天井に張り付く悪夢

マスター:尾仲ヒエル

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2016/06/24 22:00
完成日
2016/07/02 14:14

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 晴れた日には、遠く帝都を望むことができる田舎町。
 そんな町の空き家に、しばらく前から子供たちがひっそりと住み着いていた。

「ねえ、やっぱりやめようよ」
「見つかったら危ないよ」
 妹のサーシャは6歳。兄のミーシャは8歳。
 揃って俺の服を引っ張る金髪の兄妹は、顔立ちも、大人しい性格もよく似ていた。
「もう少しで金が貯まるんだ。それに、この家の奴らは留守だから大丈夫だって」
 さびれた町の外れに別荘を建てた酔狂な金持ちは、いつも決まった日程で村を訪れていた。
 2人には言っていないが、この別荘には前に忍び込んだことがある。
 食料や金目の物を目立たないようにいただいたが、気付かれている様子はない。
 アジトには腹をすかせたチビたちが待っている。
 有り余ってる奴らから、必要な物を少しもらっているだけだ。
「サーシャ。ここで見張ってろ」
「誰か来たらドアを叩くんだよね」
「そうだ。あと、もし俺たちが捕まったり、危ない目にあったりしたら、ハンターオフィスに知らせるんだ。この町の大人じゃ役に立たないからな」
「わかった」
 こくりと頷くサーシャを庭に残して、ミーシャと俺は別荘の中に忍び込んだ。
 入った途端、何か違和感を覚える。
 しんと静まり返った屋敷の中では、悪趣味ながらも整頓されていた家具が散乱していた。
 乱れた絨毯の上には、大きな黒い染み。
 どこからか、鼻をつく甘ったるいような、胸の悪くなる臭いが漂ってくる。
「まずい。出るぞ」
 すぐに戻ろうとしたが、間に合わなかった。
 階段の上から、女が音もなく現れたからだ。
「あらまあ。いらっしゃい。可愛らしいお客さまだこと」
 全身黒づくめの服を着た女は、御機嫌な様子で腕を広げる。
「金と銀の男の子ね。素敵だわ。今日はとってもいい日ね」
 女の後ろで「何か」が動いた。
 大きな犬……いや、四つん這いの人間……?
 それは悪夢の中でしか見たことがないような生き物だった。
 「何か」はぬらぬらした体を揺らしながら、こちらに向かって口をぐぱりと開き、獣のような牙を剥き出しにした。
 黒光りする体に貼り付いているのは洋服の残骸だろうか。
 目を凝らそうとしてやめる。
 「何か」が「何だったのか」なんて考えたくなかったし、そんなことどうでもよかった。
 窓の外で震えているサーシャに、必死で合図を送る。逃げろ。早く逃げろって。
「シャア!」
 鳴き声と共に、「何か」の口から緑色の液体が吐き出され、ジュウッと音がして床から煙が上がった。
「あらあら。お客さまの前でお行儀が悪いでしょう」
 軽くたしなめられ、合計7匹の「何か」が、女の後ろでうごめく。
 その時、何の前触れもなく、その内の一匹が大きくジャンプして天井に張りついた。
 後ろでミーシャが小さく悲鳴を上げる。
 ああ、全部夢だったら良かったのに。
「ところで、どうして顔を隠しているの? そんなに綺麗な顔なのに」
 首を傾げる女の言葉にぞっとする。
 女に見られているだけで、まるで肉食獣に舌なめずりされているような気分になった。
「……アンタみたいな奴に目をつけられないように」
「面白い子ね」
 何が楽しいのか機嫌の良さそうな女に、駄目元で切り出す。
「なあ。俺たちは何も見てない。見逃してくれないか」
 すると女は意外にも興味を示した。
「そうね。じゃあ、ゲームをしましょう」
 女が、床に転がっていた派手な飾りのついた砂時計をつまみ上げる。
「この砂が落ちきるまでに隠れて頂戴。それからもう一度砂が落ちきるまでに、貴方たちが逃げきれたら見逃してあげる」
 嘘かもしれなかったが、このまま2人共殺されるよりはマシだった。
「……先に俺が隠れる。1人ずつ探したほうが盛り上がるだろ?」
「あら。時間稼ぎ? お利巧ね。……いいわ。貴方のこと気に入ってしまったから、特別よ」
 ベールの下から覗く赤い唇が微笑み、砂時計がひっくり返される。
「さあ、ゲームスタートよ」

●助けて
 少女は走っていた。
 乱暴に見えるけど、いつも守ってくれて、食べ物を分けてくれるレムお兄ちゃん。
 そして、いつも優しいミーシャお兄ちゃん。 
 走る少女の頬に、涙があとからあとからこぼれ落ちる。
 幼い少女にも、状況が絶望的であることは、おぼろげながら理解できていた。
「助けを呼びに行くの。助けを」
 何も考えないよう呟き続けながら、少女はハンターオフィスに飛び込んだ。

リプレイ本文

 別荘の屋根の上に腰かける女を、ハンターたちが見上げる。
 女の膝の上には、少年の体が力なく横たわっていた。
「あら。早かったわね」
 ベールで隠れた顔を向けると、女はハンターたちにそう声をかけた。
 超聴覚を使ってレムの心音を探っていたテンシ・アガート(ka0589)が、ぽつりと呟く。
「間に合わなかった……」
 ぎゅっと口を引き結んだテンシは悔しさを隠し、女に尋ねる。
「俺の名前はテンシ・アガート。2人の少年の引き取りを頼まれたんだけど……もう1人はどこ?」
「中よ。ちょうど探し始めようとしたところに貴方たちが来たの。貴方たちとあの子たち、どちらが早く見つけられるかしら?」
 手にした砂時計をくるくると弄びながら答える女に、ヨルムガンド・D・アルバ(ka5168)が重ねて問いかけた。
「あの化け物の正体は、何……?」
 顔を隠すのは何かコンプレックスでもあるからだろうか。
 女の答えを待ちながら、ヨルムガンドは理由を探るように様子を窺うが、暗いベールの奥からは何も読み取れない。
「察しはついてるって顔だけど、確認しておきたいのかしら? そうよ。あの子たちはここに住んでいた人間で作ったの」
 その言葉に内心で沸き上がりそうになる怒りを抑え、誠堂 匠(ka2876)はつとめて冷静に呼びかけた。
「レム君を返してくれないか? 此方の目的は彼らの保護……渡してくれるなら、貴女は追わない」
「気持ちの良い響きの声ね。お願いを聞いてあげたくなっちゃいそう。……でもダメ。この子のこと、気に入っているんですもの。お利巧で優しくて、とっても綺麗なプラチナブロンドなのよ」
 女が答えている間に、鋭敏視覚を使った八原 篝(ka3104)の目が、レムの首筋に並ぶ小さな2つの穴をとらえる。
(あれは……噛まれた痕……?)
 少年の体を抱え直した女が、屋根の上に立ち上がる。
 その拍子に、女の腕の中から少年の片腕がだらりと落ちた。
 篝の脳裏に、ハンターオフィスに駆けこんできた少女の顔が浮かぶ。
 2人の少年の生存を祈り、涙を流していた幼い少女。
「その子を放しなさい」
 感情を高ぶらせた篝が女に銃口を向ける。
「あら大変。捕まっちゃうかしら」
 口元に手を当てた女は、篝の脅しをまるで本気にしていないようすで、クスクスと笑い声を零す。
 その指にはめられた指輪の宝石が、禍々しい血の赤に光った。
「おい。おまえの名は」
 歪虚への嫌悪も露わに尋ねたロニ・カルディス(ka0551)に、女は唇の端を吊り上げた。
「――モルガナ。さあ、そろそろゲーム再開といきましょう」
 その言葉と共に、砂時計が放り投げられる。
 かしゃん、と音を立てて砂が地面に散らばった瞬間、屋敷の中から急に騒々しい音が聞こえ始めた。
「ミーシャが!」
 ハンターたちが慌てて屋敷の中に向かう。
 最後にヨルムガンドが振り返ると、女の姿は忽然と消えていた。

●別荘内部 1階
「もう大丈夫よ! 今から迎えにいくから、そのまま隠れてなさい!」
 隠れているはずのミーシャに呼びかけて、篝と匠、テンシが2階に向かう。
 そしてその後ろを少し遅れて、テンシの連れてきたパルムがふよふよと追いかけていった。
 1階に残ったロニは、物陰に向けていた視線を頭上の死角に移した。
「こういう差し迫ったかくれんぼは、できれば遠慮したいところだが……」
「やだなあ……怖いなあ……」
 ロニの後ろに続くヨルムガンドの周囲には、いくつもの目玉の幻影が浮かび、ギョロギョロと辺りを見回している。
「その……いや、なんでもない」
 その目玉もなかなかの怖さだ。
 そう言いかけたロニだったが、ヨルムガンドが目玉に可愛らしい名前――リーゼロッテとかパメラとか――をつけて愛でている可能性に思い至り、なんともいえない顔で口をつぐんだ。
「開けるよ」
「ああ」
 1つ目の扉を開けると、荒らされた部屋が広がっていた。
「殺す……見つけ次第殺す……」
 砂色のオートマチックを手にしたヨルムガンドは、違和感に気が付けばすぐさま攻撃しようと直感視を使う。
 その時、倒れた椅子の向こうで何かが動いた。
「ミーシャ?」
 ロニの呼びかけに、黒い肌をぬらりと光らせて敵が顔を覗かせる。
「シャア!」
 敵が吐き出した緑色の液体を、素早く横に飛んでロニが避けた。
 じゅうっと床が焦げる臭いがして、白い煙が上がる。
「この……!」
 ヨルムガンドがオートマチックで敵の体を吹き飛ばすと、間髪入れず、大きく弧を描いたロニの大鎌が敵の首を刈り取った。
「エプロン……メイド服?」
 敵が霧散する前に、その体に張り付いた服をヨルムガンドが素早く確認する。
「メイドか……」
 軽く黙祷を捧げたロニは、ヨルムガンドと共に次の部屋に向かった。

 ガシャン!
 次の部屋の中から聞こえてきた音に、ヨルムガンドと目玉の幻影は、そっと扉の隙間から中を覗きこむ。
「……キッチン?」
 鍋や食器が並ぶ部屋の奥では、敵が黒い体をくねらせながら四つん這いで歩き回っていた。
「シェフか」
 元々は白かったであろう千切れた服を見つめ、ロニが呟く。
 合図と共に開かれた扉の影から、ヨルムガンドが銃弾を撃ち込む。
「ギィ!」
 肩を撃ち抜かれた敵は、体を強張らせて防御の姿勢をとった。
「自分から動きを止めてくれるとはな」
 そう言ったロニの体からまばゆい光の波動があふれ出す。
 それは衝撃波となって敵を襲い、敵は絶叫と共に光に呑み込まれた。
「ここにもいない……」
 キッチンの戸棚や物陰を確認していた2人は、1階の残りの部屋を見て回る。
 ここにはいるだろうと踏んだ最後の部屋の中にも、敵の姿はなかった。
「まずいな。残りは全部2階か」
 トランシーバーを手にしたロニが、2階の篝に連絡する。

●別荘内部 2階
「何か変な音がする。上のほう」
 テンシの言葉通り、2階に上がるとすぐに、廊下の天井に黒い影が張り付いているのが見えた。
「早速だね」
 匠が懐から何かを取り出し、目にもとまらぬ速さで投げつける。
「ギャ!」
 ビタンと床に落ちた敵の腕には、月の形をした手裏剣が深々と突き刺さっていた。
 廊下の奥に逃げようとする敵の頭を、篝が弾き飛ばす。
「まずは1体」
 ぐずぐずと溶けるように消えていく、元は人間だった黒い影。
「ドレスの切れ端のようなものが見えた。女性だと思う」
 豪華なレースからして、この別荘の持ち主だという商人の家族だろうか。
 人間だった頃は、この屋敷で幸せに暮らしていたのだろう。
(……すまない。それでも、今在る命のために――)
 心の中でそっと謝罪しながら、匠は手裏剣を拾い上げた。

 最初の部屋の扉の前では、テンシが懸命に集中していた。
 動物霊の力を借り、嗅覚を大幅に上昇させることで、隠れた少年の汗の匂いを感じ取ろうとしていているのだ。
 テンシの隣に大きな狼の幻影が現れると、扉の隙間の匂いを嗅ぐ仕草をして消える。
 強烈な腐臭の中で微かな匂いを探るテンシの首筋には、幾筋もの冷や汗が流れていた。
「匂いは……しない!」
「それなら遠慮はいらないな」
 テンシの背後を守るように立っていた匠が、先頭に立って扉を開く。
 途端、扉近くの天井にぶら下がって待ち構えていた敵が、ハンターたちに向かって鋭い爪を振り下ろした。
「想定済み!」
 その爪が届く前に、篝が素早くオートマチックの引き金を引く。
 パリン、と、爪が砕ける音が響いた。
「ギャ!?」
 攻撃を妨害された敵は慌てて床を蹴り、天井に張り付いて体を縮めた。
「天井に張り付こうが攻撃はできるんだから――行くよっ!」
 テンシの掛け声と共に、背後に控えていたパルムが飛び出す。
 魔力を纏ったパルムがテンシの肩を起点にジャンプし、天井の敵目がけて勢いよく突っ込んだ。
 バン! と弾けるような音と共に、敵は天井から転がり落ちる。
「逃がさないよ」
 立ち上がろうともがく敵を、匠が真っ二つに斬り捨てた。

 3つ目の部屋の前で、匂いを探っていたテンシが興奮したように振り返った。
「涙と汗の匂い! この部屋だと思う!」
 それを聞いた匠が、すぐに部屋の中に向かって声を掛ける。
「ミーシャ君! 俺達はハンターだ。助けに来た! 危ないから、近くに行くまで隠れたままでいるんだ」
 武器を構えたハンターたちが扉を開ける。
 部屋の中で何かが動き、ハンターたちの注意がそちらに向いた、その時。
 ハンターたちの背後で、じりじりと向かいの部屋の扉が開き始めていた。
 その扉の中から、ハンターたちの背中に向かって黒い影が飛びかかる。
 はっと振り返ったハンターたちの目の前で、敵の体が吹き飛んだ。
「吃驚した!」
 床の上でもがく敵に向かって、テンシが腕を振る。
 糸のような物がきらりと光り、特殊強化鋼で編まれたワイヤーが敵の体に絡みついた。
「とどめだよ」
 テンシがワイヤーを引くと、低いモーターの音が響き、敵の体が切り裂かれる。
 ほっと息を吐いたテンシが振り返ると、ヨルムガンドが廊下の端で銃を下ろしていた。
「ありがとう」
「いや……その。ああ」
 見つめられたヨルムガンドは目を逸らすと、落ち着かない様子で飴をボリボリと噛み砕きはじめた。

 一方、部屋に入った篝と匠は、もう一体の敵と交戦していた。
 篝が両手に持った2丁の銃で敵を撃つ。
 致命傷を浴びせるのではなく、防御の姿勢に入らせるのが狙いだ。
 狙い通り敵が体を丸める。
 硬化が解ける頃合いを見計らって、懐に入っていた匠が刀を振るった。
 僅かに青みを帯びた白銀色の刀身が、驚いたように口を開いた敵の顔と、執事がつけるような白襟を鏡のように映し出す。
 次の瞬間、その首は身体から刎ね飛ばされていた。
「あと1体か」
「ミーシャを探さなくちゃね」
 ハンターたちが、この部屋にいるはずの少年を探しはじめる。
「ミーシャ!」
 見つかった少年は、大きな柱時計の中で震えていた。
「大丈夫……? 怪我、してない?」
 時計の中から救い出された少年を安心させようと、ヨルムガンドが声を掛ける。
 嗚咽しながら頷く少年に、大きな怪我はないようだ。
「……怖かったろう、もう大丈夫だ」
 痛ましそうに匠がそっと頭を撫でると、ミーシャは震える声で呟いた。
「あいつらが探しにくる……きっと見つけられて、僕も殺されちゃう」
 天井に張り付く悪夢のような黒い影。
 身近な人間を目の前で殺され、不気味な化け物に追い立てられた少年は、ハンターたちに保護されてもなお、恐怖が抜けない様子だった。
「大丈夫よ。わたしたちはハンター。あんな奴らよりずっと強いの」
「ああ、そうだ」
 何かを思いついた様子の篝とロニが、目を見合わせて頷いた。

「シャアア!」
 廊下の端。
 ハンターたちに攻撃を受け、部屋の中からおびき出された最後の一体が、ハンターたちに向かって威嚇するような声を上げる。
 その声に身をすくめる少年の左右は、テンシとヨルムガンドがしっかりと固めている。
「見ているといい。これが『ハンター』だ」
 怯える少年の肩に手を置き、匠がささやいた。
 正ならざる者の行動を阻む鎮魂歌。
 もう二度と自分のように歪虚の犠牲になる者を生まないために。
 降り注ぐ朝日を思わせる声で朗々と歌い上げるロニの前で、敵は目に見えない力に押さえつけられているようにもがいている。
「派手にいくわよ」
 少年の悪夢を払うために。
 両手に拳銃を構えた篝が、後ろに飛んだ。
 丈の長いコートがたなびき、左右の銃から交互に銃声が響く。
「グアアァ!」
 胴体に大きな風穴を開けられ、最後の一体が霧散する。
 その様子をじっと見つめていた少年は、ぽかんとした顔で呟いた。
「……すごい」
 鮮やかな手際に恐怖も忘れた様子で、ミーシャはハンターたちを振り仰ぐ。
「ハンターって、すごいんだね!」
 真っ直ぐな賞賛を受け、ハンターたちは少し照れくさそうに微笑んだ。

●悪夢の終わり
 戦いを終えたハンターたちは、ハンターオフィスで今日の出来事を報告していた。
 人数や服装から考えて、ミーシャを襲った化け物は、別荘の持ち主である商人夫妻と使用人で間違いなさそうだ。
 喪服の女、モルガナについても報告を済ませたハンターたちが外に出ると、そこにはミーシャと孤児たちが立っていた。
 駆け寄ってきたミーシャが、重たげな布の袋を差し出す。
「助けてくれてありがとう。これ、少ないけど」
 じゃらり、と音を立てる袋の中には、硬貨がいっぱいにつまっている。
「受け取っちゃって大丈夫?」
 ハンターたちの顔に心配げな表情が浮かぶ。
「うん。僕たち、帝都に行きたくてお金を貯めてたんだ。でも、ハンターオフィスの人が送ってくれるって。レムも……生きてたらきっと、こうすると思う。だから、受け取って欲しい」
 妹の手をしっかりと握って言い切るミーシャの頬には、もう涙のあとはない。
 レムの代わりに年下の子供たちを守ると決めたらしい少年は、ぐっと大人びて見えた。
「何か困ったことがあったらオフィスに来るんだよ」
「ありがとう。僕……きっと、お兄さんやお姉さんたちみたいなハンターになるから!」
 物珍しい乗り物にきゃあきゃあと騒ぐ子供たちを落ち着かせながら、ミーシャたちが馬車に乗りこんでいく。
「またねー」
「ばいばい!」
「――またいつか!」
 馬車の後ろから小さな手を振る子供たちの姿が見えなくなるまで、ハンターたちは手を振り続けて見送った。

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重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 遥かなる未来
    テンシ・アガート(ka0589
    人間(蒼)|18才|男性|霊闘士
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士

  • ヨルムガンド(ka5168
    人間(紅)|22才|男性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】
ヨルムガンド(ka5168
人間(クリムゾンウェスト)|22才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/06/24 17:08:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/22 23:13:42