そしてライフルを構えて威圧したが、それでも敵の勢いは止まらなかった。
もう目前まで迫ってきた敵群を目の当たりにしてディーナは決断する。
「結界を張りますの! 馬車を止めて下さいなの!」
「あ、兄貴……本当に止めるのか?」
「止めろトム!」
躊躇する弟にハンスは強い口調で命じて止めさせた。
2台の馬車が止まるとディーナはすぐに『ディヴァインウィル』を発動。
効果範囲がギリギリだったが、どうにか2台の馬車の周囲に不可視の境界を作り上げた。
しかし。
「来る! 敵が来るよ兄貴っ!」
「何やってんだ穣ちゃん! 早くしてくれ!」
『ディヴァインウィル』が不可視のため兄弟達はパニックになっていた。
「結界はもう展開しているの。動いちゃダメなの!」
しかし見えないもので防げると言われても普通の人には信じがたい。
「死にたくねぇーー!!」
「俺なんか食ってもうまくねーぞっ!!」
眼前にまで迫ってきた狼の牙やゴブリンへの恐怖に耐えかねて、兄弟が絶叫を上げる。
そんな兄弟たちの目の前で狼達が急に動きを止めた。
「……え?」
「止まった?」
「マジで止まった!!」
「結界スゲェー!!」
兄弟は思わず歓声を上げた。
ゴブリン達には馬車に近寄れない理由は分からなかったが、ディーナが何かしていると感づいたらしく、ディーナに次々と矢を放った。
「危ない!」
ザレムは咄嗟に『防御障壁』を発動し、ディーナの周囲にマテリアルでできた光の防護壁が展開する。
ディーナは腕や体に何本か矢を受けたが、『防御障壁』で威力の削がれた矢では軽傷しか負わなかった。
「これ以上はやらせん!」
「ゴブリンはすべて殺す」
矢を射っていたゴブリン達に榊とカインが馬で突っ込み、蹂躙してゆく。
この時、馬車の周囲にいる者達の意識はほぼ西側の敵群に向いていた。
その瞬間を狙い、道の東側の脇に穴を掘って潜んでいたゴブリン達が一斉に馬車に向かって駆け出してきた。
大勢で襲撃して気を引いた隙に逆側から奇襲する。
それがゴブリン達の立てていた作戦だった。
馬車の周囲には『ディヴァインウィル』が展開されていたが、伏兵のゴブリン達は精鋭だったためか4体中3体が境界を突破する。
だが、不意に音速で飛来した弾丸が伏兵のゴブリンの頭を撃ち貫いていった。
それはバイクで駆けつけてきたミグが魔導ライフルで放った弾丸だ。
「どうやら知恵の働く奴もおったようじゃが、ミグはお見通じゃ」
幼く見えるミグだが実年齢はかなり高い。
これまでの戦闘経験から伏兵の存在と、その位置まで見越していたのだ。
だが伏兵のゴブリン達は1人やられても構わず馬車に迫る。
しかし伏兵を留意していたのはミグだけではない。
5枚の符が飛来してゴブリンを取り囲み、結界が展開される。
そして結界内に眩い光が溢れ、ゴブリンの体を焦がし、目を焼いた。
ギリギリ術が届く距離まで引き返せていた保が『五色光符陣』を放ったのだ。
「どうにか間に合いましたね」
「ナイスアシストじゃ」
焼け焦げた上に目が眩んで右往左往しているゴブリン達にミグは『機動砲』を放ってトドメを刺してゆく。
伏兵のゴブリンがやられると、生き残っていたゴブリン達は散り散りになって逃げ出し始めた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術! カードを場に伏せてターンエンド」
しかし逃げる先にルンルンが『地縛符』の結界を展開。
結界に踏み込んだ狼は足を取られて急停止。
乗っていたゴブリンは勢いよく前に投げ出され、落ちた場所で更に足も取られて動けなくなる。
「トラップカード発動! 更にカードをドロー」
ルンルンは使い終えた符を捨てると新たな符を3枚抜いた。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法三雷神の術! 行っちゃえ、めがね、うくれれ、おいーっす!」
そして妙な掛け声と共に『風雷陣』を発動。動けなくなった敵を順々に稲妻で倒してゆく。
ルンルンの『地縛符』にかからなかったゴブリンもいたが、すぐに榊、ザレム、カイン、まりおが追った。
「逃しはせん!」
榊は敵に追いつくと『薙ぎ払い』を縦に放ち、ゴブリンと狼の両方を一刀のもとに縦断した。
「一匹でも逃してルートや村の場所を知られる訳にはいかない」
カインは『チャージング』で狼を轢き潰してゴブリンを地面に叩き落とす。
「この場で鏖殺させてもらう」
ゴブリンは槍で反撃してきたがカインは軽く避けると馬上から大剣で串刺しにしてゴブリンの息の根を止めた。
『車乗攻撃』を使いきっていたザレムだが狼を追うのは容易く、相手を射程に捉えると『デルタレイ』を発動。
ゴブリンと狼は放たれた光に穿たれ、倒れていった。
「逃がして仲間が追加されると厄介だからな」
まだ馬車に戻る途上だったまりおはゴブリンを見つけると、腹痛を我慢しながら追った。
そして背中から刀を斬りつけて倒すと刃を返し、狼の首を切り飛ばした。
「腹痛でも役に立てたかな? 危うくタダ飯喰らいになるところだったよ」
こうしてゴブリン達は一掃され、安全が確保されたと分かるとディーナは『ディバインウィル』の展開をやめ、兄弟へ振り向いた。
「もう大丈夫なの。怪我はありませんの?」
「矢! 矢が刺さってる!」
「え? どこですの? 見せてくださいなの!」
「いや、刺さってるのはアンタだよ」
「俺達はアンタのおかげで無傷だ。だから俺達より自分の心配しな」
「大丈夫なの。これぐらいかすり傷なの」
指摘されたディーナは矢を抜くと自身に『ヒール』を施し、ニッコリと笑顔を返した。
その後は何事も起こらず、最初の配達場所の村に辿り着いた。
するとたちまち村人が馬車に集まってくる。
トムは頼まれていた物の配達を行い、ハンスはそれ以外に持ってきた物の販売を始めた。
「今日は何があるんだい?」
「酒が欲しいんだ、あるかな?」
「お菓子ちょうだーい」
「塩が高いな……もう少しまけてくれないか」
村での商いは好評で、荷は3分の2位にまで減った。
次の村でも同じように兄弟は歓待された。
そして最後の商売相手は遊牧民だった。
彼らは定住地を持たないので、予め決めておいた待ち合わせ場所での合流となる。
その場所で待っていると、遠方から羊の群れを連れて集団がやってきた。
「来てくれてありがとう。今日もよろしく頼むよ」
部族の代表らしい者と兄弟が挨拶を交わし、商談を進める。
その間、ハンター達は物珍しそうな目をした部族の子供達に取り囲まれた。
「それバイク? 馬より速いってホント?」
「あぁ、俺のバイクはむちゃくちゃ速いぞ」
ザレムが得意気に自分の愛機を叩く。
「うっそだぁー。馬の方が速いに決まってるよ~」
「それじゃ乗ってみるか?」
ザレムが1人の子供を乗せて走るとたちまち評判になり、保までバイクに乗せて欲しいとせがまれる様になる。
「仕方ありませんね。落ちないようにしっかり掴まっているんですよ」
「姉ちゃんその腕なに? カッケェー!」
「特注の義手じゃ。色々な事ができるんじゃぞ」
子供の扱いに慣れているミグは義手で色んな事をしてみせたりして子供達と遊んであげた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術!」
「わっ! ホントに動けなくなった」
「これがニンジャの力でーす!」
「忍者すごーい!」
ルンルンは忍法と称した符術を披露し、子供だけでなく大人も驚かせていた。
まりおは子供を肩車しながら『ビーダッシュ』して楽しませていた。
「ビーダッシュ!」
「うわっ!」
「むちゃくちゃ速い!」
「なんで? なんでそんなに速く走れるの?」
「それは僕が配管工だからだよ」
「意味わかんねー」
「怪我をしてる人がいるなら言って下さいなの。治してあげますの」
ディーナは臨時の治療院を開いて怪我人に『ヒール』を施した。
そうしている間に商談は終わり、遊牧民と別れの時になる。
遊牧民の者達は皆笑顔で感謝の言葉を述べ、手を振り、去っていった。
いや、遊牧民達だけではない。
これまで配達した者達はいずれも笑顔だった。
その事からも辺境の者達が本当にハンスやトムのような運搬人によって支えられていると実感できた。
「主らと辺境の民とはwin―winな関係だ。今後も良い関係を築いてくれ」
榊はハンスとトムの肩に手を置いて讃えた。
「当ったり前よ。俺達の商売は信頼関係が何より大事だからな」
(こやつらはまだチンピラじゃが、まぁまだ若いしの。このまま生き延びて経験を積めばひとかどの物にはなれるじゃろうて)
得意気に胸を張るハンスやトムをミグは心の中でそう評した。
「これからも頑張れ。あの子供達や辺境の人達のために超頑張れ! けど命は捨てるなよ。大事に使えば一生もつんだから」
ザレムが別れの挨拶代わりに激励を送り、ハンター達の任務は終了した。
こうしてハンスとトムの配達も無事終了したが、数日後にはまたこの地に来ている事だろう。
なぜなら辺境の平和を支えているのは彼らなのだから。
「さっき命が1個増えそうな緑のキノコを見つけて食べたのが悪かったのかな……」
まりおは腹痛を抱えながらも馬車に向かって愛馬を走らせた。
「見逃してしまっていましたか。気を抜いていたつもりはないんですがね」
北に斥候に出て一番前を走っていた保・はじめ(ka5800)は首を傾げつつバイクをUターンさせた。
発見状況をまりおに聞くと、ゴブリンは掘った穴の中に隠れていたらしい。
「だとしたら、まだ隠れている敵がいるかもしれませんね」
保は伏兵に注意しつつもバイクを全速で走らせた。
「ふむん、ゴブリン共め、飛んで火にいる夏の虫とはこのことよのう」
南の斥候のミグ・ロマイヤー(ka0665)は物騒な独り言を漏らつつ『ライディングファイト』を発動。
機導術でバイクの性能を限界まで引き出し、スロットルを全開。
「こんな事もあろうかと準備はしておる!」
急加速で浮き上がる前輪に体重をかけて押さえ込みつつバイクを加速させた。
「この速度なら通常の3分の2の時間で戻れるはずじゃ!」
北東の斥候のザレム・アズール(ka0878)も『ライディングファイト』と同じく高速移動の可能な『車乗攻撃』で馬車に引き返していた。
「ハンス! トムの馬車と合流しろ! 守るために固まって移動するんだ!」
悪路と高速で跳ねる車体を制しつつ器用にトランシーバーを使って指示を出す。
南東の斥候のルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は敵襲と荷馬車の兄弟の会話を聞くと、バイクのカウルに置いていた『口伝符』を発動させた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法ニンジャテレカ!
運ぶ食料が世界の平和を守る、感動しちゃいました! 正義のニンジャでプロカードゲーマーとしては、その心意気護らなくちゃなのです!」
純真なのか、根が単純なのか、ハンスの力説を信じたルンルンは符にそう伝えるとバイクを荷馬車に向けて走らせる。
ただ『口伝符』の声は覚醒者でないと聞こえないため、残念ながら兄弟には伝わっていなかったが。
その兄弟は必死に馬車を走らせたが、ゴブリン集団の方が速いため、徐々に差を詰めれていた。
「辺境の荷馬車の護衛ならゴブリンが出る可能性が高いと思ったが、案の定だな」
荷馬車の傍で護衛に残っていたカイン・マッコール(ka5336)がゴブリンに嫌悪と憎悪の眼差しを向ける。
「このままだと追いつかれますの」
同じく護衛に残っていたディーナ・フェルミ(ka5843)は状況を判断して兄弟に声を掛けた。
「ハンスさん、私が声掛けしたら馬車を止めて下さいなの! トムさんもハンスさんに並んで追いついたらすぐ馬を止めて下さいなの!」
「そんな事したら追いつかれちまうよっ!」
「結界で馬車ごと守るから大丈夫なの。そしてみんなが敵を殲滅するのを待つの」
「結界? そんなんでホントにあの数を防げるのか?」
「防げるの! 信じて下さいなの!」
兄弟は懐疑的だったが、ディーナの必死の懇願に折れた。
「……分かった。追いつかれたなら止まっても同じだしな。指示に従えトム」
「わ、わかったよ兄貴」
ゴブリン集団に最初に会敵したのは北西に斥候に出ていて距離が一番近かった榊 兵庫(ka0010)だった。
ゴブリン達は迫ってくる榊に気づくと一斉に矢を放った。
榊の頭上から矢が雨のように降り注ぐ。
だが榊は馬をジグザクに走らせつつ十文字槍で矢を打ち払い、自身にも馬にも矢を1本も当てさせなかった。
「荷馬車の荷はそれを待ちわびている辺境の民にとっては何よりも大切なものだ。招かれざる盗賊は冥土にお引き取り願おう」
榊は『チャージング』を発動して馬を敵群に突っ込ませ『渾身撃』で跳ね飛ばす。
そして馬に跳ね上げられたゴブリンの体を槍で真っ二つに斬り裂き、狼は馬で踏み潰し、早々に一組倒した。
だが残りのゴブリン達は仲間が死のうとも構わず馬車に突っ込んでゆく。
榊は敵群に追いすがると『薙ぎ払い』で更に2体のゴブリンの首を斬り飛ばしたが、敵の勢いは止まらない。
不審に思って敵を観察すると、狼は血走った目で涎を零し、一心不乱に駆けている。どうやら相当飢えているらしい。
「獲物にありつくまで止まらんという事か」
「近寄らせないの!」
ディーナは敵が『ホーリーライト』の射程内に入ると、すぐさま光弾を放ってゴブリンの頭を撃ち抜いた。
「ゴブリンはすべて殺す」
カインはゴブリン群の前に立ちはだかるように馬を進めると、大剣で薙ぎ払う。
大剣はゴブリンの体を両断。上半身が宙を飛び、下半身が狼の背からずり落ちる。
だが後続のゴブリン群が止まらず殺到し、その内の一組がカインの馬にぶつかった。
「くっ!」
カインは馬が転ばないように手綱を制御したが、その隙に1体のゴブリンがカインに組み付き、剣を振り下ろしてくる。
カインは咄嗟にダガーを抜いて受け止めると『カウンターアタック』を発動。
剣をダガーで弾くと逆手に持ち替えてゴブリンの肩口に突き刺し、更に顔面を拳で殴打。
組み付いている手が緩むと前方に投げ捨てて、馬で弾き殺す。
そのまま馬を駆けさせ敵群に追いつくと『チャージ』でもう1体弾き殺し、残った狼は大剣で突き殺した。
しかし敵はまだ数多く残っている。
このままでは多くの敵が馬車に殺到してしまうだろう。
だが。
「体を低くし身を潜めろ。頭も上げるな。絶対にだ!」
全速で駆けつけてきたザレムが無線機に叫びながら『デルタレイ』を放ち、敵の先頭3体を光で撃ち抜く。
ザレムは『車乗攻撃』で敵群と馬車の間に割って入ると手近なゴブリンにラリアットを喰らわせて狼から落とし、後輪で轢き殺した。
「次に倒されたいのはどいつだ」
そしてライフルを構えて威圧したが、それでも敵の勢いは止まらなかった。
もう目前まで迫ってきた敵群を目の当たりにしてディーナは決断する。
「結界を張りますの! 馬車を止めて下さいなの!」
「あ、兄貴……本当に止めるのか?」
「止めろトム!」
躊躇する弟にハンスは強い口調で命じて止めさせた。
2台の馬車が止まるとディーナはすぐに『ディヴァインウィル』を発動。
効果範囲がギリギリだったが、どうにか2台の馬車の周囲に不可視の境界を作り上げた。
しかし。
「来る! 敵が来るよ兄貴っ!」
「何やってんだ穣ちゃん! 早くしてくれ!」
『ディヴァインウィル』が不可視のため兄弟達はパニックになっていた。
「結界はもう展開しているの。動いちゃダメなの!」
しかし見えないもので防げると言われても普通の人には信じがたい。
「死にたくねぇーー!!」
「俺なんか食ってもうまくねーぞっ!!」
眼前にまで迫ってきた狼の牙やゴブリンへの恐怖に耐えかねて、兄弟が絶叫を上げる。
そんな兄弟たちの目の前で狼達が急に動きを止めた。
「……え?」
「止まった?」
「マジで止まった!!」
「結界スゲェー!!」
兄弟は思わず歓声を上げた。
ゴブリン達には馬車に近寄れない理由は分からなかったが、ディーナが何かしていると感づいたらしく、ディーナに次々と矢を放った。
「危ない!」
ザレムは咄嗟に『防御障壁』を発動し、ディーナの周囲にマテリアルでできた光の防護壁が展開する。
ディーナは腕や体に何本か矢を受けたが、『防御障壁』で威力の削がれた矢では軽傷しか負わなかった。
「これ以上はやらせん!」
「ゴブリンはすべて殺す」
矢を射っていたゴブリン達に榊とカインが馬で突っ込み、蹂躙してゆく。
この時、馬車の周囲にいる者達の意識はほぼ西側の敵群に向いていた。
その瞬間を狙い、道の東側の脇に穴を掘って潜んでいたゴブリン達が一斉に馬車に向かって駆け出してきた。
大勢で襲撃して気を引いた隙に逆側から奇襲する。
それがゴブリン達の立てていた作戦だった。
馬車の周囲には『ディヴァインウィル』が展開されていたが、伏兵のゴブリン達は精鋭だったためか4体中3体が境界を突破する。
だが、不意に音速で飛来した弾丸が伏兵のゴブリンの頭を撃ち貫いていった。
それはバイクで駆けつけてきたミグが魔導ライフルで放った弾丸だ。
「どうやら知恵の働く奴もおったようじゃが、ミグはお見通じゃ」
幼く見えるミグだが実年齢はかなり高い。
これまでの戦闘経験から伏兵の存在と、その位置まで見越していたのだ。
だが伏兵のゴブリン達は1人やられても構わず馬車に迫る。
しかし伏兵を留意していたのはミグだけではない。
5枚の符が飛来してゴブリンを取り囲み、結界が展開される。
そして結界内に眩い光が溢れ、ゴブリンの体を焦がし、目を焼いた。
ギリギリ術が届く距離まで引き返せていた保が『五色光符陣』を放ったのだ。
「どうにか間に合いましたね」
「ナイスアシストじゃ」
焼け焦げた上に目が眩んで右往左往しているゴブリン達にミグは『機動砲』を放ってトドメを刺してゆく。
伏兵のゴブリンがやられると、生き残っていたゴブリン達は散り散りになって逃げ出し始めた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術! カードを場に伏せてターンエンド」
しかし逃げる先にルンルンが『地縛符』の結界を展開。
結界に踏み込んだ狼は足を取られて急停止。
乗っていたゴブリンは勢いよく前に投げ出され、落ちた場所で更に足も取られて動けなくなる。
「トラップカード発動! 更にカードをドロー」
ルンルンは使い終えた符を捨てると新たな符を3枚抜いた。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法三雷神の術! 行っちゃえ、めがね、うくれれ、おいーっす!」
そして妙な掛け声と共に『風雷陣』を発動。動けなくなった敵を順々に稲妻で倒してゆく。
ルンルンの『地縛符』にかからなかったゴブリンもいたが、すぐに榊、ザレム、カイン、まりおが追った。
「逃しはせん!」
榊は敵に追いつくと『薙ぎ払い』を縦に放ち、ゴブリンと狼の両方を一刀のもとに縦断した。
「一匹でも逃してルートや村の場所を知られる訳にはいかない」
カインは『チャージング』で狼を轢き潰してゴブリンを地面に叩き落とす。
「この場で鏖殺させてもらう」
ゴブリンは槍で反撃してきたがカインは軽く避けると馬上から大剣で串刺しにしてゴブリンの息の根を止めた。
『車乗攻撃』を使いきっていたザレムだが狼を追うのは容易く、相手を射程に捉えると『デルタレイ』を発動。
ゴブリンと狼は放たれた光に穿たれ、倒れていった。
「逃がして仲間が追加されると厄介だからな」
まだ馬車に戻る途上だったまりおはゴブリンを見つけると、腹痛を我慢しながら追った。
そして背中から刀を斬りつけて倒すと刃を返し、狼の首を切り飛ばした。
「腹痛でも役に立てたかな? 危うくタダ飯喰らいになるところだったよ」
こうしてゴブリン達は一掃され、安全が確保されたと分かるとディーナは『ディバインウィル』の展開をやめ、兄弟へ振り向いた。
「もう大丈夫なの。怪我はありませんの?」
「矢! 矢が刺さってる!」
「え? どこですの? 見せてくださいなの!」
「いや、刺さってるのはアンタだよ」
「俺達はアンタのおかげで無傷だ。だから俺達より自分の心配しな」
「大丈夫なの。これぐらいかすり傷なの」
指摘されたディーナは矢を抜くと自身に『ヒール』を施し、ニッコリと笑顔を返した。
その後は何事も起こらず、最初の配達場所の村に辿り着いた。
するとたちまち村人が馬車に集まってくる。
トムは頼まれていた物の配達を行い、ハンスはそれ以外に持ってきた物の販売を始めた。
「今日は何があるんだい?」
「酒が欲しいんだ、あるかな?」
「お菓子ちょうだーい」
「塩が高いな……もう少しまけてくれないか」
村での商いは好評で、荷は3分の2位にまで減った。
次の村でも同じように兄弟は歓待された。
そして最後の商売相手は遊牧民だった。
彼らは定住地を持たないので、予め決めておいた待ち合わせ場所での合流となる。
その場所で待っていると、遠方から羊の群れを連れて集団がやってきた。
「来てくれてありがとう。今日もよろしく頼むよ」
部族の代表らしい者と兄弟が挨拶を交わし、商談を進める。
その間、ハンター達は物珍しそうな目をした部族の子供達に取り囲まれた。
「それバイク? 馬より速いってホント?」
「あぁ、俺のバイクはむちゃくちゃ速いぞ」
ザレムが得意気に自分の愛機を叩く。
「うっそだぁー。馬の方が速いに決まってるよ~」
「それじゃ乗ってみるか?」
ザレムが1人の子供を乗せて走るとたちまち評判になり、保までバイクに乗せて欲しいとせがまれる様になる。
「仕方ありませんね。落ちないようにしっかり掴まっているんですよ」
「姉ちゃんその腕なに? カッケェー!」
「特注の義手じゃ。色々な事ができるんじゃぞ」
子供の扱いに慣れているミグは義手で色んな事をしてみせたりして子供達と遊んであげた。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法土蜘蛛の術!」
「わっ! ホントに動けなくなった」
「これがニンジャの力でーす!」
「忍者すごーい!」
ルンルンは忍法と称した符術を披露し、子供だけでなく大人も驚かせていた。
まりおは子供を肩車しながら『ビーダッシュ』して楽しませていた。
「ビーダッシュ!」
「うわっ!」
「むちゃくちゃ速い!」
「なんで? なんでそんなに速く走れるの?」
「それは僕が配管工だからだよ」
「意味わかんねー」
「怪我をしてる人がいるなら言って下さいなの。治してあげますの」
ディーナは臨時の治療院を開いて怪我人に『ヒール』を施した。
そうしている間に商談は終わり、遊牧民と別れの時になる。
遊牧民の者達は皆笑顔で感謝の言葉を述べ、手を振り、去っていった。
いや、遊牧民達だけではない。
これまで配達した者達はいずれも笑顔だった。
その事からも辺境の者達が本当にハンスやトムのような運搬人によって支えられていると実感できた。
「主らと辺境の民とはwin―winな関係だ。今後も良い関係を築いてくれ」
榊はハンスとトムの肩に手を置いて讃えた。
「当ったり前よ。俺達の商売は信頼関係が何より大事だからな」
(こやつらはまだチンピラじゃが、まぁまだ若いしの。このまま生き延びて経験を積めばひとかどの物にはなれるじゃろうて)
得意気に胸を張るハンスやトムをミグは心の中でそう評した。
「これからも頑張れ。あの子供達や辺境の人達のために超頑張れ! けど命は捨てるなよ。大事に使えば一生もつんだから」
ザレムが別れの挨拶代わりに激励を送り、ハンター達の任務は終了した。
こうしてハンスとトムの配達も無事終了したが、数日後にはまたこの地に来ている事だろう。
なぜなら辺境の平和を支えているのは彼らなのだから。
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相談卓 カイン・A・A・カーナボン(ka5336) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/06/01 06:18:39 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/31 21:56:34 |