ゲスト
(ka0000)
シモフリアイス ~廃墟の集落~
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/10 22:00
- 完成日
- 2016/06/18 19:48
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国・古都【アークエルス】東方の森に、かつてナガケと呼ばれる集落が存在した。
集落で行われていた畜産は幻獣の獅子鷹『メニュヨール』によって崩壊させられる。家畜の仔攫いが激増したからだ。
集落解散の憂き目に遭い、青年ガローア・ラグアは父親のマガンタと共に放浪の身となる。父が亡くなってからも根無し草な生き方をしてきたガローアだが、覚悟を決めた。ハンターの力を借りてメニュヨール退治に成功する。
その後、ガローアは古都でドワーフの青年『ベッタ』と出会う。意気投合した二人は集落の復興に動きだす。
二人はベッタの故郷に棲息していた幻獣『幻の青』を家畜として育てることにした。その味がリアルブルーの高級和牛霜降り肉を彷彿させたところから、『シモフリ』と呼称することとなる。
シモフリ六頭はオークの樹木が並ぶ放牧場へと放たれた。樹木の上で暮らす生態と思われたが、危険がなければ地表で暮らすことがわかる。好物は木の実だが玉蜀黍の粒にも旺盛な食欲をみせた。
他に乳牛一頭と鶏の雌鳥六羽も飼うことで、毎日新鮮な牛乳と鶏卵が手に入るようになった。
荒れ地を畑として開墾しだした頃、紅の兎のような幻獣二体が出没。柵を壊されてしまう。それが過ぎ去ると雑魔の巨大蜂が飛来。雑魔蜂はハンターによって巣ごと退治された。
森が紅葉に染まる秋、ある商人一家が集落に泊まった。シモフリ料理を味わった商人一家はいたく気に入ってくれる。シモフリ肉を市場へだす際には是非に声をかけてくれと約束を交わした。
シモフリの仔が産まれ、やがて日が経つ。ある寒い日の早朝、以前に柵を壊して姿を消した赤い兎二羽が放牧場の片隅に倒れていた。放ってはおけずに看病すると、二羽は元気を取り戻して二人に懐く。
賊が森で迷った一団を装って集落を奪おうとしたときもある。滞在中のハンターの機転で正体を看破して事なきを得た。
仔シモフリは順調に育つ。仔が乳離れをした頃にガローアとベッタは気づく。甘くてクセの少ないシモフリの乳を使えば素晴らしい乳製品が作れるのではないかと。
ハンターの協力もあってシモフリ乳を使ったチーズ、バター、ヨーグルトが完成。しかし売り捌くには古都での商売が不可欠だった。
やがて春が到来。一部玉蜀黍の粒が熊に食べられてしまったものの、ハンターが退治。開墾した畑での粒蒔きは無事に行われる。
シモフリ乳を使った乳製品の販売路にも光明が差す。商人タリアナの協力の下、古都で『パン屋シモフリ堂』が開店することとなった。
店は新たに雇った女性三人に任せられる。
マリーシュは店長兼事務会計。セリナとチナサはパン焼き職人兼売り子として働いてもらう。ハンターの協力のおかげで、シモフリ堂は好スタートを切ったのだった。
ガローアとベッタにとっていくつか大きな変化が起こる。
新たに導入した機導術式冷蔵庫付きの馬車のおかげで、ナガケ集落から古都までシモフリ乳を新鮮なまま運べるようになった。
パン屋シモフリ堂の厨房に大型の機導術式冷凍冷蔵庫を備え付けたのも、今後を見据えた先行投資といえる。
「ようやく着いたで」
シモフリ堂の前に馬車が停まった。御者を務めていたベッタが荷下ろしを始めると、馬の嘶きを聞きつけたのか、セリナとチナサが現れる。二人に手伝ってもらい、積んできたシモフリ乳や乳製品を厨房へと運び入れた。
納品の頻度は三日から四日ごと。今のところ食材としての供給は足りている。集落では仔シモフリが育っており、一ヶ月も経てば乳の増産が間に合う。食肉については七月か八月を目処にしていた。
シモフリバーガーやシモフリドックはそれまでお預けとして、シモフリ乳の活用が急務だ。それについてもハンターから案をもらっている。
「シモフリ乳を使ったアイスクリームを作るんや。まずは機導術式冷凍冷蔵庫でぎょうさん氷を作る。んで、この器械のこの辺りに入れて、硝石をどばっと混ぜると冷え冷えや。材料を混ぜ込んだシモフリ乳はここから注いで、ハンドルをぐるぐると回す。しばらくしたらアイスクリームの出来上がりや」
ベッタがアイスクリーム製造器で実演。完成したばかりのアイスクリームをみんなで頂く。
「美味しい……」
「めっちゃうまいね! お砂糖少ししか入れてないのに!」
セリナとチナサはアイスクリームがとても気に入った。
「これから暑くなりますし、人気商品になるでしょうね。ただ――」
マリーシュの興味は美味しさよりも原価のようだ。
「問題が一つだけある。加える香料としてはバニラエッセンスが一番なんやが、これが中々手に入らん。そこで代替品の香草から抽出したエキスを加えてみた。ええ感じやろ? ただこの香草も自生地に行ってみたら茂みが枯れててな。おそらく近くにあった池が涸れたせいやと思う。周辺を探してみたが見つからへんかった」
「それでは、なしで作るのでしょうか?」
意気消沈したベッタにマリーシュが問う。
「いや、ハンターに探してもらおうと思うとる。さっきソサエティー支部に寄って依頼をだしてきたばかりや。使う量はたいしたことあらへんし、丸ごと天日で干せば保存が利くようになる。別の自生地が見つかれば、なんとかなるはずや」
ベッタはハンターが香草を見つけてくれることを信じていたのだった。
集落で行われていた畜産は幻獣の獅子鷹『メニュヨール』によって崩壊させられる。家畜の仔攫いが激増したからだ。
集落解散の憂き目に遭い、青年ガローア・ラグアは父親のマガンタと共に放浪の身となる。父が亡くなってからも根無し草な生き方をしてきたガローアだが、覚悟を決めた。ハンターの力を借りてメニュヨール退治に成功する。
その後、ガローアは古都でドワーフの青年『ベッタ』と出会う。意気投合した二人は集落の復興に動きだす。
二人はベッタの故郷に棲息していた幻獣『幻の青』を家畜として育てることにした。その味がリアルブルーの高級和牛霜降り肉を彷彿させたところから、『シモフリ』と呼称することとなる。
シモフリ六頭はオークの樹木が並ぶ放牧場へと放たれた。樹木の上で暮らす生態と思われたが、危険がなければ地表で暮らすことがわかる。好物は木の実だが玉蜀黍の粒にも旺盛な食欲をみせた。
他に乳牛一頭と鶏の雌鳥六羽も飼うことで、毎日新鮮な牛乳と鶏卵が手に入るようになった。
荒れ地を畑として開墾しだした頃、紅の兎のような幻獣二体が出没。柵を壊されてしまう。それが過ぎ去ると雑魔の巨大蜂が飛来。雑魔蜂はハンターによって巣ごと退治された。
森が紅葉に染まる秋、ある商人一家が集落に泊まった。シモフリ料理を味わった商人一家はいたく気に入ってくれる。シモフリ肉を市場へだす際には是非に声をかけてくれと約束を交わした。
シモフリの仔が産まれ、やがて日が経つ。ある寒い日の早朝、以前に柵を壊して姿を消した赤い兎二羽が放牧場の片隅に倒れていた。放ってはおけずに看病すると、二羽は元気を取り戻して二人に懐く。
賊が森で迷った一団を装って集落を奪おうとしたときもある。滞在中のハンターの機転で正体を看破して事なきを得た。
仔シモフリは順調に育つ。仔が乳離れをした頃にガローアとベッタは気づく。甘くてクセの少ないシモフリの乳を使えば素晴らしい乳製品が作れるのではないかと。
ハンターの協力もあってシモフリ乳を使ったチーズ、バター、ヨーグルトが完成。しかし売り捌くには古都での商売が不可欠だった。
やがて春が到来。一部玉蜀黍の粒が熊に食べられてしまったものの、ハンターが退治。開墾した畑での粒蒔きは無事に行われる。
シモフリ乳を使った乳製品の販売路にも光明が差す。商人タリアナの協力の下、古都で『パン屋シモフリ堂』が開店することとなった。
店は新たに雇った女性三人に任せられる。
マリーシュは店長兼事務会計。セリナとチナサはパン焼き職人兼売り子として働いてもらう。ハンターの協力のおかげで、シモフリ堂は好スタートを切ったのだった。
ガローアとベッタにとっていくつか大きな変化が起こる。
新たに導入した機導術式冷蔵庫付きの馬車のおかげで、ナガケ集落から古都までシモフリ乳を新鮮なまま運べるようになった。
パン屋シモフリ堂の厨房に大型の機導術式冷凍冷蔵庫を備え付けたのも、今後を見据えた先行投資といえる。
「ようやく着いたで」
シモフリ堂の前に馬車が停まった。御者を務めていたベッタが荷下ろしを始めると、馬の嘶きを聞きつけたのか、セリナとチナサが現れる。二人に手伝ってもらい、積んできたシモフリ乳や乳製品を厨房へと運び入れた。
納品の頻度は三日から四日ごと。今のところ食材としての供給は足りている。集落では仔シモフリが育っており、一ヶ月も経てば乳の増産が間に合う。食肉については七月か八月を目処にしていた。
シモフリバーガーやシモフリドックはそれまでお預けとして、シモフリ乳の活用が急務だ。それについてもハンターから案をもらっている。
「シモフリ乳を使ったアイスクリームを作るんや。まずは機導術式冷凍冷蔵庫でぎょうさん氷を作る。んで、この器械のこの辺りに入れて、硝石をどばっと混ぜると冷え冷えや。材料を混ぜ込んだシモフリ乳はここから注いで、ハンドルをぐるぐると回す。しばらくしたらアイスクリームの出来上がりや」
ベッタがアイスクリーム製造器で実演。完成したばかりのアイスクリームをみんなで頂く。
「美味しい……」
「めっちゃうまいね! お砂糖少ししか入れてないのに!」
セリナとチナサはアイスクリームがとても気に入った。
「これから暑くなりますし、人気商品になるでしょうね。ただ――」
マリーシュの興味は美味しさよりも原価のようだ。
「問題が一つだけある。加える香料としてはバニラエッセンスが一番なんやが、これが中々手に入らん。そこで代替品の香草から抽出したエキスを加えてみた。ええ感じやろ? ただこの香草も自生地に行ってみたら茂みが枯れててな。おそらく近くにあった池が涸れたせいやと思う。周辺を探してみたが見つからへんかった」
「それでは、なしで作るのでしょうか?」
意気消沈したベッタにマリーシュが問う。
「いや、ハンターに探してもらおうと思うとる。さっきソサエティー支部に寄って依頼をだしてきたばかりや。使う量はたいしたことあらへんし、丸ごと天日で干せば保存が利くようになる。別の自生地が見つかれば、なんとかなるはずや」
ベッタはハンターが香草を見つけてくれることを信じていたのだった。
リプレイ本文
●
ハンター一行は転移門を潜り抜けて王国の古都へ。古都で待機していたガローアと合流し、彼の馬車で森深き地のナガケ集落へと向かう。
集落の家屋にてベッタも交えて今回の依頼である香草を話題にした。
「これを集めて欲しいんや」
ベッタが卓の上にある布の結びを解くと少量の干し香草が現れる。
「これがその香草ですか」
ミオレスカ(ka3496)が指先で摘まんで鼻先に近づけてみた。指先で軽く揉んでみるとほのかに香りが漂う。
もう一つの手がかりとしてベッタが描いた香草の絵もあるが、あまりに個性的で参考にならなかった。ちなみに依頼書に添付されていた絵もベッタが描いたもので、ハンター全員が目にしている。
「バニラに似た香りがするのだぁ~。これはアイスの期待が大なのだぁ~。特に子供や女性が喜んでくれそうなのだぁ~」
干し香草のサンプルは布ごと玄間 北斗(ka5640)が預かることになった。
ガローアは夏に向けてのアイスクリーム販売計画を一同に話す。
「他の風味でもよいといえばそうなのだけど、やっぱりバニラ風味があるかないかは結構違うと思うんだ」
合わせてシモフリ乳の増産計画も進行中だという。
「わーい、アイス楽しみなの。頑張るの~」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はお茶代わりにだされていたシモフリ乳を飲み干す。話しが終わると保存食を馬へと積み込んだ。チーズやパン、それにソーセージやジャーキー、どれもシモフリからの賜物である。
「よいしょっと」
「こうして運ぶんや」
カティス・ノート(ka2486)とベッタは水樽をクルクルと底で回しながら運んだ。馬の背中に積み終わると、カティスは以前に香草が自生していた周辺のことを訊ねる。
「えと。池の近くとのことですが、どんな感じだったのでしょうか?」
「ずっと地面が湿っていたような土地やったな。そうはいうても、足を踏み入れたら沈むほどの沼でなかったんや」
カティスはベッタにお礼をいう。そして何度か家屋と厩舎を往復して荷物のすべてを運び終えた。
「大分大きくなりましたね。元気そうで何よりです」
ミオレスカは出発前の準備が整ったところで放牧場のアオタロウと戯れる。仔の頃とは違うが相変わらずの、もふもふが心を癒やしてくれた。
「それでは参りますの」
地図を預かったディーナが方位磁石「導きの光」で位置関係を把握。一行は二頭の馬を連れて集落を出立し、森道を歩きだすのだった。
●
ハンター一行が出立して三日が経過した。暮れなずむ頃に目的の森地域へと辿り着く。
「はわ♪ そういう季節だからでしょうか、緑がとっても鮮やかなのです♪」
カティスが小高い土地から景色を望んだ。人の手が及んでいない深き森は生命力に溢れていた。
全員一致で本日の拠点場所はここと決まる。
寝泊まりするためにディーナが持ってきたテント・ティピーを張った。晩食調理と野営の灯り用として簡易な釜戸も積み上げた。
枯れ枝をたくさん集めたところで野営の準備が整う。こうしてようやく香草探しに取りかかれる。
「物覚えは悪くないの。サバイバルどんと来いなの」
ディーナは覚え書きのメモを取りだす。それには依頼書にあった情報を手がかりにしてリゼリオで集めた香草についてが認められていた。それらの情報は旅の間に仲間達にも伝えてある。
「連れて行ったほうが安全ですね」
「本当は驢馬が欲しかったの売ってなかったの……驢馬欲しかったの~」
カティスと話しながらディーナが馬の手綱を引っ張った。荷物の多くは拠点に降ろしたが、野生動物に襲われる危険性があるので連れ歩く。
「ここは世のため人のためアイスのため、おいらの出番なのだぁ~。風向きはこっちなのだ~」
覚醒した玄間北斗が樹木の枝に座って超嗅覚を働かせる。干し香草が詰まった包み布をかいでから森の香りに集中した。
「水辺があればすぐにわかるかも」
ミオレスカもハニーマーブル号を連れて香草探しに汗を流す。水辺を探し、草の形を確かめる。
本日のところは無理をせず、日が落ちる前に全員が拠点へと戻った。
「ベッタさんが持たせてくれたシモフリ肉のジャーキーとソーセージでスープを作りましょうか」
「手伝います。火熾しならリトルファイアですぐです♪」
今晩はミオレスカとカティスが料理を担当である。ちなみに火熾し役はミオレスカの着火の指輪と交互に行われていた。
「おいしいのだぁ~」
「乳だけじゃなくて畜産も順調でよかったの♪」
玄間北斗とディーナがあまりの美味しさにお替わりする。お腹いっぱいになったところで見張りの順番を決めて休むことにした。
日中よりもより静かになった深夜。見張りのときに、ふとディーナが立ちあがって耳を澄ます。非常にかすかだが水音が聞こえたような気がしたからだ。朝になり、そのことを仲間達に伝える。
「あちらの方角から聞こえたような気がしますの」
ディーナが方位磁石を確認しながら方角を指し示す。四日目早朝から拠点の西方面を重点的に探すこととなった。
カティスとディーナは途中まで一緒に行動する。
「派手な色なのです。摘むのはやめておきましょうか」
「春からの新芽は固くなっちゃってるけど、今の時期だから食べられる物もあるのおさらいなの。それに似た毒草は結構あるの要注意なの」
食用になる野草を摘みながら目的の香草を探す。
「この木の実は、食べられそうでしょう……か? うーん」
「それは動物が啄んでいるので平気なの」
カティスが摘んだ収穫物をディーナがベルトポーチに仕舞う。
「えへへ~、今日も大量なの」
後で馬に取りつけた籠へと移す。
「あ、この音って」
最初に水源を見つけたのはミオレスカであった。
地面から露出した岩の割れ目から水が染み出ていたのである。残念なことに水溜まりがあるだけで香草は生えていない。昼食を兼ねた再集結のときにそのことを話す。
「そこそこ湿ってるの、この先期待できるかもなの」
「足を滑らせて転がりかけたんです」
ディーナとカティスは水源がないにもかかわらずに地面が湿っている一帯を計五個所ほど見つけていた。
「それってつまり――」
これらのことから玄間北斗が地下水脈の存在を示唆する。昨晩の水音は地下水脈の響きだった可能性があった。またそうでなくてもどこかで本格的に水が湧きでているのかも知れない。
玄間北斗は昼食の後で拠点から西の方角であり、かつ風下を目指す。適当な高い樹木に登って超嗅覚を試した。
「この香りはきっと……なのだぁ~」
玄間北斗の糸目がわずかに開く。スルリと幹を滑り降りて森の中を駆けだした。
「おいらの視線じゃちょっと高いから、みんなの視界に入るあたりに結んでおくのだ」
時折立ち止まって色鮮やかな紐を目印として結んでおく。それから十数分後に水辺と遭遇。間近に香草らしき茂みも見つかる。
仲間はかなり広範囲に散らばっていたものの、無線連絡の連携で全員に集合がかけられた。三十分後には全員が集まる。
「この葉の形、茎……この香草で間違いないですの」
ディーナが姿形を資料と比較した。
「このままでもほのかにバニラっぽい香ります♪」
「間違いないでしょう。それにしてもたくさん生えていますね」
カティスとミオレスカは茂みに顔を近づけて香りをかいだ。
ベッタがいっていた通りに四人がかりで採取して天日に干す。まずは採取する範囲と干し場にする範囲に分けた。根の部分はいらないので地面から十cmほどの高さで刈り、それを干し場用の茂みの上に並べる。
昼夜を通じて丸一日干す必要があるので、野営場所も移すことにした。水辺をよく覗きこむと魚が泳いでいる。
「手づかみで獲れますね。水浴びも兼ねて手づかみで獲ってみましょうか」
「わたしもやります。お刺身にと思わないでもないですが、淡水魚なのであきらめます」
ミオレスカとカティスが魚を獲って晩食の一品に。ワタをとって枝に刺し、塩を振りかけて遠火でじっくりと焼く。好みで塩ではなくガローアが持たせてくれた醤油をかけたものもいる。
飲料水が大分減っていたので水も補充。一旦鍋で沸騰させて冷ましてから樽の中へ注ぎ込む。
日が暮れて獣の遠吠えが聞こえてきたが、何事もなく一晩が過ぎ去った。
「すごい減りようなのだぁ~。ここまでとは思っていなかったのだぁ~」
「小さくなりすぎないうちに、寄せたほうがよさそうですの」
翌朝、玄間北斗とディーナが干している香草を眺めて驚く。嵩がかなり減っていたからである。さらに時間が経つに連れてより縮まっていった。丸一日待つと十分の一の嵩程度までになる。
「その分、バニラのような香りが強まっていますね」
ミオレスカが干し香草を袋へ詰める際に大きく息を吸い込んだ。
「まるでアイスクリームの香りです♪」
カティスが袋の口に顔を近づけて微笑む。
干し香草の嵩は両手を広げて抱える二つ分ぐらいあったものの、重さは大したことはなかった。二頭の馬の背中に一つずつ袋を載せて帰路につく。
往路と同じくナガケ集落まで長い道のりだったが、大事は起こらなかった。一度だけ熊と接触しそうになったものの、迂回して風下を通って事なきを得る。
少なくなった保存食を補うために野草や野鳥を手に入れて空腹を満たす。調理に工夫を凝らして毎日キャンプのような日々を過ごした。
「もう夏みたいな暑さなのですよ」
「そろそろ水を飲むべきですの」
カティスがぐったりとしたいたので、ディーナを含めた仲間達が足を止める。馬に積んであった樽から水をカップに注ぎ、まずはカティスに飲ませた。順に全員で一杯ずつ飲んで喉の乾きを癒やし、日陰で休憩をとる。
「水が冷たいシモフリ乳だったら……、もっとよかったかも知れませんね」
「アイスクリームならもっと嬉しいのだぁ~♪」
ミオレスカと玄間北斗が青空に浮かぶ白い雲を眺めながら、シモフリ乳で作ったアイスクリームを思い浮かべたのだった。
●
ハンター一行がナガケ集落に戻ってきたのは夕暮れ時。野外での仕事を終えたガローアとベッタがちょうど家屋に戻っていた。
「こりゃすごいで! ガローア、ほら見てみぃな」
「これだけ集まるとはっきりと香るね」
ベッタが袋の中の干し香草を手にとってガローアに見せる。間違いなく要望した干し香草だ。ガローアとベッタは手に入れてくれたハンター達に深く感謝した。
一同は集落で一晩を過ごす。そして夜明け頃にシモフリの乳搾りを手伝ってから、魔導冷蔵庫付き馬車で古都へと出発した。
「アイスクリームは今度行くときの楽しみにさせてもらうよ。先に楽しんでね」
馬車を見送るガローアは集落で留守番である。
御者役はベッタ。馬車を走らせながらあらためてハンター一行に感謝の言葉を贈った。
「あれだけあれば夏の間、充分に間に合うはずや。香草が繁茂しとる新しい場所も教えてもろたし、先行き明るいで。みなはんのおかげや」
他にも古都へ着くまでに彼の口から集落の進展についてが語られた。畜産は順調でパン屋シモフリ堂に卸す分の食肉については来月中から始められるという。
また玉蜀黍畑も順調ですくすくと育っている。収穫時期はおそらく八月だ。天候によって前後する可能性はある。
ハンター達はベッタの勧めでシモフリ堂に一晩泊めてもらうことにした。浴場で身体を洗い、晩食を済ませてから店へと戻る。するとベッタがアイスクリーム試作の真っ最中であった。
「ちょうどええ。もうすぐできあがるところや」
ベッタの作業をセリナとチナサが手伝う。もちろん香料としてハンター達が入手した干し香草も使われていた。
ハンドルを回していくうちにアイスクリームが完成。繁盛すれば回転させる機構も魔導式を導入する予定だ。
器に盛られたアイスクリームが次々と卓に並べられる。
「これがシモフリ乳のアイスクリームなのですか。それでは頂きます♪」
カティスが一口食べて目を丸くした。無言のまま、もう一口味わったところで「おいしいです♪」と笑みを零す。
「我ながら会心の出来や!」
ベッタによればほんのわずか砂糖を足しただけだという。シモフリ乳の美味さを引きだしたアイスクリームといえる。
「シモフリ乳があれだけ美味しかったのですから、アイスにすればきっと――」
ミオレスカもアイスクリームの完成を楽しみにしていた。食べた途端に自然な甘さが口一杯に広がった。
「これは大人気になるのではないでしょうか」
添えてあったブルーベリージャムと一緒に頂くとなお美味しい。ミオレスカは食後のデザートとしてアイスクリームを楽しんだ。
ディーナも夢中になってアイスクリームを食べた一人である。
「サバイバルも大好きだけど、やっぱりアイス美味しいの」
ウエハースを食べて舌休めをしつつアイスクリームを堪能していく。
「ウエハースを熱いうちに螺旋状に巻けばアイスクリーム・コーンになるんや。だが結構な手間なんや……。なんや、うまい方法があればええねんけど」
「すっごくふわふわで美味しいの」
ベッタは試作したソフトクリームをディーナにも食べてもらう。アイスクリームよりもより空気を含んで柔らかめで、容器ごと食べられるのが特徴だ。
他のハンター達もソフトクリームを頂く。その味わいと工夫に玄間北斗が感心する。
「元々がパン屋さんだからこそ、このコーンの容器を作れたのだぁ~。機械化は無理でも治具的なものがあれば何とかなりそうなのだぁ。それがあれば、きっと簡単に作れるようになるのだぁ~」
玄間北斗は翌日の昼までにコーン作りを簡単にする道具を拵えた。
「これがあれば簡単です」
「すっごーい!」
セリナとチナサはさっそく道具を使って、ウエハースをコーンの形に仕上げる。
シモフリ堂を後にしたハンター一行は、ソフトクリームを食べ歩きつつ古都内の転移門を目指す。道すがらの通行人にそれは何だと訊かれると「シモフリ堂で売っている氷菓だ」と宣伝した。
暑い毎日が続いている。本格的な夏はもうすぐまで迫っていた。
ハンター一行は転移門を潜り抜けて王国の古都へ。古都で待機していたガローアと合流し、彼の馬車で森深き地のナガケ集落へと向かう。
集落の家屋にてベッタも交えて今回の依頼である香草を話題にした。
「これを集めて欲しいんや」
ベッタが卓の上にある布の結びを解くと少量の干し香草が現れる。
「これがその香草ですか」
ミオレスカ(ka3496)が指先で摘まんで鼻先に近づけてみた。指先で軽く揉んでみるとほのかに香りが漂う。
もう一つの手がかりとしてベッタが描いた香草の絵もあるが、あまりに個性的で参考にならなかった。ちなみに依頼書に添付されていた絵もベッタが描いたもので、ハンター全員が目にしている。
「バニラに似た香りがするのだぁ~。これはアイスの期待が大なのだぁ~。特に子供や女性が喜んでくれそうなのだぁ~」
干し香草のサンプルは布ごと玄間 北斗(ka5640)が預かることになった。
ガローアは夏に向けてのアイスクリーム販売計画を一同に話す。
「他の風味でもよいといえばそうなのだけど、やっぱりバニラ風味があるかないかは結構違うと思うんだ」
合わせてシモフリ乳の増産計画も進行中だという。
「わーい、アイス楽しみなの。頑張るの~」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はお茶代わりにだされていたシモフリ乳を飲み干す。話しが終わると保存食を馬へと積み込んだ。チーズやパン、それにソーセージやジャーキー、どれもシモフリからの賜物である。
「よいしょっと」
「こうして運ぶんや」
カティス・ノート(ka2486)とベッタは水樽をクルクルと底で回しながら運んだ。馬の背中に積み終わると、カティスは以前に香草が自生していた周辺のことを訊ねる。
「えと。池の近くとのことですが、どんな感じだったのでしょうか?」
「ずっと地面が湿っていたような土地やったな。そうはいうても、足を踏み入れたら沈むほどの沼でなかったんや」
カティスはベッタにお礼をいう。そして何度か家屋と厩舎を往復して荷物のすべてを運び終えた。
「大分大きくなりましたね。元気そうで何よりです」
ミオレスカは出発前の準備が整ったところで放牧場のアオタロウと戯れる。仔の頃とは違うが相変わらずの、もふもふが心を癒やしてくれた。
「それでは参りますの」
地図を預かったディーナが方位磁石「導きの光」で位置関係を把握。一行は二頭の馬を連れて集落を出立し、森道を歩きだすのだった。
●
ハンター一行が出立して三日が経過した。暮れなずむ頃に目的の森地域へと辿り着く。
「はわ♪ そういう季節だからでしょうか、緑がとっても鮮やかなのです♪」
カティスが小高い土地から景色を望んだ。人の手が及んでいない深き森は生命力に溢れていた。
全員一致で本日の拠点場所はここと決まる。
寝泊まりするためにディーナが持ってきたテント・ティピーを張った。晩食調理と野営の灯り用として簡易な釜戸も積み上げた。
枯れ枝をたくさん集めたところで野営の準備が整う。こうしてようやく香草探しに取りかかれる。
「物覚えは悪くないの。サバイバルどんと来いなの」
ディーナは覚え書きのメモを取りだす。それには依頼書にあった情報を手がかりにしてリゼリオで集めた香草についてが認められていた。それらの情報は旅の間に仲間達にも伝えてある。
「連れて行ったほうが安全ですね」
「本当は驢馬が欲しかったの売ってなかったの……驢馬欲しかったの~」
カティスと話しながらディーナが馬の手綱を引っ張った。荷物の多くは拠点に降ろしたが、野生動物に襲われる危険性があるので連れ歩く。
「ここは世のため人のためアイスのため、おいらの出番なのだぁ~。風向きはこっちなのだ~」
覚醒した玄間北斗が樹木の枝に座って超嗅覚を働かせる。干し香草が詰まった包み布をかいでから森の香りに集中した。
「水辺があればすぐにわかるかも」
ミオレスカもハニーマーブル号を連れて香草探しに汗を流す。水辺を探し、草の形を確かめる。
本日のところは無理をせず、日が落ちる前に全員が拠点へと戻った。
「ベッタさんが持たせてくれたシモフリ肉のジャーキーとソーセージでスープを作りましょうか」
「手伝います。火熾しならリトルファイアですぐです♪」
今晩はミオレスカとカティスが料理を担当である。ちなみに火熾し役はミオレスカの着火の指輪と交互に行われていた。
「おいしいのだぁ~」
「乳だけじゃなくて畜産も順調でよかったの♪」
玄間北斗とディーナがあまりの美味しさにお替わりする。お腹いっぱいになったところで見張りの順番を決めて休むことにした。
日中よりもより静かになった深夜。見張りのときに、ふとディーナが立ちあがって耳を澄ます。非常にかすかだが水音が聞こえたような気がしたからだ。朝になり、そのことを仲間達に伝える。
「あちらの方角から聞こえたような気がしますの」
ディーナが方位磁石を確認しながら方角を指し示す。四日目早朝から拠点の西方面を重点的に探すこととなった。
カティスとディーナは途中まで一緒に行動する。
「派手な色なのです。摘むのはやめておきましょうか」
「春からの新芽は固くなっちゃってるけど、今の時期だから食べられる物もあるのおさらいなの。それに似た毒草は結構あるの要注意なの」
食用になる野草を摘みながら目的の香草を探す。
「この木の実は、食べられそうでしょう……か? うーん」
「それは動物が啄んでいるので平気なの」
カティスが摘んだ収穫物をディーナがベルトポーチに仕舞う。
「えへへ~、今日も大量なの」
後で馬に取りつけた籠へと移す。
「あ、この音って」
最初に水源を見つけたのはミオレスカであった。
地面から露出した岩の割れ目から水が染み出ていたのである。残念なことに水溜まりがあるだけで香草は生えていない。昼食を兼ねた再集結のときにそのことを話す。
「そこそこ湿ってるの、この先期待できるかもなの」
「足を滑らせて転がりかけたんです」
ディーナとカティスは水源がないにもかかわらずに地面が湿っている一帯を計五個所ほど見つけていた。
「それってつまり――」
これらのことから玄間北斗が地下水脈の存在を示唆する。昨晩の水音は地下水脈の響きだった可能性があった。またそうでなくてもどこかで本格的に水が湧きでているのかも知れない。
玄間北斗は昼食の後で拠点から西の方角であり、かつ風下を目指す。適当な高い樹木に登って超嗅覚を試した。
「この香りはきっと……なのだぁ~」
玄間北斗の糸目がわずかに開く。スルリと幹を滑り降りて森の中を駆けだした。
「おいらの視線じゃちょっと高いから、みんなの視界に入るあたりに結んでおくのだ」
時折立ち止まって色鮮やかな紐を目印として結んでおく。それから十数分後に水辺と遭遇。間近に香草らしき茂みも見つかる。
仲間はかなり広範囲に散らばっていたものの、無線連絡の連携で全員に集合がかけられた。三十分後には全員が集まる。
「この葉の形、茎……この香草で間違いないですの」
ディーナが姿形を資料と比較した。
「このままでもほのかにバニラっぽい香ります♪」
「間違いないでしょう。それにしてもたくさん生えていますね」
カティスとミオレスカは茂みに顔を近づけて香りをかいだ。
ベッタがいっていた通りに四人がかりで採取して天日に干す。まずは採取する範囲と干し場にする範囲に分けた。根の部分はいらないので地面から十cmほどの高さで刈り、それを干し場用の茂みの上に並べる。
昼夜を通じて丸一日干す必要があるので、野営場所も移すことにした。水辺をよく覗きこむと魚が泳いでいる。
「手づかみで獲れますね。水浴びも兼ねて手づかみで獲ってみましょうか」
「わたしもやります。お刺身にと思わないでもないですが、淡水魚なのであきらめます」
ミオレスカとカティスが魚を獲って晩食の一品に。ワタをとって枝に刺し、塩を振りかけて遠火でじっくりと焼く。好みで塩ではなくガローアが持たせてくれた醤油をかけたものもいる。
飲料水が大分減っていたので水も補充。一旦鍋で沸騰させて冷ましてから樽の中へ注ぎ込む。
日が暮れて獣の遠吠えが聞こえてきたが、何事もなく一晩が過ぎ去った。
「すごい減りようなのだぁ~。ここまでとは思っていなかったのだぁ~」
「小さくなりすぎないうちに、寄せたほうがよさそうですの」
翌朝、玄間北斗とディーナが干している香草を眺めて驚く。嵩がかなり減っていたからである。さらに時間が経つに連れてより縮まっていった。丸一日待つと十分の一の嵩程度までになる。
「その分、バニラのような香りが強まっていますね」
ミオレスカが干し香草を袋へ詰める際に大きく息を吸い込んだ。
「まるでアイスクリームの香りです♪」
カティスが袋の口に顔を近づけて微笑む。
干し香草の嵩は両手を広げて抱える二つ分ぐらいあったものの、重さは大したことはなかった。二頭の馬の背中に一つずつ袋を載せて帰路につく。
往路と同じくナガケ集落まで長い道のりだったが、大事は起こらなかった。一度だけ熊と接触しそうになったものの、迂回して風下を通って事なきを得る。
少なくなった保存食を補うために野草や野鳥を手に入れて空腹を満たす。調理に工夫を凝らして毎日キャンプのような日々を過ごした。
「もう夏みたいな暑さなのですよ」
「そろそろ水を飲むべきですの」
カティスがぐったりとしたいたので、ディーナを含めた仲間達が足を止める。馬に積んであった樽から水をカップに注ぎ、まずはカティスに飲ませた。順に全員で一杯ずつ飲んで喉の乾きを癒やし、日陰で休憩をとる。
「水が冷たいシモフリ乳だったら……、もっとよかったかも知れませんね」
「アイスクリームならもっと嬉しいのだぁ~♪」
ミオレスカと玄間北斗が青空に浮かぶ白い雲を眺めながら、シモフリ乳で作ったアイスクリームを思い浮かべたのだった。
●
ハンター一行がナガケ集落に戻ってきたのは夕暮れ時。野外での仕事を終えたガローアとベッタがちょうど家屋に戻っていた。
「こりゃすごいで! ガローア、ほら見てみぃな」
「これだけ集まるとはっきりと香るね」
ベッタが袋の中の干し香草を手にとってガローアに見せる。間違いなく要望した干し香草だ。ガローアとベッタは手に入れてくれたハンター達に深く感謝した。
一同は集落で一晩を過ごす。そして夜明け頃にシモフリの乳搾りを手伝ってから、魔導冷蔵庫付き馬車で古都へと出発した。
「アイスクリームは今度行くときの楽しみにさせてもらうよ。先に楽しんでね」
馬車を見送るガローアは集落で留守番である。
御者役はベッタ。馬車を走らせながらあらためてハンター一行に感謝の言葉を贈った。
「あれだけあれば夏の間、充分に間に合うはずや。香草が繁茂しとる新しい場所も教えてもろたし、先行き明るいで。みなはんのおかげや」
他にも古都へ着くまでに彼の口から集落の進展についてが語られた。畜産は順調でパン屋シモフリ堂に卸す分の食肉については来月中から始められるという。
また玉蜀黍畑も順調ですくすくと育っている。収穫時期はおそらく八月だ。天候によって前後する可能性はある。
ハンター達はベッタの勧めでシモフリ堂に一晩泊めてもらうことにした。浴場で身体を洗い、晩食を済ませてから店へと戻る。するとベッタがアイスクリーム試作の真っ最中であった。
「ちょうどええ。もうすぐできあがるところや」
ベッタの作業をセリナとチナサが手伝う。もちろん香料としてハンター達が入手した干し香草も使われていた。
ハンドルを回していくうちにアイスクリームが完成。繁盛すれば回転させる機構も魔導式を導入する予定だ。
器に盛られたアイスクリームが次々と卓に並べられる。
「これがシモフリ乳のアイスクリームなのですか。それでは頂きます♪」
カティスが一口食べて目を丸くした。無言のまま、もう一口味わったところで「おいしいです♪」と笑みを零す。
「我ながら会心の出来や!」
ベッタによればほんのわずか砂糖を足しただけだという。シモフリ乳の美味さを引きだしたアイスクリームといえる。
「シモフリ乳があれだけ美味しかったのですから、アイスにすればきっと――」
ミオレスカもアイスクリームの完成を楽しみにしていた。食べた途端に自然な甘さが口一杯に広がった。
「これは大人気になるのではないでしょうか」
添えてあったブルーベリージャムと一緒に頂くとなお美味しい。ミオレスカは食後のデザートとしてアイスクリームを楽しんだ。
ディーナも夢中になってアイスクリームを食べた一人である。
「サバイバルも大好きだけど、やっぱりアイス美味しいの」
ウエハースを食べて舌休めをしつつアイスクリームを堪能していく。
「ウエハースを熱いうちに螺旋状に巻けばアイスクリーム・コーンになるんや。だが結構な手間なんや……。なんや、うまい方法があればええねんけど」
「すっごくふわふわで美味しいの」
ベッタは試作したソフトクリームをディーナにも食べてもらう。アイスクリームよりもより空気を含んで柔らかめで、容器ごと食べられるのが特徴だ。
他のハンター達もソフトクリームを頂く。その味わいと工夫に玄間北斗が感心する。
「元々がパン屋さんだからこそ、このコーンの容器を作れたのだぁ~。機械化は無理でも治具的なものがあれば何とかなりそうなのだぁ。それがあれば、きっと簡単に作れるようになるのだぁ~」
玄間北斗は翌日の昼までにコーン作りを簡単にする道具を拵えた。
「これがあれば簡単です」
「すっごーい!」
セリナとチナサはさっそく道具を使って、ウエハースをコーンの形に仕上げる。
シモフリ堂を後にしたハンター一行は、ソフトクリームを食べ歩きつつ古都内の転移門を目指す。道すがらの通行人にそれは何だと訊かれると「シモフリ堂で売っている氷菓だ」と宣伝した。
暑い毎日が続いている。本格的な夏はもうすぐまで迫っていた。
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MVP一覧
- 芸達者なたぬきさん
玄間 北斗(ka5640)
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/07 23:37:36 |
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相談卓・香草採りにいきましょう ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/06/10 21:48:10 |