• 詩天

【詩天】石鶯と山菜

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2016/06/25 19:00
完成日
2016/06/28 06:20

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 東方は詩天に首都警備隊が発足された。
 大きく触れ込んだ話であるが、実態は浪人や田舎剣士の集まりである。
 少し外れたところに構えた古い神社に隊士達が詰めている。
 基本的に寮生活であり、朝に起き、稽古をして、幹部より割り当てられた任務を遂行するという生活形式だ。
 隊内の生活は世話役がおり、毎日交代で世話役の手伝いにつくいている。
 しかし、家事もろくに出来ない、しない隊士が九割の中、世話役ばかり仕事が増えてしまうのが日常。

「おかず、どうしよう」
 ため息をつくのは身の回りの世話役である秋吉摩耶。
 正直な話、即疾隊には金がない。
 元々歪虚より襲撃を受けて壊滅しかけた地域であり、現在も復興の真っ只中。その最中にも関わらず、千石原の乱が起きてしまった。
 ただのお家騒動では収束することがなく、武力衝突までに発展していたという。
 戦となれば金が消えていき、経済が一気に傾くのは当然のこと。
 詩天を治める三条家の財政が苦しい中、街の荒廃を抑えるために発足されたのだから、捻出される金も少ない。
 隊士達は何だかんだで育ち盛りの若者が多い。
 行く宛てもないので、稽古に勤しむ事が多く、食欲もやっぱり旺盛。
 目下の悩みは食材である。
 勝手口の近くで悩んでいた摩耶に近隣のおばあちゃんが顔をひょっこりと出した。近くに隊士がいないかきょろきょろしながら。
「皆、稽古の時間だからいないわよ」
 くすくすと笑いつつ、摩耶はおばあちゃんの方へと向かう。
「摩耶ちゃん、最近山菜はどうかい?」
「山菜?」
 きょとんとなる摩耶におばあちゃんが教えてくれたのは即疾隊がある梅鴬神社の裏山には山菜よく生えており、山を越えると、川が流れており、川魚も獲れるという。
 裏山に行くには必ず、梅鴬神社を通らなければならないので、近隣の住民は他に知ってる場所で山菜を取ってるという。
「なんだか、居た堪れねぇ話だなぁ。わりぃなぁ。ばあちゃん」
「気にすんでねぇ、摩耶ちゃんが少しでも楽になってくれたらと思って……な!?」
 突然混じってきた男の声におばあちゃんがぎょっとする。
「……局長さん……」
 摩耶が声をかけると、おばあちゃんは「ひぇぇ……」と呟いて勝手口の戸にしがみ付く。
「折角だからよ。隊士の訓練兼ねて、遠出しようぜ」
「わかりました」
「慣れない大仕事でお前さんが少しでも楽できるように、ハンターを呼ぶ」
「ハンターに?」
 目が点になる摩耶とおばあちゃんを見た江邨はクカカカと笑う。
「ハンターには料理上手も多いって話だからよ。今晩のメシくらいは作ってもらえばいい」
「はい!」
 人手が多いと何かと楽になる。ハンターに期待を寄せる摩耶は目を輝かせて素直に頷いた。

リプレイ本文

 詩天に着いたハンター達は七葵(ka4740)とルイトガルトの案内で即疾隊の屯所に到着した。
 入り口前ではもう隊士達が山登り準備で必要な石を集めており、ハンターの到着はすぐに局長たちへ知らされる。
「あらあらあら! いらっしゃい!」
 天の助けを見たかのような摩耶の機嫌は高く、有頂天といったところだ。
「遠くからありがと……って、それは何?」
 摩耶が閏(ka5673)と門屋 銀(ka5680)が持つ大徳利に目を瞬く。
「これは甘酒です。夏は暑さで何かと食欲が失われますし、栄養も偏ったりしますので、山登りより戻られたら時に飲んでもらえたらと思いまして」
 用意のいい閏の気遣いに摩耶はハンター達を拝みだしてしまう。
「……摩耶、挙動がおかしいぞ、落ち着け」
 静かに嗜めたのは副局長の前沢だ。
「おぅおぅ、よくきてくれたな」
 前沢と一緒に現れた局長の江邨がハンター達を労わると、「じゃ、宜しくな」と言って執務に戻る。

 今回の依頼は食材探しと家事手伝い。
 ハンター達は二手に分かれて行動することになった。
 ステラ=ライムライト(ka5122)より採ってくる食材をメモをしていくのは七葵。
 隊士達の山登りに参加する予定であり、背にはもう石をつめた風呂敷を背負っている。
 一方で、隊士達の視線を集めているのはルイトガルト・レーデル(ka6356)と美風(ka6309)。
「いい石を見つけてきました!」
 両手で軽々と持ち上げる石は美風の顔よりも大きい石。小石を集めても風呂敷から落ちるのではないかと心配して大きい石を探し出してきたようだ。
 どこでそんな石を持ってきたんだ? つか、庭の石……という隊士達の呟きにも気にせずに美風は風呂敷に石を包み背負うのだが。上手く背負えない。
 危なっかしさもあって、隊士の壬生和彦が美風を手伝う。
 顔を上げた美風と和彦の目が会う。
「ありがとうございます……べ、別に、一人で出来ますっ」
 ぱっと離れる美風にあっけにとられる和彦だが、ルイトガルトと、合流した七葵に声をかけられた。
「あの年頃の子はなにかと突っぱねることが多い」
「自分にも心当たりがあるような気がします」
 くつりと、笑むルイトガルトに和彦は頷く。

 家事手伝い組は見張り役の数人の隊士と局長、副局長しか残らない屯所の中で掃除を始める。
 この時期の東方は雨がよく続くのだが、今日は梅雨晴れの日で、一気に掃除をして洗濯してしまおうという算段だ。
 洗濯するものはすべて縁側に出してしまう。
 各部屋の中は基本的に隊士達に掃除をさせているが、やらない者も多いので、何かと埃っぽい。
 まずは埃っぽい空気を換えようと、ステラが戸をあけて風の流れをよくする。
「摩耶さん、局長さん達の方も?」
 振り向いたステラの髪が太陽の光を反射して煌く。
「あの人達の部屋は大丈夫よ」
 摩耶は洗濯する為の盥を用意しており、ステラは軽やかな足取りで掃部へと向かう。
 奥の部屋から閏と銀が埃を叩いていた。
「銀さん、すみませんがこのはたきを使って高い所の掃除をお願いできませんか?」
「おう、任せろ」
 閏のお願いに応えた銀がはたきを受け取り、閏が指し示したところから叩くと、力が強すぎたのか、埃が立ってしまう。
「あ、閏さん、門屋さんにこれをどうぞ」
 見かねた摩耶が口あてにと手ぬぐいを閏へと差し出す。
「助かります」
 微笑む閏が手ぬぐいを受け取り銀へと渡す。
「……助かる」
 いろんな意味で。


 山登組で殿を務めるのは七葵とルイトガルト。
 大人に遅れを取りたくない意向なのか、美風は隊士達の中を歩いている。
 隊士達は最初はしゃべりながら歩いていた。
 私語の内容は「面倒」「暑い」などといったもので、先輩隊士達は意に介さず、黙々と歩いている。
 そんな中、三人ほどの隊士の動きが鈍くなった。
 すぐ後ろを歩いていた美風は隊士達が具合が悪いのかと思ったが、先ほどまで元気に喋っていたはずだと、不思議そうに首を傾げる。
 美風も一緒に動きを合わせて遅らせた。
 曲道に入ったところでその三人組はタイミングを見て脇の茂みに飛び込んだ。
 その瞬間をハンター達が確認すると、美風が動くという意思表示をして、ルイトガルトが補助に残るという様子を見せる。
 七葵は了解し、そのまま歩き続けた。
 さて、茂みの中では三人の不良隊士が背負っていた風呂敷を下ろしてぐったりと休憩している。
「あーもー、やってらんねぇ」
「こんな暑い日にやるかよ」
「ほんとだよ」
 三人三様に口々に言っていると、一人が石を詰めている風呂敷の包みを開ける。
「え、石を増やすんですか!」
 驚いた声を上げる美風に隊士達は肩を竦めて驚く。
「な、何でついてくるんだよ!」
 隊士の一人が怒鳴っても美風は気にしていないし、怯んでもいない。
「暑いから気分が悪くなったのかと思ったんですが、凄く元気で安心しました」
 にっこり笑う美風に隊士達は口ごもる。
「即疾隊は厳しい警備隊だって聞きました。課せられたことに留まらず、更に課題を積もうとする姿勢は凄いです」
 意気込む美風の言葉に隊士達は唖然とするものの、子供の美風ならサボるダシに使えるかもしれないと考える。
「それは良い心がけだな」
 美風へ手を伸ばそうとした隊士達の手を引っ込めるに十分な声が三人に浴びせられる。
「ルイトガルトさん、凄いですよね」
「ああ」
 後ろから現れたルイトガルトに美風が振り向くと、彼女は口の端を笑みに引き、ゆっくり頷いて同意する。
「強き者は、たとえ高慢な態度をとろうとも、その努力を惜しまない。貴様らもまた、そうである姿勢であるのだな?」
 茂みの薄暗い中でのルイトガルトの赤い目はどこか危険を孕んだものを感じる。
 女であるが、何故か、手が出せない。
 当のルイトガルトは、言い方がキツくならないように配慮していたのだが、異国の者であるのと、この辺りでは珍しい髪と瞳の色に尻込みをした隊士達は二人の言葉を肯定し、手近な石を風呂敷に詰めた。
「では、再び出発です!」
 ということで、サボった隊士を回収して合流する。

 高いところより落とされた埃を掃いているステラは綺麗な金髪が埃に塗れないようにと手ぬぐいを被っていた。
「おぅ、頑張ってるな」
「はいっ」
 局長が声をかけると、ステラが笑顔で頷く。
「あれ、お出かけですか?」
 先ほど挨拶をしていたときは羽織は着ていなかった局長だが、今は着ている。
「あぁ、これから出かける。まぁ、一刻もしないで戻ってくるさ。後は宜しくな」
「はい。いってらっしゃいませ!」
 ステラが局長を見送ると、とりあえず、摩耶へ局長が出かけた旨を伝えにいった。

 別の部屋から掃き掃除をしていた銀は周囲を見回す。
「掃きやすいな」
 ぽつりと呟いた銀はそれほど即疾隊に物資がないというのを察してしまう。
 隊士達の部屋も少しの着替えくらいなものであり、皆が集まる部屋に将棋盤が一つと本が棚に仕舞われている程度。
 副局長の部屋近くの廊下を掃いていた銀だが、副局長の部屋の戸がからりと、開いた。
「ご苦労。換気がしたかったんだ。しばし開けている」
「わかった。今そっちを掃こう」
 前沢が銀を労わると、部屋に引っ込み、文机の前に座って書面に書付を行っていた。
 業務を行う部屋は別にあるというが、今回掃除をしてくれるとの事で、局長副局長は自室にもっていった模様。
 ちなみに、副局長の部屋は隊士達が雑魚寝で寝る部屋とは違う。個室であり、文机と小さな灯心がある程度。
「助かる」
 銀が掃いた後、前沢が礼を言った。

 井戸端では摩耶と閏が向かい合ってたくさんの洗濯物を洗っている。
 問題はやはり、汗ジミ。
 丁寧に揉み洗いをして落としていく。
「手早いね」
「何かと慣れます」
 摩耶の言葉に閏が嬉しそうに笑う。
 太陽も高く上り、気温が上がってきている。二人でせっせと汗まみれになりながら洗っていく。
 掃き掃除を終えたステラは洗濯の手伝いに入ろうとする。
「そろそろすすぎますので」
 閏が言えば、ステラが水を汲もうと手を伸ばす。
「あ、洗濯?」
「お疲れだね」
 見張り役のお留守番隊士達が声をかけてきた。
「どうしましたか?」
 閏が声をかけると、隊士達は暑いので顔と手を洗いにきたと言った。
「これからすすぐんで、お水汲んでもらえませんか」
「お、ここに掛ければいいの?」
 ステラのお願いに隊士達が快く井戸の水をくみ上げて思いっきり盥に投げ入れる。
「わっ」
「きゃっ!」
 思いっきり入れたおかげで水が跳ね返り飛沫が皆にとんできた。
「こらー!」
「ははは!」
「涼しいだろ!」
 摩耶が怒ると、隊士達が笑いながらもう一度盥に水をかける。
「もー、いけませんよ」
 閏の着物にも飛沫がかかってしまったが、このくらいならすぐに乾くだろう。
「何やってんだか」
 呆れ声の銀が物干し用竿を持ってくる。
 留守番の隊士も巻き込んで皆で洗濯物を干していった。


 脱落者も今のところはいないものの、山の斜面を歩き続けており、少しずつ口数が減っていった。
 ふと、七葵は茂みの奥にのようなフキのような茎と葉を見つける。
「とってくる」
 ルイトガルトに声をかけて七葵が道脇の茂みの中へと入っていく。
「ちょっと育ちすぎてるか……」
 少し奥までいくと、採れ頃なフキを見つけて刈っていく。
 あまりとりすぎるのもよくないので、ほどほどにしてきた道を戻る。
 茂みより戻ってきた七葵が鉢合わせしたのは二人の若い隊士。
「げっ」
「なにしてたんだよ」
 七葵の姿を見た隊士達がぎょっとして声をあげる。
 どうやら脱走しようとしてたようだ。
 しばしの沈黙の後、七葵は口を開く。
「今日の食事は豪勢だ」
「え!」
 きっぱりと言い切った七葵の言葉に二言はなく、更に七葵は追撃をする。
「戻ったらまずは甘酒が用意されている。俺達の仲間が昨日から丹精こめて作ってきた。大徳利にして六本ほどだ」
 甘酒の言葉に隊士達の目が変わる。
 即疾隊の窮状を察してしまい、少々辛くなるが、更に七葵は予定されている献立をあげていく。
「その籠のフキも……?」
「煮物にするといってた。甘酒を作った奴は塩お握りが上手いそうだ。煮物とよくあうだろう」
 七葵の声に隊士達は顔を見合わせる。
「今すぐ戻れば誰もわからないだろう。局長も副局長も」
 最後の一声に隊士達は戻っていき、やれやれといった様子で七葵も戻る。
 食の魔力は凄まじいものである。

 山登組は折り返し地点で休憩となる。
 竹筒の水でのどを湿らせて休むが、ハンター達は休まなかった。
 ルイトガルトと美風は魚採りを行っていた。
 出発前にやり方を教えてもらい、道具を借りていた。
「冷たくて気持ちいいです」
 美風が喜んで足を川につけている。
「はっ!」
 網を張ったところから離れたところでルイトガルトは叉手を使って獲っていた。
 集中して、動くものを狩るのは鍛錬にもなるので、苦はなかったが、暑いとはいえ、水につかりすぎただろうか。
「今日の晩飯になるのか?」
 隊士の一人が言えば、ルイトガルトは頷いた。
「貸せよ」
 隊士はルイトガルトより叉手を借り受けると、軽々と川魚を取っていく。
「やるな」
 家が漁師だったため、上手かったようだ。
 他の隊士達も水の冷たさが恋しいのか、網を引く時は皆手伝ってくれた。
 七葵は山菜取りをしており、中腰になり続けたせいで腰が痛くて一度立ち上がる。
「蓬は必要ですか」
 そう言ってきたのは和彦だ。どうやら摘んできてくれたらしい。
「助かる」
 和彦も手伝って山菜をとっていく。
「先ほどは、隊士達が脱走するところを止めてくださってありがとうございます」
 ぽつりと、和彦が言えば、七葵は取った山菜を籠の中に入れる。
「団結して乗り越えるというのは結束に繋がる。それに越したことはない」
 七葵が蕨を見つけてとっていくと、和彦は沈黙していた。
 顔色を見ようにも前髪が邪魔で分からなかったが、「そうですね」と和彦は七葵の言葉を肯定する。
 その声音はどこか寂しそうであった。

 涼を得た為だろうか、隊士達の足取りは軽かった。
 釣った魚を持たされた隊士もいたが、文句を言わずに屯所へと戻っていく。
「お帰りなさい。甘酒を用意してますよ」
 出迎えてくれた閏が声をかけると、隊士達は喜んで甘酒を飲んでいた。
 隊士達が休憩したり、身体を拭いてる頃は、食材が台所へと届けられ、ふやかしていた小豆を煮詰めていたステラが喜ぶ。
「すっごい! これで二日は持てばいいかな! ありがとうございます!」
「手伝おう。東方の食材はよくわからないが、手伝えることがあれば言ってほしい」
 ルイトガルトが言えば、閏がこちらで焼き魚の下拵えを手伝ってほしいと声をかけると、彼女は快く承知した。
 隊士達が戻って、一息ついた頃には、洗濯物もそこそこ乾いていた。
 銀が洗濯物を取り込んで縁側においては山にさせたが、隊士達は手分けして選別していった。
「いない奴に持っていってやれ」
 物干し竿を片付けつつ、銀が言えば、現金な隊士達は返事をする。

 台所では大忙しでみんながせわしなく動く。
 この台所は四人入ってもそんなに狭くはなかった。
「美風ちゃん、お願い!」
「はい!」
 今日食べる分の煮物が盛られた大皿を美風に渡したステラは蒸器を確認する。
 そろそろいい頃なのだろう。
「銀さんもお願いしますね」
「おう」
 銀は悠々と大皿を二枚分両手で持っていく。
 皆で配膳を終えて、席に着く。
 どれぐらいぶりかは人それぞれによるが、今日の食事が豪勢であるのは確かだ。
「さぁ、皆さん、手を洗いましたね? 頂きますですよ」
 閏の声かけに全員が素直に従った。

 くたくたに疲れた後の美味しいご飯は更に格別だといわんばかりに隊士達は無邪気に食事にありつき、美味いの声を上げていく。
「全部食いきっちまいそうだな。しかし、美味いもんだ」
 銀が塩おにぎりを食べて頷くと、隣で食べていた閏が「ありがとうございます」と返した。
「はい、おかわりありますよ!」
「並んでね!」
 元気な美風とステラの声に隊士達が歓声を上げる。
 ルイトガルトは天ぷらの食感と味を楽しんでいたが、周囲を見て自分がいた所とは違い、とても賑やかな食事風景を目にし、どこか優しく微笑む。
 七葵は差し入れの酒を持って局長と副局長の前に座る。
「先日の調査の際、壬生殿を含め、気に触らせてしまうことをして申し訳ありません」
 そう言った七葵を口を塞ぐように手を翳したのは前沢だ。七葵が顔をあげると、前沢が穏やかな表情で軽く首を横に振る。
「お前ぇさん達はよくやった。けど、こう言ってくれるのは嬉しいねぇ。ありがとうよ」
 これからも頼むと江邨に言われた七葵は「はい」と返事を返した。

 梅雨晴れの空はそのままで、下弦へ欠ける月がどこか朧にうかんでいた。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 千寿の領主
    本多 七葵(ka4740
    人間(紅)|20才|男性|舞刀士
  • 甘苦スレイヴ
    葛音 ステラ(ka5122
    人間(蒼)|19才|女性|舞刀士
  • 招雷鬼
    閏(ka5673
    鬼|34才|男性|符術師

  • 門屋 銀(ka5680
    鬼|20才|男性|符術師
  • 空手道場小町
    美風(ka6309
    鬼|11才|女性|格闘士
  • 戦場に疾る銀黒
    ルイトガルト・レーデル(ka6356
    人間(紅)|21才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/22 19:48:57
アイコン 【相談卓】お手伝いをしよう!
葛音 ステラ(ka5122
人間(リアルブルー)|19才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/06/24 01:31:46