ゲスト
(ka0000)
花想~咲きほこるもの
マスター:君矢

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/01 12:00
- 完成日
- 2016/09/07 12:41
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ディーナーは歓喜に打ち震えていた。
シェノグ族の村を炎の中に消し、邪魔ものは消えた。怒りが沈静化したディーナーはお嬢様復活に集中できると喜び勇んで実験に集中し、作業にいそしんだ。
植物に負のマテリアルを注ぎ込み、今までのように雑魔を作り出して行く。出来は今までと同じようにお嬢様になりそこないの雑魔ばかりだったが、気分の高揚しているディーナーにとって失敗は苦にならなかった。
今まで使用したことのない白く儚い花を使用したときだった。
「……おお……、お嬢様……。ついに、ついに……」
肖像画の中と、なによりディーナーの記憶の中にあるお嬢様がそこにいた。柔らかい輪郭、細い首筋、豊かな睫毛、白い肌に頬にはうっすらと赤みがさしている。柔らかく閉じられた瞳は眠っているようだった。
「お嬢様、どうか、優しいまなざしで、私を、私を見つめてくださいませ」
感極まったディーナーは仮面を外すと静かに涙を流し跪く。
お嬢様の外見をしたそれは、目を閉じて静かに座っていた。
「どうか、ディーナーを倒して下され」
と言って、シェノグ族の族長は頭をさげた。山菜や薬草の採集を生業として山で生きてきたシェノグ族たちは先日、雑魔の襲撃による火事で住む場所を失っていた。
火事から逃れたシェノグ族たちは、森を抜けて麓近くの見晴らしのいい野原に避難キャンプを作っている。
キャンプの中央付近、切り株や岩を椅子がわりに座ってハンター達は依頼内容を聞いていた。族長は、「茶の一杯もお出しできずに申し訳ない」とわびてくる。その声は疲労からかひどくかすれていた。
雑魔による火事で村を失ったシェノグ族たちは、村の焼け跡から焼け残った道具を運び出してきたり、木の間に布を張って雨風を凌いだりとどうにか生活を整えようとしていた。
しかし、焼け出されたショックからかシェノグ族たちの表情は疲れて暗く沈んでいる。
夏の間にもう少し人らしく生活できるように環境を整えたいと思って作業を急いでいるがなかなか、思うように作業は進んでいないという。作業の一番の障害となっているのがディーナーの存在だった。
またディーナーに襲われたらと思うとゆっくりと眠ることも出来ないし、作業に集中していられないという。
「心の平穏の為にも、部族の未来のためにもどうかディーナーを倒して下され」
くり返しディーナー討伐をこう族長の頬はげっそりと痩せていて、その心労が見て取れた。
「また春先のように、山の中を雑魔が徘徊しています。干からびた動物の死骸を部族の人間がいくつか確認していますし、槍らしい武器を持った雑魔の少女の後ろ姿を見たものもいます。またいつ襲われるかと、不安と恐怖でいっぱいなのです」
疲れ切っている族長に代わって孫娘のツアンプ・シェノグ(kz0170)が説明を引き継いだ。
目撃情報が多い場所の奥には、謂れの良く分からない小さな石造りの古墳があるという。その場所にディーナーは隠れているのではないかというのがシェノグ族の意見だった。
そして、ツアンプは話を聞いているハンター達の目を真っ直ぐに見た。
「皆さま、どうかディーナーを倒してください。それと厚かましいお願いですが私も連れて行ってください。邪魔はしないとお約束します。村を、部族をめちゃめちゃにしたディーナーが許せない。最期をこの目で確かめて安心したいのです。どうかよろしくお願いします」
そう言ってツアンプは頭を下げた。
「もっとだ、もっとマテリアルを集めるんだ。お嬢様の為に!」
小さな古墳の前に、雑魔を並べてディーナーは激を飛ばしていた。古墳の前は、ディーナーや雑魔たちが踏み固めたせいで地面がむき出しになり広場のようになっている。
やっと大望かなってお嬢様を蘇らせたが目を覚まさない、きっとマテリアルが足らないせいだと考えたディーナーは雑魔を使って生き物のマテリアルを集めさせていた。
しかし、動物のマテリアルが良くないのだろうか、それともマテリアルの量が少ないのだろうか、一向にお嬢様が目を開ける気配がなかった。
「もっともっとマテリアルを集めなければ、お嬢様は目を覚まさない! 人間のマテリアルを集めてくるんだ!」
雑魔たちに厳しく命令を出すと、ディーナーは振り返って一転して優しい声を出して、後ろの石に座っているお嬢様に話しかけた。
「お嬢様、もう少しお待ちください。すぐに必要なだけのマテリアルを用意して見せます。そうしたら、一緒にピクニックに参りましょう。風の気持ちいい良い季節です」
シェノグ族の村を炎の中に消し、邪魔ものは消えた。怒りが沈静化したディーナーはお嬢様復活に集中できると喜び勇んで実験に集中し、作業にいそしんだ。
植物に負のマテリアルを注ぎ込み、今までのように雑魔を作り出して行く。出来は今までと同じようにお嬢様になりそこないの雑魔ばかりだったが、気分の高揚しているディーナーにとって失敗は苦にならなかった。
今まで使用したことのない白く儚い花を使用したときだった。
「……おお……、お嬢様……。ついに、ついに……」
肖像画の中と、なによりディーナーの記憶の中にあるお嬢様がそこにいた。柔らかい輪郭、細い首筋、豊かな睫毛、白い肌に頬にはうっすらと赤みがさしている。柔らかく閉じられた瞳は眠っているようだった。
「お嬢様、どうか、優しいまなざしで、私を、私を見つめてくださいませ」
感極まったディーナーは仮面を外すと静かに涙を流し跪く。
お嬢様の外見をしたそれは、目を閉じて静かに座っていた。
「どうか、ディーナーを倒して下され」
と言って、シェノグ族の族長は頭をさげた。山菜や薬草の採集を生業として山で生きてきたシェノグ族たちは先日、雑魔の襲撃による火事で住む場所を失っていた。
火事から逃れたシェノグ族たちは、森を抜けて麓近くの見晴らしのいい野原に避難キャンプを作っている。
キャンプの中央付近、切り株や岩を椅子がわりに座ってハンター達は依頼内容を聞いていた。族長は、「茶の一杯もお出しできずに申し訳ない」とわびてくる。その声は疲労からかひどくかすれていた。
雑魔による火事で村を失ったシェノグ族たちは、村の焼け跡から焼け残った道具を運び出してきたり、木の間に布を張って雨風を凌いだりとどうにか生活を整えようとしていた。
しかし、焼け出されたショックからかシェノグ族たちの表情は疲れて暗く沈んでいる。
夏の間にもう少し人らしく生活できるように環境を整えたいと思って作業を急いでいるがなかなか、思うように作業は進んでいないという。作業の一番の障害となっているのがディーナーの存在だった。
またディーナーに襲われたらと思うとゆっくりと眠ることも出来ないし、作業に集中していられないという。
「心の平穏の為にも、部族の未来のためにもどうかディーナーを倒して下され」
くり返しディーナー討伐をこう族長の頬はげっそりと痩せていて、その心労が見て取れた。
「また春先のように、山の中を雑魔が徘徊しています。干からびた動物の死骸を部族の人間がいくつか確認していますし、槍らしい武器を持った雑魔の少女の後ろ姿を見たものもいます。またいつ襲われるかと、不安と恐怖でいっぱいなのです」
疲れ切っている族長に代わって孫娘のツアンプ・シェノグ(kz0170)が説明を引き継いだ。
目撃情報が多い場所の奥には、謂れの良く分からない小さな石造りの古墳があるという。その場所にディーナーは隠れているのではないかというのがシェノグ族の意見だった。
そして、ツアンプは話を聞いているハンター達の目を真っ直ぐに見た。
「皆さま、どうかディーナーを倒してください。それと厚かましいお願いですが私も連れて行ってください。邪魔はしないとお約束します。村を、部族をめちゃめちゃにしたディーナーが許せない。最期をこの目で確かめて安心したいのです。どうかよろしくお願いします」
そう言ってツアンプは頭を下げた。
「もっとだ、もっとマテリアルを集めるんだ。お嬢様の為に!」
小さな古墳の前に、雑魔を並べてディーナーは激を飛ばしていた。古墳の前は、ディーナーや雑魔たちが踏み固めたせいで地面がむき出しになり広場のようになっている。
やっと大望かなってお嬢様を蘇らせたが目を覚まさない、きっとマテリアルが足らないせいだと考えたディーナーは雑魔を使って生き物のマテリアルを集めさせていた。
しかし、動物のマテリアルが良くないのだろうか、それともマテリアルの量が少ないのだろうか、一向にお嬢様が目を開ける気配がなかった。
「もっともっとマテリアルを集めなければ、お嬢様は目を覚まさない! 人間のマテリアルを集めてくるんだ!」
雑魔たちに厳しく命令を出すと、ディーナーは振り返って一転して優しい声を出して、後ろの石に座っているお嬢様に話しかけた。
「お嬢様、もう少しお待ちください。すぐに必要なだけのマテリアルを用意して見せます。そうしたら、一緒にピクニックに参りましょう。風の気持ちいい良い季節です」
リプレイ本文
「討伐、ですか……。恨みを強めて歪虚になってしまったのなら仕方ないのかも」
リアリュール(ka2003)はそっと手を握りしめながら呟いた。ディーナーが歪虚になっていなかったら、シェノグ族との関係はまた違うものになっていただろうかと想像して悲しみが胸に満ちる。
「そう……故郷を。それはとても、悲しい事だわ」
ツアンプ・シェノグ(kz0170)から経緯を聞いているイリアス(ka0789)は言った。故郷の集落が焼かれたらと思うと、想像も出来ない。自身の村が炎に包まれそうになると考えただけで、怖くてその先を考えたくはなかった。
ツアンプも淡々と事実を語ろうとするも、心の整理がついていないのか時折涙声になっている。
「……大切なヒトのために。お気持ちがわからないわけじゃないです。けど……」
アルマ・A・エインズワース(ka4901)はもしも自分の最愛の人を失ったらと考えて身震いした。ミリア・エインズワース(ka1287)が自分の前から消えてしまう事など考えたくもない。
「気持ちはわからんでもないがやりすぎだ。倒すしかないな」
アルマのつぶやきに、ミリアが答えた。最愛の人を失う喪失感を想像すれば蘇らせたいと思うかもしれないが、だからと言って森や村を焼くことを正当化できるはずがなかった。
「歪んだ欲望のために大勢の人を踏みつける行為は唾棄すべきものだ」
事情を聞いていたザレム・アズール(ka0878)が怒りをあらわにしながら言った。
「通りすがっただけの私だけど、ハンターとして、森の狩人として、がんばるからね」
イリアスはツアンプの肩にそっと手を置くと優しく言った。ツアンプはその言葉に励まされたのか「……はい」と小さく返事をした。
「ツアンプさん、私の横か後ろにいてくださいね」
リアリュールは、道案内をするツアンプが前に出すぎないように注意しながら進んだ。万が一の時にはすぐカバーできる位置を歩いてもらう。
星野 ハナ(ka5852)は、身に着けた部族から借りた赤い鞭を確認した。ツアンプから直接鞭を借りた方が安全度は上がるが、彼女の誇りの問題もあるため標的を少しでも分散させるために鞭を借りたのだ。
「今度も雑魔は赤い鞭を狙うかもですぅ。ツアンプさんはシェノグ族の次期族長として、それともただのツアンプとして……どちらで彼に会いに行きますぅ?」
ハナはツアンプに問いかけた。少なくとも自分たちがディーナーを倒せば彼は思い出の中の存在になってしまう。酷い思い出だが、少しでも軽くしてあげたかった。
ツアンプは、迷いなく次期族長として行くと答えた。部族を預かるものの責任として最期を見届けなければならない、と。
「護衛は任せてくださいですぅ。一緒に行きましょう!」
ハナはツアンプの覚悟を聞いた。それが少しでも幸せな結末を目指せればいいと思う。
「俺達のマテリアルに惹かれて向こうからやってくる可能性もある。注意して進もう」
獣道をかき分けながら進むザレムが言った。相手は、マテリアルを欲しているらしい。いつどこから出てくるか分からない状況の中、ツアンプの道案内を頼りに周囲の音や気配に気を配って進んでいる。
「そろそろ古墳が近いでしょうか」
周囲を確認しながら、リアリュールが言った。雑魔が通った跡だろうか、倒れている草が多くなったように感じられた。
「みんな私より強いからあまり心配しなくてもよさそうだけど、ツアンプさんには何かあったらいけないから、離れて物陰から見ていて貰いたいかな」
イリアスが戦闘を前にツアンプへ下がっているように言う。
「遠くからになりますけど、隠れてみていてくださいね」
リアリュールも言い添える。
「皆さん、お気を付けて」
ツアンプも忠告に素直に従って後ろへと下がった。
ディーナーが古墳の前で雑魔たちに命令を出していたとき、雑魔の一人が森を移動してくるハンター達に気が付いた。
「ハンターどもか、ちょうどいい! お嬢様の目覚めの糧にさせてもらうぞ!」
ハンターの接近にディーナーは雑魔たちに命令を下した。
朝顔の蕾を模した槍を持った少女たちはハンターを絡め取ろうと走り出す。
「ボクらの仕事は君らの殲滅。シンプルで良いだろ? さあ、こっちにおいで」
ミリアがソウルトーチを唱えた。炎のような目を引くオーラがミリアの身のうちより立ち上り雑魔たちの注目を集める。
もとよりマテリアルに反応する雑魔だったせいか、朝顔の少女たちはマテリアルを求めミリアに殺到した。
「行きましょぉツアンプさん。私の傍を離れないで下さいねぇ」
ハナはツアンプを守りつつディーナーに対して神罰銃を構えた。
リアリュールは、隠れているツアンプの様子を気にした。もしも、雑魔たちがハンターでなくツアンプを狙うようなら妨害射撃で阻止するつもりだ。
「火力には自信がありますから!」
アルマはミリアに殺到する雑魔を暁の呼び声でもって、まとめて焼き払いにかかる。この時、雑魔に囲まれているミリアを巻き込まないようにと注意を払っていた。
ザレムは走る雑魔を見てツアンプに防御障壁をかける。ありがとうございますと言うツアンプに、礼はいらないさと返す。
「それよりも敵が俺達の見ていない方から来たら教えてくれ」
ザレムはツアンプにも出来る無理のない役割をふった。ただ見ているだけではない、参加したと実感することで達成感が生まれるだろう。
朝顔の雑魔は、ミリアの動きを封じようと蔓を使う。
「アルマ、遠くから焼いてくれ」
ミリアは雑魔の蔓を掴んで雑魔と引っ張り合う格好になった。グググッと引っ張り合い両者共に動けない中で、ミリアはアルマに元を断つように指示を出す。
「任せてください」
アルマは蔓を焼き払うよりも効果的だろうと蔓の元である雑魔に禁じ手《蒼断》を放った。青く輝く刃は雑魔の少女を断ち切って、ミリアを雑魔の蔓から解放する。
「近くの雑魔は任せろ」
蔓から自由になったミリアは、斬魔刀「祢々切丸」を構える。巨大な刀を振り回して近くにいる朝顔の少女たちを薙ぎ払う。
「……案外かわいい歪虚さんたちだけれど、倒さないといけないから敵、ね」
イリアスは見た目だけなら可愛らしい雑魔に牽制射撃を撃ち込みながら言った。仲間たちの高い攻撃力を発揮してもらうために援護に回る。
「大切な物が失われていくのを、何もしないで受け止めるだけというのは、確かにとてもつらいことね」
制圧射撃をし、冬虫夏草の雑魔の味方への接近を阻みながらリアリュールが言った。大切な人がいなくなってしまう悲しみを彼女も知っている。
「このお嬢様の偶像を本物の代わりの慰みにするものかしら?」
偽物は本物の代わりにはならないとリアリュールは訴えた。
「違う、お嬢様は蘇るんだ! 偽物じゃない、邪魔をするな!」
ディーナーは叫び、種を投げつける。種は瞬く間に向日葵に成長し周囲を攻撃する。
「植物なんだろ? なら燃えるよな」
ザレムは急成長し周囲を攻撃を始めた向日葵に向かってファイアスローワーを放った。火に弱かったのか向日葵は炎に消える。
「雑魔で止まるほど私たちが弱いと思わないで下さいねぇ」
ハナは、纏まっている朝顔の雑魔に五色光符陣を立て続けに放ち、無力化していく。光に目がくらんだ雑魔は動きを止める。
「術だけじゃないんだな。悪いな」
ザレムは機関銃を下ろして引き金を引く。命中精度に難のある機関銃だが行動を阻害されている雑魔たちに避けられるものではなかった。轟音と共に掃討される。
「敵の増援ですね」
朝顔の雑魔の後ろからフードを被った雑魔が近寄ってくるのを見たイリアスは、目とマテリアルを集中させてシャープシューティングを放つ。フードの雑魔たちは避けられず縫い止めたれたようにその場から動けなくなってしまった。
アルマはイリアスが動きを止めた雑魔の少女を暁の呼び声で倒していく。周囲の森に影響が出ないように注意しながら術を使用していった。
雑魔を倒されたディーナーは、種をばら撒いて向日葵の壁を作る。
「やっぱり、種から増えるのね……?」
種から成長した向日葵が周囲を攻撃する様子を見てイリアスが呟く。
「まとめて焼き払ってやる!」
ザレムは、ファイアスローワーを向日葵が密集している場所に放ってまとめて焼き払った。
成長した向日葵はハンターを襲うがそれも魔法や遠距離攻撃で制圧されてしまった。
ザレムは、ディーナーの後ろにいる雑魔を見た。
「あれが奴の大切な物……か」
一人だけ違う雰囲気の雑魔にあれがディーナーの言うお嬢様だと認識する。
「動かないなら、お嬢様は最後にしましょう」
リアリュールは言う。
「初めましてです。僕、アルマって言いますー」
アルマはディーナーとの距離を詰めながら声を掛けた。
「彼女、大事だった……いえ、大事なヒトなんですね。でも……なおさら、どうして村を燃やしたりしたんです?」
周りから『村を一つ焼き滅ぼした危険な歪虚』と認識されることは分かっていただろうにどうして、とアルマは思う。
「お前たちが、お嬢様復活の邪魔をするからじゃないか! 邪魔ものを排除して何が悪い!」
ディーナーが叫び返し、種を飛ばす。
アルマの目の前で種から成長した向日葵をミリアは、刀を振るって処理した。
「アルマ、怪我はない?」
アルマは僕が守ると宣言していたミリアは振り返り、アルマの無事を確認した。「大丈夫です」というアルマの返答にミリアはホッとする。向日葵をすぐに処理したためにアルマに怪我はなかった。
「だから自分達がここにいる。目の前の彼を、『危険な歪虚』を、彼が作った『お嬢様』ごと殺すため。ねぇ『ディーナーさん』どうしてこんなことがわからなかったんです……?」
アルマはミリアに庇われながらディーナーに対して歪虚としてではなく、一人の『ヒト』として語りかける。
「分かっていないのはお前たちだ。この世にお嬢様よりも価値のある者などいなかったのだから!」
距離を詰められる中、ディーナーはマントの下から鋭い棘を持った槍を出し応戦する。その槍はディーナーの右腕から生えている様だった。
ザレムは、盾でディーナーの攻撃をいなしつつ、反撃の機会をうかがっていた。
「まるでお嬢様の咽び泣く声が聞こえてきそうね。私たちがあなたをお嬢様の下へ送り出して差し上げるわ」
リアリュールが叫び、リボルバー「グラソン」とデリンジャーを両手に構えてディーナーをダブルファイアで狙撃する。
「お前たちに何が分かる! お嬢様はここに生きている!」
お嬢様に近づけまいと大きく槍を振るってディーナーは応戦するが、多勢に無勢だった。
アルマは、マテリアルチャージャーでマテリアルを集中して禁じ手《蒼断》を放ち、ディーナーの動きを止める。
「……やり直したかったのよね」
威嚇射撃を行い、ディーナーの動きを封じ込めながらイリアスは言う。ディーナーはお嬢様と歩むはずだった未来を叫んでいた。奪われた未来を狂おしく思って道を踏み外したのかとイリアスには思えた。
「夢は見れたか? そろそろ終わりの時間だ」
仲間たちの声に冷静さを失っているディーナーにミリアは正面から接近した。ミリアは巨大な刀を振るい、ディーナーの槍をへし折る。
ザレムはマテリアルアーマーを展開させ一気にマテリアルを放出し、防御力をさらに高めるとディーナーの懐に入り込んだ。
「そいつが大切なんだろ? 一緒に滅してやるよ。地獄に行きな」
ザレムの試作振動刀オートMURAMASAが真っ直ぐにディーナーの胸を貫いた。
ディーナーは地面に倒れ込む。仮面が外れて、素顔が露わになった。
「お嬢様、……おじょう、さま……」
這いずって古墳の前に座り込んでいるお嬢様の雑魔ににじり寄った。
「また、えがおを、みせ、て……」
ディーナーの体はサラサラと崩れて消えていった。
「月下美人の花言葉は『ただ一度だけ会いたくて』……どうしても、会いたかったんですね……」
アルマが呟いた。
お嬢様の雑魔は、ディーナーが消滅するのと前後するように崩れて消えてしまった。
ディーナーの最期を目撃して、呆然と佇むツアンプに心の整理をつける時間をとる。
ザレムは、力が抜けて虚脱したようなツアンプにそっと「村の再建は可能だ」と励ました。
「きっと村のみんなもまたやり直せるわ。生きていればまた。種を撒く様に、木を植えるように。……あの歪虚さんも、やり直したかっただけなのかも、しれないけれど」
イリアスは、ディーナーが消えた場所を見つめながら言った。方法は間違っていたけれどそれだけもう一度会いたい相手だったのだろう。
「世界はとっても、難しいわね」
イリアスは、ポツリとつぶやいた。
アルマは、シェノグ族がキャンプを張っている草原の見晴らしのいい場所に石を積み上げディーナーの墓を作っていた。
シェノグ族の元に戻り顛末を報告したあと、「こういう方もいたって、忘れたくないですから……」と墓を作りたいと申し出たのだった。
「部族のみんなでお茶しましょぉ。片づけも手伝いますよぅ」
ハナは、持参しておいたお茶とお菓子をシェノグ族たちに提供した。これで恐怖は終わったのだと印象付けるために明るく元気に振る舞った。
焼け出されて以来の甘味に部族の人々の顔も久しぶりに笑顔を浮かべていた。
「村は今いるところに再建するのかしら?」
お茶の輪の中にいる長い髭の族長にリアリュールが話しかけた。族長は、広さもちょうどいいのでそのつもりで計画していますと答える。森からは少し離れるが見晴らしもいいし、街道にも出やすいので便の良さを考えてこの場所にしたという。
「手が必要だったらいつでも言ってね」
リアリュールは再建に協力すると約束した。
「他にも手伝えることがあったら、言ってくれ」
ミリアは、村の復興を少しでも後押ししようと再建の手伝いを買って出ていた。部族だけでは運びにくい大きな荷物を移動させるのを手伝ったり、焼け跡から持ち出した道具を仕分けたりとシェノグ族とほがらかに行動を共にしていく。
部族民たちの様子をホッとしたように眺めているツアンプに、ハナはそっと近寄ると飴を大量に渡した。
「貴女が子供たちにあげて下さいぃ。子供の笑顔が1番みんなを元気にすると思いますぅ。大事な人を守れれば人は幸せになれると思いますぅ。貴女はみんなを守れますように……そして必要ならどんどん私たちを頼って下さいねぇ」
ハナの言葉に、ツアンプは「はい!」と答える。きらりと光るものが目には浮かんでいた。
リアリュール(ka2003)はそっと手を握りしめながら呟いた。ディーナーが歪虚になっていなかったら、シェノグ族との関係はまた違うものになっていただろうかと想像して悲しみが胸に満ちる。
「そう……故郷を。それはとても、悲しい事だわ」
ツアンプ・シェノグ(kz0170)から経緯を聞いているイリアス(ka0789)は言った。故郷の集落が焼かれたらと思うと、想像も出来ない。自身の村が炎に包まれそうになると考えただけで、怖くてその先を考えたくはなかった。
ツアンプも淡々と事実を語ろうとするも、心の整理がついていないのか時折涙声になっている。
「……大切なヒトのために。お気持ちがわからないわけじゃないです。けど……」
アルマ・A・エインズワース(ka4901)はもしも自分の最愛の人を失ったらと考えて身震いした。ミリア・エインズワース(ka1287)が自分の前から消えてしまう事など考えたくもない。
「気持ちはわからんでもないがやりすぎだ。倒すしかないな」
アルマのつぶやきに、ミリアが答えた。最愛の人を失う喪失感を想像すれば蘇らせたいと思うかもしれないが、だからと言って森や村を焼くことを正当化できるはずがなかった。
「歪んだ欲望のために大勢の人を踏みつける行為は唾棄すべきものだ」
事情を聞いていたザレム・アズール(ka0878)が怒りをあらわにしながら言った。
「通りすがっただけの私だけど、ハンターとして、森の狩人として、がんばるからね」
イリアスはツアンプの肩にそっと手を置くと優しく言った。ツアンプはその言葉に励まされたのか「……はい」と小さく返事をした。
「ツアンプさん、私の横か後ろにいてくださいね」
リアリュールは、道案内をするツアンプが前に出すぎないように注意しながら進んだ。万が一の時にはすぐカバーできる位置を歩いてもらう。
星野 ハナ(ka5852)は、身に着けた部族から借りた赤い鞭を確認した。ツアンプから直接鞭を借りた方が安全度は上がるが、彼女の誇りの問題もあるため標的を少しでも分散させるために鞭を借りたのだ。
「今度も雑魔は赤い鞭を狙うかもですぅ。ツアンプさんはシェノグ族の次期族長として、それともただのツアンプとして……どちらで彼に会いに行きますぅ?」
ハナはツアンプに問いかけた。少なくとも自分たちがディーナーを倒せば彼は思い出の中の存在になってしまう。酷い思い出だが、少しでも軽くしてあげたかった。
ツアンプは、迷いなく次期族長として行くと答えた。部族を預かるものの責任として最期を見届けなければならない、と。
「護衛は任せてくださいですぅ。一緒に行きましょう!」
ハナはツアンプの覚悟を聞いた。それが少しでも幸せな結末を目指せればいいと思う。
「俺達のマテリアルに惹かれて向こうからやってくる可能性もある。注意して進もう」
獣道をかき分けながら進むザレムが言った。相手は、マテリアルを欲しているらしい。いつどこから出てくるか分からない状況の中、ツアンプの道案内を頼りに周囲の音や気配に気を配って進んでいる。
「そろそろ古墳が近いでしょうか」
周囲を確認しながら、リアリュールが言った。雑魔が通った跡だろうか、倒れている草が多くなったように感じられた。
「みんな私より強いからあまり心配しなくてもよさそうだけど、ツアンプさんには何かあったらいけないから、離れて物陰から見ていて貰いたいかな」
イリアスが戦闘を前にツアンプへ下がっているように言う。
「遠くからになりますけど、隠れてみていてくださいね」
リアリュールも言い添える。
「皆さん、お気を付けて」
ツアンプも忠告に素直に従って後ろへと下がった。
ディーナーが古墳の前で雑魔たちに命令を出していたとき、雑魔の一人が森を移動してくるハンター達に気が付いた。
「ハンターどもか、ちょうどいい! お嬢様の目覚めの糧にさせてもらうぞ!」
ハンターの接近にディーナーは雑魔たちに命令を下した。
朝顔の蕾を模した槍を持った少女たちはハンターを絡め取ろうと走り出す。
「ボクらの仕事は君らの殲滅。シンプルで良いだろ? さあ、こっちにおいで」
ミリアがソウルトーチを唱えた。炎のような目を引くオーラがミリアの身のうちより立ち上り雑魔たちの注目を集める。
もとよりマテリアルに反応する雑魔だったせいか、朝顔の少女たちはマテリアルを求めミリアに殺到した。
「行きましょぉツアンプさん。私の傍を離れないで下さいねぇ」
ハナはツアンプを守りつつディーナーに対して神罰銃を構えた。
リアリュールは、隠れているツアンプの様子を気にした。もしも、雑魔たちがハンターでなくツアンプを狙うようなら妨害射撃で阻止するつもりだ。
「火力には自信がありますから!」
アルマはミリアに殺到する雑魔を暁の呼び声でもって、まとめて焼き払いにかかる。この時、雑魔に囲まれているミリアを巻き込まないようにと注意を払っていた。
ザレムは走る雑魔を見てツアンプに防御障壁をかける。ありがとうございますと言うツアンプに、礼はいらないさと返す。
「それよりも敵が俺達の見ていない方から来たら教えてくれ」
ザレムはツアンプにも出来る無理のない役割をふった。ただ見ているだけではない、参加したと実感することで達成感が生まれるだろう。
朝顔の雑魔は、ミリアの動きを封じようと蔓を使う。
「アルマ、遠くから焼いてくれ」
ミリアは雑魔の蔓を掴んで雑魔と引っ張り合う格好になった。グググッと引っ張り合い両者共に動けない中で、ミリアはアルマに元を断つように指示を出す。
「任せてください」
アルマは蔓を焼き払うよりも効果的だろうと蔓の元である雑魔に禁じ手《蒼断》を放った。青く輝く刃は雑魔の少女を断ち切って、ミリアを雑魔の蔓から解放する。
「近くの雑魔は任せろ」
蔓から自由になったミリアは、斬魔刀「祢々切丸」を構える。巨大な刀を振り回して近くにいる朝顔の少女たちを薙ぎ払う。
「……案外かわいい歪虚さんたちだけれど、倒さないといけないから敵、ね」
イリアスは見た目だけなら可愛らしい雑魔に牽制射撃を撃ち込みながら言った。仲間たちの高い攻撃力を発揮してもらうために援護に回る。
「大切な物が失われていくのを、何もしないで受け止めるだけというのは、確かにとてもつらいことね」
制圧射撃をし、冬虫夏草の雑魔の味方への接近を阻みながらリアリュールが言った。大切な人がいなくなってしまう悲しみを彼女も知っている。
「このお嬢様の偶像を本物の代わりの慰みにするものかしら?」
偽物は本物の代わりにはならないとリアリュールは訴えた。
「違う、お嬢様は蘇るんだ! 偽物じゃない、邪魔をするな!」
ディーナーは叫び、種を投げつける。種は瞬く間に向日葵に成長し周囲を攻撃する。
「植物なんだろ? なら燃えるよな」
ザレムは急成長し周囲を攻撃を始めた向日葵に向かってファイアスローワーを放った。火に弱かったのか向日葵は炎に消える。
「雑魔で止まるほど私たちが弱いと思わないで下さいねぇ」
ハナは、纏まっている朝顔の雑魔に五色光符陣を立て続けに放ち、無力化していく。光に目がくらんだ雑魔は動きを止める。
「術だけじゃないんだな。悪いな」
ザレムは機関銃を下ろして引き金を引く。命中精度に難のある機関銃だが行動を阻害されている雑魔たちに避けられるものではなかった。轟音と共に掃討される。
「敵の増援ですね」
朝顔の雑魔の後ろからフードを被った雑魔が近寄ってくるのを見たイリアスは、目とマテリアルを集中させてシャープシューティングを放つ。フードの雑魔たちは避けられず縫い止めたれたようにその場から動けなくなってしまった。
アルマはイリアスが動きを止めた雑魔の少女を暁の呼び声で倒していく。周囲の森に影響が出ないように注意しながら術を使用していった。
雑魔を倒されたディーナーは、種をばら撒いて向日葵の壁を作る。
「やっぱり、種から増えるのね……?」
種から成長した向日葵が周囲を攻撃する様子を見てイリアスが呟く。
「まとめて焼き払ってやる!」
ザレムは、ファイアスローワーを向日葵が密集している場所に放ってまとめて焼き払った。
成長した向日葵はハンターを襲うがそれも魔法や遠距離攻撃で制圧されてしまった。
ザレムは、ディーナーの後ろにいる雑魔を見た。
「あれが奴の大切な物……か」
一人だけ違う雰囲気の雑魔にあれがディーナーの言うお嬢様だと認識する。
「動かないなら、お嬢様は最後にしましょう」
リアリュールは言う。
「初めましてです。僕、アルマって言いますー」
アルマはディーナーとの距離を詰めながら声を掛けた。
「彼女、大事だった……いえ、大事なヒトなんですね。でも……なおさら、どうして村を燃やしたりしたんです?」
周りから『村を一つ焼き滅ぼした危険な歪虚』と認識されることは分かっていただろうにどうして、とアルマは思う。
「お前たちが、お嬢様復活の邪魔をするからじゃないか! 邪魔ものを排除して何が悪い!」
ディーナーが叫び返し、種を飛ばす。
アルマの目の前で種から成長した向日葵をミリアは、刀を振るって処理した。
「アルマ、怪我はない?」
アルマは僕が守ると宣言していたミリアは振り返り、アルマの無事を確認した。「大丈夫です」というアルマの返答にミリアはホッとする。向日葵をすぐに処理したためにアルマに怪我はなかった。
「だから自分達がここにいる。目の前の彼を、『危険な歪虚』を、彼が作った『お嬢様』ごと殺すため。ねぇ『ディーナーさん』どうしてこんなことがわからなかったんです……?」
アルマはミリアに庇われながらディーナーに対して歪虚としてではなく、一人の『ヒト』として語りかける。
「分かっていないのはお前たちだ。この世にお嬢様よりも価値のある者などいなかったのだから!」
距離を詰められる中、ディーナーはマントの下から鋭い棘を持った槍を出し応戦する。その槍はディーナーの右腕から生えている様だった。
ザレムは、盾でディーナーの攻撃をいなしつつ、反撃の機会をうかがっていた。
「まるでお嬢様の咽び泣く声が聞こえてきそうね。私たちがあなたをお嬢様の下へ送り出して差し上げるわ」
リアリュールが叫び、リボルバー「グラソン」とデリンジャーを両手に構えてディーナーをダブルファイアで狙撃する。
「お前たちに何が分かる! お嬢様はここに生きている!」
お嬢様に近づけまいと大きく槍を振るってディーナーは応戦するが、多勢に無勢だった。
アルマは、マテリアルチャージャーでマテリアルを集中して禁じ手《蒼断》を放ち、ディーナーの動きを止める。
「……やり直したかったのよね」
威嚇射撃を行い、ディーナーの動きを封じ込めながらイリアスは言う。ディーナーはお嬢様と歩むはずだった未来を叫んでいた。奪われた未来を狂おしく思って道を踏み外したのかとイリアスには思えた。
「夢は見れたか? そろそろ終わりの時間だ」
仲間たちの声に冷静さを失っているディーナーにミリアは正面から接近した。ミリアは巨大な刀を振るい、ディーナーの槍をへし折る。
ザレムはマテリアルアーマーを展開させ一気にマテリアルを放出し、防御力をさらに高めるとディーナーの懐に入り込んだ。
「そいつが大切なんだろ? 一緒に滅してやるよ。地獄に行きな」
ザレムの試作振動刀オートMURAMASAが真っ直ぐにディーナーの胸を貫いた。
ディーナーは地面に倒れ込む。仮面が外れて、素顔が露わになった。
「お嬢様、……おじょう、さま……」
這いずって古墳の前に座り込んでいるお嬢様の雑魔ににじり寄った。
「また、えがおを、みせ、て……」
ディーナーの体はサラサラと崩れて消えていった。
「月下美人の花言葉は『ただ一度だけ会いたくて』……どうしても、会いたかったんですね……」
アルマが呟いた。
お嬢様の雑魔は、ディーナーが消滅するのと前後するように崩れて消えてしまった。
ディーナーの最期を目撃して、呆然と佇むツアンプに心の整理をつける時間をとる。
ザレムは、力が抜けて虚脱したようなツアンプにそっと「村の再建は可能だ」と励ました。
「きっと村のみんなもまたやり直せるわ。生きていればまた。種を撒く様に、木を植えるように。……あの歪虚さんも、やり直したかっただけなのかも、しれないけれど」
イリアスは、ディーナーが消えた場所を見つめながら言った。方法は間違っていたけれどそれだけもう一度会いたい相手だったのだろう。
「世界はとっても、難しいわね」
イリアスは、ポツリとつぶやいた。
アルマは、シェノグ族がキャンプを張っている草原の見晴らしのいい場所に石を積み上げディーナーの墓を作っていた。
シェノグ族の元に戻り顛末を報告したあと、「こういう方もいたって、忘れたくないですから……」と墓を作りたいと申し出たのだった。
「部族のみんなでお茶しましょぉ。片づけも手伝いますよぅ」
ハナは、持参しておいたお茶とお菓子をシェノグ族たちに提供した。これで恐怖は終わったのだと印象付けるために明るく元気に振る舞った。
焼け出されて以来の甘味に部族の人々の顔も久しぶりに笑顔を浮かべていた。
「村は今いるところに再建するのかしら?」
お茶の輪の中にいる長い髭の族長にリアリュールが話しかけた。族長は、広さもちょうどいいのでそのつもりで計画していますと答える。森からは少し離れるが見晴らしもいいし、街道にも出やすいので便の良さを考えてこの場所にしたという。
「手が必要だったらいつでも言ってね」
リアリュールは再建に協力すると約束した。
「他にも手伝えることがあったら、言ってくれ」
ミリアは、村の復興を少しでも後押ししようと再建の手伝いを買って出ていた。部族だけでは運びにくい大きな荷物を移動させるのを手伝ったり、焼け跡から持ち出した道具を仕分けたりとシェノグ族とほがらかに行動を共にしていく。
部族民たちの様子をホッとしたように眺めているツアンプに、ハナはそっと近寄ると飴を大量に渡した。
「貴女が子供たちにあげて下さいぃ。子供の笑顔が1番みんなを元気にすると思いますぅ。大事な人を守れれば人は幸せになれると思いますぅ。貴女はみんなを守れますように……そして必要ならどんどん私たちを頼って下さいねぇ」
ハナの言葉に、ツアンプは「はい!」と答える。きらりと光るものが目には浮かんでいた。
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相談卓ですっ アルマ・A・エインズワース(ka4901) エルフ|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/08/31 21:15:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/28 11:45:01 |