ゲスト
(ka0000)
地下水路の攻防
マスター:nao

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/25 15:00
- 完成日
- 2016/06/30 00:33
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●地下水路
「あ~あ。嫌になっちまうな……。とっとと作業を終わらせちまおうゼ」
「……だな。マスク越しとはいえ、長時間居たい場所じゃねぇな」
薄暗く、鼻を突くような異臭に満ちた地下水路内。そこで、作業服に身を包んだ二人の男は定期的な点検をしていた。
頭上にある古びた排水溝の隙間からは微かな陽の光が差し込み、街を歩く人々の喧騒も僅かながら降って来る。
『とっとと点検を終えて、こんな場所から一刻も早く去ろう』二人はそう決意して、手を早める。
――と、その時。
背後からバシャァッと重い水音が響き、大量の水滴が弾けて作業路を叩いた。二人は驚愕に身体を仰け反らせ……次いで、反射的に振り返る。
振り返った二人が見たものは、作業路の真横を一直線に伸びる水路……その水面から飛び出した、複数の異形の影だった。二人は目を見開き、あんぐりと口を開ける。
二人の視界に大きく映ったのは、硬そうな甲殻が全身を覆い、腕の先が鋏状に硬質化している異形。双眸は退化したのか小さく、その代わりとばかりに二本の長い触覚が伸びていた。それらが地下水路から作業路へ、重々しい水音を響かせながら降り立った。
『二足歩行する巨大なザリガニ』そんな言葉が、二人の脳裏を小さく過ぎる。
己の身長にも匹敵する異形の群れを、二人はただ凍ったように見詰め――次の瞬間、異形の群れが二人へ襲い掛かった。鋏状に硬質化した鋭い切っ先が、手近な男へ叩き付けられ――二人の凍った時間が、溶ける。
「ぎゃっ、ぎゃぁああぁぁああぁッ!?」
頭蓋を叩き割られ、鮮血を撒き散らした男の絶叫が甲高く響く。もう一人の男は、水路内へ反響する絶叫に身を押されたかの如く、素早く翻って駆け出した。
「た、たすけ、」
男の懇願は最後まで言葉にならず……ぐしゃり、と重々しい破砕音と共に頭蓋が陥没し、血飛沫と脳漿を散らせた。男の死骸へ、わらわらと異形の群れが群がる。
生き残った男は凍えるような恐怖に歯を打ち鳴らし、ただ我武者羅に走り続けた。
●依頼
「ええ、そうなの。依頼は地下水路に発生した雑魔の掃討……そして生き延びた作業員、ミルドの救出よ」
小奇麗な衣裳に身を包んだ依頼人の女性は、目頭をほぐすように軽く揉み、そして続ける。
「ミルドの悲鳴や地下水路の騒動は、僅かだけど排水溝から漏れ聞こえたみたいでね……。それによると、ミルドは地上への出口とは逆……どうやら地下水路内に設置された、作業道具が詰まった小さな物置へ向かったみたい。雑魔に道を塞がれて、相当、混乱したのでしょうね」
依頼人の女性は、四つ折りにした紙片を取り出して開く。それは、地下水路内の地図だった。
「冷静さを取り戻したとしても、ミルドは臆病だから物置から出れないでしょうね。そして、物置の扉は頑丈じゃない。力任せでも、そう時間がかからずに壊れてしまうわ。そこで、貴方達への依頼はミルドを速やかに救出する事。それと、発生した雑魔の掃討も可能な限りお願いするわ。発生した原因は、不自然……ひょっとしたら人為的なものが絡んでるかもしれないけど、その調査は別口に頼むから今は気にしないでいいわ」
依頼人の女性は静かに言い終えて、小さく頭を下げた。
「あ~あ。嫌になっちまうな……。とっとと作業を終わらせちまおうゼ」
「……だな。マスク越しとはいえ、長時間居たい場所じゃねぇな」
薄暗く、鼻を突くような異臭に満ちた地下水路内。そこで、作業服に身を包んだ二人の男は定期的な点検をしていた。
頭上にある古びた排水溝の隙間からは微かな陽の光が差し込み、街を歩く人々の喧騒も僅かながら降って来る。
『とっとと点検を終えて、こんな場所から一刻も早く去ろう』二人はそう決意して、手を早める。
――と、その時。
背後からバシャァッと重い水音が響き、大量の水滴が弾けて作業路を叩いた。二人は驚愕に身体を仰け反らせ……次いで、反射的に振り返る。
振り返った二人が見たものは、作業路の真横を一直線に伸びる水路……その水面から飛び出した、複数の異形の影だった。二人は目を見開き、あんぐりと口を開ける。
二人の視界に大きく映ったのは、硬そうな甲殻が全身を覆い、腕の先が鋏状に硬質化している異形。双眸は退化したのか小さく、その代わりとばかりに二本の長い触覚が伸びていた。それらが地下水路から作業路へ、重々しい水音を響かせながら降り立った。
『二足歩行する巨大なザリガニ』そんな言葉が、二人の脳裏を小さく過ぎる。
己の身長にも匹敵する異形の群れを、二人はただ凍ったように見詰め――次の瞬間、異形の群れが二人へ襲い掛かった。鋏状に硬質化した鋭い切っ先が、手近な男へ叩き付けられ――二人の凍った時間が、溶ける。
「ぎゃっ、ぎゃぁああぁぁああぁッ!?」
頭蓋を叩き割られ、鮮血を撒き散らした男の絶叫が甲高く響く。もう一人の男は、水路内へ反響する絶叫に身を押されたかの如く、素早く翻って駆け出した。
「た、たすけ、」
男の懇願は最後まで言葉にならず……ぐしゃり、と重々しい破砕音と共に頭蓋が陥没し、血飛沫と脳漿を散らせた。男の死骸へ、わらわらと異形の群れが群がる。
生き残った男は凍えるような恐怖に歯を打ち鳴らし、ただ我武者羅に走り続けた。
●依頼
「ええ、そうなの。依頼は地下水路に発生した雑魔の掃討……そして生き延びた作業員、ミルドの救出よ」
小奇麗な衣裳に身を包んだ依頼人の女性は、目頭をほぐすように軽く揉み、そして続ける。
「ミルドの悲鳴や地下水路の騒動は、僅かだけど排水溝から漏れ聞こえたみたいでね……。それによると、ミルドは地上への出口とは逆……どうやら地下水路内に設置された、作業道具が詰まった小さな物置へ向かったみたい。雑魔に道を塞がれて、相当、混乱したのでしょうね」
依頼人の女性は、四つ折りにした紙片を取り出して開く。それは、地下水路内の地図だった。
「冷静さを取り戻したとしても、ミルドは臆病だから物置から出れないでしょうね。そして、物置の扉は頑丈じゃない。力任せでも、そう時間がかからずに壊れてしまうわ。そこで、貴方達への依頼はミルドを速やかに救出する事。それと、発生した雑魔の掃討も可能な限りお願いするわ。発生した原因は、不自然……ひょっとしたら人為的なものが絡んでるかもしれないけど、その調査は別口に頼むから今は気にしないでいいわ」
依頼人の女性は静かに言い終えて、小さく頭を下げた。
リプレイ本文
●地下水路
作業路の両側を等間隔に設置された作業灯。それらがぼんやりと頼りなく闇を払い、鼻を突くような異臭の立ち込める地下水路内……その作業路を六つの人影が疾走し、その足元には小さな動物の影達が追走していた。
「急がないといけないな」
自ら素早く書き写し、全員に配った地下水路の地図へちらりと目を落とし……アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、地を滑るような無駄のない足捌きで先頭を走る。
「きっと大丈夫だよ~。初動も含め、ここまでダッシュで来たんだし!」
玉兎 小夜(ka6009)は、俊敏に駆けながらも周囲を警戒しつつ、緊張をほぐすように笑う。
「いつもこの異臭の中作業してる作業員さん方には感謝しなきゃね……」
アルトが口元へ巻いた手拭を羨ましそうに見詰め、アルスレーテ・フュラー(ka6148)は微かに顔を顰めた。
――と、その時。全員の足が、僅かに鈍った。
ハンター達の視界に小さく映るのは、作業路へぶちまけられたように大きく広がる血溜まり。距離が近付くにつれて、鉄錆染みた血臭が作業路内の悪臭と混じり……飛び散った肉片に内臓の欠片、そしてビリビリに千切れた布切れが血溜まりに浮かんでいるのが大きく映り、ハンター達の顔が強張る。
『犠牲となった、作業員の末路』六人の脳裏に、そんな言葉が小さく過ぎる。
「ミルドの救出が最優先だな。急ごう」
僅かに鈍った足を叱咤するように動かし、クローディア(ka3392)は昂ぶった感情を抑え、低い声音を出す。
「そうだな。彼の弔いは、その後だ」
方向感覚で脳内に最短距離を描きながら、鞍馬 真(ka5819)は小さく眉を顰める。
「ミルドさんの救出が最優先、ですね。急ぎましょう」
惨状を通り過ぎざま、ちらりと顔半分だけ振り返り、小宮・千秋(ka6272)は、ほんの一瞬、祈るように目を閉じて……直ぐに前だけを見据え、足先に力を篭めた。
●救出
「あれね。良かった、どうにか間に合ったみたい」
アルスレーテは呟くように言い、地を強く蹴り抜いた。他のハンター達も一瞬で状況を把握し、素早く武器を引き抜いて疾走する。
ハンター達の目に飛び込んできたのは、古い木枠の扉を力任せに叩き割ろうとしている二体の異形だった。鋏状に硬質化した腕を断続的に叩きつけ、木枠の扉が悲鳴を上げる。瞬時の判断、ハンター達は二手に別れ、それぞれ雑魔へ襲い掛かった。
「これ以上は、させん」
「えぇ、させませんよぅ!」
真が鋭く叫び、千秋が力強く頷く。
雑魔の懐深くまで飛び込んだ真が、紫電を纏った切っ先を鋭く跳ね上げた。跳ね上がった切っ先は、雑魔の右腕――甲殻の隙間、関節部へ獰猛な勢いで喰らいつき、柔い中身を引き裂いて裂断する。どしゃり、と巨大な鋏が地面へ落ち、迸る煌めきが宙を流れた。
小夜は、痺れたように動きの固まる雑魔の右側面へ回り込み――半身の姿勢から、水平に寝かせた刀身を、右腕の傷口めがけて一気に穿ち込む。バネ仕掛けの勢いで飛び込みざまに撃ち放った疾風剣は、傷口から首元までを貫通し、雑魔の体液が弾けた。
そこへ一歩遅れて、千秋が腕を振り被って震撃――垂れ下がった雑魔の頭部へ向け、空を唸らせるトンファーが最短距離を突っ切り、上段から襲い掛かるッ。瞬間、甲高い轟音が響き、雑魔の頭蓋が陥没して崩れ落ちた。
もう一体も、既に決着していた。
アルトは踏鳴から散華を発動――作業路を蹴り砕く勢いで間合いを殺し、刃を横薙ぎに振り抜いた。薄闇を引き裂く苛烈な銀光が、雑魔の上半身と下半身を両断し、傷口から溢れた体液が地を叩く。雑魔の上半身が、どしゃりと地に落ちた。
それでも、もがくように両の鋏を動かしていたが、アルスレーテが頭部に掌を添えて鎧徹し、クローディアが左右から超高速振動する二刀の白刃を叩きつけ――雑魔の頭蓋が爆砕し、中身ごと細切れと化した。
決着と同時、ハンター達は壊れかけた扉の前へ立つ。
「ミルドさんだね? ボク達は、レムさんからきみの救助の依頼を受けたハンターだ。ここを開けてくれないかな?」
大声で、しかし安心させるような優しい響きを乗せ、アルトは扉越しに語りかけた。……ややあって、
「き、救助かッ? き、来てくれたのか!」
扉がゆっくりと開き、憔悴しきった様子の男――ミルドが顔を覗かせた。
「私達が来たからには、もう安心だよー。ほれ、とりあえず落ち着くためにお茶のめー」
精神が磨耗し、怯えきった形相のミルドに、小夜は温かいお茶を差し出した。
「……ぇ? ぁ、あぁ、ありがとう」
ミルドは予想外だったのか、若干どもって、でも安心したように受け取る。受け取った両手は、それでもまだ小刻みに震えていたが……お茶の温かさに触れ、ゆっくりとだが震えが収まっていった。
ハンター達は、ミルドが落ち着くのをしばし待った。
「……よし。では、戻るとしようか」
お茶を飲み干し、ミルドがやや落ち着いたのを見て取り、クローディアは言う。
ハンター達とミルドは頷き、地上との連絡通路を足早に目指した。
●地下水路の攻防
「……っッ、来たみたいね」
「どうにか雑魔の気をひいてみよう。その間に抜けてくれ」
作業路をしばらく進むと、水路の水面が微かに揺れ動き……次いで派手な水音が爆発し、大粒の水滴が作業路を叩いた。わらわらと、作業路へ降り立つ異形の数は四体。
アルスレーテは咄嗟に身構え、真は懐へ忍ばせた干し肉を作業路の端へ投げつけると同時、ソウルトーチを発動した。途端、真の体が眩いばかりの赤光に包まれ、雑魔達の動きが一瞬、凍りつく。その隙に、
「落ちろ!」
「今、ですねっ!」
クローディアと千秋が、目の眩んだ雑魔へ距離を詰め、それぞれ牽制目的で武器を振るう。クローディアは深く身を沈ませて、両の切っ先を一気に掬い上げ……千秋もまた、低い姿勢から雑魔の顎先をトンファーで打ち据えた。一瞬後、雑魔二体の重心が崩れ、仰け反るように水路へ落ちる。
アルスレーテは真っ先に干し肉へ気をとられた雑魔を、横殴りに振り切った鉄扇で壁際まで叩きつけた。障害となるのは、残り一体。
そこへ、小夜が刃を大上段に構え――瞬間、地を蹴って、彼我の間合いを一瞬で詰める。半身となった体勢から、弧を描く銀閃が伸び上がるように瞬き、関節部の隙間を穿ち抜くッ。
「さぁ、今の内だよ!」
雑魔を見て恐怖がフラッシュバックしたのか、固まったミルドの手を、アルトは強引に引いて駆け出した。
「後で手伝いにくるから、頑張って~」
アルト達の先を走る小夜が顔半分だけ振り返り、掃討班のハンター達へ小さく手を振った。
●それぞれの戦い
「ミルドさん、少しの間、目を瞑ってくれないかな? 大丈夫、ボクが手を引くからさ」
作業路を駆ける事、しばらく……アルトがミルドを振り返り、唐突に口にした。
「ぇ? な、なんで?」
ミルドが困惑したように聞き返し、小夜はその思惑を悟る。
「少しだけど、雑魔の気配がするんだよ。なるべく避けるけど、雑魔と出遭っちゃったら、また固まるかもしれないでしょ? だから、私達を信じて抜けるまで目を瞑ってて~」
「わ、解ったっ」
咄嗟に口にした小夜の誤魔化しをミルドは信じ、慌てたように目を瞑る。
アルトも小夜も、できればこの道は避けたかった。ミルドの同僚が、無残な死の跡を晒すこの場所は。……しかし、この道が最短ルート。仲間達が雑魔の相手をしている以上、ミルドを急いで地上へ逃がし、直ぐにでも戻る必要があるのだ。
「……よし。もう目を開けても大丈夫だよ、ミルドさん。ボク達を信じてくれて、ありがとう」
「うん、ここまで来れば地上はもう少しだよ~。頑張ろう」
……やがて。
問題の場所を抜けて、アルトと小夜がミルドを労わるように口を開いた。ミルドは恐る恐る目を開け、雑魔の姿がない事にほっと安堵する。
そうしてハンター達は、急いで地上を目指した。
「よーし。黒猫さんマルチーズさん、お願いしますぅ」
軽い口調で千秋が号令し、黒猫とマルチーズは主の対峙する雑魔……右腕の関節を貫かれ、そこから体液を滴り落とす雑魔の足元へ駆け寄った。
雑魔は足元へ纏わり付くように駆ける、二匹の動物へ鬱陶しそうに身動ぎした。その隙に、千秋は一足飛びに距離を詰め、トンファーを跳ね上げる。最短距離を突っ切ったトンファーが下顎へぶち当たり、その甲殻を僅かに打ち砕いた。パラパラと甲殻の破片が降る……が、雑魔は怯まず、左の鋏を叩きつけようと持ち上げ、
「させないわよ」
小さな呟きが千秋と雑魔の耳朶を叩き、風となって流れ去った。
一瞬で雑魔の右側面へ回り込んだアルスレーテが、雑魔の頭蓋へ手を伸ばして、鎧徹し――凄まじい衝撃が雑魔の頭蓋へ流れ込み、内側から盛り上がるように爆砕した。耳に痛い破裂音と共に、頭蓋の中身が降り注ぐ。
「あ、ありがとうございますぅ! ……ッ、とぉっ、」
今の隙に、するすると近寄ってきた雑魔が、千秋の足元にいる黒猫とマルチーズを狙い……千秋は咄嗟に二匹の前へ出て、庇うようにトンファーを打ち放った。不安定な体勢から繰り出したトンファーは、威力が乗らず狙いも逸れ、甲高い音と共に外殻へ当たって弾かれる。
雑魔の小さな双眸がギョロリと蠢き、その標的は千秋へ移った。……が、
「させないって、言ってるでしょ」
雑魔の死角から音もなく忍び寄ったアルスレーテが、雑魔の胸板へそっと掌を添え――刹那、雑魔の身体が大きく震え、口腔内から体液に臓腑、胃の内容物を噴き出した。アルスレーテの放った鎧徹しが、逃げ場のない破壊エネルギーとなって、雑魔の体内を暴れ回ったのだ。
雑魔は自らの吐瀉物に頭から突っ込み、そして息絶えた。
「……はぁッ!」
真は裂帛の気合を吐き出し、身を落として疾走する。彼我の距離が瞬時で消え去り、雑魔は頭上から叩きつけるような勢いで鋏を振り下ろした。真は右脚を軸に体重移動しつつ、流れるような体捌きで半身となった。豪風を纏った鋏が真の眼前を過ぎ去り、長い黒髪がふわりとなびく。
雑魔の腕が伸び切り、甲殻の隙間が覗き――覗いた隙間へ、真は素早く銃口を潜り込ませた。その瞬間、轟音が鳴り響く。連続して発射された鉛玉が、雑魔の体内を暴れ、蹂躙し……雑魔は口腔内から、ごぼりとドス黒い体液を吐き出した。
身を襲う激痛と衝撃からか、雑魔は固まったように動かない。
「止めだ」
真は淡々と口にし、素早く銃を収める。次いで刀を上段へ構え、渾身撃――唐竹割りに斬り下ろすッ。弧を描く斬撃が、ぶれるような紫電の残像を描きながら雑魔へ襲い掛かり――雑魔の外殻を突き破り、柔い体内を容赦なく破壊した。
刀身を伝う電熱で、肉の焼け焦げる臭気と、体液の蒸発する悪臭が微かに立ち昇り……雑魔は断末魔の叫びもなく、絶命した。
己へ向かって突進してくる雑魔を、クローディアは微かに重心を引き、半身となって身構えた。瞬間、雑魔の右鋏が横殴りに襲い掛かり――クローディアは一歩を踏み込みつつ、低く身を旋回させる。鋏が空振り、クローディアの視界へ映るのは、雑魔の背面。そこへクローディアは、旋回の遠心力を上乗せした二刀を鋭く走らせるッ。
空を引き裂く二条の斬閃が、雑魔の甲殻をぶっ叩き――ぴしり、とひび割れる。雑魔は、意図せぬ背後からの衝撃でたたらを踏み、その動きが鈍った。
「もう一つ、喰らっておけ」
動きの鈍った雑魔へ、クローディアは呟くように言い――ひび割れた箇所を狙い、二刀を振り下ろすッ。空を唸らせる二条の剣撃が、雑魔の甲殻へ降り注ぎ……微かに狙いが逸れるも、超高速で振動する双刃は、今度こそ雑魔の甲殻を破壊した。
背を襲う凄まじい衝撃の連続に、雑魔は耐え切れず、ドゥッとうつ伏せに突っ伏す。
「反撃の隙は与えん。終わりだ」
起き上がろうと身動ぎする雑魔の背面を片足で踏みつけ、クローディアは破壊した甲殻の隙間から両の刃を突き込んだ。そのまま遠慮容赦なく、体内を引っ掻き回していく。
雑魔の身体が、痙攣したようにびくんと大きく震え……そして、決着した。
●その後
戦闘が終わって一分ほど後……。
真、クローディア、アルスレーテ、千秋が『ミルド達を追いかけよう』と一歩踏み出したところで、小夜とアルトが通路を曲がり、駆けて来るのが視界へ映った。
「あー、もう終わっちゃったのかー。流石だね~」
開口一番、小夜は感心したように戦闘の跡を見回し、うんうんと頷く。
「ミルドさんは、大丈夫でしたかぁ?」
ミルドの精神状態を案じて、千秋が心配そうに問う。
「大丈夫。ボク達がちゃんと地上まで送り届けたよ。それに、思ったよりは落ち着いていたよ」
アルトは千秋へ応えつつ、足元のハスキーへ仕草で促す。ハスキーは喉を鳴らしながら、まだ残っていた雑魔の死体へ近寄り……その匂いを覚えるように、ふんふんと鼻を鳴らした。
「まっ、まだ体力は残ってるしねぇ。依頼内容も『ミルドの救出と、可能な限りの雑魔の掃討』だったし。うん、付き合うわよ」
アルトの意図を理解したアルスレーテが、小さく右手を上げ……他のハンター達も頷く。千秋は慌てたように、マルチーズへ雑魔の匂いを嗅がせていた。
「事前情報だと、発生した雑魔はそう多くない。居るとしても、残りは僅か……掃討は充分に可能だろう」
「そうだな。対峙した感覚だと、そこまで強くもない……。油断さえしなければ、まだまだ対処できるだろうな」
真は冷静に分析し、クローディアが静かに同意する。
「うん。『死体が消える前に』と思って、こちらを優先したけど……。匂いを覚えさせたら、まずは作業員の彼を弔ってあげたいな」
「……確かに。あのまま野晒しは、可哀想だよね」
ぽつりと呟くようにアルトと小夜が漏らし……ハンター達は、無言で首肯する。
そうしてハンター達は、雑魔の匂いを嗅ぐ犬達へ目を落とした。
……それから二十分後。
ハンター達は、もう二体の雑魔を掃討するのに成功し……作業員の残った遺体も回収して、燦々と陽の降り注ぐ地上へ戻っていた。
作業路の両側を等間隔に設置された作業灯。それらがぼんやりと頼りなく闇を払い、鼻を突くような異臭の立ち込める地下水路内……その作業路を六つの人影が疾走し、その足元には小さな動物の影達が追走していた。
「急がないといけないな」
自ら素早く書き写し、全員に配った地下水路の地図へちらりと目を落とし……アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、地を滑るような無駄のない足捌きで先頭を走る。
「きっと大丈夫だよ~。初動も含め、ここまでダッシュで来たんだし!」
玉兎 小夜(ka6009)は、俊敏に駆けながらも周囲を警戒しつつ、緊張をほぐすように笑う。
「いつもこの異臭の中作業してる作業員さん方には感謝しなきゃね……」
アルトが口元へ巻いた手拭を羨ましそうに見詰め、アルスレーテ・フュラー(ka6148)は微かに顔を顰めた。
――と、その時。全員の足が、僅かに鈍った。
ハンター達の視界に小さく映るのは、作業路へぶちまけられたように大きく広がる血溜まり。距離が近付くにつれて、鉄錆染みた血臭が作業路内の悪臭と混じり……飛び散った肉片に内臓の欠片、そしてビリビリに千切れた布切れが血溜まりに浮かんでいるのが大きく映り、ハンター達の顔が強張る。
『犠牲となった、作業員の末路』六人の脳裏に、そんな言葉が小さく過ぎる。
「ミルドの救出が最優先だな。急ごう」
僅かに鈍った足を叱咤するように動かし、クローディア(ka3392)は昂ぶった感情を抑え、低い声音を出す。
「そうだな。彼の弔いは、その後だ」
方向感覚で脳内に最短距離を描きながら、鞍馬 真(ka5819)は小さく眉を顰める。
「ミルドさんの救出が最優先、ですね。急ぎましょう」
惨状を通り過ぎざま、ちらりと顔半分だけ振り返り、小宮・千秋(ka6272)は、ほんの一瞬、祈るように目を閉じて……直ぐに前だけを見据え、足先に力を篭めた。
●救出
「あれね。良かった、どうにか間に合ったみたい」
アルスレーテは呟くように言い、地を強く蹴り抜いた。他のハンター達も一瞬で状況を把握し、素早く武器を引き抜いて疾走する。
ハンター達の目に飛び込んできたのは、古い木枠の扉を力任せに叩き割ろうとしている二体の異形だった。鋏状に硬質化した腕を断続的に叩きつけ、木枠の扉が悲鳴を上げる。瞬時の判断、ハンター達は二手に別れ、それぞれ雑魔へ襲い掛かった。
「これ以上は、させん」
「えぇ、させませんよぅ!」
真が鋭く叫び、千秋が力強く頷く。
雑魔の懐深くまで飛び込んだ真が、紫電を纏った切っ先を鋭く跳ね上げた。跳ね上がった切っ先は、雑魔の右腕――甲殻の隙間、関節部へ獰猛な勢いで喰らいつき、柔い中身を引き裂いて裂断する。どしゃり、と巨大な鋏が地面へ落ち、迸る煌めきが宙を流れた。
小夜は、痺れたように動きの固まる雑魔の右側面へ回り込み――半身の姿勢から、水平に寝かせた刀身を、右腕の傷口めがけて一気に穿ち込む。バネ仕掛けの勢いで飛び込みざまに撃ち放った疾風剣は、傷口から首元までを貫通し、雑魔の体液が弾けた。
そこへ一歩遅れて、千秋が腕を振り被って震撃――垂れ下がった雑魔の頭部へ向け、空を唸らせるトンファーが最短距離を突っ切り、上段から襲い掛かるッ。瞬間、甲高い轟音が響き、雑魔の頭蓋が陥没して崩れ落ちた。
もう一体も、既に決着していた。
アルトは踏鳴から散華を発動――作業路を蹴り砕く勢いで間合いを殺し、刃を横薙ぎに振り抜いた。薄闇を引き裂く苛烈な銀光が、雑魔の上半身と下半身を両断し、傷口から溢れた体液が地を叩く。雑魔の上半身が、どしゃりと地に落ちた。
それでも、もがくように両の鋏を動かしていたが、アルスレーテが頭部に掌を添えて鎧徹し、クローディアが左右から超高速振動する二刀の白刃を叩きつけ――雑魔の頭蓋が爆砕し、中身ごと細切れと化した。
決着と同時、ハンター達は壊れかけた扉の前へ立つ。
「ミルドさんだね? ボク達は、レムさんからきみの救助の依頼を受けたハンターだ。ここを開けてくれないかな?」
大声で、しかし安心させるような優しい響きを乗せ、アルトは扉越しに語りかけた。……ややあって、
「き、救助かッ? き、来てくれたのか!」
扉がゆっくりと開き、憔悴しきった様子の男――ミルドが顔を覗かせた。
「私達が来たからには、もう安心だよー。ほれ、とりあえず落ち着くためにお茶のめー」
精神が磨耗し、怯えきった形相のミルドに、小夜は温かいお茶を差し出した。
「……ぇ? ぁ、あぁ、ありがとう」
ミルドは予想外だったのか、若干どもって、でも安心したように受け取る。受け取った両手は、それでもまだ小刻みに震えていたが……お茶の温かさに触れ、ゆっくりとだが震えが収まっていった。
ハンター達は、ミルドが落ち着くのをしばし待った。
「……よし。では、戻るとしようか」
お茶を飲み干し、ミルドがやや落ち着いたのを見て取り、クローディアは言う。
ハンター達とミルドは頷き、地上との連絡通路を足早に目指した。
●地下水路の攻防
「……っッ、来たみたいね」
「どうにか雑魔の気をひいてみよう。その間に抜けてくれ」
作業路をしばらく進むと、水路の水面が微かに揺れ動き……次いで派手な水音が爆発し、大粒の水滴が作業路を叩いた。わらわらと、作業路へ降り立つ異形の数は四体。
アルスレーテは咄嗟に身構え、真は懐へ忍ばせた干し肉を作業路の端へ投げつけると同時、ソウルトーチを発動した。途端、真の体が眩いばかりの赤光に包まれ、雑魔達の動きが一瞬、凍りつく。その隙に、
「落ちろ!」
「今、ですねっ!」
クローディアと千秋が、目の眩んだ雑魔へ距離を詰め、それぞれ牽制目的で武器を振るう。クローディアは深く身を沈ませて、両の切っ先を一気に掬い上げ……千秋もまた、低い姿勢から雑魔の顎先をトンファーで打ち据えた。一瞬後、雑魔二体の重心が崩れ、仰け反るように水路へ落ちる。
アルスレーテは真っ先に干し肉へ気をとられた雑魔を、横殴りに振り切った鉄扇で壁際まで叩きつけた。障害となるのは、残り一体。
そこへ、小夜が刃を大上段に構え――瞬間、地を蹴って、彼我の間合いを一瞬で詰める。半身となった体勢から、弧を描く銀閃が伸び上がるように瞬き、関節部の隙間を穿ち抜くッ。
「さぁ、今の内だよ!」
雑魔を見て恐怖がフラッシュバックしたのか、固まったミルドの手を、アルトは強引に引いて駆け出した。
「後で手伝いにくるから、頑張って~」
アルト達の先を走る小夜が顔半分だけ振り返り、掃討班のハンター達へ小さく手を振った。
●それぞれの戦い
「ミルドさん、少しの間、目を瞑ってくれないかな? 大丈夫、ボクが手を引くからさ」
作業路を駆ける事、しばらく……アルトがミルドを振り返り、唐突に口にした。
「ぇ? な、なんで?」
ミルドが困惑したように聞き返し、小夜はその思惑を悟る。
「少しだけど、雑魔の気配がするんだよ。なるべく避けるけど、雑魔と出遭っちゃったら、また固まるかもしれないでしょ? だから、私達を信じて抜けるまで目を瞑ってて~」
「わ、解ったっ」
咄嗟に口にした小夜の誤魔化しをミルドは信じ、慌てたように目を瞑る。
アルトも小夜も、できればこの道は避けたかった。ミルドの同僚が、無残な死の跡を晒すこの場所は。……しかし、この道が最短ルート。仲間達が雑魔の相手をしている以上、ミルドを急いで地上へ逃がし、直ぐにでも戻る必要があるのだ。
「……よし。もう目を開けても大丈夫だよ、ミルドさん。ボク達を信じてくれて、ありがとう」
「うん、ここまで来れば地上はもう少しだよ~。頑張ろう」
……やがて。
問題の場所を抜けて、アルトと小夜がミルドを労わるように口を開いた。ミルドは恐る恐る目を開け、雑魔の姿がない事にほっと安堵する。
そうしてハンター達は、急いで地上を目指した。
「よーし。黒猫さんマルチーズさん、お願いしますぅ」
軽い口調で千秋が号令し、黒猫とマルチーズは主の対峙する雑魔……右腕の関節を貫かれ、そこから体液を滴り落とす雑魔の足元へ駆け寄った。
雑魔は足元へ纏わり付くように駆ける、二匹の動物へ鬱陶しそうに身動ぎした。その隙に、千秋は一足飛びに距離を詰め、トンファーを跳ね上げる。最短距離を突っ切ったトンファーが下顎へぶち当たり、その甲殻を僅かに打ち砕いた。パラパラと甲殻の破片が降る……が、雑魔は怯まず、左の鋏を叩きつけようと持ち上げ、
「させないわよ」
小さな呟きが千秋と雑魔の耳朶を叩き、風となって流れ去った。
一瞬で雑魔の右側面へ回り込んだアルスレーテが、雑魔の頭蓋へ手を伸ばして、鎧徹し――凄まじい衝撃が雑魔の頭蓋へ流れ込み、内側から盛り上がるように爆砕した。耳に痛い破裂音と共に、頭蓋の中身が降り注ぐ。
「あ、ありがとうございますぅ! ……ッ、とぉっ、」
今の隙に、するすると近寄ってきた雑魔が、千秋の足元にいる黒猫とマルチーズを狙い……千秋は咄嗟に二匹の前へ出て、庇うようにトンファーを打ち放った。不安定な体勢から繰り出したトンファーは、威力が乗らず狙いも逸れ、甲高い音と共に外殻へ当たって弾かれる。
雑魔の小さな双眸がギョロリと蠢き、その標的は千秋へ移った。……が、
「させないって、言ってるでしょ」
雑魔の死角から音もなく忍び寄ったアルスレーテが、雑魔の胸板へそっと掌を添え――刹那、雑魔の身体が大きく震え、口腔内から体液に臓腑、胃の内容物を噴き出した。アルスレーテの放った鎧徹しが、逃げ場のない破壊エネルギーとなって、雑魔の体内を暴れ回ったのだ。
雑魔は自らの吐瀉物に頭から突っ込み、そして息絶えた。
「……はぁッ!」
真は裂帛の気合を吐き出し、身を落として疾走する。彼我の距離が瞬時で消え去り、雑魔は頭上から叩きつけるような勢いで鋏を振り下ろした。真は右脚を軸に体重移動しつつ、流れるような体捌きで半身となった。豪風を纏った鋏が真の眼前を過ぎ去り、長い黒髪がふわりとなびく。
雑魔の腕が伸び切り、甲殻の隙間が覗き――覗いた隙間へ、真は素早く銃口を潜り込ませた。その瞬間、轟音が鳴り響く。連続して発射された鉛玉が、雑魔の体内を暴れ、蹂躙し……雑魔は口腔内から、ごぼりとドス黒い体液を吐き出した。
身を襲う激痛と衝撃からか、雑魔は固まったように動かない。
「止めだ」
真は淡々と口にし、素早く銃を収める。次いで刀を上段へ構え、渾身撃――唐竹割りに斬り下ろすッ。弧を描く斬撃が、ぶれるような紫電の残像を描きながら雑魔へ襲い掛かり――雑魔の外殻を突き破り、柔い体内を容赦なく破壊した。
刀身を伝う電熱で、肉の焼け焦げる臭気と、体液の蒸発する悪臭が微かに立ち昇り……雑魔は断末魔の叫びもなく、絶命した。
己へ向かって突進してくる雑魔を、クローディアは微かに重心を引き、半身となって身構えた。瞬間、雑魔の右鋏が横殴りに襲い掛かり――クローディアは一歩を踏み込みつつ、低く身を旋回させる。鋏が空振り、クローディアの視界へ映るのは、雑魔の背面。そこへクローディアは、旋回の遠心力を上乗せした二刀を鋭く走らせるッ。
空を引き裂く二条の斬閃が、雑魔の甲殻をぶっ叩き――ぴしり、とひび割れる。雑魔は、意図せぬ背後からの衝撃でたたらを踏み、その動きが鈍った。
「もう一つ、喰らっておけ」
動きの鈍った雑魔へ、クローディアは呟くように言い――ひび割れた箇所を狙い、二刀を振り下ろすッ。空を唸らせる二条の剣撃が、雑魔の甲殻へ降り注ぎ……微かに狙いが逸れるも、超高速で振動する双刃は、今度こそ雑魔の甲殻を破壊した。
背を襲う凄まじい衝撃の連続に、雑魔は耐え切れず、ドゥッとうつ伏せに突っ伏す。
「反撃の隙は与えん。終わりだ」
起き上がろうと身動ぎする雑魔の背面を片足で踏みつけ、クローディアは破壊した甲殻の隙間から両の刃を突き込んだ。そのまま遠慮容赦なく、体内を引っ掻き回していく。
雑魔の身体が、痙攣したようにびくんと大きく震え……そして、決着した。
●その後
戦闘が終わって一分ほど後……。
真、クローディア、アルスレーテ、千秋が『ミルド達を追いかけよう』と一歩踏み出したところで、小夜とアルトが通路を曲がり、駆けて来るのが視界へ映った。
「あー、もう終わっちゃったのかー。流石だね~」
開口一番、小夜は感心したように戦闘の跡を見回し、うんうんと頷く。
「ミルドさんは、大丈夫でしたかぁ?」
ミルドの精神状態を案じて、千秋が心配そうに問う。
「大丈夫。ボク達がちゃんと地上まで送り届けたよ。それに、思ったよりは落ち着いていたよ」
アルトは千秋へ応えつつ、足元のハスキーへ仕草で促す。ハスキーは喉を鳴らしながら、まだ残っていた雑魔の死体へ近寄り……その匂いを覚えるように、ふんふんと鼻を鳴らした。
「まっ、まだ体力は残ってるしねぇ。依頼内容も『ミルドの救出と、可能な限りの雑魔の掃討』だったし。うん、付き合うわよ」
アルトの意図を理解したアルスレーテが、小さく右手を上げ……他のハンター達も頷く。千秋は慌てたように、マルチーズへ雑魔の匂いを嗅がせていた。
「事前情報だと、発生した雑魔はそう多くない。居るとしても、残りは僅か……掃討は充分に可能だろう」
「そうだな。対峙した感覚だと、そこまで強くもない……。油断さえしなければ、まだまだ対処できるだろうな」
真は冷静に分析し、クローディアが静かに同意する。
「うん。『死体が消える前に』と思って、こちらを優先したけど……。匂いを覚えさせたら、まずは作業員の彼を弔ってあげたいな」
「……確かに。あのまま野晒しは、可哀想だよね」
ぽつりと呟くようにアルトと小夜が漏らし……ハンター達は、無言で首肯する。
そうしてハンター達は、雑魔の匂いを嗅ぐ犬達へ目を落とした。
……それから二十分後。
ハンター達は、もう二体の雑魔を掃討するのに成功し……作業員の残った遺体も回収して、燦々と陽の降り注ぐ地上へ戻っていた。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/22 01:15:55 |
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作戦相談卓 玉兎 小夜(ka6009) 人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/06/24 03:12:40 |