ゲスト
(ka0000)
乙女となった英霊
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2016/07/24 22:00
- 完成日
- 2016/07/30 23:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
帝国との国境近くにある小さな村に、小さな祠があります。
その祠は昔々この地で戦死した、とある英雄の為に立てられたものです。
英雄は死してもなお思念を残し、英霊となることが出来ました。
しかし非常にうっかりした人だったので、死ぬと同時に、自分の種族、年齢、性別、死因といったものを、きれいさっぱり失念してしまいました。だから出現する際は曖昧模糊とした、湯気みたいな姿になってしまいます。
そんな英雄が誕生して幾歳月……今では祠の由来を知っている人間はごく僅か――はっきり言えば相当のお年寄りしかいなくなりました。その分お参りも減りました。
英霊は、いつも物足りない気分です。
折も折、村に大きな荷を積んだ馬車がやってきました。
荷は透明な柩でした。中にいるのは造花に囲まれた、それはそれは愛らしい少女。
生きた人間ではなく人形です。すぐには人形であると見抜けないほど、真に迫った出来です。
御者は喉が渇いたのか、村の広場に馬車を止め、居酒屋へ入って行きました。
村人たちは物珍しさも手伝って、馬車の回りに集まります。
そのうちの何人かが居酒屋に入った御者を追いかけて、話を聞きました。
「なあ、あれは一体なんなんだい?」
御者はビールの泡を口につけたまま、答えました。
「ああ、あれかい。ありゃあユニコーン対策用に作られた生き人形さ。ほら、ユニコーンてのは乙女を追い回す習性があるだろ? それを防ぐための疑似餌よ。あれをあてがっておけば、そっちに首ったけになって、要らない騒ぎを起こさなくなるようになるんだと」
「へーえ。ユニコーンはそんなあからさまな罠にひっかかるのかね?」
「みたいだな。つい先頃試作品の第一号が試験投入されて、かなりの効果を上げたんだと。で、森の方々から追加発注が来てるんだ。最近あそこは、ユニコーンが妙に増えたらしくてね……」
祠にいた英霊も見物人の間に紛れて(昼間は人の目に入りにくいのです)人形を眺めます。
英霊は遠い遠い昔、何度か人に乗り移り力を貸してやったことがあったの思い出しました。
(……中身があるものに乗り移れるなら、中身がないものにも乗り移れるのではないだろうか……)
●
「人形が突如立って歩きだした。」
という案件を聞いたカチャは、こう断言した。
「歪虚化ですね」
仲間のハンターたちも、彼女の意見に全面賛成である。
「だよな」
「ですよね」
「間違いなく」
依頼を持ち込んできた運送業者は、酔いも醒め果て情けない顔。
「やっぱり……」
「まあそんなに落ち込まないで。歪虚化が浅ければ、元通り人形に戻せる可能性もありますので」
「心からそうお頼みしたいんですがねえ……なにしろ高い積み荷ですし、運び損ねたとなったら、私ギルドから大目玉を食いますので……」
彼を残しハンターたちは、現場である村に飛んだ。
……特に何も起きていなかった。
住民に聞けば、人形はムクリと起き上がるなり村の外れにある祠へ行き、そこに居座ったという。
「なんだかよく分からない行動ですね」
「ああ。もしかしたら自我が未熟で、自分でも何をしたらいいか分かっていないのかも」
「だったら浄化も簡単ですね」
村の祠を訪れてみると、夢のような美少女がユニコーンを傍らに、えへんと胸を張っている。
『おお、参拝者か。くるしゅうない、近うよれ』
……歪虚にしてはおかしい。
なにがおかしいって、幻獣のユニコーンが近くにはべっているところがだ。
普通歪虚だったら、こんなふうに動物が近づいてこないはずなのだ。
その祠は昔々この地で戦死した、とある英雄の為に立てられたものです。
英雄は死してもなお思念を残し、英霊となることが出来ました。
しかし非常にうっかりした人だったので、死ぬと同時に、自分の種族、年齢、性別、死因といったものを、きれいさっぱり失念してしまいました。だから出現する際は曖昧模糊とした、湯気みたいな姿になってしまいます。
そんな英雄が誕生して幾歳月……今では祠の由来を知っている人間はごく僅か――はっきり言えば相当のお年寄りしかいなくなりました。その分お参りも減りました。
英霊は、いつも物足りない気分です。
折も折、村に大きな荷を積んだ馬車がやってきました。
荷は透明な柩でした。中にいるのは造花に囲まれた、それはそれは愛らしい少女。
生きた人間ではなく人形です。すぐには人形であると見抜けないほど、真に迫った出来です。
御者は喉が渇いたのか、村の広場に馬車を止め、居酒屋へ入って行きました。
村人たちは物珍しさも手伝って、馬車の回りに集まります。
そのうちの何人かが居酒屋に入った御者を追いかけて、話を聞きました。
「なあ、あれは一体なんなんだい?」
御者はビールの泡を口につけたまま、答えました。
「ああ、あれかい。ありゃあユニコーン対策用に作られた生き人形さ。ほら、ユニコーンてのは乙女を追い回す習性があるだろ? それを防ぐための疑似餌よ。あれをあてがっておけば、そっちに首ったけになって、要らない騒ぎを起こさなくなるようになるんだと」
「へーえ。ユニコーンはそんなあからさまな罠にひっかかるのかね?」
「みたいだな。つい先頃試作品の第一号が試験投入されて、かなりの効果を上げたんだと。で、森の方々から追加発注が来てるんだ。最近あそこは、ユニコーンが妙に増えたらしくてね……」
祠にいた英霊も見物人の間に紛れて(昼間は人の目に入りにくいのです)人形を眺めます。
英霊は遠い遠い昔、何度か人に乗り移り力を貸してやったことがあったの思い出しました。
(……中身があるものに乗り移れるなら、中身がないものにも乗り移れるのではないだろうか……)
●
「人形が突如立って歩きだした。」
という案件を聞いたカチャは、こう断言した。
「歪虚化ですね」
仲間のハンターたちも、彼女の意見に全面賛成である。
「だよな」
「ですよね」
「間違いなく」
依頼を持ち込んできた運送業者は、酔いも醒め果て情けない顔。
「やっぱり……」
「まあそんなに落ち込まないで。歪虚化が浅ければ、元通り人形に戻せる可能性もありますので」
「心からそうお頼みしたいんですがねえ……なにしろ高い積み荷ですし、運び損ねたとなったら、私ギルドから大目玉を食いますので……」
彼を残しハンターたちは、現場である村に飛んだ。
……特に何も起きていなかった。
住民に聞けば、人形はムクリと起き上がるなり村の外れにある祠へ行き、そこに居座ったという。
「なんだかよく分からない行動ですね」
「ああ。もしかしたら自我が未熟で、自分でも何をしたらいいか分かっていないのかも」
「だったら浄化も簡単ですね」
村の祠を訪れてみると、夢のような美少女がユニコーンを傍らに、えへんと胸を張っている。
『おお、参拝者か。くるしゅうない、近うよれ』
……歪虚にしてはおかしい。
なにがおかしいって、幻獣のユニコーンが近くにはべっているところがだ。
普通歪虚だったら、こんなふうに動物が近づいてこないはずなのだ。
リプレイ本文
依頼に先立ちメイム(ka2290)は、カチャと一緒に村を回り、情報収集をしておくとした。
そして判明したのは、祠にお参りしているのが高齢者だけという事実。
それかあらぬか英霊の素性については、ものすごく大ざっぱな事しか伝わっていない。
「とにかくどえりゃあ強いお人で、村を襲ってきた何かこう……悪いものを退治してくれたでよ。名前?……はて、なんだったろうかいの。婆さんや、お前知ってるかの」
「いいえ、あたしゃ知りませんよ。ずっと昔から英霊様としか呼ばれませんでしたでしょう」
「そうだったかの。ところで英霊様は男だっけか女だっけか」
「さあねえ、どっちだか聞いた覚えがないですねえ」
これ以上探りを入れても、何も出てきそうにない。普通村で祭られてるんだったら、もっと細かいところとか伝わってるものじゃないかと思うのだが……。
とにかくも2人は仲間の元に戻り、知り得たことを伝えた。それから改めて、皆で現場へ向かう。
●
『ささ、近うよれ』
祠の前にて手招きしてくるのは、純白の薄衣と清浄なオーラを身にまとった美少女(の人形)。
オンサ・ラ・マーニョ(ka2329)は、一目で彼女の正体を見抜いた。
「我が部族の祖霊と似た感じを受ける……精霊であろうな」
リナリス・リーカノア(ka5126)も、幻獣が一緒にいる時点で、歪虚ではないと判断する。
先程メイムたちが仕入れてきた情報からして、恐らくここに祭られている名無しの英霊であろう。
英霊の傍らには、純白の体に銀のたてがみの美しき獣が脚を折り畳んで座っている。その額から突き出ているのは一本の角。
「ユニコーンて、森の奥深くに住んでいるんじゃなかったっけ? こんな里山あたりまで出て来ていいのかな」
五行ヶ原 凛(ka6270)の素朴な疑問に、リナリスが答えた。
「好みの乙女がいる限りは、どこにでも出張可能らしいわねぇ」
メイムはこめかみを掻き、一人ごちる。
「増えすぎたユニコーンなんてホブゴブリンとなにが違うのだろーね」
ユニコーンの耳がぴくぴくっと動くのを見たカチャは、あわてて彼女に囁いた。
「しっ。聞こえてますよメイムさん」
とりあえずホブゴブリンとユニコーンでは、見た目が段違いだと指摘しておこう。月とスッポンどころではない。汚物と宝石だ。
後は乙女本人に対する実害がほとんどない――乙女が乙女であることを捨てない限りは。
まあそれはそれとして、あれがくっついていると交渉がやりづらい。思った凜は、囮役を買って出る。張り切った様子で物陰に入って行き、お着替え始め。
「よーし、あたしがユニコーンを引き付けるよ。確か前、ユニコーンが10歳の子を気に入ったとか……」
メイムは英霊の姿を頭からつま先までとっくり眺めてから、カチャに真顔を向けた。
「な、なんです?」
「……ほかの部分はともかくとして、カチャさんあの人形と背丈は同じくらいだよね? 意外といけるかもしんないなー」
なんて言いながら芋ジャージの袖を引っ張り、茂みに入って行く。
オンサとリナリスは早速のこと、説得を始めた。
「どうどうどう、うん、いい子だな」
警戒心を抱かせまいとゆっくりユニコーンに歩み寄り、手を差し出すオンサ。
ユニコーンは顔を持ち上げじっと彼女の方を見、差し出された手に軽く鼻先をこすりつけた。
リナリスもまた、乙女の護衛を刺激しないよう静かに近づいて行く。手を差し出す。
「こんにちは~」
ユニコーンは彼女の顔を見て、フン、と小さく鼻を鳴らし、首を地面に横たえる。
「……あれあれ、どうしたのかな~?」
頭を撫でてみるも、いまいち反応しない――拒否もしないが。
(リナリス殿……乙女ではないのかの……)
妙に感心した目をリナリスに向けた後、オンサは、英霊に話しかけた。
「あなたが、この祠の英霊殿で?」
『うむ。わしこそ英霊じゃ』
「おお、やはり……お目にかかれて光栄に存じます。我はオンサ・ラ・マーニョと申すもの、以後お見知りおきを」
うやうやしく頭を垂れるオンサ。リナリスもそれに習い、精霊に礼を示す。
「あたしはリナリス・カーノリアです。お会い出来たことに感謝します」
『む、苦しゅうないぞよ』
丁寧に挨拶された英霊は、とてもうれしそう。
リナリスは念のため、いくつか質問をしてみるとした。
「ところで英霊様、お名前は何とおっしゃいますか?」
『名前かの。何じゃったか忘れたの』
「それなら、男女どちらで」
『うーん、そこも忘れたの』
「そもそもなぜ英霊に?」
『覚えとらんなあ。村を巡って何かと戦ったよーな気はするが』
失念ぶりを全く隠そうとしない……偽物だったらもっと何かしら辻褄を合わせ、取り繕おうとするはず。これは本物と見ていいだろう。
であれば以下のことが気になる。
「ところで、その人形は……?」
『うん、この人形はの、その辺で拾ったのじゃ。わしはこれが大層気に入った。これに入っておれば、村の者もわしのことがよく見えるからの。わしにはそもそも、ちゃんとした姿というものがないでのう……』
英霊がそう言ったところで、着替えを終えた凜が物陰から登場。
黄色い帽子、水色スモック、赤ミニスカ、黄色い鞄。見えないけど下は紙おむつ。
「わぁ、ユニコーンさんだぁ♪ ねーねー凜と一緒に遊ぼー♪」
外見、口調とも完璧に園児を装い、ユニコーンに近づいていく。上目使いの目に涙。
「ねえねえ、遊ぶのダメ? ぐすっ……ユニコーンさん……凜の事きらいなの……? ぐすん……」
なんという清々しいまでのあざとさ。
感嘆しつつメイムは、英霊と同じ衣装に着替えさせたカチャの背を、ぽんと叩く。
「カチャさんもほら、あれを見習って接待接待」
「ええ~……」
「ええ~じゃないよ。折角芋ジャー脱いで髪も下ろして扮装したんだからさ。ほらほら」
というわけで、カチャも茂みから登場。
ユニコーンは彼女らに興味しんしん。すっくと立ち上がる。
「あははー、こっちこっちー」
「うわわわ、待って、待ってくださいよ凜さん!」
無邪気に駆け回る凜。慌てて凜を追うカチャ。
ごく自然にスカートの端が浮いておむつがちらり。
ユニコーン、ギャロップで乙女たちについていく。そのまま離れた川のほとりまで誘導。
(よし、うまいぞ凜)
心ひそかに拍手を送るオンサは、英霊相手に話を続ける。
「なるほどなるほど。経緯はよく分かり申した。お美しい姿であらせられる――が、少女の姿は熱心すぎる崇拝者を生みやすい。歴史上、少女騎士に率いられた兵が如何に熱狂的に戦ったかご存知かと」
背後から凜とカチャの声が聞こえる。
「きゃはははは。くすぐったーい♪」
「いいい、ちょっと顔近! 鼻息荒いですよ! なんなんですかこの幻獣変態ですか!」
勿論聞き流すオンサ。
「そして狂信者はしばしば崇拝対象の意志に関係なく、その激烈な信仰心故に他者に多大な迷惑をかけるもの」
ユニコーンは背後で乙女たちと戯れている。
「おままごとしよっ。新婚さんごっこがいいなー。ユニコーンさんがだんなさまで、あたしがおくさま。カチャさんは虎視眈々と妻の座をねらう愛人ってことで♪」
「……設定生臭すぎません?」
「ユニコーンさん、凛といろんなことして遊ぼうね♪」
「ねえ聞いてます、ねえ!?」
またも聞き流すオンサ。
「気高く慈悲深い英霊はその様な事はお望みではない筈」
リナリスも英霊に、人形返却をお願い申し上げた。
「その人形はユニコーンを慰める為に作られた物で大変高価。目的地に届かないと運送業者さん等大勢の人が困ってしまうんです。というわけでこれに乗り換えてもらえませんでしょうか?」
差し出したのは着ぐるみ『まるごとうさぎ』。黒兎ロップイヤーバージョン。動きに合わせて耳が揺れ、とてもかわゆいのだ。
『これは……姿形が少々重みに欠けやせんじゃろうか』
英霊は機種変更に乗り気で無さそうだった。
翻意してもらおうと、オンサが熱弁を振るう。近くに落ちていた小枝を拾い土の上に描くのは、二頭身で直立歩行の可愛らしい子馬。
「なんの。我等グン=マーニョの祖霊が1柱、グン=マーチャン――我らの言葉で『勇猛なる駻馬』という意味でありますが――も、この様に愛らしいお姿をしておられる。その故、部族の外にも大勢の崇拝者がおります。以前結婚式にグン=マーチャンの扮装で参加した際には大好評を博しましたぞ」
英霊、心がちょっと動く。
『ほう……部族以外にも崇拝してもらえるのかの』
リナリスも売り込みに協力した。
「英霊様、今は萌えキャラよりゆるキャラの時代です! 萌えは性的まなざしがどうのと面倒な人がいるしー……この着ぐるみに乗り移ってゆるキャラとして振舞えばたちまち人気者♪ 老若男女問わず人は皆ゆるキャラ大好きだから♪ 村興しにも繋がり、大勢に崇められると思いますよ♪」
『ほほう、大勢に……』
ますます心が動かされた英霊。もう後一押しだ。
メイムが脇から付け加える。
「参拝者が増えたら、祠が新しくなるかも知れないよ」
『おお……祠が新しく……それはいいのう。すごくいいのう。前のは傷んできておるし……』
大自然の一部に帰還しつつある祠を眺め嘆息する英霊は、心を決めた。
『あい分かった。そっちに乗り換えるわ、わし』
直後人形の体が崩れ落ちた。メイムはすかさず抱きとめる。何しろ高価な品、傷が付いては大問題。
ちらりと川のほとりに目を向ければ、ままごと続行中。
「来たわねこのどろぼうねこ! 主人はぜったいに渡さないんだからっ!」
「待ってください一体どういう遊びなんですかこれ! スカート噛むな引っ張るな獣ー!」
ユニコーンが戻ってきたとき乙女に何かしたと思われては面倒なので、人形を木の根元に立て掛け、うたた寝しているかのように装わせる。
そこでまるごとうさぎが、むくむく起き上がった。
『なにやらぶかぶかするぞよ』
「あ、そこはこれから綿を入れて縫い詰めますから。手足も、もっと短く丈詰めした方がかわいさUPします。じっとしてて下さいねー」
針と糸でのお直しが始まる。
メイムは運送業者を呼びに行くとした。人形を、ちゃんと柩に収め直してもらうために。
凜が心配なオンサは、ままごと遊びの現場に馳せ参じる。
「凜、ままごと遊びの進捗はどうなっている?」
「あっ、オンサちゃん。今ちょうど一幕が終わったところだよ。第二幕に行くまでにー……暑くなって来たから、一緒に水浴びしよー!」
凜は威勢よく服を脱ぎ捨てた。一糸纏わぬ天上の御使いの如き無垢な肢体が、川に飛び込む。
「おお、いいな。我も暑くなって来たところよ!」
オンサも脱衣した。一糸纏わぬ幼くしなやかな褐色の肢体が、これまた川にどぶーん。
深みでバタ足をした後は浅瀬に移動、お互い水を掛け合う。
キラキラ光る水飛沫が眩しい。未だ開かぬ蕾のごとき少女たちの無垢な裸体はもっと眩しい。
「オンサちゃん大ちゅき♪」
背後から抱き着き両手で胸を掴んで胸囲測定。ちょっと揉む。
「ふにゃっ! その様なところっ……お返しだっ」
するりと相手の足の間を抜け背後を取り、耳たぶをかぷり。
「にゃはっ♪ くしゅぐったーい♪」
うるわしい光景にすっかり魅了されているユニコーンは、自らもしゃばしゃば浅瀬に入った。
乙女らに頭を垂れ、前足を折る。
「わーい、オンサちゃん、ユニコーンさん背中に乗せてくれるって。一緒に乗ろー」
「おお、よいぞ。こんな機会はめったにないからな」
「ユニコーンちゃんも大しゅきだよ♪」
ユニコーンに抱き着きたてがみにすりすりする凜。
そこでオンサは、ふいと岸辺に目を向けた。
……カチャが水に足を浸し、息抜きをしている。
「のう凜」
「なあにオンサちゃん」
「この際カチャ殿も仲間に加えんか?」
「いいね、それ」
油断のならぬ無邪気さを瞳にたたえた少女たちは、頷きあうや否やカチャに向かって猛突進。
「おーい、カチャ殿ー!」
「一緒に水遊びしよー!」
戦場においてはなんぴとたりとも、観客席に安住することを許されない。
「へっ……何すっ……ちょ、やめてーっ!」
●
「いやいやいや、戻ってみればうら若き乙女3人が素っ裸で川遊びしてるとはねえー。運送業者さんがびっくりしてたよカチャさん」
「無理やり脱がされたんですよ私は……」
「年の割におっぱい大きいからってああも見せびらかすこともないんじゃないかと思うけどなー」
「だからあの2人に無理やり脱がされたんです私はっ!」
顔を真っ赤にしてメイムに言い募るカチャ。
リナリスは人差し指を唇に当て、それをたしなめる。
「静かに。これからぴょこられうさぎの出番よ」
彼女らがいるのは、村の広場に急ごしらえされた野外劇場の袖。
ただ今村人たちが見守る中、英霊『ぴょこられうさぎのぴょこ』(リナリス命名)普及活動の一環である劇が行われていた。
題して『ぴょこられうさぎのだいぼうけん』。
脚本・リナリス。
出演・メイム、凜、ぴょこられうさぎ、村のお年寄り有志連合。
「うわー、わるものがきたー」
「にげろー」
厚紙製の小さな家を踏み潰し舞台に登場したのは、鋲を打ちまくった悪者っぽい衣装のメイムと凜。
「この村は我々が占領した!」
「今日からここは修羅の国となるのだー! ヒャッハー!」
ちびっ子ギャングに震え上がる村人役のお年寄りたち。
「ひゃああおそろしい」
「だれかおたすけをー」
そこにぴょこられうさぎが出てくる。
『まてまてーっ、この村で勝手は許さんぞ!』
「むむっ、何物だ貴様っ!」
「生意気にぴょこぴょこしやがって!」
『フフフ、わしは人呼んでぴょこられうさぎのぴょこ、何を隠そう正義の英霊だ! くらえっ、ぴょこられキーック!』
ぴょこは蹴りを繰り出した。
足が短いので空振りした。
『ぴょこられパーンチ!』
手も短いので空振りした。
自分自身が回転し、倒れた。
「ぴょこー! 頑張れー!」
サクラとして声援を送るリナリス。
ぴょこはわちゃわちゃ動いて何とか起き上がる。
『どうだ、まいったか! 如何なる災難もぴょこが身を挺して防ぐのだ!』
メイムは言う。
「くっ……なんて奴だ……こんなに何かをぴょこりたい気分になったのは始めてだ……」
「あたしも……悔しいけど、負けを認めるよっ」
観客に受けてはいるようだが……果たしてこの筋でいいんだろうかと思うカチャ。
そこにリナリスが話しかけてきた。
「ところでカチャちゃんは乙女?」
「へ?」
「帝国乙女鑑定士1級のあたしがチェックしてあげようか♪ 乙女度上がるかも♪ まあ試しにちょっとこっちに」
「え、あの、ちょっと」
控室に連れ込まれて行くカチャ。
あれはろくな目にあわないだろうなーと思いつつメイムは、アイスキャンデーをほお張る。
「ひぎゃあああああああああああ」
何か悲鳴が聞こえてきたが……まあ、いいか。死ぬわけじゃなし。
そして判明したのは、祠にお参りしているのが高齢者だけという事実。
それかあらぬか英霊の素性については、ものすごく大ざっぱな事しか伝わっていない。
「とにかくどえりゃあ強いお人で、村を襲ってきた何かこう……悪いものを退治してくれたでよ。名前?……はて、なんだったろうかいの。婆さんや、お前知ってるかの」
「いいえ、あたしゃ知りませんよ。ずっと昔から英霊様としか呼ばれませんでしたでしょう」
「そうだったかの。ところで英霊様は男だっけか女だっけか」
「さあねえ、どっちだか聞いた覚えがないですねえ」
これ以上探りを入れても、何も出てきそうにない。普通村で祭られてるんだったら、もっと細かいところとか伝わってるものじゃないかと思うのだが……。
とにかくも2人は仲間の元に戻り、知り得たことを伝えた。それから改めて、皆で現場へ向かう。
●
『ささ、近うよれ』
祠の前にて手招きしてくるのは、純白の薄衣と清浄なオーラを身にまとった美少女(の人形)。
オンサ・ラ・マーニョ(ka2329)は、一目で彼女の正体を見抜いた。
「我が部族の祖霊と似た感じを受ける……精霊であろうな」
リナリス・リーカノア(ka5126)も、幻獣が一緒にいる時点で、歪虚ではないと判断する。
先程メイムたちが仕入れてきた情報からして、恐らくここに祭られている名無しの英霊であろう。
英霊の傍らには、純白の体に銀のたてがみの美しき獣が脚を折り畳んで座っている。その額から突き出ているのは一本の角。
「ユニコーンて、森の奥深くに住んでいるんじゃなかったっけ? こんな里山あたりまで出て来ていいのかな」
五行ヶ原 凛(ka6270)の素朴な疑問に、リナリスが答えた。
「好みの乙女がいる限りは、どこにでも出張可能らしいわねぇ」
メイムはこめかみを掻き、一人ごちる。
「増えすぎたユニコーンなんてホブゴブリンとなにが違うのだろーね」
ユニコーンの耳がぴくぴくっと動くのを見たカチャは、あわてて彼女に囁いた。
「しっ。聞こえてますよメイムさん」
とりあえずホブゴブリンとユニコーンでは、見た目が段違いだと指摘しておこう。月とスッポンどころではない。汚物と宝石だ。
後は乙女本人に対する実害がほとんどない――乙女が乙女であることを捨てない限りは。
まあそれはそれとして、あれがくっついていると交渉がやりづらい。思った凜は、囮役を買って出る。張り切った様子で物陰に入って行き、お着替え始め。
「よーし、あたしがユニコーンを引き付けるよ。確か前、ユニコーンが10歳の子を気に入ったとか……」
メイムは英霊の姿を頭からつま先までとっくり眺めてから、カチャに真顔を向けた。
「な、なんです?」
「……ほかの部分はともかくとして、カチャさんあの人形と背丈は同じくらいだよね? 意外といけるかもしんないなー」
なんて言いながら芋ジャージの袖を引っ張り、茂みに入って行く。
オンサとリナリスは早速のこと、説得を始めた。
「どうどうどう、うん、いい子だな」
警戒心を抱かせまいとゆっくりユニコーンに歩み寄り、手を差し出すオンサ。
ユニコーンは顔を持ち上げじっと彼女の方を見、差し出された手に軽く鼻先をこすりつけた。
リナリスもまた、乙女の護衛を刺激しないよう静かに近づいて行く。手を差し出す。
「こんにちは~」
ユニコーンは彼女の顔を見て、フン、と小さく鼻を鳴らし、首を地面に横たえる。
「……あれあれ、どうしたのかな~?」
頭を撫でてみるも、いまいち反応しない――拒否もしないが。
(リナリス殿……乙女ではないのかの……)
妙に感心した目をリナリスに向けた後、オンサは、英霊に話しかけた。
「あなたが、この祠の英霊殿で?」
『うむ。わしこそ英霊じゃ』
「おお、やはり……お目にかかれて光栄に存じます。我はオンサ・ラ・マーニョと申すもの、以後お見知りおきを」
うやうやしく頭を垂れるオンサ。リナリスもそれに習い、精霊に礼を示す。
「あたしはリナリス・カーノリアです。お会い出来たことに感謝します」
『む、苦しゅうないぞよ』
丁寧に挨拶された英霊は、とてもうれしそう。
リナリスは念のため、いくつか質問をしてみるとした。
「ところで英霊様、お名前は何とおっしゃいますか?」
『名前かの。何じゃったか忘れたの』
「それなら、男女どちらで」
『うーん、そこも忘れたの』
「そもそもなぜ英霊に?」
『覚えとらんなあ。村を巡って何かと戦ったよーな気はするが』
失念ぶりを全く隠そうとしない……偽物だったらもっと何かしら辻褄を合わせ、取り繕おうとするはず。これは本物と見ていいだろう。
であれば以下のことが気になる。
「ところで、その人形は……?」
『うん、この人形はの、その辺で拾ったのじゃ。わしはこれが大層気に入った。これに入っておれば、村の者もわしのことがよく見えるからの。わしにはそもそも、ちゃんとした姿というものがないでのう……』
英霊がそう言ったところで、着替えを終えた凜が物陰から登場。
黄色い帽子、水色スモック、赤ミニスカ、黄色い鞄。見えないけど下は紙おむつ。
「わぁ、ユニコーンさんだぁ♪ ねーねー凜と一緒に遊ぼー♪」
外見、口調とも完璧に園児を装い、ユニコーンに近づいていく。上目使いの目に涙。
「ねえねえ、遊ぶのダメ? ぐすっ……ユニコーンさん……凜の事きらいなの……? ぐすん……」
なんという清々しいまでのあざとさ。
感嘆しつつメイムは、英霊と同じ衣装に着替えさせたカチャの背を、ぽんと叩く。
「カチャさんもほら、あれを見習って接待接待」
「ええ~……」
「ええ~じゃないよ。折角芋ジャー脱いで髪も下ろして扮装したんだからさ。ほらほら」
というわけで、カチャも茂みから登場。
ユニコーンは彼女らに興味しんしん。すっくと立ち上がる。
「あははー、こっちこっちー」
「うわわわ、待って、待ってくださいよ凜さん!」
無邪気に駆け回る凜。慌てて凜を追うカチャ。
ごく自然にスカートの端が浮いておむつがちらり。
ユニコーン、ギャロップで乙女たちについていく。そのまま離れた川のほとりまで誘導。
(よし、うまいぞ凜)
心ひそかに拍手を送るオンサは、英霊相手に話を続ける。
「なるほどなるほど。経緯はよく分かり申した。お美しい姿であらせられる――が、少女の姿は熱心すぎる崇拝者を生みやすい。歴史上、少女騎士に率いられた兵が如何に熱狂的に戦ったかご存知かと」
背後から凜とカチャの声が聞こえる。
「きゃはははは。くすぐったーい♪」
「いいい、ちょっと顔近! 鼻息荒いですよ! なんなんですかこの幻獣変態ですか!」
勿論聞き流すオンサ。
「そして狂信者はしばしば崇拝対象の意志に関係なく、その激烈な信仰心故に他者に多大な迷惑をかけるもの」
ユニコーンは背後で乙女たちと戯れている。
「おままごとしよっ。新婚さんごっこがいいなー。ユニコーンさんがだんなさまで、あたしがおくさま。カチャさんは虎視眈々と妻の座をねらう愛人ってことで♪」
「……設定生臭すぎません?」
「ユニコーンさん、凛といろんなことして遊ぼうね♪」
「ねえ聞いてます、ねえ!?」
またも聞き流すオンサ。
「気高く慈悲深い英霊はその様な事はお望みではない筈」
リナリスも英霊に、人形返却をお願い申し上げた。
「その人形はユニコーンを慰める為に作られた物で大変高価。目的地に届かないと運送業者さん等大勢の人が困ってしまうんです。というわけでこれに乗り換えてもらえませんでしょうか?」
差し出したのは着ぐるみ『まるごとうさぎ』。黒兎ロップイヤーバージョン。動きに合わせて耳が揺れ、とてもかわゆいのだ。
『これは……姿形が少々重みに欠けやせんじゃろうか』
英霊は機種変更に乗り気で無さそうだった。
翻意してもらおうと、オンサが熱弁を振るう。近くに落ちていた小枝を拾い土の上に描くのは、二頭身で直立歩行の可愛らしい子馬。
「なんの。我等グン=マーニョの祖霊が1柱、グン=マーチャン――我らの言葉で『勇猛なる駻馬』という意味でありますが――も、この様に愛らしいお姿をしておられる。その故、部族の外にも大勢の崇拝者がおります。以前結婚式にグン=マーチャンの扮装で参加した際には大好評を博しましたぞ」
英霊、心がちょっと動く。
『ほう……部族以外にも崇拝してもらえるのかの』
リナリスも売り込みに協力した。
「英霊様、今は萌えキャラよりゆるキャラの時代です! 萌えは性的まなざしがどうのと面倒な人がいるしー……この着ぐるみに乗り移ってゆるキャラとして振舞えばたちまち人気者♪ 老若男女問わず人は皆ゆるキャラ大好きだから♪ 村興しにも繋がり、大勢に崇められると思いますよ♪」
『ほほう、大勢に……』
ますます心が動かされた英霊。もう後一押しだ。
メイムが脇から付け加える。
「参拝者が増えたら、祠が新しくなるかも知れないよ」
『おお……祠が新しく……それはいいのう。すごくいいのう。前のは傷んできておるし……』
大自然の一部に帰還しつつある祠を眺め嘆息する英霊は、心を決めた。
『あい分かった。そっちに乗り換えるわ、わし』
直後人形の体が崩れ落ちた。メイムはすかさず抱きとめる。何しろ高価な品、傷が付いては大問題。
ちらりと川のほとりに目を向ければ、ままごと続行中。
「来たわねこのどろぼうねこ! 主人はぜったいに渡さないんだからっ!」
「待ってください一体どういう遊びなんですかこれ! スカート噛むな引っ張るな獣ー!」
ユニコーンが戻ってきたとき乙女に何かしたと思われては面倒なので、人形を木の根元に立て掛け、うたた寝しているかのように装わせる。
そこでまるごとうさぎが、むくむく起き上がった。
『なにやらぶかぶかするぞよ』
「あ、そこはこれから綿を入れて縫い詰めますから。手足も、もっと短く丈詰めした方がかわいさUPします。じっとしてて下さいねー」
針と糸でのお直しが始まる。
メイムは運送業者を呼びに行くとした。人形を、ちゃんと柩に収め直してもらうために。
凜が心配なオンサは、ままごと遊びの現場に馳せ参じる。
「凜、ままごと遊びの進捗はどうなっている?」
「あっ、オンサちゃん。今ちょうど一幕が終わったところだよ。第二幕に行くまでにー……暑くなって来たから、一緒に水浴びしよー!」
凜は威勢よく服を脱ぎ捨てた。一糸纏わぬ天上の御使いの如き無垢な肢体が、川に飛び込む。
「おお、いいな。我も暑くなって来たところよ!」
オンサも脱衣した。一糸纏わぬ幼くしなやかな褐色の肢体が、これまた川にどぶーん。
深みでバタ足をした後は浅瀬に移動、お互い水を掛け合う。
キラキラ光る水飛沫が眩しい。未だ開かぬ蕾のごとき少女たちの無垢な裸体はもっと眩しい。
「オンサちゃん大ちゅき♪」
背後から抱き着き両手で胸を掴んで胸囲測定。ちょっと揉む。
「ふにゃっ! その様なところっ……お返しだっ」
するりと相手の足の間を抜け背後を取り、耳たぶをかぷり。
「にゃはっ♪ くしゅぐったーい♪」
うるわしい光景にすっかり魅了されているユニコーンは、自らもしゃばしゃば浅瀬に入った。
乙女らに頭を垂れ、前足を折る。
「わーい、オンサちゃん、ユニコーンさん背中に乗せてくれるって。一緒に乗ろー」
「おお、よいぞ。こんな機会はめったにないからな」
「ユニコーンちゃんも大しゅきだよ♪」
ユニコーンに抱き着きたてがみにすりすりする凜。
そこでオンサは、ふいと岸辺に目を向けた。
……カチャが水に足を浸し、息抜きをしている。
「のう凜」
「なあにオンサちゃん」
「この際カチャ殿も仲間に加えんか?」
「いいね、それ」
油断のならぬ無邪気さを瞳にたたえた少女たちは、頷きあうや否やカチャに向かって猛突進。
「おーい、カチャ殿ー!」
「一緒に水遊びしよー!」
戦場においてはなんぴとたりとも、観客席に安住することを許されない。
「へっ……何すっ……ちょ、やめてーっ!」
●
「いやいやいや、戻ってみればうら若き乙女3人が素っ裸で川遊びしてるとはねえー。運送業者さんがびっくりしてたよカチャさん」
「無理やり脱がされたんですよ私は……」
「年の割におっぱい大きいからってああも見せびらかすこともないんじゃないかと思うけどなー」
「だからあの2人に無理やり脱がされたんです私はっ!」
顔を真っ赤にしてメイムに言い募るカチャ。
リナリスは人差し指を唇に当て、それをたしなめる。
「静かに。これからぴょこられうさぎの出番よ」
彼女らがいるのは、村の広場に急ごしらえされた野外劇場の袖。
ただ今村人たちが見守る中、英霊『ぴょこられうさぎのぴょこ』(リナリス命名)普及活動の一環である劇が行われていた。
題して『ぴょこられうさぎのだいぼうけん』。
脚本・リナリス。
出演・メイム、凜、ぴょこられうさぎ、村のお年寄り有志連合。
「うわー、わるものがきたー」
「にげろー」
厚紙製の小さな家を踏み潰し舞台に登場したのは、鋲を打ちまくった悪者っぽい衣装のメイムと凜。
「この村は我々が占領した!」
「今日からここは修羅の国となるのだー! ヒャッハー!」
ちびっ子ギャングに震え上がる村人役のお年寄りたち。
「ひゃああおそろしい」
「だれかおたすけをー」
そこにぴょこられうさぎが出てくる。
『まてまてーっ、この村で勝手は許さんぞ!』
「むむっ、何物だ貴様っ!」
「生意気にぴょこぴょこしやがって!」
『フフフ、わしは人呼んでぴょこられうさぎのぴょこ、何を隠そう正義の英霊だ! くらえっ、ぴょこられキーック!』
ぴょこは蹴りを繰り出した。
足が短いので空振りした。
『ぴょこられパーンチ!』
手も短いので空振りした。
自分自身が回転し、倒れた。
「ぴょこー! 頑張れー!」
サクラとして声援を送るリナリス。
ぴょこはわちゃわちゃ動いて何とか起き上がる。
『どうだ、まいったか! 如何なる災難もぴょこが身を挺して防ぐのだ!』
メイムは言う。
「くっ……なんて奴だ……こんなに何かをぴょこりたい気分になったのは始めてだ……」
「あたしも……悔しいけど、負けを認めるよっ」
観客に受けてはいるようだが……果たしてこの筋でいいんだろうかと思うカチャ。
そこにリナリスが話しかけてきた。
「ところでカチャちゃんは乙女?」
「へ?」
「帝国乙女鑑定士1級のあたしがチェックしてあげようか♪ 乙女度上がるかも♪ まあ試しにちょっとこっちに」
「え、あの、ちょっと」
控室に連れ込まれて行くカチャ。
あれはろくな目にあわないだろうなーと思いつつメイムは、アイスキャンデーをほお張る。
「ひぎゃあああああああああああ」
何か悲鳴が聞こえてきたが……まあ、いいか。死ぬわけじゃなし。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 リナリス・リーカノア(ka5126) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/07/24 19:25:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/24 12:07:04 |