ゲスト
(ka0000)
ラベンダー畑で捕まえて
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/07/12 15:00
- 完成日
- 2016/07/18 06:03
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●ただのナンパ男ではありません
グラズヘイム王国のとある町のソサエティ支部。
「――というわけで、ぜひともラベンダー畑で私が見た乙女を探すようにハンターに頼みたい」
ここの領主の親戚か何かで、事務方では非常に優秀な能力を持つとうわさがあるクロード・ユリアン・ロブストは、ハンターズソサエティの職員に懇願した。端正な顔には憂いが浮かび、非常になまめかしい雰囲気がする。
(えーと、たしか領主の奥方のほう血縁者だっけなぁ……この顔で見られたら僕もこうくらっと……ときそうだけど……ま、関係ないし)
職員のロビン・ドルトスは冷静に考える。
クロードが女好きだということは耳に入っている。ナンパすればすぐに女性は良い返事をするという伝説がある。外見も適度に引き締まった肢体に整った顔立ち、背も高いといったモテル特徴を多く兼ね備える。遊び人という風情であるが、プラトニックで有名。そう、最後の部分が女性が寄ってくる重要なところ、下心がない。
「……ところで、どうして、ここのオフィスは受付が男なんだね?」
「え? あ、女性もいますよ? ちょうどいま休憩中です」
クロードが残念そうな顔をしているため、ロビンはにやりとなる。
「ま、君も同じ男として、私のつらさをわかってくれると思うから、頼んだぞ」
「はい、恋煩いは男も女もつらいものです」
ロビンは微笑んだ。
扉から入ってきた怒れる乙女を見た瞬間、ロビンは立ち上がったクロードの袖をつかんだ。
「なんだね。いくら私がイケメンだからと言って、男とどうこう……」
「あ、とっさに申し訳ありません。いや、先ほどの乙女はあちらでしょうか?」
言葉を流してロビンは確認した。
●褐色肌、黒髪、緑の服
クロードは怪訝な顔をした後、ロビンの肩をポンとたたく。
「いやいや、君はちゃんと聞いていたかね? ラベンダー色の髪、緑の肌、茶色の服の乙女だといったはずだよ? 彼女は可愛らしい女性だが、私が探してほしい女性とは別人だ」
入ってきた娘は褐色の肌、黒くふんわりと長い髪を一つの三つ編みにして、緑色のつなぎズボンを履いている。
「そもそも、ラベンダー色の髪はともかく、緑の肌って非常に珍しいですし。比喩かと思ったのですが?」
ロビンはしごく当然だと告げる。
「ちょ! ラベンダー色の髪? それを見たのね!」
娘はどたどたと近寄ってきた。
「なんと、知っているのかね?」
「知っているも何も、あいつのせいであたしの仕事がはかどらないのよっ!」
娘はラモーナと名乗り、職員に話をする。
「ラベンダーは今が摘みどき、朝から晩まで仕事をするわけ」
この町の周囲は牧草地帯であるが、領の外れは少々小高い丘とラベンダー畑を持つ村があるのだった。ラベンダーは香りを取るため、食べる為、様々に利用され、その村の産業だ。
「畑にある1本の木になんかいるのよ。近寄ると攻撃してくるから、仕事にならないのよ!」
木を中心に半径50メートルくらいが危険地域。範囲には畑も入りラベンダーも咲いている。
「それがラベンダー色の髪をした女みたいな奴!」
「あの乙女がそんなひどいことをするのか……」
クロードは悲壮感漂う顔になる。
「んー? 乙女ぇ? ま、遠くから見ればドレスを着た女にはみえるけど……顔までは分からないよ?」
ラモーナは指摘した。
ロビンはクロードが目の色は言わなかったのを思い出す。遠すぎて見えなかったからと補足してしまったが。
「背丈2メートルくらい」
ラモーナは説明する。
ロビンはクロードを見た。
クロードは沈黙の後、咳払いを一つする。
「職員君、先ほど私がした依頼はキャンセルで、彼女の依頼を……私が支払う形で出してよいだろうか?」
ラモーナはきょとんとする。
ロビンはクロードの態度に驚くが、彼の性格の良さを表しているのだと知る。
「なんで、おっさんが払ってくれるの?」
「おっ……せめて『おじさま』と呼んでくれないだろうか」
クロードはラモーナに哀愁を漂わせた表情で見つめる。
「……そこかっ!」
ロビンはあきれる。
「……でも、おっさんが払ってくれるのは嬉しいよ!」
ロビンは説明をしようかと悩みつつ、ナンパするクロードを眺め、ため息を漏らした。
「雑魔退治、依頼を出しておきますね。あ、ラモーナさん、何が起こるのか聞いていいですか? 攻撃ってどんな感じか」
「重要だね。鋭くて長いものをぶんぶん振り回してくる感じだよ。あと、近づくと眠くなるっていうかやる気がなくなるんだ」
「……精神干渉というか、スリープクラウドみたいな感じかな」
「うーん、ハンターのことよくわからないけど……ぼーとしちゃう感じでひどいと寝ちゃう……。動かないと攻撃は来ないんだけど結構逃げるのも助けるのも大変で……道も通れないし」
「わかりました」
ロビンはラモーナに説明の礼を言って、ナンパ中のクロードについて説明してあげるべきかと困った。
グラズヘイム王国のとある町のソサエティ支部。
「――というわけで、ぜひともラベンダー畑で私が見た乙女を探すようにハンターに頼みたい」
ここの領主の親戚か何かで、事務方では非常に優秀な能力を持つとうわさがあるクロード・ユリアン・ロブストは、ハンターズソサエティの職員に懇願した。端正な顔には憂いが浮かび、非常になまめかしい雰囲気がする。
(えーと、たしか領主の奥方のほう血縁者だっけなぁ……この顔で見られたら僕もこうくらっと……ときそうだけど……ま、関係ないし)
職員のロビン・ドルトスは冷静に考える。
クロードが女好きだということは耳に入っている。ナンパすればすぐに女性は良い返事をするという伝説がある。外見も適度に引き締まった肢体に整った顔立ち、背も高いといったモテル特徴を多く兼ね備える。遊び人という風情であるが、プラトニックで有名。そう、最後の部分が女性が寄ってくる重要なところ、下心がない。
「……ところで、どうして、ここのオフィスは受付が男なんだね?」
「え? あ、女性もいますよ? ちょうどいま休憩中です」
クロードが残念そうな顔をしているため、ロビンはにやりとなる。
「ま、君も同じ男として、私のつらさをわかってくれると思うから、頼んだぞ」
「はい、恋煩いは男も女もつらいものです」
ロビンは微笑んだ。
扉から入ってきた怒れる乙女を見た瞬間、ロビンは立ち上がったクロードの袖をつかんだ。
「なんだね。いくら私がイケメンだからと言って、男とどうこう……」
「あ、とっさに申し訳ありません。いや、先ほどの乙女はあちらでしょうか?」
言葉を流してロビンは確認した。
●褐色肌、黒髪、緑の服
クロードは怪訝な顔をした後、ロビンの肩をポンとたたく。
「いやいや、君はちゃんと聞いていたかね? ラベンダー色の髪、緑の肌、茶色の服の乙女だといったはずだよ? 彼女は可愛らしい女性だが、私が探してほしい女性とは別人だ」
入ってきた娘は褐色の肌、黒くふんわりと長い髪を一つの三つ編みにして、緑色のつなぎズボンを履いている。
「そもそも、ラベンダー色の髪はともかく、緑の肌って非常に珍しいですし。比喩かと思ったのですが?」
ロビンはしごく当然だと告げる。
「ちょ! ラベンダー色の髪? それを見たのね!」
娘はどたどたと近寄ってきた。
「なんと、知っているのかね?」
「知っているも何も、あいつのせいであたしの仕事がはかどらないのよっ!」
娘はラモーナと名乗り、職員に話をする。
「ラベンダーは今が摘みどき、朝から晩まで仕事をするわけ」
この町の周囲は牧草地帯であるが、領の外れは少々小高い丘とラベンダー畑を持つ村があるのだった。ラベンダーは香りを取るため、食べる為、様々に利用され、その村の産業だ。
「畑にある1本の木になんかいるのよ。近寄ると攻撃してくるから、仕事にならないのよ!」
木を中心に半径50メートルくらいが危険地域。範囲には畑も入りラベンダーも咲いている。
「それがラベンダー色の髪をした女みたいな奴!」
「あの乙女がそんなひどいことをするのか……」
クロードは悲壮感漂う顔になる。
「んー? 乙女ぇ? ま、遠くから見ればドレスを着た女にはみえるけど……顔までは分からないよ?」
ラモーナは指摘した。
ロビンはクロードが目の色は言わなかったのを思い出す。遠すぎて見えなかったからと補足してしまったが。
「背丈2メートルくらい」
ラモーナは説明する。
ロビンはクロードを見た。
クロードは沈黙の後、咳払いを一つする。
「職員君、先ほど私がした依頼はキャンセルで、彼女の依頼を……私が支払う形で出してよいだろうか?」
ラモーナはきょとんとする。
ロビンはクロードの態度に驚くが、彼の性格の良さを表しているのだと知る。
「なんで、おっさんが払ってくれるの?」
「おっ……せめて『おじさま』と呼んでくれないだろうか」
クロードはラモーナに哀愁を漂わせた表情で見つめる。
「……そこかっ!」
ロビンはあきれる。
「……でも、おっさんが払ってくれるのは嬉しいよ!」
ロビンは説明をしようかと悩みつつ、ナンパするクロードを眺め、ため息を漏らした。
「雑魔退治、依頼を出しておきますね。あ、ラモーナさん、何が起こるのか聞いていいですか? 攻撃ってどんな感じか」
「重要だね。鋭くて長いものをぶんぶん振り回してくる感じだよ。あと、近づくと眠くなるっていうかやる気がなくなるんだ」
「……精神干渉というか、スリープクラウドみたいな感じかな」
「うーん、ハンターのことよくわからないけど……ぼーとしちゃう感じでひどいと寝ちゃう……。動かないと攻撃は来ないんだけど結構逃げるのも助けるのも大変で……道も通れないし」
「わかりました」
ロビンはラモーナに説明の礼を言って、ナンパ中のクロードについて説明してあげるべきかと困った。
リプレイ本文
●美女か否か
依頼を受けたハンターはそれを遠くから見る、双眼鏡片手や肉眼で。
それはそこに生えているだけのようであり、事情を知らなければ、奇妙な植物があるだけと思っても不思議ではない。
それがいる近くに止まりやすい木があるが、小鳥は危険を察知してかよけて飛んでいく。その一帯にあるのは植物だけのようだ。
「美女かなんて近づいてみないとわからないんだけど雰囲気美女かな? ホラー映画だと恐ろしい形相の怪物だったりするんだけどねぇ」
ローエン・アイザック(ka5946)はリアルブルーにいたころの映画を思い出し、つぶやく。
「形相……顔ってことだよね? 見てみる? なんか紫の煙を出したりするような気はするよ?」
愛梨(ka5827)は双眼鏡をローエンに手渡した。解説に顔の中身がないのだが、愛梨には目鼻等を認識はできなかった。
「紫の煙? ここからだと見ないですよね? でも、ラベンダー風ということですから、なにか花粉みたいなものかもしれませんね」
アティニュス(ka4735)は思案するように顎に手を当て首をかしげる。
「効果範囲は変わっていないんだよね? 魔法にせよ花粉にせよ、ラベンダー摘みの邪魔だし、討伐しないとね。面倒くさい……片付けよう……片づけるのも面倒くさい……片付かないのが一番嫌ね」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)はやる気のなさとやる気の谷間で観察する。
「僕はローエンさんの護衛をして、みなさんが安心して戦える場を用意します。刃としてはきっとそのほうが確実ですから」
鉄 剣(ka6402)は己は弱いと決めつける中、守るための力を守る後方で努力しようとする。
「うーん、確かに前衛は多いものね。ローエンが倒れると、回復は自力のみになってしまうから、意外と剣の位置は重要。さあ、作戦を立てていくわ!」
アルラウネ(ka4841)は色っぽくもおっとりとした雰囲気の中に、底知れぬ闘志がわいている。
「……占いで出たよ? アルラウネ、どうしたの? 冷静に!」
愛梨はカードを手にピシッと尋ねるが、占いに頼らずとも、アルラウネを見ていると燃える何かを感じるのだった。
「冷静よ? そう、冷静なのよ、平常心、平常心」
アルラウネが深呼吸する。
「つまり落ち着いていないんですね……何かありましたか?」
アティニュスが心配して尋ねる。
「緑の肌はいない! そう、少ない、目立たない! でも、こう、すると、こう!」
アルラウネはマテリアルを活性化させ、臨戦態勢を整える。薔薇が咲くように一瞬見えた後、彼女の肌はうっすら緑がかり、真紅の瞳になる。
「……不思議ですが、美しいですね」
剣が感想を言うと、艶然としながらアルラウネは身を寄せる。嬉しそうに瞳を潤ませ、熱っぽく胸をグイッと押し付けるような形で。
身長差約30センチ、見下ろす彼女をから剣はゆっくり下がって避ける、自然な動きで。
「でしょ! ふふっ、私のほうが魅力的な肌ってことね?」
アルラウネに誰も否定は示さなかった。まだ雑魔に近づいていないが、どう考えてもアルラウネのほうが魅力的であろう。
●試しにやってみる
「これが植物なら花粉をまき散らし害を与える……空気を斬るようにすれば被害を軽減できるでしょうか? この個体が移動するなら試さないとわからないですよね。動かせるなら、満開の畑から外して戦えます」
アティニュスはちらりとアルスレーテを見た。他の者も気づいたのかちらりとアルスレーテを見たようだった。
「確かにそれはそうね。私は近寄って斬るしかできないから、作戦があれば従うわ」
「加護や援護は任せて」
アルラウネと愛梨がうなずく。
「……では、レジストをアルスちゃんにかければいいね?」
「頑張ってください。近づいて一撃食らわせて逃げてくればいいんです。アルスレーテさんならやれます」
ローエンが魔法を使おうと祈りをささげるようなしぐさをし、剣が応援をした。
「待って! ちょっと待って! 何で私が!」
「四神の守り、天の導き……【加護】。これで少しは耐えられるよ」
「いや、うん、愛梨、待って、答えになってない」
背中の符がむずがゆい気がするアルスレーテ。
「【レジスト】これで、なにかあっても抵抗ができるはずだよ」
「……あ、あれえ? 面倒くさいなぁ、こう、バーンとやっちゃえばいいじゃない?」
ちょっと見てきてという包囲網が完成しているが、アルスレーテはささやかな抵抗をした。あきらめて前を見、距離を考える。
「何かあればすぐに駆け付けます」
アティニュスは試作電撃刀の柄を握る。
「……私の【縮地瞬動】が目的なのね」
アルスレーテのあきらめの声にうなずく仲間たち。
「はぁ……行くわよ。距離は問題なし……気合はそこそこ!」
仲間が固唾をのむ中、アルスレーテはいろいろやばそうな地域に飛び込んだ。
アルスレーテは順調に近づき鉄扇を握りしめる。鞭のようにしなる長い葉のような枝のようなものが伸びる。それらを回避し、一部は鎧ではじき、彼女は進む。
「【鎧徹し】」
アルスレーテの鉄扇がうなる。ガリガリと雑魔をえぐった。
「すっごい手応えあり。一旦退避」
アルスレーテは再び【縮地瞬動】を用いて戻った。そのとき、異変を感じる。
匂いがついて来る感覚があるし、進行方向にいる仲間が後ろに下がっていくのだ。
「え? ええ?」
アルスレーテは恐怖にかられつつ後ろを見ようとするが、仲間は首を横に振って急いでこっちにと言っているようだ。
再び匂いが強くなった後、新鮮な空気を吸った。
「おかえりなさい」
「ただいま」
アルラウネにアルスレーテは答えた。
「……動いていましたね。一定範囲内に攻撃したものがいると動くのかもしれません」
アティニュスはそれがどの程度の速さかを計算する。人が走った並みかもしれないが、持続はしないようだった。
「それより、傷がふさがったんだけど」
望遠鏡で見ていた愛梨が乾いた笑いを洩らしつつ、指さした。
肉眼でわかる程度に治っていた。
「なに、それ、私無駄足?」
アルスレーテは地面に倒れた。
「いやいや、アルスちゃんのおかげで我々がとるべき道がはっきりしたんだよ。アルスちゃんが戻ってきて気づくことは、ラベンダー臭がすごいということ。謎の物質はラベンダーに由来するといって過言ではないのかも。それこそ、アティニュスちゃんの予想が当たるわけだ。それに……一撃であれなら、回復される前に倒せるはずだよ」
とうとうとローエンが説く。
「ラベンダー精油の効能考えると……香りで安らぐ……きつければ無気力になるということです」
アティニュスは防ぎようがあるか悩ましいとつぶやく。
「再生したということは精油成分を考えると皮膚再生作用というか、肌荒れに効くというようなことがあると聞きました」
剣のコメントは再生したそれの状況と合致する。
「うん、斬っちゃおう。再生するならその前に、こちらがやる気なくなるなら平常心保ってやってしまおう」
アルラウネはこぶしをあげる。
「移動させるにしても結構リスク高いよね? 今の位置を動かさない、できれば道側での移動を考えて……挟み撃ちにしちゃう? できるだけ、畑のほうに行かないように、本体も攻撃も」
「そうだね、できれば一方にいてくれるほうが僕は回復しやすいよ? 道の広さを考えると、分散しないと駄目かな……」
「あ、そうか、前に立つ人は私、アティニュス、アルスレーテの3人だからぎりぎり行けるよ? それに、長くなりそうならちょっとずつ道から外せば……行けるんじゃないの?」
ローエンはアルラウネの言葉にうなずいた。
「……魔法使うにしても距離を詰めないと駄目ね」
愛梨は距離を考える。
「結局、同じ方向にいるほうがもしもの時は互いに助けられますね」
アティニュスは雑魔を見つめた。
●ラベンダーの香りに包まれて
魔法には効果時間も距離もある。結構危険な気はするが、一撃であれだけ削れたのだからよけられさえしなければ、あっさり終わるはずだ。近づくまでが大変かもしれない。
「一応、攻撃範囲外、効果範囲内で待機かな」
ローエンは気を引きしめ、あとからついていく。回復のために必要なため、ある程度仕方がない。
近づくハンターたち。
「ふわっ」
剣から全身の力が抜けたため、ローエンが慌てて支えた。噂の効果はこれで証明された。
「回復魔法いるかな」
「……い、いいえ、守ると言いながらこんなことになってすみません」
剣は自力で立つ。
「これは怖いですね……例えば口を押えても……もう遅いでしょうけど。匂いになれて鼻が曲がっても、次から次へと『眠ろう』と言われているような気持ちです」
「なるほど、そういう感覚なんだね。幸い、僕は眠くなっていないけれど……」
ローエンは前に行く仲間を見た。
彼女たちは無事、敵の攻撃範囲に近づく。
「二の矢、雷獣の舞【風雷陣】」
愛梨の覚醒時に現れる弓と矢がある。その矢とともに符は放たれる。空中に飛び、鋭い雷となって雑魔を打った。
長い葉が向かってくるアティニュスとアルラウネ、アルスレーテに向かう。
「このくらい問題ありません」
「問題なさすぎるほどだよ」
スルリスルリとよけた前衛の舞刀士2人。
「いたーい!」
鎧の弱いところを狙われた前衛の格闘士。
「空気をも斬るように、そして、素早く……」
アティニュスの気迫のこもった【二連之業】が叩き込まれる。本体に至る葉が落ちる。
「円の型……そして気合よ【せーのっ】、【疾風剣】」
回るようななめらかな動きでアルラウネの刀がすっと敵に吸い込まれる。避ける間がなかったようだった。
「もう一回行くよ」
アルスレーテの鉄扇が雑魔を薙いだ。
「こっちも行ける! 二の矢、雷獣の舞【風雷陣】」
愛梨は符を確認後、術を放つ。雷は鋭く落ちた。
すでによれよれの雑魔であるが反撃はする。最期の反撃としても、ハンターに一矢は報いらねばならない、と思ったかは不明だが激しかった。
アルラウネは避けた後に別の蔦が避けられなかった。脚が蔦にからめとられる。
「きゃあ」
中衛どころにいた愛梨にもしなった蔦は向かう。瑞鳥符を放ち多少軽減はされる。
「……痛い」
一歩踏み出そうとした瞬間、アティニュスは眠気に襲われた。ふらりと膝をついて座り込む。
ローエンは距離をつめて【キュア】を使う。
「……不覚でした。ありがとうございます」
アティニュスは立ち上がる。脳がすっきりして安堵する。
「いえいえ、こちらも細かく見てなくて申し訳なかったよ。戦場だから礼は後々」
「そうでした」
挨拶を言っている場合ではないが、なんとなく互いに声をかけあう。
この間にアルラウネは蔦から脱出していた。
「その肌一度は触ってみたいな」
アルラウネは蔦か葉かわからないそれをよけつつ近づく。
「……え? 触った後に攻撃するからね?」
アルスレーテは困惑したが、待った。このくらいの好奇心を待つ余裕はある。
「……確かに興味がわくのは分かりますが」
ローエンの前に立ちながら剣は微笑んだ。
「……タッチ! 予想を裏切らない、植物感」
アルラウネが雑魔と距離を開けた瞬間、ハンターたちの攻撃が当たり、それは無に還った。
●おじさまへアドバイス
「予想を裏切らない植物感とはどのような手触りなんですか?」
アティニュスの問いかけに、アルラウネはラベンダー畑の葉を触る。
「こんな感じ」
「……なるほど。それにしても、ラベンダーの犠牲は最小限でしたでしょうか?」
アティニュスは見渡す。
「ちょっとやられたかも。こっちに攻撃しつつもあれこれふるっていた感じだし」
アルスレーテは技を使ってみる。生命力を分け与えて回復する彼女が編み出した【母なるミゼリア】を。
「うーん、効かないかな? いっぱいあるし、ダメかな?」
「そうでもないよ? 元気になった気がするし」
「そうかな」
アルスレーテに愛梨が答え、自然と2人は笑みとなる。
報告のために町に戻るとソサエティの支部には依頼人でもあるクロードがいた。
「いや、君たちの様子を見ればわかるよ? 成功したんだね。いや、可愛いお嬢さんが傷ついているのは悲しいが」
けがを少々したハンターに哀愁を帯びた視線をクロードは送る。
「一応、報告しておくわ。あの遠目美女風雑魔の肌のように見えた部分はラベンダーの葉みたいだったわ」
「そ、そうか」
アルラウネの報告にクロードは何とも言えない表情となる。
「では、こちらも報告を」
ローエンは咳払い1つして続ける。
「農道で戦い、撃破した。農作物であるラベンダーへの被害は抑えたけど、やはり少々犠牲植物が出たんだ」
「それは、残念だ。あのお嬢さんも悲しむだろうか」
「そこで! その分のラベンダーをあなたが買い取るというのはどうだろうかと提案したい」
「私が買い取る?」
「そう、そうすれば、彼女も喜ぶ、村人も喜ぶ。村の娘さんも『おっさん』どころか『おじさま』と呼んでくれるかもしれない。いや、呼びたくなる。もので釣るような感じだというのが嫌だとしても、これはあなたの未来のための一石になる。それで気を引けずとも」
「なるほど」
クロードはローエンを面白そうに見ている。
「それに、ラベンダーの精油の話ですけど、肌荒れに効果があるとか……働き者の女性を口説くのにはいい土産になるかと」
「ふむ」
剣がローエンに付け足すように告げると、クロードは神妙にうなずく。
「摘んだ花自体を乾燥させてポプリとしても使えますよね?」
アティニュスの言葉にクロードはうなずいた。
「……ラベンダーって食べることもできたわよね? 何かいい効果あるのかしら?」
「口の中から香りがするんだよね。安らぎそう……濃すぎると大変そう」
ダイエットに効果があればぜひとも思わなくはないアルスレーテが興味を持った。一方で愛梨は想像する、口にした場合のことを。
「……なんでナンパ指南になっているんだ……それに、この人たち、ラベンダーの香りがすごい」
ふとロビンは呟く。
「そうだな。買い取る……のは検討しよう!」
クロードは微笑んだ。ナンパ男なりに年相応の何かはありそうに見えたのだった。
依頼を受けたハンターはそれを遠くから見る、双眼鏡片手や肉眼で。
それはそこに生えているだけのようであり、事情を知らなければ、奇妙な植物があるだけと思っても不思議ではない。
それがいる近くに止まりやすい木があるが、小鳥は危険を察知してかよけて飛んでいく。その一帯にあるのは植物だけのようだ。
「美女かなんて近づいてみないとわからないんだけど雰囲気美女かな? ホラー映画だと恐ろしい形相の怪物だったりするんだけどねぇ」
ローエン・アイザック(ka5946)はリアルブルーにいたころの映画を思い出し、つぶやく。
「形相……顔ってことだよね? 見てみる? なんか紫の煙を出したりするような気はするよ?」
愛梨(ka5827)は双眼鏡をローエンに手渡した。解説に顔の中身がないのだが、愛梨には目鼻等を認識はできなかった。
「紫の煙? ここからだと見ないですよね? でも、ラベンダー風ということですから、なにか花粉みたいなものかもしれませんね」
アティニュス(ka4735)は思案するように顎に手を当て首をかしげる。
「効果範囲は変わっていないんだよね? 魔法にせよ花粉にせよ、ラベンダー摘みの邪魔だし、討伐しないとね。面倒くさい……片付けよう……片づけるのも面倒くさい……片付かないのが一番嫌ね」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)はやる気のなさとやる気の谷間で観察する。
「僕はローエンさんの護衛をして、みなさんが安心して戦える場を用意します。刃としてはきっとそのほうが確実ですから」
鉄 剣(ka6402)は己は弱いと決めつける中、守るための力を守る後方で努力しようとする。
「うーん、確かに前衛は多いものね。ローエンが倒れると、回復は自力のみになってしまうから、意外と剣の位置は重要。さあ、作戦を立てていくわ!」
アルラウネ(ka4841)は色っぽくもおっとりとした雰囲気の中に、底知れぬ闘志がわいている。
「……占いで出たよ? アルラウネ、どうしたの? 冷静に!」
愛梨はカードを手にピシッと尋ねるが、占いに頼らずとも、アルラウネを見ていると燃える何かを感じるのだった。
「冷静よ? そう、冷静なのよ、平常心、平常心」
アルラウネが深呼吸する。
「つまり落ち着いていないんですね……何かありましたか?」
アティニュスが心配して尋ねる。
「緑の肌はいない! そう、少ない、目立たない! でも、こう、すると、こう!」
アルラウネはマテリアルを活性化させ、臨戦態勢を整える。薔薇が咲くように一瞬見えた後、彼女の肌はうっすら緑がかり、真紅の瞳になる。
「……不思議ですが、美しいですね」
剣が感想を言うと、艶然としながらアルラウネは身を寄せる。嬉しそうに瞳を潤ませ、熱っぽく胸をグイッと押し付けるような形で。
身長差約30センチ、見下ろす彼女をから剣はゆっくり下がって避ける、自然な動きで。
「でしょ! ふふっ、私のほうが魅力的な肌ってことね?」
アルラウネに誰も否定は示さなかった。まだ雑魔に近づいていないが、どう考えてもアルラウネのほうが魅力的であろう。
●試しにやってみる
「これが植物なら花粉をまき散らし害を与える……空気を斬るようにすれば被害を軽減できるでしょうか? この個体が移動するなら試さないとわからないですよね。動かせるなら、満開の畑から外して戦えます」
アティニュスはちらりとアルスレーテを見た。他の者も気づいたのかちらりとアルスレーテを見たようだった。
「確かにそれはそうね。私は近寄って斬るしかできないから、作戦があれば従うわ」
「加護や援護は任せて」
アルラウネと愛梨がうなずく。
「……では、レジストをアルスちゃんにかければいいね?」
「頑張ってください。近づいて一撃食らわせて逃げてくればいいんです。アルスレーテさんならやれます」
ローエンが魔法を使おうと祈りをささげるようなしぐさをし、剣が応援をした。
「待って! ちょっと待って! 何で私が!」
「四神の守り、天の導き……【加護】。これで少しは耐えられるよ」
「いや、うん、愛梨、待って、答えになってない」
背中の符がむずがゆい気がするアルスレーテ。
「【レジスト】これで、なにかあっても抵抗ができるはずだよ」
「……あ、あれえ? 面倒くさいなぁ、こう、バーンとやっちゃえばいいじゃない?」
ちょっと見てきてという包囲網が完成しているが、アルスレーテはささやかな抵抗をした。あきらめて前を見、距離を考える。
「何かあればすぐに駆け付けます」
アティニュスは試作電撃刀の柄を握る。
「……私の【縮地瞬動】が目的なのね」
アルスレーテのあきらめの声にうなずく仲間たち。
「はぁ……行くわよ。距離は問題なし……気合はそこそこ!」
仲間が固唾をのむ中、アルスレーテはいろいろやばそうな地域に飛び込んだ。
アルスレーテは順調に近づき鉄扇を握りしめる。鞭のようにしなる長い葉のような枝のようなものが伸びる。それらを回避し、一部は鎧ではじき、彼女は進む。
「【鎧徹し】」
アルスレーテの鉄扇がうなる。ガリガリと雑魔をえぐった。
「すっごい手応えあり。一旦退避」
アルスレーテは再び【縮地瞬動】を用いて戻った。そのとき、異変を感じる。
匂いがついて来る感覚があるし、進行方向にいる仲間が後ろに下がっていくのだ。
「え? ええ?」
アルスレーテは恐怖にかられつつ後ろを見ようとするが、仲間は首を横に振って急いでこっちにと言っているようだ。
再び匂いが強くなった後、新鮮な空気を吸った。
「おかえりなさい」
「ただいま」
アルラウネにアルスレーテは答えた。
「……動いていましたね。一定範囲内に攻撃したものがいると動くのかもしれません」
アティニュスはそれがどの程度の速さかを計算する。人が走った並みかもしれないが、持続はしないようだった。
「それより、傷がふさがったんだけど」
望遠鏡で見ていた愛梨が乾いた笑いを洩らしつつ、指さした。
肉眼でわかる程度に治っていた。
「なに、それ、私無駄足?」
アルスレーテは地面に倒れた。
「いやいや、アルスちゃんのおかげで我々がとるべき道がはっきりしたんだよ。アルスちゃんが戻ってきて気づくことは、ラベンダー臭がすごいということ。謎の物質はラベンダーに由来するといって過言ではないのかも。それこそ、アティニュスちゃんの予想が当たるわけだ。それに……一撃であれなら、回復される前に倒せるはずだよ」
とうとうとローエンが説く。
「ラベンダー精油の効能考えると……香りで安らぐ……きつければ無気力になるということです」
アティニュスは防ぎようがあるか悩ましいとつぶやく。
「再生したということは精油成分を考えると皮膚再生作用というか、肌荒れに効くというようなことがあると聞きました」
剣のコメントは再生したそれの状況と合致する。
「うん、斬っちゃおう。再生するならその前に、こちらがやる気なくなるなら平常心保ってやってしまおう」
アルラウネはこぶしをあげる。
「移動させるにしても結構リスク高いよね? 今の位置を動かさない、できれば道側での移動を考えて……挟み撃ちにしちゃう? できるだけ、畑のほうに行かないように、本体も攻撃も」
「そうだね、できれば一方にいてくれるほうが僕は回復しやすいよ? 道の広さを考えると、分散しないと駄目かな……」
「あ、そうか、前に立つ人は私、アティニュス、アルスレーテの3人だからぎりぎり行けるよ? それに、長くなりそうならちょっとずつ道から外せば……行けるんじゃないの?」
ローエンはアルラウネの言葉にうなずいた。
「……魔法使うにしても距離を詰めないと駄目ね」
愛梨は距離を考える。
「結局、同じ方向にいるほうがもしもの時は互いに助けられますね」
アティニュスは雑魔を見つめた。
●ラベンダーの香りに包まれて
魔法には効果時間も距離もある。結構危険な気はするが、一撃であれだけ削れたのだからよけられさえしなければ、あっさり終わるはずだ。近づくまでが大変かもしれない。
「一応、攻撃範囲外、効果範囲内で待機かな」
ローエンは気を引きしめ、あとからついていく。回復のために必要なため、ある程度仕方がない。
近づくハンターたち。
「ふわっ」
剣から全身の力が抜けたため、ローエンが慌てて支えた。噂の効果はこれで証明された。
「回復魔法いるかな」
「……い、いいえ、守ると言いながらこんなことになってすみません」
剣は自力で立つ。
「これは怖いですね……例えば口を押えても……もう遅いでしょうけど。匂いになれて鼻が曲がっても、次から次へと『眠ろう』と言われているような気持ちです」
「なるほど、そういう感覚なんだね。幸い、僕は眠くなっていないけれど……」
ローエンは前に行く仲間を見た。
彼女たちは無事、敵の攻撃範囲に近づく。
「二の矢、雷獣の舞【風雷陣】」
愛梨の覚醒時に現れる弓と矢がある。その矢とともに符は放たれる。空中に飛び、鋭い雷となって雑魔を打った。
長い葉が向かってくるアティニュスとアルラウネ、アルスレーテに向かう。
「このくらい問題ありません」
「問題なさすぎるほどだよ」
スルリスルリとよけた前衛の舞刀士2人。
「いたーい!」
鎧の弱いところを狙われた前衛の格闘士。
「空気をも斬るように、そして、素早く……」
アティニュスの気迫のこもった【二連之業】が叩き込まれる。本体に至る葉が落ちる。
「円の型……そして気合よ【せーのっ】、【疾風剣】」
回るようななめらかな動きでアルラウネの刀がすっと敵に吸い込まれる。避ける間がなかったようだった。
「もう一回行くよ」
アルスレーテの鉄扇が雑魔を薙いだ。
「こっちも行ける! 二の矢、雷獣の舞【風雷陣】」
愛梨は符を確認後、術を放つ。雷は鋭く落ちた。
すでによれよれの雑魔であるが反撃はする。最期の反撃としても、ハンターに一矢は報いらねばならない、と思ったかは不明だが激しかった。
アルラウネは避けた後に別の蔦が避けられなかった。脚が蔦にからめとられる。
「きゃあ」
中衛どころにいた愛梨にもしなった蔦は向かう。瑞鳥符を放ち多少軽減はされる。
「……痛い」
一歩踏み出そうとした瞬間、アティニュスは眠気に襲われた。ふらりと膝をついて座り込む。
ローエンは距離をつめて【キュア】を使う。
「……不覚でした。ありがとうございます」
アティニュスは立ち上がる。脳がすっきりして安堵する。
「いえいえ、こちらも細かく見てなくて申し訳なかったよ。戦場だから礼は後々」
「そうでした」
挨拶を言っている場合ではないが、なんとなく互いに声をかけあう。
この間にアルラウネは蔦から脱出していた。
「その肌一度は触ってみたいな」
アルラウネは蔦か葉かわからないそれをよけつつ近づく。
「……え? 触った後に攻撃するからね?」
アルスレーテは困惑したが、待った。このくらいの好奇心を待つ余裕はある。
「……確かに興味がわくのは分かりますが」
ローエンの前に立ちながら剣は微笑んだ。
「……タッチ! 予想を裏切らない、植物感」
アルラウネが雑魔と距離を開けた瞬間、ハンターたちの攻撃が当たり、それは無に還った。
●おじさまへアドバイス
「予想を裏切らない植物感とはどのような手触りなんですか?」
アティニュスの問いかけに、アルラウネはラベンダー畑の葉を触る。
「こんな感じ」
「……なるほど。それにしても、ラベンダーの犠牲は最小限でしたでしょうか?」
アティニュスは見渡す。
「ちょっとやられたかも。こっちに攻撃しつつもあれこれふるっていた感じだし」
アルスレーテは技を使ってみる。生命力を分け与えて回復する彼女が編み出した【母なるミゼリア】を。
「うーん、効かないかな? いっぱいあるし、ダメかな?」
「そうでもないよ? 元気になった気がするし」
「そうかな」
アルスレーテに愛梨が答え、自然と2人は笑みとなる。
報告のために町に戻るとソサエティの支部には依頼人でもあるクロードがいた。
「いや、君たちの様子を見ればわかるよ? 成功したんだね。いや、可愛いお嬢さんが傷ついているのは悲しいが」
けがを少々したハンターに哀愁を帯びた視線をクロードは送る。
「一応、報告しておくわ。あの遠目美女風雑魔の肌のように見えた部分はラベンダーの葉みたいだったわ」
「そ、そうか」
アルラウネの報告にクロードは何とも言えない表情となる。
「では、こちらも報告を」
ローエンは咳払い1つして続ける。
「農道で戦い、撃破した。農作物であるラベンダーへの被害は抑えたけど、やはり少々犠牲植物が出たんだ」
「それは、残念だ。あのお嬢さんも悲しむだろうか」
「そこで! その分のラベンダーをあなたが買い取るというのはどうだろうかと提案したい」
「私が買い取る?」
「そう、そうすれば、彼女も喜ぶ、村人も喜ぶ。村の娘さんも『おっさん』どころか『おじさま』と呼んでくれるかもしれない。いや、呼びたくなる。もので釣るような感じだというのが嫌だとしても、これはあなたの未来のための一石になる。それで気を引けずとも」
「なるほど」
クロードはローエンを面白そうに見ている。
「それに、ラベンダーの精油の話ですけど、肌荒れに効果があるとか……働き者の女性を口説くのにはいい土産になるかと」
「ふむ」
剣がローエンに付け足すように告げると、クロードは神妙にうなずく。
「摘んだ花自体を乾燥させてポプリとしても使えますよね?」
アティニュスの言葉にクロードはうなずいた。
「……ラベンダーって食べることもできたわよね? 何かいい効果あるのかしら?」
「口の中から香りがするんだよね。安らぎそう……濃すぎると大変そう」
ダイエットに効果があればぜひとも思わなくはないアルスレーテが興味を持った。一方で愛梨は想像する、口にした場合のことを。
「……なんでナンパ指南になっているんだ……それに、この人たち、ラベンダーの香りがすごい」
ふとロビンは呟く。
「そうだな。買い取る……のは検討しよう!」
クロードは微笑んだ。ナンパ男なりに年相応の何かはありそうに見えたのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/09 20:12:48 |
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【ご相談】 アティニュス(ka4735) 人間(リアルブルー)|16才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/07/11 22:06:06 |