ゲスト
(ka0000)
【詩天】暴風の猪武者
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/08/01 22:00
- 完成日
- 2016/08/06 07:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
東の三城攻略も、残すは伊佐群城一つ。
三つの城の奪還が成功すれば、若峰の東側は安堵。復興を果たす為に、是が非でも三城奪還を果たしたいところだ。
三条家軍師、水野 武徳 (kz0196)も伊佐群城奪還に向けて動き出していたのだが――。
ここに来て、事態は大きく動き出す。
「報告であります! 伊佐群城より敵軍前が南下。この墨子城へ押し寄せています」
「おお、来たか。三つ扇の家紋は敵陣にあったか?」
「ございます。本田喜兵衛に間違いございません」
報告を受けて武徳は、その場で立ち上がる。
ハンターが集めた情報から敵の将が歪虚と化した本田喜兵衛と推測。三条家では死者を率いる武将と恐れられていたが、武徳にとっては突撃しか能のない猪武者。武徳を警戒して様子を見続けていたようだが、我慢の限界に達して動き出したのだろう。
武徳は喜兵衛が動き出す事まで予測して城の守りを鉄壁にしていた。
「本当に死んでも分かりやすい男よのう。して、敵の数は?」
「物見の報告によれば千五百程との事」
「千五百? ……予想よりも少ないな」
武徳は、ここで怪訝そうな顔を浮かべる。
予想ではその倍の数がこの墨子城へ差し向けられると考えていた。
墨子城、駒種城は敵と正面からぶつからずに奪還している。言い換えれば、敵の戦力を削る事無く目的を果たしてきた。敵の戦力は充分に膨れあがっているはずなのだが、残りの兵は今回の進軍に参加していないのであろうか。
「致し方ない。出城に兵を集めて迎撃を開始じゃ。それからハンター達に出陣を急がせろ」
武徳は、ここで悩んでも致し方ないと気持ちを切り替える。
予定通り敵の侵攻を築いていた出城で食い止める作戦を実行する。猪武者である喜兵衛は、まっすぐ墨子城を目指す。そこに着目した武徳は、墨子城で新たに築いた出城から迎撃。弓と銃による遠距離攻撃を仕掛ける。
だが、出城の本当の役目は、敵の先陣を出城前へ敵を釘付けにする事。
その間に西の馬出門から北回りで敵の本陣を目指す。ハンター達が一気に喜兵衛を叩き、この戦を終わらせるのが目標である。
「伏兵など出来ぬ男のはずじゃが……ハンターには充分注意するよう伝えよ。
死んで馬鹿が治ったのかもしれん」
●
一方、墨子城へ向かって進軍する歪虚の群れ。
その中で大きな悲鳴が、響き渡る。
「うわあああっ!」
次の瞬間、三条軍物見の頭が砕け散った。
轟音と共にら振り下ろされた砕棒。その強烈な一撃が、物見の頭を破壊。周囲に嫌な匂いを発しながら、物見だった肉塊の周囲に赤い泉が湧き出でる。
「……足らん。足らん、足らんぞぉぉ! こんなもので拙者を止められると思っておるのか!」
物見を葬った歪虚――骸骨武者の群れの中で、手に金砕棒を握った男が吼える。
異常とも思える巨大な金砕棒ではあるが、それよりも目に付くのは男の体躯であろう。3メートル程の体躯で胴丸とすね当て以外は剛毛に覆われている。
そして顔は――猪を彷彿とさせる鋭い牙が生えていた。
「おのれ、武徳め。最早我慢の限界。この本田喜兵衛が積年の恨みを晴らしてくれよう」
本田喜兵衛。
千石原の乱で三条秋寿側についた武将であったが、武徳の裏切りを受けて敗北。
武徳の手によって死亡が確認されていたが、歪虚として蘇ったようだ。
武徳の裏切り。
三条真美の帰還。
先代より仕えてきた喜兵衛であったが、彼らの存在が秋寿を切腹へ追い込んだ。
許せない。
必ず後悔させてやらねばならない。
「進めっ! 三条真美に従う者は、女子供とて容赦するな。邪魔する者はすべて殺せっ!」
三つの城の奪還が成功すれば、若峰の東側は安堵。復興を果たす為に、是が非でも三城奪還を果たしたいところだ。
三条家軍師、水野 武徳 (kz0196)も伊佐群城奪還に向けて動き出していたのだが――。
ここに来て、事態は大きく動き出す。
「報告であります! 伊佐群城より敵軍前が南下。この墨子城へ押し寄せています」
「おお、来たか。三つ扇の家紋は敵陣にあったか?」
「ございます。本田喜兵衛に間違いございません」
報告を受けて武徳は、その場で立ち上がる。
ハンターが集めた情報から敵の将が歪虚と化した本田喜兵衛と推測。三条家では死者を率いる武将と恐れられていたが、武徳にとっては突撃しか能のない猪武者。武徳を警戒して様子を見続けていたようだが、我慢の限界に達して動き出したのだろう。
武徳は喜兵衛が動き出す事まで予測して城の守りを鉄壁にしていた。
「本当に死んでも分かりやすい男よのう。して、敵の数は?」
「物見の報告によれば千五百程との事」
「千五百? ……予想よりも少ないな」
武徳は、ここで怪訝そうな顔を浮かべる。
予想ではその倍の数がこの墨子城へ差し向けられると考えていた。
墨子城、駒種城は敵と正面からぶつからずに奪還している。言い換えれば、敵の戦力を削る事無く目的を果たしてきた。敵の戦力は充分に膨れあがっているはずなのだが、残りの兵は今回の進軍に参加していないのであろうか。
「致し方ない。出城に兵を集めて迎撃を開始じゃ。それからハンター達に出陣を急がせろ」
武徳は、ここで悩んでも致し方ないと気持ちを切り替える。
予定通り敵の侵攻を築いていた出城で食い止める作戦を実行する。猪武者である喜兵衛は、まっすぐ墨子城を目指す。そこに着目した武徳は、墨子城で新たに築いた出城から迎撃。弓と銃による遠距離攻撃を仕掛ける。
だが、出城の本当の役目は、敵の先陣を出城前へ敵を釘付けにする事。
その間に西の馬出門から北回りで敵の本陣を目指す。ハンター達が一気に喜兵衛を叩き、この戦を終わらせるのが目標である。
「伏兵など出来ぬ男のはずじゃが……ハンターには充分注意するよう伝えよ。
死んで馬鹿が治ったのかもしれん」
●
一方、墨子城へ向かって進軍する歪虚の群れ。
その中で大きな悲鳴が、響き渡る。
「うわあああっ!」
次の瞬間、三条軍物見の頭が砕け散った。
轟音と共にら振り下ろされた砕棒。その強烈な一撃が、物見の頭を破壊。周囲に嫌な匂いを発しながら、物見だった肉塊の周囲に赤い泉が湧き出でる。
「……足らん。足らん、足らんぞぉぉ! こんなもので拙者を止められると思っておるのか!」
物見を葬った歪虚――骸骨武者の群れの中で、手に金砕棒を握った男が吼える。
異常とも思える巨大な金砕棒ではあるが、それよりも目に付くのは男の体躯であろう。3メートル程の体躯で胴丸とすね当て以外は剛毛に覆われている。
そして顔は――猪を彷彿とさせる鋭い牙が生えていた。
「おのれ、武徳め。最早我慢の限界。この本田喜兵衛が積年の恨みを晴らしてくれよう」
本田喜兵衛。
千石原の乱で三条秋寿側についた武将であったが、武徳の裏切りを受けて敗北。
武徳の手によって死亡が確認されていたが、歪虚として蘇ったようだ。
武徳の裏切り。
三条真美の帰還。
先代より仕えてきた喜兵衛であったが、彼らの存在が秋寿を切腹へ追い込んだ。
許せない。
必ず後悔させてやらねばならない。
「進めっ! 三条真美に従う者は、女子供とて容赦するな。邪魔する者はすべて殺せっ!」
リプレイ本文
「敵の数が予想よりすくないとなると……伏兵の可能性がありますか。本当にあれだけの戦力しか集まらなかったとか、予備兵力として温存している可能性もありますが……いずれにしても今は警戒して行動した方が良いですね」
戦馬に跨がり、エルバッハ・リオン(ka2434)は仲間と共に風を切って走る。
墨子城へ押し寄せる敵の軍勢を出城で釘付けにする間、ハンター達は西の馬出門から北周りで馬を走らせつつ、敵陣へ突撃を仕掛ける。通常であれば危険極まりない作戦であるが、少数で大軍を撤退させるならばこの方法しかない。
「伏兵ならいいんだがな」
「……どういう意味でしょうか?」
グレースの騎乗で不安を抱くアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)。
その様子を見ていた悠里(ka6368)は、気になって後方から声をかけた。
「指揮官の性格から考えてもここで兵を温存するのはおかしいだろ。あるとすれば別の指揮官がいる、とかな」
「別の指揮官、ですか」
リオンはアルトの言葉を反芻した。
今から戦いを挑む喜兵衛は、別の指揮官の部下であると同時に東の三城を守っていた。今まで伊佐群城で籠城し、この場面で動き出したのもその指揮官が待機を命じた事も充分に考えられる。
「最悪な展開は、東の三城そのものが陽動だった場合だ。武徳を若峰から遠ざける為だとしたら……」
「別の指揮官が既に残り半数の軍を使って若峰で何かの準備に入っている恐れもありますね」
アルトの指摘する『可能性』に、悠里は同調する。
東の三城奪還そのものが陽動だとすれば、それは喜兵衛の発案ではない。別の誰かが描いたと考えるべきだ。そして、その別の誰かが既に若峰に対して何か良からぬ事を企んでいるのかもしれない。
「まずいですね。墨子城の戦い以外でも急がなければならない理由が出来てしまいました」
話を聞いていた黒耀 (ka5677)がゴースロンを走らせながら、厳しい表情を浮かべる。
仮にアルトや悠里の意見が正しいとすれば、この若峰の東以外でも異変が発生していても不思議ではない。今は単なる雑魔退治に過ぎないのかもしれないが、その裏で糸を引く人間が居たとすれば――。
何としても、この戦いを早く終える必要がありそうだ。
「みんなっ! もうすぐ敵陣が見えるはずだよ」
リューリ・ハルマ(ka0502)が、仲間のハンターへ警戒を促した。
物見の報告であれば、間もなく敵の本隊が見えてくる。
「……あれか」
林を抜けた地点で、鞍馬 真(ka5819)の目に飛び込んできたのは、横に一列となって行軍する骸骨武者の群れ。
その群れに掲げられるは、三つ扇の家紋。間違いなく、本田喜兵衛の軍だ。
だとすれば――。
「もしかして、あれじゃない? あの大きな人」
リューリが指差す先に見えるのは、骸骨武者とは一風変わった風格の存在。
骸骨に比べて明らかに巨大な体躯。遠くから見ても毛だらけの手足。事前情報が間違っていなければ、あれが本田喜兵衛本人だ。
「あれが……本田喜兵衛」
悠里は、東の三城で歪虚と戦い続けてきた。
今まで東の三城で奮闘する裏には、本田喜兵衛の影があった。その影が、今自分の瞳で捉える事のできる距離にいる。
「裏切りやだまし討ちを恨む気持ちは分かりますが、敵として攻めてきた以上は……討ち取るだけです」
リオンは、誰にも気付かれないぐらいの小声で呟いた。
長きに渡った東の三城奪還は――大詰めに近づいていた。
●
「やはり小細工を仕掛けてきたか、水野めっ」
骸骨武者の群れの中で、喜兵衛は苦々しく感じていた。
卑劣な手を使い、策を弄して人を騙す。水野武徳がもっとも得意とする手法だ。
そして今回も策を弄して、別働隊を本隊へぶつけてきた。
『あの男』らしい、忌むべきやり方だ。
「水野武徳様よりの命を受け、九代目詩天、三条真美様の御身が為……再び貴殿を討ち果たしに参りました!」
悠里は、馬上より敢えて口上を述べる。
悠里の狙いは、この口上で喜兵衛の意識をこちらへ向ける事。そして、その信憑性を高める為に、黒耀 とリューリが二種類の旗を掲げる。
一本は、丸に三石。水野家の家紋。
そしてもう一本は、斜めに切られた梅――三条家の家紋。
いずれも気性の荒い喜兵衛の心を掻き毟るには充分な代物だ。
「変わった風貌をしている者もおるが、奴の名を口にするか! 拙者が捻り潰してくれよう!」
喜兵衛はハンター達に向かって動き出す。
歪虚の敵陣は崩れ、喜兵衛へ従うように骸骨武者もハンター達に向かって進軍を開始する。
「成功したようだな」
鞍馬の一言は、ハンター達の心情を表していた。
噂以上の猪武者ぶりの喜兵衛。陽動や挑発にここまで弱いとは思ってもみなかった。
だが、重要なのはここから。何としてもここで喜兵衛を撃退しなければならない。
「……各々、抜かりなく」
黒耀 は、呟く。
事前に取り決めていた役目を忘れる事なく、依頼を遂行する。それぞれが役を果たせば、失敗はあり得ない。
――だが。
ここでハンター達は本当の猪武者の猛威を知る事となる。
●
「……はぁはぁ……くそっ」
鞍馬はハルバードを地面に突き刺して体を支える。
鞍馬、そしてリオンの役目は骸骨武者を引き付けて喜兵衛と仲間の戦いを邪魔させない事。
その為に鞍馬は『ソウルトーチ』を使って敵の注目を陣へ集める。
目を持たずマテリアルを感知する骸骨武者にとってソウルトーチで敵の目を惹き付けるのは間違っていない。事実、喜兵衛の周囲に居る骸骨武者をかなり減らす事に成功している。
しかし、こちらの手勢を上回る骸骨武者の注目を集めた。
敵指揮官である喜兵衛自らハンターへ突撃している以上、歪虚側で誰も止める者はいない。
結果、鞍馬の元へ骸骨武者が殺到する展開となっていた。
「まだだ……。誰もここは通さない……」
後方に骸骨武者を行かせれば、喜兵衛の戦いに乱入させる事になる。
馬から降り、仲間達の元へ立ちはだかるように鞍馬は立ち塞がる。
力の続く限り、ディフェーザを握りしめる。
「来いっ!」
「……吹き飛びなさい!」
ディフェーザを構えた瞬間、後方の骸骨武者が派手に吹き飛んだ。
声の主から、それがリオンだった事に気付く。
そこから数発の爆発音。
容赦なく骸骨武者が吹き飛んでいく
「ようやく追いつきました。骸骨武者が一気に押し寄せて合流するのに手間取りました」
リオンは鞍馬の前で、一息をついた。
鞍馬がソウルトーチを使ってしばらくした後、骸骨武者の軍勢が一気に雪崩れ込んできた。数百に達するのではないかと思われる骸骨武者は、鞍馬とリオンをあっさり分断した。リオンは何とか鞍馬と合流するべくファイアーボールを駆使して道を切り拓いてきたのだ。
「すまない」
「まだこれからです。一体でも多く骸骨武者を倒します」
リオンは、ワンド「アブルリー」を構える。
未だ増える骸骨武者であったが、すべてを倒す必要は無い。後方で喜兵衛と戦う仲間へ向かおうとする骸骨武者を優先して倒せばいい。鞍馬へ向かう骸骨武者は、リオンが後方からファイアーボールで始末すれば鞍馬が戦い易くなる。
「そうだったな」
鞍馬は一度瞳を閉じた後、再び眼前の敵を見据えた。
可能な限り敵を倒し、仲間を喜兵衛との戦いに集中させる。
一人では難しくとも、リオンと合流できたのであればそれも可能だ。
「鞍馬さん、もう一頑張りです。私達は勝ちます。そんな気がするのです」
●
「どうやって歪虚になったの? 誰かにしてもらったの?
……武徳さんってどんな人だったの?」
「侍なら刀で語れ」
コンバートソウルを発動したリューリが、喜兵衛へ問いかける。
喜兵衛と対峙して分かった事だが、恐ろしいのは巨大な金砕棒の一撃だけではない。
金砕棒が振るわれた際に生まれた風圧。
見た目からもかなり重いはずの金砕棒が、まるで枝を振り回すかのような速度で叩き付けられる。喜兵衛の剛腕から生まれる一撃をまともに受ければ、大きなダメージは避けられない。
「答えてくれても、いいんじゃない!」
金砕棒が通過した瞬間を見透かして、リューリの聖拳「プロミネント・グリム」から素早い連撃が放たれる。
ジャンプからの脇腹に数発の拳撃。
――しかし。
「ふんっ!」
喜兵衛の金砕棒が再び同じ軌道で帰ってくる。
空中で拳を放っている最中のリューリ。
回避する術は、ない。
「むっ!?」
「リューリちゃん……か弱いエルフや仲間に、お前のような力自慢の攻撃は危険過ぎる」
一瞬の判断で、アルトの特殊強化鋼製ワイヤーウィップが金砕棒を絡め取る。
予定ではリューリが金砕棒の直撃を受けるところであったが、アルトのおかげで直撃する事無く地面へ着地できた。
ぴんと張られたワイヤーウィップ。
双方から加えられる力に、ギリギリと悲鳴のような声を上げる。
「拙者と力比べ、か。小賢しい」
喜兵衛は得物を手にした腕へ、更に力を送り込む。
アルトの足が地面を削りながら、徐々に喜兵衛へと引き寄せられていく。
「本当、馬鹿力……だな」
「アルトちゃんっ!」
リューリの声が木霊する。
単なる力比べでは、アルト一人では分が悪い。いや、一般的なハンターであればとっくに喜兵衛の手前まで引き寄せられて金砕棒の餌食となっていただろう。
それでも、気付けばアルトは喜兵衛の手が届く位置まで近づいていた。
「相応に力自慢のようだが……それで拙者を止められると思うか!」
「喰らうかよ」
アルトは左から繰り出される喜兵衛の拳を、超重刀「ラティスムス」で受け流した。
正面から受け止めるのは危険だが、受け流すならばそう難しくはない。
「……受け流しただけでこの威力か。どうやら、おまえを倒すのは簡単な仕事じゃねぇみてぇだな」
「抜かせ。拙者相手に正面から挑み、未だ傷は軽微。余程の侍を見たぞ」
力だけなら喜兵衛は危険な相手だ。だが、アルトも伊達に多くの死地を潜り抜けていない。力自慢の相手の仕方は熟知している。
それでも、喜兵衛は見くびって良い相手ではなかった。
「マジックカード発動! その暑苦しい体毛は墓地に帰れ!!」
一瞬の隙を突いて黒耀 は、五光を放つ。
喜兵衛の周囲に結界が張られ、光が喜兵衛の体を貫く。
「ぬぅぅぅ!」
「どうだ! マジックカードの中でも有数なレア物の味は!」
アルトが力比べを挑む隙を突いてカードバインダーを構えてデュエルスタンバイ。
先行は黒耀 のターン、初手から五光で喜兵衛にダメージを与えたのだ。
しかし、喜兵衛の恐ろしさは、力以外にもあった。
五光で生まれた土埃を突き破って喜兵衛が黒耀 の眼前に迫る。
「……なっ!」
「危ないっ!」
喜兵衛の体当たりが直撃する前に、黒耀 の体は悠里によって引き寄せられる。
おかげで喜兵衛の攻撃は空振り。黒耀 は直撃を回避する事ができた。
「馬鹿な。五光が効いていないのか?」
「違う。しっかりと効いている」
黒耀 と悠里の後ろからアルトが姿を現す。
事態を飲み込めない黒耀 。
「どういう事だ?」
「おまえの攻撃は効いている。その証拠に視界を奪われ、ダメージを負っている。だが、そのダメージを受けても怯むこと無く突き進んでやがるんだ」
「僕もそう思います」
黒耀 をヒールで癒しながら、悠里はアルトに同調した。
「サポートしながら本田喜兵衛の戦い方を見ていました。
まさに猪武者です。こちらから攻撃しても、それらをすべてを無視して反撃してきます。防御という概念がないんです。ダメージを負っているのでしょうが、それを上回る攻撃力で相手を潰してきたのでしょう」
悠里は、喜兵衛を見据えた。
本来であればホーリーライトを足下に放ってバランスを崩す事も狙っていた。だが、仮に崩しても力任せに踏ん張って反撃を続けるだろう。
前に進む事しか知らなかった猪武者。
かつて詩天を守る為に使われた力が、歪虚となって詩天へ向けられる。
こんな悲しい悲劇は、早々に終わらせなければならない。
「ちっ、目眩ましとは卑劣な。だが、その程度で拙者は止められん」
「本田喜兵衛……裏切られた痛み、そして仕えてきた方の無念の死。
あの方の苦しみ、恨み、辛みは、どれ程の……いえ、僕程度では計り知れない事ですね。
ですが、大切な事は違えません。
あなたは今を生きる人々に仇為す存在となってしまいました。
ならば、僕のすべき事は……今を生きる人々を護り、そして……悲しき武人達に安らかな眠りを与える事です」
奪われた視界を取り戻した喜兵衛に、悠里は言い放った。
喜兵衛の気持ちを理解できるとは言わない。
だが、歪虚になってしまった以上、ハンターとして喜兵衛は倒さなければならない。
「ふざけるな! あの方を亡き者にした詩天が作る世……拙者は認めん。認めんぞっ!
歪虚だろうが何だろうが関係ない! 全てだ。九代目詩天が守ろうとしていた物は、全て破壊する!」
悠里の言葉に感情を露わにした喜兵衛。
負の感情が生み出した悲しき歪虚は、ハンターを睨み付ける。
「……くっ。もう時間か。水野に伝えろ。東の三城は貴様にくれてやると。もう充分役目は果たした。
それより貴様等の顔、覚えたぞ。あの方の命で撤退するが……次は必ず仕留める」
そう言い残すと喜兵衛は、踵を返して撤退を開始。
それを受けて骸骨武者をハンター達を無視して早々に逃げ始める。
「あ、待てっ!」
追撃しようとするリューリ。
それをアルトが制止する。
「いいよ、リューリちゃん。依頼は喜兵衛の撃退、倒すまでは依頼に入ってない。
それに……」
「ええ。興味深い事を口にしていました。急いで報告しなければいけません」
アルトの言葉に、悠里は頷いた。
●
「誠かっ!」
無事墨子城を守り抜いた三条家軍師、水野 武徳 (kz0196)は、驚きを隠せなかった。
喜兵衛が東の三城を放棄すると宣言した事。
東の三城は喜兵衛にとって役目を果たした事。
「本当に放棄したのかな? 実は罠だったりして」
冗談めいた口調で言いながら、リューリは武徳を見た。
それに対して武徳は頭を振る。
「いや、奴はそんな手を使える奴ではない。お主等も奴の戦い方を見たはずだ」
「それより気になるのは『あの方』です」
武徳が気にしていたと思われるポイントを、リオンが指摘する。
喜兵衛があの方と表現したとするなら、それは、喜兵衛よりも上の存在だ。つまり、歪虚の指揮官は別に存在するという事だ。
「つまり、アルトちゃんが心配していた通りになっちゃったって事?」
「かもしれん。わしはこれより若峰へ戻る。何かあるとすれば若峰じゃ。何もなければ良いが……」
武徳は、若峰への帰還を急いだ。
東の三城をすべて奪還できたものの、新たなる課題が突き付けられたようだ。
戦馬に跨がり、エルバッハ・リオン(ka2434)は仲間と共に風を切って走る。
墨子城へ押し寄せる敵の軍勢を出城で釘付けにする間、ハンター達は西の馬出門から北周りで馬を走らせつつ、敵陣へ突撃を仕掛ける。通常であれば危険極まりない作戦であるが、少数で大軍を撤退させるならばこの方法しかない。
「伏兵ならいいんだがな」
「……どういう意味でしょうか?」
グレースの騎乗で不安を抱くアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)。
その様子を見ていた悠里(ka6368)は、気になって後方から声をかけた。
「指揮官の性格から考えてもここで兵を温存するのはおかしいだろ。あるとすれば別の指揮官がいる、とかな」
「別の指揮官、ですか」
リオンはアルトの言葉を反芻した。
今から戦いを挑む喜兵衛は、別の指揮官の部下であると同時に東の三城を守っていた。今まで伊佐群城で籠城し、この場面で動き出したのもその指揮官が待機を命じた事も充分に考えられる。
「最悪な展開は、東の三城そのものが陽動だった場合だ。武徳を若峰から遠ざける為だとしたら……」
「別の指揮官が既に残り半数の軍を使って若峰で何かの準備に入っている恐れもありますね」
アルトの指摘する『可能性』に、悠里は同調する。
東の三城奪還そのものが陽動だとすれば、それは喜兵衛の発案ではない。別の誰かが描いたと考えるべきだ。そして、その別の誰かが既に若峰に対して何か良からぬ事を企んでいるのかもしれない。
「まずいですね。墨子城の戦い以外でも急がなければならない理由が出来てしまいました」
話を聞いていた黒耀 (ka5677)がゴースロンを走らせながら、厳しい表情を浮かべる。
仮にアルトや悠里の意見が正しいとすれば、この若峰の東以外でも異変が発生していても不思議ではない。今は単なる雑魔退治に過ぎないのかもしれないが、その裏で糸を引く人間が居たとすれば――。
何としても、この戦いを早く終える必要がありそうだ。
「みんなっ! もうすぐ敵陣が見えるはずだよ」
リューリ・ハルマ(ka0502)が、仲間のハンターへ警戒を促した。
物見の報告であれば、間もなく敵の本隊が見えてくる。
「……あれか」
林を抜けた地点で、鞍馬 真(ka5819)の目に飛び込んできたのは、横に一列となって行軍する骸骨武者の群れ。
その群れに掲げられるは、三つ扇の家紋。間違いなく、本田喜兵衛の軍だ。
だとすれば――。
「もしかして、あれじゃない? あの大きな人」
リューリが指差す先に見えるのは、骸骨武者とは一風変わった風格の存在。
骸骨に比べて明らかに巨大な体躯。遠くから見ても毛だらけの手足。事前情報が間違っていなければ、あれが本田喜兵衛本人だ。
「あれが……本田喜兵衛」
悠里は、東の三城で歪虚と戦い続けてきた。
今まで東の三城で奮闘する裏には、本田喜兵衛の影があった。その影が、今自分の瞳で捉える事のできる距離にいる。
「裏切りやだまし討ちを恨む気持ちは分かりますが、敵として攻めてきた以上は……討ち取るだけです」
リオンは、誰にも気付かれないぐらいの小声で呟いた。
長きに渡った東の三城奪還は――大詰めに近づいていた。
●
「やはり小細工を仕掛けてきたか、水野めっ」
骸骨武者の群れの中で、喜兵衛は苦々しく感じていた。
卑劣な手を使い、策を弄して人を騙す。水野武徳がもっとも得意とする手法だ。
そして今回も策を弄して、別働隊を本隊へぶつけてきた。
『あの男』らしい、忌むべきやり方だ。
「水野武徳様よりの命を受け、九代目詩天、三条真美様の御身が為……再び貴殿を討ち果たしに参りました!」
悠里は、馬上より敢えて口上を述べる。
悠里の狙いは、この口上で喜兵衛の意識をこちらへ向ける事。そして、その信憑性を高める為に、黒耀 とリューリが二種類の旗を掲げる。
一本は、丸に三石。水野家の家紋。
そしてもう一本は、斜めに切られた梅――三条家の家紋。
いずれも気性の荒い喜兵衛の心を掻き毟るには充分な代物だ。
「変わった風貌をしている者もおるが、奴の名を口にするか! 拙者が捻り潰してくれよう!」
喜兵衛はハンター達に向かって動き出す。
歪虚の敵陣は崩れ、喜兵衛へ従うように骸骨武者もハンター達に向かって進軍を開始する。
「成功したようだな」
鞍馬の一言は、ハンター達の心情を表していた。
噂以上の猪武者ぶりの喜兵衛。陽動や挑発にここまで弱いとは思ってもみなかった。
だが、重要なのはここから。何としてもここで喜兵衛を撃退しなければならない。
「……各々、抜かりなく」
黒耀 は、呟く。
事前に取り決めていた役目を忘れる事なく、依頼を遂行する。それぞれが役を果たせば、失敗はあり得ない。
――だが。
ここでハンター達は本当の猪武者の猛威を知る事となる。
●
「……はぁはぁ……くそっ」
鞍馬はハルバードを地面に突き刺して体を支える。
鞍馬、そしてリオンの役目は骸骨武者を引き付けて喜兵衛と仲間の戦いを邪魔させない事。
その為に鞍馬は『ソウルトーチ』を使って敵の注目を陣へ集める。
目を持たずマテリアルを感知する骸骨武者にとってソウルトーチで敵の目を惹き付けるのは間違っていない。事実、喜兵衛の周囲に居る骸骨武者をかなり減らす事に成功している。
しかし、こちらの手勢を上回る骸骨武者の注目を集めた。
敵指揮官である喜兵衛自らハンターへ突撃している以上、歪虚側で誰も止める者はいない。
結果、鞍馬の元へ骸骨武者が殺到する展開となっていた。
「まだだ……。誰もここは通さない……」
後方に骸骨武者を行かせれば、喜兵衛の戦いに乱入させる事になる。
馬から降り、仲間達の元へ立ちはだかるように鞍馬は立ち塞がる。
力の続く限り、ディフェーザを握りしめる。
「来いっ!」
「……吹き飛びなさい!」
ディフェーザを構えた瞬間、後方の骸骨武者が派手に吹き飛んだ。
声の主から、それがリオンだった事に気付く。
そこから数発の爆発音。
容赦なく骸骨武者が吹き飛んでいく
「ようやく追いつきました。骸骨武者が一気に押し寄せて合流するのに手間取りました」
リオンは鞍馬の前で、一息をついた。
鞍馬がソウルトーチを使ってしばらくした後、骸骨武者の軍勢が一気に雪崩れ込んできた。数百に達するのではないかと思われる骸骨武者は、鞍馬とリオンをあっさり分断した。リオンは何とか鞍馬と合流するべくファイアーボールを駆使して道を切り拓いてきたのだ。
「すまない」
「まだこれからです。一体でも多く骸骨武者を倒します」
リオンは、ワンド「アブルリー」を構える。
未だ増える骸骨武者であったが、すべてを倒す必要は無い。後方で喜兵衛と戦う仲間へ向かおうとする骸骨武者を優先して倒せばいい。鞍馬へ向かう骸骨武者は、リオンが後方からファイアーボールで始末すれば鞍馬が戦い易くなる。
「そうだったな」
鞍馬は一度瞳を閉じた後、再び眼前の敵を見据えた。
可能な限り敵を倒し、仲間を喜兵衛との戦いに集中させる。
一人では難しくとも、リオンと合流できたのであればそれも可能だ。
「鞍馬さん、もう一頑張りです。私達は勝ちます。そんな気がするのです」
●
「どうやって歪虚になったの? 誰かにしてもらったの?
……武徳さんってどんな人だったの?」
「侍なら刀で語れ」
コンバートソウルを発動したリューリが、喜兵衛へ問いかける。
喜兵衛と対峙して分かった事だが、恐ろしいのは巨大な金砕棒の一撃だけではない。
金砕棒が振るわれた際に生まれた風圧。
見た目からもかなり重いはずの金砕棒が、まるで枝を振り回すかのような速度で叩き付けられる。喜兵衛の剛腕から生まれる一撃をまともに受ければ、大きなダメージは避けられない。
「答えてくれても、いいんじゃない!」
金砕棒が通過した瞬間を見透かして、リューリの聖拳「プロミネント・グリム」から素早い連撃が放たれる。
ジャンプからの脇腹に数発の拳撃。
――しかし。
「ふんっ!」
喜兵衛の金砕棒が再び同じ軌道で帰ってくる。
空中で拳を放っている最中のリューリ。
回避する術は、ない。
「むっ!?」
「リューリちゃん……か弱いエルフや仲間に、お前のような力自慢の攻撃は危険過ぎる」
一瞬の判断で、アルトの特殊強化鋼製ワイヤーウィップが金砕棒を絡め取る。
予定ではリューリが金砕棒の直撃を受けるところであったが、アルトのおかげで直撃する事無く地面へ着地できた。
ぴんと張られたワイヤーウィップ。
双方から加えられる力に、ギリギリと悲鳴のような声を上げる。
「拙者と力比べ、か。小賢しい」
喜兵衛は得物を手にした腕へ、更に力を送り込む。
アルトの足が地面を削りながら、徐々に喜兵衛へと引き寄せられていく。
「本当、馬鹿力……だな」
「アルトちゃんっ!」
リューリの声が木霊する。
単なる力比べでは、アルト一人では分が悪い。いや、一般的なハンターであればとっくに喜兵衛の手前まで引き寄せられて金砕棒の餌食となっていただろう。
それでも、気付けばアルトは喜兵衛の手が届く位置まで近づいていた。
「相応に力自慢のようだが……それで拙者を止められると思うか!」
「喰らうかよ」
アルトは左から繰り出される喜兵衛の拳を、超重刀「ラティスムス」で受け流した。
正面から受け止めるのは危険だが、受け流すならばそう難しくはない。
「……受け流しただけでこの威力か。どうやら、おまえを倒すのは簡単な仕事じゃねぇみてぇだな」
「抜かせ。拙者相手に正面から挑み、未だ傷は軽微。余程の侍を見たぞ」
力だけなら喜兵衛は危険な相手だ。だが、アルトも伊達に多くの死地を潜り抜けていない。力自慢の相手の仕方は熟知している。
それでも、喜兵衛は見くびって良い相手ではなかった。
「マジックカード発動! その暑苦しい体毛は墓地に帰れ!!」
一瞬の隙を突いて黒耀 は、五光を放つ。
喜兵衛の周囲に結界が張られ、光が喜兵衛の体を貫く。
「ぬぅぅぅ!」
「どうだ! マジックカードの中でも有数なレア物の味は!」
アルトが力比べを挑む隙を突いてカードバインダーを構えてデュエルスタンバイ。
先行は黒耀 のターン、初手から五光で喜兵衛にダメージを与えたのだ。
しかし、喜兵衛の恐ろしさは、力以外にもあった。
五光で生まれた土埃を突き破って喜兵衛が黒耀 の眼前に迫る。
「……なっ!」
「危ないっ!」
喜兵衛の体当たりが直撃する前に、黒耀 の体は悠里によって引き寄せられる。
おかげで喜兵衛の攻撃は空振り。黒耀 は直撃を回避する事ができた。
「馬鹿な。五光が効いていないのか?」
「違う。しっかりと効いている」
黒耀 と悠里の後ろからアルトが姿を現す。
事態を飲み込めない黒耀 。
「どういう事だ?」
「おまえの攻撃は効いている。その証拠に視界を奪われ、ダメージを負っている。だが、そのダメージを受けても怯むこと無く突き進んでやがるんだ」
「僕もそう思います」
黒耀 をヒールで癒しながら、悠里はアルトに同調した。
「サポートしながら本田喜兵衛の戦い方を見ていました。
まさに猪武者です。こちらから攻撃しても、それらをすべてを無視して反撃してきます。防御という概念がないんです。ダメージを負っているのでしょうが、それを上回る攻撃力で相手を潰してきたのでしょう」
悠里は、喜兵衛を見据えた。
本来であればホーリーライトを足下に放ってバランスを崩す事も狙っていた。だが、仮に崩しても力任せに踏ん張って反撃を続けるだろう。
前に進む事しか知らなかった猪武者。
かつて詩天を守る為に使われた力が、歪虚となって詩天へ向けられる。
こんな悲しい悲劇は、早々に終わらせなければならない。
「ちっ、目眩ましとは卑劣な。だが、その程度で拙者は止められん」
「本田喜兵衛……裏切られた痛み、そして仕えてきた方の無念の死。
あの方の苦しみ、恨み、辛みは、どれ程の……いえ、僕程度では計り知れない事ですね。
ですが、大切な事は違えません。
あなたは今を生きる人々に仇為す存在となってしまいました。
ならば、僕のすべき事は……今を生きる人々を護り、そして……悲しき武人達に安らかな眠りを与える事です」
奪われた視界を取り戻した喜兵衛に、悠里は言い放った。
喜兵衛の気持ちを理解できるとは言わない。
だが、歪虚になってしまった以上、ハンターとして喜兵衛は倒さなければならない。
「ふざけるな! あの方を亡き者にした詩天が作る世……拙者は認めん。認めんぞっ!
歪虚だろうが何だろうが関係ない! 全てだ。九代目詩天が守ろうとしていた物は、全て破壊する!」
悠里の言葉に感情を露わにした喜兵衛。
負の感情が生み出した悲しき歪虚は、ハンターを睨み付ける。
「……くっ。もう時間か。水野に伝えろ。東の三城は貴様にくれてやると。もう充分役目は果たした。
それより貴様等の顔、覚えたぞ。あの方の命で撤退するが……次は必ず仕留める」
そう言い残すと喜兵衛は、踵を返して撤退を開始。
それを受けて骸骨武者をハンター達を無視して早々に逃げ始める。
「あ、待てっ!」
追撃しようとするリューリ。
それをアルトが制止する。
「いいよ、リューリちゃん。依頼は喜兵衛の撃退、倒すまでは依頼に入ってない。
それに……」
「ええ。興味深い事を口にしていました。急いで報告しなければいけません」
アルトの言葉に、悠里は頷いた。
●
「誠かっ!」
無事墨子城を守り抜いた三条家軍師、水野 武徳 (kz0196)は、驚きを隠せなかった。
喜兵衛が東の三城を放棄すると宣言した事。
東の三城は喜兵衛にとって役目を果たした事。
「本当に放棄したのかな? 実は罠だったりして」
冗談めいた口調で言いながら、リューリは武徳を見た。
それに対して武徳は頭を振る。
「いや、奴はそんな手を使える奴ではない。お主等も奴の戦い方を見たはずだ」
「それより気になるのは『あの方』です」
武徳が気にしていたと思われるポイントを、リオンが指摘する。
喜兵衛があの方と表現したとするなら、それは、喜兵衛よりも上の存在だ。つまり、歪虚の指揮官は別に存在するという事だ。
「つまり、アルトちゃんが心配していた通りになっちゃったって事?」
「かもしれん。わしはこれより若峰へ戻る。何かあるとすれば若峰じゃ。何もなければ良いが……」
武徳は、若峰への帰還を急いだ。
東の三城をすべて奪還できたものの、新たなる課題が突き付けられたようだ。
依頼結果
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【相談卓】猪武者をぐーぱんち! リューリ・ハルマ(ka0502) エルフ|20才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/07/31 13:13:46 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/28 23:56:12 |