復興を手伝おう

マスター:笹村工事

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/06 07:30
完成日
2014/09/10 07:22

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 自由都市同盟の産業を支える拠点都市、蒸気工場都市フマーレ。
 その郊外に建つ一つの屋敷、その応接間で一つの話し合いが進んでいた。

「どうしたもんか」
 質の良いソファに座った、老年の域に差し掛かりながらも精強な男が言う。
 アラゴという名のこの男、「ハンターでもある商人集団」と呼ばれる事もあるクルキャット商連合の代表を務めている。
 そんな彼が、一つの報告書を前にして眉を寄せ、言葉を続けた。
「ウチの連合員が関わった依頼で、どうにもマズい事が起こってるみたいでな。関わる気が無けりゃそれで済むんだが、そのまま放って置く気になれなくてな」
 そう言うと彼は、手にした報告書を向かい合って座っている青年・トキに渡す。
 その報告書には、つい最近起こった農耕推進地域ジェオルジのとある村を襲ったゴブリン達についての詳細と、その後の顛末について書かれていた。
 リアルブルーからの転移者であるトキは、報告書に目を通してから応えを返す。
「ゴブリンによる村への直接被害は、ジェオルジの統治者一族からの資金援助でどうにかなりそうですが、収穫期にあった作物に関する被害補償までは無理でしょうね」
 それにアラゴは軽く息をつき返す。
「どこかで線引きはしねぇと、援助じゃなくただの施しになっちまうからな。とはいえ、かなり厳しいだろうな、このままだと」
「なるほど、状況は分かりました。それで、背中を押して欲しいんですか?」
 どこか茶目っ気を込めて返すトキに、アラゴは笑みを浮かべ応える。
「おう、そりゃな。決断ってもんは、一人でするにゃ寂しいもんよ。時には、誰かに背中を押して欲しい時があるってもんだ。
 もっと色気のある相手だと良いんだけどな。とりあえずお前さんで我慢してやるよ」
「それはどうも。なら、崖に突き落とすつもりで押してあげますよ」
 そこまで言うとトキは、居住まいを正し発破をかけるように続けた。
「ハンターとしてだけでは不可能なことを成し遂げる為に、貴方はクルキャット商連合を作ったのでしょう?
 なら責任があるのです。貴方の望みに賛同した皆に提案する責任が。
 信じましょう。皆は皆、己が意志の元に貴方の元に集まったんですから。違いますか?」
 この言葉に、アラゴは獰猛とさえいえる笑みを浮かべ応える。
「責任は取らなきゃなんねぇよな。良し、気合が入ったってなもんだ。
 ウチは今回の件に関わることにする。被害に遭った村の損失、このままだと取り戻すのは難しいだろうからな。ウチと商売して貰って、お互い儲けて巧くやっていくことにする。
 とりあえず、今回の件で被害にあった村と取り引き出来るルートでも開拓するか。村の特産物で作った商品があれば、それを捌くルートも開拓したいしな。となると、誰を担当にするかだが――」
「なら、うってつけな人達が居ますから、彼らに苦労して貰いましょう。まだ村の後片付けの手伝いで残ってるみたいですし」
「3人組か? ま、あいつらなら使い減りしないしちょうど良いだろ」
「でしょう? では早速」
 トキがそう応え手にした資料をまとめていると、アラゴは続けて言った。
「ああそうそう。渡した資料だが、後でしっかり読み込んでおいてくれよ名探偵。これからも今回のような件があったら、それに関する資料は渡すんでな。しっかり読み込んどいてくれ。また意見を聞くこともあるだろうし」
 この言葉にトキは眉を片方だけ器用に跳ね上げると、肩を竦めながら応えた。
「私の場合は、迷うばかりの迷探偵ですがね。それ以前に、市場調査商会の社員にその肩書は御大層すぎますよ」
「だったら、その重荷を背負えるだけの足腰作っときな。頼りにしてるんだぜ。だから今回、呼んだんだからな」
「でしょうね。覚悟はしてましたよ」

 てなやり取りがあった後、数日前にゴブリンに襲われた村の後片付けをしていた3人組の男達の元に一つの命令書が届きました。中身は、

「村の復興手伝え。具体的には、なんか村の特産物とか使って商品作れ。
 作ったらこっちで捌くルート開拓するから。
 ついでに村の後片づけもよろしく」

 てな内容。これに赤毛・茶髪・黒髪の男たち3人組は口々に、

「横暴だ」
「働きたくないのねん」
「夏休みはいずこ」

 不平不満を口にします。が、自分たち以外にはその場には居ないのですぐに飽きました。そして、

「でもやらんとダメなんだろうな」
「アラゴのオジキ直々の命令だし」
「勤め人の辛さよ」

 諦めてまじめに仕事をするかと思われましたが、

「だが予算がつくみたいだから好きに使うぜ」
「丸投げしようそうしよう」
「それが出来る俺達はきっと勝ち組」

 ダメな中間管理職のような事を口にして、自分達が任された仕事をハンター達に依頼することに決めたのでした。具体的な依頼の内容は、

 ゴブリンの略奪団に襲われ荒れた村の後片付けと、村の特産物であるトマトを作った何らかの商品開発をして欲しい。

 という物でした。
 数日前にゴブリンに襲われた村という事で、万が一残党などが出た時の事も考えて頼まれたこの依頼に、アナタ達は――?

リプレイ本文

 ゴブリンに荒らされた村の復興依頼。それを受けたハンター達は、村に尽力する為に訪れていた。

●やる事を決めよう
「残党の警戒、って言われたけど……これは思ったより酷い状況だね」
 ソフィア =リリィホルム(ka2383)は言葉の後半を声にはせず、村の惨状に溜息をついた。
 ゴブリンに荒らされた村は、退治したハンター達や依頼人である三人組が周囲の村々から協力を募りやって来た男衆により大まかには片付いていたが、破壊された跡は未だ生々しく残っている。それを目の当たりにした村の人々には重苦しい気配が漂っていた。
 それを打ち払うように、ソフィアは元気良く仲間であるハンター達に呼び掛けた。
「わたし達も復興のお手伝いしようっ! 依頼を受けて任されたんだから、頑張らないとねっ!」
 それに元気良く応えたのはウェスペル・ハーツ(ka1065)だった。
「うーも一緒にがんばるなの!」
 ぎゅっと手を握りながら意気込む姿に、周囲に漂う重苦しい気配が僅かに晴れる。そうした賛同の声は続く。
「襲われた村の立直しはどこも急務だからな」
 ラルス・コルネリウス(ka1111)が意気込むように言えば、それを継ぐようにオリヒカ フォリッド(ka2712)も口を開く。
「まずは村の後片付けですね。残っている分を終わらせましょう。重要度の高い所から教えて下さい」
 この呼び掛けに応じ、村長である老人が説明する。それに基づき、ハンターが協力の配置を話し合った。そんな中、フェイ(ka2533)が口を開かれた。
「片付けも良いけれど、トマトを使った特産品作りもするんでしょう? そっちはどうする?」
「それぞれ分担して進めていったら良いんじゃないか?」
 ヘル・モハド(ka2810)が言葉を続ける。
「俺も物作りは好きだから手伝いたいが、その前に農具や工具を作りたいな。ゴブリン達に荒らされた時に壊されてるだろうし」
 それに賛同するようにソフィアも意見を上げた。
「だったら私もそっちをやりたいかも。あ、でも、壊された柵とか建物の修理の方を先にした方が良いのかしら。これでもプロだからねっ、村人さんへの指示もしますよぅ」
 この言葉を聞き、ラルスは少し考え込んでから続ける。
「指示できる担当が居るのは心強いな。その方が早く進むだろうし。それと可能ならトマト畑の拡張もしたら良いと思うんだが。特産品を作って流通させるなら、必要な量はこれから増えるだろうしな」
「良いですね。その為にも、まずは村の方の同意を得てから進めたいのですが、構いませんか?」
 オリヒカの呼び掛けに村長は同意し、話は進んでいく。そんな中、ラルスはまとめるように口を開いた。
「村の片付けをしつつ、トマト畑の拡張。その間に収穫したトマトで特産品作り、って所だな。農具や工具を作ったり、全体の指示をする役割も要る事を考えると、村の片付けの手伝いをする人数が足らないんだが……」
 そこまで言うと、今回の依頼人である三人組にラルスは視線を向ける。三人組は海を漂うクラゲの如き、ふわっふわとした気配を振りまいていた。まさに丸投げモード全開である。
 そんな三人組に脱力感を味わいながらも、人手不足解消の為にハンター達はやる気を出させる言葉を紡ぐ。
「村の人達の為にも一緒に頑張りましょう」
 ソフィアが笑顔と共に見た目のかわいらしさを最大限見せつければ、
「そう言えばクルキャット商連合のお偉いさん、後で視察に来るって言ってたわよ?」
 フェイは依頼を受けた時に聞いていた、三人組が属している組織の名を上げやる気を促し、
「あーあ、手伝ってくれりゃ夜には美味いものにありつけるかもしんねーのになぁ」
 ラルスは食い気を餌に釣ろうとする。だが、
「かわいい美人さんの笑顔は心が躍る。でも持病の働くと負けな気がする病が」
「アラゴのオジキのカミナリには耐性が出来たので平気なのさね」
「ただ飯より美味しい物は無いのです」
 三人組は予想以上に丸投げする気満々であった。そんな彼らに、ウェスペルがとことこと近づき、この瞬間も大好きな弟の為に祈っている双子の兄直伝の泣き真似を入れながらお願いする。
「うーもがんばるの。だからお兄さん達も手伝ってくれたらうれしいの」
 これに、子供に弱かった三人組は俄然やる気を見せ始めた。
「あれ、涙が」
「これが貰い泣き」
「ジェオルジ中が泣いた」
 そんな三人組に更に脱力感を味わいながらも、ハンター達は村の復興の為に動き始めた。

●復興手伝い開始
「そうそう、そんな感じっ。そのまま押さえておいて下さいっ!」
 村の柵や建物の破損状況を見て、ざっと図面を作成し、ソフィアは指示を出していた。
 テキパキとした指示に周囲の効率は上がっていく。職人としての心意気を見せる彼女は、それだけでなく頼まれれば次々にこなしていった。
「なんでも修理できますよっ! 此方が本業ですからねっ! お任せ下さいっ!」
 彼女の働く姿に促され村の皆も気力が増していく。特に若い男衆が彼女の前でやる気を見せたりしていたが、その辺りはご愛嬌という物だったろう。

 そうして働いていたのは、他のハンター達も同様である。

「周囲は警戒するから、安心してくれ」
 力強くラルスは村人達に言った。
 新たなトマト畑を作る為、それまでの畑に隣接する土地の開墾準備に来た村人を守るように彼は武装していた。ゴブリンに襲われ不安を感じているだろうと思っての事である。それは功を奏し、作業をする村人達の表情は明るい。
 そんな村人達を同様に手助けしていたオリヒカは、ある程度作業の目処がつくまで手伝っていたが、途中から特産品作りを手伝う為にその場を後にする。それはリアルブルーのトマト料理が載っている本を、依頼が終われば寄贈するつもりで持って来ていたからである。

 こうして村のインフラ面での復興が進む中、片付けも着々と進んでいた。

「うーはこんなのも持て……ますなの!」
 ウェスペルは重そうな廃材を持ち上げようとするが上がらない。まだ子供と言ってもいい彼には、それは酷という物である。それでも一生懸命持ち上げようとしていると、ひょいっとそれは持ち上げられる。見上げれば、三人組が次々に軽々と肩に担ぎ移動させていく。それにウェスペルは大喜びで声を上げた。
「ありがとうなの! やっぱりすおいの、いいひとなの! うーもお兄さんたちみたいなかっこいい大人になるの!」
 これに三人組は嬉しそうに笑みを浮かべながら返す。
「うー殿は今でもかっこいいのです」
「うー殿が頑張る姿を見せてくれるから、皆もやる気アップです」
「ほら、見て下さいませ」
 促された先にウェスペルは視線を向ける。その先には、ウェスペルの働く姿に促され頑張って働く大人達と、それに混じって共に働く子供達の姿が見えた。子供達はウェスペルが視線を向けると、はにかんだように恥ずかしそうな笑みを浮かべた。
「うー殿が働いているのを見て、村の子供達もやる気を見せたのです」
「お兄ちゃんですな、うー殿は」
「我々も見習うのです。という訳でご指示を~」
 どこか遊ぶような声で三人組に呼び掛けられ、自分を見詰める村の子供達の視線を意識しながら、ウェスペルはやる気を見せる。
「もっともっと、うーはがんばるなの!」
 そうしてウェスペルが指示を出しながら三人組が手伝い片付けを終わらせていく。
 ある程度の目処がつくと今度は、ゴブリン達が再び襲撃してきた時の事も考え、職人として有能なソフィアの助けを借り作られた警報代わりの鳴子の設置や足止め用の落とし穴なども作っていった。

 こうして片付けや今後の対策が進む中、特産品制作の為に集められたトマトの山を使い試行錯誤が進められていた。

「特産品……トマトピューレは、保存性に難が有るわね。リアルブルーの……ケチャップだったかしら? あれならそれなりに持つって聞いたけど、レシピは何だったかしら……」
 下準備をしながらフェイは何を作ろうか考える。
「保存性が問題なのよね。いくら美味しく作れても流通させるなら持たないとダメだし」
「だったら香辛料とか混ぜるといいんじゃねぇか?」
 ひょいっと横から声を掛けるように、お昼を摂りに作業から戻っていたラルスが言う。
「ローズマリー、セージ、胡椒、唐辛子……とんなとこか? リアルブルーから来た人らに聞いたことあるのだと、そんなとこだな」
「そうなの? でもここにあるのかな?」
「だったら、分けて貰えば良いんじゃねぇか」
 ヘルを視線で示しながらラルスは言う。物作りが好きなヘルは農具や工具などの修理や制作を終わらせると、特産品作りの為に持ち前のサバイバル技術を生かし、村の周囲に自生している香辛料の類も採ってきた。
 しかし見つけたのはローズマリーとセージをごく少量で、試作品を作る分くらい。さすがに胡椒や唐辛子はなかった。
 それを見ながらフェイはラルスに返す。
「そうだね、そうする。美味しいの作るから、期待しておいて」
「そりゃ、楽しみだな」
 そうしてフェイが香辛料を分けて貰おうとヘルの元へと近づく中、彼は彼で特産品作りに励んでいた。
「商品開発をする上で大切な事は、売る上で運びやすい物、万人に好かれる物、大量に消費される機会のある物等など、まぁ色々あるな。その上で、更に今回はトマトという型崩れしやすく収穫時期も絞られてくる材料だから長期保存の出来る物ってのもあった方がいいだろう。って考えるとトマトソースとかケチャップの類だな」
 流通や売れ易さ、そして使用する材料の特性、それらを複合的に考えながら彼は何を作るか考えていく。
「特産品だから、折角だしここで採れる物だけで作りたいよな。となると、さっき採った香草も使って保存性も高めつつ作っていくか」
 大まかな方向性を考え終えた頃、フェイが香草を分けて貰う為に声を掛ける。
「悪いけど、それ少し分けて貰える?」
「いいぞ。ただその前に一つ教えてくれるか? どんな物を作る気なんだ? 作る物が被るとマズいからな」
「ソースの類を作ろうと思うの。味は、甘めのジャムに近い物にするつもり」
「なら俺は逆に塩味を生かしたソースの類を作ろう。あっちはソースとは違う物を作るみたいだし、これなら被らないだろう」
 ヘルはオリヒカに視線を向けながら言う。持って来ていたリアルブルーの料理本の説明をしていたオリヒカは複数の村人に囲まれている。それをフェイは見詰めた後、応えを返す。
「それじゃ、お互い良い物作ろう。楽しみにしてるね」
「ああ、俺もだ。作るのも好きだが食べるのはもっと好きだからな。どうせなら俺も食べたいしな」
 そうして二人は試行錯誤を開始する。それはオリヒカも同様だった。
「トマト料理を商品にするなら見た目も鮮やかにいきましょう」
 リアルブルーの料理本を村の女性陣に説明しながら彼は試作品を作っていく。
「例えばサラダに盛り付けとして使うのもいいですしね、崩して添えるだけで鮮やかになりますよ」
 塩味の強いゼリーを、村の片づけに来た近隣の村人が餞別代りに置いて行った野菜に乗せながら説明する。彼が作ったのはそれだけではなく甘いデザートとしての物もあった。
「これだけ甘ければ十分にデザートとして使えますね、クラッカーとかに合わせられる」
 彼が複数のゼリーを作っていたのは、ゼリー自体をまず商品として、それから購入した人達のアレンジで色々な物に使えるコンセプトで作っていたからである。
 そんな中、更に何を作ろうか彼は悩む。それは自分だけでなく、自分以外の友人だったらどうするか、そういった事も考えながらだった。
 そう思い悩んでいたせいか、彼はゼリーに混ぜるゼラチンを多く入れてしまう。それはゼリー作りとしては失敗だったが新たなお菓子作りへと繋がった。
 適度な弾力が食べていて楽しいトマトグミの出来上がりである。ゼラチンの分量次第では硬くなりすぎるそれは、今出来上がった物は程よい食感であった。彼の友人の祈りが効いたのかもしれない。

 こうして村の片づけにインフラ整備、復興へと繋がる特産品作りが進み日が暮れる中、三人組がクルキャット商会から渡された予算を好きに使い用意していた食材も使い、打ち上げめいた夕食パーティが開かれた。

●夕食パーティ
「さぁさぁ、早くしないと食べ物なくなっちゃいますよ!」
 オリヒカは、ソフィアが指揮を執って作られた野外かまどで焼きあがった野菜や肉を木皿に盛りながら、皆に渡していく。
 野菜には主にフェイの作った甘みのあるソースが、肉にはヘルの塩味のソースが塗られている。それぞれの味が素材にマッチし食欲をそそる味わいを出していた。それに皆は喜びの声を上げる。
「おいしいの! みんなも、もっともっと食べるの。がんばったごほうびなの!」
 野菜大好きなウェスペルは、村の片づけを一生懸命手伝い空いたお腹を満足させるように野菜を食べていく。それと同時に、一緒に手伝った子供達を労うように、オリヒカの作ったゼリーやグミを渡していく。それは子供達に好評だった。
 好評なのは大人達も同様で、中には地酒にフェイやヘルの作ったソースを入れ楽しんでいる者達も居た。ハンター達も同様に、例えばヘルは、焼かれた肉や野菜をもりもり食べながら、ごくごくソースの入れられた地酒を飲み干していく。
 その一方でソフィアといえば、ソースがかけられこんがりと焼かれた肉をかわいらしく一口サイズに切り分けながら食べていく。その姿に村の若い衆はどこか憧れるような視線を向けていたりしたが、当の本人はどういう訳か、思うさま肉や酒を楽しむヘルの姿に視線が向いていたりした。
 ヘル自体ではなく、あくまでも肉や酒に目線が行っていたのは、ひょっとすると周囲の目を気にせず食べたり飲んだり出来るのが羨ましかったのかもしれない。
 そんな中、自作のケチャップを使った煮込みハンバーグを作って夕食会で振る舞っていたフェイの元にラルスがやって来る。
「美味そうだな。貰って良いだろ?」
「もちろん、約束だもの。美味しいの作ったわよ」
 ラルスは木皿に入れられたハンバーグを受け取り食べると、
「イケるなこれ」
 よほど美味しかったのかパクパクと食べていく。その姿に苦笑しながらフェイも食べていると、
「これ、煮込み……何つったか、初めて食ったがイケんじゃねーか。いい嫁さんになりそうだなぁ」
 出し抜けにラルスは言う。思わずその言葉に、赤面してむせ返るフェイであった。

 こうして、ハンター達による村の復興と特産品作りの依頼は幕を下ろした。
 彼らによって作られた特産品が、この時点ではどう広がるかは分からなかったが、きっと村の復興やその先に広がるだろう、そう思える依頼であった。

依頼結果

依頼成功度大成功
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MVP一覧

  • 大工房
    ソフィア =リリィホルムka2383

重体一覧

参加者一覧

  • がんばりやさん
    ウェスペル・ハーツ(ka1065
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • 勝利をもぎ取る強運
    ラルス・コルネリウス(ka1111
    人間(紅)|20才|男性|機導師
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 劫火の軍師
    フェイ(ka2533
    エルフ|17才|女性|魔術師

  • オリヒカ フォリッド(ka2712
    人間(蒼)|24才|男性|機導師

  • ヘル・モハド(ka2810
    ドワーフ|12才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 復興するよっ
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/09/04 00:28:58
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/01 09:40:27