観光馬車開発協力

マスター:笹村工事

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/13 09:00
完成日
2014/09/17 10:08

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 自由都市同盟の事実上の首都であり帝国や王国に負けない美しさを誇る、極彩色の街ヴァリオス。その中心部からやや離れた場所にある、とある軽食屋。そこで三人の少女達が話し合いをしていた。

「新規の馬車ルートを開拓しようと思いますの」
 フライドポテトを摘まみながら、ハンターであると同時に商人でもある金髪の少女・シルヴィアは、幼馴染な二人の少女に告げる。
 それにハンターであると同時にハンターズソサエティ職員でもある少女・フィオレンツァが尋ねる。
「新しい馬車のルート? でも運ぶ荷物の見通しが先に立ってないと難しいかも。当てはあるの?」
「物の輸送じゃなくて、人の輸送をするつもり」
 問いに返したのは、メイド服を着たハンターでもある少女・リリアーナである。その言葉を継ぐようにシルヴィアは続けた。
「ジェオルジの村々を繋ぐ観光用の馬車ルート、そういった物を作るつもりですわ。少なくともウチでは、まだ正式には取り扱っていない物ですし、新規開拓をする意義はあると思いますの」
 この応えにフィオレンツァは納得したように返す。
「そっか。そういえばクルキャット商会だと、そういうの無かったよね」
 クルキャット商会。構成員の大半がハンターである強みを生かし物資の護衛輸送から始まった商会であるが、現在ではクルキャット商連合と呼ばれる商人連合の中枢を担っている。今この場に居る三人は、そのクルキャット商会と縁の深い少女たちであった。
「観光用の馬車って、楽しそうで良いよね。でも、それだったら先にヴァリオスとかポルトワールみたいな、賑やかな都市同士を結ぶルートから開拓するのが普通だと思うんだけど、ジェオルジを中心に考えているのは何か理由があるの?」
 フィオレンツァは自由都市同盟における有力な都市の地名を上げ再び問い掛ける。それは疑問に思ったからではなく、友人であるシルヴィアの力になりたい、という思いからだった。
 それをシルヴィアは幼馴染として肌で感じ取りながらも、甘えてしまいそうになる自分を戒める為にあえて気付かぬふりをして応える。
「少し前に、ジェオルジにある村がゴブリンに襲われましたでしょう」
「……私達も手伝いに行ったアレだよね」
 少しだけフィオレンツァは苦い声で返した。それにシルヴィアは返す。
「ゴブリンは倒せましたけれど、村は荒らされて大変でしたわよね。あれを見て思いましたの、復興の手助けをしたいと。
 それにあの村だけでなく、きっと他の村でも同じような事は今後あるかもしれませんもの、そういった時に少しでも役に立てる物があればと思いましたの。
 だから考えましたの。ジェオルジの村々を多くの人達が気軽に往来して、楽しんで地元にお金を落として貰える仕組み、それを形にするには馬車を使って観光をして貰うのが良いと」
「そうなんだ……うん、良いと思うよ」
 シルヴィアの思いを聞いて、フィオレンツァは嬉しそうな笑顔を浮かべながら同意する。それにシルヴィアも嬉しそうな笑顔を浮かべた。
 そんな二人に、リリアーナは一つの問題を口にした。
「私も観光用の馬車、やってみるのは良いと思う。でも問題は、道中の安全。雑魔みたいな歪虚が出る場合もルートによってはあるだろうし、それをどうにかしないと無理」
「だから、ハンターの皆さんに協力して貰おうと思いますの」
 シルヴィアは友人としてではなく商人として、ハンターズソサエティの職員でもあるフィオレンツァに要請する。
「ウチの人員が使えれば良いんでしょうけれど、すでに物資の護送や予備人員についている方達を使う訳にはいきませんもの。すぐにウチの人員が増やせる訳でもありませんから、しばらく、場合によっては継続してになるでしょうけれど、臨時にハンターの皆さんを雇わせて頂いて、道中の安全を守って頂ける体制作りをするつもりですわ」
「具体的には、まずは実験的に、ハンターの人達だけで馬車に乗って貰って、道中雑魔とかが出たら対応して貰いつつ、馬車の乗り心地とか観光用として必要だと思える意見を出して貰うつもり」
 シルヴィアの言葉を継いで続けたリリアーナに、フィオレンツァは友人としてでなくハンターズソサエティ職員として返した。
「うん、分かった。それなら依頼として受理できると思う。帰ったら申請書類出しておくね」
「ありがとうですの。道中は私達も行くつもりですわ。先生たちやキティやビビたちも頑張ってるみたいですもの、私も頑張らなくてはいけませんものね」
 シルヴィアはハンターとしての戦闘技術の指導をしてくれた三人組の男たちや、自分をお姉ちゃんと呼んで慕ってくれる双子の事を思いながら決意を告げる。それにリリアーナやフィオレンツァも同意するように返した。
「師匠達、アラゴのおじいちゃんにこき使われてるみたいだし、こっちも負けないように頑張らないと」
「うん、そうだね。私たちも独り立ちしたんだし、頑張ろう」
 こうして、三人の少女たちは少しばかりのお喋りを楽しんだ後、それぞれのするべき事の為に別れた。
 
 それからすぐに、とあるハンターズソサエティの支部で一つの依頼が出ました。内容は、

 観光用馬車のお客役として乗って意見を聞かせて欲しい。
 それと同時に、道中雑魔などが出た場合は対応もして欲しい。
 観光用馬車開発のための依頼なので、護衛役としてよりもお客としての意見をより強く出して欲しい。

 という物でした。道中は、これまでの調査では戦闘力の低い雑魔やゴブリンしか出たことが無いとのこと。
 この依頼にアナタ達は――?

リプレイ本文

●出発前に挨拶しよう
 気持ちの好い良く晴れた朝。ハンター達の依頼は挨拶から始まった。
「ざくろは時音ざくろ。この旅凄く楽しみなんだ、今日は宜しくね」
 依頼人であるシルヴィアとリリアーナに、ぺこりと礼をしながら挨拶をしたのは時音 ざくろ(ka1250)である。それは素直な彼の心根が感じられ、場の雰囲気を穏やかな物にした。
 これに依頼人である二人は返す。
「こちらこそ、よろしくですわ。皆さま、道中の安全とご意見、お願い致しますの」
「美人さんがいっぱいで嬉しい」
 リリアーナの言葉にざくろは赤面すると、
「ざくろ、男、男だもん」
 普段から整った外見から女性に間違われる彼は、思わず声を上げた。それにリリアーナは返す。
「大丈夫、男装女装コンテスト実行委員やってるから、その辺り間違えない。性別関係無しで、性格も込みで美人さんは正義」
 ほめて返したリリアーナに、ざくろは違う意味で顔を赤らめる。それもあって場の雰囲気は更に和らいだ。
 その雰囲気を壊さず繋げるようにアルメイダ(ka2440)は口を開く。
「いっぱいって事は、アタシも入ってるのかねぇ」
 どこか茶目っ気のある言葉には、恥ずかしがっているざくろを助けるような気遣いがあった。それを感じ取ったシルヴィアは嬉しそうに笑みを浮かべ返す。
「勿論ですの。嬉しいですわ、頼り甲斐のある美人さんに来て頂いて」
「頼り甲斐ねぇ。あたし、見た目はこんなんだけどね」
 アルメイダはエルフであるために、実年齢よりも幼く、少女と言ってもいい自身の外見を指して言う。
 それにシルヴィアは返す。
「見た目よりも、何をして頂けるかですわ。女の勘に懸けて、自分が感じた物は間違ってないと信じていますの」
 この応えにアルメイダは苦笑すると、
「信頼されたら、返さない訳にはいかないねぇ。それじゃ早速、頼りになる所を見せないとね。馬車、乗る前に見せて貰うよ。構造を知ってから乗り心地の感想を考えた方が、良い物を返せるだろうからさ」
 そう言うと馬車を見に行く。
「てっきり荷馬車的なものかと思ってたら、箱馬車か。なるほどねぇ……足回りは……へぇ、しっかりした仕事してるじゃないか」
 弾む声を抑えながら、機械に興味を持ち、機導師でもあるアルメイダは楽しそうにサスペンションなどの馬車の足回りを見ていく。その姿は、それまでの大人としての彼女とは違い、お気に入りの玩具を前にした子供のような愛すべき稚気を見せ、それが誰の目にも魅力的に映った。
 そんな彼女の姿に、周囲には苦笑するような和やかさが広がる。その空気に促されるように他のハンター達もそれぞれの意見を口にし始めた。
「今回は少人数で馬車に乗るみたいだけれど、実際には何人ぐらいの運用を考えているのかしら?」
 柔らかな物腰と同時に気品を感じさせながら尋ねたのは、フェリア(ka2870)である。彼女は自分に意識を向けたシルヴィア達に、
「フェリアと言うわ。よろしくね」
 華やかな笑顔を向け挨拶すると、更に続けた。
「人数もだけれど、馬車の中で用意できる物は何があるのかしら? 事前に用意して欲しい物を聞かれたから、私は紅茶をお願いしましたけれど、乗り心地によっては飲める環境ではないかもしれませんわね。
 馬車の揺れ次第では、私個人としては余り好きではないけれど、リアルブルーからの飲み物の入れ物を使うのも良いかもしれないわね」
 この意見に参加する形で、ルーエル・ゼクシディア(ka2473)も自分の意見を口にした。
「うーん……コップに入れた飲み物がこぼれない程度は勿論だし……、その辺りは実際に乗ってみて試してみるしかないよね。
 あ、そうだ。チェスみたいな遊び道具をしてみて、駒が倒れないようなら快適かなって思うな」
 この言葉に続ける形でフェリアは、
「やはり実際に乗ってみるのが一番ね。役に立つ感想を上げたいものだわ」
 そこまで言うとシルヴィアに視線を合わせ更に続ける。
「今回の依頼は、観光馬車による復興の手伝いなのでしょう? 素敵だと思うわ。だからこそ、感想は辛口にさせて頂きますわね。仕事というのもありますけれど、その方が村の皆さんや貴女達の役に立つと思いますもの」
「確かに、その通りだね」
 フェリアに賛同するように続けたのは、ジェールトヴァ(ka3098)である。彼は柔らかな口調で、けれど彼の人生に裏打ちされたかのような深い響きを込めながら意見を口にする。
「復興目的の観光馬車……雑魔退治後の村のことまで考える、というのは尊い志であるけれど、多くの人が慈善で観光してくれるわけじゃない。
 観光馬車が本当に魅力的でなければ、人は集まらない。参加した人が何回も来たくなるような、楽しい時間を過ごせるような物であるべきだね。
 そこから評判が広まって、多くの来客を見込めるような、そんないい提案ができればと思うよ。
 だからお嬢さん達には悪いけれど、私も厳しく意見をさせて貰うよ」
「ありがとうですの、皆さま」
 ハンター達の意見を聞き、シルヴィアは感謝の言葉を返す。
「苦言は耳に痛い物ですけれど、それを口にするのも苦しい物ですわ。それをして頂ける皆さまには、感謝いたしますの。
 観光馬車のこれからの為にも、今回はよろしくお願い致しますわ」
 そう言うとシルヴィアは頭を下げ、それに続く形でリリアーナも下げる。
 こうして依頼人である少女達の本気を感じながら、ハンター達は観光馬車に乗り込み出発した。

●馬車道中
 人が走るよりは多少速い程度の速度で馬車は進み続け、ハンター達はゆったりと旅路を味わっていた。

「チェックメイト」
 軽やかな声でルーエルは、馬車の中央に固定されたテーブルの上で行われていたゲームの終わりを口にした。それに対戦相手であるアルメイダは返す。
「負けたよ、巧いね。あたしに三手ハンデくれたのに勝つのは凄いね」
 この言葉にルーエルは照れたような響きを込め返す。
「チェスには定石があるから。僕はそれを知っていた分、アルメイダさんより有利だっただけだよ。それよりも初めてやったのにここまでやれる方が凄いよ。お蔭で楽しかったよ。ありがとう」
「どういたしまして。それはそれとして、どのぐらい進んだのかねぇ? チェスに夢中だったから分からないんだけれど」
 これに返したのは、道中で気になる箇所を地図に記していたざくろだった。
「結構進んだよ。どれぐらい時間経ったのかな? さっき綺麗な花が一杯咲いてた所もどの辺りなのか知りたいし、聞いてみるね」
 そう言うと、御者として外に居る少女達へ尋ねるために、備え付けられていたトランシーバーを手に取り会話を重ね応えを皆に伝えた。
「三時間は経ったみたいだよ、もう少しで村に着くみたい。あと、さっきのお花が一杯の所は、この辺りだと『防人の園』って言うみたい。歪虚をたくさん退治したハンターさんが住んでいた場所に、みんなが花を植えて出来た場所なんだって。こういう場所、後でお客さんを呼ぶ宣伝に出来ると思うし、説明はガイドさんを雇って馬車に同乗して貰う様にしたら、もっと楽しくなるって思うな」
 これにフェリアが返す。
「私もそう思うわ。そういった場所の説明が出来るよう、御者や護衛は教育してあった方が良いかもね。話し相手になるのも立派なサービスですし。見所を説明していくのも良いと思うわ」
 ざくろと同じく、道中の見所や気になった箇所を用意されていた地図に書き込むフェリアに、同じように地図に書き込んでいたジェールトヴァが続ける。
「そういう物があるのは良いだろうね。ただ、それでもやはり道中が長すぎるのが問題だ。良い景観にも、いつかは飽きてしまうし、狭い馬車に乗り続けるのは、疲れてしまう。
 途中でもう少し休憩を挟んだり、他の村なりに立ち寄るのも良いかもしれないね」
 ハンター達は、それぞれがそれぞれに思った事を口にし、依頼が終わった後のアンケートの為に備えていた。
 状況が変わったのは、そんな時だった。
 馬車が動きを止める。それにハンター達は馬車の窓から周囲の状況を探り、最初に馬車に近付いてくる雑魔に気付いたのは、鋭い知覚を備えていたざくろだった。
「雑魔が来たよ、大きな犬みたいなの。数は六匹」
「本当にどんな時でも出てくるな……馬車に近寄られる前に倒しましょう」
 ルーエルはそれまでの穏やかな気配を一変させ戦士としての冷静さを見せると、即座に武器を手にし馬車の外へと出る。それに残りのハンター達も続いた。
「馬車に近づけさせないよ! ざくろは近付いて盾役になるよ」
「この場にいる大半が遠距離攻撃に向いた面子だから、近接はあんたに任せるよ。悪いね」
 アルメイダの言葉にざくろは即座に返す。
「気にしないで。危ない時は防御障壁を使うもん」
「なら僕は中衛役として、ざくろさんを援護する形で出ます。他に協力してくれる方はいますか?」
 ルーエルの呼び掛けにフェリアとジェールトヴァが応える。
「分かりましたわ。私も出ましょう」
「私も出よう。馬車に近付ける訳にはいかないからね」
「だったら、あたしは最後の砦として、後衛役を引き受けるよ」
 最後にアルメイダが自身の配置を口にし、一斉にハンター達は動きだした。
 まず最初にざくろが動く。それにより雑魔の注意は彼に集中し、動きが読み易くなる。それを生かし、次々に攻撃が開始される。
 ざくろの後ろから襲いかかろうとした雑魔に、ジェールトヴァがホーリーライトを命中させる。それにより大きなダメージを受けた雑魔に、追撃をかける形でルーエルのホーリーライトが止めを刺した。
 それから僅かに遅れ、集中を使い魔法攻撃力と命中率を上げたフェリアは、ざくろに近付こうとした一匹にマジックアローを命中させ一撃で仕留める。
 残る雑魔は四匹。そのうち二匹がざくろに襲い掛かり、残りは馬車へと向かう。
 ざくろは襲い掛かって来た二匹の内、一匹は避けかわすと、もう一匹は防御障壁も使い受け止める。
「効かないもん……パリンと割れる光子力!」
 ざくろの前に現れた光の壁に雑魔は突進力を削られ、掠る程度の衝撃しか与えられなかった。
 そうして出来た攻撃後の隙を突き、ざくろは機導剣を使い一撃で倒す。その直後、最初に攻撃をかわされた残る一匹がざくろに再び襲いかかろうとしたが、援護の形で放たれたジェールトヴァのホーリーライトを食らい動きが止まった所を、ざくろの機導剣の一撃が打ち倒した。
 そして残る二匹をアルメイダが迎え撃つ。
 馬車へと近づいてくる雑魔の内、より近い方にアルメイダは魔導銃の狙いをつけ引き金を引く。
 それは狙い過たず眉間を撃ち抜き、一撃で倒した。
 残る雑魔は一匹。それは、ここに至って不利を悟ったのか逃げようとするが、それを防ぐためにアルメイダとルーエル、そしてフェリアが走り出す。
 間合いを詰められる中、雑魔は最後の足掻きとばかりにルーエルへと襲い掛かった。それを防ぐようにアルメイダはルーエルに対して防御障壁を使う。
「試させて貰うよ」
 発動距離ギリギリではあったが、光る壁が雑魔の前に立ちはだかり突進力を殺す。それにより軽い体当たり程度の打撃しかルーエルに与えられなかった雑魔に、ルーエルのホーリーライトとフェリアのマジックアローが連続して命中し止めを刺した。
 こうしてハンター達は雑魔の襲撃を防ぐ。その後、周囲の警戒を行い安全を確認してから馬車旅を再開し、中継地点である村に到着した。

●村に到着
 村に到着し馬車から降り立つと、村人が歓迎の為に集まっており、広場に用意された休憩所でハンター達は休んでいた。

「ありがとう」
 ルーエルは村の子供たちが勧めてくれた、以前村の復興の為にやって来たハンター達により考えられたというトマトのグミを笑顔で受け取り口にする。それに子供は、はにかんだ笑みを返した。
 歓待として用意された物はそれだけではなく、村の特産品であるトマトから作られたソースを使った様々な料理が次々にハンター達の前に並べられる。それを口にして楽しみながらジェールトヴァは意見を口にした。
「食事も観光の一つだから、こういう物は良いかもしれないね。ここでしか食べられない物というのが売りになるだろうから。欲を言えば、こういった場所が道中に一つではなく、幾つかあると更に良いだろうね。それと今回は一時間しか滞在できないけれど、どうせならもっと長く滞在できる方が良いかもしれないね」
 そうした意見は次々、口にされる。
「複数の場所に寄るのなら、やはりそれぞれの場所に精通した教育を御者や護衛にするべきでしょうね」
 フェリアが言えば、
「ざくろもそう思うよ。道中でも思ったけど、説明はガイドさんを雇って馬車に同乗して貰う様にしたら楽しいと思う」
 ざくろも同意するように言う。そしてアルメイダやルーエルもそれぞれ意見を口にする。
「滞在時間を長くするのは、あたしも良いと思うねぇ。馬車の乗り心地は悪くは無かったけど、やっぱり四時間だと長いからね。ある程度の休む時間は必要だよ」
「僕もそう思うよ。それに折角訪れたんだから、村の人との交流や、村の散策も楽しみたいと思うし」
 そういった意見を、シルヴィアとリリアーナは次々に書きとめていく。二人は出た意見を元に村の責任者らしき一団と話し合うと、ハンター達に告げる。
「ご意見ありがとうですわ。お蔭で助かりますの。折角頂いたご意見ですもの、早速村の皆さんとも話し合いたいと思いますの。だからその間は、皆さん村のお客さまとして楽しんで下さいですの」
「道中雑魔を退治してくれたし、それのお礼の意味合いもあるから、楽しんでくれると嬉しい」
 依頼人である二人に勧められたハンター達は、その言葉に従い、仕事としてではなく純粋な観光としてしばし楽しんだ。

 こうして村での滞在をハンター達は観光として楽しんだ後、元来た道を馬車で辿り帰路につく。
 帰途の道中では雑魔が出る事もなく、日が暮れる頃、出発地点へと帰り着いた。

●依頼終了
「皆さま、お疲れ様でしたの」
 労いの言葉と共にシルヴィアは礼を告げる。これにハンター達は次々に返していった。
「楽しかったよ!」
 ざくろが嬉しそうに言えば、
「観光馬車による復興、応援するわ」
 フェリアは励ますように言い、
「馬車の乗り心地、気になる点は書いておいたよ。参考にしてくれると嬉しいね」
 アルメイダは技術者として意見を残し、
「厳しい物になったけれど意見は書きとめておいたよ。役に立てて貰えれば幸いだね」
 ジェールトヴァはより良い未来の為にあえて苦言を残し、
「大勢のお客さんが来てくれるよう祈っているよ」
 ルーエルは観光馬車の未来を祝福した。
 こうして終わった今回の依頼は、きっとこの先、観光馬車事業の役に立つ、そう思える成功を収めた物であった。

依頼結果

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参加者一覧

  • 幸せの魔法
    ミィナ・アレグトーリア(ka0317
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 『機』に惹かれし森の民
    アルメイダ(ka2440
    エルフ|12才|女性|機導師
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 【Ⅲ】命と愛の重みを知る
    フェリア(ka2870
    人間(紅)|21才|女性|魔術師
  • 大いなる導き
    ジェールトヴァ(ka3098
    エルフ|70才|男性|聖導士

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アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/09 22:23:47