ゲスト
(ka0000)
青竜紅刃流~Pクレープで演舞
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/05 22:00
- 完成日
- 2016/09/20 00:51
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「初華さん、白茶(ぱいちゃ)の売上って、どう?」
極彩色の街「ヴァリオス」の某所にある路上屋台「Pクレープ」の店頭で太っちょの青年、ポルテ・ポルカが聞いてきた。
「どう、って……。ポルテさんの店じゃないのよぅ」
Pクレープ店員の南那初華(kz0135)が突っ込む。この屋台は、主に田舎を商圏とした小さな商会「ポルカ商会」がある程度の赤字を覚悟しつつも「同盟領随一の都市であるヴァリオスで店を出している」というステイタスのために出店している。店と言いつつこんなに小さな屋台なあたりが残念な感じだが、後発でヴァリオスに店を構えることは困難を極めるので仕方がない。
それはともかく。
「いや、帳簿上は知ってるんだけどさ。売り場側から見てどう? 産地からは増産体制が整ったからもっと取り引きしたいって言ってきてるんだ」
ポルテ、そんな事情を話す。
説明しよう。
白茶とはリアルブルーであれば中国の高級茶で、こちらの世界では東方で飲まれている。
東方との交流が盛んになり、同盟領の農業振興地「ジェオルジ」で開発が進められている。大きな注目を浴びたわけではなく、紅茶や珈琲の文化圏で流行するのか、という疑問符もついたことで生産に動いたのは新茶葉生産に失敗した田舎村「タスカービレ」程度だった。
ただし、失敗した新茶葉は「葉の付きが多い半面、成長しない」というもので、新芽を使う白茶にぴったりだった。そんな幸運にも恵まれ、増産に至る。
白茶自体は薄い琥珀色をした茶で、香りは薄くキリッとした飲み口。それでいて、柔らかく口の中に広がる甘みがある。非常に上品で、若い芽を使う希少性もあり高価な茶となっている。希少性の問題をクリアしたタスカービレ産は比較的安価となるが。
なおタスカービレ。近年住民流出が続き新茶葉開発の失敗により寒村と化していたため、サルバトーレ=ロッソから日系・中華系の移民を受け入れ東方風の村として観光地化も進めている。
閑話休題。
で、初華。
「うーん……紅茶の香りをつけるブレンディングである程度愛好者は付いてくれたけど……どうなんだろう」
ハンターの協力で導入したブレンディングは低価格での提供も実現できたアイデアだった。
「今は暑いこともあって比較的出てるんじゃないか?」
屋台の横からそんな声。初華をそれとなく見守るべく自転車修理屋台を開いている自称「戦場詩人」のダイン・グラマンがそっと言葉を添えた。
「んあっ! そうそう。冷ましてじっくり飲みたい人には好評みたい」
ほら、紅茶みたいに覚めても苦くないでしょ、と声を弾ませる初華。
「飲んでもらいたいなら、汗をかいてもらって水分補給に、って時にいいのかねぇ」
「そうそう。ほんのり甘いから運動した後がいいかもねっ」
ダインの言葉に初華が、きゃい♪
「分かった。取引先に話してみるよ」
ポルテ、そう言って帰って行った。
後日。
「というわけで、産地の人が来ることになったよ」
「ほへ?」
Pクレープ店頭でいきなりいうポルテ。初華、何の事か分からない。
「ほら、白茶の取引を多くしたいって話があったでしょ? 運動後の楽しみとしてじっくり飲んでもらうといいかもしれないって産地の人に話したら、『じゃ、運動してもらおうか』ってなって……」
「産地って……」
「ジェオルジのタスカービレっていう田舎村。最近、青竜紅刃流って剣術流派ができたから、その一門の人が来て希望者に稽古を付けて、そしてあとから白茶を売ろうって」
「ほう、剣術稽古か……」
ここで、付近の若い不良たちを一手に束ねる禿頭のチンピラがやって来た。
「ちょうどいい。ここらが夜に戦場になるかもしれねぇ。若いのを集めてやるから鍛えてやってほしい」
そして、タスカービレ。
「決まったか。たまには出げいこもいいだろう」
決定を聞き、青竜紅刃流師範のイ寺鑑(kz0175)が腰を上げるのだった。
極彩色の街「ヴァリオス」の某所にある路上屋台「Pクレープ」の店頭で太っちょの青年、ポルテ・ポルカが聞いてきた。
「どう、って……。ポルテさんの店じゃないのよぅ」
Pクレープ店員の南那初華(kz0135)が突っ込む。この屋台は、主に田舎を商圏とした小さな商会「ポルカ商会」がある程度の赤字を覚悟しつつも「同盟領随一の都市であるヴァリオスで店を出している」というステイタスのために出店している。店と言いつつこんなに小さな屋台なあたりが残念な感じだが、後発でヴァリオスに店を構えることは困難を極めるので仕方がない。
それはともかく。
「いや、帳簿上は知ってるんだけどさ。売り場側から見てどう? 産地からは増産体制が整ったからもっと取り引きしたいって言ってきてるんだ」
ポルテ、そんな事情を話す。
説明しよう。
白茶とはリアルブルーであれば中国の高級茶で、こちらの世界では東方で飲まれている。
東方との交流が盛んになり、同盟領の農業振興地「ジェオルジ」で開発が進められている。大きな注目を浴びたわけではなく、紅茶や珈琲の文化圏で流行するのか、という疑問符もついたことで生産に動いたのは新茶葉生産に失敗した田舎村「タスカービレ」程度だった。
ただし、失敗した新茶葉は「葉の付きが多い半面、成長しない」というもので、新芽を使う白茶にぴったりだった。そんな幸運にも恵まれ、増産に至る。
白茶自体は薄い琥珀色をした茶で、香りは薄くキリッとした飲み口。それでいて、柔らかく口の中に広がる甘みがある。非常に上品で、若い芽を使う希少性もあり高価な茶となっている。希少性の問題をクリアしたタスカービレ産は比較的安価となるが。
なおタスカービレ。近年住民流出が続き新茶葉開発の失敗により寒村と化していたため、サルバトーレ=ロッソから日系・中華系の移民を受け入れ東方風の村として観光地化も進めている。
閑話休題。
で、初華。
「うーん……紅茶の香りをつけるブレンディングである程度愛好者は付いてくれたけど……どうなんだろう」
ハンターの協力で導入したブレンディングは低価格での提供も実現できたアイデアだった。
「今は暑いこともあって比較的出てるんじゃないか?」
屋台の横からそんな声。初華をそれとなく見守るべく自転車修理屋台を開いている自称「戦場詩人」のダイン・グラマンがそっと言葉を添えた。
「んあっ! そうそう。冷ましてじっくり飲みたい人には好評みたい」
ほら、紅茶みたいに覚めても苦くないでしょ、と声を弾ませる初華。
「飲んでもらいたいなら、汗をかいてもらって水分補給に、って時にいいのかねぇ」
「そうそう。ほんのり甘いから運動した後がいいかもねっ」
ダインの言葉に初華が、きゃい♪
「分かった。取引先に話してみるよ」
ポルテ、そう言って帰って行った。
後日。
「というわけで、産地の人が来ることになったよ」
「ほへ?」
Pクレープ店頭でいきなりいうポルテ。初華、何の事か分からない。
「ほら、白茶の取引を多くしたいって話があったでしょ? 運動後の楽しみとしてじっくり飲んでもらうといいかもしれないって産地の人に話したら、『じゃ、運動してもらおうか』ってなって……」
「産地って……」
「ジェオルジのタスカービレっていう田舎村。最近、青竜紅刃流って剣術流派ができたから、その一門の人が来て希望者に稽古を付けて、そしてあとから白茶を売ろうって」
「ほう、剣術稽古か……」
ここで、付近の若い不良たちを一手に束ねる禿頭のチンピラがやって来た。
「ちょうどいい。ここらが夜に戦場になるかもしれねぇ。若いのを集めてやるから鍛えてやってほしい」
そして、タスカービレ。
「決まったか。たまには出げいこもいいだろう」
決定を聞き、青竜紅刃流師範のイ寺鑑(kz0175)が腰を上げるのだった。
リプレイ本文
●
「へー、ここがPクレープかぁ。さすがヴァリオスのお店だね~」
ウーナ(ka1439)が街角屋台のカウンターに両手をついて中を覗くように伸び上って感心した。
「小さな屋台だけどね」
屋台で働く南那初華(kz0135)が準備しながら説明。
「ちょ……ウーナ、迷惑掛けに来たわけじゃ……あっ!」
イ寺鑑(kz0175)が注意するが、別方向の多由羅(ka6167)に気付いた。
「私も一応青竜紅刃流の師範の肩書を戴いておりますので、稽古など……おお、人が」
多由羅の言葉はともかく、その手元が問題。腰に帯びた大太刀の柄を握っていたのだから。
「多由羅、その人たちは客!」
「客? 確かに剣術指導を望む者は客ではありますが……」
あああ。多由羅、Pクレープの客を間違ってこってりしごくつもりだ!
その時。
「よぉ、初華ちゃん。今日は美人さんが多くて華やか。何よりじゃ」
おっと。屋台に来ていたのは常連のちょっと困った助平中年親父客だった。早速多由羅とウーナの容姿を褒めたたえる。
「華やか? そんな。ただ殺るか殺られるかの世界に身を置くこの私がそのようなことは……」
「ホント? ありがとう。……ほらほら、多由羅。シティガールはそんなごあいさつ程度の褒め言葉は軽く受け流すんだよ」
柄から手を外しくねりと我が身を確認しつつ困っている多由羅の腰をウーナが押してカウンター前の場所を開ける。
「いきなりどうなるかと思ったわ」
横で成り行きを見ていたマリィア・バルデス(ka5848)が肩にかかる髪の毛を払ってから屋台の横へと動いた。
「初華はリゼリオ以来ね。今日はよろしく」
「うんっ。マリィアさんも青竜紅刃流の関係者だとは思わなかった」
初華、酒飲んでバトルロイヤルしたときの仲間を覚えていた。
そこへ、背中に手を回しエプロンを着けながら狐中・小鳥(ka5484)がやって来た。
「ん、今日は私もクレープ屋で頑張って行くんだよ♪ 初華さんはよろしくなんだよー♪」
「うんっ。よろしくねっ」
小鳥は青竜紅風流にも関係しているが、今日はこちららしい。
「今日は天気もいいし、にぎやかでいいよね~」
そこにメルクーア(ka4005)も。
何やらむふふふ、と口元が緩んでいる。
「あ。メルクーアさん、何かたくらんでるでしょ?」
「さあ、何かしらね~♪」
目敏く気付いた初華に、ひらりと身を翻すメルクーア。気分も上々だ。
「頃合いですね……さぁ、仕事の時間です」
一歩引いて皆の様子を見ていた真田 天斗(ka0014)が前に出ると、「OPEN」の看板を立てた。
●
「さあ、まずは演舞だね」
「少々お待ちを」
銃と木刀を手に繰り出そうとしたウーナを、天斗が止めた。
「えー、何?」
「販売する白茶について伺いたいことが」
出鼻をくじかれ不満そうなウーナに、白茶販売が目的ですよね、と天斗。ウーナ、納得するしかない。
「生産農家は一度訪ねたいとは思っておりますが、まずはお話で状況を。気候や風土を知れば茶はもっと美味しく淹れる事が出来ますから」
「えーと、チクワが特産な山奥!」
「山奥で……チクワ?」
元気なウーナに、意外そうな顔をする天斗。
「米作もするので水系は豊かですから。白身の川魚で作ってます。温暖でいいところですよ。東洋風の村づくりをしていますが、お酒は白ワインが特産です」
くす、と鑑が会話に入る。
「白茶の生産量が上がってきたそうですね」
天斗の興味はそこに尽きる。
その横の屋台カウンターでは。
「チクワ? こんなところで?」
初華が目を輝かせていた。
「初華さん、興味あるんだ?」
小鳥が小麦粉を溶かしながらにっこり。
「あるある。だって、この街でチクワなんてお目にかかれないもの!」
「そういえばそうだよねー♪ でも、白茶もお目にかかれないし、今回はそっちに集中だよっ」
そこに、メルクーア。
「白茶は甘口でしょ? だったら、デザート系のクレープとの相性は今ひとつかもしれないかもよ?」
「ええと、それじゃチクワ?」
初華、メルクーアの言葉に納得してぽわわんとそんなことを口にしたり。
「味が薄くて弱くないかな?」
「そっか。揚げ物にしても磯辺焼きとか風味をつけるものね」
小鳥の話に再び納得の初華。
「だから肉類やチーズとか入れた、腹にたまる食事としてのクレープも用意したら白茶に合うんじゃないかなぁ?」
「それ、よさそうだね。それじゃわたしはさっぱり系の野菜を巻いたクレープを作ってみようかなっ」
メルクーアと小鳥が楽しそうにそれぞれ手を動かし始めた。
「あん。それじゃ私、どうしよう?」
「普通の焼いてればいいじゃない。ほら、お客さんが待ってるわ」
困った初華に声を掛けたマリィアは、実は横の自転車修理屋台の近くににいた。
「なあ、初華の手伝いかあっちの手伝いとかはいいのかい?」
そんなマリィアにダイン・グラマンが心配そうに声を掛ける。
「いいのよ。それより……ここって二輪専門と理解していいかしら? 私のコレ、もっと速く走れるようにしたいのよ」
マリィア、手で押していた愛車を見せる。先ほどどこかに移動していたのは魔導バイクを持って来るためだったらしい。
「ハンターの愛車だろ? 耐久性の問題もあるし、好みによるねぇ」
「日常的にいじってる人が体感してることも大切だから聞いてるのよ」
とかなんとかいいつつ、マリィアのバイクを囲んでもう話が弾んでいたり。
●
「いよう。若いの連れて来たぜ?」
そうこうするうち、いつもの禿頭のチンピラがやって来た。
「クレープ屋ぁ?」
「こんなとこで本当に強くなれんですか?」
そっぽを向く若手たち。
この様子に、鑑の眉がぴくついた。
「どのくらい強いか見てやろう」
すっと立ち上がる。
「待て。そっちのネーちゃんの相手の方がいいなぁ」
「そ、その太刀でやるんじゃねぇだろうな?!」
この様子に禿頭のチンピラ、ニヤニヤしながら多由羅を指名。若手は先に心配事を口にする。
が、すぐに後悔することになる。
「……勿論木刀でやらせて戴きますとも」
にたぁ、と渾身のドヤ顔しつつ立ち上がる多由羅。びたっ、と正眼で構えた様子は鬼気迫る。
「う……待った。こっちの獲物はナイフだからよ」
「じゃ、わたくしが代わりましょう」
ビビる若手の肩に手を乗せたのは、チンピラ仲間ではなかった。どこか陰のある、背を丸めた青白い男だった。手には杖を持ち、構えた。
「行きます!」
多由羅、踏み込む!
「失礼」
男、右に流れつつ抜刀したかのように杖を薙いだ!
――かしぃ……。
「ほほう…腕に覚えのある方々のようですね……何人、殺(や)りましたか?」
「さあ。あなたが殺(や)ったほどではないかも」
打ち合い背を向けた二人。互いの力量を悟った。迫真の激突は、互いの武器を打ちあっただけの引き分けである。
「気を抜けば引き分けどころかこちらが危ういという事ですか……」
「待った。多由羅、そこまで」
ゆらりと振り向いた多由羅を鑑が止めた。
「? 何をなさいます、イ寺様? え? くれーぷに回れ?」
どうやら続けさせると空気が凍ると判断したようだ。多由羅、「私の本業は人斬りだというのに……」とかぶつぶつ言いつつ鑑に連行される。
「そっちはナイフ? それならこれでちょうどいいね」
チンピラはウーナが相手。
「待て。拳銃かよ」
「空砲だし、接射しかしないよ?」
ウーナ、ナイフと同じ条件で使うと説明するが相手は「でもよぅ」と難色。
「ふうん……じゃ、あたしに勝てたらデートしてあげる♪」
「よし決まった!」
うふん、と両手を上げて胸を反らせただけでチンピラは前言撤回した。
ここで、屋台からメルクーアが悪戯そうな笑みを浮かべつつ走って来た。
「待って待って。手合せならぜひここで~」
メルクーア、先に観客用の長椅子をセッティングしておいた場所に二人を誘導した。「お? そこで見れるんかい」と助平親父たちも移動した。どうやら格闘好きでもあるようで。
「よし、行くぜ?」
「あ、負けたらクレープおごりね?」
ナイフを構えたチンピラ。ウーナの条件に少しひるむが、もう引けない。
で、突っ込んだ若手チンピラ。
「おわっ!」
「青竜紅刃流の技を見せるまでもないか」
あっさりと切っ先をかわし、相手の右脇下をくぐるようにやり過ごして側頭部に銃口をぐりっと押し付けた。
「まずクレープ一枚。次!」
「もうその手は食わないぜ?」
次のチンピラが入って来た。ナイフで確実に突いてきた。
「青竜紅刃流・攻め崩し!」
一撃目をかわし、牽制射撃の要領で銃口を動かし二撃目を誘い逆に強く弾いた。「あっ」と相手の利き手が上がったがら空きの空間に身を入れ、銃口ぐりり。
「クレープもう一枚追加!」
「……太るんじゃないかな、ウーナ?」
順調に増加する奢り枚数を心配する鑑だったり。
●
「クレープ、お待たせしました」
天斗は、屋台のカウンターと演舞の観客席と間延びしてしまった距離を補うための給仕に徹している。
「うん、後は……今日は飲み物も欲しいなぁ」
助平親父たちの中には、引き続きチンピラたちの指導に移った様子を見ながらいつもより長居をして喉の乾いた者もいた。
「白茶がありますが……」
「おお、産地の流派が指導しとるんじゃったの。ぜひ欲しい」
「産地ではあのように汗を流した後に飲む一杯が格別との事です」
天斗、事前に仕入れた情報を加味して白茶一杯にドラマ性を持たせた。
「よし……次の人、少し気合を入れてみませんか?」
「格別? 運動不足じゃし、やってみよう」
鑑の呼び声に応えて立ち上がると、指導に従い木刀を素振りする。その間に白茶を淹れる天斗。
「ほへ? 天斗さん、二杯目を取るの?」
初華が目敏く気付いて近寄った。
「ラム酒チーズのクレープですから……料理とお茶のマリアージュ、腕がなりますね」
どうやら天斗、一番茶だと甘いクレープには合わないと判断。渋さの出る二番茶以降を出すことにしたらしい。
「一番茶はすぐに欲しい人に呼び掛けてもらえれば」
てきぱきと指示。
そんな中、カウンターで女性客に話す小鳥の声がする。
「最近、甘いものは控えてるんだけど……」
「それならヘルシーなこちらがいいんだよ。サラダ的な感じで食べればよいかも?」
焼いたばかりのサラダクレープは、緑にパプリカの赤にドレッシングと色とりどり。女性客もすっかり気に入った様子。
「小鳥さ~ん」
初華の呼ぶ声に気付き、小鳥が出て来て今の客を手招き。
「クレープと一緒に甘くて美味しい白茶はどうかな。砂糖とかは入ってないからヘルシーなんだよ」
「まあ、甘くてヘルシー……」
女性客、小鳥の言葉にうっとり。こちらもお買い上げだ。
その時、ダインの露店では。
「あっちが忙しくなってるねぇ?」
行かなくていいのかい、とスパナを持ったダイン。
「仕方ないわね」
「白茶の販売が足りてなさそうだが……茶の飲み方なんかの知識はどうかな?」
立ち上がったマリィアに、にやりとダイン。
「飲み方の一家言? もちろんあるわよ、決まってるじゃない」
エプロンを着けながら振り向くマリィア。
「一度飲んで食中茶でも食後茶向きでもないだろうなと思ったわ。なら後は、どの階層の人にどういう飲み方をしてほしいかでしょう?」
にこりと天斗の元に向かう。
で、しばらくして戻ってきた。大量の白茶とともに。
「おい……いいのか?」
「いいのよ。こっちのお客様向け……ねえ、最近私、白茶の飲み方を研究してるの。良かったら一緒に味見してくれない?」
修理露店を興味深そうに見る人たちに振る舞うマリィア。どうやら時間を置いてどのくらい変化があるかなどを確認したいらしい。
●
「よし、次!」
「私には千切った一口でいいから、残りのクレープは観客に振舞うこと!」
熱を帯びる鑑の指導に、ウーナと立ち合いたい若い男と次々相手をして賭けのクレープを食べきれないウーナ。
「多由羅さんはこっちをお願いしますね」
初華はそんな客席に多由羅を引っ張ってきたり。
「どうしました?」
天斗、初華に白茶を手渡しながら聞いてみる。
「ありがと。ちょうど喉が……っていうか、多由羅さんったら」
「チクワの中にくれーぷを混ぜてみるというのは素晴らしいあいであだと……」
初華の視線にもごもご答える多由羅。
「よしておくのが無難ですね」
「おお、先のおねーちゃん。こっちきて一緒に見よう!」
ため息を吐く天斗。そこに助平親父客からの呼び声。
「では、給仕に……」
多由羅、「やはり私は人を斬る以外に能がないようです…」とか呟きつつ助平親父たちのいる席に。
「新作のお野菜の入ったクレープもあるんだよ♪ デザートとしてだけじゃなくておかずとしても食べて見てね♪ 新しい味かもしれないけどっ」
その後方で小鳥の軽快な声。
おや、小鳥も多由羅と同じくチャイナ服だ。
それはそれとして、メルクーア。
「お昼が近いから出番かもー」
仕込んでいたお肉とチーズを使った、がっつり食べられるクレープを焼いて焼いて、焼きまくる。
お肉はもちろん、鉄板でじゅうと焼いて。
甘いにおいとは別に、お肉の良いにおいも風に乗った。
「おおい。こっちにお肉クレープ」
「はいはい。ただいまー」
急いで届けるメルクーア。良いにおいは正義。
「冷えた白茶はいかが? 冷えてもほんのり甘いわよ?」
マリィアも冷えた場合の飲み頃を提供に歩く。
「ほれほれ、多由ちゃんも飲んで飲んで。わしの奢りじゃ」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
多由羅、助平親父客と同じ長椅子に座って接客。って、どこぞの夜の店状態じゃないですか。
「ほれほれ、小鳥ちゃんも」
「な、名前をどうして……」
「初華ちゃんがそう呼んでおった。ほれ。奢りじゃ」
憐れ、小鳥も巻き込まれ。お触りとかはないようだが。
「さて、次の相手は誰?」
メルクーアはお腹いっぱいになったウーナの代わりに賭け勝負に立ったのでセーフ。次々勝利しているので同じことになりそう。
「くっそぅ」
「でもこの茶、確かにうめぇ」
「紅茶みたいに苦くないのがいい」
「この肉のクレープもうまいぜ」
稽古でこってり絞られた若いチンピラはいい汗をかいて満足している。
「他流試合は手伝うまでもなかったですね」
天斗はその様子を見つつ、拳鳴らしつつ少し残念そう。
「天斗さん、茶の好きな人が集まって来すぎちゃったの。何とかしてぇ」
初華の悲鳴に、やれやれと手伝いに行くのだった。
「じゃんじゃん運動してお腹を空かせてよっ!」
「喉が渇いたらこちらもよろしく」
ナックルの拳を固め構えるメルクーア。そしてマリィアの呼び込みの声が響く。
そんな中、ウーナ。
「ふうん。よく描けてるね」
イーゼルを立てた絵描きに気付き話し掛けていた。
「お邪魔かな?」
「ううん。宣伝になるし、描いてくれたらクレープ奢るよ」
というわけで、宣伝の絵も描いてもらえたのだった。
「へー、ここがPクレープかぁ。さすがヴァリオスのお店だね~」
ウーナ(ka1439)が街角屋台のカウンターに両手をついて中を覗くように伸び上って感心した。
「小さな屋台だけどね」
屋台で働く南那初華(kz0135)が準備しながら説明。
「ちょ……ウーナ、迷惑掛けに来たわけじゃ……あっ!」
イ寺鑑(kz0175)が注意するが、別方向の多由羅(ka6167)に気付いた。
「私も一応青竜紅刃流の師範の肩書を戴いておりますので、稽古など……おお、人が」
多由羅の言葉はともかく、その手元が問題。腰に帯びた大太刀の柄を握っていたのだから。
「多由羅、その人たちは客!」
「客? 確かに剣術指導を望む者は客ではありますが……」
あああ。多由羅、Pクレープの客を間違ってこってりしごくつもりだ!
その時。
「よぉ、初華ちゃん。今日は美人さんが多くて華やか。何よりじゃ」
おっと。屋台に来ていたのは常連のちょっと困った助平中年親父客だった。早速多由羅とウーナの容姿を褒めたたえる。
「華やか? そんな。ただ殺るか殺られるかの世界に身を置くこの私がそのようなことは……」
「ホント? ありがとう。……ほらほら、多由羅。シティガールはそんなごあいさつ程度の褒め言葉は軽く受け流すんだよ」
柄から手を外しくねりと我が身を確認しつつ困っている多由羅の腰をウーナが押してカウンター前の場所を開ける。
「いきなりどうなるかと思ったわ」
横で成り行きを見ていたマリィア・バルデス(ka5848)が肩にかかる髪の毛を払ってから屋台の横へと動いた。
「初華はリゼリオ以来ね。今日はよろしく」
「うんっ。マリィアさんも青竜紅刃流の関係者だとは思わなかった」
初華、酒飲んでバトルロイヤルしたときの仲間を覚えていた。
そこへ、背中に手を回しエプロンを着けながら狐中・小鳥(ka5484)がやって来た。
「ん、今日は私もクレープ屋で頑張って行くんだよ♪ 初華さんはよろしくなんだよー♪」
「うんっ。よろしくねっ」
小鳥は青竜紅風流にも関係しているが、今日はこちららしい。
「今日は天気もいいし、にぎやかでいいよね~」
そこにメルクーア(ka4005)も。
何やらむふふふ、と口元が緩んでいる。
「あ。メルクーアさん、何かたくらんでるでしょ?」
「さあ、何かしらね~♪」
目敏く気付いた初華に、ひらりと身を翻すメルクーア。気分も上々だ。
「頃合いですね……さぁ、仕事の時間です」
一歩引いて皆の様子を見ていた真田 天斗(ka0014)が前に出ると、「OPEN」の看板を立てた。
●
「さあ、まずは演舞だね」
「少々お待ちを」
銃と木刀を手に繰り出そうとしたウーナを、天斗が止めた。
「えー、何?」
「販売する白茶について伺いたいことが」
出鼻をくじかれ不満そうなウーナに、白茶販売が目的ですよね、と天斗。ウーナ、納得するしかない。
「生産農家は一度訪ねたいとは思っておりますが、まずはお話で状況を。気候や風土を知れば茶はもっと美味しく淹れる事が出来ますから」
「えーと、チクワが特産な山奥!」
「山奥で……チクワ?」
元気なウーナに、意外そうな顔をする天斗。
「米作もするので水系は豊かですから。白身の川魚で作ってます。温暖でいいところですよ。東洋風の村づくりをしていますが、お酒は白ワインが特産です」
くす、と鑑が会話に入る。
「白茶の生産量が上がってきたそうですね」
天斗の興味はそこに尽きる。
その横の屋台カウンターでは。
「チクワ? こんなところで?」
初華が目を輝かせていた。
「初華さん、興味あるんだ?」
小鳥が小麦粉を溶かしながらにっこり。
「あるある。だって、この街でチクワなんてお目にかかれないもの!」
「そういえばそうだよねー♪ でも、白茶もお目にかかれないし、今回はそっちに集中だよっ」
そこに、メルクーア。
「白茶は甘口でしょ? だったら、デザート系のクレープとの相性は今ひとつかもしれないかもよ?」
「ええと、それじゃチクワ?」
初華、メルクーアの言葉に納得してぽわわんとそんなことを口にしたり。
「味が薄くて弱くないかな?」
「そっか。揚げ物にしても磯辺焼きとか風味をつけるものね」
小鳥の話に再び納得の初華。
「だから肉類やチーズとか入れた、腹にたまる食事としてのクレープも用意したら白茶に合うんじゃないかなぁ?」
「それ、よさそうだね。それじゃわたしはさっぱり系の野菜を巻いたクレープを作ってみようかなっ」
メルクーアと小鳥が楽しそうにそれぞれ手を動かし始めた。
「あん。それじゃ私、どうしよう?」
「普通の焼いてればいいじゃない。ほら、お客さんが待ってるわ」
困った初華に声を掛けたマリィアは、実は横の自転車修理屋台の近くににいた。
「なあ、初華の手伝いかあっちの手伝いとかはいいのかい?」
そんなマリィアにダイン・グラマンが心配そうに声を掛ける。
「いいのよ。それより……ここって二輪専門と理解していいかしら? 私のコレ、もっと速く走れるようにしたいのよ」
マリィア、手で押していた愛車を見せる。先ほどどこかに移動していたのは魔導バイクを持って来るためだったらしい。
「ハンターの愛車だろ? 耐久性の問題もあるし、好みによるねぇ」
「日常的にいじってる人が体感してることも大切だから聞いてるのよ」
とかなんとかいいつつ、マリィアのバイクを囲んでもう話が弾んでいたり。
●
「いよう。若いの連れて来たぜ?」
そうこうするうち、いつもの禿頭のチンピラがやって来た。
「クレープ屋ぁ?」
「こんなとこで本当に強くなれんですか?」
そっぽを向く若手たち。
この様子に、鑑の眉がぴくついた。
「どのくらい強いか見てやろう」
すっと立ち上がる。
「待て。そっちのネーちゃんの相手の方がいいなぁ」
「そ、その太刀でやるんじゃねぇだろうな?!」
この様子に禿頭のチンピラ、ニヤニヤしながら多由羅を指名。若手は先に心配事を口にする。
が、すぐに後悔することになる。
「……勿論木刀でやらせて戴きますとも」
にたぁ、と渾身のドヤ顔しつつ立ち上がる多由羅。びたっ、と正眼で構えた様子は鬼気迫る。
「う……待った。こっちの獲物はナイフだからよ」
「じゃ、わたくしが代わりましょう」
ビビる若手の肩に手を乗せたのは、チンピラ仲間ではなかった。どこか陰のある、背を丸めた青白い男だった。手には杖を持ち、構えた。
「行きます!」
多由羅、踏み込む!
「失礼」
男、右に流れつつ抜刀したかのように杖を薙いだ!
――かしぃ……。
「ほほう…腕に覚えのある方々のようですね……何人、殺(や)りましたか?」
「さあ。あなたが殺(や)ったほどではないかも」
打ち合い背を向けた二人。互いの力量を悟った。迫真の激突は、互いの武器を打ちあっただけの引き分けである。
「気を抜けば引き分けどころかこちらが危ういという事ですか……」
「待った。多由羅、そこまで」
ゆらりと振り向いた多由羅を鑑が止めた。
「? 何をなさいます、イ寺様? え? くれーぷに回れ?」
どうやら続けさせると空気が凍ると判断したようだ。多由羅、「私の本業は人斬りだというのに……」とかぶつぶつ言いつつ鑑に連行される。
「そっちはナイフ? それならこれでちょうどいいね」
チンピラはウーナが相手。
「待て。拳銃かよ」
「空砲だし、接射しかしないよ?」
ウーナ、ナイフと同じ条件で使うと説明するが相手は「でもよぅ」と難色。
「ふうん……じゃ、あたしに勝てたらデートしてあげる♪」
「よし決まった!」
うふん、と両手を上げて胸を反らせただけでチンピラは前言撤回した。
ここで、屋台からメルクーアが悪戯そうな笑みを浮かべつつ走って来た。
「待って待って。手合せならぜひここで~」
メルクーア、先に観客用の長椅子をセッティングしておいた場所に二人を誘導した。「お? そこで見れるんかい」と助平親父たちも移動した。どうやら格闘好きでもあるようで。
「よし、行くぜ?」
「あ、負けたらクレープおごりね?」
ナイフを構えたチンピラ。ウーナの条件に少しひるむが、もう引けない。
で、突っ込んだ若手チンピラ。
「おわっ!」
「青竜紅刃流の技を見せるまでもないか」
あっさりと切っ先をかわし、相手の右脇下をくぐるようにやり過ごして側頭部に銃口をぐりっと押し付けた。
「まずクレープ一枚。次!」
「もうその手は食わないぜ?」
次のチンピラが入って来た。ナイフで確実に突いてきた。
「青竜紅刃流・攻め崩し!」
一撃目をかわし、牽制射撃の要領で銃口を動かし二撃目を誘い逆に強く弾いた。「あっ」と相手の利き手が上がったがら空きの空間に身を入れ、銃口ぐりり。
「クレープもう一枚追加!」
「……太るんじゃないかな、ウーナ?」
順調に増加する奢り枚数を心配する鑑だったり。
●
「クレープ、お待たせしました」
天斗は、屋台のカウンターと演舞の観客席と間延びしてしまった距離を補うための給仕に徹している。
「うん、後は……今日は飲み物も欲しいなぁ」
助平親父たちの中には、引き続きチンピラたちの指導に移った様子を見ながらいつもより長居をして喉の乾いた者もいた。
「白茶がありますが……」
「おお、産地の流派が指導しとるんじゃったの。ぜひ欲しい」
「産地ではあのように汗を流した後に飲む一杯が格別との事です」
天斗、事前に仕入れた情報を加味して白茶一杯にドラマ性を持たせた。
「よし……次の人、少し気合を入れてみませんか?」
「格別? 運動不足じゃし、やってみよう」
鑑の呼び声に応えて立ち上がると、指導に従い木刀を素振りする。その間に白茶を淹れる天斗。
「ほへ? 天斗さん、二杯目を取るの?」
初華が目敏く気付いて近寄った。
「ラム酒チーズのクレープですから……料理とお茶のマリアージュ、腕がなりますね」
どうやら天斗、一番茶だと甘いクレープには合わないと判断。渋さの出る二番茶以降を出すことにしたらしい。
「一番茶はすぐに欲しい人に呼び掛けてもらえれば」
てきぱきと指示。
そんな中、カウンターで女性客に話す小鳥の声がする。
「最近、甘いものは控えてるんだけど……」
「それならヘルシーなこちらがいいんだよ。サラダ的な感じで食べればよいかも?」
焼いたばかりのサラダクレープは、緑にパプリカの赤にドレッシングと色とりどり。女性客もすっかり気に入った様子。
「小鳥さ~ん」
初華の呼ぶ声に気付き、小鳥が出て来て今の客を手招き。
「クレープと一緒に甘くて美味しい白茶はどうかな。砂糖とかは入ってないからヘルシーなんだよ」
「まあ、甘くてヘルシー……」
女性客、小鳥の言葉にうっとり。こちらもお買い上げだ。
その時、ダインの露店では。
「あっちが忙しくなってるねぇ?」
行かなくていいのかい、とスパナを持ったダイン。
「仕方ないわね」
「白茶の販売が足りてなさそうだが……茶の飲み方なんかの知識はどうかな?」
立ち上がったマリィアに、にやりとダイン。
「飲み方の一家言? もちろんあるわよ、決まってるじゃない」
エプロンを着けながら振り向くマリィア。
「一度飲んで食中茶でも食後茶向きでもないだろうなと思ったわ。なら後は、どの階層の人にどういう飲み方をしてほしいかでしょう?」
にこりと天斗の元に向かう。
で、しばらくして戻ってきた。大量の白茶とともに。
「おい……いいのか?」
「いいのよ。こっちのお客様向け……ねえ、最近私、白茶の飲み方を研究してるの。良かったら一緒に味見してくれない?」
修理露店を興味深そうに見る人たちに振る舞うマリィア。どうやら時間を置いてどのくらい変化があるかなどを確認したいらしい。
●
「よし、次!」
「私には千切った一口でいいから、残りのクレープは観客に振舞うこと!」
熱を帯びる鑑の指導に、ウーナと立ち合いたい若い男と次々相手をして賭けのクレープを食べきれないウーナ。
「多由羅さんはこっちをお願いしますね」
初華はそんな客席に多由羅を引っ張ってきたり。
「どうしました?」
天斗、初華に白茶を手渡しながら聞いてみる。
「ありがと。ちょうど喉が……っていうか、多由羅さんったら」
「チクワの中にくれーぷを混ぜてみるというのは素晴らしいあいであだと……」
初華の視線にもごもご答える多由羅。
「よしておくのが無難ですね」
「おお、先のおねーちゃん。こっちきて一緒に見よう!」
ため息を吐く天斗。そこに助平親父客からの呼び声。
「では、給仕に……」
多由羅、「やはり私は人を斬る以外に能がないようです…」とか呟きつつ助平親父たちのいる席に。
「新作のお野菜の入ったクレープもあるんだよ♪ デザートとしてだけじゃなくておかずとしても食べて見てね♪ 新しい味かもしれないけどっ」
その後方で小鳥の軽快な声。
おや、小鳥も多由羅と同じくチャイナ服だ。
それはそれとして、メルクーア。
「お昼が近いから出番かもー」
仕込んでいたお肉とチーズを使った、がっつり食べられるクレープを焼いて焼いて、焼きまくる。
お肉はもちろん、鉄板でじゅうと焼いて。
甘いにおいとは別に、お肉の良いにおいも風に乗った。
「おおい。こっちにお肉クレープ」
「はいはい。ただいまー」
急いで届けるメルクーア。良いにおいは正義。
「冷えた白茶はいかが? 冷えてもほんのり甘いわよ?」
マリィアも冷えた場合の飲み頃を提供に歩く。
「ほれほれ、多由ちゃんも飲んで飲んで。わしの奢りじゃ」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
多由羅、助平親父客と同じ長椅子に座って接客。って、どこぞの夜の店状態じゃないですか。
「ほれほれ、小鳥ちゃんも」
「な、名前をどうして……」
「初華ちゃんがそう呼んでおった。ほれ。奢りじゃ」
憐れ、小鳥も巻き込まれ。お触りとかはないようだが。
「さて、次の相手は誰?」
メルクーアはお腹いっぱいになったウーナの代わりに賭け勝負に立ったのでセーフ。次々勝利しているので同じことになりそう。
「くっそぅ」
「でもこの茶、確かにうめぇ」
「紅茶みたいに苦くないのがいい」
「この肉のクレープもうまいぜ」
稽古でこってり絞られた若いチンピラはいい汗をかいて満足している。
「他流試合は手伝うまでもなかったですね」
天斗はその様子を見つつ、拳鳴らしつつ少し残念そう。
「天斗さん、茶の好きな人が集まって来すぎちゃったの。何とかしてぇ」
初華の悲鳴に、やれやれと手伝いに行くのだった。
「じゃんじゃん運動してお腹を空かせてよっ!」
「喉が渇いたらこちらもよろしく」
ナックルの拳を固め構えるメルクーア。そしてマリィアの呼び込みの声が響く。
そんな中、ウーナ。
「ふうん。よく描けてるね」
イーゼルを立てた絵描きに気付き話し掛けていた。
「お邪魔かな?」
「ううん。宣伝になるし、描いてくれたらクレープ奢るよ」
というわけで、宣伝の絵も描いてもらえたのだった。
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- 青竜紅刃流師範
ウーナ(ka1439)
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【相談】Pクレープ対青竜紅刃流 ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/09/04 23:09:08 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/03 04:44:04 |