今、轢きに行きます

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
締切
2016/07/04 19:00
完成日
2016/07/10 02:03

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 最近リゼリオの近郊で、交通事故が頻発している――いや、厳密に言えば事故ではない。事件だ。





「せめてもの救いと言いましょうか、即死でしたな」

 そう言って警官は、道の傍らに置かれているシートをめくった。

「うわっ……」

 カチャは思わず目をそらす。シートの下にあった遺体が、見るも無残なものであったので。

「意図的に、何度も頭を轢いてます。いや、全くひどいもんで」

 シートを遺体に元通りに被せた警官は、道に残る車輪の跡を、陰気臭い目で眺める。

「もうこれで4人目です。これは単なる当て逃げではない。殺意ありきの犯行としか考えられない……」

 被害者たちの身上調査をしてみたが、怨恨の線は薄そうだ。
 轢きっぱなしで立ち去るあたり、物取りとも思えない。
 されば愉快犯か――それにしては、凶悪さが際立つ。狙われた人間は誰も彼も、今回の犠牲者と同じように、念入りな止めを差されているのだ。

「……我々警察も全力を挙げ犯行車両を追跡しているのですが、お恥ずかしいことながら、まだ確保に至っていない。そこで、あなたがたの力をお借りしたい。これ以上の犠牲者を出すわけにはいきませんので」




 ハンターたちは警察から手に入れた情報を元に、犯行車両を探している。

「しかし盗難車が犯行車両となると、犯人の目星もつけにくいでしょうね」

「魔導トラックも、そのへんでよく見かける型の奴だしなあ……どこから盗まれたんだっけ?」

「修理工場だって。持ち主が車庫に入れる時、塀にぶつけて凹ませたとかで。直した途端に盗まれたとか」

 住宅街のゆるやかな坂道。時刻はもう夕暮れ。家路を急ぐ人の姿が、多く見受けられる。仕事帰りの勤め人、買い物帰りの主婦、学校帰りの子供たち。
 どことなく皆足早なのは、立て続けの轢き逃げ事件による影響だろうか。

「それにしても、犯人は一体何が目的なんでしょう」

「目的ねえ……あえて言うなら殺人が目的なんじゃないか? それ以外ちょっと考えようがないな」

「なんでまたそんな」

「さあ。何かしら世間に恨みがあるとか、ストレス解消だとか、色々だと思うけど」

「許せませんね、そういうの」

 あれこれ話しているうち、日が沈む。
 茜色の残光が残る中、道筋にぽつんぽつんと立っている街灯に明かりが灯り始めた。
 カチャが不意に声を上げる。

「あ、トラックが来ますよ」

 なるほど彼女が言う通り、道の下の方から、ヘッドライトをつけた魔導トラックが上ってくる。
 しかし、動きが変だ。非常にのろいし、右に左に大きくふらついている。

「ちょっと、今思い切り縁石に乗り上げましたよ。大丈夫ですか、あの車」

「おいおい、まさか酔ってんじゃねえだろうな……あーあー石垣に擦ったぞ今」

 迷走ぶりを見るに見かねるハンターたち。
 カチャは、もたもた上ってくるトラックに向かって歩み寄る。犯行車両でないかどうか確認を取ろうと。

「おーい、止まってくださ……」

 そこで彼女は気づいた。運転席に、誰も乗っていないことに。

「え!?」

 そのときトラックが急に速度を上げた。
 跳ね飛ばされ地面に叩きつけられるカチャ。

「がっ……」

 衝撃ですぐには立ち上がれない所に、行き過ぎたトラックがバックしてくる。
 カチャはとっさに車輪と車輪の間へ体を滑り込ませ、難を逃れた。
 轢き損ねたことを悟り、再度方向転換するトラック。
 いきなり目の前で起きた事故に通行人たちは、目を丸くして棒立ちになったり、悲鳴を上げたり――とっさに逃げ出したものは、意外と少なかった。
 たいていの人間は、緊急事態に際し固まってしまうものらしい。
 ハンターたちは、無論その類いにあらず。己がなすべきことを心得て、一斉に動く。


リプレイ本文

 バックで戻ってきたトラックの下に巻き込まれるカチャ。
 超級まりお(ka0824)は天を仰いだ。
 メイム(ka2290)は覚悟を決めた表情で言い放った。

「マンマ・ミーア!!」

「カチャさんは犠牲になったのだ!」

 すると抗議の声が返ってきた。カチャ本人から。

「まだ死んでませんよ!」

 どうやら無事であったらしい。
 メイムは、馬上で指を弾く。

「あ、そうなんだ。惜しい」

「何が惜しいんですか!」

 トラックは轢き損ねたと悟るや急ブレーキをかけ方向転換してきた。
 悪意しか感じない行動の主体であるべき人間は――存在していない。運転席はからっぽだ。
 天竜寺 舞(ka0377)は思わず叫ぶ。

「うお! 誰もいないのに動くとか超ロボット生命体か!」

 トラックは速度を上げ、カチャに向かってくる。
 エスカルラータ(ka0220)はタイヤ目がけ、マジックアローを放った。

「暴走トラックですかーそのうち暴走特急も出てくるんですかね?」

 衝撃でトラックが横滑りした。舞がそこに体当たりを食わせる。車体にぶつかった箇所が擦りむけたが、そんなことにかまってはいられない。
 直撃を避け竹刀を支えに立ち上がったカチャを、メイムが拾い上げ馬上に乗せた。
 直ぐさま路地に駆け込む。トラックが容易に切り返し出来ないほどの、狭い道幅。

「ロープで吊ってヒャッハーとかやるとおもむきあるよねぇあたしの筋力が少なくて残念だ♪」

 カチャはメイムに答えるどころではなかった。馬上に引き上げられたはいいが、どうした弾みか、馬の尻側に向いて乗ってしまっているのである。

「ちょっ、この態勢はおかしいでしょ!? とま、止まってー!」

「ムーリ♪ そのままなんとか落ちないように踏ん張って。あ、トラックの動きも逐一報告お願い。あたし手綱を取るのに忙しいから」

 トラックは舞を振り切った。カチャたちが入って行った路地に鼻先を向けた。
 強烈な光がたまたまその前にいた人々の目を焼き、一層立ちすくませる。

(このトラック、手当たり次第に人間目がけて突っ込んでくるカンジじゃね?)

 まりおは地を蹴った。万歳丸(ka5665)も、また。両者大声で避難を呼びかける。

「とにかく近くの建物に入ってー!!」

「良いかてめェら! 狭いとこにはいりゃァ追いかけてこねェ! どこでも良いから逃げこみな!」

 一番危険そうな位置にいた子供たちを引っさらい、塀の上に飛び上がる。
 バイクに跨がったルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は、トラックの先手を打ち、通行と車道の間に地縛符を投げ付ける。

 「通行人の列に突っ込むなんて、絶対させないんだから! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法通行止め、交通標識を場に伏せてターンエンド☆」」

 泥に突っ込みかけたトラックは、慌てて逆方向にハンドルを切った。ゴミ箱をなぎ倒し、植木鉢を踏み潰し、運の悪い野良犬を轢き殺し、馬を追っていく。
 不動シオン(ka5395)はそれを、バイクで追う。

「中々生きのいい車だ。私の斬龍刀の実験台になってもらおうか?」

 ルンルンは先回りをするため別の小路に滑り込んだ。
 卯月 瑞花(ka6019)、舞、エスカルラータは、高所を伝ってトラックの後を追う。
 危機が完全に通り過ぎていってから、まりおと万歳丸は、子供たちを地面に降ろし、背中を押す。

「建物に入っておくんだよ」

「気をつけてな」

 金縛りが解けたように子供らは、いっせいに逃げ散った。





 トラックに併走するシオンは、右の前輪の目がけ斬龍刀で切りつけた。
 爆炎が散った。タイヤの表に裂け目が出来る。走行による負担により、それはどんどん広がっていく。

「どうだ、この斬龍刀「天墜」の味は? こいつの初陣には貴様じゃ役不足だろうがな」

 トラックはシオンの側に幅寄せし、壁との間に挟もうとしてきた。
 もちろんシオンは素早く離脱し、難を逃れる。

「ふん。知恵はそこそこ回るようだな」

 メイムはひたすらゴースロンを走らせる。追ってくる暴走車を間近に見なければならないカチャは、もう生きた心地がしない。ここはトラックでは無理だろうと思えるような小道へさえ、平気で無茶入りしてくるのだ。

「来てる来てる来てますよー! 近い近い近い!」

「んー、向こうがも少しスピード落としてくれるといいんだけど」

 呟くメイムは先の曲がり角で、先回りしたルンルンが手を振っているのを見る。

「ここに地縛符仕掛けましたから、跳び越えてくださーい!」

「あいよっ!」

 メイムは馬の腹を蹴る。馬は跳躍し、泥沼を越える。
 弾みでカチャが、馬の尻からずり落ちた。

「ふぎゃ!」

 その後ろでトラックは、思い切り泥濘に突っ込んでしまう。
 車輪が空回り、泥が跳ね上がった。
 塀の上で様子を見ていた舞は、この機を逃すまいと荷台に飛び乗った。

「カチャは任せたよ!」

 運転席後部の格子窓を叩き破り、ロープを通し、自分の体に繋ぐ。
 そうしてからおもむろに、アックスブレードを振り上げた。

「さあ、ここの強度はどんなものかな!」

 床板を打つ、がんがん打つ。トラックは軋むような唸りを上げた。煙が噴き出すほどタイヤを高速回転させ、無理やりに泥からはい上がる。
 それで過重に負担がかかったか、シオンによって傷を受けていたタイヤが破裂した。
 しかしトラックはそのまま止まることなく、走り続けた。
 蛇行運転。急発進、急停車、横付け――シオンのバイクにぶつけようという腹らしい。
 荷台の上にいる舞は足を踏ん張る。パンクのせいで車体が傾き、がたつきがひどい。

「止まれ、止まれ、このっ!」

 シオンは相手の隙をついて前に回り、エンジン部分を狙う。
 一回、二回。刃が当たるごと、金属の欠片と一緒に火花が飛び散る。

「たかが機械風情の貴様が、どこまで私を追い詰められるかな?」

 トラックが壁に寄り、片輪走行を始めた――破れたタイヤのある右側を浮き上げて。

「ふわっ!」

 舞はロープを手繰り寄せ、荷台にしがみつく。
 シオンは舌打ちし離れる。腹側を壁にくっつけているので、バイクの張り込む隙間がなく、床下からの攻撃が出来ないのだ。
 そこでまた、エスカルラータの出番である。

「一応考えてはいるみたいですね? でも、攻撃がいつも横から来るとは限りませんよ」

 トラックが浮かせている側の後輪に、マジックアローが飛ばされてきた。

「こう、高いところに上って魔法を撃つっていうのはアレですね、悪の幹部になった気分ですね」

 瑞花は壁の上を走りつつ、霊刀の切っ先を、真下に見えるトラックのタイヤ目がけ突き入れた。

「こっちにしてみれば、かえって攻撃しやすくなったってもんですよねえ」

 刃はホイールに当たった。
 一部をそぐも、あやうく回転に巻き込まれそうになったので、急ぎ引っ込める。無駄に太刀を痛めるのは本位ではない。
 トラックは片輪走行を止め、もとの四輪走行に切り替えた。
 メイムは馬を走らせる。
 間隔を置いてポールが設置された、坂の入り口が目に入った。
 傍らに『この先車両通行止め』との看板がある。

「はいっ、次こっち!」

 ゴースロンは跳躍し、ポールを越えた。かなり消耗してきているのか、口から白い泡を噴き、全身を汗で濡らしている。
 トラックは車体が痛むのもかまわず力技でポールをなぎ倒し進む。破裂音がした。タイヤがまたひとつパンクしたのだ。それで急傾斜を駆け上がるものだから、揺れ方が半端ではない。
 そんな状態でも舞は、再び床板を攻撃し始める。
 板が歪み、穴が空いた。
 激しく駆動しているシャフトがかいま見えた。それはもう、単なる機械部品であることを止めていた。目玉と内蔵と蛆虫を悪魔合体させたものが張り付き、脈打っている。

「うわっ。気持ち悪っ」





「歪虚が出ています、皆さん、絶対に外に出ないでください! 危険です!」

 まりおは、町のうちで一番高い建物の屋上から、アナウンスを続けている。
 彼女の目からは、町がほぼ一望に見渡せた。暗くなっているが、トラックはサーチライトをつけているので、どの道をどう通っているのかは一目瞭然だ。
 町の中央から外れ小路を通り、今――高台に入って行くところ。
 今回彼女は、戦闘に参加するつもりはない。歪虚化したトラックの内部におぞましい状態になっていることは想像するに難くないからだ。

(絶対エグいものがぬらぬらビクンビクンしてるんだよね……うう、絶対に見たくない)




 坂道の上には整備された台地があった。
 多分、売り地なのだろう。四方にはフェンスが張ってある。その先は――ない。
 袋小路に来たと気づいたトラックが、いきなり勢いをつけひっくり返る。
 押し潰されると判断した舞は咄嗟にロープを切り飛び離れた。
 一回転してもとの姿勢に戻るトラックは、バックを試みようとした。
 その前にルンルンが、五色の光を炸裂させる。

「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 正面からのハイライトで、目がー目がーってなっちゃえばいいんだから!」

 続けてエスカルラータが、トラックの背後にアースウォールを立ち上げた。
 行き場を失った走る棺桶の前に、満を持し立ちはだかるのは万歳丸。剛腕はトラックを殴り飛ばし、アースウォールに激突させる。弾みで当たった側のサイドミラーが砕け散る。
 思わぬ一撃を食らったトラックはサーチライトを点滅させた。くぐもったエンジン音がする。

「へっ! いつかやってみたかったンだよなァ……『テメエ』と俺、どっちが力が強ェのか、ってよ……」

 バックで突き当たってくるトラックを、万歳丸は、真正面から受け止めた。

「雄雄雄雄雄雄雄雄雄羅亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜亜ッッッッ!!」

 持ち上げた後輪が回転し、そこに触れている皮膚を剥ぎ取ろうとする。

「怪力無双、万歳丸様をなめンじゃねェぞァァァアッ!!!」

 万歳丸は歯を食いしばった。筋肉は乗り上がり、血管は今しも千切れそうなほど張り詰める。
 男臭い真っ向勝負を前にメイムは、楽しげである。

「こう言うのも結構好きだよ~。まったく戦わないのもなんだし、行ってキノコっ」

 パルムたちが体当たりし、トラックの扉を壊した。
 兎にも角にもトラックの動きは止まっている。好機である。
 シオンはバイクから降り、トラックのエンジン目がけ、渾身の一撃を振り下ろした。
 外殻が割れた。隙間から、水疱のごとき目玉の集合体がむりむり蠢きながら零れてくる。
 これなら柔らかそうだから刃先を痛めないだろうか。そんなことを思いつつ瑞花は、それを刺し倒した。
 刺された目玉は潰れ、黄色い体液を吹き出し、溶けて行く。
 ルンルンが火焔符を放つ。

「ルンルン忍法火遁の術!」

 炎がエンジン内部に入り込んだ。飛び散るスパーク。焦げ臭い匂い。
 瑞花は、トラックのフロントガラスを叩き割った。運転席から操作出来ないかと思ったのだ。そうすれば、どこかに衝突させることも可能となる。
 しかし中を一瞥して方針を撤回した。座席とハンドルにも、目玉がびっしり生えていたのだ。

「うわ、これは駄目ですね」

 舞はアースウォールに上った。そして、飛び降りる。トラック目掛けて。手にしたアックスブレードに全体重をかけて。

「これでアンタも終わりだよ!」

 斧がエンジンを断ち割った。車輪の回転が急速に弱まる。
 万歳丸は剛腕に力を込める。

「筋肉が、抗えって囁いてやがンだよォ! 鬼力なめンなよコルァアアアァンッ!? 雄雄雄雄雄雄!」

 車体が裏返しにされた。
 エスカルラータは行司として、高らかに宣言する。

「うっちゃりいー!」

 舞は腹側から何度も斧を叩き入れ、シャフトをへし折る。
 駆動機関が潰されたことで車輪に動きが伝わらなくなった。こうなればただの鉄塊だ。
 ほどなくして、場に爆発音が響いた。トラックは黒い煙を上げ炎上し始める。

「どうやら、やっと片付いたみたいですね」

 一息ついたカチャが馬から降りた。その途端足がぐにゃりと曲がり、膝をついてしまう。

「あいっ、た、た」

 舞は彼女の側に駆け寄り、具合を確かめる。

「ああ、これは足首やっちゃってるなー。頭とかどう? 派手にぶっ飛んでたけど」

「えーと、そこは大丈夫みたいです。それより肩と背中が」

 あちこち確かめつつ手早く応急処置をしているところ、住民避難遂行のため離脱し続けていたまりおが、飛ぶように走ってきた。

「みんな、ご苦労様-。事後処理は任せて!」

 と言って背負ってきた消火器から炎上中のトラック目がけ、泡を噴射。

「証拠物件は残しておかないと」

 炎が消え、場が暗くなった。
 万歳丸はまだ熱を帯びている車体をばんばん叩き、健闘を称える。

「てめェもまァ……そンなに悪くなかったぜ。もうちょィと体重増やすか、筋肉増やせば良い勝負ができるかもしンねェな!」

 瑞花はそれに苦笑する。

「それは……ちょっと願い下げたいですね万歳丸君」

 斬龍刀をしまい込んだシオンは、まりおに尋ねた。

「一般人の被害はなかったんだな?」

「うん、大丈夫。皆アナウンスに従って隠れてくれたからね。まあ塀とか生け垣とか、そういったモノ方面の被害はあるだろうけど。なにしろあの運転だったからね」

 メイムは残骸を指で突く。黒焦げの車体からは何の反応もない。歪化としての命は燃え尽きたようだ。

「それにしてもこれって人身事故車だったりしないかな? 持ち主に確認した方がいい気がするよ。官憲に提出も、しなきゃいけないだろうけど」

「あ、それ、なんだかありそうな話ですねー。なんだか呪いを感じさせる粘着攻撃でしたし」

 相槌を打つルンルンの傍らで、シオンは、焼け焦げたエンジンの中を探る。

「それより先に、魔導機械を扱うギルドへ調査を依頼した方がいいかも知れないな……つい最近は歪虚化したCAMも出現したことだし、同じ原理なのかどうか確かめておく必要がある。こんなものが次々発生したら、危険極まりない」

 ところで舞は、皆と違うところが気になった。

「これは確かに轢き逃げ事件で、だからこそ警察も捜査していたわけだけど……犯人が歪虚だったなると、遺族への賠償は発生しなくなるよね?」

 カチャは眉間を狭め、鼻の頭を掻く。

「うーん……そうなります、よねえ。車の持ち主にも責任はありませんよね……歪虚が勝手に憑いただけですから」

 歪虚被害に公が保障を出していたら、きりがなくなる。そこの理屈はよく分かる。
 しかしこのままでは被害者遺族があんまりなのではないだろうか。
 というわけで舞は、依頼報告書提出の後、市当局を訪問した。

「故人の関係者に、当面支援は出来ませんか?」

「ああ、そのことなら……見舞金は幾らか出せると思います。後当市では、歪虚被害者に対する救済相互扶助組合がありますから、そこからも幾らか援助金が出るものかと」

 それならよかった。
 思って彼女は胸を撫で下ろし、家路に着いたのであった。


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MVP一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞ka0377
  • タホ郷に新たな血を
    メイムka2290
  • パティの相棒
    万歳丸ka5665

重体一覧

参加者一覧


  • エスカルラータ(ka0220
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 乙女ニンジャ―
    卯月 瑞花(ka6019
    人間(紅)|15才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ▼質問卓
メイム(ka2290
エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/07/02 11:38:14
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/02 19:46:41
アイコン 相談掲示板
卯月 瑞花(ka6019
人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/07/04 16:27:27