ゲスト
(ka0000)
ラスリド領リーラン村の防衛
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/03 12:00
- 完成日
- 2016/06/07 17:05
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
――グギギ。
人けのない廃墟の奥に潜んでいた奴は、顔を歪めて奥歯を噛んでいた。
その外見はゴブリンと遜色ないが、目に知識の色が宿っている。口から漏れる言葉は人間も理解できるほど。
ゴブリンの名前はガーギルと言った。半年前に王国を騒がせた茨小鬼事件の生き残りである。
大将格である茨小鬼が倒されたと知り、ガーギルは真っ先に逃げ出した。そしてこの地に隠れ住んだ。
再起を狙うつもりも復讐をするつもりもなかった。目立たないように旅人を中心とした人間を襲い、愉悦に浸ってきた。
だが彼の運命は急激に変わった。
先日、洞窟にコボルドを投げ込む奇妙な男を見たせいだ。外見は人間に似通っていたが、あれはまるで――。
そこまで考えてガーギルは首を振る。奴のことは思い出したくもなかった。
「グギギ……イイダロウ。ヤッテヤルトモ」
襲って手に入れた人間の武器である刀を手に、ガーギルは配下を連れて廃墟を出る。
本能で絶対に敵わないと理解した男に指定された村を占拠するために。
●
グラズヘイム王国ラスリド領リーラン村。
小さな田舎村で、奥には深い森がある。緑に囲まれた土地でもある。
村に新しく建てられた一番奥の家の前で、男が腕組みをして立っている。
何故か敵に狙われたりする機会の多い、ここリーラン村限定の統治を領主から任されたレイルである。
ハンターの指導を受けて、レイルは自身が前に出るのではなく、後方からの指揮や支援をメインに担当していくのを決めた。
そのことを領主でもある父親のゲオルグに話すと、ならばこの地だけでも治めてみろとリーランを任された。
「どうしたい。難しそうな顔をしてるじゃないか」
レイルに声をかけたのは、女鬼のアオユキだった。つい最近、覚醒者になったばかりだ。レイルの副官としてラスリド領の私兵をしている。
ハンターとしてソサエティには所属していないが、王国のラスリド領所属の覚醒者として委託契約するような形でソサエティにメンテナンスなどをお願いしていた。その点はラスリド領に所属する他の覚醒者も同じである。
「いや、どうしてこの村が頻繁に狙われるのかと思ってね」
「そういや不思議だね。つい最近、増えたって話みたいだし。だからアタシも村を守るために覚醒者になったんだけどね」
頼りにしている。レイルがそう言ったところで、村の見張り台にいた男が鐘を鳴らした。敵襲の合図である。
「敵襲? またこの村が狙われたのか。理由を考えるのは後だな。まずは敵の情報を得ないと」
「ならアタシが行ってくるよ」
「頼む。私はソサエティに依頼を出しておこう。敵の数が多いと、我々だけでは手が足りない。
●
リーランのハンターズソサエティにいたあなたは、外での騒ぎに気づいていた。
血相を変えて飛び込んできた男が受付にする依頼の説明を聞き、すぐに立ち上がる。
装備を整えて外に出ると、部下に指示を飛ばすレイルと目が合った。兵力を聞くと、相手の表情が曇る。
「村の兵は自警団と大差ない。覚醒者は副官のアオユキ一人。申し訳ないが、彼女に村を守らせて、ハンターの方々には前へ出てもらう布陣になると思う」
村の前には平原があり、そこで迎え撃つつもりであると聞かされる。
そこへ偵察を終えたアオユキが戻る。
「戻ったよ。敵はゴブリンとコボルドの混成軍。ただ率いてるのが問題だ。アレは茨小鬼だよ。統制もとれている。アタシらじゃ相手にならないよ」
レイルが真っ直ぐにあなた見る。
「危険を押しつける形になって申し訳ない」
当初の予定どおり、レイルたちが村を守り、あなたが攻めてくる茨小鬼の一団の対応へ回ることになった。
基本的な方針が決まれば出撃するだけ。不安と心配が入り混じった村人の視線に見送られながら、あなたは戦場となる平原へ向かった。
――グギギ。
人けのない廃墟の奥に潜んでいた奴は、顔を歪めて奥歯を噛んでいた。
その外見はゴブリンと遜色ないが、目に知識の色が宿っている。口から漏れる言葉は人間も理解できるほど。
ゴブリンの名前はガーギルと言った。半年前に王国を騒がせた茨小鬼事件の生き残りである。
大将格である茨小鬼が倒されたと知り、ガーギルは真っ先に逃げ出した。そしてこの地に隠れ住んだ。
再起を狙うつもりも復讐をするつもりもなかった。目立たないように旅人を中心とした人間を襲い、愉悦に浸ってきた。
だが彼の運命は急激に変わった。
先日、洞窟にコボルドを投げ込む奇妙な男を見たせいだ。外見は人間に似通っていたが、あれはまるで――。
そこまで考えてガーギルは首を振る。奴のことは思い出したくもなかった。
「グギギ……イイダロウ。ヤッテヤルトモ」
襲って手に入れた人間の武器である刀を手に、ガーギルは配下を連れて廃墟を出る。
本能で絶対に敵わないと理解した男に指定された村を占拠するために。
●
グラズヘイム王国ラスリド領リーラン村。
小さな田舎村で、奥には深い森がある。緑に囲まれた土地でもある。
村に新しく建てられた一番奥の家の前で、男が腕組みをして立っている。
何故か敵に狙われたりする機会の多い、ここリーラン村限定の統治を領主から任されたレイルである。
ハンターの指導を受けて、レイルは自身が前に出るのではなく、後方からの指揮や支援をメインに担当していくのを決めた。
そのことを領主でもある父親のゲオルグに話すと、ならばこの地だけでも治めてみろとリーランを任された。
「どうしたい。難しそうな顔をしてるじゃないか」
レイルに声をかけたのは、女鬼のアオユキだった。つい最近、覚醒者になったばかりだ。レイルの副官としてラスリド領の私兵をしている。
ハンターとしてソサエティには所属していないが、王国のラスリド領所属の覚醒者として委託契約するような形でソサエティにメンテナンスなどをお願いしていた。その点はラスリド領に所属する他の覚醒者も同じである。
「いや、どうしてこの村が頻繁に狙われるのかと思ってね」
「そういや不思議だね。つい最近、増えたって話みたいだし。だからアタシも村を守るために覚醒者になったんだけどね」
頼りにしている。レイルがそう言ったところで、村の見張り台にいた男が鐘を鳴らした。敵襲の合図である。
「敵襲? またこの村が狙われたのか。理由を考えるのは後だな。まずは敵の情報を得ないと」
「ならアタシが行ってくるよ」
「頼む。私はソサエティに依頼を出しておこう。敵の数が多いと、我々だけでは手が足りない。
●
リーランのハンターズソサエティにいたあなたは、外での騒ぎに気づいていた。
血相を変えて飛び込んできた男が受付にする依頼の説明を聞き、すぐに立ち上がる。
装備を整えて外に出ると、部下に指示を飛ばすレイルと目が合った。兵力を聞くと、相手の表情が曇る。
「村の兵は自警団と大差ない。覚醒者は副官のアオユキ一人。申し訳ないが、彼女に村を守らせて、ハンターの方々には前へ出てもらう布陣になると思う」
村の前には平原があり、そこで迎え撃つつもりであると聞かされる。
そこへ偵察を終えたアオユキが戻る。
「戻ったよ。敵はゴブリンとコボルドの混成軍。ただ率いてるのが問題だ。アレは茨小鬼だよ。統制もとれている。アタシらじゃ相手にならないよ」
レイルが真っ直ぐにあなた見る。
「危険を押しつける形になって申し訳ない」
当初の予定どおり、レイルたちが村を守り、あなたが攻めてくる茨小鬼の一団の対応へ回ることになった。
基本的な方針が決まれば出撃するだけ。不安と心配が入り混じった村人の視線に見送られながら、あなたは戦場となる平原へ向かった。
リプレイ本文
●
田舎村リーランに到着した一行は、改めて外から村の様子を見る。
考え込むように、コントラルト(ka4753)は曲げた人差し指を口元に当てる。
「この村に来るのは何度目だったかしらね……? 普通の村に見えるけど、実は何かあったりするのかしら」
呟きを漏らしたコントラルトに、アオユキが近づく。どうやら聞こえていたらしい。
「毎度すまないね。村の奥には不気味な森があるけど、アタシやレイルの旦那じゃわからないね」
「それじゃあ、仕方ないわね。さて、敵を率いているのは茨小鬼。あの時の倒し損ねになるのかしら」
村では幾人かの村人が、不安げに様子を窺っている。
普段はぽわぽわしており、大型犬気質のアルマ・A・エインズワース(ka4901)は笑顔で緊張中の村人へ声をかける。
自分が強そうに見えないのを重々承知しているからこそ、あえて笑みを浮かべて見せたのである。
「心配ですー? 大丈夫ですっ、僕、こう見えてちょっとは強いんですよ? 任せてしっかり見ててくださいっ!」
平原へと移動する前に、各ハンターは準備を整える。
まずは天央 観智(ka0896)がトランシーバーのチャンネルを合わせる。
同じくトンラシーバーを所持していたコントラルトは、二つ持っていたうちの一つをアオユキに手渡した。連絡を取り合えるようにするためだった。
●
平原に出たハンターたち。陣を張った敵混成軍の一番奥で、偉そうに指揮を執っている存在を見つける。情報にあった茨小鬼である。
「ナンダ、オマエラ。コノ、ガーギルサマノジャマヲスルツモリカ!」
発見するなり目を細めた仁川 リア(ka3483)は、口角を吊り上げる。
「茨小鬼? へぇ、他に生き残りがいたんだね、折角だし聞きたい事聞いてから死んでもらおうかな」
ジュン・トウガ(ka2966)は額に手を当てて、敵配置を確認する。
「わーお、ゴブリン相手にタワーディフェンスかよ。結構きついよなと思ったけど、広範囲の爆撃機みたいな連中多いから、わりといけるかね」
同じく観智も、敵との位置関係を双眼鏡で把握していく。
「慢心はいけませんが……茨小鬼と数以外は、然して問題無さそう……ですね」
騎乗するバイクのチェックを終えたショウコ=ヒナタ(ka4653)は、顔を上げて敵の群れを真っ直ぐに捉える。
「敵の村への到達阻止が第一だけど、可能なら殲滅もしておきたいね」
着々と布陣を整えていく中で観智は覚醒し、敵本陣へ乗り込むつもりだというリアにウィンドガストをかけた。
「敵の真っ只中に突っ込むのであれば、多少は役立つでしょう。ですが過信は禁物です」
「助かるよ。同じ茨小鬼なら、奴の情報を知っているかもしれない。それを聞き出すつもりだ」
軽く右手を上げ、観智にお礼を言ってからリアはバイクに跨る。
するとその時を待っていたかのように敵が動き出した。いよいよ本格的な戦闘開始である。
●
先制攻撃とばかりに観智がファイアーボールを放つ。狙いは雑魚のコボルドだ。敵の頭数を減らす目的があった。
「前衛が前に出る前に数を減らします。なるべく多く巻き込めるといいのですが」
まとめて倒されるのを警戒していたのか、規則正しい隊列ではあっても敵同士は意外と離れている。敵前逃亡をして生き残った茨小鬼だけに、知恵は働くみたいだった。
観智の繰り出したファイアーボールは多くを一度にとはいかなかったが、ハンターたちから見て右側のコボルドに命中。クリティカルな衝撃に、コボルドは悲鳴すら上げられずに大地へ倒れた。
続いて馬に乗ったコントラルトが前へ出る。茨小鬼をも射程に入れた彼女は、複数の敵を仕留めるべくデルタレイで攻撃を行う。
「数を減らすのには賛成ね。ついでに茨小鬼への牽制もしておきましょう。危険と判断して私を狙ってくれると、村の安全も半分は守られたようなものだから」
右側に陣取っていた二体のコボルドのそれぞれ足と腕を、伸びた光が貫いた。威力は圧倒的で、敵の目は瞬時に命の輝きを失った。
茨小鬼ガーギルの頭部にも命中し、絶大なダメージを与える。しかしそれが彼に実力差を教えてしまう。
「グギャア! ナンダ、アイツハ! ツヨスギル! コノバニイルニンゲン、ムシ! オクノスヲネラエ!」
ガーギルはコントラルトに恐れをなし、ハンターと対峙するよりも狙っている村を真っ直ぐに目指せと部下に指示したのである。
命令を受け取った敵配下は、左右に別れてハンターとの正面衝突を避けようとする。
牽制目的でガーギルへデルタレイを飛ばしたコントラルトは、敵の様子を見てほんの少しだけ眉をひそめた。
「そうくるのね。こんなに臆病な茨小鬼が……なるほど。道理で生き残っているわけね」
■
唸るバイクが距離を一気に詰め、リアがガーギルの前に到達した。
「そこのゴブリン共、村に行く前に僕の相手していかない? 聞きたい事もあるんだよね」
「ギギギ……! オマエラ、ソイツ、カコメ!」
不利を察しているガーギルは周囲の部下に命じて、リアの四方に陣取らせた。その隙に自身は逃げる。
舌打ちをしたリアが追いかけようとするも、ガーギルの護衛だったゴブリンが妨害してきた。
■
続々と村を目指すゴブリンたち。だが、ハンターも黙ってはいない。
敵の視界を奪うように立ち塞がったのはアルマだ。覚醒前のおっとりさは消え失せ、飄々とした態度で敵と対峙する。
「自ら向かって来るとは愚か極まりないですねェ。おまけに僕の前に立つとは、亜人さん達も運がない。久しぶりの雑魚狩り、楽しませてもらいますよォ!」
棍棒を持ったゴブリンが襲い来るも、その手がアルマに届くことはなかった。
見切る必要すらないとばかりに、アルマは青星の魂で迎撃。星の光にも似た青い焔が、容赦なくゴブリンの命を奪う。
「アッハハハハッ!! 早く僕を止めないと、全員消し炭ですよォ!?」
見せつけたアルマの実力が、ますます敵を怯えさせる。ガーギルはあくまでも、ハンターとの戦闘は避けろと叫ぶ。
■
「本格的に始まったね。ゴブリンどもは他が優先的に狙うだろうから、後回しだね。私は逃しやすいコボルドを中心に仕留める!」
走るバイクがショウコの操作で加速する。
猛スピードで接近するショウコに備えて身構えるコボルドを嘲笑うかのように進行方向を変え、すれ違いざまに刀を振るう。
鮮やかな紫に輝く雷光を一瞬だけ纏わせた刀身が、コボルドの肉体をあっさりと切り裂いた。クリティカルな一撃となった。
風属性の一撃を見舞われたコボルドは断末魔の悲鳴だけを残し、ショウコの前から消えた。力尽きて死したのである。
「まずは一体か。倒せたのはいいけど、展開は好ましくないね。コボルドたちが一斉に、全力で村へ向かっているよ!」
ショウコの大きな声での注意喚起に、最終ラインと決めた付近で警戒を続けていたジュンが反応する。
「無駄に知恵が回るっては本当だったか。抜け出てくる奴はきっちり潰させてもらうつもりだが、敵の多さもあって厄介だな。統率している奴のせいか」
村へ向かおうとするコボルドの進路を予測して位置取り、斧モードにしているアックスブレードで迎え撃つ。
雄叫びを上げるコボルドの攻撃を警戒しつつ、振り回す際の遠心力を利用して斧を叩きつける。勢いのある一撃が敵の急所に命中し、苦悶の果てにコボルドが絶命する。
目の前の一体を倒したからといって油断はしない。ジュンの背後には小さな村がある。守るべきもののために、斧を食らわせるべき次の獲物を探す。
「強いやつは強いのに任せて、雑魚に専念させてもらうか。突破されたらかなわんからな」
――だが。ハンターを無視して村だけを目指すコボルドたちに対応しきれず、二体のコボルドの突破を許してしまった。
■
コボルドが最終ラインを突破した。誰かの上げた声を聞いたコントラルトは即座にトランシーバーを使う。
応答したアオユキへの挨拶もそこそこに、最重要の情報を伝える。
「ついさっき、弱いコボルドが二体ほどそちらへ向かったわ。対応をお願いするわね」
「わかった。雑魚なら大丈夫だ!」
トランシーバーでの通信を終えると、すぐにコントラルトはハンターを避けて横から村へ向かおうとしていたのも含めて、三体の強いコボルドへデルタレイを撃った。
コボルドたちは光属性の魔法攻撃から逃れられず、脚、腕、頭に食らって全員が息絶えた。
「雑魚のコボルド二体であれば、予定の範囲内です。しかし、これ以上は許しません。そちらが突破に専念するというのなら、こちらは徹底して数を減らすまでです」
コントラルト同様にトランシーバーを持っていた観智も、アオユキからの連絡を受けていた。突破したコボルドの対応を、そのまま彼女らに任せる。
追いかけるよりも、観智はこの場に残って新たな突破者を出さないのを優先した。突破寸前まで迫っていたコボルドが、観智の放った火球を腕に受け、爆発した衝撃で短い生を終える。
観智とコントラルトの前方には、アルマがいる。
間合いに入った強いコボルドの胴を禁じ手《蒼断》で断ち切る。
「僕のそばに寄るなんて、自殺願望でもあるんですかねェ。射程に入ったら、容赦はしませんよォ!」
■
一方で敵に囲まれているリアには、次々とコボルドの爪やゴブリンの棍棒が襲い掛かる。
力任せの攻撃だけに勝手に外してくれた敵は無視し、命中しそうになっている棍棒を脚で受け止める。ダメージはない。軽い痺れ程度だ。
タコ殴りのような状況下でもリアに傷を負わせられない。驚愕の事実に、ますますガーギルは積極的な戦闘意欲を消失させる。
このままでは逃げられる。そう判断したリアは銃撃で正面の敵を倒し、包囲網の一角を崩した直後に、距離を取ろうとしている茨小鬼のガーギルをバイクで追う。
徒歩とバイクのどちらが速いかは一目瞭然だった。
■
村の前では三人の兵士とアオユキが一体ずつを受け持って、コボルドと戦闘していた。
三人の兵士はなんとかコボルドを倒したものの、アオユキの方は攻撃を回避されて睨み合いが続いている。
残っている敵はリアを囲むゴブリン一体と強いコボルド二体、あとはガーギルと村を襲っている弱いコボルドだけになっていた。
遠目でアオユキたちの様子を見ていたショウコは、バイクの前輪を村の方へ向ける。
「こっちは問題なさそうだ。私はバイクで村へ行く。向こうも大丈夫だとは思うけど一応ね」
「私はこのまま味方のフォローを続ける。後ろは任せろい!」
バイクで移動するショウコにそう言うと、ジュンも味方の背中を守るために動く。
■
包囲網を突破していたリアは再びガーギルと対峙していた。
「ホント、茨小鬼はどいつもこいつも逃げたがりで腹が立つね。逃げられないようにしてあげるよ」
龍壁を使った炎刃一切・紅でガーギルを押し倒そうとするも、抵抗される。
だが逃げ道を塞がれたガーギルは、もうリアに挑むしかない。
振り下ろされた刀を回避し、二度目の炎刃一切・紅でリアはついにガーギルを組み伏せて身動きを封じた。
「オマエラ、タスケロ!」
ガーギルの要望により、リアを包囲していた集団が遠距離からの投石を行う。
急所への直撃だけは避けながら、ややうんざりしたようにリアは愚痴る。
「やっぱり狙ってくるよね、ホント酷いなぁ」
■
「ああ、もう!」
アオユキが二度目の攻撃も外した時、ショウコが村前に到着した。
「援護する。これであんたも敵を倒しやすくなるだろ?」
ショウコの構えた銃で威嚇されたコボルドは動きが鈍り、三度目の正直でアオユキは敵を打倒した。
■
戦場に視線を戻せば、アルマと観智が残りの敵を一層しようとしていた。
「大物は取られてしまいましたし、他のを狩るとしますか」
「そうですね。村へ向かったコボルドは、ショウコさんの助力もあって無事に撃退できたようですしね。連絡がきていました」
観智がトランシーバーを見せつつ言うと、僅かに安堵した笑みをアルマが見せた。
「それでしたら、少しくらいなら遊んでいいですかねェ?」
コントラルトも二人に合流し、敵にとっては楽しくない時間が流れる。
程なくして、ガーギルを残して村を狙っていた敵は全滅した。
●
アオユキやレイルも含めた全員が、ガーギルを取り押さえているリアの周りに集まる。
「強そうだから尋問もやりにくいかと思ったけど、意外といけたみてえだな」
そう言ったジュンがアルマを見ると、彼は元のわんこのような雰囲気に戻っていた。
「情報は大事です、けど、相手が悪いゴブリンさんでもあんまり酷いのはダメですー……どうしてもならせめて一思いにして差し上げ……あの……」
「オレヲコロスキカ!」
アルマの言動で不安を覚えたガーギル。見下ろすコントラルトが、淡々と取引を持ち掛ける。
「知っていることを喋ったら、命を助けることを考えてあげてもいいわ」
「ホ、ホントダナ!?」
コントラルトは頷く。他のハンターも反対をしなかった。
「……ナニヲキキタイ」
「王が倒れた時に逃げたような臆病者が何でこの村を狙うの? 誰かに頼まれたのかしら?」
「ネライハシラン。メイレイシタノハ、クロイヤツダ。ニンゲンノヨウダガ、アレハチガウ。ショウタイハワカラナイ」
「黒い奴か。人でなく茨小鬼に命令できるなら、歪虚か? 知ってるか?」
ショウコに尋ねられたレイルとアオユキは、揃って首を左右に振った。
「情報が少なすぎますね。それだけでは、さすがに何者かを特定するのは不可能でしょう」
観智の発言にレイルも同意する。
「次は僕の番だね。質問だけどさ。君の仲間、他の茨小鬼の居場所とか知らないかな? それとも他にゴブリンですらない奴とかも仲間だったりするのかな?」
「シ、シラン。ソレニオレハオドサレタダケダ。ナカマジャナイ。カンケイナイ!」
「あぁ、そう。じゃあ……君はもう用済みだ、この世から消えちゃっていいよ」
冷徹に発したリアの言葉に、目を見開いたガーギルは話が違うとコントラルトを見た。
「考えた結果、殺すことに決めたわ。悪いけれど、私はあまり優しくないの」
「それが一番でしょうね。見逃してもまた悪さをするだけでしょうし」
観智だけでなく、ジュンも同調する。
「だな。諦めろ」
「イヤダーッ!」
あくまでも命乞いをするガーギルに、ショウコが軽蔑しきった表情を浮かべる。
「あんただって助けを求める人間を殺してきたんだろ? 自業自得だ」
リアがガーギルのとどめを刺し、見ていたアルマが反射的に「ぴぇ」と声を出した。
■
ハンターの活躍で救われたリーランを、顔をフードで覆った者が離れた位置から眺めていた。
ガーギルが絶命したのを確認すると背を向ける。纏う黒いマントが風ではためくように揺れた。
田舎村リーランに到着した一行は、改めて外から村の様子を見る。
考え込むように、コントラルト(ka4753)は曲げた人差し指を口元に当てる。
「この村に来るのは何度目だったかしらね……? 普通の村に見えるけど、実は何かあったりするのかしら」
呟きを漏らしたコントラルトに、アオユキが近づく。どうやら聞こえていたらしい。
「毎度すまないね。村の奥には不気味な森があるけど、アタシやレイルの旦那じゃわからないね」
「それじゃあ、仕方ないわね。さて、敵を率いているのは茨小鬼。あの時の倒し損ねになるのかしら」
村では幾人かの村人が、不安げに様子を窺っている。
普段はぽわぽわしており、大型犬気質のアルマ・A・エインズワース(ka4901)は笑顔で緊張中の村人へ声をかける。
自分が強そうに見えないのを重々承知しているからこそ、あえて笑みを浮かべて見せたのである。
「心配ですー? 大丈夫ですっ、僕、こう見えてちょっとは強いんですよ? 任せてしっかり見ててくださいっ!」
平原へと移動する前に、各ハンターは準備を整える。
まずは天央 観智(ka0896)がトランシーバーのチャンネルを合わせる。
同じくトンラシーバーを所持していたコントラルトは、二つ持っていたうちの一つをアオユキに手渡した。連絡を取り合えるようにするためだった。
●
平原に出たハンターたち。陣を張った敵混成軍の一番奥で、偉そうに指揮を執っている存在を見つける。情報にあった茨小鬼である。
「ナンダ、オマエラ。コノ、ガーギルサマノジャマヲスルツモリカ!」
発見するなり目を細めた仁川 リア(ka3483)は、口角を吊り上げる。
「茨小鬼? へぇ、他に生き残りがいたんだね、折角だし聞きたい事聞いてから死んでもらおうかな」
ジュン・トウガ(ka2966)は額に手を当てて、敵配置を確認する。
「わーお、ゴブリン相手にタワーディフェンスかよ。結構きついよなと思ったけど、広範囲の爆撃機みたいな連中多いから、わりといけるかね」
同じく観智も、敵との位置関係を双眼鏡で把握していく。
「慢心はいけませんが……茨小鬼と数以外は、然して問題無さそう……ですね」
騎乗するバイクのチェックを終えたショウコ=ヒナタ(ka4653)は、顔を上げて敵の群れを真っ直ぐに捉える。
「敵の村への到達阻止が第一だけど、可能なら殲滅もしておきたいね」
着々と布陣を整えていく中で観智は覚醒し、敵本陣へ乗り込むつもりだというリアにウィンドガストをかけた。
「敵の真っ只中に突っ込むのであれば、多少は役立つでしょう。ですが過信は禁物です」
「助かるよ。同じ茨小鬼なら、奴の情報を知っているかもしれない。それを聞き出すつもりだ」
軽く右手を上げ、観智にお礼を言ってからリアはバイクに跨る。
するとその時を待っていたかのように敵が動き出した。いよいよ本格的な戦闘開始である。
●
先制攻撃とばかりに観智がファイアーボールを放つ。狙いは雑魚のコボルドだ。敵の頭数を減らす目的があった。
「前衛が前に出る前に数を減らします。なるべく多く巻き込めるといいのですが」
まとめて倒されるのを警戒していたのか、規則正しい隊列ではあっても敵同士は意外と離れている。敵前逃亡をして生き残った茨小鬼だけに、知恵は働くみたいだった。
観智の繰り出したファイアーボールは多くを一度にとはいかなかったが、ハンターたちから見て右側のコボルドに命中。クリティカルな衝撃に、コボルドは悲鳴すら上げられずに大地へ倒れた。
続いて馬に乗ったコントラルトが前へ出る。茨小鬼をも射程に入れた彼女は、複数の敵を仕留めるべくデルタレイで攻撃を行う。
「数を減らすのには賛成ね。ついでに茨小鬼への牽制もしておきましょう。危険と判断して私を狙ってくれると、村の安全も半分は守られたようなものだから」
右側に陣取っていた二体のコボルドのそれぞれ足と腕を、伸びた光が貫いた。威力は圧倒的で、敵の目は瞬時に命の輝きを失った。
茨小鬼ガーギルの頭部にも命中し、絶大なダメージを与える。しかしそれが彼に実力差を教えてしまう。
「グギャア! ナンダ、アイツハ! ツヨスギル! コノバニイルニンゲン、ムシ! オクノスヲネラエ!」
ガーギルはコントラルトに恐れをなし、ハンターと対峙するよりも狙っている村を真っ直ぐに目指せと部下に指示したのである。
命令を受け取った敵配下は、左右に別れてハンターとの正面衝突を避けようとする。
牽制目的でガーギルへデルタレイを飛ばしたコントラルトは、敵の様子を見てほんの少しだけ眉をひそめた。
「そうくるのね。こんなに臆病な茨小鬼が……なるほど。道理で生き残っているわけね」
■
唸るバイクが距離を一気に詰め、リアがガーギルの前に到達した。
「そこのゴブリン共、村に行く前に僕の相手していかない? 聞きたい事もあるんだよね」
「ギギギ……! オマエラ、ソイツ、カコメ!」
不利を察しているガーギルは周囲の部下に命じて、リアの四方に陣取らせた。その隙に自身は逃げる。
舌打ちをしたリアが追いかけようとするも、ガーギルの護衛だったゴブリンが妨害してきた。
■
続々と村を目指すゴブリンたち。だが、ハンターも黙ってはいない。
敵の視界を奪うように立ち塞がったのはアルマだ。覚醒前のおっとりさは消え失せ、飄々とした態度で敵と対峙する。
「自ら向かって来るとは愚か極まりないですねェ。おまけに僕の前に立つとは、亜人さん達も運がない。久しぶりの雑魚狩り、楽しませてもらいますよォ!」
棍棒を持ったゴブリンが襲い来るも、その手がアルマに届くことはなかった。
見切る必要すらないとばかりに、アルマは青星の魂で迎撃。星の光にも似た青い焔が、容赦なくゴブリンの命を奪う。
「アッハハハハッ!! 早く僕を止めないと、全員消し炭ですよォ!?」
見せつけたアルマの実力が、ますます敵を怯えさせる。ガーギルはあくまでも、ハンターとの戦闘は避けろと叫ぶ。
■
「本格的に始まったね。ゴブリンどもは他が優先的に狙うだろうから、後回しだね。私は逃しやすいコボルドを中心に仕留める!」
走るバイクがショウコの操作で加速する。
猛スピードで接近するショウコに備えて身構えるコボルドを嘲笑うかのように進行方向を変え、すれ違いざまに刀を振るう。
鮮やかな紫に輝く雷光を一瞬だけ纏わせた刀身が、コボルドの肉体をあっさりと切り裂いた。クリティカルな一撃となった。
風属性の一撃を見舞われたコボルドは断末魔の悲鳴だけを残し、ショウコの前から消えた。力尽きて死したのである。
「まずは一体か。倒せたのはいいけど、展開は好ましくないね。コボルドたちが一斉に、全力で村へ向かっているよ!」
ショウコの大きな声での注意喚起に、最終ラインと決めた付近で警戒を続けていたジュンが反応する。
「無駄に知恵が回るっては本当だったか。抜け出てくる奴はきっちり潰させてもらうつもりだが、敵の多さもあって厄介だな。統率している奴のせいか」
村へ向かおうとするコボルドの進路を予測して位置取り、斧モードにしているアックスブレードで迎え撃つ。
雄叫びを上げるコボルドの攻撃を警戒しつつ、振り回す際の遠心力を利用して斧を叩きつける。勢いのある一撃が敵の急所に命中し、苦悶の果てにコボルドが絶命する。
目の前の一体を倒したからといって油断はしない。ジュンの背後には小さな村がある。守るべきもののために、斧を食らわせるべき次の獲物を探す。
「強いやつは強いのに任せて、雑魚に専念させてもらうか。突破されたらかなわんからな」
――だが。ハンターを無視して村だけを目指すコボルドたちに対応しきれず、二体のコボルドの突破を許してしまった。
■
コボルドが最終ラインを突破した。誰かの上げた声を聞いたコントラルトは即座にトランシーバーを使う。
応答したアオユキへの挨拶もそこそこに、最重要の情報を伝える。
「ついさっき、弱いコボルドが二体ほどそちらへ向かったわ。対応をお願いするわね」
「わかった。雑魚なら大丈夫だ!」
トランシーバーでの通信を終えると、すぐにコントラルトはハンターを避けて横から村へ向かおうとしていたのも含めて、三体の強いコボルドへデルタレイを撃った。
コボルドたちは光属性の魔法攻撃から逃れられず、脚、腕、頭に食らって全員が息絶えた。
「雑魚のコボルド二体であれば、予定の範囲内です。しかし、これ以上は許しません。そちらが突破に専念するというのなら、こちらは徹底して数を減らすまでです」
コントラルト同様にトランシーバーを持っていた観智も、アオユキからの連絡を受けていた。突破したコボルドの対応を、そのまま彼女らに任せる。
追いかけるよりも、観智はこの場に残って新たな突破者を出さないのを優先した。突破寸前まで迫っていたコボルドが、観智の放った火球を腕に受け、爆発した衝撃で短い生を終える。
観智とコントラルトの前方には、アルマがいる。
間合いに入った強いコボルドの胴を禁じ手《蒼断》で断ち切る。
「僕のそばに寄るなんて、自殺願望でもあるんですかねェ。射程に入ったら、容赦はしませんよォ!」
■
一方で敵に囲まれているリアには、次々とコボルドの爪やゴブリンの棍棒が襲い掛かる。
力任せの攻撃だけに勝手に外してくれた敵は無視し、命中しそうになっている棍棒を脚で受け止める。ダメージはない。軽い痺れ程度だ。
タコ殴りのような状況下でもリアに傷を負わせられない。驚愕の事実に、ますますガーギルは積極的な戦闘意欲を消失させる。
このままでは逃げられる。そう判断したリアは銃撃で正面の敵を倒し、包囲網の一角を崩した直後に、距離を取ろうとしている茨小鬼のガーギルをバイクで追う。
徒歩とバイクのどちらが速いかは一目瞭然だった。
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村の前では三人の兵士とアオユキが一体ずつを受け持って、コボルドと戦闘していた。
三人の兵士はなんとかコボルドを倒したものの、アオユキの方は攻撃を回避されて睨み合いが続いている。
残っている敵はリアを囲むゴブリン一体と強いコボルド二体、あとはガーギルと村を襲っている弱いコボルドだけになっていた。
遠目でアオユキたちの様子を見ていたショウコは、バイクの前輪を村の方へ向ける。
「こっちは問題なさそうだ。私はバイクで村へ行く。向こうも大丈夫だとは思うけど一応ね」
「私はこのまま味方のフォローを続ける。後ろは任せろい!」
バイクで移動するショウコにそう言うと、ジュンも味方の背中を守るために動く。
■
包囲網を突破していたリアは再びガーギルと対峙していた。
「ホント、茨小鬼はどいつもこいつも逃げたがりで腹が立つね。逃げられないようにしてあげるよ」
龍壁を使った炎刃一切・紅でガーギルを押し倒そうとするも、抵抗される。
だが逃げ道を塞がれたガーギルは、もうリアに挑むしかない。
振り下ろされた刀を回避し、二度目の炎刃一切・紅でリアはついにガーギルを組み伏せて身動きを封じた。
「オマエラ、タスケロ!」
ガーギルの要望により、リアを包囲していた集団が遠距離からの投石を行う。
急所への直撃だけは避けながら、ややうんざりしたようにリアは愚痴る。
「やっぱり狙ってくるよね、ホント酷いなぁ」
■
「ああ、もう!」
アオユキが二度目の攻撃も外した時、ショウコが村前に到着した。
「援護する。これであんたも敵を倒しやすくなるだろ?」
ショウコの構えた銃で威嚇されたコボルドは動きが鈍り、三度目の正直でアオユキは敵を打倒した。
■
戦場に視線を戻せば、アルマと観智が残りの敵を一層しようとしていた。
「大物は取られてしまいましたし、他のを狩るとしますか」
「そうですね。村へ向かったコボルドは、ショウコさんの助力もあって無事に撃退できたようですしね。連絡がきていました」
観智がトランシーバーを見せつつ言うと、僅かに安堵した笑みをアルマが見せた。
「それでしたら、少しくらいなら遊んでいいですかねェ?」
コントラルトも二人に合流し、敵にとっては楽しくない時間が流れる。
程なくして、ガーギルを残して村を狙っていた敵は全滅した。
●
アオユキやレイルも含めた全員が、ガーギルを取り押さえているリアの周りに集まる。
「強そうだから尋問もやりにくいかと思ったけど、意外といけたみてえだな」
そう言ったジュンがアルマを見ると、彼は元のわんこのような雰囲気に戻っていた。
「情報は大事です、けど、相手が悪いゴブリンさんでもあんまり酷いのはダメですー……どうしてもならせめて一思いにして差し上げ……あの……」
「オレヲコロスキカ!」
アルマの言動で不安を覚えたガーギル。見下ろすコントラルトが、淡々と取引を持ち掛ける。
「知っていることを喋ったら、命を助けることを考えてあげてもいいわ」
「ホ、ホントダナ!?」
コントラルトは頷く。他のハンターも反対をしなかった。
「……ナニヲキキタイ」
「王が倒れた時に逃げたような臆病者が何でこの村を狙うの? 誰かに頼まれたのかしら?」
「ネライハシラン。メイレイシタノハ、クロイヤツダ。ニンゲンノヨウダガ、アレハチガウ。ショウタイハワカラナイ」
「黒い奴か。人でなく茨小鬼に命令できるなら、歪虚か? 知ってるか?」
ショウコに尋ねられたレイルとアオユキは、揃って首を左右に振った。
「情報が少なすぎますね。それだけでは、さすがに何者かを特定するのは不可能でしょう」
観智の発言にレイルも同意する。
「次は僕の番だね。質問だけどさ。君の仲間、他の茨小鬼の居場所とか知らないかな? それとも他にゴブリンですらない奴とかも仲間だったりするのかな?」
「シ、シラン。ソレニオレハオドサレタダケダ。ナカマジャナイ。カンケイナイ!」
「あぁ、そう。じゃあ……君はもう用済みだ、この世から消えちゃっていいよ」
冷徹に発したリアの言葉に、目を見開いたガーギルは話が違うとコントラルトを見た。
「考えた結果、殺すことに決めたわ。悪いけれど、私はあまり優しくないの」
「それが一番でしょうね。見逃してもまた悪さをするだけでしょうし」
観智だけでなく、ジュンも同調する。
「だな。諦めろ」
「イヤダーッ!」
あくまでも命乞いをするガーギルに、ショウコが軽蔑しきった表情を浮かべる。
「あんただって助けを求める人間を殺してきたんだろ? 自業自得だ」
リアがガーギルのとどめを刺し、見ていたアルマが反射的に「ぴぇ」と声を出した。
■
ハンターの活躍で救われたリーランを、顔をフードで覆った者が離れた位置から眺めていた。
ガーギルが絶命したのを確認すると背を向ける。纏う黒いマントが風ではためくように揺れた。
依頼結果
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MVP一覧
- 大地の救済者
仁川 リア(ka3483)
重体一覧
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/31 00:37:31 |
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【相談卓】 仁川 リア(ka3483) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/06/02 07:01:07 |