• 月機

【月機】 Savage Storm

マスター:桐咲鈴華

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~2人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/09/05 09:00
完成日
2016/09/13 06:26

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 大幻獣ツキウサギと共におばけクルミの里を訪れたバタルトゥ・オイマト(kz0023)。
 里へ到着したまでは良いが、隙を突いた歪虚コーリアスが里を完全包囲。バタルトゥは思わぬ形で危機的状況となった。
 さらにコーリアスはハンターとルールを取り決め、三週間後の総攻撃を宣言する。

 刻一刻と流れていく時間。
 だが、双方とも三週間を黙って過ごす訳はない。
 決戦を前にすべき事は――山積していた。




「ひでえ風だな……まだ近づいてもいないっていうのに、痛いほど吹き付けてきやがる」
「話には聞いていましたが、これほどとは……」
 吹きすさぶ嵐の中、双眼鏡を片手に男性ハンターは呟き、傍らの女性ハンターもまた強い風にフードを抑える。彼らはコーリアスの陣営に対し斥候を担い、コーリアスの防備施設の情報を得る為に潜入をしていた。ロレント・フェイタリ(kz0111)の事前調査により、コーリアスの陣営の工場と思しきものが見つかった為に、彼らは改めて調査の為に駆り出されたのだが……その様相は工場というよりも前線基地に近いものだった。
「ちっ、コーリアスの野郎め。『錬金術は使わないけど事前に使ってたものならOK』ってか? 狡い奴め」
「取引をするとはいえ、歪虚ですから……」
 双眼鏡についた雨粒を拭くも、雨そのものが視界を遮断する中、それ以上の詳しい情報は得られない、
 コーリアスは人間側との戦いに備え、自らの拠点の周囲に様々な防備を用意しており、近代兵器と呼べるような代物も多く揃えている。木々の影から拠点を覗き見るだけでも、その凶悪性は目を見張るものがあった。
「ミサイルにレーザー砲……銃火器で武装した歪虚もいやがる。それにしてもこの嵐は……」
「この嵐が、拠点の一番の特徴のようですね……」
 完全武装しているだけでも厄介な拠点だが、それだけではない。先程から吹きつける暴風雨は自然のものではない。コーリアスの用意した拠点の中心部、巨大にそびえ立つ鉄塔のような装置が、強力なマテリアルを上空へと放ち続けていた。
「嵐の発生装置って訳か、この風雨じゃ近づく事も難しいっていうのに、奴さんは完全対策と来た。厄介な話だ」
「それに敵の兵器の規模からするに、大規模な行軍は逆に的になりそうですね」
 ミサイルは広範囲を爆撃するもので、レーザー砲も貫通力に優れるもの。加えてこの風雨ならば大人数での行軍は逆に足を止められてしまう為に、大人数での強襲は不利を極めるだろう。
「……よし、この情報を持ち帰ろう。少数精鋭で突破する為の作戦を立てるぞ」
「了解しました」
 素早く情報を得た二人は踵を返し、木々の隙間を縫って拠点から離れていく。コーリアスとの、化かし合いとも呼べる削り合いがここに始まろうとしていた。

リプレイ本文

●嵐の中の制圧戦

 局地的な暴風雨が、辺境の一部地域を襲う。激しい雨が地面を次々に泥濘に変え、木々を薙ぐような風が絶えず吹き付ける。拠点の中央にそびえ立つ巨大な装置の周辺には、魂のない人形が銃火器を持って警邏している。
 嵐発生装置。コーリアスの作り出した防備施設の一つであり、辺境において彼の『ゲーム』を支援する一つの拠点となっている。
「戦う前から戦いは始まっているという事か」
 その様子を遠くから見ているロニ・カルディス(ka0551)が呟く。コーリアスとの戦いは言うなれば睨み合いをしながら妨害しあうようなものであり、この戦いは前哨戦も同じだ。
「コーリアスが相手ですし、装置での通信障害がある可能性もあるので、一応連絡用に渡しておきます」
 近くにいた夜桜 奏音(ka5754)が、口伝符を生成し、メンバー全員に手渡す。狡猾なコーリアスを見越しての予防線というわけだ。
「よし、準備は出来たな……制圧を開始するぞ」
 不動シオン(ka5395)の言葉にハンター達は頷き、それぞれが基地制圧に向けて行動を開始する。

 ソルジャーゴーレムは、アサルトライフルを手に基地内外を哨戒する。彼らの知覚は風雨の中でも見通せるよう、マテリアルの流れによる探知を内蔵している。無機質な身体で銃を携え、機械的な動きで周囲を見渡している。
 そんな中、遠方でチカチカと何かが灯る。視覚的に見てもマテリアルで観測しても反応のあるそこは、基地の防衛ラインのギリギリの場所だ。ゴーレム達は情報を伝達し、そちらの方にゆっくりと結集していく。

「超大型台風に飛び込んだみたいな情報だな……」
 鞍馬 真(ka5819)は体内のマテリアルを燃やして炎を纏う。ソウルトーチによって敵の注意がこちらに向き、ゴーレム達は侵入者を感知して此方側に向かってくる。
「敵のレーザー砲台もこちらを向いてくる、気をつけろ!」
 ロニが注意を促し、固まっている4人は警戒を厳にする。そのうちの一人の十色 エニア(ka0370)が、そびえ立つ巨大な装置を見ながら前へと出る。
「天候を操る……魔法的に考えれば、結構すごい事してるよね。それ用に改良されたゴーレムも、あいつの術の成せる業ってところかな」
 周囲一帯を吹き付ける暴風雨は止むことなく轟音と風雨を撒き散らしている。その技術の高さに感心すると同時に、これが自分たちの今対峙している、倒すべき敵なのだということをエニアは再確認する。
「ともあれ、こっちはしっかり引きつけないと。ね!」
 エニアの背から勢い良く羽のようなオーラが噴出され、覚醒状態になる。巨鎌を振るい魔法陣を描き、手を突き出す動作でマテリアルが変質。集められたマテリアルが放射状の猛吹雪となって前方から迫るゴーレムを襲う。
「―――!」
 吹雪自体でゴーレムの受ける傷はさほど効果的なものではない。だが、雨でぬかるんだ地面は水分を多量に含んでおり、エニアの放った猛吹雪は地面とゴーレムの足を凍結させ、その場に縫い付けた。
「こうなっちゃえば防水加工だろうが関係ないよね?」
 吹雪を発したエニアを攻撃しようと、ゴーレムはアサルトライフルを掃射する。エニアは自身の体に纏わせた風を巧みに操り、銃弾をくぐり抜けながら接近していく。
「やぁっ!」
 懐に入り、鎌を斬り上げる事で手に持っているアサルトライフルを叩き、照準をブレさせる。弾幕の薄くなったそこへ真が雷撃刀を構え、鋭く刺突してゴーレムを突き飛ばした。
「助かる」
「ナイス追撃だよ」
 短く応答をしあうと、そのまま散開。アサルトライフルを打ち込んでくる敵に対してはロニがレクイエムを奏でる事で動きを鈍らせ、シオンが拳銃の射撃でダメージを与えてゆく。そうしている間に続けて後方から新たなゴーレムが接近してくる。ゴーレムはチェンーソーを構えて真に振り下ろし、真は盾を巧みに操って正面からの攻撃を受け流す。
「人気者になった気分だな……だが、サイコロステーキにされるのは勘弁だ」
 ゴーレム達が真の発した光に釣られて次々と殺到してくる。嵐の中、まるで軍隊のように風雨をものともせずに向かってくる様子は脅威だ。それも銃や鋸で武装しているなら尚の事だ。
 だがハンター達とて迎え撃つだけではない。4人がゴーレムの猛攻を食い止めているうちに、また別のハンター達が両翼から挟み込むようにゴーレム達に向かった。
「アーマードライブインストール……魔力、フル解放!!」
 時音 ざくろ(ka1250)がマテリアルを自身に収束して全身に防護膜を形成し、チェーンソーを持ったゴーレムに飛びかかる。インストーラーを構えて前方に光の三角形を形成、デルタレイを放って、先の4人に殺到していたゴーレム達をまとめて貫いた。
「嵐を切り裂く、ざくろの冒険はここからスタートだよ!」
 ざくろはゴーグルを使って雨の中でもしっかり視界を確保し、エニアやロニがが動きを封じたゴーレム達へ容赦なく剣戟を叩き込んでいく。
「わっしも横合いから失礼するぞ、とな」
 対崎 紋次郎(ka1892)もまた乱入してくる。同じくデルタレイを放ち、体力の減っていたゴーレムを撃破する。乱入者に対してゴーレムもまたチェーンソーを振りかざすが、紋次郎はそれを冷静に盾で受け止め、
「弾け飛べ!」
 同時に構築していた障壁が雷撃を展開、攻撃してきたゴーレムを弾き飛ばす。
「お、こいつは使えそうだな。有り難く拝借するぞ、っと!」
 自らの機導知識で撃破したゴーレムからアサルトライフルを拾得すると、それを敵ゴーレムに向けて掃射する。
「いいものを使ってるじゃないか、遠慮はしないぞ」
 紋次郎が銃撃とデルタレイで弾幕を形成し、衝撃により動きを遅めてゆく。そんな中、降りしきる風雨の隙間を縫って閃光が迸り、ゴーレムの一体を貫いた。
「囮班の人たちには近づけさせませんよ」
 奏音が周囲の風雨とは別の風を足元から吹き上げて覚醒し、天へと放った符から雷撃を繰り出してゴーレムを攻撃する。空の隙間から放たれる雷光はゴーレム達を薙ぎ払い、電撃によってその体力を削っていった。
 ハンター達が交戦を繰り返している中、突如として前方が光り輝く。
「レーザーの砲撃か? 回避体勢をとれ!」
 ロニの号令と共に前方から強力な熱線が射撃され、森の一部が一直線に焼失する。
「はっ、こんなハイテク兵器を備えていたとは、大したもんだ。壊し甲斐があるぞ」
 嵐発生装置に、レーザー砲台。どちらも科学技術の粋を集めて作られたものだという事が見て取れ、シオンは不敵に笑む。
「行くぞ、アイビスさん」
「ええ、合わせるわ、アルトさん」
 レーザー砲撃の合間をついて、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)とアイビス・グラス(ka2477)が短い応対の後、同時に駆け出す。二人はマテリアルによる脚力強化により爆発的な瞬発力を獲得。風雨を突っ切って一気に嵐発生装置を狙って駆け抜ける。
 前方から発射音と共に、空中からミサイルが飛来してくる。それぞれがハンター達全員を狙って誘導され、不規則な軌道で追いかけてくる。
「時間との勝負、一秒でも早く辿り着かないとね!」
 アイビスは自身に放たれたミサイルを見ず、ただ純粋に脚力だけでその追撃を振り切る。木々の隙間を縫い、誘導性のミサイルを木に激突させて爆破し、爆風すらも脚力に任せて振り切る。その身そのものが迅雷ともいえる速度で一気に基地へと駆け抜けていった。
「ふ……っ!」
 アルトもまた、鋭い踏み込みによるサイドステップでミサイルの軌道を上下左右に揺さぶり、誘導をやり過ごすと同時に【縮地】による急激な移動で距離を取る事でミサイルの爆発範囲から一気に離脱。それどころかその爆風すらも踏み台にし、追い風として利用して更なる加速を繰り出した。
「武術の奥義は一日にして成らずだ。風雨の中の足運びも経験済みだ」
 アルトは武術の心得でぬかるんだ地面も注意して進むことができ、アイビスはトレンチコートにて風雨による体力消耗を抑える。結果として二人は暴風雨の移動妨害をさほど受ける事なく、基地まで到達していった。
 アルト、アイビスの二人が抜けていった為に、防備を命じられていたゴーレムはハンター達に向かう軌道を変え、二人を追撃せんと踵を返す。だがそれをさせまいと、ゴーレム達の進行方向にロニが立ち塞がる。
「行かせはせん」
 基地から大きく引き離した為、基地の防衛設備からの支援を最小限まで抑えて対峙する事に成功した今、目の前の敵に落ち着いて対処すれば良い。ロニはゆっくりと息を吐いて、クロノサイズを振りかぶる。
「はぁっ!」
 鎌の軌道を追い描くように光の波動が広がり、前方に拡散するように放たれる。強烈な光は衝撃となってゴーレム達を逆方向にまとめて押しとどめる。
 続けて装置からミサイルが飛来する。ミサイルは嵐の中を突っ切る推進力を持っており、高い誘導性を持っているが、細かな挙動が出来ないのは先のアイビスとアルトで実証済みだ。
 真は渾身の一撃をゴーレムに対して振り下ろす。雷撃刀はゴーレムの堅牢な身体にさえ大きく切れ込みを入れ、身体の中腹あたりで止まる。ミサイルが飛んできたのを見計らって真はゴーレムの身体を蹴り、飛んできたミサイルに当てて爆散させた。
「上手く言ったな……ミサイルのおおよそ距離は掴んだ、行け!」
「了解、そこか」
 奏音から渡された符を通じて、待機していた歩夢(ka5975)に伝達する。彼は囮班がゴーレムを引きつけている隙に占いで吉報と凶方を察知し、密かに基地の懐付近まで接近していた。『ゴーレムは感知を視覚ではなくマテリアルを基準にしている』と読んでいたのも大きい。真の連絡によりミサイルの一を確認すると、符を空に放り投げ、一条の雷としてミサイルを操作しているソルジャーゴーレムを貫いた。
「よし、ミサイルの無力化は可能そうだな。もう少し持ち応えてくれよ、皆!」
 歩夢はミサイルを操作するゴーレムに雷撃を放ちながら声を張り上げる。遠く後方にて、シオンは振動刀を携え、接近戦を得意とするソルジャーゴーレム・ソウに肉迫する。
「面白い、見事な防壁だ。もっと私を阻んでみろ!」
 ソウの懐に飛び込み、地面を削る程に低い軌道で迸る、紫炎にも似たオーラを纏った刀を全力で斬り上げる。
「――それでこそ、私が狩るに値する相手だ!」
 腰部分から肩にかけて逆袈裟で一刀両断にされたゴーレムはその場で崩れ落ちる。
「撃破確認、これで残りは……! シオン、後ろだ!」
 敵の撃破数を確認し、戦況を分析していた紋次郎がいち早くシオンの元へミサイルが飛来していたことに気付いた。シオンは大技を放った後で体勢が崩れている、直撃は免れないと思われたが……。
「させません!」
 同じくして戦場を俯瞰し、ミサイルに注意を払っていた奏音が結界を発動。広範囲に光の衝撃が迸り、ミサイルが空中で爆発する。
「助かった、感謝するぞ二人共」
「お気になさらず。注意していきましょう」
 ミサイルを遮断したのも束の間、遠方がまた光り輝く。一瞬の予兆の後、強烈な熱戦が放射されて一直線に森林が焼失する。しかし、前回の発射から次の砲撃までのタイムラグをしっかりと意識していたざくろは、この砲撃の直後に魔導符剣を構える。視界は風雨のせいで遠くまで見通すことはできない、が、レーザーによってまっすぐ開けた道が砲台の位置を示している。
「その合間の時間が命取りだ、必殺――デルタエンド!」
 剣を突き出して、光の三角形から3つの光線を射撃、風雨を裂きながら一直線に突き進む光線はレーザー砲台の砲塔部分に直撃し、大爆発を起こした。
「やったぁっ!」
 レーザー砲台の無力化に成功したハンター達は勢いを増し、ゴーレムを一体ずつ蹴散らしながら基地の方へと歩を進める。エニアが精霊の力を借りてマテリアルを経由し、アルトとアイビスに連絡を伝達する。
「こちら囮班、レーザー砲台を一基破壊して、ゴーレムの方は問題なく無力化出来てる、けど、相変わらずミサイル攻撃が来てる、何とか出来そう?」
 施設に到着したアイビス、アルトは現存する戦力と固定砲台の破壊の為に駆ける。施設内には未だ1基ずつの固定砲台が残っている。
 先行していた歩夢が雷撃により砲手の体力を削っていき、無力化していくが、砲手が再び補充されればミサイルの脅威は復活する。アイビスは迷いなく地を蹴りミサイル砲台へと接近。衝撃拳を駆動させ、駆け抜けたスピードと勢いを乗せて、その砲台へと拳を叩き込んだ。
「外は頑丈でも、中まで衝撃で破壊できれば……それでいいっ!!」
 シンプルだが、それゆえに強力な一撃。速度と膂力を載せた一撃は分厚い砲台の装甲を貫通し、ミサイルの発射口そのものを大きくひしゃげさせる。歪曲した砲台は中に装填されているミサイルの信管を刺激し、大きな音を立てて自爆した。
「次は、そっちだ……!」
 アルトもまた、風をも吹き飛ばすように鋭く疾く踏み込み、現存するレーザー砲台へ接近する。踏み込みの際に足にマテリアルを込め、踏み抜いた泥濘を弾き飛ばし、一歩、二歩と飛ぶように跳ぶ踏み込みで一瞬の内に砲台へと接近。速度を乗せた斬撃、【散華】で砲台を真っ二つに切り裂いた。
「これで良し。後は……」
 アルトは周囲に現存するゴーレムに鋭い視線を送る。基地の主火力である固定砲台を無力化した今、耐久性こそあれ技術が決定的に不足するゴーレムは、ハンター達の敵ではなかった。


●崩れ去る嵐の防壁

「制圧完了……だな」
 ロニが最後の敵を粉砕し、周囲のハンター達に告げる。轟々と逆巻く嵐と吹き付ける雨粒を払いながら、ハンター達は施設の心臓部、高くそびえ立つ嵐発生装置へと歩を詰めた。
「さて、さっさと壊してしまおう。こんな装置は百害あって一利無しだ」
「勿体無い……っていうのは、この際ナシだよね」
 紋次郎はコーリアスの防護施設の一つを現存させておく理由がないと破壊を推奨する。エニアも勿論それには同意だが、これ程の高いテクノロジーを持った施設を別の事に使えはしないかと、やや惜しいという気持ちを持っていた。
「仕方ないよエニア。その代わり証拠写真はたっぷり撮っておこう! ひょっとしたら何かに使えるかもしれないし、何より冒険の証拠が残るしね!」
「同感だな。装置だけでなく、破壊した設備の方も撮影しておこう。コーリアスの事が少しでも掴めるかもしれない」
 ざくろ、アルトは魔導カメラによって設備の撮影をしていく。重要な資料となる可能性がある施設の映像を記録しておくことは重要だ。二人はぐるりと一周、装置の周辺を撮影する。
「……よし、こんなものか。だが、コーリアスは狡猾だ。わざと間違った情報をこちらに渡す事も考えられる。分析や解析はロレントさん達に任せよう」
「よーし、それじゃあ、ひと思いに壊しちゃうわね」
 アイビスが拳を握り、シオンや真も武器を構える。そびえ立つ嵐発生装置は、その実装甲はそこまで厚くなく、ハンター達の渾身の攻撃には耐えられない。
「……はあっ!」
 真の一刀を皮切りに、次々とハンター達の攻撃が収束していく。一度に繰り出されたマテリアルの奔流はまるで爆発のような強烈な衝撃を産み、そびえ立つ嵐発生装置は根本から折られて倒壊していく。
「はははっ、嵐の守りに、それを活かす防備。そんな完璧な筈の防壁が崩れ去るサマは心が躍る!」
 倒れゆくその装置は、ぶつりとマテリアルの供給が途切れる、天を貫いていた力はなりを潜め、吹き荒んでいた風はやみ、打ち付ける雨粒も次第にその勢いを削がれてゆく。
 そうして広がっていく青空の隙間から、まばゆい太陽の光がその姿を覗かせた。
「ひとまず、こちらが一勝と言った所か」
 あたたかな日差しに肩の力を抜きながら、ぽつりとロニは呟くのだった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディスka0551
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろka1250
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音ka5754

  • 鞍馬 真ka5819

重体一覧

参加者一覧

  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 光凛一矢
    対崎 紋次郎(ka1892
    人間(蒼)|24才|男性|機導師
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 真実を照らし出す光
    歩夢(ka5975
    人間(紅)|20才|男性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/03 19:01:43
アイコン 作戦卓:防備施設制圧!
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
人間(クリムゾンウェスト)|21才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/09/04 21:56:57