ゲスト
(ka0000)
合体戦士ユナイテッド
マスター:チャリティーマスター

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/17 07:30
- 完成日
- 2016/06/26 23:14
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●破滅を迎える世界
大爆発で大地が吹き飛ぶ。
この世界は邪神クドーコーによって、今まさに滅ぼされんとしていた。
「ど、どうして! なんで、世界を壊そうとする!」
白衣を纏った女性研究員が邪神に叫ぶ。
この世界の住民である彼女らは、邪神によって追い詰められ、もはや、残されたのは、ここ『魔法カガク文明研究所』だけとなっていた。
多くの戦士達が邪神に挑み……そして、敗れ去っていった……。
「『どうして?』だと? 貴様らには、その自覚すらないのか!」
邪神が叫んだ。
まるで、巨大な雷鳴のような叫びだった。
「じ、自覚?」
「そうだ! 貴様らは、いちゃいちゃいちゃいちゃしおって!」
女性研究員は思わず手に持っていた研究資料を落としそうになった。
「……もしかして、うらやm」
「うるさい!」
図星だったようで邪神が怒り狂い、その一撃は山を粉々に消滅させる。
「どいつこもいつも、いちゃいちゃらぶらぶして! 一人身の俺の前で……見せつけやがってぇ!」
その台詞に女性研究員は邪神の資料を思い出した。
元は温厚な神様だったらしいが、神殿は、いつしか、カップル達の聖地となっていた。
「なんの嫌がらせだ? 生涯孤独を貫き通し、孤独の神と崇められていたはずなのに!」
「……DT?」
研究員の言葉は邪神を確実に怒らせてしまった。
全方位に向かって破壊ビームを放つ邪神はもはや、誰の手にも負えない存在と化していた。
●反撃
『魔法カガク文明研究所』の地表部は邪神の攻撃によって塵と化したが、地下部は生きていた。
巨大な魔法とカガクを組み合わせた装置が最下層で機動している。
「所長! ついに完成ですね!」
地表から命からがら逃げてきた女性研究員が、イケメン所長に抱きつきながら感激の声を上げていた。
所長は片手で前髪を掻き上げる。
「異世界から邪神と戦える者を召喚する装置……これで、邪神との最後の戦いに……」
所長が装置の出力を上げる。
低く唸るモーター音。それと共に装置が眩い光を放ち出した。
「所長!」
「おぉ! 素晴らしい!」
何かが弾ける音と共に、辺りが光に包まれ――姿を現したのは8人の異界人。
そのうちの一人は、幾何学模様が美しい角を持っている男だった。その角の片方は先端部が折れていた。
隣に並んでいるのは金髪サイドテールが特徴の女性だった。
「ようこそ、我らが世界へ! 偉大なる異世界の英雄達よ!」
所長が大袈裟に異界人らを出迎えた。
●合体
「つまり、召喚された私達は邪神を倒せば良いという事?」
金髪サイドテールの女性――ソルラ・クート(kz0096)――が所長に訊ねる。
異界人らは意識体だけで、ある意味、夢を見ているような存在という。この世界に存在できているのは仮初の肉体を『カガク力』で構築されているだけだ。
構築内容は元いた世界に合わせる形になっているので、身につけている武器やセットされているスキルもそのままだ。
「その通りです。そして、英雄の皆さまには、特別な能力が備わっています!」
バンと大型モニターを叩く所長。
そこには図でなにやら書いてあった。
「強力な邪神に対抗する為、二人で一つに……融合できるのです」
融合すると、全ての能力が合わさるという。
「ほう……それは、凄い事だな。この私に相応しい力だ」
角折の男――ネル・ベル(kz0082)――がモニターに見入っていた。
所長は仰々しく頭を下げると、次の図を差す。
「融合する際には、こうして、ポーズを取り、指と指を合わs」
「ちょっと待って! それ以上はまずい……気がするわ」
ソルラの謎ツッコミに所長は解説を止め、しばし考えた後、別の図を差した。
「では、手を取り合って、魂の共m」
「それも、ダメだと思うわ」
冷静なソルラの口出しに、所長は困ったように前髪を片手で持ち上げた。
「分かりました。では、これなら問題ないでしょう」
モニターには『合体』と表示されていた。
「……なにかの、釣りの話のような気がしないでもないけど……」
「まぁ、とにかく、皆さまがお互いを『合体』対象と認識した場合に、『合体』するようになっているのです!」
合体解除の場合は、どちらかの気持ちが離れれば、自動的に解除となる。
大きいダメージを受けた場合も解除する場合があるという。
「それと、『合体』している者は、その状態で別の『合体』ができないのです!」
「合体、合体、連呼しなくていいですから!」
ソルラの叫びと共に施設が揺れる。
どうやら、邪神が迫っているようだ。もはや、一刻の猶予も無いようだ。
「異世界の英雄達よ! どうか、我らをお救い下さい!」
邪神との最後の戦いが始まろうとしていた。
大爆発で大地が吹き飛ぶ。
この世界は邪神クドーコーによって、今まさに滅ぼされんとしていた。
「ど、どうして! なんで、世界を壊そうとする!」
白衣を纏った女性研究員が邪神に叫ぶ。
この世界の住民である彼女らは、邪神によって追い詰められ、もはや、残されたのは、ここ『魔法カガク文明研究所』だけとなっていた。
多くの戦士達が邪神に挑み……そして、敗れ去っていった……。
「『どうして?』だと? 貴様らには、その自覚すらないのか!」
邪神が叫んだ。
まるで、巨大な雷鳴のような叫びだった。
「じ、自覚?」
「そうだ! 貴様らは、いちゃいちゃいちゃいちゃしおって!」
女性研究員は思わず手に持っていた研究資料を落としそうになった。
「……もしかして、うらやm」
「うるさい!」
図星だったようで邪神が怒り狂い、その一撃は山を粉々に消滅させる。
「どいつこもいつも、いちゃいちゃらぶらぶして! 一人身の俺の前で……見せつけやがってぇ!」
その台詞に女性研究員は邪神の資料を思い出した。
元は温厚な神様だったらしいが、神殿は、いつしか、カップル達の聖地となっていた。
「なんの嫌がらせだ? 生涯孤独を貫き通し、孤独の神と崇められていたはずなのに!」
「……DT?」
研究員の言葉は邪神を確実に怒らせてしまった。
全方位に向かって破壊ビームを放つ邪神はもはや、誰の手にも負えない存在と化していた。
●反撃
『魔法カガク文明研究所』の地表部は邪神の攻撃によって塵と化したが、地下部は生きていた。
巨大な魔法とカガクを組み合わせた装置が最下層で機動している。
「所長! ついに完成ですね!」
地表から命からがら逃げてきた女性研究員が、イケメン所長に抱きつきながら感激の声を上げていた。
所長は片手で前髪を掻き上げる。
「異世界から邪神と戦える者を召喚する装置……これで、邪神との最後の戦いに……」
所長が装置の出力を上げる。
低く唸るモーター音。それと共に装置が眩い光を放ち出した。
「所長!」
「おぉ! 素晴らしい!」
何かが弾ける音と共に、辺りが光に包まれ――姿を現したのは8人の異界人。
そのうちの一人は、幾何学模様が美しい角を持っている男だった。その角の片方は先端部が折れていた。
隣に並んでいるのは金髪サイドテールが特徴の女性だった。
「ようこそ、我らが世界へ! 偉大なる異世界の英雄達よ!」
所長が大袈裟に異界人らを出迎えた。
●合体
「つまり、召喚された私達は邪神を倒せば良いという事?」
金髪サイドテールの女性――ソルラ・クート(kz0096)――が所長に訊ねる。
異界人らは意識体だけで、ある意味、夢を見ているような存在という。この世界に存在できているのは仮初の肉体を『カガク力』で構築されているだけだ。
構築内容は元いた世界に合わせる形になっているので、身につけている武器やセットされているスキルもそのままだ。
「その通りです。そして、英雄の皆さまには、特別な能力が備わっています!」
バンと大型モニターを叩く所長。
そこには図でなにやら書いてあった。
「強力な邪神に対抗する為、二人で一つに……融合できるのです」
融合すると、全ての能力が合わさるという。
「ほう……それは、凄い事だな。この私に相応しい力だ」
角折の男――ネル・ベル(kz0082)――がモニターに見入っていた。
所長は仰々しく頭を下げると、次の図を差す。
「融合する際には、こうして、ポーズを取り、指と指を合わs」
「ちょっと待って! それ以上はまずい……気がするわ」
ソルラの謎ツッコミに所長は解説を止め、しばし考えた後、別の図を差した。
「では、手を取り合って、魂の共m」
「それも、ダメだと思うわ」
冷静なソルラの口出しに、所長は困ったように前髪を片手で持ち上げた。
「分かりました。では、これなら問題ないでしょう」
モニターには『合体』と表示されていた。
「……なにかの、釣りの話のような気がしないでもないけど……」
「まぁ、とにかく、皆さまがお互いを『合体』対象と認識した場合に、『合体』するようになっているのです!」
合体解除の場合は、どちらかの気持ちが離れれば、自動的に解除となる。
大きいダメージを受けた場合も解除する場合があるという。
「それと、『合体』している者は、その状態で別の『合体』ができないのです!」
「合体、合体、連呼しなくていいですから!」
ソルラの叫びと共に施設が揺れる。
どうやら、邪神が迫っているようだ。もはや、一刻の猶予も無いようだ。
「異世界の英雄達よ! どうか、我らをお救い下さい!」
邪神との最後の戦いが始まろうとしていた。
リプレイ本文
●邪神の正体
「戦うってのは分かったが、邪神の情報を先に漁っても、構わないよな?」
魔法カガク装置の前で龍崎・カズマ(ka0178)が所長に言った。
情報があるかないかでは戦う時に違いがある。
「確かに……合体は強力ですが、強敵相手ですと不安ですね」
クオン・サガラ(ka0018)も同意見だ。
お互いの能力が合算されるとしても、意図しない場合の解除も有り得るのでは戦力を維持できない場合がある。
二人の戦士の言葉に所長は頷くとモニターに邪神の姿が映し出された。
「邪神クドーコーは、その孤独さ故に、カップルが許せないようです」
「ぁー……要するに、リア充爆ぜろって奴ね」
モニターに映し出された邪神を眺めながらユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が呟いた。
それに応えるようにユーリの横に並んでいたフィルメリア・クリスティア(ka3380)も口を開く。
「嫉妬から八つ当たり? 神様でもそんな事あるのね。でも、羨ましいなら素直にそう言えばいいのに」
フィルメリアは流し目でユーリをチラリと見ると、その白い腕を手に取って言った。
「なんなら、今からもっと、見せつけてやろうかしら? ねぇ、ユーリ?」
「これ見よがしに見せつけたら、邪神の豆腐メンタルに、ヒビが入るわよ」
「これから、ぶん殴る相手の事なんて気にしてもねぇ」
二人の会話の最中、パッと映像が変わった。
禍々しい邪神の面影が僅かに残る別の人物が現れる。
「この世界の神というのは、人々の想いや願いが寄り集まった存在なのです」
「つまり、この世界中の『リア充爆ぜろ』が集まっちゃったって事?」
メイム(ka2290)が所長の言葉に首を傾げた。
「神は集まった想いや願いを様々な方法で消化します。ですが、消化しきれず、逆に飲み込まれたのです」
「消化不良だね」
言われてしまえばその通りかもしれない。
ただし、世界が壊される程の消化不良という事なのだが。
「まぁ、いい迷惑なんだろうよ。こいつもな」
カズマが大真面目な視線をモニターに向けながら言った。
ある意味、被害者みたいなものだ。
「邪神という事は……歪虚とは、違うのですね」
モニターを見つめながらヴァルナ=エリゴス(ka2651)が言った。
話を聞いた限り、歪虚とは異なる存在のようだ。
「良く分かりませんが、とにかく、【合体】をすれば、この邪神にも勝てる、と」
槍をぐっと握り、ヴァルナの言い放った言葉に所長は深く頷く。
「邪神を形作っている、想いや願いを攻撃で消滅させていけば……必ず」
「一筋縄ではいきそうにはないでしょうけど」
別モニターに表示されている邪神の能力を見ながらクオンはため息をついた。
堅い守り、飛行能力、全方位のビーム。まさに、邪神に相応しい。憂鬱にもなる。
「荒ぶる神は倒すもんじゃなく、鎮めるもんって事か」
カズマの台詞に全員が頷く。
「と言うか……クドーコー……クドコ……コドク……名前からして『ぼっち』!」
呆れた表情でフィルメリアが言った言葉にユーリが肩をポンと叩いた。
「何にせよ、私達の力……アイツに見せてやるわよっ」
孤独の神を救う戦いが始まったのだ。
●合体戦士
角折の歪虚――ネル・ベル――に並んだのは、メイムだった。
彼女はパートナーに、この歪虚を選んでいた。
「こんなサービス滅多にしないんだからね♪」
ニッコリと笑うと邪神を挑発するかのように、歪虚の首元に抱き着くとメイムの身体が、銀色の光を放つ古代文字の帯となり歪虚を包み込む。
「この私の力、存分に振るうといい!」
歪虚はそう宣言するとのけぞりながら高く跳躍する。
古代文字の帯が眩い光を放ち、胸が薄く膨らんだ薄紅色のドレス姿――
――紅色の縦巻きロールが揺れ、幾何学模様の角が輝き――
――背中の白い翼が、羽根をチラチながら開いた――
「魔法少女ネルイム! 参上!」
重なるようなメイムと歪虚の言葉。刀身に映った己の姿を見て歪虚は『さすが私だ』などと呟いている。
イケメン顔だった歪虚の影響か、メイムと合わさった事で、美少女となっていた。
合体すると、外見も合わさるようだが……。
「あまり見た目が変わらない気がしますが……ともかく、この世界でも、困っている者を見捨てては、騎士の名折れと言うものです。行きましょうか、ソルラさん!」
ヴァルナが差し出した手をソルラは力強く頷いて握る。
「はい! ヴァルナさん!」
「私達は言うなれば同志です。互いの良いトコ取りで、通常の3倍以上(当社比)の女子力が、発揮できるに違いありません」
金髪金眼同士の二人の騎士が手を取り合った状態のまま、全身から眩い光が放たれる。
その光は近づき、一つとなると天に向かって、大音響と共に伸びた。
二人の女子力が圧倒的な量となり――世界を包み込む――
サイドアップされた髪は二人の女子力で黄金の輝きを発していた。
戦乙女を思わせる甲冑も同じ色で揺らめきながら輝き、まるで、コスモ(女子力)が燃えているようだ。
「絶対女傑ヴァルルラ! 推して参ります!」
剣と槍を構えた戦乙女が邪神に向かって槍を突き出した。
「孤独を極めて孤高となったのなら、羨み、妬みに負けてどうするのです! 私達が貴方を救ってみせます!」
ユーリとフィルメリアの二人が正面を向かい合いながら両手で組んでいた。
突如に響く雷鳴と共に、地表から青白く輝く雷のオーラと、蒼い雪と氷の結晶の帯が絡み合いながら二人を包み込む。
「良いユーリ。さっきの台詞で合わせるのよ」
「ほ、ほんとなの?」
二人のボソボソ言っている会話が聞こえるが、ここは気にしてはいけない。
組んだ両手を掲げた瞬間、氷で彩られた華の幻影が散らばる。
「「想いを重ね響かせ詠え! 心を一つに! 絆の形を此処に! ユナイテッド・ドライヴ!!」」
散らばった幻影が青白い光と共に晴れ、長髪でエルフ耳の女性が現れた。
フィルメリア自身よりも少しだけ若く見える姿だが、身長も伸びただろうか、胸も大きくなっただろうか。
「蒼雷氷姫ユーメリア、ここに推参! ってね」
3人の合体戦士達の姿を後ろでクオンとカズマは見守っていたが、3人に聞こえない声の大きさで変身シーンの感想をクオンは呟いた。
「……気のせいなのか、変身の直前って、なんで裸になるのでしょうか?」
実際の所、裸かどうかは分からない。
眩い光の中、身体のラインがハッキリと見えただけかもしれない。
「さぁな……『お約束』って奴だろう」
疑問に答えるカズマ。
尽きない謎ではあるが、一つだけ分かっている事はあった。
「……分かっていると思うが……『見えた』とか言うな……瞬殺されるぞ」
「は、はい……」
ドスの効いたカズマの台詞に、クオンは震えながら返事をしたのであった。
瞬殺で済めばいい。今の状態ならそれ以上の地獄を見る事になるだろう。それほどまでに、合体戦士達の力は強く感じられた。
●戦闘
邪神が両手を広げた動きを見せ、ソルラが叫んだ。
「全方位のビームが来ます!」
「避けつつ突貫します」
ヴァルナが槍を突き出して宙を駆ける。
状況判断をソルラに任せ、ヴァルナは戦闘に集中していた。二人で一つであればこういう戦い方も可能なのだ。
突貫する仲間が邪神との距離が開いている事を確認し、メイムは星型の飾りがついたロッドで宙に魔法陣を描く。
色トリドリの星が煌きながら描かれた魔法陣から、二本の炎竜巻が邪神に向かって放たれる。
「合体魔法! ファイアートルネード!」
メイムとネル・ベルの二人が同時に放つ炎の竜巻は、邪神が全方位に放ったビームを弾きながら邪神の本体に直撃する。
直後に、溢れ出す黄金の女子力の軌跡を描きながら絶対女傑ヴァルルラが邪神を貫いた。
揺らめく邪神の隙を見逃さず、蒼雷氷姫ユーメリアも宙から突撃する。
「こういう時、ちゃんと相互理解が出来てると楽でいいわよね」
全方位ビームの軌道を読みながらフィルメリアが言った。
肉体行動の主導権はユーリが行っているからだ。息のあった連携で邪神へと迫ると二人分のマテリアルを集中させた。
「霊装・氷華蒼雷――エンチャント・マテリアライズ――」
一撃離脱で邪神を斬り裂くと、邪神を形作っていたなにかが崩れた。
「あれが、邪神とさせている想いや願いが形作ったものか」
カズマは冷静に分析していた。
このまま攻撃を続けていれば、その全てを剥ぎ落とせるかもしれない。
「長期戦にもつれ込まれる前に……決着がつけられれば……」
射撃と防御障壁で援護しながらクオンが呟いた。
邪神と合体戦士の戦いは長期戦の様相になってきた。どちらが有利かは分からない。
だが、どんなに息があったとしても二人の意識が常に同時でいられるという保障はない。集中力が途切れたら――。
邪神が突如として吠えた。
「おのれ! おのれ! 二人で一つになるなど!」
呪詛のような叫び。
構えた巨大な剣がまるで無数の茨のように一帯に広がる。合体戦士達はそれを避け、受け、切り払って、耐えるが……。
「孤独の怒りにひれ伏せ!」
剣が茨のように広がっているだけでも至難な状態の所で、邪神が全方位ビームを放つ。
直線的なビームと茨の無軌道な動きが合わさった攻撃の前に合体戦士達は次々に弾き飛ばされる。
「全員が同時に解除される訳にはいきません!」
ヴァルナとソルラの声が重なった。
蒼雷氷姫ユーメリアを庇うように絶対女傑ヴァルルラが前面に出ると、攻撃を受け止める――だが、受け止めきれず無数のビームと剣茨で貫かれると光を発しながら二人は地面に転がった。
「カズマさん達を!」
魔法少女ネルイムはカズマとクオンを無限を思わすような攻撃から守っていた。
だが、それも、限度というものがある。自己治癒が追いつかず、合体状態が解除されてしまった。全身から流れ落ちる血の中でメイムは辛うじて意識を保つ。
彼女にとって不利な事があったとすれば、歪虚との合体で生命力が大幅に上昇した分であろう。解除時に蓄積されていたダメージが本来の彼女の生命力を超えていたからだ。
危険な状態だが、邪神からの追撃はなかった。ダメージと引き換えに【懲罰】の能力を使用したのだ。傲慢の歪虚特有の能力。受けたダメージを相手に与える力だ。
「フォローに入る。その間に回復を」
短くメイムに言うと、カズマは不気味な笑みを浮かべている歪虚に腕を突き出す。
「龍崎カズマ。いいだろう」
歪虚は応じると合体する。
くすんだ金髪、澱んだ金眼を持つ歪虚戦士カズ・ベルが誕生した。
「貴様の力、使わせてもらうぞ」
「肯」
宙に浮かび、魔法陣を展開した。
その下、地面をヴァルナが一人で目立たぬ様に走っていた。目指すは邪神の死角だ。
「ク、クオンさん、よ、よろしくお願いします」
顔を赤くしたソルラが手を差し出した。
その手を跪いて受け取るクオン。
「行きますよ」
二人が合体すると、長い黒髪を持つ漆黒騎士ソルクオンが現れた。
踵からマテリアルの放出しながら邪神に向かって跳躍する。
歪虚戦士カズ・ベルが創り出した魔法陣から魔法が次々と放たれる。
その中を漆黒騎士ソルクオンが宙を駆ける。
「何度来ても同じ事だぁ!」
ビームと剣茨で狙われたが、防御障壁を出しつつ尚も突撃する漆黒騎士――いや、クオン。
「ひ、一人だと!?」
「一人じゃないですよ。わたし達は」
クオンの台詞と共に、入れ替わるように、絶対女傑ヴァルルラが邪神との間合いを詰める。
邪神からの攻撃の直前のタイミングで合体を解除。隠れながら邪神に近づいていたヴァルナとソルラが再合体したのだった。
「「これが、私達の女子力です!」」
溢れ出す女子力を推進力として突撃した絶対女傑ヴァルルラの鋭い突きと渾身の込めた一撃が邪神の半身を吹き飛ばした。
「カズマよ。準備は出来たぞ」
「肯」
歪虚が合体を解除し、直下にいるメイムへと向かう。
メイムはそれを両手を広げて迎え――魔法少女ネルイムが再誕する。直後――落下してきたカズマを掴む。
「空間を飛翔するぞ」
半身が崩れ去る邪神の目の前にカズマと共に『瞬間移動』した。この歪虚が持つ特殊な能力によるものだ。
カズマは冷静に状況を確認しながら辺りに写真をばら蒔く。
「こ、この写真は、な、なんだぁぁぁ!」
邪神が叫ぶのも無理はない。
これは――仲睦まじいカップル達の写真だったからだ。
――赤髪青眼の青年にお姫様抱っこされているウェディング姿の女性の写真――
――太陽の優しい光が包み込む教会で愛を誓い合う写真――
「見せつけおってぇぇ!」
邪神が逆上した所で、カズマが剣鎖を巧みに操り、邪神の動きを封じる。
「決めろよ、合体戦士」
孤高の戦士の呟きに応じるかのように、魔法少女ネルイムが二刀流で斬りかかった。
黒い龍を纏った攻撃と共にメイムは叫ぶ。
「ふりぃぃず!」
強い拘束の意は邪神を固まらせた。
完全に動きが止まった邪神に蒼雷氷姫ユーメリアが蒼き刀を向けた。
氷の青い蕾が彼女の周囲で舞い、それらが雷鳴を響かせ花開く中、驚くべき速さで邪神に迫る。
「氷華加速――フリーレン・アクセル――蒼雷加速――ブリッツ・アクセル――」
華の軌跡を描いて宙を疾走する蒼雷氷姫ユーメリア。
構えた刀がマテリアルの力で巨大化する。同時に蒼いマテリアルの剣も現れた。
「凍てつく氷の華は、蒼き雷を纏いて剣を成し、魔を断つ刃となるッ! 氷雷一閃・蒼光雷切ッ!!」
その一撃は邪神を形作っていた全ての物を吹き飛ばした――。
●夢の終わり
邪神と化す前に姿だったのだろうか。人の姿が表した。
倒れそうになった神を絶対女傑ヴァルルラは優しく支えて腕で包む。
「今後は溜め込み過ぎないようにして下さいね」
孤独の神は気を失っているようだった。
「なんとかなりましたね」
決着が無事についてクオンは安堵の表情を浮かべた。
隣では魔法少女ネルイムが両腕を組んで仁王立ちしている。
「この私に相応しい勝利だな」
「歪虚と合体だなんて珍しい体験だったよ」
これでこの世界は救われたはず。
そして、歪虚は元の世界に戻れば敵という訳だ。
「生涯孤独ねぇ……神殿を建てられる位には、人々に慕われてたんだ」
だからこそ、カップルも訪れていたのだろう。
この神が二度と邪神にならなければなとカズマは思った。
「いつもと違う自分をやってみるのも悪くないわね。こういうノリ。実は少しだけ、憧れてた所もあったr……何でもない」
「………正直恥ずかしかった」
コホンと言葉を濁しながら言ったフィルメリアの言葉にユーリが顔を赤くして応える。
「さて……邪魔者も居なくなったし、二人で愉しもうか、ユーリ」
蒼雷氷姫ユーメリアが両腕で自身の身体を抱き締め、身体を色っぽく揺らす。
「え? え? えぇー!?」
その動きにユーリが戸惑いの声を上げるのであった。
おしまい。
「戦うってのは分かったが、邪神の情報を先に漁っても、構わないよな?」
魔法カガク装置の前で龍崎・カズマ(ka0178)が所長に言った。
情報があるかないかでは戦う時に違いがある。
「確かに……合体は強力ですが、強敵相手ですと不安ですね」
クオン・サガラ(ka0018)も同意見だ。
お互いの能力が合算されるとしても、意図しない場合の解除も有り得るのでは戦力を維持できない場合がある。
二人の戦士の言葉に所長は頷くとモニターに邪神の姿が映し出された。
「邪神クドーコーは、その孤独さ故に、カップルが許せないようです」
「ぁー……要するに、リア充爆ぜろって奴ね」
モニターに映し出された邪神を眺めながらユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が呟いた。
それに応えるようにユーリの横に並んでいたフィルメリア・クリスティア(ka3380)も口を開く。
「嫉妬から八つ当たり? 神様でもそんな事あるのね。でも、羨ましいなら素直にそう言えばいいのに」
フィルメリアは流し目でユーリをチラリと見ると、その白い腕を手に取って言った。
「なんなら、今からもっと、見せつけてやろうかしら? ねぇ、ユーリ?」
「これ見よがしに見せつけたら、邪神の豆腐メンタルに、ヒビが入るわよ」
「これから、ぶん殴る相手の事なんて気にしてもねぇ」
二人の会話の最中、パッと映像が変わった。
禍々しい邪神の面影が僅かに残る別の人物が現れる。
「この世界の神というのは、人々の想いや願いが寄り集まった存在なのです」
「つまり、この世界中の『リア充爆ぜろ』が集まっちゃったって事?」
メイム(ka2290)が所長の言葉に首を傾げた。
「神は集まった想いや願いを様々な方法で消化します。ですが、消化しきれず、逆に飲み込まれたのです」
「消化不良だね」
言われてしまえばその通りかもしれない。
ただし、世界が壊される程の消化不良という事なのだが。
「まぁ、いい迷惑なんだろうよ。こいつもな」
カズマが大真面目な視線をモニターに向けながら言った。
ある意味、被害者みたいなものだ。
「邪神という事は……歪虚とは、違うのですね」
モニターを見つめながらヴァルナ=エリゴス(ka2651)が言った。
話を聞いた限り、歪虚とは異なる存在のようだ。
「良く分かりませんが、とにかく、【合体】をすれば、この邪神にも勝てる、と」
槍をぐっと握り、ヴァルナの言い放った言葉に所長は深く頷く。
「邪神を形作っている、想いや願いを攻撃で消滅させていけば……必ず」
「一筋縄ではいきそうにはないでしょうけど」
別モニターに表示されている邪神の能力を見ながらクオンはため息をついた。
堅い守り、飛行能力、全方位のビーム。まさに、邪神に相応しい。憂鬱にもなる。
「荒ぶる神は倒すもんじゃなく、鎮めるもんって事か」
カズマの台詞に全員が頷く。
「と言うか……クドーコー……クドコ……コドク……名前からして『ぼっち』!」
呆れた表情でフィルメリアが言った言葉にユーリが肩をポンと叩いた。
「何にせよ、私達の力……アイツに見せてやるわよっ」
孤独の神を救う戦いが始まったのだ。
●合体戦士
角折の歪虚――ネル・ベル――に並んだのは、メイムだった。
彼女はパートナーに、この歪虚を選んでいた。
「こんなサービス滅多にしないんだからね♪」
ニッコリと笑うと邪神を挑発するかのように、歪虚の首元に抱き着くとメイムの身体が、銀色の光を放つ古代文字の帯となり歪虚を包み込む。
「この私の力、存分に振るうといい!」
歪虚はそう宣言するとのけぞりながら高く跳躍する。
古代文字の帯が眩い光を放ち、胸が薄く膨らんだ薄紅色のドレス姿――
――紅色の縦巻きロールが揺れ、幾何学模様の角が輝き――
――背中の白い翼が、羽根をチラチながら開いた――
「魔法少女ネルイム! 参上!」
重なるようなメイムと歪虚の言葉。刀身に映った己の姿を見て歪虚は『さすが私だ』などと呟いている。
イケメン顔だった歪虚の影響か、メイムと合わさった事で、美少女となっていた。
合体すると、外見も合わさるようだが……。
「あまり見た目が変わらない気がしますが……ともかく、この世界でも、困っている者を見捨てては、騎士の名折れと言うものです。行きましょうか、ソルラさん!」
ヴァルナが差し出した手をソルラは力強く頷いて握る。
「はい! ヴァルナさん!」
「私達は言うなれば同志です。互いの良いトコ取りで、通常の3倍以上(当社比)の女子力が、発揮できるに違いありません」
金髪金眼同士の二人の騎士が手を取り合った状態のまま、全身から眩い光が放たれる。
その光は近づき、一つとなると天に向かって、大音響と共に伸びた。
二人の女子力が圧倒的な量となり――世界を包み込む――
サイドアップされた髪は二人の女子力で黄金の輝きを発していた。
戦乙女を思わせる甲冑も同じ色で揺らめきながら輝き、まるで、コスモ(女子力)が燃えているようだ。
「絶対女傑ヴァルルラ! 推して参ります!」
剣と槍を構えた戦乙女が邪神に向かって槍を突き出した。
「孤独を極めて孤高となったのなら、羨み、妬みに負けてどうするのです! 私達が貴方を救ってみせます!」
ユーリとフィルメリアの二人が正面を向かい合いながら両手で組んでいた。
突如に響く雷鳴と共に、地表から青白く輝く雷のオーラと、蒼い雪と氷の結晶の帯が絡み合いながら二人を包み込む。
「良いユーリ。さっきの台詞で合わせるのよ」
「ほ、ほんとなの?」
二人のボソボソ言っている会話が聞こえるが、ここは気にしてはいけない。
組んだ両手を掲げた瞬間、氷で彩られた華の幻影が散らばる。
「「想いを重ね響かせ詠え! 心を一つに! 絆の形を此処に! ユナイテッド・ドライヴ!!」」
散らばった幻影が青白い光と共に晴れ、長髪でエルフ耳の女性が現れた。
フィルメリア自身よりも少しだけ若く見える姿だが、身長も伸びただろうか、胸も大きくなっただろうか。
「蒼雷氷姫ユーメリア、ここに推参! ってね」
3人の合体戦士達の姿を後ろでクオンとカズマは見守っていたが、3人に聞こえない声の大きさで変身シーンの感想をクオンは呟いた。
「……気のせいなのか、変身の直前って、なんで裸になるのでしょうか?」
実際の所、裸かどうかは分からない。
眩い光の中、身体のラインがハッキリと見えただけかもしれない。
「さぁな……『お約束』って奴だろう」
疑問に答えるカズマ。
尽きない謎ではあるが、一つだけ分かっている事はあった。
「……分かっていると思うが……『見えた』とか言うな……瞬殺されるぞ」
「は、はい……」
ドスの効いたカズマの台詞に、クオンは震えながら返事をしたのであった。
瞬殺で済めばいい。今の状態ならそれ以上の地獄を見る事になるだろう。それほどまでに、合体戦士達の力は強く感じられた。
●戦闘
邪神が両手を広げた動きを見せ、ソルラが叫んだ。
「全方位のビームが来ます!」
「避けつつ突貫します」
ヴァルナが槍を突き出して宙を駆ける。
状況判断をソルラに任せ、ヴァルナは戦闘に集中していた。二人で一つであればこういう戦い方も可能なのだ。
突貫する仲間が邪神との距離が開いている事を確認し、メイムは星型の飾りがついたロッドで宙に魔法陣を描く。
色トリドリの星が煌きながら描かれた魔法陣から、二本の炎竜巻が邪神に向かって放たれる。
「合体魔法! ファイアートルネード!」
メイムとネル・ベルの二人が同時に放つ炎の竜巻は、邪神が全方位に放ったビームを弾きながら邪神の本体に直撃する。
直後に、溢れ出す黄金の女子力の軌跡を描きながら絶対女傑ヴァルルラが邪神を貫いた。
揺らめく邪神の隙を見逃さず、蒼雷氷姫ユーメリアも宙から突撃する。
「こういう時、ちゃんと相互理解が出来てると楽でいいわよね」
全方位ビームの軌道を読みながらフィルメリアが言った。
肉体行動の主導権はユーリが行っているからだ。息のあった連携で邪神へと迫ると二人分のマテリアルを集中させた。
「霊装・氷華蒼雷――エンチャント・マテリアライズ――」
一撃離脱で邪神を斬り裂くと、邪神を形作っていたなにかが崩れた。
「あれが、邪神とさせている想いや願いが形作ったものか」
カズマは冷静に分析していた。
このまま攻撃を続けていれば、その全てを剥ぎ落とせるかもしれない。
「長期戦にもつれ込まれる前に……決着がつけられれば……」
射撃と防御障壁で援護しながらクオンが呟いた。
邪神と合体戦士の戦いは長期戦の様相になってきた。どちらが有利かは分からない。
だが、どんなに息があったとしても二人の意識が常に同時でいられるという保障はない。集中力が途切れたら――。
邪神が突如として吠えた。
「おのれ! おのれ! 二人で一つになるなど!」
呪詛のような叫び。
構えた巨大な剣がまるで無数の茨のように一帯に広がる。合体戦士達はそれを避け、受け、切り払って、耐えるが……。
「孤独の怒りにひれ伏せ!」
剣が茨のように広がっているだけでも至難な状態の所で、邪神が全方位ビームを放つ。
直線的なビームと茨の無軌道な動きが合わさった攻撃の前に合体戦士達は次々に弾き飛ばされる。
「全員が同時に解除される訳にはいきません!」
ヴァルナとソルラの声が重なった。
蒼雷氷姫ユーメリアを庇うように絶対女傑ヴァルルラが前面に出ると、攻撃を受け止める――だが、受け止めきれず無数のビームと剣茨で貫かれると光を発しながら二人は地面に転がった。
「カズマさん達を!」
魔法少女ネルイムはカズマとクオンを無限を思わすような攻撃から守っていた。
だが、それも、限度というものがある。自己治癒が追いつかず、合体状態が解除されてしまった。全身から流れ落ちる血の中でメイムは辛うじて意識を保つ。
彼女にとって不利な事があったとすれば、歪虚との合体で生命力が大幅に上昇した分であろう。解除時に蓄積されていたダメージが本来の彼女の生命力を超えていたからだ。
危険な状態だが、邪神からの追撃はなかった。ダメージと引き換えに【懲罰】の能力を使用したのだ。傲慢の歪虚特有の能力。受けたダメージを相手に与える力だ。
「フォローに入る。その間に回復を」
短くメイムに言うと、カズマは不気味な笑みを浮かべている歪虚に腕を突き出す。
「龍崎カズマ。いいだろう」
歪虚は応じると合体する。
くすんだ金髪、澱んだ金眼を持つ歪虚戦士カズ・ベルが誕生した。
「貴様の力、使わせてもらうぞ」
「肯」
宙に浮かび、魔法陣を展開した。
その下、地面をヴァルナが一人で目立たぬ様に走っていた。目指すは邪神の死角だ。
「ク、クオンさん、よ、よろしくお願いします」
顔を赤くしたソルラが手を差し出した。
その手を跪いて受け取るクオン。
「行きますよ」
二人が合体すると、長い黒髪を持つ漆黒騎士ソルクオンが現れた。
踵からマテリアルの放出しながら邪神に向かって跳躍する。
歪虚戦士カズ・ベルが創り出した魔法陣から魔法が次々と放たれる。
その中を漆黒騎士ソルクオンが宙を駆ける。
「何度来ても同じ事だぁ!」
ビームと剣茨で狙われたが、防御障壁を出しつつ尚も突撃する漆黒騎士――いや、クオン。
「ひ、一人だと!?」
「一人じゃないですよ。わたし達は」
クオンの台詞と共に、入れ替わるように、絶対女傑ヴァルルラが邪神との間合いを詰める。
邪神からの攻撃の直前のタイミングで合体を解除。隠れながら邪神に近づいていたヴァルナとソルラが再合体したのだった。
「「これが、私達の女子力です!」」
溢れ出す女子力を推進力として突撃した絶対女傑ヴァルルラの鋭い突きと渾身の込めた一撃が邪神の半身を吹き飛ばした。
「カズマよ。準備は出来たぞ」
「肯」
歪虚が合体を解除し、直下にいるメイムへと向かう。
メイムはそれを両手を広げて迎え――魔法少女ネルイムが再誕する。直後――落下してきたカズマを掴む。
「空間を飛翔するぞ」
半身が崩れ去る邪神の目の前にカズマと共に『瞬間移動』した。この歪虚が持つ特殊な能力によるものだ。
カズマは冷静に状況を確認しながら辺りに写真をばら蒔く。
「こ、この写真は、な、なんだぁぁぁ!」
邪神が叫ぶのも無理はない。
これは――仲睦まじいカップル達の写真だったからだ。
――赤髪青眼の青年にお姫様抱っこされているウェディング姿の女性の写真――
――太陽の優しい光が包み込む教会で愛を誓い合う写真――
「見せつけおってぇぇ!」
邪神が逆上した所で、カズマが剣鎖を巧みに操り、邪神の動きを封じる。
「決めろよ、合体戦士」
孤高の戦士の呟きに応じるかのように、魔法少女ネルイムが二刀流で斬りかかった。
黒い龍を纏った攻撃と共にメイムは叫ぶ。
「ふりぃぃず!」
強い拘束の意は邪神を固まらせた。
完全に動きが止まった邪神に蒼雷氷姫ユーメリアが蒼き刀を向けた。
氷の青い蕾が彼女の周囲で舞い、それらが雷鳴を響かせ花開く中、驚くべき速さで邪神に迫る。
「氷華加速――フリーレン・アクセル――蒼雷加速――ブリッツ・アクセル――」
華の軌跡を描いて宙を疾走する蒼雷氷姫ユーメリア。
構えた刀がマテリアルの力で巨大化する。同時に蒼いマテリアルの剣も現れた。
「凍てつく氷の華は、蒼き雷を纏いて剣を成し、魔を断つ刃となるッ! 氷雷一閃・蒼光雷切ッ!!」
その一撃は邪神を形作っていた全ての物を吹き飛ばした――。
●夢の終わり
邪神と化す前に姿だったのだろうか。人の姿が表した。
倒れそうになった神を絶対女傑ヴァルルラは優しく支えて腕で包む。
「今後は溜め込み過ぎないようにして下さいね」
孤独の神は気を失っているようだった。
「なんとかなりましたね」
決着が無事についてクオンは安堵の表情を浮かべた。
隣では魔法少女ネルイムが両腕を組んで仁王立ちしている。
「この私に相応しい勝利だな」
「歪虚と合体だなんて珍しい体験だったよ」
これでこの世界は救われたはず。
そして、歪虚は元の世界に戻れば敵という訳だ。
「生涯孤独ねぇ……神殿を建てられる位には、人々に慕われてたんだ」
だからこそ、カップルも訪れていたのだろう。
この神が二度と邪神にならなければなとカズマは思った。
「いつもと違う自分をやってみるのも悪くないわね。こういうノリ。実は少しだけ、憧れてた所もあったr……何でもない」
「………正直恥ずかしかった」
コホンと言葉を濁しながら言ったフィルメリアの言葉にユーリが顔を赤くして応える。
「さて……邪魔者も居なくなったし、二人で愉しもうか、ユーリ」
蒼雷氷姫ユーメリアが両腕で自身の身体を抱き締め、身体を色っぽく揺らす。
「え? え? えぇー!?」
その動きにユーリが戸惑いの声を上げるのであった。
おしまい。
依頼結果
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質問卓 フィルメリア・クリスティア(ka3380) 人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/06/16 08:07:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/14 17:33:10 |
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合体?【相談卓です】 龍崎・カズマ(ka0178) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/06/16 23:13:19 |