ハンター参上……ぷにゅ

マスター:チャリティーマスター

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2016/06/14 22:00
完成日
2016/06/21 22:20

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 スライムを退治してくれとの依頼があり、ハンター達はとある小さな村へとたどり着いた。
 そろそろ辺りも暗くなる時間が近づいてきたが、相手は寝ても起きてもただのスライム。
 きっとすぐに終わるだろう。
「ハンター様お待ちしておりました! こちらです」
 ハンター達の姿を見つけた村人達は、拝みそうな勢いで頭を下げ下げ。
 すぐにスライムがいるという畑へ案内してくれた。
 そこには確かに、まるで野菜か何かのように堂々と居座っているスライム達の姿。
 おっかなびっくりしている村人達に見守られながら、ハンター達はそれぞれスライムへと近づく――
 しかし、いざハンター達がスライムを攻撃したそのとき。
 ビュオオッ
 運悪く土埃が大きく舞い、ハンター達の視界を奪った。
 すぐにおさまったものの、前を見ると、そこには……

 やけに背の高い自分たちがいた

 いや、どちらかというとこちらが低いのだろう。畑の土と異常に距離が近い。
 まさか……もしや……と、適当に動いてみる

 ぷるんぷるんぷるん

 ゼリー状のものがぷるぷる揺れる感覚がした。
 ――間違いない
 ということは、隣にいる彼らも敵ではない。
 ハンター達は互いの姿をまじまじと見つめてしまいながら、一斉に声を上げた。
「「スライムと体が入れ替わったぷにょーー!!」」
 何故か出てしまった妙な語尾。
 思考が停止してしまった様子のハンター達のぷるんとした横顔を、夕日が赤く照らしていた。

リプレイ本文

「ふおおお、すごいことになりましたぷにょ」
 ウェスペル・ハーツ(ka1065)は、ゼリー状になった自分と双子の兄を見てびっくりぷるぷる。
「うーが……
 うーが……」
 弟のスライム姿に深いショックを受けているのだろうか。
 ルーキフェル・ハーツ(ka1064)は、一時沈黙し、
「スライムになっても可愛いぷにゅーーー!!!」
 大きく飛び跳ねた。
 どうやらショックはショックでも、嬉しい方のショックだったらしい。
「とりあえず、るーはちょっとうるさいぷにゅ」
 そんな兄にウェスペルは体当たり。
 しかし、はしゃいでいるのは他にも……。
「凄いぷにょっす!! スライムになってるっす! ぷにゅ!」
 狛(ka2456)は、周りがスライムになっていることに興奮し、自分や相棒のいぬの姿までスライムになってる事に気づくとさらに興奮してぼよんぼよん跳ねる。
 ちなみに狛はオレンジ色、仮面までついているように見えるのは気のせいだろうか。相棒は小さな白い犬型のスライムだった。
「わっほーい!! ぶんちゃん、いかるん! みんなスライムぷにょーっすー!!」
 どさくさに紛れて、冬樹 文太(ka0124)やペアを組んでいる鵤(ka3319)に、ぽよよんタックルをとばす。
 じゃれているというべきなのか。
「うおおお!! これ自分ぷにょっすか!? いぬもいるぷにゅっす!!」
 自分自身と相棒のいぬの姿をしたスライムにも大興奮。勢いが止まらない。
「ハウスハウスっ。ほんましゃーないぷにゅ」
 冬樹の「ハウス」で、狛はぶーぶー言いつつもやっと大人しくなっていた。
 おそらくこの現象は夢か、スライムのスキルあたりのものだろう。
 仲間と同じ状態であることに少しだけ安堵しつつ、冬樹は自分の中でそう判断していた。
「……俺だけスライムになって殺されるとか冗談やないぷにゅ」
 誰もいない方向へぼそり。
 本人が気づいていたかは分からないが、そのとき彼の青色の体も、独り言と一緒にゼリーのように揺れていた。
「おっさんもねぇ、コッチに転移してそこそこ長いんだけどさぁ、まさかスライムになる日が来るとは思わなかったぷにゅう。
 やーねぇ全員プルプルプルプル気色わるぷよぉ」
 言っている鵤のボディも、かけている眼鏡が滑り落ちてしまいそうなほどツヤツヤである。
 冬樹と狛の感想を一言。
「マジうけるわー……ぷにょ」
「スライムおもしろぷにゅっすー!」
 しかし、このままぷにゅぷにょ言っているわけにもいかない。
 自分達の元の体は、動き方が分からないのかジタバタしているようだが。
「……で? この状態でどうしろってぇ? ぷにゅう」
「逆に考えるぷにょ」
 だるだるな様子の鵤に、クリスティン・ガフ(ka1090)が、一言割り込ませて空気を変えた。
「時は一生の内一瞬ぷにゅ。
 世知辛いスライムになるのか楽しいスライムになるのかは自分次第ぷにゅ。
 だったら楽しむ他なかろうぷにょ。
 我が境地、天剣絶刀。スライムである事を活かし更に磨かせてもらうまでぷにゅ!」
 見た目はスライムでも、研ぎ澄まされた何かがその内側にあるかのように、キリッとした雰囲気になって自分の体と対峙する。
 自分の体が持つ斬魔刀や、冬樹の体の手にある拳銃に目をやりつつ、
(他に被害がいきにくいように私に張り付かなくては)
「心に刀、体はスライムぷにょ。
 やってやれないことはないぷにゅ」
 呼吸を整え、流歩を用いて急接近。
 自分の体の足元で、口から棒に流体変化した。薙ぎ払いで転倒を狙う。
「身体全身を刀に変えればとって打たざるはなしぷにゅ!」
 流体を意識して激流に身を任せ同化するように体を捌いていた。
「ふぉおおお!」
「ふおー!」
 ハーツ兄弟の驚く声が上がる中、
 ゴッ!
 クリスティンの体は大きくよろめいてその場に倒れる。
「体は私でも、中身はやはりスライム。動きが鈍いぷにゅ」
 物足りなげにクリスティンは、ぷにゅ……とため息をついていた。
 彼女を見て飛び跳ねていたルーキフェルだが、まだ体を揺らすのをやめない。
(このぷるぷる感……くせになりますぷにょ
 でもこのままだと困りますぷにょ
 勇者らしき人が通るたびに、
 「るー、わるいスライムじゃないぷにゅ!」
 ってセリフを言わないといけなくなるぷにゅ)
 どうやらやみつきになっているようだ。
 迷うその隣で、ウェスペルが、む~っと一度大きく体を揺らしていた。
「わるいスライムは畑をだめにするスライムなの。
 うーはお野菜をこよなく愛するよいスライムなのぷにょ」
 スライムに乗っ取られている自分の体へ指を……差そうとしたがスライムの姿。
 仕方無く飛び跳ねて怒りを表現した。
「ふおーーーぷにょ!!
 ゆるさないぷにゅ! 元に戻ったら覚悟するぷにゅ!」
 ルーキフェルは、そんな弟のために前衛に立っていた。迷いは去ったらしい。
「うーを守りますぷにゅ! みんなでがんばって切り抜けるぷにゅ!」
 心強い言葉である。
 それらを聞いて敵だと判断したのかどうなのか、ウェスペルの体はまるで怒ったように栄光の手をぶんぶんと振り回し始めた。
「魔法を出さないように邪魔するぷにょ。
 怪我をしないように転がすなのぷにゅ」
「ぷにょー!」
 敵に魔法が使いこなせるかどうかは不明なままだが、気をつけていて損はない。
 ウェスペルの注意を聞きつつ、びろんとのびるルーキフェル。
 タメからのジャンプで、弟の体の目元にぺったり張り付いてみた。
 視界を奪って行動を鈍らせる作戦のようだ。
 剥がされそうになっても気合で更に張り付く。たくましい。
(でも、うーたちは透けてるからあんまり目隠しになってない気がするぷにょ?)
 一瞬冷静になるウェスペル。
「今ですぷにゅ!」
 それでも、敵は張り付いたルーキフェルに気をとられ、魔法の邪魔にもなってくれているようである。
 兄の合図通りに、今のうちに転がしておくウェスペルだった。
 狛もその様子に「コロコロコロコロぷにょっすー!」などと声援を送っている。
 コロコロ……ボール?
(はっ!! ぶんちゃんたちにボール渡したら投げてくれるぷにょっすかね!?)
 そんなことを思いついてしまう。スライムに尻尾がついていれば、今頃パタパタさせていただろう。
 しかしそのまえに。
 自分の動きは自分が一番知っていると考え、先に暴走気味の自分自身と向かい合うことにした。
「ぐぐーっと伸びて一気にどーん、ぷにょっすよー!」
 装備している獣爪や、連れているいぬを介しての攻撃などに注意しながら、狛はスライム状態を利用して大きく体をのばし、ゴムの原理を使って突進。
 べちんっ
 地味に痛そうな音がして、狛の体はしゃがみ込んだ。
「ぶんちゃん、今の見てくれたぷにょっすかー!?」
 尋ねてみるが冬樹の返答はない。
 彼は、ある事に気づいてしまっていたのだ。
(この姿はむしろチャンスやろぷにょ。鵤のおっちゃんにうっかり積年の恨みを晴らせるチャンスやろぷにょ)
 なにやらとにかくチャンスらしい。
 ずっと俯いていた冬樹だが、心を決め、勢い……弾みをつける。
「ぶんちゃん、ずるいぷにょっすー!」
「狛っ、邪魔すんじゃないぷにょ! ハウス!」
 狛に妨害射撃をしておこうかとも頭をよぎったが、積年の恨みを晴らすチャンスを優先した。
 しかしやっと顔を上げて標的をまともに見た冬樹は戸惑う。
 鵤の姿がない?
 いや、違う。
「ぬぁっ、なんで土になってるんやぷにゅーー!?」
 正確には、その身体を極限まで薄く地面にのばした状態だ。
「ばいーんと弾いてプルプルしながら体当たり……なんて疲れることはしないで地面と一体化したぽにゅ。
 でろでろーんとダラダラ観戦ぷにゃあ」
「『ぷにゃあ』やないぷにょ!」
 言い返して一度黙り込んだが、すぐに再び鵤を見て、
「プルプルやろうが、でろでろーんやろうが、関係ないぷにゅ。
 タダ酒の恨みぷにょボケぇえええ!!」
 冬樹は半笑い半ギレの声色でタックルを企む。
 ――が
 あともう少しというところで、電撃を纏った光の障壁に弾き飛ばされてしまう。攻性防壁が鵤を守ったのだ。
 それでも諦めずに起き上がる冬樹。これしきのことでは怯まない。
 そのとき急に、冬樹に当たっていた夕日の色が落ちた。
 夕日が沈んだのか……?
「!?」
 何気なく見上げると、冬樹の体が背後に迫っていることにやっと気づいた。急に暗くなった原因はこれらしい。
 気づいたクリスティンが動く。
「人間の思考を以てこのゼリー状の身体を限界まで活かせば、両方の限界はたやすく超えられるぷにゅ!」
 彼女の攻撃を思いだした冬樹は、自分の体がぼこぼこにされて物干し竿の洗濯物のようになるかもしれないと覚悟を決めた。
 だがクリスティンの様子は先程とは少し異なっているようだった。
 ちょうど起き上がった自分の体に、道着の上から飛び込み、冬樹の体方向に暴れ始め……
「うぉお!? ちょ、クリスの嬢ちゃん待ちっ、そこおっちゃん踏……っ!」
「注意しているぷにょ」
 踏んで弾き飛ばされるのではと焦る冬樹に、冷静沈着に告げるクリスティン。
 ある程度グダグダにさせたところで、無事に自分の体の足元から脱出していた。
「さっきの身体の使い方といい、スライム初心者とは思えないぽよぉー」
 飄々と独り言のように呟いた鵤は、続いて不思議な動きをしているハーツ兄弟のほうをダラダラと観戦することにしたようである。
 二人はスライムの王さまになれるのではと考え、何度もくっついたりして試していた。
 しかしどうやら分裂しかできない体らしい。
「うまくいかないですぷにゅ……」
 ルーキフェルが疲れてやめようとする寸前に、ウェスペルはふと閃いた。
「のびてみるぷにゅ」
 にゅ~っと体をのばして兄を包み込んでみる。
 その結果、外側がウェスペル、中身がルーキフェルという構造に。
 どこか水饅頭と似ている気もするが、確実に普通のスライムよりもひとまわり大きくなっていた。
「合体してみたなの! どうですかぷにょ?」
「ふぉおおお! うー、すごいですお! おうさまですお!!」
 そんなハーツ兄弟に、まだ対処が終わっていなかったルーキフェルの体が迫る。
 その手には降魔刀とバックラー。
 こちらも振り回しているだけのようだが、少々危なっかしい。ウェスペルが忠告する。
「降魔刀が降ってくるの、きけんがあぶないぷにょ! また分裂しちゃうぷにょ!」
 もとに戻る、ともいう。
 今回も怪我が無いように止めるべく、合体姿でルーキフェルの体の前でびよんびよん飛び跳ねて移動を阻止。
 戸惑ったその隙に、最後は一気にがばっと張り付いた。双子なので息もぴったりだ。
 合体していたので張り付いた衝撃も少し大きかったらしく、持っていた武器を落としてくれる。念のため体のほうもコロコロと転がしておいた。
 その勢いで二人はクリスティンのもとへ。
「クリスティンさーん!」
 ウェスペルに呼ばれ、クリスティンの方からも近づくと、スライムの王さまとなった双子の姿を見上げていた。
 第一印象はやはり『甘そうなお菓子』。
「……こんな楽しみ方もあったとは……ぷにょ」
 そんな言葉をこぼした。
 残る鵤の体はというと、やはりリボルバーの使い方はわからなかったようだ。
 しかも戦う意思があるのかないのか適当にぼんやりしており、煙草でも吸いはじめそうな雰囲気である。
 むしろ、逆に狙われていた。
「突撃ぷにょっすー!」
 その叫びは狛独自の特攻の合図。
 スライム型いぬに命令しながらも自分自身まで突撃していく勢いだった。
 さらにさらに、ワイルドラッシュでべっちんべっちん叩いて遊ぼうとまで考えていたのだが。
 寒気のようなものを感じて止まる。
 ――直後
 地面と一体化している鵤の前に三角形が現れ、その頂点から光が伸び、狛の足元を貫いた。デルタレイだ。
「おっさんの身体に何してくれてるぽよぉー禍々しい気配を感じたぷにょー」
 禍々しい空気を持っているのは、どちらかというと言っている本人のような気が……。
「ねらい続けたら急所以外の本体ぶち抜くぽよぉ。
 ちゃんと急所ははずしてやるおっさんチョー優しいぷにゃー」
「どこが優しいんやぷにょ!!」
「容赦ないぷにゅっす!!」
 冬樹と狛の声が悲鳴のように響く中、今度こそ夕日も沈む。
 ビュオオッ
 ちょうどその時である。土埃が大きく舞ったのは。
「この土埃は」
 肌で感じながら、何かを言いたげにクリスティン。
 一同も言いたいことは同じだった。
 さっきの土埃に似ていると。

 ハンター達の視界が回復すると、目の前にはスライム達の姿

 ……ということは
「ほほーい! 元に戻ったっすねー!」
 真っ先に狛が両手を夜空に上げて叫び、一同はやっと体が元に戻ったことを確信した。
 また体が入れ替わらないうちに、すぐにスライム退治に取り掛かる。
 クリスティンは身体の使い方等学んだことをスライムに感謝しつつ遠慮なくしばき倒し
 ルーキフェルとウェスペルはちょっと残念に思いながらも、強打やマジックアローなどを使って二人で連携してさくっと退治
 冬樹も強弾を使用して倒し、鵤もだるそうにしつつもスライムを蹴散らしていた。
「退治してくださってありがとうございました!」
 体が戻ってからは難なく戦闘も終わり、村人達に再び頭を下げ下げされながら村を出る。
 これこそ当初予定していたはずのスライム退治だ。
「なんやったんやアレ……」
 冬樹は煙草で一服しながらぼんやりと呟いた。
「さっさと帰って酒よ酒。あーあーったくヤケ酒が進んじまうわぁ。
 文太くーん、ヤッダーいいものもってるじゃなーい?」
 冬樹にジト目で睨まれるが、鵤は気にしない様子で並んで歩いている。
「いろいろ凄かったっすー。夢をみてたんっすかねー」
「夢にしては……感覚が残っているような」
 狛に言葉を返しながら、クリスティンも進行方向を見つめたままスライム体験のことを考えているようだ。
「人型がいちばんですなの! 」
 ウェスペルに頷くルーキフェル。

「でも楽しかったぷにょ! ……だお!」

 その語尾を聞いて、反射的に自分達の姿を確かめてしまうハンター達であった

依頼結果

依頼成功度大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太(ka0124
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • がんばりやさん
    ルーキフェル・ハーツ(ka1064
    エルフ|10才|男性|闘狩人
  • がんばりやさん
    ウェスペル・ハーツ(ka1065
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • 超☆嗅覚
    狛(ka2456
    人間(紅)|17才|男性|霊闘士
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン スライムとして
冬樹 文太(ka0124
人間(リアルブルー)|29才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/06/13 22:34:02
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/11 07:53:39