黄金オークション ~ミヤサ~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/06/19 12:00
完成日
2016/06/27 14:15

みんなの思い出

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オープニング

 十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
 数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
 山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
 波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
 ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
 月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
 急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
 そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、ついにマール城まで届くこととなる。
 ミヤサが呼びだされた城で待っていたのは伯爵地領主の妹、ミリアだった。彼女は盗まれた黄金の鎧の部位を探して欲しいとミヤサに願う。
 黄金の冑についてはすでに情報がある。出向くと冑は確かに存在していた。
 問題は場所。地割れの岩壁途中に突起があり、そこに骸骨が引っかかっている。黄金の冑は骸骨が抱えていた。
 ミヤサとハンターがクライミングで挑戦。酸をまき散らす魔法蝶はハンター仲間が誘導してくれる。おかげで無事に冑を回収。任務をやり遂げたのだった。


 城塞都市マールの城、応接間。ミリアは領主アーリアの妹として伯爵地の治政を担っていた。
「冑が本物になったおかげで大分印象が変わりましたの」
 ミリアが眺めていたのは家具に納められていた黄金の鎧である。ミヤサとハンター達のおかげで冑が本物に取り替えられていた。残る仮の部分は胴の上半身と左足の二個所だ。
 冑には発見当時と同じく、ボロボロの羊皮紙を挟んである。それには『鍵の一つ』と記されていた。何を意味するのかミリアなりに考えてみたが、はっきりとした答えはでていない。
 現在は諜報を旨とする組織を動かして、盗まれた胴の上半身と左足の在処を探索している最中だ。
 黄金鎧の各部位は、ぼや騒ぎの際に盗まれていた。直後から失踪した侍従二名侍女二名については、後日に二組の心中遺体として見つかっている。
 真犯人が誰なのか未だに謎に包まれていた。

 数日後、ミリアに呼ばれたミヤサが登城した。以前に訪ねたときと同じ、応接間で話を聞くこととなる。
「今回も黄金の鎧についてでしょうか?」
「その通りですの。方々を調べたところ、胴の上半身部分が売買されることが判明しました」
 ミリアの説明が続く。一週間後にある犯罪組織が孤島でオークションを執り行うという。競売品の中に黄金胴の上半身が含まれているそうだ。
「このお仕事、最初はどなたに任せようかと考えました。ここはやはり、ミヤサ様とハンターの皆様にお願いするのが一番だとの考えに至りまして……どうが引き受けてくださりませんか?」
 ミリアが礼節をもってミヤサに依頼する。
「引き受けるのはやぶさかではありませんが、もう少し具体的な話をして頂けますか?」
「皆様には遠方の港街、ガンナ・エントラータから旅客帆船に乗って頂きます。公にはリゼリオ行きとされているようですが、実はオークション会場がある孤島行きですの。船上でのチェックにパスしなかった乗客は睡眠薬で眠らされて、船倉に閉じ込められるそうです。ちなみに海賊に襲われていたが取り返したとかいって、最後には開放するとか。
 話がそれました。皆様のうち何名かはオークションに参加して胴の上半身を競り落として頂きたい。お金の心配は御座いませんので。充分な金額を事前に提供させて頂きます。ただ……できれば支払わずに胴の上半身を持って帰って頂ければと……」
「それは奪ってこいという意味ですか?」
「ミヤサ様、取り戻すというのが正解ですの。実は帰りの船旅でオークションで手に入れた品が盗まれたり奪われたりすることが多いようで。それを未然に防ぐためにも、帆船を奪い戻ってきてはもらえませんか? もちろん罪問われることはありませんのでご心配なく」
 ミヤサは頭の中でミリアが望んでいる展開を反すうした。
 ガンナ・エントラータから旅客帆船に乗って出港。船上でオークション開催者による参加者チェックが行われるようだが、必要な暗号は事前に教えてくれるという。孤島に到着後、孤島の様子をチェック。翌日にはオークションに参加。それと同時に旅客帆船を乗っ取る準備を行い、胴の上半身を手に入れてから孤島を脱出する。足りない人手は船倉に閉じ込められている乗客に手伝ってもらう手筈だ。
「……難しいですが、やってみましょう」
 ミヤサは少々の不安にかられながらも、ミリアからの依頼を引き受けるのだった。

リプレイ本文


 揺れる帆船の中、ミヤサとハンター一行は鐘音を聞いて甲板に続く階段を駆けあがる。
 見上げれば鉛色の曇り空。船縁から見下ろせば白波の荒れた海。船首方面に目を凝らすと孤島が海原に浮かんでいるのが見えた。
 すでに符丁を用いての乗客選別は終わっている。孤島に上陸できるのはオークションの参加資格を得た乗客のみだ。ロープを使って小舟が次々と海面へとおろされていく。他の参加客と同じく一行もまた小舟に揺られて数日ぶりの土を踏みしめるのだった。

(寝泊まりの屋敷までは一本道のようだな。会場は屋敷の隣か)
 ロニ・カルディス(ka0551)は船着き場からの道を確かめながら歩く。馬車が通れるぐらいの道幅はあった。案内の者によれば船着き場から屋敷までは徒歩十分。オークション会場のある屋敷からはそれより数分足した程度だ。
「おー、いたいた」
 いつの間にか姿を消していたザレム・アズール(ka0878)が仲間に追いついた。実は岩場のひっそりとした場所にゴムボートを隠してきたのである。
「もう、ザレムくん。どこに行っていたんですかぁ」
 星野 ハナ(ka5852)はザレムに近づいて彼の腕に自らの両腕を絡ませた。
 案内された屋敷は街の高級宿と同等の設備が整っている。各係の質もかなりのものだ。
 一行は役割を考えて事前に二つの班に分かれていた。
 オークション班は星野ハナ、ザレム、ロニ、ミヤサの四名だ。帆船強奪班は夜桜 奏音(ka5754)、ルーネ・ルナ(ka6244)、ラジェンドラ(ka6353)の三名が受け持つ。
 二つの班は偶然を装って隣接した部屋へと泊まる。部屋の間仕切りとなる壁に寄りかかれば、互いの声が届く。
「帆船の内部はすでに確認済みだ。制圧の順番なのだが――」
 ラジェンドラが帆船強奪に関しての作戦概要を述べた。
「襲撃時間は、鎧の金銭を支払うタイミングでよろしいですね」
「夕方から夜にかけてのお金との交換時に鎧奪取で、開始寸前での連絡とともに船強奪をこちらは開始しますね」
 夜桜奏音とルーネが事前に決めた作戦をあらためて話す。
「それではしばらく孤島の状況把握に努めましょう。本番は明日のオークションからです」
 軽装のミヤサだが外出の護身用としてナイフだけは忘れない。各自作戦実行に備えて孤島の散策に赴くのだった。


(通って通れないわけではないか)
 ロニは森の中にあった獣道を歩いて船着き場を目指す。逃走ルートとして考えられるのは二つ。ひっそりと森の獣道を進むか、もしくは目立つ一本道を全速力で突っ走るかのどちらかである。
「お散歩ですか? こちら危ないですよ」
 ところが獣道でも巡回中の警備番と遭遇した。
「ちょっと気分転換に。気をつけているので心配は無用だ」
 ロニは挨拶を交わしてその場から立ち去る。一本道よりも獣道のほうがましだが、だからといって安全とは言い切れないことがよくわかった。

 夜桜奏音がルーネを誘って向かったのはオークションが開かれる屋敷である。
 宿泊の屋敷についてはすでに調査済みだ。但し、見張りが多くて参加客一人一人を調べるまでには至っていない。
「少しでいいのです。わたし迷子になりやすくて。事前に見学できればと思い、こちらを訪ねたのですが――」
 ルーネが適当な理由をでっち上げて玄関の警備番達に懇願する。夜桜奏音は彼女が警戒の目を釘付けにしてくれる間に生命感知を使いながら屋敷の庭を歩く。
(ここが警備番の屯所でしょうか?)
 すると東西二個所の建物内側で人らしき生命が多く感知できた。庭のすぐ近くに厩舎があるところから待機所に違いないと当たりをつけておく。
 途中で巡回の警備番に見つかって立ち去ることになったものの、それなりの成果が得られる。
 夜桜奏音とルーネはオークション屋敷の大外を一回りしてから宿泊の屋敷へと戻った。

「ミヤサの嬢ちゃん。船着き場から小舟で沖の帆船まで十五分はかかるようだな」
「あちらはザレムさんのボートで向かうようですね」
 ラジェンドラとミヤサは一緒に海辺を歩いた。砂浜はほんのわずかで孤島の周囲は断崖か岩ばかりの磯である。
 追っ手を撒くための手段を互いの班で擦り合わせておかなければならない。別班である二人はその辺りを詳しく相談しておく。偶然に出会ったばかりの男女のふりをしつつ。
 散策の間にも巡回の警備番に三度も遭遇する。オークションが開催される当日警備はより厳しくなることが予想された。

 星野ハナとザレムが歩いた森の道は船着き場の反対側へと続いていた。
「ふっふっふ~一石二鳥……いえ三鳥狙える美味しい依頼じゃないですかぁ」
 心の中で呟いたつもりの星野ハナだったが、つい言葉にしてしまう。
「三鳥って何のことだ?」
「えっと……あ、あれ綺麗な鳥が飛んでいますよっ」
 ザレムの問いに星野ハナが空を指さして誤魔化す。
 屋敷からかなり離れた場所にも関わらず、警備番と遭遇。ちょっとした世間話を交わした。
「本当だろうか。せっかく手に入れた品を狙う輩がいるというのは。そういう冒険的なものにも興味がないといえば嘘になるが、いやしかし……」
 ザレムは帝国下級貴族の子息を演じながら警備番に探りを入れる。
「噂ですよ。噂。あ、これより先は危険ですからね。引き返してください」
 警備番が消えたところで、二人は注意された方面へと足を踏み入れる。やがて丸太小屋が見えてきた。そのとき、先程とは別の警備番が岩陰から現れる。
(まずいですっ)
 このままでは深く疑われると判断した星野ハナはザレムの腕を引っ張った。茂みの中へと倒れ込み、彼の首へと両腕を回す。足も絡ませて一つになっているかのようにみせる。
 二人を見つけた警備番が口笛を吹いた。この辺りには毒蛇がいるからと忠告して去っていく。
「んもぅザレムくんお堅いですぅ、こんなギャグザレムくんにしかしませんよぅ」
 星野ハナは困り笑いを浮かべつつザレムに謝る。しかしおかげで警備番の屯所が判明。逃走ルートを決めるための重要な情報が得られたのだった。

 深夜の宿部屋。ルーネが明日の作戦を占ってくれる。しゃぼん玉を宙に浮かべて眺め、次にタロットカードを捲った。
「わたしを含めたこちらの班が少しだけ厳しいようですね」
 ルーネは怪我しそうな仲間に見当をつけておくのだった。


 オークション当日。参加する班は会場となる屋敷へ。帆船強奪班は船着き場へと向かう。
「かなりの人数だな」
「胴を狙っている参加者はいるのでしょうか」
 正装に着替えたロニとミヤサが椅子二つ分を空けて座席につく。
「かなりの人数だな」
「五十、いえもっと増えそうですね」
 ザレムと星野ハナは隣接した座席へと腰かける。
 ザレムは騎士の正装として敢えて戦場の姿だ。但し剣は保持していない。
 星野ハナは太腿の付け根までスリットが入った大胆チャイナドレス姿である。その女性らしさで周囲の男性陣を惑わす。
 開始までに百名前後の参加者が会場に集った。
「皆様、よくぞお越しになられました――」
 司会が進行を開始。様々な品が競りにかけられていく。終局に近づいた頃、黄金胴の上半身が舞台の中央へ運ばれる。
 会場内のそこかしこでざわめいた。司会によって高純度の黄金製であることが説明されてから競りが始まる。
「六百万」
 星野ハナが三百から始まった競りの金額をいきなり引き上げた。
「千八百万」
 隣に座っていたザレムがさらに値を吊り上げる。「綺麗だから譲らないよ、あれ」そう星野ハナがザレムに語るようにして周囲に宣言した。
「二千万」
 手を挙げたロニも負けてはいない。仲間達の様子を覗う。次にミヤサが「二千二百万」をコール。まもなく、オークション班以外の人物が黄金胴に興味を示した。
「三千万」
 その人物はスーツにシルクハット姿。片眼鏡に杖を持つ白髭の紳士である。表情こそ微笑んでいたが、目の輝きはそうではなかった。
「オホホホ、誰であろうと勝ちは譲らないのですぅ!」
 高笑いした星野ハナが四千万を宣言。白髭の紳士も一千万上乗せ。二人の攻め合いが続いて、ついに一億の大台に。
 白髭の紳士の入札はここまで。
「ごめんあそばせ、オホホホ」
 星野ハナの勝利が確定する。競売は二軒残っていたが別室へと向かう。その際にはザレムも同行した。
 ミヤサは白髭の紳士の動向に注視。ロニは星野ハナとザレムが入った別室を廊下で監視しつつ、無線で別班の仲間と連絡をとる。
「鳥は鳴いた」
 ロニは暗号を呟いた。


「こちらも鳥が鳴いたようです」
 無線を受けた夜桜奏音が同班の仲間に合図をだす。船着き場の警備番達を倒して、使えないよう殆どの小舟の底に穴を空けておく。
 ルーネとラジェンドラは蹲る警備番達を縛って待機小屋へと放り込んだ。
 小舟を使わないと乗船できないので忘れ物を取りに戻ったように見せかける作戦は変更。ただ発砲等を避けて静かにことを運ぶ点に関してはそのままにする。
 一艘だけ残した小舟に乗って帆船へと向かう。警備番が着ていた外套で変装しつつ、ばれずに乗り込んだ。
 夜桜奏音は生命感知で甲板上の敵を把握。班の三人は示し合わせて動く。
「抵抗しないなら武器を床に置いて蹴っ飛ばせ、余計なことをしたら撃つ」
 ラジェンドラが警備番に銃を突きつけて降参を促す。実際には撃たずに殴打で気絶させていく。
「隠れていたのはわかっています」
 ルーネのホーリーライトが船内へ逃げようとした警備番の背中に命中。無抵抗になったところで縛りあげて小部屋に転がす。
 甲板の敵を一掃したところで船内へ。途中まで大事にせず倒しながら進めたが、船倉ではそうはいかなかった。一般客を助けるために強硬な行動が必要だからである。積まれた大樽と壁の隙間に隠れながら様子を窺う。
「あの中に覚醒者が混ざっているはずだ」
 ラジェンドラは誰がそうなのか見当をつけた。
「最初の攻撃と、その後の目眩ましは任せてもらえますか?」
 夜桜奏音が胸元から符を取りだす。
「補助は任せて下さい。それとホーリーライトもまだたくさん残っています」
 ルーネは手にしていた杖をわずかに掲げて穏やかに笑う。
 警備番十一名が一般客を閉じ込めた部屋前に並べたテーブルや椅子でくつろいでいる。賭け事での諍いが起こり、何名かが掴み合ったところでハンター達は仕掛けた。
 夜桜奏音が宙に投げた符が変じる。落雷となって警備番三名を貫いたのは風雷陣だ。
 その直後に小気味よい銃撃音が鳴り響いた。ラジェンドラの撃つデリンジャーの銃弾が警備番の手足を撃ち抜く。
 さらにルーネのホーリーライトが船倉内を輝かせる。衝撃を受けた警備番が床へと倒れ込んだ。
 多くの相手は一撃で気絶するか、戦意を失った。または身動きできないところまでの大怪我を負う。
 しかし覚醒者は別であった。怯えた味方を盾にしてやり過ごし、その間に覚醒。両手にナイフを握った敵覚醒者が俊敏な動きで接近戦を仕掛けてくる。
 ルーネのプロテクションによって輝いたラジェンドラが防戦。盾を押しつけることによって敵覚醒者の動きを止めた。更に夜桜奏音が桜幕符で敵覚醒者の視界を奪う。相手が怯んだところで銃撃と光条で攻撃。敵覚醒者の戦意を失わせる。
「みなさん、大丈夫でしょうか」
「すぐに船をだします。帆を張るのを手伝ってくれませんか?」
 敵覚醒者から鍵を手に入れた夜桜奏音とルーネが扉を開く。閉じ込められていた一般客に協力を求めて出航の準備を開始した。
「やはりここからでは無理のようだな」
 甲板にあがったラジェンドラが無線で連絡を取ろうとするものの届かない。オークション班を信じて出航準備を手伝うのだった。


 星野ハナがオークション運営に落札代金を支払う。黄金胴の上半身は船で運んでもらう前にザレムが試着を希望した。
 それらが済んだ後、木箱に仕舞われた黄金胴の上半身は係員によって蓋が釘で打ちつけられる。
 そして晩餐会に出席した。
「よい品を手に入れたようだな」
「わたしたちも狙っていたんですよ」
 ロニとミヤサが演技で星野ハナとザレムの落札を祝福する。
 ミヤサがグラスの葡萄酒を飲むふりをした。とても酒精が強く、主催者側が参加客を酔わせたいのがよくわかる。
「未成年ですから」
 ザレムは酒を断りつつ周囲の会話に耳をそばだてた。
 浮かれている者、落ち込んでいる者。参加客の態度は様々だが晩餐会に興じていることは確かだ。
 ミヤサが最初に場を離れて、星野ハナ、ザレム、ロニと続く。
 ミヤサと星野ハナは取引が行われた小部屋へ。主催者側の者達が現金を別室へ移す前に動く。全員を気絶させて支払った分の金貨が詰まった革袋の奪取に成功する。
 二人はこっそりと屋敷から星明かりの野外へ。森の中の脱出経路を駆けたが警備番と遭遇することはなかった。先行したロニとザレムがすでに片付けていたからだ。おかげで磯へと辿り着ける。
「黄金の胴はこの通りだ」
 目的の黄金胴はザレムがこっそりと着込んでいた。木箱に仕舞ったのは偽物である。
「さすがに勘づかれたか」
 岩場へ隠したボートへ乗り込もうとした頃に警備番一名が現れた。その動きから覚醒者だと判断したロニは時間を優先して本格的な戦いを避ける。ジャッジメントによる光杭で敵覚醒者を足止めした。
 四名が乗り込んだボートが沖を目指す。
「悔しかったらおってきなさいですぅ」
 星野ハナは波打ち際の敵覚醒者をからかう。ロニがジャッジメントを繰り返して敵覚醒者を近寄らせなかった。
 帆船強奪班が小舟を壊してくれたおかげで孤島からの追っ手はなし。また帆船も乗っ取りが済んでいる。ボートが着いた直後に帆船は出航。停泊中の他帆船に数発ずつ砲弾を撃ち込んでから孤島の沖を離れた。
「この彫金はすごいな」
 ラジェンドラは興味と退屈しのぎにオークション目録を持ち帰る。暇なときに眺めて時間を潰したのだった。


 一行はマールの城へ出向いて報告を行う。
「そのような特徴の白髭の紳士には心当たりがありますの――」
 ミリアによれば白髭の紳士は『ボリウ・ウスタ』なる人物かも知れないという。先代領主の頃に何度か取引をした商人だった。
「あの者ならば黄金の鎧を城から持ちだす策略も立てられたはず。ですがわからないのは、何故闇のオークションで手に入れようとしていたのかですの。自分が盗ませたのなら、そのような真似をする必要はありませんの」
 ともあれ黄金胴の上半身が取り戻せたことを喜ぶミリアであった。

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MVP一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディスka0551
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズールka0878
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナka5852

重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

  • ルーネ・ルナ(ka6244
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 仕事が丁寧
    花(ka6246
    鬼|42才|男性|疾影士
  • “我らに勝利を”
    ラジェンドラ(ka6353
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/17 22:48:12
アイコン 相談卓・盗品どうしよう
星野 ハナ(ka5852
人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/06/18 20:22:40