紙の上に薔薇は咲く

マスター:尾仲ヒエル

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/08/29 19:00
完成日
2016/09/08 15:47

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 長い黒髪を束ねたササノハが、熱心に机に向かっている。
 離れの机の上に広げられているのは大きな地図。
 先日ハンターたちの活躍により判明した、失踪事件の発生場所を表すものだ。
「複雑ですが、パターンがあります」
 教主としての仕事をこなしつつ、寝る間を惜しんで地図を調べるササノハの顔色は良いとは言えない。
「無理はなさらないでください」
 お付きのゴウが心配そうに声を掛ける。
「ありがとう。でも戦えない僕が出来ることは、これしか無いですから」
 顔を上げたササノハがゴウに微笑み、また地図に視線を戻す。
「それに、止めたいんです」
 失踪事件では攫われた人間の生死が分からない。
 そのため、「死者と夢の中で会うことを助ける」という能力で人々を癒そうとしているササノハにも、手が出せない状態が続いていた。
「相談者には会いたい相手が死んだことがはっきり分かっている」、「教団の部屋に入って眠る」、「ササノハが祈りを捧げる」、
「ササノハのことを強く信じる」……。
 そうしたいくつもの制約の中でしか発揮できない力に、ササノハはずっと歯がゆい思いを感じていた。
「――出来ました」

 赤い線で引かれた図は、複雑な形を描いていた。
 まるで地図の上に薔薇が花開いているようにも見える。
「ひとつ事件が起きると、次は帝都を挟んだ遠くの場所へ」
 とん、と地図の上に置いた指を、ササノハが動かす。
 事件の起きた箇所から直線を描いて次の箇所へ。
 複雑で規則的な指の動きは、事件の時系列にぴたりと当てはまっている。
 見つけ出したパターンが正しいのならば、予測も可能なはず。
 そう考えるササノハが最後に指を止めた場所には、周囲の村から離れるように、ぽつんと小さな村があった。
「……次に襲撃されるのは、この村。7日後に、きっと来ます」

 あくる朝、出来上がった地図を懐に忍ばせて、ササノハとゴウが離れを出る。
 ゴウが馬車を取りに行っている間、教団本部の建物から咳をしながら出てくる人影があった。
「シモン。風邪ですか?」
 振り返った老人は弱々しい微笑みを見せた。
「そのようです。もう歳ですな。ササノハさまはお出かけですか?」
「ええ……」
 ササノハが言葉を切る。
 今ここで事件について相談することもできた。
 教団幹部のシモンは、元々はササノハの教育係であり、何かあった時の相談相手でもあった。
 以前のササノハであれば、迷わず相談していただろう。
「――香が切れてしまったので、気分転換も兼ねて買いに行こうかと」
「それはそれは。どうかお気をつけて」
 もう一度咳き込んだ後で去っていくシモンを、ササノハは複雑な顔で見送った。

 ササノハがハンターオフィスに持ち込んだ情報により、村では犯人を迎え撃つ準備が始まった。
 7日目の夜。
 予測された通りの事が起こった。
 暗闇の中にいくつもの影がうごめく。
 村に近づいてくる影の先頭を進むのは、大男と小男らしき、大小の人影。
 続いてぞろぞろと複数の影が続く。
 腐臭だろうか。
 夜風に乗って、なんとも嫌な臭いがハンターたちの鼻に届く。
 そして、少し離れた場所には、もうひとつの人影が見えた。
 他の影とは異なる釣り鐘型のシルエットに、かすかに響いてくる、くすくす笑い。
「女……?」
 待ち伏せているハンターの1人が、いぶかしげに呟いた。

リプレイ本文

 夜の村には、ぽつりぽつりと明かりが灯っている。
 それは、まだ村人がいるように見せかける偽装だ。
 敵を充分に引き付けたところで、ハンターたちが動いた。
「ちょっと何こいつら! やたら臭いんだけど! ちゃんとお風呂入って身体洗ってんの!?」
 眉をひそめるアルスレーテ・フュラー(ka6148)の横で、金鹿(ka5959)がライトを点ける。
「姿をお見せくださいな」
 暗闇の中、黒くぬめるような肌を持つゾンビたちの姿が照らし出された。

「一般人に被害が出てるなラ、見過ごすわけにはいかないネ。それに、莢もいるし……な、莢?」
「ああ」
 格闘士の不和 百(ka6431)と舞刀士の多々良 莢(ka6065)は友人同士での参戦だ。
 2人が狙うのは大男のゾンビ。
 ゾンビの群れに突っ込んだ百は、挨拶代わりに大男の背中に拳を叩き込んだ。
 振り返った大男が無言で腕を振るう。
 丸太のような腕を避けた百の元に、更に小男の放った矢が飛んできた。
「ム……周りから狩るカ」
「協力致します」
 金鹿が投げ上げた符が、白い光の球に変わる。
 それは闇を切り裂く稲妻となって、小男と普通サイズのゾンビの一体を襲った。
「ギィ!」
 小男は肩、ゾンビは腕を貫かれて咆哮を上げる。
 その隙に百と莢はゾンビたちから離れると、普通サイズのゾンビ一体に目標を絞って攻撃を開始した。
「こっちにだって爪はアルよ!」
 鉤爪を広げた百がゾンビに攻撃を加える。
 ゾンビの肌に深々と食い込むかと思われた爪は、キン、という音と共に弾かれた。
「防いダ!?」
 驚きの声を上げた百は、一度ゾンビから距離を取った。
「それなラ」
 足を肩幅に開いた百が、腕をゆっくりと交差させながら息を吐く。
 練気で攻撃の威力を上げた百は、傍にいる莢と頷き交わした。
 そしてゾンビの間合いに踏み込むと、攻撃を受け流して相手の腕を掴む。
 そのまま引き倒すような動きで転ばされたゾンビに、莢が疾風のように迫った。
 音も無く振るわれた太刀は、夜明けの光のような残像を残してゾンビの首を刎ね飛ばしていた。
「ゾンビも人も、首がなければ生きてはいないよね」
「所詮ゾンビだネ。状況判断がなっちゃいないヨ」
 莢の言葉に頷きながら、百が地面に転がったゾンビの首を無表情で踏み抜く。
 霧散していく残骸をよそに、百と莢が目を見合わせる。
「さァ、次はどれにすル?」

「あーもー、臭いから近寄りたくないけど、職業柄近寄らないと戦いにくいし……」
 格闘士であるアルスレーテは、どうしても敵に直接触れる戦い方になる。
「その辺の石で躓いて、転んで頭を打って死んでくれないかしら」
 蒼く変化した瞳でちらりと様子を窺うが、願いが叶う気配はない。
 諦めのため息を吐くと、アルスレーテは篭手を装着した腕を構えた。
「あああ、触りたくない!」
 消極的な言葉とは裏腹に、アルスレーテは無駄のない動きでゾンビの間合いに飛び込む。
 ぬめった腹に風穴を開くつもりだったアルスレーテが、驚きの声を上げた。
「硬い! でもぬめぬめはしてる!」
 硬化した相手にも策はある。
 そう何度も触りたい代物ではないが、かつて帝都で出会った少年の頑張りが、アルスレーテの心を動かしていた。
「……自分の能力が使えないなら使えないなりに、自分のできる事を探して頑張って」
 ゾンビに触れた瞬間、篭手に刻まれた法術陣が発動する。
「そうやって頑張ってるのは立派だなーって思うし、助けてあげたいっていう気にもなるじゃない」
 手の平から一気にマテリアルを流し込む。
 それは硬い皮膚を貫き徹し、ゾンビの胸に巨大な風穴を開けた。
 ゆっくりと倒れたゾンビが霧散していく。
「んんー」
 アルスレーテは勝利の感慨もそこそこに、ぬめっとした感触を拭い去ろうというように、その辺の草で手をこすった。

「色々考えちゃうけど、まずは犯人を倒してから!」
 ライフルを構えたウーナ(ka1439)の瞳は、これから始まる戦いの予感に高揚している。
「いっぱいいるし、1人ぐらい死んでも問題ないよね」
 にんまりと笑みを浮かべたウーナは、ハンターたちに弓を射かける小男に狙いを定めた。
 他のゾンビたちより素早く手強そうな相手だが、ウーナは意にも介さない。
「ほらほら! 踊ってよ!」
 小男の足元に威嚇射撃をしながら、ウーナが楽しげに声を上げる。
 素早さを封じられた小男は、唸り声を上げてウーナに弓を向けた。
「あはは!」
 猫が獲物を嬲るような無邪気さで、ウーナが尋ねる。
「ねえ、弓とライフル、どっちが強いと思う?」
 小男が答えの代わりに放った矢は、ウーナに届くことなく虚しく地面に落ちた。
「ざんねーん。射程距離も計算済みでしたー」
 ウーナがゆっくりとライフルの照準を合わせる。
「ばいばい」
 闇に銃声が響いた。

 唸り声を上げて向かってきたゾンビを、百がひらりとかわす。
 ついでに、お返しとばかりに鉤爪でその背中をえぐる。
 引っかくような鉤爪の攻撃を続けながら、百は間合い深くまでは踏み込まない。
 目的は攻撃ではなく陽動なのだ。
 百が更に攻撃を加えようとした時、突然ゾンビが緑の液体を吐き出した。
「ツっ……!」
 咄嗟に体をひねったものの避けきれず、肩口に酸を浴びた百が顔をゆがめる。
 肩を押さえた百の指の間から白い煙が上がった。
「百!」
 大切な友人を傷つけられ、莢の体から稲妻の様なオーラがほとばしる。
「よくも……」
 納めていた刀を抜き放ち、百の背後から莢が飛び出した。
 一閃。
 白い光がゾンビの腰を横切る。
 少しずつ滑るようにずれていった上半身は、やがて地面にごとりと落ちた。
「大丈夫!?」
 刀を納めた莢が、足早に百に近づく。
「ありがト。私のために怒ってくれて嬉しかったヨ」
 練り上げたマテリアルのおかげもあって、百の傷は深くは無さそうだ。
「……べつに」
 百の無事を確認した莢が視線を逸らす。
 莢の頬は、闇の中でも染まっているように見えた。
 そんな中、不利を悟ったのか、一体のゾンビが逃げに転じる。
「逃がしませんわ」
 金鹿の言葉と共に、ゾンビの体の周りを六芒星の形に光が取り巻いた。
 輝きを増していく六芒星を、中にいるゾンビはただ見つめることしかできない。
「輪廻の輪の中へお戻りなさい」
 やがて光輝く柱となった結界がゾンビを焼き尽くした。

「……どっかで見たことのある連中じゃねえことを祈ってたんだが」
 憂いを含んだ口調で文挟 ニレ(ka5696)が話し掛けるのは、大男と小男の2人だ。
「久方ぶりと言った方がいいのかね? いつぞやの人攫いども」
 随分と姿形が歪んではいるが、以前ササノハを攫おうとした2人に間違いない。
 獣のような唸り声を返す相手に、ニレは符を構える。
「心どころか体まで人間をやめちまうたぁな。直に楽にしてやるさ」
 その言葉と共に、精霊の力を持った炎が巨体を包む。
 咆哮を上げて身悶えた大男は、腕を苛立ったように振り回した。
「おたくなら、ひょっとして更生するかもしれねえと思ってたんだがね、残念だよ……ポゴ」
 攻撃をかわしながらニレが名を呼んだ時、わずかな変化があった。
 大男の口が開き、声とも呼べないような音が漏れる。
「……ア」
 濁った眼に、微かに光が宿ったように見えるのは気のせいだろうか。
「何か言いたいことでもあるのかい」
「ウゥ」
 返事の代わりにニレに重たい腕が振り下ろされる。
 加護符で防御力を高めた鉄扇で受けながら、ニレは繰り返し名を呼ぶ。
「ポゴ――なあ」
 返ってくるのは単調な攻撃だけ。
「……こうなっちまった以上は仕方がねえや」
 ニレは手にした符に別の符を重ね、大男に向けて放った。
 せめて苦しまないように。
 先程よりも更に強力な猛火が大男の体を包む。
「アに……じゃ……」
 光の中に飲み込まれる直前。大男の口が動き、意味のありそうな言葉を紡いだ。
「来世じゃもうちょい上手くやんな」
 何も残らなかった地面を見つめるニレの瞳は、闇を映したように暗く沈んでいた。

「名前を覚えていたなんて優しいのね」
 闇の中から女の声が響く。
 すかさず近くにいたウーナが灯りを向けた。
「そこのゾンビ使い。誰なの!?」
「さあ。誰かしら?」
 その瞬間、ウーナが用意していた魔導カメラを使う。
 吐き出された写真に映っていたのは、黒いドレスを着た女の姿。
 真っ白な口元だけが闇の中に浮かび上がるように見える。
「あら。それはなぁに?」
 甘く体の芯をくすぐるような声が、写真を手にしたウーナの耳に届く。
 直観的な違和感を感じ、ウーナが後ろに跳んだ。
 直後、ウーナの立っていた場所に鞭のような影が掠める。
「渡さないよ!」
 写真を奪おうとしたらしい相手に、ウーナが強気な視線を返す。
 女がくすくすと笑い声をこぼした。
「もし、そこな薔薇のようなお方。ひとつ伺いたいことがあるのですけれどよろしくて?」
 そこに金鹿が声を掛ける。
 この場に来て、金鹿の中に浮かび上がった疑問があった。
「ササノハさんが誘拐された事件の時、教団が尋問すると言って連れて行った賊のその後。今戦った敵に似てはいないでしょうか? 薔薇、赤い花、朱花、共通点の見えない失踪者、近頃のゾンビたちに共通した特徴……」
 金鹿がひたと女を見据える。
「教団は死者を甦らせる実験でもしておりまして?」
「……まあ、お利巧ね」
 女が興味を持ったように金鹿に向き直った。
「そこまで気が付いているなら、隠しても無駄なようね。――そうよ」
 短い肯定の言葉。
「ああ、でも、私のゾンビ作りが下手な訳じゃないのよ? 注文が細かいせいで難しいだけ」
 女の口調のあまりの軽さに、金鹿の体から金色の炎がゆらめき立つ。
「……輪廻を歪ませる悪行を」
 金鹿が歩みを進めるたび、炎の中から一匹、また一匹と蝶が舞い上がった。
 蝶の群れが映りこんだ瞳を金色に輝かせながら、金鹿が符を構える。
「ああ、残念だけど今日は時間がないの。さよなら。お利巧な蝶々ちゃん」
 とどめる間も無く、女が闇に溶けるように消える。
 後には悔し気なハンターたちだけが残された。

「はぁ……終わった……。臭いし疲れたし、とりあえず帰って休みたい……」
 呻き声を上げながら帰途につく莢は、先程とは別人のようだ。
 そんな莢の隣で伸びをしながら百が呟く。
「結構疲れタけど、莢と一緒に戦えて嬉しかったネ」
「……今度は絶対、怪我なんてさせないから」
 ぶっきらぼうに聞こえる言葉が、友を案じる気持ちと次の約束を含んでいることに、莢は気付いているのだろうか。
「ふふっ」
 百が嬉しそうに緑の目を細める。
 オフィスに戻ったハンターたちを、ササノハとゴウが出迎えた。
「お疲れさまでした。……あ」
 女性達のために入り口の扉を押さえていたササノハが、強風にあおられてよろめく。
「おっと」
 音を立てて開きそうになった扉をアルスレーテが片手で押さえる。
「ありがとうございます。アルスレーテさんは力持ちですね!」
 きらきらした眼差しを向けてくる少年に、憧れはあれど悪気はない。
「そうね……力持ちね……」
 自身の腕に盛り上がった力こぶを見つめ、アルスレーテは乾いた笑いを浮かべる。
 最近、筋肉がついてきてしまったことを結構気にしているのだ。
 目顔で謝ってくるゴウの気遣いが逆に辛かった。

 そのままオフィスの中で簡単な報告が行われる。
「大男はポゴさんでしたか……」
「あとは黒いドレスの女性が1人いましたわ」
 金鹿の言葉に合わせ、ササノハの目の前に写真が差し出される。
「はい。これが写真。取られそうになったけど死守したよ」
 先程からササノハの膝の上にはウーナが寝転がっている。
 以前ウーナの膝枕を固辞したササノハだったが、自分がする側であれば大丈夫らしい。
 写真を撮った御褒美としての膝枕をすんなり承諾したあたり、常人とは感覚が違うのかもしれない。
「寝辛くありませんか?」
「硬すぎず、柔らかすぎず、いい匂いまでするし……これまで枕にしてきた数多の膝の中でも、1、2を争う膝だね」
 冗談なのか本気なのか分からないウーナの言葉にササノハが微笑む。
「喜んでいただけて良かった」
 至近距離で極上の微笑みを浴びたウーナは、一瞬言葉を失った後、重々しく付け加えた。
「暫定1位に繰り上げ」

「黒いドレスに顔を覆うベール……オフィスに報告が上がっていた『モルガナ』の特徴と一緒ですね」
 写真を見つめて考え込むササノハに、タイミングを計っていた金鹿が切り出す。
「そのことなんですけれど……そのモルガナが認めましたわ。失踪事件に朱花の教団が関わっている、と」
 ササノハが息を呑む。
 信じられない、信じたくないというような茫然、裏切られていたことへの衝撃、悲しみ、苦悩。
 少年の顔に様々な表情が浮かんでは消えていく。
 長い沈黙の後、絞り出すように発せられた言葉は、朱花の教団の教主としてのものだった。
「言い辛いことをありがとうございます。僕が至らぬばかりに……教団が御迷惑をお掛けしてしまい、本当に申し訳ありません」
 深々と頭を下げる少年に、ハンターたちは顔を見合わせる。
「どうしようもないことだってあるだろ」
 細かい事情など知ったことではないが、どうせ目の前の少年1人に対処できた問題でもないだろうと莢が肩をすくめる。
「大切ナのは、これかラ何をするカでショ?」
 百を始め、避けようのない出来事を幾度も経験してきたハンターだからこそ言える言葉だろう。
「……僕に隠れて動けるところから見て、教団の上層部の人間が絡んでいることは間違いないと思います」
 少し冷静さを取り戻したササノハが呟く。
 それは、ササノハの身近な人間が事件に絡んでいるということを意味していた。
「どう責任を取ればいいのかすぐには思いつきませんが、ひとまず教団に戻って、内側から首謀者を探りたいと思います」
「大丈夫? 一緒に行こうか?」
 心配げなウーナにササノハが首を振って見せる。
「一応これでも教主ですし、いざとなれば皆さんに助けを求めさせていただきますから」
 教団の幹部が首謀者であるとするなら、信者たちを扇動し、ササノハ不在の教団を暴走させかねない危険があった。
 これ以上の犠牲を増やさないためにも、その判断は最善であるように思える。
「何か出来ることがあれば仰ってくださいませ」
「何かあったらすぐにハンターオフィスよ?」
 金鹿はそっと、アルスレーテは言い聞かせるように、ササノハに言葉を掛ける。
「……本当に大丈夫なのか」
 席を立つササノハの腕を、思わずといった様子でニレが掴む。
「ここで逃げたら一生後悔すると思うんです。だから、行かせてください」
 決意を固めた少年の瞳に、ニレはその細すぎる腕を放すしかない。
「今回はありがとうございました」
 こうしてハンターたちの働きにより失踪事件の再発は阻止され、帝都周辺には一時の安寧がもたらされた。

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MVP一覧

  • 豪放なる慈鬼
    文挟 ニレka5696
  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬ka5959

重体一覧

参加者一覧

  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 豪放なる慈鬼
    文挟 ニレ(ka5696
    鬼|23才|女性|符術師
  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬(ka5959
    人間(紅)|20才|女性|符術師
  • 働きたくないっ
    多々良 莢(ka6065
    人間(紅)|18才|女性|舞刀士
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士

  • 不和 百(ka6431
    人間(紅)|18才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/24 22:12:38
アイコン なにこいつら臭い(相談卓)
アルスレーテ・フュラー(ka6148
エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/08/28 21:41:31