• 詩天

【詩天】食みれぬ魚

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2016/07/17 07:30
完成日
2016/07/21 06:22

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 東方は詩天が州都、若峰。
 湿気を含んだ空気が肌にまとわりつき始め、梅雨明けが近いことを示す頃となった。
 日が遠い北側の縁側で休憩していたのは隊士である壬生和彦だ。
「疲れたか」
 局長の江邨雄介が和彦に声をかけると、和彦はびくりと、肩を竦める。
「あ、いえ」
 立ち上がろうとする和彦を制しつつ、江邨は和彦の隣に座った。
「お前さんが浪人達と大立ち回りをおっ始じめたって話を聞いて、連中やる気になったな」
「……ええ」
 いつまでもつかねぇと江邨は笑う。
 先日、和彦は行方不明事件の調査をハンターと共に行っていた。
 しかし、多数の浪人に阻まれてしまい、目的の宿にはたどり着けなかった。
 そんな話を聞いた腕自慢の隊士達は次は自分がと息巻いているようで、いつ、遭遇してもいいようにと稽古に明け暮れている。
 腕っぷしがとびぬけて高い和彦は稽古に付き合わされていた。
 体を動かせば、食欲も出る。世話役の秋吉摩耶が食事に頭を抱えるのは時間の問題だろう。
「豊後屋の奴はまだ、宿にいるってよ」
 江邨の言葉に和彦は表情を引き締める。
「筒香町の岡っ引き親分がわざわざ教えに来たってよ」
 江邨の言葉に和彦は目を丸くする。
「礼、言っとけよ?」
 にやりと笑った江邨は立ち上がってその場から去った。

 即疾隊と番所は全く別な治安部隊である。
 それぞれの上司は別の存在しており、それがきちんと連携が取れていたかは皆無であったが、今回、それははじめてとれたのだ。
 江邨はそれを大事にしろと言っていることは和彦もわかっている。
 筒香町の八助親分に礼を言いに行くなり、八助は慌てた様子であった。
「あんたんとこの隊士の嬢ちゃんがしゃんとしてたからな!」
 心当たりは和彦にもある。
「親分、照れてるんですよ」
「ああ」
 下っぴきの男がこっそり和彦に耳打ちをすると、和彦は納得する。
「お前ぇら、ひそひそしてんじゃねぇええ!」
 照れて暴れる八助から逃れるために、和彦は番所を出た。
 軽口を叩くなど、どれくらいぶりだろうかと和彦はため息をついた。
 筒香町の番所のような人たちは稀有な存在だろうと和彦は思うが、それは、ハンターの存在あっての事だと和彦は分かっている。
 この鉢金を見て恐れを持つ者は多くいるからだ。
 自分達もまた、頑張らないとならないと和彦は思う。

 用事は終わったし、屯所へ戻るだけなのだが、和彦はふと、紙問屋の様子を見に行こうと思った。
 紙問屋の息子は行方不明事件の当事者であり、家族は本当に心配していたと聞いている。
 現状、消息は分からないので、安心もさせることはないが……ということで、遠巻きに様子を見ようと思っていたのだ。
「あ、即疾隊の……」
 そう尋ねてきたのは東方ではあまり見かけない出で立ちの者。
「……ハンターの方々か?」
 和彦が尋ねると、ハンター達は頷いた。
 そのハンター達は別の依頼を受けており、その帰りだという。
 詩天もあちこちで歪虚が動いており、何かとハンターが来ているのだと、副局長より聞いた覚えがある。
「今日は使いで町に参りました」
 世間話を交えつつ、和彦とハンターが話していると、悲鳴が聞こえた。
 悲鳴の方向へ向かえば、魚に海老のような足が生えた化け物三体が道のど真ん中でのたうっている。
「……っだ、あれ!」
 醜怪な姿にハンターの一人が叫ぶ。
「桶の中からでてきたんだよぅ!」
 壮年の女が金切り声を上げて逃げている。
 地に落ちた桶は破裂したかのようにボロボロになっており、魚のようなもの達はそこからでてきたようだった。
「依頼が終わって申し訳ない。手伝ってくれますか!」
 和彦が叫べば、ハンター達は了承する。

リプレイ本文

 数名、会ったことがあるハンター達の姿を見て、和彦が少し安堵の表情を見せる。
「先日の見回りの時には歪虚化した浪人を退治したのは伺いました。お疲れ様です」
 和彦が労わったのは和音・空(ka6228)だった。
 彼女は即疾隊より依頼された見回りの依頼に入っており、そこで浪人に困らされた丁稚少年の手助けをしていた。
 当の和彦は別働で空が関わった話を局長達より聞いた模様。
「ありがとう、詩天でもまだ憤怒の残党がいるみたいだしね」
 後片付けは大事よねと空が肩を竦めた瞬間、女の金切り声が聞こえた。
 ハンターと和彦が向かうと、壊れた桶より飛び出した常識外の大きさの魚が近くにいたおばさんへと向かっている。
「依頼が終わって申し訳ない。手伝ってくれますか!」
 和彦が叫んで抜刀するなり、飛び出したのはカリン(ka5456)だった。
「任せてください!」
 ジェットブーツを発動させたカリンが歪虚に襲われそうになっているおばさんを守るために飛び出す。
「……ひっ!」
 異形の歪虚より逃げようとするおばさんは迫ってくる恐怖に足を竦めて転んでしまった。
 カリンが思った以上に歪虚の動きは早く、ジェットブーツを発動してても、おばさんと歪虚の間に入れるかどうかの見極めは難しいと直感する。
 町民達は歪虚という生命の危機へ視線を向けている中、繊手より放り投げられた符には気づかなかった。
 符は太陽の光よりも激しく輝き、稲妻となってがおばさんを狙う歪虚へ容赦なく落とされた。
 おばさんへあと一歩だった歪虚であったが、稲妻に身体を貫かれてしまっては動けなくなってしまう。
 風雷陣で歪虚の動きが止まったことで、カリンは電撃で動きが痺れて止まっている歪虚よりおばさんを守る為の一番手っ取り早い行動をとった。
「たぁ!」
 ジェットブーツの速度と、気合が加わったカリンの蹴りはおばさんと歪虚の間合いを話すには十分な威力となり、歪虚はものの見事に吹き飛んだ。
「ここは私達に任せて逃げてください!」
 カリンの避難勧告におばさんは目を丸くする。
「あ、あんた達は……それに即疾隊……」
「即疾隊と私達に任せてください! 周囲の人達にも歪虚が片付くまで近づかないよう、町の人にも伝えて欲しいのですっ」
 心配そうな表情をするおばさんへカリンが立ち上がらせようと手を差し出しつつ、説明をする。
「だ、大丈夫かい?」
 近くにいた男がおばさんを引き受けようと、おばさんを支える。
「大丈夫です! 番屋へ行って、この辺りを封鎖するようお願いしたいですっ」
 カリンが言えば、他の奴が駆けだしていった。

 白銀の刀身を抜き放ったルイトガルト・レーデル(ka6356)が前に出る。
「協力要請は請けた」
 湿気を帯びた蒸し暑さを帯びる空気の中、揺らめくのは金の髪。
 どす黒く大きな魚は丸く口を開けているが、その中に潜んでいるのは、動物の柔らかな肉を噛み千切るための鋭い歯が歪に口から覗く。
 歪虚はルイトガルトをめがけて前足を振り下ろした。
 じっと、それを見ていたルイトガルトは刀を横に構えて、大きく振り、足を斬り落としす。
 足の一本を奪われたとしても、歪虚の動きを妨げることはできなかった。
「処分するしかない」
 ゆっくりと瞬いたルイトガルトの表情はどこか残念そうであり、前衛に立って魚型歪虚と対峙する。
 この魚は煮ても焼いても食べられないのだから。

 カリンが蹴り飛ばした歪虚へと向かおうとする和彦を引き留めたのは閏(ka5673)だ。
「お待ちください」
 肩越しに振り向いた和彦に閏が肩に符を貼り付ける。
 そっと優しく張られた符にマテリアルを感じた和彦は「ありがとうございます」と礼を告げた。
「お願いしますね。こちらは避難誘導いたします」
 和彦を見送った閏は周囲にいる人々の方へと向かう。
「こちらは危険ですよ」
 逃げ遅れたのか、腰を抜かしている子供を抱きかかえて安全だろう場所まで運ぶ。
「だ、大丈夫なのか……」
 遠巻きで見ていた町民の一人が閏が抱きかかえていた子供を引き受けてくれたのだが、その表情には不安が残る。
「彼らは覚醒者です。きっと歪虚を倒してくださいます」
 安心を覚えるように微笑む閏は子供やお年寄りを非難するように周囲の町民へ注意を促していく。
「気をつけてな……」
「大丈夫です。カサカサと動きは気持ち悪いですが……」
 着用している服の面積が多いため、一見分かりづらいが、閏の腕は鳥肌状態である。

 周囲の戦況を見ていたのは金目(ka6190)であった。
「……ほぉ」
 金目が追う視線は即疾隊士の和彦だ。
 噂に聞く即疾隊は町の人からの印象は宜しくはないと聞く。
 しかし、壬生和彦はハンター達の動きと連携し、確実に歪虚を仕留めている。
 歪虚は人型ではない為、勝手が掴めていないのは他のハンターと変わらない模様と判断した。
「空さん」
「ええ」
 金目が空へ声をかけると、彼女もまた、状況に気づいている。
 前衛を張ってくれている里見 茜(ka6182)の服が魚型歪虚の足先に引っかかり、そのまま飛ばされてしまっていた。
「離れて!」
 空が叫ぶと、茜は受け身を取ってそのまま後方……野次馬達の方へと飛びずさる。
 野次馬達の方へ下がってきた茜に町民達が驚きの声を上げて後ろに一歩下がった。
「ここは危ないよ! 逃げて!」
 振り向いた茜が注意喚起をすると、空が放った風雷陣が発動して歪虚に雷が落ちる。
 歪虚が動きを止めると、再び茜が飛び出す。
 最短距離を一直線に駆けだした茜は歪虚めがけて体重いっぱいにこめた正拳突きを繰り出し、歪虚の身体へ拳をめり込ませる。
 小柄な茜が大きな歪虚を殴り倒す姿に野次馬より感嘆の声があがる。
「……見世物じゃないんだけどね」
 ため息をつきつつ、空が呟く。

 野次馬が遠巻きに見ていてもルイトガルトは気にせずに歪虚と戦っていた。
 刀を水平に構え、一気に間合いを詰めて歪虚の身体へ刺突する。
 突かれると、歪虚は痛覚というよりは、刀が刺さっているという異物感に反応しているのだろうか。
 ルイトガルトの背後についた閏の表情はとてもよくない。
 野次馬は中々に帰ってくれないのだが、邪魔にはなってないようなので、これ以上前に出ないように注意して戦線に戻る。
 生来、彼は穏やかな気性であり、臆病でもある。
 何度かの戦いに赴き、勝利を手にしてきてはいるものの、好むものではない模様。
 問題の歪虚はルイトガルトの突きに倒れても起き上がり、魚にはあり得ない多足の足をばたつかせては素早く動く。
 料理を好み、台所へ立つ彼にとって、歪虚の動きはアレにしか見えないくなって涙目となる。
「あああああ……っ!! カサカサしてて気持ち悪いですーーー!!!」
 顔を両手で覆って絶叫号泣する閏に野次馬の一部は同意するし、さっさと逃げろというツッコミもあるが、あの恐怖だけは思い出すのもおぞましい。
「安心しろ。屯所の台所のスミに似たような動きをするものが出てきたが、討伐した」
 ルイトガルトの激白に閏は更に絶叫する。
「摩耶さんも退治できる方なので、安心して作りに来てください」
「そうではないと思いますーーーーー!」
 もう一匹と戦っている和彦の援護とは思えない言葉に閏はツッコミを入れて、もはや色々と頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。
 閏より黒煙のような霧が爆発し、彼の手から放たれた符を舞いあげる。
 ルイトガルトが間合いを取った瞬間、光の反射だろうか、黒みを帯びた稲妻が歪虚へ落ちた。
 歪虚が動きを止めると、ルイトガルトは一度鞘に刀を収めて納刀の構えをとる。
 風雷陣の足止めより回復しようとする歪虚はゆっくりと動きだす。
 マテリアルを練り、精神統一するルイトガルトは柄に手をかけたまま駆けだした。
 間合いを縮め、逃げ道を消すルイトガルトは迷うことなく抜刀し、頭と胴体を切り離す。
 歪虚の胴体は足をばたつかせるが、じきに動きを止める。

 避難を誘導していたカリンが駆け付けると、和彦が歪虚を斬りつけていた。
 人との戦い方とは違い、少し戸惑っているようにも見える。
「確かに、足があるお魚はちょっと……」
 海老のような足であるが、動き自体はあまり海老とは思えなく、カリンの元気な表情もげんなりとなってしまう。
 こういうものはさっさと倒すのが一番。
「お手伝いしちゃいますです!」
 アルケミストデバイスを構えるカリンの目の前に光で形成された三角形が浮かび上がった。
 三角形の頂点より、光が伸びて歪虚を貫いていく。
 片目を貫かれ、目玉よりどす黒い血が流れてよろけるように歩き出すも、足でなんとか平衡を保っている。
 和彦はカリンが作ってくれた好機を逃す気はなく、防御を考えずに大上段に構えた。
 迷うことなく振るい降ろされた刃は歪虚の胴体を一刀両断にし、命中した瞬間、ひねりを加えた和彦は刀を横に薙いで足が生えている下肢を切り裂く。
 ルイトガルトが和彦の方へと駆け付けて、彼の剣を見ていた彼女は目を瞬かせた。
 和彦が即疾隊に属する腕自慢の荒くれ者たちの実力より群を抜きんでいるのは聞いているが、いくら覚醒者とはいえ、その辺の剣士が放つ太刀筋ではないとルイトガルトは目を細める。
 前髪で目の表情は見えないが、和彦の口元が苦々しく噛みしめているのを見た。

 前衛の茜は魚型歪虚の動きが鈍くなっていることに気づく。
 もう少しだと確信した茜は迷うことなく、拳を歪虚へ叩き込むも、歪虚が持つ多足の足に服が引っかかり、茜の身体を上空へと振り上げた。
「うっ、わわ!」
 目を丸くした茜は放られた先がどこにいくか先読みし、せめて顔は守ろうと、腕を交差させる。
 放られた先……尾ひれは茜を狙い、大きくひれが動いて茜を襲う。
 尾ひれと茜がぶつかったわけではなく、金目が仕込んだ光の障壁が茜を守り、ガラスのように砕けてしまった。
 砕けたガラスも、茜を守るようにはらはらと消えゆき、彼女は交差した手を伸ばし、両手で着地して地面についた反動で跳ねると、くるりと、一回転し、着地する。
 見事な身体捌きに野次馬達の歓声があがる。
「おい! お前ら! 見せもんじゃねぇぞ!」
 大きな声を上げてきたのは筒香町の親分だった。
「あ! いいタイミングです!」
 ぴょんぴょん跳ねて喜んだのはカリンだ。
「おぉ? 即疾隊かよ!」
「危ないから、封鎖してくれませんか?」
 筒香町の番所で岡っ引きをやっている八助親分が叫べば、金目が横から頼む。
「おぉう……」
 背の高い金目を見上げた岡っ引きが頷くと、野次馬達を散らせる。
「ドンパチは面倒だが、これで少しは動きやすくなる……か」
 頭を掻きつつ、金目はアルケミストデバイスを持つ。
「デルタレイを発動させるなら、あっちからお願いできるかしら」
 空が言えば、金目は了承した。
 場所を移動させた金目がデルタレイを発動させる。
 三角形の頂点より伸びる光が狙うのは、歪虚の足。光に貫かれて歩行がよろけるようになった歪虚が転ぶ。
 土の地面だったはずが、空が発動させた陣が水分を沢山含んだ泥となって魚の頭を汚しては泥が固まっていく。
 頭が固定されていくと、尾ひれをバタつかせる歪虚に向かったのは金目だ。
 再び発動させたデルタレイが貫いたのは尾ひれの付け根部分。
 びくりと、身体が浮いたものの、頭と尾ひれは動かない。
 助走をつけて飛び上がった茜が苛烈な一撃を加える。拳が歪虚の身体をめり込み、鱗が更に歪虚の肉を削った。
 歪虚は二度ほど跳ねて動かなくなった。
「……はっ」
 よろけそうになる茜の肩をルイトガルトが支える。
「貴様は歪虚へ死をもたらした」
 穏やかな声音に茜は自分へ刻むようにこくりと頷く。

 歪虚が倒されたと判断した町民達は安堵の様子を見せ、少しずつ、いつもの生活へと戻っていった。
 年寄や壮年の年頃な者達は年若いハンター達を心配している。
「だーいじょーぶでっす!」
「心配ないですからね」
 茜とカリンが元気よく言えば、町の人々は「無茶したらいけないよ」と心配し、大けがをしてなかったことに喜んでいた。
 とはいえ、即疾隊とみなされたハンターは後片付けと事情聴取に回される。
 漁獲してきた者の話を聞けば、若峰郊外で採れたもの。
 誰も近寄らない理由は、川の中は浅い所と深い所があり、その差は潜らないとわからないとの事。
 しかも、川の流れも急なので、足を取られたらそのまま流されて命はないと言われている。
 当事者は浅瀬部分をある程度把握しており、その部分だけで魚を取ってきたと証言していた。
 沢山魚が取れても、歪虚がいるようなところじゃ、命がなんぼあっても足りないということで、今後は近寄らないと反省している模様。
「……わりぃが、こりゃぁ、お前さん方が出張った方がいいだろう。俺ァ、覚醒者じゃねぇからな」
 一緒に話を聞いていた岡っ引きの八助親分が手を振って和彦に投げた。
「承りました」
 こくりと頷いた和彦は一度引き上げて局長達に話を繋げると言った。
「現場、見に行かなくていいのかしら?」
 空が言えば、和彦は「はい」と返す。
「すぐに検証して、調査をすることには賛成です。もし、歪虚の巣窟であった場合、今の状態では危険です」
「それもそうね。思ったより強かったし」
 こくりと空が頷くと、閏がぱんと、両手を打つ。
「皆さま、お食事にしましょう」
「そうだな……しかし、魚ではない方がありがたいな」
 閏の提案にルイトガルトが同意するが、先ほどの戦闘で魚は気持ちいっぱいの模様。
「種類が色々と豊富なお店がいいです!」
 手を上げるカリンに皆が頷く。
「酒もあるとありがたいな」
 仕事終わった後の一杯は格別な金目が言えば、周囲の町民達が声をかける。
「うちに来なよ!」
「魚も肉もあるよ!」
 飲食店を経営している者達がハンターへと声をかけていく。
「壬生さんもどーですかー?」
 カリンの誘いに和彦は困った顔をする。
「あんたみたいな男前の分くらい奢ってやるわよ! 他の隊士には内緒だからね!」
 恰幅のいい女将さんに首をロックされた和彦がずるずる引きずられて行き、ハンター達がついていく。
「壬生」
「はい?」
 不安定な格好で歩かされている和彦にルイトガルトが声をかける。
「斬った後も躊躇いを見せるな。死ぬぞ」
 彼女の言葉に和彦は目を見張る。
「そーですよっ! 辛そうな顔をしたら、幸せが見つけにくくなるんですよ」
「とりあえず、たまにはお腹一杯食べてもいいと思いますよ」
 カリンがルイトガルトの言葉に同意するように言えば、閏が微笑む。
「そうそう! お腹一杯食べれば前向きになるって!」
「ちゃんと寝ることも大事ね」
 茜の言葉を引き継ぐように空も言う。
「さ、仕事終わったんだし、飲むぞ、食うぞ」
 金目が言えば、目の前には目的の店が見えてきた。

依頼結果

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MVP一覧

  • 鈴蘭の妖精
    カリンka5456
  • 即疾隊一番隊士
    和音・空ka6228

重体一覧

参加者一覧

  • 鈴蘭の妖精
    カリン(ka5456
    エルフ|17才|女性|機導師
  • 招雷鬼
    閏(ka5673
    鬼|34才|男性|符術師
  • 裡に宿せしは≪業炎≫
    里見 茜(ka6182
    鬼|13才|女性|格闘士
  • 細工師
    金目(ka6190
    人間(紅)|26才|男性|機導師
  • 即疾隊一番隊士
    和音・空(ka6228
    人間(紅)|19才|女性|符術師
  • 戦場に疾る銀黒
    ルイトガルト・レーデル(ka6356
    人間(紅)|21才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/13 21:15:55
アイコン お魚さん退治
閏(ka5673
鬼|34才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/07/16 23:55:14