ゲスト
(ka0000)
カラーナイトC~フラ・キャンディ編
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/07/25 22:00
- 完成日
- 2016/08/07 23:11
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「あれ?」
同盟領のどこかのビーチでそんな声がする。
「どうしたのよ」
ぷかりと浮かんで泳いでいた男性の不審そうな声に気付いた女性が泳ぎ寄ってきた。
「いや……いま海面が一瞬赤く光ったような気がしたんだよ」
あそこらへんが、と指差す男性。どこらへんよ、まったく光ってないじゃない、と女性。
「おかしいなぁ」
確かにもう光ってない。首をひねる男性に、「そんなこと言って、また私にいたずらする気なんじゃない」とそっぽを向く女性。
その時。
――ぴか、ぴかっ。
「あ、今度はあっち。色も黄色だ!」
男性、慌てて振り返り女性の肩に手をやる。
「ちょっと、やっぱりわた……」
今度は女性も気付いた。
あたりの海面のあちらこちらに黄色はもちろん赤や緑、紫に青といった光が浮かび、まるでサーチライトのようにぐるんぐるん動き回り始めたのだ。
「え、何?」
「突然なんだ?」
周りにいた海水浴客たちも海面のカラフルで幻想的な変化に気付いた。リアルブルーの出身者がいれば、まるでディスコのようだと心踊らせたかもしれない。
しかし。
「痛っ!」
「ぐあっ!」
時に交差し忙しく動き回る光の中、数人が異変に悲鳴を上げ海に沈んだ。
「ぷはぁっ。く、クラゲだ。傘の中からいろんな色の光を出してるクラゲが触手をのばしてる!」
懸命に顔を出した被害者男性が叫んだ。
「逃げろ!」
「ひぃぃ~」
たちまち蜘蛛の子を散らすように岸へと急ぐ海水浴客たち。
「おい、クラゲに刺された者はこれに乗れ!」
ここで釣り船が到着。オールを置いて溺れそうな者を助けあげる。
この時、光の幻想的な乱舞がピタリとやんだ。あれだけあった光条がすべて姿を消したのだ。
「どうしたことだ?」
「いいからこの隙に全員助け上げろ」
不審に思う漕手。舵手は救出でそれどころではない。
が、すぐに理由が判明する。
「え……うわっ!」
――ぼこ……ピカー、ぶしゃっ!
漕手の腰掛ける足元がチリチリ赤くなったかと思うと穴が二つ空いて貫通。激しい白い一条の光が二本、力強く天に伸びた。それにかすった漕手の髪がチリリと焼ける。
「うわっ、沈む。浜まで泳げーーーーっ!」
穴から吹き出した海水で緩やかに沈んでいく釣り船。
逃げる最後の人たちを背に、海では再びカラフルな光の乱舞がまき起こっていた。
「……ちょっと、どういうこと?」
その日の夕方、ちょうどこの砂浜で演奏依頼を受けていた興行師のシェイクが頬に手を当て身を悩ましくくねらせながら質していた。ちなみにシェイク、オカマさんである。
「そういわれましても……」
「日中に海にクラゲの雑魔が出て遊泳禁止にしたんです。もちろん、これからの展開に予断を許さないので砂浜も立ち入り禁止。すいませんが、サンセットビーチのBGM演奏は中止です」
シェイクと彼女の楽団、シェイクスを呼んだここの海水浴場管理組合のお偉いさんたちが必死に言い訳している。
「あら~、せーっかくムーディーでゴージャスな演奏でぐっと盛り上げようとしたのに……」
「すいません……」
「で、どうするの? そのクラゲの雑魔」
「ハンターオフィスに退治を頼もうかと……」
ここでシェイク、肩からぐぐっと近寄って流し目うふん。
「あら。あたしに任せてくれれば歌って戦えるメンバーをそろえるわよ? シェイクスもそれまで待ってあげるからキャンセル料までは取らないわ。必要経費はかさむけど、お客は呼んでみせるわ。ただハンター雇うよりぐっとお得よ?」
ちなみにそのキャンセル料だけど、など言いつつちらりん、と紙を見せる。何が書いてあったかは不明だが、それを見た男はぶっと噴き出した。
「こういう急場をしのげる足回りのいい楽団は頼む分には安いの。その代り、キャンセル料は超一流並みに掛かるの。わかる? そうしないとこの業界、成り立たないのよ」
物凄い殺気とともに睨むシェイク。そのさま、ナメられるとこの業界食ってけないのよとの主張をオーラに纏うが如し。
「わ、分かった分かった」
「ありがと。その分、損はさせないわ。滞在中はサービス演奏もするし、歌って戦える『リラ・ゼーレ』は各地で評判のコたちのグループよ。期待してね」
契約成立にオカマウインクを気分良さそうに決めるシェイクだった。
というわけで、フラ・キャンディ(kz0121)と一緒にカクテルライトを放つクラゲ雑魔を退治し、夕刻にライブしてサンセットビーチを盛り上げてくれる人、求ム。
同盟領のどこかのビーチでそんな声がする。
「どうしたのよ」
ぷかりと浮かんで泳いでいた男性の不審そうな声に気付いた女性が泳ぎ寄ってきた。
「いや……いま海面が一瞬赤く光ったような気がしたんだよ」
あそこらへんが、と指差す男性。どこらへんよ、まったく光ってないじゃない、と女性。
「おかしいなぁ」
確かにもう光ってない。首をひねる男性に、「そんなこと言って、また私にいたずらする気なんじゃない」とそっぽを向く女性。
その時。
――ぴか、ぴかっ。
「あ、今度はあっち。色も黄色だ!」
男性、慌てて振り返り女性の肩に手をやる。
「ちょっと、やっぱりわた……」
今度は女性も気付いた。
あたりの海面のあちらこちらに黄色はもちろん赤や緑、紫に青といった光が浮かび、まるでサーチライトのようにぐるんぐるん動き回り始めたのだ。
「え、何?」
「突然なんだ?」
周りにいた海水浴客たちも海面のカラフルで幻想的な変化に気付いた。リアルブルーの出身者がいれば、まるでディスコのようだと心踊らせたかもしれない。
しかし。
「痛っ!」
「ぐあっ!」
時に交差し忙しく動き回る光の中、数人が異変に悲鳴を上げ海に沈んだ。
「ぷはぁっ。く、クラゲだ。傘の中からいろんな色の光を出してるクラゲが触手をのばしてる!」
懸命に顔を出した被害者男性が叫んだ。
「逃げろ!」
「ひぃぃ~」
たちまち蜘蛛の子を散らすように岸へと急ぐ海水浴客たち。
「おい、クラゲに刺された者はこれに乗れ!」
ここで釣り船が到着。オールを置いて溺れそうな者を助けあげる。
この時、光の幻想的な乱舞がピタリとやんだ。あれだけあった光条がすべて姿を消したのだ。
「どうしたことだ?」
「いいからこの隙に全員助け上げろ」
不審に思う漕手。舵手は救出でそれどころではない。
が、すぐに理由が判明する。
「え……うわっ!」
――ぼこ……ピカー、ぶしゃっ!
漕手の腰掛ける足元がチリチリ赤くなったかと思うと穴が二つ空いて貫通。激しい白い一条の光が二本、力強く天に伸びた。それにかすった漕手の髪がチリリと焼ける。
「うわっ、沈む。浜まで泳げーーーーっ!」
穴から吹き出した海水で緩やかに沈んでいく釣り船。
逃げる最後の人たちを背に、海では再びカラフルな光の乱舞がまき起こっていた。
「……ちょっと、どういうこと?」
その日の夕方、ちょうどこの砂浜で演奏依頼を受けていた興行師のシェイクが頬に手を当て身を悩ましくくねらせながら質していた。ちなみにシェイク、オカマさんである。
「そういわれましても……」
「日中に海にクラゲの雑魔が出て遊泳禁止にしたんです。もちろん、これからの展開に予断を許さないので砂浜も立ち入り禁止。すいませんが、サンセットビーチのBGM演奏は中止です」
シェイクと彼女の楽団、シェイクスを呼んだここの海水浴場管理組合のお偉いさんたちが必死に言い訳している。
「あら~、せーっかくムーディーでゴージャスな演奏でぐっと盛り上げようとしたのに……」
「すいません……」
「で、どうするの? そのクラゲの雑魔」
「ハンターオフィスに退治を頼もうかと……」
ここでシェイク、肩からぐぐっと近寄って流し目うふん。
「あら。あたしに任せてくれれば歌って戦えるメンバーをそろえるわよ? シェイクスもそれまで待ってあげるからキャンセル料までは取らないわ。必要経費はかさむけど、お客は呼んでみせるわ。ただハンター雇うよりぐっとお得よ?」
ちなみにそのキャンセル料だけど、など言いつつちらりん、と紙を見せる。何が書いてあったかは不明だが、それを見た男はぶっと噴き出した。
「こういう急場をしのげる足回りのいい楽団は頼む分には安いの。その代り、キャンセル料は超一流並みに掛かるの。わかる? そうしないとこの業界、成り立たないのよ」
物凄い殺気とともに睨むシェイク。そのさま、ナメられるとこの業界食ってけないのよとの主張をオーラに纏うが如し。
「わ、分かった分かった」
「ありがと。その分、損はさせないわ。滞在中はサービス演奏もするし、歌って戦える『リラ・ゼーレ』は各地で評判のコたちのグループよ。期待してね」
契約成立にオカマウインクを気分良さそうに決めるシェイクだった。
というわけで、フラ・キャンディ(kz0121)と一緒にカクテルライトを放つクラゲ雑魔を退治し、夕刻にライブしてサンセットビーチを盛り上げてくれる人、求ム。
リプレイ本文
●
誰もいないビーチでさくっ、さくっとご機嫌なステップを踏む人影ひとつ。
ディーナ・フェルミ(ka5843)である。ちょいちょい手招きして簡易テントを指差す。
呼ばれたフラ・キャンディ(kz0121)、近付くと腕を取られたりで背中を押されテントの中に。
それを見ていたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。足をそろえお尻を突き出し、指をくわえて見ていたところディーナに気付かれやっぱり引っ張り込まれたり。
でもってごそごそ簡易テントの中。
やがて出てきた三人娘。
そろって水着姿で、互いのスタイルとか可愛らしさとか話しているのかきゃいきゃいつんつん仲も良く。
「……熱いわ」
三人と離れたところでは、キーリ(ka4642)がしゃがみ込んでいた。
「暑いじゃなくて熱い」
ぶつぶつ言いつつ浜で砂の城を作っていた。
「……行って着替えなくていいのか?」
そこに鞍馬 真(ka5819)がやって来て言った。すでにトランクス水着姿で、シュノーケル付きゴーグルを手にしている。
「え? 着替えて泳げって? ……私はあーてぃすとなのよ」
キーリ、一心不乱に城壁に銃眼を開け続けるだけ。
「ま、まさかもう水着姿だと思われているとかぁ……」
真と一緒に来た弓月・小太(ka4679)が指摘する。白い褌一丁姿は、「ベストフンドシスト」に相応しい。
「あによ」
これを聞きぬっそりと立ち上がるキーリ。そのまま小太にガンつけつつアップで迫る。
「普段と布面積が大して変わらないとか言うつもりなの? それとも水着と普通の服の区別もつかない女だとでも?」
「え、ええと……」
「はいはい、みんなが呼んでるよ」
小太がたじたじになったところで、霧雨 悠月(ka4130)がキーリの背後から肩ぽむして三人の方を指差す。
確かにキーリにおいでおいでしていた。
「あらユッキー。斬新な普段着ね?」
「トランクス水着だって」
キーリ、上半身裸になる普段着姿の……ではなく、トランクス水着姿の悠月をからかってテントの方に行く。
「キーリさんはどんな水着なんです?」
ここで、桜色と白のビキニ姿のルンルンが。
「……普段着と変わらないわね」
ちゃっかりルンルンの水着に突っ込んで入れ替わりにテントへ。途中でフラとタッチ。
遅れてやって来たフラに、真も手を差し出す。
「推薦してくれたシェイクのためにも頑張ろう」
「うんっ。久しぶりのリラ・ゼーレだもんね」
フラ、元気よくタッチ。
「はわっ。ふ、フラさんの水着、とっても似合ってますよぉ。可愛い……というかちょっと色っぽいですっ」
「わっ! し、小太さんも……」
フラ、青紫のビキニ水着。二人とも相手の肌面積にドキドキしていたり。
そうこうするうち、胸元に青色の薔薇型のフリルがあしらわれたビキニ水着「ブルーローズ」に銀色の長髪を揺らしながらディーナが駆け寄ってきた。後ろ手にキーリを連れている。
これでそろった。
「じゃ、クラゲ退治と行きましょうか」
横髪をかき上げ脇の下を健康的に晒した悠月、言った後にナイフを口に咥える。
そして真の呟き。
「濡れるのは好きでは無いが……依頼だしな」
え、と多くが気にするが、すぐに忘れ去られることになる。
「リアルブルーだとクラゲを食べると聞いたの。麺やクリームに練り込んで食べるらしいの……」
ぽそっとつぶやいたディーナの言葉の方がインパクトが強かった。
一斉に視線を浴びるディーナだったが、よだれが出てないか口元を少し気にするだけ。
●
「……その手があったか」
沖に出て波間から顔だけ出して泳ぐ真は、顔を上げて感心していた。
「トラ柄の方が目立つじゃないかと思っただけ」
海面に立つキーリはトラ柄ビキニ水着姿だ。
「ウォーターウォークの方だと思うな」
真の心を代弁する悠月もすでに入水し顔だけ出して見上げている。
「それよりあっちで光ってるわね」
早速どこかを指差すキーリ。
「生きが良さそう? 色艶は?」
ディーナ、海から伸び上るように聞いてくる。
「あー、ピカピカに光ってるわー」
「あ、現れた所を皆で一気に攻撃、でしょうかぁ。刺される前に刺す、という事ですねぇ」
キーリが走り出し、小太が手はずを確認して続く。皆も泳ぎ始めた。
「ピカピカ……はっ、こうしてはいられないの」
ディーナ、うっとり。っとと。一人残ったのに気付いて慌てて泳ぎ出す。
「そろそろ警戒よ」
「よし、泳ぎには自信がある」
立ち止まるキーリ。真、どぼんと潜る。
「濡れるの好きじゃないけど泳ぎはうまいんだね……」
耳にしたフラ、ちょっとぱちくり。そういう矛盾は真らしい。
「カワハギがあの歯で引き裂いてバクバク食べる食材なの、負けるわけには行かないの。食のサバイバーとして、サバイバーとして……」
どぷん、と真に続くディーナ。ちなみに二回言ったのは大事なことであるのに加え、「食のサバイバーとしてもちろん泳ぎもそれなりに」と言いたいらしい。
「泳ぎと聞いて負けません! ……みんなが楽しみにしてるビーチの一時を台無しにするなんて、太陽が眩しすぎたからとか言い訳にならないんだからっ!」
なんかもう主張は負けないとばかりにぐっと拳を固め瞳を燃やしルンルンもどぼん。
はたして海中には!
『なるほどな』
シュノーケル付きゴーグルをした真は、見た。
水の中に乱舞する色とりどりの光条。
それを嫌う小魚の群れ。逆に、それに食い付こうと追う大型の魚。
光と魚たちの騒ぎの中心にいるのは大型のクラゲ雑魔だ。半透明の傘の中で光源がぎゅんぎゅん動いている。
やがて小魚がクラゲ雑魔の下に来るとびくっと反り返って力をなくした。触手の電撃にやられたのだ。
そこにディーナが向かっていった!
『海って初めてだけど海水しょっぱいでしょ? そしてコリコリして、独特の風味があるとかないとか…じゅるり』
塩味の利いた独特の風味を想像し、ゴーグルの奥の瞳が欲望にくらんでいる。
これに真が気付いた!
『まずい』
ここで使う気はなかったが、と体内のマテリアルを燃やす。ソウルトーチだ。さらに水中銃で射撃。ディーナへの敵の攻撃を少しでも逸らしたい。
当然、食事を終えたクラゲ雑魔が見えにくい触手多数を伸ばしてやって二人を狙う。
『しびれちゃうの』
『くっ!』
びくん、と青いビキニを纏う白い体を仰け反らせるディーナに、両腕をクロスさせ身を縮めて電撃に耐える真。
その時だった!
『このディスコ感……まさかまたバブルの到来!』
遅れたルンルンが二列目から瞳をキラキラさせて二人を追い抜いている。
そしてディスコの扇……ではなく、扇符「六花」を展開。
『私の方がキラキラなんだからっ! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花!』
放った符の結界の中、光がきらめき雑魔を焼く。雑魔の光も加わり「注意)一つの光源を凝視しつづけないこと」的なフラッシュが瞬き続ける!
『あとは宝石キラキラダガーとパリィグローブで……ひゃっ!』
換装して近寄ったところ、敵の張り巡らせていた触手に接触しビリビリ~。光の乱舞でさらに見えにくくなっていたのだ。
『触手からようやく抜け出せましたの』
『息もそろそろ。この一撃で片付ける』
今度はルンルンの影から真とディーナが迫る。
この方面の触手はルンルンに徹底的に絡んだまま。無防備に近い。
『刺身にでもなれ』
真、小太刀とナイフの二刀流で傘に斬りつける。先の銃弾は着弾と同時にそれた柔らかさも、一度刃が立つとさっくり突き刺さる心地良さともろさがあった。
『いいですわね、お刺身』
ディーナもナイフとサバイバルナイフの両手でむきーっ、とばかりにさくさくっ。とても刺した感触が気持ちいい。
が、これが仇となる。
『ルンルン忍法水遁の術! お触り禁止なんだからっ。ぷんぷん』
触手をナイフでぶった切りパリィグローブでしつこくからもうとするのを受け流し、ルンルンも来ていた。もちろん恨みを込めて嵐を呼ぶがごとくぶった切る。
で、クラゲ雑魔、海の藻屑に。
『そんな、お刺身っ!』
慌ててディーナ、クラゲ雑魔の残骸をぱくっ。粉々になる前に……いや、口を開けたので息がっ!
『がぼ……』
『だ、大丈夫か?』
『私を足場にするといいんだからっ』
真、ディーナを抱いてルンルンの組んだ手に足を乗せ、一気に海面に。
「ぷはっ! 無事か?」
「ごほっ……食べたけどよく分かんないの」
真、味覚を覚えてないことにしくしくするディーナを見て、これは無事だなと。
●
時は若干遡り、悠月。
「ほら、今度はあっちから近寄ってるわ」
キーリが三人の潜った地点の横から来る光に気付いた。
「相手に囲まれるわけにはいかないよね」
悠月、チタンナイフを手に潜った。
「フラさん、僕たちも……派手なだけに出てきたのはわかりやすい感じですねぇ」
「うんっ!」
小太とフラも、とぷんとぷん。
で、先に潜った悠月。
『わあ……』
赤や黄色の光が一直線に伸び、水面でキラキラする太陽の下ぐるんぐるん回っている。小魚が光に追われたりと、まるで海の中のダンスホールだ。
『綺麗な光を放つんだね。ちょっと幻想的かな』
『す、すごいですねぇ』
悠月の横に来た小太も目を輝かしていた。
『ね、フラさん?』
『ホントだ…』
小太、つんつんとフラの腕をつつくと何度も頷いていた。
が、見てる目の前で傘の下に追いやられた小魚が次々に痺れる。
『こうしちゃいられないや。一斉に襲い掛かろう』
悠月、小太とフラに指差したり手を動かしたりする。
『包囲だね?』
『い、いそがないとですねぇ』
三人がクラゲ雑魔を囲もうと迫った時!
『くっ!』
悠月、突然の足に痺れに顔を歪めた。
見ると、半透明の細い触手が絡んでいた。
いや、首元にも伸びている。そこをやられるとさすがに厳しいぞ?
『これに手を出そうっての?』
瞬間、険しい瞳になってナイフを薙ぐ。
首飾り「白牙」にも絡もうとしていたのだ。気に入りのアクセサリーを守ると足に絡んだ触手も斬る。まるでスイッチが入ったかのような素早さだ。
この時、小太。
『はわっ。派手な光で目立たないですぅっ』
『うわっ!』
びりびりっと痺れた小太に、その奥から横に展開していたフラが助けようと寄って来たが、やはり触手の餌食に。結構な数に纏いつかれた。二人とも手にしたナイフは一本。手数がやや足りないか?
ここでフラがとんでもない行為に出た!
『小太さん、ごめんっ!』
『ひゃわっ!?』
クラゲで痺れた時よりもやや甘い感じにびくっと背筋を伸ばした小太。
何とフラ、小太のお尻をなでなでしたのだ!
『ええいっ。これならどう?』
『……ふ、ふぅ』
フラ、ナイフと小太刀の二刀流でばっさばっさ。
どうやら小太のお尻に痴漢したのではなく、褌に挟んであった予備の小太刀「芙蓉」を抜いて手数を増やしたのだ。もちろん急いで抜いたのでそれなりに素肌が触れたり抜いた時の刺激があったはずだったり。
それはそれとして、小太とフラが重なったことで敵の触手はそちらに集中した。
『僕がやるしかないだろうっ!』
悠月の銀の髪が水になびく。
実際に口を開いたわけではないので吠えたわけではないが、代わりにネックレスの白牙が揺らぐ。もう一本身に着けたムーンライトリングは、身体能力が向上するとかいう噂がある。
一気に泳ぐ。
狙いは、傘。
触手の少ない方面でもあり、新たに絡んでこない。
気分も最高潮。ここしかないッ!
『この瞬間を……』
さくっ!
『この瞬間に、生きる!』
振り抜くナイフ。心地良い手応えでさっくり切れた。
が、まだ粉々になっていない。悠月の背後に触手が迫る。
『さ、させませんよぅっ』
『こっちはボクに任せてっ』
左右に割れた傘に、小太とフラが斬りつけた。敵はこれで粉々になる。
『とどめ、刺したよっ』
『だ、大丈夫ですかぁ?』
左右から泳いできて心配する二人の視線。
『大丈夫だよ。上がろう』
悠月、頷き視線でこたえて顎を上げる。
そろって水面を目指す。
●
その後も泳いで敵を確認。
いくつかを倒して、後はゆったり遊泳。囮になる意味もある。それでももう襲われなかった。
敵、全滅である。
そして――
「はい。特別ライブはこちらなの」
もぎりをするディーナ。
背後のステージ前はすでに満員だ。
「じゃ、一曲目、いくね! ……ここにリアルブルー出身の人はいるかな? だったら懐かしい曲が聞こえるかもねっ」
悠月が演奏団のシェイクスに合図して、ちょいと観客との掛け合い。少なくない「おお~」という声が返ってきた。悠月、少し頷くと歌声を紡ぐ。
♪
街に揺らめく蜃気楼 影と光が在る中で
誰も気付いてくれないよ
だからボクは飛び立つんだ
♪
だらら、だん、だん。
「フラさん!」
「うんっ♪」
「ルンルンさん!」
「歌って踊ってフィーバーです!」
悠月の声で扇子を持ったフラとルンルンが舞台最前列に。バブル時代に流行ったとかいう踊りを見せる。
「ふわああ」
舞台袖に回ったディーナは、そこから皆をガン見。
そして悠月の歌が終わると。
「激しくノった後はクールダウンだな」
真がバイオリンでクラシカルに。
「ほら、小太さん」
「はぅ!? 前で踊るんですかぁ? うぅ、が、頑張りますぅっ…」
フラにお尻を叩かれ小太が前に。やはり扇というか扇子を持っているが、今度はしっとり和風に舞う。
「次はキーリ、いいかい?」
「いつでもいいわよ?」
今度は真、バイオリンのままフィドルの雰囲気で民族音楽っぽく賑やかに。
「よいしょ。……きらきら~」
何と、キーリはいきなり舞台を外した。波打ち際まで行くと、ぱしゃぱしゃしぶきを上げていたのが、いつの間にか波間の上で踊っている。服もキラキラ光を散らす衣装で。
「おお~」
皆、このメンバーがクラゲ雑魔を倒したことを知っている。
知らず、大きな拍手がわいた。
「みんなー! 私達の歌聞いてねー」
新たに舞台でルンルンの声。
サンセットビーチのライブは、もう少し続く。
そして夜。
「フラさん。せっかく海に来たんですし、ええと…今日の記念に、ということでぇ」
小太が岩場にフラを呼んで、先ほど回った海の家でこっそり買った貝殻イヤリングを手渡していた。
「え? ボクに……わっ!」
「べ、別に邪魔したかったわけじゃないわよ」
リトルファイヤとともに散歩していたキーリがここに出くわしてしまったのだ。
「僕もそうやってキーリさんと散歩してるんだけどね」
おっと、悠月も一緒だ。
「あ、いました~。みんなにも教えちゃいましょう!」
「まあ、このパエリアうまいしな」
ルンルンと真もやって来た。
そしてディーナも一緒だ。海鮮焼きの皿を手にしている。
「1つ分かったの。海は美味しいの」
とても満足そうだ。
「キーリさんの縁……すごいですぅ」
そして特に小太は邪魔されたとは思ってないらしい。
フラがイヤリングに喜んでいるのだから。
誰もいないビーチでさくっ、さくっとご機嫌なステップを踏む人影ひとつ。
ディーナ・フェルミ(ka5843)である。ちょいちょい手招きして簡易テントを指差す。
呼ばれたフラ・キャンディ(kz0121)、近付くと腕を取られたりで背中を押されテントの中に。
それを見ていたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。足をそろえお尻を突き出し、指をくわえて見ていたところディーナに気付かれやっぱり引っ張り込まれたり。
でもってごそごそ簡易テントの中。
やがて出てきた三人娘。
そろって水着姿で、互いのスタイルとか可愛らしさとか話しているのかきゃいきゃいつんつん仲も良く。
「……熱いわ」
三人と離れたところでは、キーリ(ka4642)がしゃがみ込んでいた。
「暑いじゃなくて熱い」
ぶつぶつ言いつつ浜で砂の城を作っていた。
「……行って着替えなくていいのか?」
そこに鞍馬 真(ka5819)がやって来て言った。すでにトランクス水着姿で、シュノーケル付きゴーグルを手にしている。
「え? 着替えて泳げって? ……私はあーてぃすとなのよ」
キーリ、一心不乱に城壁に銃眼を開け続けるだけ。
「ま、まさかもう水着姿だと思われているとかぁ……」
真と一緒に来た弓月・小太(ka4679)が指摘する。白い褌一丁姿は、「ベストフンドシスト」に相応しい。
「あによ」
これを聞きぬっそりと立ち上がるキーリ。そのまま小太にガンつけつつアップで迫る。
「普段と布面積が大して変わらないとか言うつもりなの? それとも水着と普通の服の区別もつかない女だとでも?」
「え、ええと……」
「はいはい、みんなが呼んでるよ」
小太がたじたじになったところで、霧雨 悠月(ka4130)がキーリの背後から肩ぽむして三人の方を指差す。
確かにキーリにおいでおいでしていた。
「あらユッキー。斬新な普段着ね?」
「トランクス水着だって」
キーリ、上半身裸になる普段着姿の……ではなく、トランクス水着姿の悠月をからかってテントの方に行く。
「キーリさんはどんな水着なんです?」
ここで、桜色と白のビキニ姿のルンルンが。
「……普段着と変わらないわね」
ちゃっかりルンルンの水着に突っ込んで入れ替わりにテントへ。途中でフラとタッチ。
遅れてやって来たフラに、真も手を差し出す。
「推薦してくれたシェイクのためにも頑張ろう」
「うんっ。久しぶりのリラ・ゼーレだもんね」
フラ、元気よくタッチ。
「はわっ。ふ、フラさんの水着、とっても似合ってますよぉ。可愛い……というかちょっと色っぽいですっ」
「わっ! し、小太さんも……」
フラ、青紫のビキニ水着。二人とも相手の肌面積にドキドキしていたり。
そうこうするうち、胸元に青色の薔薇型のフリルがあしらわれたビキニ水着「ブルーローズ」に銀色の長髪を揺らしながらディーナが駆け寄ってきた。後ろ手にキーリを連れている。
これでそろった。
「じゃ、クラゲ退治と行きましょうか」
横髪をかき上げ脇の下を健康的に晒した悠月、言った後にナイフを口に咥える。
そして真の呟き。
「濡れるのは好きでは無いが……依頼だしな」
え、と多くが気にするが、すぐに忘れ去られることになる。
「リアルブルーだとクラゲを食べると聞いたの。麺やクリームに練り込んで食べるらしいの……」
ぽそっとつぶやいたディーナの言葉の方がインパクトが強かった。
一斉に視線を浴びるディーナだったが、よだれが出てないか口元を少し気にするだけ。
●
「……その手があったか」
沖に出て波間から顔だけ出して泳ぐ真は、顔を上げて感心していた。
「トラ柄の方が目立つじゃないかと思っただけ」
海面に立つキーリはトラ柄ビキニ水着姿だ。
「ウォーターウォークの方だと思うな」
真の心を代弁する悠月もすでに入水し顔だけ出して見上げている。
「それよりあっちで光ってるわね」
早速どこかを指差すキーリ。
「生きが良さそう? 色艶は?」
ディーナ、海から伸び上るように聞いてくる。
「あー、ピカピカに光ってるわー」
「あ、現れた所を皆で一気に攻撃、でしょうかぁ。刺される前に刺す、という事ですねぇ」
キーリが走り出し、小太が手はずを確認して続く。皆も泳ぎ始めた。
「ピカピカ……はっ、こうしてはいられないの」
ディーナ、うっとり。っとと。一人残ったのに気付いて慌てて泳ぎ出す。
「そろそろ警戒よ」
「よし、泳ぎには自信がある」
立ち止まるキーリ。真、どぼんと潜る。
「濡れるの好きじゃないけど泳ぎはうまいんだね……」
耳にしたフラ、ちょっとぱちくり。そういう矛盾は真らしい。
「カワハギがあの歯で引き裂いてバクバク食べる食材なの、負けるわけには行かないの。食のサバイバーとして、サバイバーとして……」
どぷん、と真に続くディーナ。ちなみに二回言ったのは大事なことであるのに加え、「食のサバイバーとしてもちろん泳ぎもそれなりに」と言いたいらしい。
「泳ぎと聞いて負けません! ……みんなが楽しみにしてるビーチの一時を台無しにするなんて、太陽が眩しすぎたからとか言い訳にならないんだからっ!」
なんかもう主張は負けないとばかりにぐっと拳を固め瞳を燃やしルンルンもどぼん。
はたして海中には!
『なるほどな』
シュノーケル付きゴーグルをした真は、見た。
水の中に乱舞する色とりどりの光条。
それを嫌う小魚の群れ。逆に、それに食い付こうと追う大型の魚。
光と魚たちの騒ぎの中心にいるのは大型のクラゲ雑魔だ。半透明の傘の中で光源がぎゅんぎゅん動いている。
やがて小魚がクラゲ雑魔の下に来るとびくっと反り返って力をなくした。触手の電撃にやられたのだ。
そこにディーナが向かっていった!
『海って初めてだけど海水しょっぱいでしょ? そしてコリコリして、独特の風味があるとかないとか…じゅるり』
塩味の利いた独特の風味を想像し、ゴーグルの奥の瞳が欲望にくらんでいる。
これに真が気付いた!
『まずい』
ここで使う気はなかったが、と体内のマテリアルを燃やす。ソウルトーチだ。さらに水中銃で射撃。ディーナへの敵の攻撃を少しでも逸らしたい。
当然、食事を終えたクラゲ雑魔が見えにくい触手多数を伸ばしてやって二人を狙う。
『しびれちゃうの』
『くっ!』
びくん、と青いビキニを纏う白い体を仰け反らせるディーナに、両腕をクロスさせ身を縮めて電撃に耐える真。
その時だった!
『このディスコ感……まさかまたバブルの到来!』
遅れたルンルンが二列目から瞳をキラキラさせて二人を追い抜いている。
そしてディスコの扇……ではなく、扇符「六花」を展開。
『私の方がキラキラなんだからっ! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花!』
放った符の結界の中、光がきらめき雑魔を焼く。雑魔の光も加わり「注意)一つの光源を凝視しつづけないこと」的なフラッシュが瞬き続ける!
『あとは宝石キラキラダガーとパリィグローブで……ひゃっ!』
換装して近寄ったところ、敵の張り巡らせていた触手に接触しビリビリ~。光の乱舞でさらに見えにくくなっていたのだ。
『触手からようやく抜け出せましたの』
『息もそろそろ。この一撃で片付ける』
今度はルンルンの影から真とディーナが迫る。
この方面の触手はルンルンに徹底的に絡んだまま。無防備に近い。
『刺身にでもなれ』
真、小太刀とナイフの二刀流で傘に斬りつける。先の銃弾は着弾と同時にそれた柔らかさも、一度刃が立つとさっくり突き刺さる心地良さともろさがあった。
『いいですわね、お刺身』
ディーナもナイフとサバイバルナイフの両手でむきーっ、とばかりにさくさくっ。とても刺した感触が気持ちいい。
が、これが仇となる。
『ルンルン忍法水遁の術! お触り禁止なんだからっ。ぷんぷん』
触手をナイフでぶった切りパリィグローブでしつこくからもうとするのを受け流し、ルンルンも来ていた。もちろん恨みを込めて嵐を呼ぶがごとくぶった切る。
で、クラゲ雑魔、海の藻屑に。
『そんな、お刺身っ!』
慌ててディーナ、クラゲ雑魔の残骸をぱくっ。粉々になる前に……いや、口を開けたので息がっ!
『がぼ……』
『だ、大丈夫か?』
『私を足場にするといいんだからっ』
真、ディーナを抱いてルンルンの組んだ手に足を乗せ、一気に海面に。
「ぷはっ! 無事か?」
「ごほっ……食べたけどよく分かんないの」
真、味覚を覚えてないことにしくしくするディーナを見て、これは無事だなと。
●
時は若干遡り、悠月。
「ほら、今度はあっちから近寄ってるわ」
キーリが三人の潜った地点の横から来る光に気付いた。
「相手に囲まれるわけにはいかないよね」
悠月、チタンナイフを手に潜った。
「フラさん、僕たちも……派手なだけに出てきたのはわかりやすい感じですねぇ」
「うんっ!」
小太とフラも、とぷんとぷん。
で、先に潜った悠月。
『わあ……』
赤や黄色の光が一直線に伸び、水面でキラキラする太陽の下ぐるんぐるん回っている。小魚が光に追われたりと、まるで海の中のダンスホールだ。
『綺麗な光を放つんだね。ちょっと幻想的かな』
『す、すごいですねぇ』
悠月の横に来た小太も目を輝かしていた。
『ね、フラさん?』
『ホントだ…』
小太、つんつんとフラの腕をつつくと何度も頷いていた。
が、見てる目の前で傘の下に追いやられた小魚が次々に痺れる。
『こうしちゃいられないや。一斉に襲い掛かろう』
悠月、小太とフラに指差したり手を動かしたりする。
『包囲だね?』
『い、いそがないとですねぇ』
三人がクラゲ雑魔を囲もうと迫った時!
『くっ!』
悠月、突然の足に痺れに顔を歪めた。
見ると、半透明の細い触手が絡んでいた。
いや、首元にも伸びている。そこをやられるとさすがに厳しいぞ?
『これに手を出そうっての?』
瞬間、険しい瞳になってナイフを薙ぐ。
首飾り「白牙」にも絡もうとしていたのだ。気に入りのアクセサリーを守ると足に絡んだ触手も斬る。まるでスイッチが入ったかのような素早さだ。
この時、小太。
『はわっ。派手な光で目立たないですぅっ』
『うわっ!』
びりびりっと痺れた小太に、その奥から横に展開していたフラが助けようと寄って来たが、やはり触手の餌食に。結構な数に纏いつかれた。二人とも手にしたナイフは一本。手数がやや足りないか?
ここでフラがとんでもない行為に出た!
『小太さん、ごめんっ!』
『ひゃわっ!?』
クラゲで痺れた時よりもやや甘い感じにびくっと背筋を伸ばした小太。
何とフラ、小太のお尻をなでなでしたのだ!
『ええいっ。これならどう?』
『……ふ、ふぅ』
フラ、ナイフと小太刀の二刀流でばっさばっさ。
どうやら小太のお尻に痴漢したのではなく、褌に挟んであった予備の小太刀「芙蓉」を抜いて手数を増やしたのだ。もちろん急いで抜いたのでそれなりに素肌が触れたり抜いた時の刺激があったはずだったり。
それはそれとして、小太とフラが重なったことで敵の触手はそちらに集中した。
『僕がやるしかないだろうっ!』
悠月の銀の髪が水になびく。
実際に口を開いたわけではないので吠えたわけではないが、代わりにネックレスの白牙が揺らぐ。もう一本身に着けたムーンライトリングは、身体能力が向上するとかいう噂がある。
一気に泳ぐ。
狙いは、傘。
触手の少ない方面でもあり、新たに絡んでこない。
気分も最高潮。ここしかないッ!
『この瞬間を……』
さくっ!
『この瞬間に、生きる!』
振り抜くナイフ。心地良い手応えでさっくり切れた。
が、まだ粉々になっていない。悠月の背後に触手が迫る。
『さ、させませんよぅっ』
『こっちはボクに任せてっ』
左右に割れた傘に、小太とフラが斬りつけた。敵はこれで粉々になる。
『とどめ、刺したよっ』
『だ、大丈夫ですかぁ?』
左右から泳いできて心配する二人の視線。
『大丈夫だよ。上がろう』
悠月、頷き視線でこたえて顎を上げる。
そろって水面を目指す。
●
その後も泳いで敵を確認。
いくつかを倒して、後はゆったり遊泳。囮になる意味もある。それでももう襲われなかった。
敵、全滅である。
そして――
「はい。特別ライブはこちらなの」
もぎりをするディーナ。
背後のステージ前はすでに満員だ。
「じゃ、一曲目、いくね! ……ここにリアルブルー出身の人はいるかな? だったら懐かしい曲が聞こえるかもねっ」
悠月が演奏団のシェイクスに合図して、ちょいと観客との掛け合い。少なくない「おお~」という声が返ってきた。悠月、少し頷くと歌声を紡ぐ。
♪
街に揺らめく蜃気楼 影と光が在る中で
誰も気付いてくれないよ
だからボクは飛び立つんだ
♪
だらら、だん、だん。
「フラさん!」
「うんっ♪」
「ルンルンさん!」
「歌って踊ってフィーバーです!」
悠月の声で扇子を持ったフラとルンルンが舞台最前列に。バブル時代に流行ったとかいう踊りを見せる。
「ふわああ」
舞台袖に回ったディーナは、そこから皆をガン見。
そして悠月の歌が終わると。
「激しくノった後はクールダウンだな」
真がバイオリンでクラシカルに。
「ほら、小太さん」
「はぅ!? 前で踊るんですかぁ? うぅ、が、頑張りますぅっ…」
フラにお尻を叩かれ小太が前に。やはり扇というか扇子を持っているが、今度はしっとり和風に舞う。
「次はキーリ、いいかい?」
「いつでもいいわよ?」
今度は真、バイオリンのままフィドルの雰囲気で民族音楽っぽく賑やかに。
「よいしょ。……きらきら~」
何と、キーリはいきなり舞台を外した。波打ち際まで行くと、ぱしゃぱしゃしぶきを上げていたのが、いつの間にか波間の上で踊っている。服もキラキラ光を散らす衣装で。
「おお~」
皆、このメンバーがクラゲ雑魔を倒したことを知っている。
知らず、大きな拍手がわいた。
「みんなー! 私達の歌聞いてねー」
新たに舞台でルンルンの声。
サンセットビーチのライブは、もう少し続く。
そして夜。
「フラさん。せっかく海に来たんですし、ええと…今日の記念に、ということでぇ」
小太が岩場にフラを呼んで、先ほど回った海の家でこっそり買った貝殻イヤリングを手渡していた。
「え? ボクに……わっ!」
「べ、別に邪魔したかったわけじゃないわよ」
リトルファイヤとともに散歩していたキーリがここに出くわしてしまったのだ。
「僕もそうやってキーリさんと散歩してるんだけどね」
おっと、悠月も一緒だ。
「あ、いました~。みんなにも教えちゃいましょう!」
「まあ、このパエリアうまいしな」
ルンルンと真もやって来た。
そしてディーナも一緒だ。海鮮焼きの皿を手にしている。
「1つ分かったの。海は美味しいの」
とても満足そうだ。
「キーリさんの縁……すごいですぅ」
そして特に小太は邪魔されたとは思ってないらしい。
フラがイヤリングに喜んでいるのだから。
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相談ですよぉー 弓月・小太(ka4679) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/07/25 12:53:44 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/24 21:45:28 |