古都の主、猫の捕獲を命じる

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/08/30 15:00
完成日
2016/09/05 05:35

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●腹が減ってはにゃにもできない!
 アークエルスの町を猫たちは歩く。何かを探して、何かのために。
 四足歩行する猫たちにまぎれ、突然後ろ脚で立つ猫もいる。知る人ぞ知る、グラズヘイム王国で見かけることもあるというユグディラである。
 様々な話があり、地域によっては害獣扱いされたり様々だ。明確なのは身近すぎる妖しい猫であるということ。
 さて、アークエルスの町をそれらは歩き回る。
『みつけたにゃーん』
『いただきにゃーん』
 崇高な目的は感じられず、猫と変わらず魚を取り、おいしそうな人間の食事に興味を示す。飼い猫や野良猫のほうが規則にのっとって生活しているのでは、と観察者があれば思えるかもしれない。
 そして、ユグディラたちの中で果敢に領主の屋敷に挑んだモノたちがいた。
 これらがいなければ、領主の怒りを買わなかったに違いない。
 そう、この2匹がアークエルスで起こる惨劇の引き金だったのだ。

●盗ってく理由は様々
 研究者たちが提出した研究の資料を眺めるフリュイ・ド・パラディ(kz0036)は溜息を洩らした。
 新しいことはたくさんあるが、どうも面白いと感じるものがない。いや、面白いのだが、「これは僕も研究したい!」というような高揚するものがないのだ。
 机の上に置き、風に飛ばされないように拾ってきた石を置く。石と言っても洗ってきれいになっていると威厳を感じるのが不思議だ。石に磨けば貴石でも、少量すぎて意味がない物が様々固まったようだった。形も整えるとちょうどいい重し。
 机の上には別の物もある。最近の研究材料であり、白くふわふわした綿ぼこりなのだ。一応生きているという話もあり、保存用の瓶に入れてある。
「結局これは何か? 植物か動物か? おしろいが食事と聞くが……まさか!? ……試しにあげてみよう……ただ、白いからそういわれるだけじゃないのか?」
 ブツブツ言いながら、おしろいなんて持っていないため購入するか、ひとまず使用人からもらうしかあるまいなど考える。
 不意に視線を感じて、フリュイは顔をあげた。
 窓の外に何かいる?
 バルコニーのある窓であるため、いるとすれば使用人のだれかだろうか? 掃除をするならフリュイがいないときにするだろうし、しなくてはいけないなら一言声を掛けるだろう。
 ならば考えられるのは曲者ということになる。
 誰かを呼ぶか、日中に忍び込む愚か者を見て見たい気もする。研究成果を盗みに来た面白い者だろうか?
「さて……この件に関しての資料は?」
 わざとらしく離れる。そして、死角になるところに隠れた、手には小さな瓶を握りしめて。

 2匹のユグディラはおいしそうな食事を入手する際、台所でひと悶着を起こした。そのあと、ほとぼり冷めるまで隠れようと入手した食べ物を抱え、バルコニーに上ったのだった。
 隠れたバルコニーに面した窓に誰かいるのに気づいた。そっと覗き込み、フリュイと目があった。しかし、2匹は「気づかれるわけないよね、僕たち早いから」という感じで気にしなかったのだ。
 机の上に乗っている物体が気になった。
 ただの石にしてはキラキラするものと、瓶に入ったふわふわする物体が。
 ぜひとも確認をしてみたいとユグディラたちは思った。
 窓を開けて中に入り込んでそれらをつかんだ。

●領主は戦って負けた
 フリュイは「ユグディラだ」と気づいたために、その小瓶を机の下の方に投げつける。それと同時に風下にならないように逃げた。眠り薬という中身で自分まで寝たら愚か者であるし、悔やんでも悔やみきれない。
「にゃーん」
 カシャーンと瓶が砕ける音の後、ユグディラたちは散り散りに逃げた。
「ちっ、逃げ足が速い。僕の仮称『綿毛』まで!」
 バルコニーに出て、周りを見る。別件の盗品と思われる食品がある。
「……これは……僕の昼食じゃないか?」
 案の定、料理人が昼食のことを謝罪してきたのだった。

●被害は最小、続けば厄介
 フリュイは決心した、直ちにユグディラたちを捕まえないとならない。
 側近が言うには「町にも出現している」とのこと。被害は大したことがないし、ユグディラが珍しいために気に留められていないという。むしろ、「このカフェはユグディラが出たんだって」という話題作りに貢献し、売り上げが1割程上がったという噂もあるとか。
「毎日少しずつあれこれ盗まれれば、いずれ大きな問題となる。今のうちに捕まえないとならない。何より、僕の研究対象物を持って行ったということは――」
 万死に値する、と聞こえたような気がして側近は聞き流した。
「ハンターに調査させ、町のユグディラをすべて捕獲するように。僕のところから盗んだ研究物と文鎮の返還も!」
「その前に……どんな毛並みだったのかくらいは記憶していませんか?」
「……ん? ……黒っぽかった」
 側近は「ごまかした、覚えてないな瞬間過ぎて」と思ったが、丁重にお辞儀をして去り、さっそく依頼を出しに行ったのだった。探せば見つかることを祈りつつ。

リプレイ本文

●捜査開始
「というわけで! ユグディラは捕まえてくるけど、痛いことはしないでね?」
 アリス・ブラックキャット(ka2914)は面会してくれた領主フリュイ・ド・パラディにユグディラ捕獲後の予定を聞き取り、かつ、【超嗅覚】を使い匂いを覚える。
「飼い猫は家族なの! 飼い猫がユグディラだったとしても、フリュイ様の昼食や物を盗んだ子じゃない限り、ユグディラという理由だけで捕まえちゃ駄目だと思うの。それは泥棒した人と同じ町の人間だから捕まえて鞭打とうとするのと同じくらい乱暴なの、あなたの民である飼い主さんたちが悲しむの」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)も続いて力説。
「僕をなんだと思っているんだ。そもそもユグディアが飼われているはずは……」
 不意に思い出した件が1つあり、フリュイの言葉が途切れる。
「領主さんの家にまで入ったユグディラ……なかなかやる……。俺は黒毛とブチを中心に探してみるかな?」
 テオバルト・グリム(ka1824)は妙に感心していた。警備は一般人の家と比べ物にならないほど厳しい。
「それより、俺の勘違いだといいんだが、領主……何か思いついたって顔してないか」
 鹿島 雲雀(ka3706)がぼそりと仲間にいう。
「研究材料が戻れば忘れるかもしれないよー? さあ、探しに行くわよ!」
 メイム(ka2290)は仲間を鼓舞する。噂に聞く研究材料は、謎の生物ケサランパサランではないかと予想していた。見てみないとわからないが、謎の生物であるため興味はある。
「あたしは、まず、お庭を調べるの! そっか……匂い……すでにいろいろしすぎにゃーん」
 アルス・テオ・ルシフィール(ka6245)は思わずユグディラを想像して、口調が子供っぽくなる。パンパンなカバンを上からたたく。中身は乾物や発酵食品と牛乳であり、乾物は袋を通してかすかに匂いがするものもあった。
 事件解決を目指すとともに、己の欲望に忠実なハンターたちだった。

●モフモフとのバランス
 アルスはフリュイの側近の案内で庭に到着する。
 整えられており植え込みやベンチがあるが、その植え込みに猫が入れば見えなくなるため、隠れられたら人間には不利。
「さて、どこをどう通ったのかなー」
 アルスのペットの虎猫とパルムがアルスの回りをうろうろ始めた。
「にゃ」
「きゅ」
 それぞれ何か見つけているのか訴えた。総合した先を見ると上りやすそうな木と塀がある。
「ここからルーシーも出よう。そうすれば、行方はわかるにゃ」
 アルスはにこにことよじ登り始めた。なお、ルーシーとは故郷での愛称。
 彼女がよじ登り始めたのを見て、側近は頭痛を覚えた。
「つまり、ここからあなたが出られるということは、猫以外も出入り可能なのですよね」
「にゃ!」
 側近はすぐさま防犯対策に走った。

 八百屋の目立つところに3匹の三毛猫がいた。
「この娘がユグディラの可能性が高いのよね」
 メイムは噂とここの猫たちの恋愛関係を手掛かりに調査しようと考えていた。
 同行しているディーナは途中で引き抜いたねこじゃらしに購入した干した魚やマタタビ、地図と魔導カメラを所持し気合十分。
「猫マップを作るの! おおお、美人さんだね! お野菜買ってから写真を撮るべき?」
 店の主人はディーナを見て笑っている。
「買ってくれると嬉しいが、ミケたちと友達になってくれるといい。そしてついでに常連となってくれればね」
 店主の言葉により、ミケたちとディーナは遊び始める。
「この娘さんが立つっていう噂聞いたのだけど?」
 メイムが尋ねた瞬間、店主は笑う。
「あはは、立つっちゃー立つけどな。ユグディラみたいにきれいには立たないぞ」
「猫のお父さんってわかっているの?」
「ああ、ミケの恋人は肉屋のニワトリ、小ミケの恋人は魔術師の家のマックロクロだよ」
 メイムは考えるが、見てみないとわからないと首をひねる。
「メイムさん、小ミケ立ったの」
 ディーナが持つ干し魚につられて、一生懸命立っている……ように見えた。
「まー、そんなもかな」
 メイムは苦笑しつつ、立っている猫を撫でた。

 フリュイの匂いを覚えても、スキルを使うには限度がある。アリスは方向が分かったところで飲食店の裏側に絞り、時々スキルを使いつつ探す。
 服が汚れるのもいとわず探していると、食べ物があるところには猫はいた。
「ちょっといいかな……」
 見つけたチャトラににじり寄る。
「凛々しいお顔ね」
 褒めると胸を張るような感じがした。
「……後ろ足でちょいと立てたりするのかな……」
「……に、にゃあ?」
 逃げ始めたので追いかける。
「怪しい!」
 アリスは全力で追いかけた。猫だって気配で逃げる可能性はあるが、言葉を理解した後逃げた感じだったのだ。
 地理に詳しい猫は曲がり角を折れたところでいなくなった。アリスは情報共有のためトランシーバーで仲間に告げる「チャトラ1匹にユグディラ疑惑」と。

 メイムはテオバルトと合流した。
「ブチはいたけど、たぶんただの猫。まだ、全部見つけていないけど」
「三毛猫は怪しいけど、ただの猫かな」
 情報交換しつつ、黒猫がいるらしい魔術師の家に向かう。魔術師でも怪しい研究するタイプなら、ただの猫でない可能性もありうる。
「それで、領主さんの家の物盗んだら……」
「魔術師自身も困るわよねー」
 魔術師に声をまずかけようと呼び鈴を引くとすぐに出てきた。赤い髪の女性で怪訝そうだが、猫に会いたいというと呼び出してくれた。
「ハンターがどうしてうちのマックロクロに用があるのか気になるのう」
 見事に真っ黒な黒猫を抱きかかえてメイムに渡す。
「……本当に真っ黒だ……」
「見事なまでに真っ黒ね」
 立つかなと後ろ足でおいてみる。
「ユグディラじゃないから立たたんぞ?」
 魔術師はずばりと言ったため、テオバルトとメイムはビクリとなる。
「ユグディラ探すと何かいいことがあるのかの?」
「……領主さんの家で盗みを働いたらしい」
 テオバルトが素直に言うと、魔術師はキョトンとした後大笑いした。
「すごいな、それは。ユグディラはこの町にいるが……わしは位置を把握しておらぬ。探すなら自分等の足じゃ。それはそうと主のペットは可愛いのう」
 魔術師はメイムの連れているロシアンブルーのロニを触りたがった。

 人間への聞き込みから始めた雲雀は繁華街で猫好き垂涎のデータマップを作り始めた。
 要点を絞って捜索するため、行動範囲が領主の館に近いまたは行動範囲が定まっていないものかつユグディラの可能性の個体を絞る。
「……三毛猫は微妙らしい」
 連絡が入った物も記入するが、三毛猫はたいてい店先にいるため目撃者は多い。メイムの推測から餌が絡むと白猫も除外してよさそうだ。見てみるという仲間もいる為、雲雀は別のところに行くことにする。
「……このキジトラが怪しいのかもしれない」
 雲雀はバイクに乗って少しでも時短を目指した。
「ユグディラを見つけてもふる、もとい! 捕まえるてやる気が湧き上がってくる依頼だな」
 顔が緩んだ。

 純白の猫シルフの前にカメラを構えたディーナと撮影終了待ちのアルスがいる。アルスはなぜか胸の奥で対抗心が沸き上がっていた。
「負けないんだから」
「え?」
「ルーシーもふわもこなのにゃ」
 ディーナはアルスの髪を見て、うなずいた。
「シルフ様の優勝なの」
「にゃあああ。仕方がないの」
「そうなの、仕方がないの」
「はにゃん、かわいいのー」
「かわいいー」
 店員に聞き込みをしつつ、猫の美しさを堪能した2人は別れて違う猫を調査しようとした。分かれる前に試しに【超聴覚】を使ったアルスは自分が探したい方面から猫の鳴き声と硬質な何かをいじる音を聞いた。
「あっちにいるかもなの」
「ユグディラ様が?」
 一緒に移動することにした。

 一方、バイクで移動した雲雀はキジトラがいるだろうところを捜索する。
「あのキジトラいない。ん? あのチャトラ?」
 アリスが見かけた個体かもしれない。一時的に後ろ足でスムーズに歩いていたが、視線を感じてから前足を地面に下して猫らしく歩いている。
 雲雀は食べ物で釣りつつ、近づくことにした。
「ほらほーらおいで」
 それは躊躇しているが、近寄ってくる気配がある。
「ちょっとだけ抱っこしていいかな」
 仕方がないなという感じでおやつをもらい抱っこされた。
「本当、もふもふだお持ち帰りしてえ……ところで、お前は、これを持っていないか? 返してくれるなら、もっとおいしいものをやろう」
 雲雀は前もって書いておいた絵を見せ問い、様子をうかがう。
 猫は絵を見て理解したような行動をした。
「……で、持っているのかな?」
 ユグディラは葛藤後、首を横に振った。
「本当に?」
「にゃ」
「……仕方がないな。本当だと信じて、素直だった褒美に一切れあげよう」
 干した魚をあげ、雲雀は説明をする。
「領主から盗んだ奴には出頭を願えないかな?」
 報酬を要求するように前足の肉球を見せた。

「テオバルトさん、この辺りに……おおっ!」
 アリスは声を掛けつつしゃがみ、テオバルトの手元にいるキジトラを撫で始める。
「えへへ……可愛いね」
「可愛いのはいいんだが……ユグディラいるのか、本当に」
「でもあたし見たのは……」
「それはそれ。領主さんの家に入り込んだ奴らは町から逃げた、かもしれない」
「そっか……探せないよね。たくさんいる猫からユグディラ見つけて、無実を証明しないといけない?」
「難しいな。ユグディラであるとしらを切られたらさっぱりだからなぁ」
「怒るだろうね、領主さん」
 2人は仕事に戻るために立ち上がり、猫に手を振った。
 その猫は前足で手を振り返した。
「え?」
「にゃ!」
 双方で動きが止まった。
「ユグディラ発見」
 仲間に連絡を入れ、アリスとテオバルトはスキルを使って全力で追いかけた。

●瓶ぽーい
 アルスとディーナは屋根を見上げるたとき、屋根の上から石が鋭く落ちていくのが見えた。いや、猫が前足でもてあそんだ結果、吹っ飛んだという感じだろうか。
 ガシャーン。
 あの元を捜せばユグディラはいるかもしれない。
「急ぐにゃん」
「でも、どうやって登るの?」
 上るには難しいところであり、スキルだって簡単に届かない屋根の上。平屋なら何とかなったが複数階ある上。とりあえず仲間には連絡を入れておく。
 アルスの猫に行ってもらう。ファミリアアイズで見ると、そこには石が飛んでいったために困惑気にたたずむ猫と、瓶を開けようと格闘している猫がいる。
「……発見にゃ」
「こっちにやれないの?」
「誘導するのは難しいの」
 2人は周囲を見て何か使えるものはないか探す。
「オカリナ吹いて気をひいてみるにゃ」
 アルスが吹き始める。
「ユグディラ見つかったって?」
 メイムはディーナが指さす先を見て表情が凍る。
「よりによって……」
 メイムはどうやって捕まえるかを考え始めるが、それを中断させる女性の怒声が響く。
「こら、誰だい! 人の家に石投げ込んだのは!」
 割れた窓の家だ。
「逃げたの。追うの!」
 オカリナ吹くのをやめたアルスは指をさす。
「石ってあの石なのね。ちょっともう誰もいないし! おばさん、その石ってどんな石なのー」
 ディーナとアルスはすでに建物の裏側に回り込みいない。メイムはそれが盗まれた石の可能性を考えて、女性に声を掛けた。
 女性の文句を聞きつつメイムが確認すると石は文鎮とされているもののようだ。メイムは確保して、事情を説明して仲間を追いかけた。
 一方、追いかけている2人よりも早く、ユグディラに遭遇したのはテオバルトとアリスだった。追いかけていたユグディラもすでに捕獲しているため、アリスの手は空いていない。
「来たな!」
 テオバルトがスキルを活用して、高い位置に上り、ユグディラをつかもうとするがすり抜けられた。
 その先にいたアリスが片手で1匹をつかもうとする。つかみ損ねるが、ユグディラはバランスを崩した。
「え? あっ、瓶」
 ユグディラの手から瓶が抜け落ちる。
 おりかけのユグディラの手から落ちた瓶は蓋が外れるか割れる可能性が高い。
 アリスは手を伸ばした、抱きかかえていたユグディラが状況を理解して前足を伸ばした。
「ユグディラさま」
 ディーナが走り込む。
「にゃああう」
「危ないの!」
 猫の悲鳴やアルスの悲鳴が加わる。
「ここ……あっ」
 路地を覗いた雲雀の前に惨事は起こっていた。
 バランスを崩したユグディラを保護しようとしたディーナの上に、瓶が落ち砕ける。ディーナの上に倒れたアリスが乗る。ユグディラたちは地面に着地していた。
 この隙に逃げる危険があるため、倒れている仲間よりもアルスとテオバルトおよび雲雀はユグディラ捕獲を優先した。
「……綿毛!?」
 ふわふわ飛ぶ綿毛は飛び始めている。
「石は回収したよー?」
 メイムの肩に載っている愛猫ロニの毛に綿毛がついた瞬間、誰もから安堵のため息が漏れたのだった。
 メイムは綿毛を逃がさないために【響】を使うべきかと一瞬考えたが、どう見ても植物の種の綿毛に見えたので素直に手でつまみ回収した。

●説教
 町にいるユグディラ4匹らしい。
「犯猫はキジトラとブチ」
 テオバルドの言葉に2匹はコクンとうなずく。無罪で付き合っているユグディラはキジトラとチャトラ。
「盗みはいけないね」
 アリスはうなずきながら、盗みを働いたユグディラを撫で始める。
「領主だってこうするだろうし」
 雲雀は犯猫を触る。
「ずるいの。私もするの」
 ディーナが魔導カメラでユグディラを撮影した後、触り始めた。
「一応、研究材料の綿毛も返るんだし、説教くらいで終わるんじゃない?」
 メイムはケサランパサランと思われる物体は袋に詰めた。
「ごはんを盗ると恨みは大きいの。ちゃんと領主さんに謝らないとにゃ」
 取り出したおやつをあげつつアルスが告げる。
 領主の屋敷に連れられて行くとなると……ほろりと涙がこぼれる犯猫たち。何か言葉をかける普通のユグディラたち。
 ハンターたちに何か情景が浮かぶ。
「……幻術使えるんだっけ?」
「連れていかれる奴らは泣いて、残っている奴らはこいつらを叱っているような」
 アリスの言葉を継いで雲雀がいうと、誰もがうなずいた。
「……雲雀さん! あなたの、猫地図をぜひとも見せてなの」
 ディーナは彼女が詳細に調べていることを無線で思い出した。
「いいけど、あんたも写真も撮ってすごい詳細じゃないのか?」
 雲雀に言われてディーナは照れる。
「細かいな。これは、猫好きのための地図」
 テオバルトは調査に必要だったとはいえ、地図を見て驚く。
「それにしてももふもふして気持ちいいニャー」
 アルスは抱きかかえたユグディラを抱きしめる。
「トラブル起こすと、必要以上に撫でられる……ユグディラはだんだん学習していくのかな」
 メイムは眺めながら考えた。

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MVP一覧

  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀ka3706

重体一覧

参加者一覧

  • 献身的な旦那さま
    テオバルト・グリム(ka1824
    人間(紅)|20才|男性|疾影士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • それでも尚、世界を紡ぐ者
    アリス・ブラックキャット(ka2914
    人間(紅)|25才|女性|霊闘士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 魅惑のぷにぷにほっぺ
    アルス・テオ・ルシフィール(ka6245
    エルフ|10才|女性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/28 02:59:35
アイコン 相談卓
ディーナ・フェルミ(ka5843
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/08/30 11:19:33