八本足の恐怖

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
締切
2016/08/03 22:00
完成日
2016/08/10 01:35

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング




 夏の生ぬるい宵の口。
 海上警備艇は、一隻のさびれた漁船が港付近をさ迷っているのを、発見した。

「おい、どこの船だありゃあ」

「地元のじゃなさそうだな」

 警備員は警戒した。
 最近この近海では、特産であるアワビの密猟が横行している。あれももしや、その類いではあるまいか。

「おーい、そこの船! 停止、停止しろ! 臨検だ!」

 応答がない。
 様子を確かめるため、数名の警備員が、警備艇から船に乗り込む。
 ……誰もいない。漁に必要な道具はすべて整えられているのに。
 何か異常な事が起きたらしい。
 これは自分たちの手に負えないと判断し、警備艇に戻ろうとする警備員たち。
 漁船の下に隠れていた大ダコが姿を現したのは、その時だ。
 タコは間髪入れず乗船した警備員たちに襲いかかり、飲み込む。そして、警備艇に乗り移ろうとした。
 警備艇は全速力で逃げた。からくも、タコの魔の手を振り切った。
 海に落ちたタコは、そのまま泳ぎ始める。警備艇が逃げた先、明かりの灯り始めた港町へと。




 海の町に、警報とアナウンスが響き渡る。

『海上警備隊より、緊急速報です。歪虚が発生しました、住民の皆さんは、速やかに屋内へ避難してください。繰り返します。歪虚が発生しました。住民の皆さんは、速やかに屋内へ避難してください――』

 上陸したタコは人影のない港を無感動な目で見回した後、町の中へと入って行く。もともと水中向きの体ではあるが、陸にいても、さして苦でない様子だ。

『ほどなくハンターオフィスから救援が参ります、どうぞ落ち着いて行動を……』





「物騒だなあ。歪虚が出たんだって。早くお花さんたちを避難させないと」

 花屋の店主ベムブルは、外に置いていた植木鉢を店舗に仕舞い入れる。
 コボルドことコボちゃんは、その手伝い。今日はハンターオフィスが休みなので、この店に貸し出されているのである。チッ。このドワーフうるせえなと思いつつも、いい子にしないとハンターに言い付けるよという脅しを受けているので、従っている状態だ。

「違う違うコボちゃん。それはこっち」

「わわわし。わし」

 それぞれ所定の場所に並べ、整理整頓。

「よし、これでオッケー」

 一息ついたベムブルは、何げなく外を見る。そして、路上をずるずる移動して行く大タコと目が合う。
 ――反射的にシャッターに飛びつき、力任せに引き下ろす。それは、タコが足を店の中に突っ込んでくるのとほぼ同時だった。
 触手はシャッターに挟まれながらも、獲物を捕まえようとする。
 鉢植えや花入れが幾つも引っ繰り返った。
 コボちゃんの大事なシルクハットが吸盤に吸いつかれ、持って行かれる。

「わし! わししし!」

 シルクハットを取り戻さんとコボちゃんは、タコの足に噛み付いた。

「おのれよくも僕のお花をー!」

 大事な商品を荒らされたベムブルは怒り狂った。園芸用フォークでタコの足を刺しまくる。
 タコの足が引っ込んだ。
 コボちゃんは取り戻したシルクハットを改めて被り直し、勝利宣言。

「わし! わしわし!」





 タコは建物の中に逃げ込んだ獲物を捕ることを止めた。反撃に怯んだからではない。もっと捕りやすそうな獲物を見つけたからだ。
 それは、通りの向こうをふらふら歩いている酔っ払い。

「お、お? なんだおい、でけえタコがいるぞタコが」

「ふおー、ほんとだ。でけえなあ。タコのくせに生意気だあー」

 相当酔いが回っているらしく、危機を危機と認識出来ていないらしい。多分アナウンスも聞こえていないのだろう。
 大タコは体を左右に揺らしながら近づき、あっと言う間に酔っ払い2人を捕まえた。
 そのときである。緊急連絡を受けたハンターたちが、現場に駆けつけてきたのは。

リプレイ本文

●発見から戦闘まで

 緊急通報による呼び出しを受けた玉兎 小夜(ka6009)は、御機嫌斜めだ。遠藤・恵(ka3940)と楽しくデートの予定が、この騒ぎでキャンセル。急遽依頼に引っ張られ……まことに災難だ。

「あー、もう! 見つけたらタダじゃおかないからね、歪虚!」

 警報が効いているのだろう。どの商店もシャッターを閉めている。通りに人の姿はない。
 アルマ・A・エインズワース(ka4901)にとってこの町は、思い入れのある場所だ。

「この辺って確かベムブルさんの……何としてもここでやっつけるですよ!」

 意気盛んな彼とは対照的に、チマキマル(ka4372)は沈んだ調子。盛んにぶつぶつ言っている。
 一体何を言っているのかなと、天竜寺 詩(ka0396)は耳をすませてみた。

「もう疲れちゃったよ……もういいよね、私は頑張ったよ、精一杯今日まで頑張ったよ……自分を褒めたいくらいだ……」

(……何か色々あったみたいだけど……大丈夫かなあ)

 大丈夫かなと言えばパーティーには、もう一人大丈夫かなと思わせる人がいる。御酒部 千鳥(ka6405)がそれだ。
 任務に来る直前、どこかで一杯か二杯かそれ以上引っかけてきたらしく、名前のとおりの千鳥足。右に左にぶれつつも走る速度が全然落ちないので、かえって危ない。
 鹿島 雲雀(ka3706)と葛音 水月(ka1895)が、それをフォローしている。

「おかしい、この町やけに道が斜めっておる」

「違う。お前が斜めになってんだよ」

「ぬおっ! 誰じゃ、道の真ん中に立て看板なぞ置いたのは。思わずぶつかりかけたではないか不届きな」

「千鳥さん、その立て看板道の端にあります……大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫――おおっとっとっと! 危ないのう。今度は誰じゃ、道路に水なぞ撒きおってからに」

 足を取られ滑りかけた千鳥は、不服そうに地面を見やる。水月が、クンクン鼻を蠢かした。

「これは、水ではないのでは?」

 なるほど、臭いからすると確かに水では無い。生臭いし、ぬめってもいる。
 よく見ればその濡れた箇所は一つの筋となって、石畳の上に続いている。
 見るからに怪しい。これは追ってみる価値がありそうだ。ハンターたちがそう思ったとき、行く手から、ほわあだのほええだのいう叫び声が聞こえてくた。

(――お花屋さんがある方角だ!)

 アルマは魔導バイクで全力疾走、一番に現場へ駆けつけた。彼がそこで目にしたものは。

「……タコ」

 もちろん歪虚ということは分かっている。だが本物のタコを大きくしたという芸のない姿なので、あまりそれらしく感じられない。
 追いついてきた詩も、思わずこう言ってしまう。

「わ、すっごい大きなタコ!」

 三番手に来た小夜も似たようなものだった。

「って蛸だ……オナカ、ヘッタ」

 しかしいくらタコタコしいタコだといっても、歪虚であることは間違いない。
 恵はすぐさま吸盤だらけの足に、人間が巻き込まれていると気づいた。

「あっ、誰か捕まってますよ!」

 ハンターの間に緊張が走る。だが、千鳥だけはほろ酔い加減。呑気に構えている。

「ほっほっほっ、いっぺんに人間二人も捕まえるとは欲張りなタコじゃのう」

 無感動な目をしたタコは、手近な水路に向け横滑りに移動して行く。人間を抱えたままで。
 詩は間髪入れずジャッジメントを放った。タコの動きが一瞬止まる。
 それが再び動き出す前に、チマキマルが、ファイアーアローを打ち込んだ。

「人質さえいなければなぁ……数秒で消し炭なんだがなぁ………灰すら残さないんだがなぁ……」

 雲雀が吠え、大タコ目がけ飛び込んで行く。

「人を食うタコだぁ? ふてぇ野郎だ。逆に食ってやる!!」

 酔っ払いその1を掴んだ足の付け根に、叩きつけられるハルバート。

「オイタをする足は、さっさとチョン切ってやるよ?」

 血の出ない傷口が、ぱくりと大きく開く。逆側から小夜が、斬魔刀で切り込む。

「足、いただきます!」

 足が1本からそぎ落とされた。巻き込んでいた酔っ払いと共に。
 小夜はタコに指を突き付け、宣言する。

「一本時点で足八本でなくなったお前は、すでにタコじゃなくなった! 私たちのご飯だ!」

 アルマは酔っ払いその2を捕まえている足を狙う。この上ないほどの侮蔑的な表情を浮かべて。

「僕のお友達のお店の近くで暴れるなんて、自殺……いや、他殺志願ですかねェ? アハハハッ!」

 彼の手に、青い光の刃が現出した。一瞬の閃きの後、足が落ちる。小夜はそれも、律義にカウントした。

「6本!」

 しかし足は、切られてもすぐには力つきなかった。締め込んだ人間を離そうとしない。のたうった揚げ句、水路に転がり落ちる。
 それを見た千鳥は、自身の頬をパンパンとはたいた。

「おっとイカン、あの二人が丸かじりされる前に救出せねばならんかったのじゃ」

 言いながらタコに向け、ボーラルナックルを発射。タコは体を覆うように足を丸め、ナックルを弾く。
 その隙に千鳥は、水路に飛び込む。

「おーい、どこに沈んだのじゃー!」

 恵も急いでワンピースを脱ぎビキニ姿となり、救助に向かう。
 彼女らの後を追おうとするタコを、詩が再びジャッジメントをかけ、停止させる。

「あんたはこっちに来なくていいの!」

 ここにいたってタコはようやく、捕食目標をハンターたちに切り替えた。
 ハンターたちに向かって足を延ばし、搦め捕ろうとしてくる。水月は絡み付いてこようとしたそれを、素早く切り落とした。
 タコの足は、5本となる。

「こういうタイプの敵ってあれな雰囲気になりがちですけど、今回はなんだか食欲! ですよねー」

 アルマはシールドで魔杖から吹き出る炎でタコを炙り、注意を引き付ける。
 そうやってタコが引き留められている間に、酔っ払いたちは、無事水中から引き上げられた。
 触手にきつく締め込まれていたせいか、どっちも気絶している。恵は千鳥と力を合わせ、彼らを岸に戻しながら、仲間に告げた。

「2名確保しました! 意識はありません!」

 詩は大急ぎで彼らに駆け寄り、ディヴァインウィルを発動する。続けてヒーリングスフィアをかけてやる。
 意識を取り戻した酔っ払いたちがまずしたことは、しこたま飲んだ酒と水を吐きあげることだった。
 詩は、そんな彼らの背を叩いてやる。

「大丈夫、タコは寄せ付けないからね」

●戦闘から終息まで

 タコは地面すれすれに足を振り抜いた。
 小夜は縦横無尽に刃を走らせ、その足を切り落とした。

「4本!」

 続けて落ちた足を細切れにし、水路に蹴り落とした。本体と接触したら、またくっついてしまうかも知れないので。なにしろこれは、タコに見えてもタコではない。

「大丈夫。無駄になんてしないよ、おいしくイタダキマス」

 雲雀は向かってくる足を、ハルバードの石突きで払う。

「おおっと、お触りは厳禁だぜ?」

 そのまま勢いを止めず腕を伸ばし、刃の側で切り飛ばす。
 すかさず小夜のカウント。

「3本!」

 恵は水路に身を潜めたまま、援護射撃を始める。水中での使用に特化した型のロングボウ、シーホースで。

「さあ、出番ですよタツノオトシゴさん!」

 力いっぱい弦を引き、発射。的が大きいだけに当たりやすい。

「うふふ。私の小夜さんの攻撃を避けようなんてさせませんよー?」

 もちろんチマキマルの援護も続行中だ。ウィンドスラッシュがぬめった灰色の皮膚を切り刻んでいく。
 タコは建物と建物の間にある隙間へ後退し始めた。アルマがその前に立ち塞がり、炎を浴びせる。

「ふはははは。今更逃げ隠れしようなんてナシですからねー?」

 千鳥も後ろから、ぶよんぶよんした胴に蹴りと殴打で挑む。

「お主はもはや干しタコとなるが定め、潔く往生せいっ!」

 足がびしりと打ち下ろされてきたので、後退。代わって水月が挑む。
 まずは鏖竜剣で足を打ち落とす。
 続いてバンカーナックルから、タコの頭部(見た感覚で言うと眉間)目がけ、鋼鉄の杭を次々打ち込んだ。
 その箇所への衝撃は、かなりのショックだったらしい。タコは残った2本の足を無茶苦茶に波打たせ、転げ回る。
 そこに雲雀が躍りかかった。

「これが本当のタコ踊りってか!」

 足は残り1本となった。
 続いて小夜が切りかかる。

「さあ、これで残り0!」

 タコは文字通り手も足も出なくなった。
 アルマは杭が突き刺さっている眉間を狙い、青い光の刃を突き刺す。タコの目がぐるりと裏返った。

「タコの頭って、意外と美味しいよね」

 うそぶく小夜はその目玉目がけて、携帯用の仕込み傘を、情け容赦もなく突き刺す。

「目打ち!」

 刺した傘を足場にし、斬魔刀でぎりぎりぎりと、傘の刺さった周囲を切り開いて行く。

「ヴォーパルバニーが、刻み刈り獲らん!」

 タコは全身痙攣を起こし、皮膚を赤くさせたり白くさせたりしている。
 もう援護の必要なしと見た恵が水から上がってきた。チマキマルも援護の手を止め、言う。

「そろそろ止めを差してもいいか……?」

 水月がそれを遮る。

「まあちょっと待ってくださいチマキマルさん。タコさんの中でまだ、誰かが生きている可能性がありますから」

 雲雀がタコの上に飛び乗った。

「テメェがまともな生物だってのなら……後は、脳を潰せば終いだ!」

 ハルバードで顔の部分をずたずたに切り刻み動きを止めてから、彼女は、皆の顔を見回した。

「望み薄だとは思うが、確認しない訳にはいかねぇ。……開くぜ?」

 タコの腹部が切り開かれた。酸っぱい液とともに転がり出てきたのは骸骨だった。それと、身の回り品――メガネとか、腕時計とか。
 一同は黙祷を捧げ、手早くそれらを回収する。
 それが済んでから、チマキマルが止めを差す。溜まった鬱憤の解放は、はた目にかなり怖いものであった。

「キィィィエェエエエエエエエ!! 死ニサララセェェェエ!!!!!」

 本人としては形が残る程度に焼くつもりだった。しかし残念ながらタコは、影も形も残さず消え去った。


●安否確認と材料調達


 警報解除の方を受け再開した花屋へ真っ先にやってきたお客は、アルマ。

「ベムブルさん! おひさしぶりですっ、僕ですー!」

「あれっ、アルマさん。お久しぶりだねえ」

「わあー、うれしいです、覚えていただけてたんですねー! 初めて会った時に貰った鉢植え大事にしてるですよー」

 店長を嬉しそうにハグした彼は、レジ棚の後ろに隠れているコボちゃんを捕獲。

「あ、コボちゃん! ここでお手伝いしてるです? 相変わらず可愛いですー」

 相手が迷惑そうな顔をしている事は意に介せず抱っこし、もふくりまくる。

「そろそろ会いに行こうと思ってたですー。この間汚しちゃって大変だったって聞いたので、これ」

 言いつつ持参した紙袋から、デザインの異なるコボ用ジャケットを何枚も取り出した。
 コボちゃんは興味を示し匂いを嗅ぐ。

「気に入りました?」

「わし!」

 そこへ詩がやってきた。

「すいませーん、椿って置いてありますか?」

 彼女も早速コボちゃんを発見。

「あれ? 此処でお手伝いしてるんだ?」

 と言って、頭を撫で撫で。

「うんうん、感心感心」


●仕事納めの食事会


 恵は予定を変更し、タコ焼きパーティーならぬ、タコづくしパーティーを行うことにした。小夜だけでなく、今回一緒に戦った人々と、ベムブル、コボちゃんも招いて。
 皆でわいわいしながら食べるのは、とても楽しいことだ。


「水月さん、手慣れてますねー」

「これでも飲食店やってたりですし、調理の腕に自信はそこそこ。でも恵さんも、すごく段取りがいいですよね」

「ふふふ、メイドですから。私も家事得意なんですよ? 詩さんは、何を作ってるんですか?」

「タコの赤ワイン煮だよ。椿の葉っぱを入れるとね、タコが柔らかく煮えるの」

「……あっ、それいー匂いですね。おいしそー」

 恵はタコ焼き機に種を流し込み、タコを一つ一つ投入。
 雲雀も、同じくタコ焼き作りに勤しんでいる。肝腎要のタコは、玉からはみ出すほどの大きさ。見た目は悪いが歯ごたえは十分そうだ。
 先に完成したのは、恵のタコ焼きたち。手早く裏返され形を整えられ、お皿に。適宜ソース、適宜アオノリ、適宜マヨネーズ。そしてかつをぶし。ひと手間加えてベニショウガ。
 小夜は舌なめずりをする。彼女は食べる専門だ。

「んじゃ、喰うか! ごはん!!」

 いそいそと恵の膝に乗り、甘えた声で言う。

「恵さん、食べさせてぇ」

「はい、お疲れ様でした。小夜さん♪」

 アーンをやってもらってご満悦の恵。
 そこで雲雀の豪快なタコ焼きも完成した。

「さて、お待ちかねの食事タイムだ。これも、因果応報ってヤツだな?」

 と高笑いしながら、大胆不敵に天かすドバー。マヨネーズビームビーム。

「へへへ。脂肪感がこたえられねえぜ……じゃ、いただきまーす」

 ツマヨウジを突き刺そうとしたところで、目の前のタコ焼きが消えた。

「いただきうさぎ!」

「あ、おい小夜!? それは俺の分だ!」

 直後また1つタコ焼きが消える。

「うん、からしまよもおいひい。あっつあつ」

「おいひいじゃねえ千鳥、俺のだぞって言ってんじゃねえか!」

 と言っている間に、また1つ消える。

「わふはふ」

「あー! 何しやがんだこのコボ公! 吐き出せー!」

 コボちゃんの襟首を掴んでがくがくさせるところに、アルマがひょいと顔を出す。

「まあまあ、落ち着いてください。コボちゃん、食べるものならほら、こんなにたくさんありますから。人のもの取っちゃ駄目ですよ」

 彼が指し示すのは、タコめし、揚げタコ、タコマリネ、そして特製のヘルシーハーブタコ焼き。などなど。
 タコの串焼きを完成させた水月は、へえ、と感心顔だ。

「いろいろ作れるんですね」

「おうちでごはん作ってるの僕ですから、少しはできますー」

 そうこうしているうちに、赤ワイン煮も出来あがる。詩はそれをまず、ベムブルに持って行った。

「ベムブルさん、どうぞ」

「わ、おいしそう。詩さんありがとう」

「ううん。いつもコボちゃんがお世話になってるお礼。これからもコボちゃんを宜しくね」

 そんな会話が交わされているとも知らないコボちゃんは、タコめしを手づかみで、ぱくぱく食べている。
 詩はその頭に手を置いて、撫で撫で。

「お仕事頑張ってねコボちゃん」

「わふふ」

 口一杯にタコ焼きをほお張った千鳥は、チマキマルに近づき肩を叩く。

「ほふいれはほぬほは?」

「……悪いが何を言っているか分からないな」

「ほふは」

 そう言われると口をもごもごさせながら水月のところへ行き、串焼きをもらい、彼に差し出した。
 「元気を出せよ」と言いたかったらしい。
 チマキマルは串焼きを食べた。辛みダレが利いていて、とてもおいしかった。

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MVP一覧

  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月ka1895
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀ka3706
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜ka6009

重体一覧

参加者一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月(ka1895
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • 白兎と重ねる時間
    玉兎・恵(ka3940
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 迷いの先の決意
    チマキマル(ka4372
    人間(紅)|35才|男性|魔術師
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • 喧嘩と酒とモフモフと
    御酒部 千鳥(ka6405
    人間(紅)|24才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/30 19:25:39
アイコン 作戦相談卓
玉兎 小夜(ka6009
人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/08/02 22:17:46