予期せぬ来訪者 ~ミヤサ~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/08/05 07:30
完成日
2016/08/13 04:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
 数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
 山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
 波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
 ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
 月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
 急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
 そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、ついにマール城まで届くこととなる。
 ミヤサが呼びだされた城で待っていたのは伯爵地領主の妹、ミリアだった。彼女は盗まれた黄金の鎧の部位を探して欲しいとミヤサに願う。
 黄金の冑についてはすでに情報がある。出向くと冑は確かに存在していた。
 問題は場所。地割れの岩壁途中に突起があり、そこに骸骨が引っかかっている。黄金の冑は骸骨が抱えていた。
 ミヤサとハンターがクライミングで挑戦。酸をまき散らす魔法蝶はハンター仲間が誘導してくれる。おかげで無事に冑を回収。任務をやり遂げた。
 孤島で秘密裏に行われたオークションにもミヤサとハンター達は参加する。白髪の紳士との競売争いや警備の隙をつくなどの困難はあったものの、無事に胴の上半身を確保。奪った帆船で無事逃げおおせるのだった。


 それは予期せぬ光景であった。孤島オークションでの一件で疑いの目を向けていた白髭の紳士『ボリウ・ウスタ』が自ら伯爵地、城塞都市マール城に現れたのだ。
 ミリアが応接間にて相対する。
「お久しぶりですな。ミリア様。覚えていらっしゃるでしょうか」
 シルクハットをとったボリウが白髪を露わにした。ソファに座っていても杖は手放さずに両手を添える。
「もちろんですわ。先代国王の治政時以来ですの。本日は直に伝えたいことがあるとのことですが」
 ミリアは侍女が運んできた紅茶のカップを手に取る。
「単刀直入に説明させて頂きましょう。黄金鎧の顛末について、誤解されていることがあるのではと思いまして――」
 ボリウが白いカイゼルの口髭を動かして笑う。「わざとらしい」とミリアは心の中で呟いた。
 ボリウ曰く、当時の黄金鎧買い取り交渉は順調だった。ところが三つの部位が盗難されてしまったために頓挫してしまったと残念そうに述べる。
(時系列が入れ替わっているように感じますけど、当事者ではない私では本当かどうかわかりませんの……)
 黙って聞いていたミリアだが、老人の言葉を信じたわけではなかった。
「すべては偶然だったのですが、ある場所で開かれたオークションに胴の上半身が出品されたのです。これは是非にお返ししなければと奮闘したのですが、結果は及ばず別の者に落札されてしまいまして――」
 ボリウはすべてを見透かしたような目でミリアを見つめる。
 ミヤサとハンターによって取り戻した黄金胴の上半身について話そうか、ミリアが迷っているとボリウが先手を指してきた。
「胴は無理でしたが、こちらは無事取り返すことに成功しました。あらためてのお近づきの印として、どうかお納め下さいませ」
 ボリウが廊下で待機させていたお付きの者二名を呼びつける。運ばれてきた台車の布が外されると、室内が輝いたように感じられた。
 それは紛失していた最後の部位。黄金の左足だった。
「ボリウ殿にお話しなければならないことがありますの……」
 こうなっては仕方がないと、ミリアは盗まれた他二つの部位が現在手元にあることをボリウに明かす。但しミヤサとハンターの活躍については伏せたままにする。
 話しの流れから、ボリウが望む黄金鎧一式の売買交渉の再開を断れなくなった。日をあらためて場を設けることにした。
「老練な相手、一筋縄ではいきませんの。どうしたら……」
 悩んだミリアは兄の領主アーリアに相談。敢えて相手側の罠にかかってみるのも一つの手だと助言を受ける。
 売買交渉の間にボリウ側がボロをだすのを期待する。ミリアは罠を暴くべく、ミヤサとハンター達に協力を求めるのだった。

リプレイ本文


 曇り空に佇むマール城。『ボリウ・ウスタ』一行との売買交渉は黄金鎧が所蔵されている部屋で行われる。
「単に黄金の価値だけでことを進めるつもりはありません」
 ミヤサが書類に書かれたボリウ側の条件を突っぱねたところから交渉は始まった。
 ミリア側の参加は本人とミヤサ、そして伯爵地の会計責任者である。方やボリウ側は本人と交渉人一名、加えて護衛二名が席についていた。
 ボリウ一行は他にも侍従や護衛を合わせて十名を連れてきていたが別室で待機中だ。公平性を保つために世話をするミリア側の侍女ですら、交渉中は室内へ留まることは許されていなかった。
 但し、ハンター達は隣接する秘密の小部屋から窺い知ることができた。いくつもあるわずかな隙間から覗きこむと交渉の様子が眺められる。相手側からはわからないよう細工が懲らされていた。
(腹の探り合いか。こういうのはなんだか虚しいな。昔を思い出す……)
 咲月 春夜(ka6377)が隣室との壁に耳を当てながら両の瞼を半分落とす。
「最後のパーツが向こうから来てくれたと考えれば、むしろ、歓迎すべきだよ。探す手間が省けたのだからね。でも、最後だと知ってて持ってくるということは、『ボリウの狙いは全部集めた上で、此処にある』と推測できる」
 ザレム・アズール(ka0878)の考えに仲間達が同意した。その中でも一番の賛同者が星野 ハナ(ka5852)であった。
「厨二心と恋愛脳で二分されてる私の脳がボリウ氏は危険だと囁いてますぅ。杖は仕込杖に違いないとっ! ミリアさまが浚われてうっかり不名誉な噂を流された挙句黄金鎧の持参金つけて氏の親族に嫁がなきゃならない未来を回避するためにも、ミリアさまを守る完璧メイドとしてふるまって見せますよぅ」
 星野ハナがザレムの服の袖を引っ張って部屋の隅へと誘う。そして「ザレムくーん、このメイド服どうですぅ?」といいながら、その場でクルリと回ってみせた。ザレムに「似合うよ」と誉められた星野ハナは俄然やる気をみせる。
 ザレムも下働きの侍従に分して状況を探るつもりでいた。
 アーサー・ホーガン(ka0471)が覗き穴から顔を離す。
「値切りつつも、ここまで欲しがるのか。あの鎧に何か秘密がありそうだな。ところで、荒事向きな二人は護衛か?」
 応接間で無言を貫いている護衛二名に疑問を感じて首を傾げる。
「何を企んでいるのかはわからないが……何かしら機会を窺っている気はするな」
 ロニ・カルディス(ka0551)もアーサーと同意見だった。
「もしかするとボリウの方が城の構造を熟知しているかも知れません」
 夜桜 奏音(ka5754)が城内の地図を眺めながら呟く。城は敵の侵入を警戒して複雑な構造なのが一般的。また公開されていない秘密があっても不思議ではなかった。
「こりゃ鎧だけでなく、城にも用がありそうな感じだな。こういう時は、隠し部屋が相場かね」
 アーサーも隠し部屋の存在を疑う。多くのハンターが城内検証の必要性を感じていた。

 日が暮れても売買交渉は妥協点が見つからず、翌日への繰り越しが決まる。
「こればかり仕方がありませんの」
 ボリウ側が望んだ黄金鎧の検査についてはミリアが許可をだした。三個所の部位が盗難に遭い、なおかつそれなりの年月が過ぎている。真贋の確認要求はとても真っ当だったからだ。
「これさえあればもう見つけたも同然……」
 全員が部屋から立ち去ろうとした際、護衛の一人が黄金鎧を眺めながら呟く。
「それにしてもよい鎧ですな」
 直後、ボリウが誤魔化すような態度をみせる。
(おかしいですね……)
 激しい違和感を覚えたミヤサはそのときの印象をハンター達に伝えるのだった。


 ハンターはボリウ側を見張りつつ、交代で城内を見て回る。
「ここが、黄金鎧が設置されている部屋の真下辺りか」
 下の階におりたアーサーが周囲を観察。気になったのは石柱が妙に太く感じられる点だ。さらに調べていくと壁が妙に厚い。防御を担う外壁と考えればおかしくはなかった。だが間仕切りでしかないはずの内壁である。
(こうなっているのは一部の壁のみか)
 アーサーは仲間以外に知られぬよう密かに調査を進めていった。

 ロニはボリウ一行の監視に力を入れる。相手方が部屋から出て城内を歩き回ったときにも監視の目を外さなかった。
(いつも一緒なのだな)
 ロニが確認した限り、取り巻きの十名は別にして、ボリウを含んだ売買交渉の四名は一度として集団行動を崩さない。
 トイレのときだけは例外なものの、食事の時間ですら行動を共にしている。「チームとして何かを企んでいるのでは?」そうロニは推測したのだった。

 休憩になった交渉の席にお茶を運ぶのは星野ハナの役目だ。呼び鈴が鳴らされると台車を押しながらメイドとして部屋を訪ねた。
「かしこまりました、お嬢さま、ミヤサさま」
 茶菓子を卓に並べる。そして淹れたての紅茶を白磁のポットから金模様のカップへと注いでいく。
 覗き穴からザレムに眺められていると思うと乙女の心が揺さぶられる。
(いざという時取り押さえるなら、あそこで待機が最善ですぅ)
 去り際の挨拶の際に扉を背にして室内を一望。いざこざがあった場合のシミュレーションを脳内で済ませておく。
 お淑やかにメイドとしての役目を果たした星野ハナであった。

(ボリウ一行はどうやら食事の時間のようだ)
 下働きに分したザレムは掃除係を担当する。交渉の合間に部屋を点検。まずは黄金鎧が無事かどうかを確かめた。
 その上で掃除しつつ、おかしな点がないかを探っていく。星野ハナがやってきて拭き掃除を手伝ってくれた。
 室内を歩いていた際にザレムは突然立ち止まる。「どうしたのですぅ?」と星野ハナに訊ねられたザレムが足元へと視線をやった。
「妙な感じがしたんだが」
 床には絨毯が敷かれている。掃除にかけられる時間は限られているので、家具を退かして捲る余裕はなかった。

「ここは部屋に近いですし……怪しいですね」
 夜桜奏音は衛兵達に協力してもらい、城内で隙間がある個所を探してもらう。怪しいと感じたところに式符を飛ばしてどのようになっているか確かめていく。
 交渉の合間に誰もいなくなった部屋を探る機会もあったが、特に不審な点は見つからなかった。
「黄金鎧の部位が盗まれたときにはどうやって逃げたのでしょうか?」
 当時の警備が隙だらけだったとは考えにくい。この部屋か、もしくは近くの何処かに抜け道があるのではと夜桜奏音は想像するのだった。

「この木ならよく眺められそうだ」
 咲月春夜は時折使用人を手伝う。あるとき庭の樹木に登って枝の選定をしつつ、交渉の部屋を外側から監視した。
 室内の広さにバルコニーの状態も確認。交渉の部屋は普通の建物で六階に相当する。覚醒者だとしても容易に降りるのは不可能だ。
(室内で戦うとして、廊下に繋がる扉さえ押さえてしまえば、一対一なら特に問題はないだろう)
 戦闘の可能性も考慮に入れて下調べに余念がない。庭から眺めた限り、城の外壁に怪しい点は見つからなかった。


 宵の口になり、四日目の交渉もまとまらずに終了した。ボリウ一行は黄金鎧を検査するために、交渉部屋の隣室で寝泊まりを続けている。
 廊下を介さずに扉一枚で移動できる状況に当初のミリアは難色を示した。しかし兄の言葉を思いだし、敢えて敵の手中へ飛びこむことにする。
 「仕方がない」とミリアは押し切られた演技で許可をだす。但し、何事かがあれば駆けつけられるよう多くの衛兵を集中的に廊下へと配備した。
 そうこうするうちに秘密の覗き穴すべてがボリウ側によって塞がれてしまう。素振りは感じられなかったものの、以前から気づいていたようだ。壁に衣服をかけて、場所によっては家具が動かされる。
「ボリウ達はこれから何をしようとしているんでしょうか……。どうであれ時間稼ぎなのは明白なのですが――」
 ミヤサはザレムに部屋の様子を直接確かめて欲しいと頼んだ。

「夜分すみません。油の補充を忘れていました」
 下働きに扮したザレムがドアをノックする。すると閉められていた鍵が開いて、部屋の中から「入ってよい」との声が届く。
(おかしいな。四人いるはずなんだが)
 入室すると頭数が一人足りなかった。その理由はすぐにわかる。一番筋肉質の護衛が黄金鎧を装備していたからだ。
(あの重さ凄まじいはず。……やはり覚醒者なのか?)
 ランタンに油を足したザレムが部屋を後にする。すぐに仲間が待機する覗き用の隣室へと戻り、見聞きしたすべてを伝えた。
「黄金鎧を着込む必要があるとは思えないのだが……」
 それを聞いたミヤサが考え込んでいると壁向こうから大きな物音が聞こえてきた。刹那、両の拳を強く握った星野ハナが椅子から立ちあがる。
「調べ尽くすのなら今ですぅ」
 立て続けの訪問なので怪しまれること必至。だがそれでも星野ハナは敵の直中へと向かう。
「あの、お嬢さま、ミヤサさまからの差し入れなのですぅ」
 ノックの後で夜食を持ってきたことを告げるとドアが開かれた。仲間と一緒に食べるつもりだったサンドイッチを部屋の中へと運び込む。
 ドアが開いたとき、廊下で待機していた夜桜奏音が式を打つ。隙間を通り抜けた式符は家具の中へと姿を潜ませる。
 星野ハナが演じるメイドが退室した後、ボリウ一行は本格的に動いた。その様子を夜桜奏音は符を通じて目の当たりにする。
「絨毯が剥がされて、一部の床石が退かされ……人型の窪みが現れました。そこに黄金鎧の人が横たわると……、室内の石柱がずれて出入り口が。黄金鎧の護衛だけを残して、他の三人がその中へ――」
 夜桜奏音の報告を聞いて一同は全員が覚醒。部屋のドアを蹴破って突入を果たす。
「き、貴様等!」
 黄金鎧を装備した敵護衛が窪みから立ちあがって剣を振るう。それに対抗したのはヘルと名乗った咲月春夜だ。騎士風の姿でワイヤーウィップを宙に舞わせて、鋭利な断面で棚を真っ二つに。
「切れ味は見たな? 大人しくしてなければどうなるか」
 含み笑いのヘルに任せて、他の仲間達は柱の秘密通路へ。黄金鎧の敵護衛が窪みから立ちあがったせいで閉じかけていた。
「おそらくここは壁の中なのでしょうね」
 ミヤサが掲げたランタンの灯りを頼りにして狭い石造りの通路を進んでいく。一列でしか進むことが出来ない状況で先頭はアーサーだ。
 やがて行き止まりに。だが足元に扉があった。開くと下方に向けての縦坑が見つかる。
 縦坑の壁に取りつけられた梯子で降りていく。一階分の程度の距離を降りたところで踊り場に足の裏がついた。
 勘づいたアーサーが身体を後ろへ大きく反らす。闇から現れた切っ先が彼の頭があった空間を煌めかせた。
 ランタンを床に置いたミヤサがLEDライトで周囲を照らす。すると闇に紛れていた敵護衛が浮かびあがる。
 ナイフを手にした敵護衛がミヤサに迫った。そのとき床から立ちあがろうとしていたアーサーがロッドを振り抜く。脛に当たって敵護衛が姿勢を崩す。
 片足を引きずりながら逃げようとした敵護衛だが、ロニのジャッジメントがそれを許さなかった。
 追いついたアーサーの渾身撃が敵護衛の脳天に振り落とされる。床へと這いつくばらせて関節をとり、首締めで意識を落とす。
「ここから先も細い一直線ですね」
 ミヤサの呟きに一同は覚悟を決める。先頭となったロニが盾を構えて突進。他の者達はその後へと続いた。
 しかし先に進んでいたボリウ側は攻撃してこなかった。走りだして二十秒程度で廊下が終わる。小部屋にはボリウと交渉人がいた。
「いらっしゃいましたか。あなた方に秘密通路の存在に気づかれてしまった時点で、私どもの負けが決まったようなものです。それでも強硬したのはこれが見たかったからに他なりません」
 ボリウが左右の手にランタンを握って両腕を広げる。すると真っ暗だった小部屋がほんのりと明るくなった。
「暗闇に輝くものは……これも黄金?」
 ミヤサの言葉通り、暗い小部屋は黄金の品々で満ちていた。
「……黄金鎧もかつてはここの所蔵品だった。そういうことか」
 ザレムの推理にボリウがその通りだと笑う。
「これだけあれば夢が叶ったものを……」
 ボリウの表情に伯爵家から奪う気であった気持ちが滲み出る。
 一同は一度黄金鎧の部屋へと戻った。
 衛兵達に交渉人や護衛二名を預けた後で再度、黄金の小部屋を訪れる。今回は黄金鎧の敵護衛と戦ってくれた咲月春夜を連れて。ボリウは後ろ手に両腕を縛って夜桜奏音が連れて行く。
「ザレムさん、こ、このグラス黄金ですよぉ。これで葡萄酒を飲んだら、どんな味がするんでしょうかぁ」
「おっと」
 手を震えさせた星野ハナが黄金のグラスを落とす。床へ落ちる前にザレムが見事な動きで受け取った。
「こいつは証拠として撮っておくか」
 アーサーは魔導カメラを構えて部屋の様子を撮して回る。そのとき黄金の壁掛けに刻まれたレリーフに気づいて仲間達を呼んだ。
「これってもしかして宝石と地図でしょうか?」
 夜桜奏音が何気なく呟いた。
「お嬢さんの言うとおり、これは巨大ルビーの隠し場所が示されたもの。地図と暗号だ」
 するとボリウが答える。しばしの間の後で全員が驚きの表情を浮かべた。
「金銭的価値だけなら、この黄金部屋の財宝の方が遙かに高価だ。しかし……巨大ルビーは別な意味を持っている。私にとってはルビーの方が興味深い。といって信じてもらえるだろうか」
 ボリウの視線の先にたまたま咲月春夜が佇む。彼は元の姿に着替え終わり、ヘルから咲月春夜へと戻っている。
「ミヤサはこのルビーをどう思う?」
 咲月春夜が隣でレリーフを見あげていたミヤサに話しかけた。
「レリーフには滝や鍾乳洞らしきものが描かれています……。一体どこに隠されているのか、興味がありますね」
 ミヤサの瞳には冒険家の輝きが纏っていた。
「おそらくこの伯爵地のどこかなのだろうな」
 ロニはレリーフが見やすくなるようランタンを掲げる。アーサーと協力して写真も撮っておく。

 ボリウの身はミリアの預かりとなった。
 ミヤサとハンター一行は、もうしばらく城に滞在。ボリウから事情を聞きだす。その間に紅茶を愉しみながらミヤサの冒険譚に花を咲かせる機会もある。ときにミリアやアーリアも参加する和やかな席だった。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 4
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

  • 咲月 春夜(ka6377
    人間(蒼)|19才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ミヤサ・カミーさんへ質問
咲月 春夜(ka6377
人間(リアルブルー)|19才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/08/04 18:20:15
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/03 21:52:46
アイコン 突撃!隣(?)の隠し倉庫!
星野 ハナ(ka5852
人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/08/05 02:25:09