ゲスト
(ka0000)
魅惑のロリ巨乳女王様吸血鬼
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/08 19:00
- 完成日
- 2014/09/11 14:35
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ふわふわり。ゆらゆらり。
夜のステリアの町に、紅のドレスが揺れる。
月明かりに輝く金色の髪を覆うのはフリルたっぷりのボンネット。
幼げな顔と低い身長に反して、豊かな胸はドレスの胸元のレースを大きく押し上げる。
素足が歩むたびに、ぺたり、ぺたりと音を立て――、
「お嬢ちゃん、迷子かい?」
2人組で見回りをしていた自警団の青年の片方が声をかければ、くるりと少女は振り向いた。
唇がきゅっと弧を描き、ぱちりと瞬いた深紅の瞳はじっと青年達を見つめ――、
「お、お嬢ちゃん……いえ、お嬢様」
「おい待て! 彼女は私の恋人になってくれるかもしれない女性だ!」
「何を!? この少女趣味め! そういうのは年下の俺に譲れ!」
「お前も少女趣味だろうが! 1歳しか違わないわ!」
少女をうっとりとした目で見つめた後、言い合いからついに取っ組み合いの喧嘩に、そして――
「っ!」
「くうっ!」
突如近づいてきた少女に、2人は蹴られて石畳に転がった。
ニコニコ笑って少女は顔を踏む。くぐもった悲鳴。むしろ甘い声かもしれない。
やがて、吸血鬼の口付けが、交互に2人を襲う。
――翌日、2人は幸せそうに蕩けた顔で、首筋から血を流した重度の貧血状態で発見された。
「……貧血もなのですが、被害者2人は『どうしてあんなことをしてしまったんだ』と深い自己嫌悪に捉われていまして……何とか町のためだって説得して聞き出したのですけど」
街を代表して来た役人だという女性は、困ったように言う。
「おそらく、吸血鬼型のフェレライの仕業なのでしょうけれど……」
「まだ、『城』を作り配下として雑魔などを配置している段階ではないようですね。候補地を探すついでに、捕食……といったところですかね」
女性の言葉を、ハンターズソサエティの受付の青年が眼鏡を上げながら引き取った。
「恐らくは下位の、知性も高くない個体だと思います。ただ、それだけに見境なく人を襲う可能性があるし、どうも強力な魅了能力を持つようですから厄介ですね。出来るだけ早い討伐を……という依頼でいいですよね?」
「はい、お願いいたします」
振り向いた受付の青年に、女性が深く頷く。
「宜しくお願いします。ステリアの町に、平和を取り戻してくださいませ……!」
夜のステリアの町に、紅のドレスが揺れる。
月明かりに輝く金色の髪を覆うのはフリルたっぷりのボンネット。
幼げな顔と低い身長に反して、豊かな胸はドレスの胸元のレースを大きく押し上げる。
素足が歩むたびに、ぺたり、ぺたりと音を立て――、
「お嬢ちゃん、迷子かい?」
2人組で見回りをしていた自警団の青年の片方が声をかければ、くるりと少女は振り向いた。
唇がきゅっと弧を描き、ぱちりと瞬いた深紅の瞳はじっと青年達を見つめ――、
「お、お嬢ちゃん……いえ、お嬢様」
「おい待て! 彼女は私の恋人になってくれるかもしれない女性だ!」
「何を!? この少女趣味め! そういうのは年下の俺に譲れ!」
「お前も少女趣味だろうが! 1歳しか違わないわ!」
少女をうっとりとした目で見つめた後、言い合いからついに取っ組み合いの喧嘩に、そして――
「っ!」
「くうっ!」
突如近づいてきた少女に、2人は蹴られて石畳に転がった。
ニコニコ笑って少女は顔を踏む。くぐもった悲鳴。むしろ甘い声かもしれない。
やがて、吸血鬼の口付けが、交互に2人を襲う。
――翌日、2人は幸せそうに蕩けた顔で、首筋から血を流した重度の貧血状態で発見された。
「……貧血もなのですが、被害者2人は『どうしてあんなことをしてしまったんだ』と深い自己嫌悪に捉われていまして……何とか町のためだって説得して聞き出したのですけど」
街を代表して来た役人だという女性は、困ったように言う。
「おそらく、吸血鬼型のフェレライの仕業なのでしょうけれど……」
「まだ、『城』を作り配下として雑魔などを配置している段階ではないようですね。候補地を探すついでに、捕食……といったところですかね」
女性の言葉を、ハンターズソサエティの受付の青年が眼鏡を上げながら引き取った。
「恐らくは下位の、知性も高くない個体だと思います。ただ、それだけに見境なく人を襲う可能性があるし、どうも強力な魅了能力を持つようですから厄介ですね。出来るだけ早い討伐を……という依頼でいいですよね?」
「はい、お願いいたします」
振り向いた受付の青年に、女性が深く頷く。
「宜しくお願いします。ステリアの町に、平和を取り戻してくださいませ……!」
リプレイ本文
それは、吸血鬼の恐怖に怯える小さな町での物語。
「……あまり世の中の夜を騒がせないで頂きたいですね」
アミグダ・ロサ(ka0144)は風雅な扇子代わりにハリセンを口元に当て呟いた。今宵彼女が参上したのはステリアの町の平和を守るため――、
「ましてやよからぬ単語がつらつらと……此方に見物客を取られてはたまりませんね」
失礼、所属する技芸団の深夜営業の売り上げを守るためだったようだ。
「敵とはいえ見た目が子どもかぁ……まいったなぁ」
物陰に隠れながら、テンシ・アガート(ka0589)は、困ったように頬を掻いた。その横から、ジョナサン・キャラウェイ(ka1084)の自信満々の声が広場に響く。
「なんてオイシイ依頼だろうか!? 相手はたかだか女の子1人、僕だけでも十分なくらいじゃないか」
知性があったら奇襲でもかけられかねない大声だが、まぁ今回の敵は大して知性ないし。
「皆は大船にでも乗ったつもりでいるがいいよ! うはははははっ!」
夜の町に響く高笑い。そっと広場に面した家の窓が閉まった。
「下位の個体とは言っても、まだまだ駆け出しの私達には油断できない相手。皆で協力して、如何にか最小限の被害で――」
今日は恩人のアミグダもいるから安心できるし――そう思ったフローレンス・レインフォード(ka0443)の背筋に、ぞくりと悪寒が走った。
自分だけならばともかく、今日は二番目の妹と共に参加した依頼である。胸騒ぎを無視できず、彼女は腕にしがみついていた妹のブリス・レインフォード(ka0445)を抱き寄せた。
「……ブリス。貴女は私が守ってあげるわね」
それは、きっと姉としての使命感。
こくりと頷いたブリスは、広場を覆う闇へと目を向ける。
「……ロリ巨乳で魅了能力持ち……そんなの、姉様に近づけられない」
すぐ倒す、と小さく呟いた唇は、決意にぎゅっと引き結ばれ――瞳がはっと見開かれる。ここに来られなかったすぐ上の姉が、教えてくれた気がした。
敵の、襲来を。
「……来た……!」
控え目な、けれど仲間達に聞こえるよう響かせた声と共に、ふわりひらりとフリルが舞った。
歩いてきたはずなのに傷も汚れもない素足が、ぺたりと石畳を踏んだ。
闇に輝かんばかりの笑顔は、病的なほどに白い肌に――似合いすぎて、人外の魅力を放っていた。
「姉様があんなのに魅了されるなんて、そんなコト有り得ない……姉様にはブリスが居るもの……」
ぎゅ、とブリスが姉にしがみつく。その誘惑に耐えるのに精一杯で、姉の返事がないのには気付かなかった。
ふ、と息を吐いたオンサ・ラ・マーニョ(ka2329)が、精霊への祈りによって体の力を、動物霊の加護を呼び素早さを高め、戦闘態勢を取る。
「さっさと倒すぞ」
そうきっぱりと言って駆け出したオンサは、次の瞬間思いっきり柔らかでたわわな何かに顔をぶつけて強制ストップ。
「いけないわ、貴女。私は、可愛いあの子のために存在するの……」
それはフローレンスの胸だった。
腕を広げてロリ巨乳女王様吸血鬼のところには行かせまいという気迫を漂わせたフローレンスの胸だった。
胸にうずまったオンサをひょいと持ち上げ、横に置くフローレンス。
そしてロリ巨乳女王様吸血鬼のところに全力ダッシュ!
「……って、ぇ、姉様……? ま、待って……!?」
一瞬ぽかんとした後、泣きそうな顔でプリスが姉に駆け寄る。
「待って、行かないで! あんなの駄目! あんなのよりブリスの方が……!」
「あぁ……私の可愛いあの子をまもらな、あんぅ!?」
ロリ巨乳女王様吸血鬼をフローレンスが抱き締める直前、ブリスの腕が後ろからフローレンスを鷲掴みにする。
どこを、と聞くのは野暮というものだろう。
「姉様には何されてもいいからぁ……お願い、行かないで……!」
一筋の涙が頬を零れ落ち、月明かりに照らされる。少女の、姉を一身に想う心は、その想いから溢れる涙は美しい。
……まぁ、視線を引いたらブリスがフローレンスの手を自分の胸に必死に押しつけて、フローレンスの反対の手はロリ巨乳女王様吸血鬼の胸を掴もうと伸ばされているカオスな光景なんですけどね!
「馬鹿か君たちは!?」
そこに颯爽と登場するジョナサン!
ハリセンですっぱーんとフローレンスの頭を一撃!
びしりと腰に手を当てて、格好いい言葉で仲間の目を覚まそうとするのかジョナサン!
「踏んでいただく時は……こう!」
うんそんなことないって知ってたよジョナサン!
低姿勢のヘッドドライブ、別名をスライディング土下座。
要するに全面降伏の姿だった。
オンサ・ラ・マーニョが、こいつ正気に戻してやらねばという顔で、そっと手に持っていた鞭を振り上げる。
「いやいや。僕は断じてドM野郎ではない」
なぜか土下座の姿勢のままそれに気付いて、そのままの姿勢で言い放つジョナサン。
疑わしげな眼をしながら、オンサは静かに鞭を下ろした。
「どうやら敵は相手を屈服させるのがお好みのようだし、こうして自ら屈するフリで油断させて背後を取るのが僕の作戦というわけだ!」
おそらくこの時、ジョナサンはドヤ顔と言うにふさわしい表情だったに違いない。
土下座だからわからないけど。
「この時くらいは奴の好きにさせてやるさ。噛まれたって僕の心は人よりメチャ強いからきっと大丈夫。大丈夫だよ? 大丈夫だよね?」
だんだん自信なさげになってきているぞこの人。
「さあ、僕の前に無防備な後頭部を晒すがいい……!」
ふみっ。
「あぐ」
ふみふみっ。
「うぎぎぎぎ」
ふみふみふみふみ♪
「あれ、これって踏まれてる限り隙がないってか俺が隙だらけっていうか」
「しっかりせい! あの様な者より我を崇拝せよ!」
「ぎゃー!」
結局オンサの鞭で尻をひっぱたかれ、前にすっ飛んで倒れるジョナサン!
「これで正気に戻ると良いが……」
多分魅了はされていなかったジョナサンだが……うむ、これ以上は言わないでおこう。
その頃アミグダは、戦いがぐだぐだになり皆が魅了されたりされなかったりしている様子を、全力で『記録』していた。
明らかにこの黒歴史候補を形に残そうという姿勢だった。
可愛らしいものは好きだが、『可愛らしいものが徐々に駄目になっていく様子』がそれ以上に好きとのことである。
リアルブルーのカメラとやらがあったらいいんですけどね、と、安全圏から思うアミグダであった。
「……なんか、あの子、よく見たら可愛い……」
「渡さない、私の、私の可愛い妹は渡さないわ……! って、ブリス?」
「新しい姉様……いっぱい、可愛がって欲しい……」
そして有耶無耶のうちにブリスとフローレンスの立場が逆転していた。
今はふらふらとブリスがロリ巨乳女王様吸血鬼に近付き、慌ててフローレンスがその後を追っている状況である。
「ブリス、ブリス! 確りしなさい、ブリスッ!!」
「……姉様、離して……今は、新しい姉様に、して欲しいの……」
もがきながらもずりずりフローレンスを引きずって、ロリ巨乳女王様吸血鬼へと近づいていくブリス。
「やばい、止めないと……!」
急いで駆け寄ろうとしたテンシの前に立ちはだかるは――ジョナサン!
「冷静に検討を重ねた結果なんだが……」
「ど、どうしたんだジョナサン!」
シリアスな表情で重々しく口を開くジョナサンに、動揺するテンシ。
ふ、と軽く息を吐いたジョナサンは……一転してイイ笑顔で、髪をかき上げた。
「僕今日からこの子のしもべになるわ」
ずっこけるテンシ。
とはいえ一応ジョナサンだって、葛藤とかもしたのである。
(可憐なふりで人を惑わす吸血鬼め……っ!)
最初はこうだったのである。
(可憐なふりで人を……)
それがこうなって。
(か……)
こうなって。
(……『kawaii』)
はい一丁上がり。
「てか良く考えたら女の子に踏まれるとか最高やん」
頑張って抵抗していたジョナサンが、匠の誘惑ではいこの通り。
ビフォーとアフターがわかりづらいとか言ってはいけない。
「というわけで僕はこの白く滑らかなおみ足を堪能させていただきに」
「正気に戻らんかー!」
「べふっ!」
ウィップでジョナサンを正気に戻すべくぶん殴り、今度はブリスを正気に戻そうと駆け出すテンシ。
「……あぅん! 痛い……のに、気持ちいぃ……」
「ブリス……ごめんね、姉が、姉が止められなかったばかりに……」
既に吸血されてうっとりしているブリス。
その横で滂沱の涙を流し続けるフローレンス。
ウィップを振り上げようか迷って――テンシは、首を振った。
「……だめだ! 叩けない! ……こ、こうなったら!」
懐に手を突っ込んで取り出したのは――ナッツ!?
「このショックで正気に戻るんだ!」
走りながらナッツの袋をオープン!
2つのナッツを指先にホールド!
そして――ブリスの鼻の穴に、イン……する前に。
「テンシさん、ちょっとあの建物の裏でお話しましょうか」
「え、いや、俺は彼女を正気に戻そうとしただけで」
「そのナッツは何ですか?」
「鼻に詰めたら正気に戻るかなって」
「はい有罪です」
「は、話せばわかる!」
「問答無用!」
イイ笑顔のフローレンスに引きずられていくテンシ。
そして。
「……不覚。姉様という人が居ながら、ブリスは……」
結局自力で魅了から戻ったブリスは、悲しみに暮れながらロリ巨乳女王様吸血鬼にウィンドスラッシュを叩き付け続けたのであった。
その一部始終を眺めていたアミグダは、とっても幸せそうだったという。
オンサ・ラ・マーニョは、マーニョ族の族長の娘である。
その凛とした佇まいは、部族内の『ある種』の男女を惹き付け大勢の取り巻きを作り上げていた。
オンサがその想いに応えねばと思ったのは、素晴らしいことであっただろう。
そして彼らが何をしたら喜ぶかを研究したのも、部族の者を想うゆえの美しい行いであっただろう。
――で、その結果。
「お姉様♪ 心よりお慕い申しております♪ ……私が無上の喜びを与えて差し上げます♪」
ロリ巨乳女王様吸血鬼を全力で鞭で引っぱたいていた。
オンサにとって人を喜ばせる方法は、責め苦を与えると同義語になっていたのだ。
「いい声で啼いてくださいね♪」
明らかに攻撃だが魅了されているのである。
本当だってば。
布の裂ける音と共にフリルたっぷりの布地が舞う。
なぜか予備照明として用意されていた蝋燭に火が灯り、赤い蝋が落ちる。跳ねる。悲鳴。
ボロボロになりながら、それでも何とか体力を取り戻そうと、かぷりと首筋に噛み付いた瞬間。
「ああん♪ おイタはダメですよ♪ お返しです♪」
さらに上がる大きな悲鳴。
人間に牙はないけれど、本気で噛み付けば吸血鬼も痛い。……らしい。
「まだまだお仕置きは終わりませんよ♪」
本当ね。部族に戻ったら、オンサにこれをやられて悦んでる男女がいっぱいいるとかね。
世も末である。
「お嬢様に何をするううううう!」
「きゃふ!?」
そこに何とか生還したテンシの攻撃が炸裂!
名付けて――テンシ式ナッツ正(気)拳。凄まじく正確な動作でナッツを鼻に詰めることにより、相手を正気に戻そうとする技である。
しかし。
今のテンシは正気じゃなかった!
「なんて美しい容姿…… カリスマ……お仕えしたい! お嬢様! 貴方は私がお守りします!」
過保護な熱血執事の姿が、そこにあった。
「とりあえずお嬢様、貴方にお似合いの武器がございます! お受け取りください」
手に持っていたウィップを恭しく献上するテンシ。受け取ってひょいひょい振ってみるロリ巨乳女王様吸血鬼。
「お嬢様、お召し物が大変なことに! 今すぐこれにお着替え下さい」
さらに差し出されるまるごとうさぎ。きょとんと首を傾げるロリ巨乳女王様吸血鬼。
――べち。
「どうしたのですかお嬢様! とてもよくお似合いになるはずです!」
ウィップで叩かれた場所を押さえて熱弁するテンシに、さらにべち。
全く熟練していないせいか、単に力がないのか、全然痛くない。
「だって――貴方はロリなのですから!」
べちべちべち。
「あ、失礼しました、着替えのお手伝いが必要でしたか!」
颯爽とびりびりのドレスに手を掛けるテンシ。
蹴りっ。
「あう!」
踏みっ。
「ぎゃふん!」
踏み踏み踏み。
「ちょっと、お嬢様踏まないで下さい! でもそんな貴方も美しい……痛い、痛いですってば!」
そんな2人(?)の元に、ゆっくりと歩み寄る影があった。
――そろそろ観察はいいかなって顔で近付いた瞬間に魅了されたアミグダである。
調教師であったサガのままに、手に持つのはウィップとロープ。
「可愛らしいものは、より可愛らしく……」
「アチョー!」
「!!」
炸裂するテンシ式ナッツ正(気)拳。
食らったアミグダの様子は描写……しないのが、その、優しさってもんだろう。
「お嬢様を守る盾は俺一人で十分さ! 女・子ども・中年は帰って寝る時間だよぶっ!?」
武器無しなんてちょうどいいハンデさ、と胸を張るテンシにハリセンが炸裂。
「踏んでくれるお嬢様をズタボロにするなんてむびゅっ!?」
さらに飛びかかろうとしたジョナサンの口に突っ込まれる缶ビール。
「まぁまぁまぁまぁ」
「むぎゅーううう!?」
口に注がれるビールにぶくぶくした結果、唐突に踊りだすジョナサン。
その頃、スローモーションで吹っ飛ばされながら――左胸のエンブレムの存在を、思い出すテンシ。
(そうだ……俺は平和を取り戻すためにハンターになったんだ!)
テンシは しょうきに もどった!
……たぶん!
「もう見た目に騙されないぞ! 俺の信念の一撃を受けてみろ! ……あ」
しかし ぶきが なかった!
「ど、どうせ絵的にウィップもアレだし……滅びろ! 吸血鬼ッ!!」
ここでラストのテンシ式ナッツ正(気)拳!
さらに開いた口に突っ込まれる缶ビール! 歪虚に成人年齢はないから安心だ!
「残念ですが、私共のお嬢様の方が恐ろし……可愛らしいようです」
というわけで悪は滅びた!
「あんなのに、姉様は奪えない……。……姉様、ずっと一緒だから、ね……?」
「ええ、ブリス……この障害を乗り越えた私達は、もう何も怖くないわ……」
そっと次回へのフラグを立てながら抱き合うフローレンスとブリス。美しい姉妹愛。
「魅了されたか……」
苦々しげな口調で、けれど真っ赤になって恥らうさまは歳相応のオンサ。
アミグダはそっと様々な記録を大事にしまいこんだ。いつか何かに使えるだろう。きっと。
「ジョナサン、もう吸血鬼倒したよ」
「え?」
踊り終えて『さあ踏んで下さい』とばかりに土下座していたジョナサンに、ウィップとまるごとうさぎを手にしたテンシが声を掛ける。
「……帰ろうか」
「うん、帰りましょうか」
どっと疲れた一同は、明るくなりかけた空の下、言葉少なに帰途に着くのであった。
「……あまり世の中の夜を騒がせないで頂きたいですね」
アミグダ・ロサ(ka0144)は風雅な扇子代わりにハリセンを口元に当て呟いた。今宵彼女が参上したのはステリアの町の平和を守るため――、
「ましてやよからぬ単語がつらつらと……此方に見物客を取られてはたまりませんね」
失礼、所属する技芸団の深夜営業の売り上げを守るためだったようだ。
「敵とはいえ見た目が子どもかぁ……まいったなぁ」
物陰に隠れながら、テンシ・アガート(ka0589)は、困ったように頬を掻いた。その横から、ジョナサン・キャラウェイ(ka1084)の自信満々の声が広場に響く。
「なんてオイシイ依頼だろうか!? 相手はたかだか女の子1人、僕だけでも十分なくらいじゃないか」
知性があったら奇襲でもかけられかねない大声だが、まぁ今回の敵は大して知性ないし。
「皆は大船にでも乗ったつもりでいるがいいよ! うはははははっ!」
夜の町に響く高笑い。そっと広場に面した家の窓が閉まった。
「下位の個体とは言っても、まだまだ駆け出しの私達には油断できない相手。皆で協力して、如何にか最小限の被害で――」
今日は恩人のアミグダもいるから安心できるし――そう思ったフローレンス・レインフォード(ka0443)の背筋に、ぞくりと悪寒が走った。
自分だけならばともかく、今日は二番目の妹と共に参加した依頼である。胸騒ぎを無視できず、彼女は腕にしがみついていた妹のブリス・レインフォード(ka0445)を抱き寄せた。
「……ブリス。貴女は私が守ってあげるわね」
それは、きっと姉としての使命感。
こくりと頷いたブリスは、広場を覆う闇へと目を向ける。
「……ロリ巨乳で魅了能力持ち……そんなの、姉様に近づけられない」
すぐ倒す、と小さく呟いた唇は、決意にぎゅっと引き結ばれ――瞳がはっと見開かれる。ここに来られなかったすぐ上の姉が、教えてくれた気がした。
敵の、襲来を。
「……来た……!」
控え目な、けれど仲間達に聞こえるよう響かせた声と共に、ふわりひらりとフリルが舞った。
歩いてきたはずなのに傷も汚れもない素足が、ぺたりと石畳を踏んだ。
闇に輝かんばかりの笑顔は、病的なほどに白い肌に――似合いすぎて、人外の魅力を放っていた。
「姉様があんなのに魅了されるなんて、そんなコト有り得ない……姉様にはブリスが居るもの……」
ぎゅ、とブリスが姉にしがみつく。その誘惑に耐えるのに精一杯で、姉の返事がないのには気付かなかった。
ふ、と息を吐いたオンサ・ラ・マーニョ(ka2329)が、精霊への祈りによって体の力を、動物霊の加護を呼び素早さを高め、戦闘態勢を取る。
「さっさと倒すぞ」
そうきっぱりと言って駆け出したオンサは、次の瞬間思いっきり柔らかでたわわな何かに顔をぶつけて強制ストップ。
「いけないわ、貴女。私は、可愛いあの子のために存在するの……」
それはフローレンスの胸だった。
腕を広げてロリ巨乳女王様吸血鬼のところには行かせまいという気迫を漂わせたフローレンスの胸だった。
胸にうずまったオンサをひょいと持ち上げ、横に置くフローレンス。
そしてロリ巨乳女王様吸血鬼のところに全力ダッシュ!
「……って、ぇ、姉様……? ま、待って……!?」
一瞬ぽかんとした後、泣きそうな顔でプリスが姉に駆け寄る。
「待って、行かないで! あんなの駄目! あんなのよりブリスの方が……!」
「あぁ……私の可愛いあの子をまもらな、あんぅ!?」
ロリ巨乳女王様吸血鬼をフローレンスが抱き締める直前、ブリスの腕が後ろからフローレンスを鷲掴みにする。
どこを、と聞くのは野暮というものだろう。
「姉様には何されてもいいからぁ……お願い、行かないで……!」
一筋の涙が頬を零れ落ち、月明かりに照らされる。少女の、姉を一身に想う心は、その想いから溢れる涙は美しい。
……まぁ、視線を引いたらブリスがフローレンスの手を自分の胸に必死に押しつけて、フローレンスの反対の手はロリ巨乳女王様吸血鬼の胸を掴もうと伸ばされているカオスな光景なんですけどね!
「馬鹿か君たちは!?」
そこに颯爽と登場するジョナサン!
ハリセンですっぱーんとフローレンスの頭を一撃!
びしりと腰に手を当てて、格好いい言葉で仲間の目を覚まそうとするのかジョナサン!
「踏んでいただく時は……こう!」
うんそんなことないって知ってたよジョナサン!
低姿勢のヘッドドライブ、別名をスライディング土下座。
要するに全面降伏の姿だった。
オンサ・ラ・マーニョが、こいつ正気に戻してやらねばという顔で、そっと手に持っていた鞭を振り上げる。
「いやいや。僕は断じてドM野郎ではない」
なぜか土下座の姿勢のままそれに気付いて、そのままの姿勢で言い放つジョナサン。
疑わしげな眼をしながら、オンサは静かに鞭を下ろした。
「どうやら敵は相手を屈服させるのがお好みのようだし、こうして自ら屈するフリで油断させて背後を取るのが僕の作戦というわけだ!」
おそらくこの時、ジョナサンはドヤ顔と言うにふさわしい表情だったに違いない。
土下座だからわからないけど。
「この時くらいは奴の好きにさせてやるさ。噛まれたって僕の心は人よりメチャ強いからきっと大丈夫。大丈夫だよ? 大丈夫だよね?」
だんだん自信なさげになってきているぞこの人。
「さあ、僕の前に無防備な後頭部を晒すがいい……!」
ふみっ。
「あぐ」
ふみふみっ。
「うぎぎぎぎ」
ふみふみふみふみ♪
「あれ、これって踏まれてる限り隙がないってか俺が隙だらけっていうか」
「しっかりせい! あの様な者より我を崇拝せよ!」
「ぎゃー!」
結局オンサの鞭で尻をひっぱたかれ、前にすっ飛んで倒れるジョナサン!
「これで正気に戻ると良いが……」
多分魅了はされていなかったジョナサンだが……うむ、これ以上は言わないでおこう。
その頃アミグダは、戦いがぐだぐだになり皆が魅了されたりされなかったりしている様子を、全力で『記録』していた。
明らかにこの黒歴史候補を形に残そうという姿勢だった。
可愛らしいものは好きだが、『可愛らしいものが徐々に駄目になっていく様子』がそれ以上に好きとのことである。
リアルブルーのカメラとやらがあったらいいんですけどね、と、安全圏から思うアミグダであった。
「……なんか、あの子、よく見たら可愛い……」
「渡さない、私の、私の可愛い妹は渡さないわ……! って、ブリス?」
「新しい姉様……いっぱい、可愛がって欲しい……」
そして有耶無耶のうちにブリスとフローレンスの立場が逆転していた。
今はふらふらとブリスがロリ巨乳女王様吸血鬼に近付き、慌ててフローレンスがその後を追っている状況である。
「ブリス、ブリス! 確りしなさい、ブリスッ!!」
「……姉様、離して……今は、新しい姉様に、して欲しいの……」
もがきながらもずりずりフローレンスを引きずって、ロリ巨乳女王様吸血鬼へと近づいていくブリス。
「やばい、止めないと……!」
急いで駆け寄ろうとしたテンシの前に立ちはだかるは――ジョナサン!
「冷静に検討を重ねた結果なんだが……」
「ど、どうしたんだジョナサン!」
シリアスな表情で重々しく口を開くジョナサンに、動揺するテンシ。
ふ、と軽く息を吐いたジョナサンは……一転してイイ笑顔で、髪をかき上げた。
「僕今日からこの子のしもべになるわ」
ずっこけるテンシ。
とはいえ一応ジョナサンだって、葛藤とかもしたのである。
(可憐なふりで人を惑わす吸血鬼め……っ!)
最初はこうだったのである。
(可憐なふりで人を……)
それがこうなって。
(か……)
こうなって。
(……『kawaii』)
はい一丁上がり。
「てか良く考えたら女の子に踏まれるとか最高やん」
頑張って抵抗していたジョナサンが、匠の誘惑ではいこの通り。
ビフォーとアフターがわかりづらいとか言ってはいけない。
「というわけで僕はこの白く滑らかなおみ足を堪能させていただきに」
「正気に戻らんかー!」
「べふっ!」
ウィップでジョナサンを正気に戻すべくぶん殴り、今度はブリスを正気に戻そうと駆け出すテンシ。
「……あぅん! 痛い……のに、気持ちいぃ……」
「ブリス……ごめんね、姉が、姉が止められなかったばかりに……」
既に吸血されてうっとりしているブリス。
その横で滂沱の涙を流し続けるフローレンス。
ウィップを振り上げようか迷って――テンシは、首を振った。
「……だめだ! 叩けない! ……こ、こうなったら!」
懐に手を突っ込んで取り出したのは――ナッツ!?
「このショックで正気に戻るんだ!」
走りながらナッツの袋をオープン!
2つのナッツを指先にホールド!
そして――ブリスの鼻の穴に、イン……する前に。
「テンシさん、ちょっとあの建物の裏でお話しましょうか」
「え、いや、俺は彼女を正気に戻そうとしただけで」
「そのナッツは何ですか?」
「鼻に詰めたら正気に戻るかなって」
「はい有罪です」
「は、話せばわかる!」
「問答無用!」
イイ笑顔のフローレンスに引きずられていくテンシ。
そして。
「……不覚。姉様という人が居ながら、ブリスは……」
結局自力で魅了から戻ったブリスは、悲しみに暮れながらロリ巨乳女王様吸血鬼にウィンドスラッシュを叩き付け続けたのであった。
その一部始終を眺めていたアミグダは、とっても幸せそうだったという。
オンサ・ラ・マーニョは、マーニョ族の族長の娘である。
その凛とした佇まいは、部族内の『ある種』の男女を惹き付け大勢の取り巻きを作り上げていた。
オンサがその想いに応えねばと思ったのは、素晴らしいことであっただろう。
そして彼らが何をしたら喜ぶかを研究したのも、部族の者を想うゆえの美しい行いであっただろう。
――で、その結果。
「お姉様♪ 心よりお慕い申しております♪ ……私が無上の喜びを与えて差し上げます♪」
ロリ巨乳女王様吸血鬼を全力で鞭で引っぱたいていた。
オンサにとって人を喜ばせる方法は、責め苦を与えると同義語になっていたのだ。
「いい声で啼いてくださいね♪」
明らかに攻撃だが魅了されているのである。
本当だってば。
布の裂ける音と共にフリルたっぷりの布地が舞う。
なぜか予備照明として用意されていた蝋燭に火が灯り、赤い蝋が落ちる。跳ねる。悲鳴。
ボロボロになりながら、それでも何とか体力を取り戻そうと、かぷりと首筋に噛み付いた瞬間。
「ああん♪ おイタはダメですよ♪ お返しです♪」
さらに上がる大きな悲鳴。
人間に牙はないけれど、本気で噛み付けば吸血鬼も痛い。……らしい。
「まだまだお仕置きは終わりませんよ♪」
本当ね。部族に戻ったら、オンサにこれをやられて悦んでる男女がいっぱいいるとかね。
世も末である。
「お嬢様に何をするううううう!」
「きゃふ!?」
そこに何とか生還したテンシの攻撃が炸裂!
名付けて――テンシ式ナッツ正(気)拳。凄まじく正確な動作でナッツを鼻に詰めることにより、相手を正気に戻そうとする技である。
しかし。
今のテンシは正気じゃなかった!
「なんて美しい容姿…… カリスマ……お仕えしたい! お嬢様! 貴方は私がお守りします!」
過保護な熱血執事の姿が、そこにあった。
「とりあえずお嬢様、貴方にお似合いの武器がございます! お受け取りください」
手に持っていたウィップを恭しく献上するテンシ。受け取ってひょいひょい振ってみるロリ巨乳女王様吸血鬼。
「お嬢様、お召し物が大変なことに! 今すぐこれにお着替え下さい」
さらに差し出されるまるごとうさぎ。きょとんと首を傾げるロリ巨乳女王様吸血鬼。
――べち。
「どうしたのですかお嬢様! とてもよくお似合いになるはずです!」
ウィップで叩かれた場所を押さえて熱弁するテンシに、さらにべち。
全く熟練していないせいか、単に力がないのか、全然痛くない。
「だって――貴方はロリなのですから!」
べちべちべち。
「あ、失礼しました、着替えのお手伝いが必要でしたか!」
颯爽とびりびりのドレスに手を掛けるテンシ。
蹴りっ。
「あう!」
踏みっ。
「ぎゃふん!」
踏み踏み踏み。
「ちょっと、お嬢様踏まないで下さい! でもそんな貴方も美しい……痛い、痛いですってば!」
そんな2人(?)の元に、ゆっくりと歩み寄る影があった。
――そろそろ観察はいいかなって顔で近付いた瞬間に魅了されたアミグダである。
調教師であったサガのままに、手に持つのはウィップとロープ。
「可愛らしいものは、より可愛らしく……」
「アチョー!」
「!!」
炸裂するテンシ式ナッツ正(気)拳。
食らったアミグダの様子は描写……しないのが、その、優しさってもんだろう。
「お嬢様を守る盾は俺一人で十分さ! 女・子ども・中年は帰って寝る時間だよぶっ!?」
武器無しなんてちょうどいいハンデさ、と胸を張るテンシにハリセンが炸裂。
「踏んでくれるお嬢様をズタボロにするなんてむびゅっ!?」
さらに飛びかかろうとしたジョナサンの口に突っ込まれる缶ビール。
「まぁまぁまぁまぁ」
「むぎゅーううう!?」
口に注がれるビールにぶくぶくした結果、唐突に踊りだすジョナサン。
その頃、スローモーションで吹っ飛ばされながら――左胸のエンブレムの存在を、思い出すテンシ。
(そうだ……俺は平和を取り戻すためにハンターになったんだ!)
テンシは しょうきに もどった!
……たぶん!
「もう見た目に騙されないぞ! 俺の信念の一撃を受けてみろ! ……あ」
しかし ぶきが なかった!
「ど、どうせ絵的にウィップもアレだし……滅びろ! 吸血鬼ッ!!」
ここでラストのテンシ式ナッツ正(気)拳!
さらに開いた口に突っ込まれる缶ビール! 歪虚に成人年齢はないから安心だ!
「残念ですが、私共のお嬢様の方が恐ろし……可愛らしいようです」
というわけで悪は滅びた!
「あんなのに、姉様は奪えない……。……姉様、ずっと一緒だから、ね……?」
「ええ、ブリス……この障害を乗り越えた私達は、もう何も怖くないわ……」
そっと次回へのフラグを立てながら抱き合うフローレンスとブリス。美しい姉妹愛。
「魅了されたか……」
苦々しげな口調で、けれど真っ赤になって恥らうさまは歳相応のオンサ。
アミグダはそっと様々な記録を大事にしまいこんだ。いつか何かに使えるだろう。きっと。
「ジョナサン、もう吸血鬼倒したよ」
「え?」
踊り終えて『さあ踏んで下さい』とばかりに土下座していたジョナサンに、ウィップとまるごとうさぎを手にしたテンシが声を掛ける。
「……帰ろうか」
「うん、帰りましょうか」
どっと疲れた一同は、明るくなりかけた空の下、言葉少なに帰途に着くのであった。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談用スレッド ジョナサン・キャラウェイ(ka1084) 人間(リアルブルー)|28才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/09/08 12:23:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/04 23:55:14 |