ふわふわり。ゆらゆらり。
　夜のステリアの町に、紅のドレスが揺れる。
　月明かりに輝く金色の髪を覆うのはフリルたっぷりのボンネット。
　幼げな顔と低い身長に反して、豊かな胸はドレスの胸元のレースを大きく押し上げる。
　素足が歩むたびに、ぺたり、ぺたりと音を立て――、

「お嬢ちゃん、迷子かい？」
　2人組で見回りをしていた自警団の青年の片方が声をかければ、くるりと少女は振り向いた。
　唇がきゅっと弧を描き、ぱちりと瞬いた深紅の瞳はじっと青年達を見つめ――、
「お、お嬢ちゃん……いえ、お嬢様」
「おい待て！　彼女は私の恋人になってくれるかもしれない女性だ！」
「何を！？　この少女趣味め！　そういうのは年下の俺に譲れ！」
「お前も少女趣味だろうが！　1歳しか違わないわ！」
　少女をうっとりとした目で見つめた後、言い合いからついに取っ組み合いの喧嘩に、そして――
「っ！」
「くうっ！」
　突如近づいてきた少女に、2人は蹴られて石畳に転がった。
　ニコニコ笑って少女は顔を踏む。くぐもった悲鳴。むしろ甘い声かもしれない。
　やがて、吸血鬼の口付けが、交互に2人を襲う。
　――翌日、2人は幸せそうに蕩けた顔で、首筋から血を流した重度の貧血状態で発見された。

「……貧血もなのですが、被害者2人は『どうしてあんなことをしてしまったんだ』と深い自己嫌悪に捉われていまして……何とか町のためだって説得して聞き出したのですけど」
　街を代表して来た役人だという女性は、困ったように言う。
「おそらく、吸血鬼型のフェレライの仕業なのでしょうけれど……」
「まだ、『城』を作り配下として雑魔などを配置している段階ではないようですね。候補地を探すついでに、捕食……といったところですかね」
　女性の言葉を、ハンターズソサエティの受付の青年が眼鏡を上げながら引き取った。
「恐らくは下位の、知性も高くない個体だと思います。ただ、それだけに見境なく人を襲う可能性があるし、どうも強力な魅了能力を持つようですから厄介ですね。出来るだけ早い討伐を……という依頼でいいですよね？」
「はい、お願いいたします」
　振り向いた受付の青年に、女性が深く頷く。
「宜しくお願いします。ステリアの町に、平和を取り戻してくださいませ……！」

　さて。シリアス終了のお知らせです。
　ジャンルに書いてありますよね。コメディって。『コメディ』って。
　大事なことなので2回言いますね！

●目的
　ロリ巨乳女王様吸血鬼の討伐

●ロリ巨乳女王様吸血鬼との遭遇について
　夜になると街を彷徨い、獲物を探しています。
　ステリアの町では夜に出歩かないようにという通告を出していること、また屋内の人間を襲う知性はないということなので、夜の町を歩いていれば一般人を避難させる必要なく吸血鬼に遭遇できると思われます。
　広場などで待ち構えると、道幅とか戦える人数とか考えなくていいので楽かもしれません。

●ロリ巨乳女王様吸血鬼の能力について
　直接攻撃の手段については、牙で噛み付くしかありません。ダメージは極小ですが、吸った分だけ回復します。
　それよりも恐ろしいのは、魅了の能力です。
　抵抗判定（かなり不利な修正が付きます）に失敗すると、ロリ巨乳女王様吸血鬼にメロメロになります。
　どのようにメロメロになるかは人によって違うようです。プレイングに書いといてください。
　また、彼女を独占する為に他のPCに攻撃する可能性も高いです。装備を『工夫』する必要があるかもしれません。
　ロリ巨乳女王様吸血鬼自体は、防御力も生命力もあまり高くはありません。
　とにかく魅了が厄介です。すごく厄介です。ジャンルがコメディになるくらい厄介です。
　あと踏みます。素足です。柔らかくてすべすべの素足です。踏んでほしい場所はプレイングに書いておきましょう。

　あ、いちおう魅了はターン数が経てば経つほど解除されやすくなります。
　最後にロリ巨乳女王様吸血鬼を倒すとき用に、何か気合を入れる方法などがあるといいかもしれません。
　ロリ巨乳女王様吸血鬼が撃破されると、魅了は解けます。安心ですね。

　やったー魅了だー魅了するぞー！
　こんにちは。旅硝子です。
　魅惑のロリ巨乳女王様吸血鬼だから魅了されても仕方ないと思います。
　あっでも私はロリなら貧乳が好きだな……。

　というわけで、全力ではっちゃけた方が愉快なことになると思います。
　まぁ、ガチ戦闘しようとしてもどうせ魅了されると思いますけどねふふふ。楽しみにしてますからね。

　それでは、よろしくお願いします！