• 詩天

【詩天】『蟹尽し図』

マスター:君矢

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/06/22 22:00
完成日
2016/07/01 16:51

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「スケッチ旅行? エトファリカ連邦に?」
 ルイーズ・ミュンターは出された紅茶で口を潤してから聞き返した。
「ええ、そうです。ぜひ、ミュンター女史に東方へスケッチ旅行に行っていただいて風景画を描いていただきたいのです」
 と、商人は言った。
 ルイーズはピースホライズンで少しばかり名前の売れている女流肖像画家だった。今日は仕事の依頼を受けて商人の屋敷を訪れていた。
 商人の妻は体が弱くて遠くに出かけることが出来ないので各地の風景画を集め、家族で見たことのない土地をあれこれ想像して楽しんでいるのだという。
「妻がエトファリカ連邦を見てみたいといいまして、風景画や風俗画を探したのですが妻が気に入るものがなかなか無いのです」
 無いなら気に入った画家に描かせればいいじゃないか。ということでルイーズに白羽の矢が立ったらしい。
「しかし私はあまり……」
 ルイーズが得意なのは肖像画だ。風景はその背景に描くだけである。それに肖像画でないなら好き勝手に描きたい。
「あなたは頻繁にスケッチ旅行に行かれるとか。慣れない土地に行くのですから旅になれている方の方がいい。東方となればハンターの護衛も必要でしょう。費用は当方で出します。全額です」
 全額という単語にルイーズの頭の中のあれやこれやの言い訳は飛んだ。
「ぜひ、行かせてもらうわ」




 ルイーズは、エトファリカ連邦の中でも詩天と呼ばれる土地を旅していた。せっかく東方を旅するのだから、なるべく西方の人間が少ない場所で、風俗や習慣をスケッチに収めたいと思って天ノ都から移動してきたのだ。
 詩天は気候が穏やかで、のんびりした旅行をするには良い場所だった。しかし、お家騒動があったためか復興の具合は遅く、まだ治安が悪い。ハンターの護衛無しで歩き回るには不安を感じたため、ルイーズは護衛と共に行動していた。
「みんな生き生きと頑張っているわね」
 必死に復興を続けている詩天の人々を前にしてルイーズはスケッチブックを手に観察していた。今度、個展を開くときは東方の人々を主題にするのもいいかもしれない。
 次は、どんな場面をスケッチに収めようか。道の脇に立っている石像も、荷を引いて道をいく人々も、道端ではしゃいでいる子供たちの遊びも、目に映る色々な物が珍しく次々とスケッチブックに写生画が溜まって行った。

 興味引かれるままに詩天を散策していたので、疲れてしまった。ちょうど、茶屋があったので休憩することになった。
 ルイーズは、お団子を観察しながら茶屋の店主に「この辺りに面白い場所はないかしら」と聞き込みをしていた。
「面白い場所、でございますか……。面白いと言えるような場所は、その、ないと思いますが……」
 店主は歯切れが悪い。
「どうしたのかしら? 何か困りごとなら言ってごらんなさいよ。手助けできるかもしれないわよ?」
 ルイーズが勝手な事を言う。
「おい、あなたの護衛が仕事だ。危ない事に首を突っ込まれては困る」
 護衛のハンターたちが厄介ごとを引き受けそうなルイーズを止めようとする。
「困っている人たちを放って置けないでしょう」
 言う事は、もっともだが、面白そうな予感にワクワクしているのが顔に出ていた。
「そういう事だから、教えて頂戴よ。助けてあげられるかも」
 重ねてルイーズは店主を促した。
「はぁ、旅のお方に申し上げるのもなんですが……」
 店主の説明によるとここから少し歩いた場所に小さな祠があるという。
 これといって特徴のない祠だが住人が掃除や手入れをしていて、子供たちは祠の広場で遊んでいるという。
 このところ、その祠の広場に化け蟹が出没するようになって困ってしまっているらしい。
「……」
 ルイーズには、彼女の求めている面白い風景とは違うが別の描き留めるべき題材に出会えるかもしれないという思いが芽生えていた。化け蟹って面白そう!
「それは……、困るわね……」
 とルイーズは真面目そうに少し考えたのちに、護衛役のハンター達に行ってみましょうと提案した。困っている人を放置しては置けないから、とワクワクとした表情で。



 祠にやってくると化け蟹がいた。
 カニ、カニ、カニ。カニ、カニ、カニ、カニ……。大小さまざまなカニが広場にいっぱいいた。
 妖怪の様なカニはハサミを天に向けてシャキンッ、シャキンッ、と鳴らしている。
 胴体の高さが1メートルはあるだろうか。ハサミの大きさも胴体に相応しい立派な大きさだ。細い木ならば簡単に両断できそうだ。それが二体。
 周囲には小ガ二がやはり、ハサミをシャキンッ、シャキンッ、と戦意高く鳴らしていた。
 小さいカニにも大きいカニにも頭部と思わしき部分から一様に老人の様な長い髭が生えていた。
「皆さん! よろしくお願い!」
 ルイーズは一歩後ろに下がる。
 ハンター達は言われるまでもない、と武器を手に前へ出て行く。
 ルイーズは、下がると荷物を置いてスケッチブックを取り出し木炭を握る。
「モデルをお願いね!」
 とルイーズはワクワクしている。

リプレイ本文

「カーニーカニカニカニー♪ 食うぜじゃーん♪ たらふくじゃーんじゃじゃーん♪」
 まるごとぜんらにゴーグルと浮き輪を身に着けて、片手にスコップ。全力海スタイルでGon=Bee(ka1587)は「イエーイ!」と広場に突入した。反対の手には、近所で借りた鍋が太陽の光を浴びて鈍く光っていた。蟹が食べられると信じての行動だった。
「おお、こりゃスゲー! 蟹じゃん!」
「……あー、……えぇ、蟹…デスね。えぇ。紛れもなく蟹デス」
 Gonが叫んでいる後ろから、Kuro=Bee(ka6360)は広場を覗き込みながらボソボソ呟いた。黒魔導士になりたいKuroはこの瞬間も本を読むのに集中していた。視線は魔導書に戻る。あれ、どこまで読んだっけ?
「蟹って美味しいんだよね。楽しみだー」
 とれっ、とれっ、ぴっち、ぴっち、蟹料理~。と歌いながら森育ちのHachi=Bee(ka2450)が期待に目を輝かせていた。
 広場でシャキン、シャキンとハサミを空に突き上げている獰猛な化け蟹たちもハンター達にとっては美味しそうな食材でしかなかった。
「わぁーみんな張り切ってるんだy……Zzz……」
 広場に入ってきたエフィルロス・リンド(ka0450)は半部寝ながら呟いた。

「蟹じゃん……食べ放題なんてレベルじゃないじゃん?」
 視界一杯の蟹、想像していたよりも大量の蟹にGonは信じられない……と呆然とし、ついでカービンを両手で構える。蟹で埋め尽くされている広場に向かって、弾丸をばら撒いた。
「食える蟹は蟹しゃぶじゃん!! 食えない蟹は、よく下味付けて蟹鍋じゃん!!」
 Gonは狙いもつけずに弾丸をばら撒いているが、広場を埋め尽くす勢いの小蟹たちによく当たる。
「あー……、この蟹……本当に食べられるんデスかね」
 言いつつKuroは「……私も興味ありマス」とどんな風に蟹を食べようか考えていた。近寄ってくる小蟹を杖で弾き飛ばしている。
「みなさん! 蟹もいいけど、ポーズ! ポーズとってください! カッコいいところを一つ!」
 カニィ! と叫んでいるハンター達に向かって、画家のルイーズ・ミュンターが木炭を握りしめ叫ぶ。
「あー、ポーズと言われても……、黒魔導士なので、えぇ、まぁ……程々に頑張りマスよ」
 画家の身も蓋もない注文に、Kuroが魔導書から顔を上げずに返事をした。
「クロさんも後衛だね、がんばろうね。前の人達が怪我しないようにうまく協力し合いたいねー。口とか切っちゃったら蟹の美味しさ半減だもんね。」
 HachiがKuroの隣に立って弓を構え話しかける。
「あはー、メンバーの個性がつよつよだねぇ……」
 広場に突入する仲間を見て苦笑するのは、ルイーズ・ホーナル(ka0596)。顔合わせの自己紹介時に画家と名前が一緒であることについて彼女は「名前が一緒だからって依頼受けたら愉快なことになっちゃったねー? わかりずらかったらシャチョーでいいよ!」と言っていた。
「カニ鍋楽しみなのです! 私もたくさんカニさんを手に入れるのでs……Zzz……、私も頑張るんだy……Zzz……」
 蟹が食べられると聞いて参加したエフィルロスは、頑張ると決意を表明しつつ頭は船をこいでいる。


「まったくGonちゃんったら食い意地が張ってるんだから」
 腰を支点にして太ももを交差させるようにスッと歩き入ってきたNon=Bee(ka1604)は綺麗にターンを決めると腰に手をやりポーズを決める。
「のんさん前に出るんだーかっこいいーがんばれー」
 華麗に歩くNonにHachiが声援を送る。
 Hachiは「むん!」と弓を引き絞りNonの行く手を塞ぐ小蟹を制圧射撃で潰していく。
 仕事に真面目なタイプと自認しているNonは依頼人の画家の要求に全力で答えることにした。
「モデルの仕事なんてとってもあたし向きだし任せてちょうだい。さあ! どこからでも描いてちょうだい!!」
 昇竜の刺繍が施されたチャイナドレスを脱ぎ捨てるときわどいビキニアーマーに包まれたしなやかな肉体美が現れた。
「おお! 東方で美しい肉体美に出会えるとは!」
 画家はNonから視線を逸らさないで夢中になって木炭を走らせる。
「鍋もいいけどその前にやることはやっておかないといかんな!」
 機導師のルイーズは銃を構えて、小蟹を一匹づつ丁寧に潰していく。
「沢山いる! 大量だー。全部食べられるかな?」
 Hachiが、甲羅にお酒いれて飲んでみたいー。蟹のお味噌とお酒! きっと合うよ! と、目を輝かせて目の前の食材を見つめていた。
「悪いカニさんは倒すのでs……Zzz……」
 エフィルロスは眠たそうに眼をこすりつつ、小蟹を倒す仲間たちをヒールで援護していった。
「……あー、と、……小さいのはぶん殴ればいいデスか? 大きいのは……あー……皆さんお願いシマス。私、本が読みたいデス」
 Kuroはちょこまか動く小蟹に向かって集中し、マジックアローを放つ。
「Kuroさん! そのポーズいいですね! そのままで!」
 画家が魔法を使ったKuroに動かないように注文をつける。
「もういいですか、私、本が読みたいです……」
 腕もプルプルしてきて辛いし、ジッとしていることも辛い。せめて本を読みたいと訴えると画家から「目線も動かさないで」と怖い声で注意される。
「早くして……ください……」
 満足するまで、Kuroをモデルにデッサンすると今度は、蟹を間近で観察したい! と画家は蟹のただ中に飛び出していきそうになる。それをHachiが押しとどめた。
 あんなに美味しそうなものがいっぱいいるんだもの仕方ないね。誰だって飛び出したくなる。とHachiは画家の行動を肯定する。でも、危ないのでHachiが画家の前に出て注意した。
「まずは全体を見渡すのが大事ですよ」
 絵を描くときの初歩を指摘する。あ、この台詞秘書っぽくない? とHachi。
「そうでした。私ってば、そんな基本も忘れるくらい興奮してしまって」
 お礼とばかりにHachiの手を握ると、画家は立ち止まりジッと広場の観察を始めた。
「おっと、危ないぞ!」
 ルイーズは前衛をすり抜けて画家に近づいてきた小蟹めがけてエレクトリックショックを放つ。
 画家は、観察していて足元の危機に気が付かなかった。
「ここから先は出ないほうがいi……Zzz……」
 画家さんの護衛が仕事だからとエフィルロスも眠そうに眼をこすりながら、画家を止めた。
 小蟹たちはビリビリと痺れて動けない。
「観察するのにちょうどいいですね!」
 動けない蟹をひょいと持ち上げる。ひっくりかえしたり、足を曲げ伸ばしして構造を観察している。
「大漁大漁!」
 ルイーズは、画家の注意がそれている間に近寄ってくる蟹をどんどん雷撃で麻痺させていった。
 画家は観察しきったのか飽きたのか、蟹をぽいっと投げ捨てると今度は大蟹に視線を向ける。
「どなたか、大蟹持ち上げてください! カッコよく!」
 画家は腕を振り上げ、楽しそうにお願いをした。行うハンターの身の安全は考えていない様子だ。
「頼まれたからには全力でやるじゃん! あ、あとで一緒にカニ食べるじゃん!!」
「カニを持ち上げるのね、オーケーよ! モデルとして仕事を全うするわ!」
 大蟹を指定されてGonとNonは大蟹に突撃する。
 小蟹を蹴散らし接近する二人に、大蟹たちがシャキン、シャキンとハサミで威嚇しながら立ちふさがった。
「プロテクションをかけr……Zzz……」
 エフィルロスが大蟹に立ち向かう二人にプロテクションを使用しようとするが、カクンと頭を倒して起き上がらない。魔法を使用する途中で、寝落ちしてしまったらしい。
 ルイーズが近寄って様子を窺うと気持ちよさそうな寝息が聞こえる。
「寝ちゃダメだぞ!」
 とルイーズがエフィルロスを揺さぶると、「ハッ」と目を開けた。
「寝てないよ? 面白い事をいうのでs……Zzz……」
 言うそばから、エフィルロスの目は閉じてしまいそうだ。
 Nonは蟹の胴体をがっちりと掴んだ。足と腰にグッと力を入れると全身の力を込めて蟹を持ち上げる。相当力を込めているらしく腕には太く血管が浮き出ていた。
 蟹は解放を求めてバタバタ暴れて、Nonにハサミを振るっているが、姿勢を崩さずに体勢をキープする。
「ああこの痛みこそ芸術なのね、わかるわ。そう、あたしは今カニと一体になってる――!」
「ああ! 神話に出てきそうなモチーフをスケッチできるなんて、なんという幸運!」
 画家も興奮から叫んでいる。画家のスケッチの手は高速で動き、スケッチ帳は真っ黒に描き込まれ、まだ描き足りないのかページをめくって角度を変えて何枚も描いていた。
「……あー、……Nonさん、あの」
「やだ! Kuroちゃんあんまり見ないで、あたし貧乳なのよぉ!」
「……いえ、何でもありマセン……」
 Nonに何かを言いたそうなKuroだったが、結局言わずに魔導書に視線を戻してしまった。
 Nonは防御障壁で身を守ろうとするが、蟹も黙っていない。地面に戻ろうとハサミを交互に突き刺してNonを切りつける。防御障壁がガラスが割れるように煌めいて霧散した。Nonの胸板から一筋の血が飛び散る。
「あっちょっと、そこはだめ、ああん!」
「私だってちゃんと出来るのd……Zzz……」
 Nonが負傷したのを見て、エフィルロスがヒールをかける。今度は、眠らずにしっかりと最後まで魔法を唱えることが出来ていた。
 Nonが大蟹を持ち上げている間もGonもまた大蟹と対決していた。
 鋭い刃のハサミを避けていくGon。
「Gonさん、蟹が当た、……あー……、遅かったデスね。すみマセン」
 Kuroが振り下ろされるハサミを見て警告を出すが一足遅かった。
 Gonは全てを避け切ることは出来ずまるごとぜんらは切り刻まれていく。その下から見える白い肌。
「防具、装備してないの!?」
 遠くから、ルイーズのツッコミが飛んでくる。
「着てないじゃん! 痛いじゃん!」
 悲鳴を上げながらGonはハサミに両断されないように腕に力を込めて踏ん張っている。
「あー! Gonさん! そのまま! そのままで!」
 画家からの無慈悲な依頼にも懸命に答えるGon。
「あ、あとどれくらいじゃ……ん?」
「もう少し!」
 力のこもった腕の筋肉がいいわ~と言いながら画家はスケッチを進める。
「あ! あぶなーi……Zzz……」
 Gonの危機にエフィルロスのヒールが飛ぶ。戦闘中だからちゃんと回復させるよ! と本人は宣言していたが、何回か寝落ちしてヒールをかけこそこねていた。そして、寝て地面に突っ伏しているところを、画家に「気持ちよさそうだね~」と観察されてしっかりとスケッチに残されている。
 ルイーズは半透明の硬貨の様なエネルギーを撃ち込んでいく硬貨砲で、小蟹を退治していた。
 画家が魔法を撃つところをよく見せてほしいと、注文してくる。
「ふふふ、荘厳に描くのだぞ? さぁ、存分に描きたまえ!」
 画家が見やすいようにルイーズはポーズを工夫する。
「……食べたがってる方がいるので、じっとしていただきたいのデスがいいデスか?」
 Kuroがハサミの攻撃を受けない位置をキープしつつ、大蟹にマジックアローを撃ち込み、生命力を削いでいく。
「もっと近くで大蟹見てきます!」
 画家がスケッチブック片手に戦場に走り出した。
「ルイーズさん、危ないのでs……Zzz……。ルイーズさんはちゃんと護るのでs……Zzz……」
 大蟹の泡が飛んでくるのを見て、エフィルロスが注意を発する。
「女の子が無理するものじゃないわよ?」
 Nonがルイーズを身を挺して庇った。「それに」と続ける、その絵を描く腕は、貴女だけのものでしょう大事になさいな、と。
 画家は、逞しい肉体を眼前に見ながら「は、はい……」と返事をした。
「……少しは周りを見て欲しいものデスね……」
 Kuroがため息をつきつつ、泡を破壊した。泡はパリンとシャボン玉のようにはじけて消える。
「代わりにHachi君が大蟹を倒してくれるそうだぞ? そうしたら、存分に描くといい!」
 ルイーズが画家の肩を掴んで引き留める。側にいたHachiが大蟹に威嚇射撃をしているのを見て、画家の注意を逸らす。
「仕方がないですね……。Hachiさん! 死体でもいいです。近くで見たいです!」
 画家が、渋々後ろに下がった。
「しょうがないなー。ってごんさーん、なんでそこにいるの? ブレちゃうよ?」
 前に出つつクローズコンバットを使って、大蟹の攻撃をかわしていく。大蟹に挟まれているGonを射ってしまわないように気を付けつつ大蟹に制圧射撃を試みた。

 大蟹に挟まれたりしながら攻撃していたGonは気が付いた。この蟹はデカすぎて怪しいと。
「ッ! この蟹大きすぎるじゃん! きっとヤドカリじゃん!! 偽物じゃん!! こいつらから倒すじゃん!!」
 騙されていた! と激怒したGonは蟹を食べる邪魔をするものは許さない! と距離をとりカービンで射撃して大蟹を地に沈めた。


 ルイーズは、祠に近づいて掃除を始めた。蟹たちがいて近隣の住民が出来なかった分の埃を払う。
 背後を振り返って、蟹鍋の準備をしている仲間たちを見た。
 雑魔化していた蟹の鍋に、なんかカオスそうだなと思う。遠巻きにしてみている方がいいだろうか、とツッコミに疲れた顔をしつつ遠い目をした。

「みんなで蟹食べるじゃん!」
 Gonが鍋にお湯を沸かして、蟹鍋の準備万端に言う。
「手伝いまs……Zzz……」
 寝ぼけつつも、エフィルロスはしっかりと小蟹を集めて、鍋を手伝っていた。
「蟹鍋だ!」
 Hachiが秘書のように人数分のお椀を並べて、食べやすいようにセッティングする。
「やっぱり、蟹にはお酒よね」
 ファイアスローワーで、残りの小蟹を片付けてきたNonがお酒を片手に鍋の前に座る。
「焼き蟹も美味しいわよね」
 Nonはこんがりといい具合の焼き蟹を鍋の横に積み上げた。
「カニ味噌にはお酢なのでs……Zzz……」
 エフィルロスは、蟹鍋を手伝いながら、胴体を割って蟹味噌を堪能していた。
「あ、蟹消えないよね? 消えそうなら消える前に食べなきゃ!!」
 Hachiが重大な事を思い出した、という風に急いで食べようと仲間を呼んだ。


 鍋を囲んで、楽しそうに蟹を食べているハンター達の輪から抜け出して、画家のルイーズは見て感じた印象を忘れないうちにと、スケッチブックに絵を描き込んでいく。
 のちに、これら一連のスケッチを活かして大作を描き上げることになる。
 タイトルは『蟹尽し図』

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 完全少女
    エフィルロス・リンド(ka0450
    エルフ|15才|女性|聖導士
  • ホーナルキャラバン店長
    ルイーズ・ホーナル(ka0596
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • Beeの一族
    Gon=Bee(ka1587
    人間(紅)|35才|男性|疾影士
  • Beeの一族
    Non=Bee(ka1604
    ドワーフ|25才|男性|機導師
  • うっかり
    Hachi=Bee(ka2450
    エルフ|24才|女性|猟撃士
  • Beeの一族
    Kuro=Bee(ka6360
    エルフ|26才|男性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/21 01:35:33
アイコン 【相談】かに○楽CW支店
Gon=Bee(ka1587
人間(クリムゾンウェスト)|35才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/06/21 20:00:22