ゲスト
(ka0000)
【夜煌】宵への計らい
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/18 22:00
- 完成日
- 2014/09/25 21:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●伝統復活の兆し
ラッツィオ島の戦いも収束した頃、辺境は再び活性化しつつあった。
ここ数年、途絶えていた平安を願う祭事……『夜煌祭』の話が持ち上がったのだ。
数日のうちにその話は商人や部族間を伝い、辺境内の各所へと届いていく。
祭りに呼応するように、ここでも新たな動きが出たようだった――。
●わすれごと
そんな事は知ってか知らずか、要塞都市【ノアーラ・クンタウ】某所では納期が差し迫っていた。
歪虚と納期、どっちが怖いと尋ねれば納期と答える。そもそも、仕事が終わった後の酒をこよなく愛し、さっさと仕事を終わらせて酒を飲もうとするドワーフ達が多数いるこの工房で納期破りはあまり見られない。
「「「「持ってけーーー!」」」」
出来上がったものを運ばせ、チームのメンバーはずるずると机や床にへたり込む。
「終わったぁ……」
最終的には他のチームの人も借り出されるような始末であり、今回のは少々荷が重すぎた。
「酒だ! 酒!」
「あるよ!」
「こんな場所にいられるか! 俺は酒樽の中で浸かる!」
それぞれ酒への思いを馳せ、どこからか酒が出てくる。
「おつかれさま!」
メンバーに労わりの声をかけるのは一人のドワーフ娘。金の髪がぼさぼさで前髪が目を隠しており、どんな顔か一見では分からない。
「おう、姫さん、お疲れ! 酒樽によろしく伝えとくよ!」
「ええ!」
疲労も頂点に達しており、会話が飛んでいる。
「貴女もお疲れ、聞いたわ。大変な時に、お肉でも食べて元気出して」
「平気よ、ハンターの人達に助けてもらったの」
「噂の」
姫さんと呼ばれた娘は他のチームの女性に労わりの言葉を掛けると、意外な言葉が返ってきた。
「私、まだ会った事ないわね」
「いい子達よ」
楽しそうに笑う女性にドワーフ娘は首をかしげた。
ドワーフ娘も酒を飲みに出ようとしたが、入り口にドワーフが立っていた。
「姫様、夜煌祭へ参りましょう」
「へ? ここ数年はやってないでしょう?」
きょとんとするドワーフ娘に部下の一人が紙を渡す。
城より書簡が届いてたようであったか、彼女はそれどころではなかったのだ。
「忘れてたわ……」
ため息混じりにドワーフ娘が一度城へと向かった。
娘の名はカペラ。
ドワーフ王ヨアキムの娘である。
●
身支度もそこそこにカペラは夜煌祭へと向かう。
向かっている最中に何やら人々が困り果て、言い合う姿もあった。
「はいはーい! どうしましたかー?」
カペラが言い合いの中に入ると、人間達はドワーフが割って入った事に気づかずに「いたのか」などと言い出す。
こんな事は日常茶飯事だし、そもそもそういった事でドワーフは怒ったりしない。
「あの林の向こうで雑魔がわんさかいるようでな。夜煌祭の会場はこの向こうだ。このままじゃ、ままならん」
この部族たち、祭りで出店を出して物を売ろうと考え、現地に向かっている最中だったようだ。
考え込む部族たちにカペラはあっと、思い出す。
「こういうときこそ、ハンターに頼みましょう!」
部族達はカペラの提案に様々な反応を見せる。
「折角のお祭りだもの。ちゃんと追い払わないと」
思い立ったカペラは従者達にハンターオフィスへの依頼を命じた。
ラッツィオ島の戦いも収束した頃、辺境は再び活性化しつつあった。
ここ数年、途絶えていた平安を願う祭事……『夜煌祭』の話が持ち上がったのだ。
数日のうちにその話は商人や部族間を伝い、辺境内の各所へと届いていく。
祭りに呼応するように、ここでも新たな動きが出たようだった――。
●わすれごと
そんな事は知ってか知らずか、要塞都市【ノアーラ・クンタウ】某所では納期が差し迫っていた。
歪虚と納期、どっちが怖いと尋ねれば納期と答える。そもそも、仕事が終わった後の酒をこよなく愛し、さっさと仕事を終わらせて酒を飲もうとするドワーフ達が多数いるこの工房で納期破りはあまり見られない。
「「「「持ってけーーー!」」」」
出来上がったものを運ばせ、チームのメンバーはずるずると机や床にへたり込む。
「終わったぁ……」
最終的には他のチームの人も借り出されるような始末であり、今回のは少々荷が重すぎた。
「酒だ! 酒!」
「あるよ!」
「こんな場所にいられるか! 俺は酒樽の中で浸かる!」
それぞれ酒への思いを馳せ、どこからか酒が出てくる。
「おつかれさま!」
メンバーに労わりの声をかけるのは一人のドワーフ娘。金の髪がぼさぼさで前髪が目を隠しており、どんな顔か一見では分からない。
「おう、姫さん、お疲れ! 酒樽によろしく伝えとくよ!」
「ええ!」
疲労も頂点に達しており、会話が飛んでいる。
「貴女もお疲れ、聞いたわ。大変な時に、お肉でも食べて元気出して」
「平気よ、ハンターの人達に助けてもらったの」
「噂の」
姫さんと呼ばれた娘は他のチームの女性に労わりの言葉を掛けると、意外な言葉が返ってきた。
「私、まだ会った事ないわね」
「いい子達よ」
楽しそうに笑う女性にドワーフ娘は首をかしげた。
ドワーフ娘も酒を飲みに出ようとしたが、入り口にドワーフが立っていた。
「姫様、夜煌祭へ参りましょう」
「へ? ここ数年はやってないでしょう?」
きょとんとするドワーフ娘に部下の一人が紙を渡す。
城より書簡が届いてたようであったか、彼女はそれどころではなかったのだ。
「忘れてたわ……」
ため息混じりにドワーフ娘が一度城へと向かった。
娘の名はカペラ。
ドワーフ王ヨアキムの娘である。
●
身支度もそこそこにカペラは夜煌祭へと向かう。
向かっている最中に何やら人々が困り果て、言い合う姿もあった。
「はいはーい! どうしましたかー?」
カペラが言い合いの中に入ると、人間達はドワーフが割って入った事に気づかずに「いたのか」などと言い出す。
こんな事は日常茶飯事だし、そもそもそういった事でドワーフは怒ったりしない。
「あの林の向こうで雑魔がわんさかいるようでな。夜煌祭の会場はこの向こうだ。このままじゃ、ままならん」
この部族たち、祭りで出店を出して物を売ろうと考え、現地に向かっている最中だったようだ。
考え込む部族たちにカペラはあっと、思い出す。
「こういうときこそ、ハンターに頼みましょう!」
部族達はカペラの提案に様々な反応を見せる。
「折角のお祭りだもの。ちゃんと追い払わないと」
思い立ったカペラは従者達にハンターオフィスへの依頼を命じた。
リプレイ本文
ドワーフ。
リアルブルーからの来訪者にとって、ドワーフはエルフ同様に架空の存在である。
諸説あるが、ドワーフは岩から生まれるとか性別がないと言われている。
しかし、このクリムゾンウェストの人間にとっては同じ世界で暮らす別種の生命体として受けいられている。
今回、特に気になる点といえば、依頼主であるカペラがドワーフ王の娘……つまり、姫であるという事だ。
ハンター達が来たのに関わらず、カペラは髪はボサボサのまま。
医師である紫条京真(ka0777)は物珍しさをあまり隠さずにカペラを凝視する。
「ああ、ごめんね。戦闘でボサボサになるんだから、そのままなのよ」
無邪気に笑うカペラに自身が知るドワーフを思い出したのはフラヴィ・ボー(ka0698)。
ドワーフは元気で酒が好きな洒落っけのある気のいい連中というのがフラヴィの知ってるドワーフ。
その印象は満月美華(ka0515)も同じだった。
「姫様、初めまして」
かしこまってカペラに声をかけたのはシュタール・フラム(ka0024)。
「そんな風に畏まって挨拶されるのなんてどれだけぶりかしら。嬉しいけど、気張らずお気楽にね!」
ドワーフのイメージはクリムゾンウェストでも同じなようなのかと思いつつ、フラヴィは思案する。
シュタールはカペラを「姫さん」と呼ぶことにした。
そう呼ぶとカペラは嬉しそうに化粧をしてないのに赤い唇を笑顔の形にしたからだ。
「祭りというのに、招かねざるものは退場ねがおうかのぅ……」
ため息混じりに呟いたのはシルヴェーヌ=プラン(ka1583)。赤と蒼の瞳は自身が磨く魔術の成果を知りたいがため、キラキラ輝いている。
「全く同感じゃ! カペラ嬢ちゃんの期待には応えなくてはな!」
腹の底から景気よく豪快に笑うのはギルバート(ka2315)。
「カペラさん、行きましょうか」
現場に行く際に声をかけたのはアレグザンダー・ブリッグス(ka1346)だ。
「リアルブルーの人達は丁寧なのね」
アレグザンダーもそうだが、フラヴィや美華、京真にも抱く印象は丁寧だとカペラは思う。
「高い教養を身につけた帝国の人間みたい」
声音は本当に興味をもつ子供そのもののようにカペラが感想を口にする。
「クリムゾンウェストも個々それぞれだし、リアルブルーの面々もそれは同じだがな」
シュタール的にはリアルブルーの科学……CAMが気になっている模様。
「聞きたいことがあれば、聞いてくださいね」
穏やかにアレグザンダーがカペラに声をかける。自分と似たような年頃なのだが、カペラが小柄な事や無邪気な所が微笑ましく、何だか親しみやすく感じてしまうようだ。
「ありがとう! とりあえずは雑魔清掃よね!」
「腕が鳴るわね!」
ぐっと拳を握るカペラに美華も賛同する。
「女の子なんだから、あまり無茶はしないようにね?」
強いのは分るけど……と前置きしてやんわりと声で止めるのはカルムカロマ=リノクス(ka0195)。
穏やかさの中に陰りのような繊細さをもつカルムカロマを見てカペラはふふっと、微笑む。
「わかってる。けど、父がいたら結構あぶなかったかも……」
余裕たっぷりのカペラだったが、とある相手を口に出すと、ドワーフらしからぬげんなりした様子を見せた。
「あの大馬鹿の王だからのぅ」
ギルバートが更に言えば、カペラががっくりと肩を落とすなり、ギルバートのごつごつな手がカペラのくしゃくしゃな髪に落とされる。
「大馬鹿は褒め言葉じゃ。気苦労が多そうじゃのぅ」
「結構……ね」
心当たりでもあるのか、カペラの様子は浮かなかったが、「誉め言葉」でカペラはとても嬉しそうだった。
「カペラ嬢ちゃんの婿になる者は大変じゃの」
「まだ早いよ!」
頭を撫でられてカペラが返すとギルバートは豪快に笑う。
「そろそろじゃ」
真直ぐ見据えるシルヴェーヌの視界に広がるのは薄暗い林だ。
先に光源を取り出したのはシルヴェーヌ。
「明かり、足りるかな」
「思ったよりは明るいと思いますよ」
心配するフラヴィに京真が周囲を見渡す。
「戦闘までは明かりを点けたらどうでしょう」
アレグザンダーが提案すると、フラヴィは頷いてハンディLEDライトを点灯した。それに目を丸くしたのはカペラ。
「それはリアルブルーの?」
問うカペラにフラヴィは頷く。
「どう動いているのかしら……」
カペラの興味はLEDライトへ向いており、技術者の顔を見せている。
「それは後でで……」
雑魔掃除よりリアルブルーの科学に興味を向けてしまったカペラをカルムカロマがやんわりと方向修正させる。
「そうね」
はっと、本来の目的に気を向けるカペラの動きが少し固まる。その動きに気づいたアレグザンダーがカペラを庇うように立つ。
「出てきたわね」
美華の瞳に宿るのは炎だ。燃える炎は煌きとなり、元から赤い髪が紅蓮の炎の如くに色を変える。豊かな髪が揺れると赤いオーラが発生させ、美華の全身を纏っていく。
「そのようじゃのぅ!」
美華に負けず劣らず、戦いへの心の高鳴りを抑えきれずに瞳を輝かせているのはシルヴェーヌ。
「さて、前に出ようかのぅ」
のんびりとした物言いのギルバートが前へ歩いていく。
前衛と呼べる位置に立つと、大きく振ったのはハンマーアンカーだ。全長150センチメートルと槍のように長い柄の先には大きな錨がつけられていた。
「カペラ嬢ちゃんにみっともないところは見せれんのぅ」
乾いた音を立ててハンマーアンカーの柄が開いていたギルバートの片手に収まる。
「風よ……」
唱いだしたのはシルヴェーヌの声。
「その身羽となり、彼の者の翼となれ!」
アリアのような詠唱は緑に輝く風となってギルバートに取り巻く。ドワーフの象徴たる豊かな髭が守りの風に揺らされている。
「くるがよい」
風の恩恵を受けたギルバートは、美髭に隠された唇を笑みに引く。
同時にハンター達が目視した雑魔達が一斉にギルバートへ駆けていく。
「そうはいかせない」
アルケミストタクトを掲げたのはフラヴィ。タクトにマテリアルを流し込み、具現させたのは光の剣。
いち早く間合いを詰めた鹿へとフラヴィが飛び込む。
上段から剣を降り、鹿の脚の付け根ごと斬り裂いていく。
耳をつんざく狒狒の叫び声にフラヴィが振り向く。
「伏せろ!」
本能に任せるようにフラヴィが屈むと、シュタールのアサルトライフルの弾丸が狒狒へ叩き込まれる。
「動きが早い……」
顔をしかめるアレグザンダーだが、状況は見極めていた。
敵達が思った以上に動きが早い。
石を拾った狒狒に気づいたアレグザンダーはその狒狒へ向き直る。弓を引き、意識を高めてマテリアルを一気に矢へ流し込む。
マテリアルを流し込まれた矢は強弾となり、狒狒の上半身を射抜き、倒した。
「狼と鹿が共闘だなんて、歪虚の仕業に他ならないね」
くすりと笑むのはカルムカロマ。陰る緑の瞳が妖しく煌めき、戦闘への高揚を垣間魅せる。
交戦中の前衛達を飛び越えてきた狼達がカルムカロマへと向かっていく。
カルムカロマが一匹の方へと駆けていくと、石つぶてがカルムカロマの横を追い抜かしてもう一匹の狼へ衝撃を与える。
「確実にいきましょ!」
明るい調子の美華にカルムカロマが「勿論だよ」と笑む。
軽いステップを踏むようにカルムカロマは更に現れた狼の攻撃をかわしていく。踵を返したカルムカロマの動きについていけなかった狼の隙を見逃さなかった。
強く地を蹴ったカルムカロマは自身が手にする獲物に力を込め、狼の喉笛を切り裂いた。
ハンター達の戦いぶりを見ていたカペラはなんだか楽しそうだ。
「リアルブルーの人たち、やるわね。フォニケがいったとおり!」
「ご存じですか?」
おやっと、京真が言えば、カペラが「同僚という感じよ」と返した。
「無理はしないでくださいね」
京真がプロテクションをカペラに施すと、彼女は頷いた。
「ええ!」
ドワーフであるが、なかなか身軽にカペラが前へと駆けていく。
乱戦の前衛へ。
「……猪突猛進も程ほどに」
呆れる京真の言葉はカペラに聞こえてない。
カペラが飛び出して行った事に気づいたアレグザンダーはカペラの死角から石つぶてを投げようとする狒々を見つけた。
「依頼人の邪魔をするな」
矢をその方向へ向け、獲物へ静かにアレグザンダーは威嚇射撃を開始した。
「大人しく潰れろ」
淡白なアレグザンダーの言葉とは対照的な狒々の短い鳴き声は威嚇のようであり、狒々の攻撃対象をアレグザンダーへと向ける。
「これでも喰らっとけ!」
シュタールが叫ぶと同時にその狒々に電撃が走り、衝撃で身体を上下に痙攣させる。
二人のサポートを受けたカペラは真直ぐタクトを向けてマテリアルをこめて機導砲を発射させて一条の光が狼を射抜く。
「これは景気がいいのぅ!」
機導砲の輝きを見て楽しそうに目を輝かせるのはギルバートだ。
「負けられないね」
ぽつりと言ったフラヴィだが、その声音は通常よりは弾んでいるように聞こえる。目の前に現れた狼にタクトを向け、一気にマテリアルをこめる。
「風よ……その身、鋭き刃となりて空を翔けよ!」
気づいたシルヴェーヌがウィンドスラッシュを発動させてフラヴィを狙う狼を攻撃させる。風の刃は後ろ足を抉り、狼の跳躍を抑えた。狼は傷つけられようともフラヴィの腕を喰らおうと大きく口を開けた。
彼女は待っていた。この瞬間を、奴が「武器」を見せる瞬間を。
フラヴィが発した光は狼の頭を粉砕し、そのまま地に落ちた。
「下がってください」
尚も戦おうとするフラヴィを止めたのは京真。
「治療も大事じゃ……よ!」
言葉が切れる時に力を溜めてギルバートがハンマーを下ろし、鹿の頭ごと地に落とし、叩き潰す。反動を利用し、横に薙ぎ、突貫する狒々を吹き飛ばした。
「すぐに戻るよ」
「待ってるよ」
下がるフラヴィにカルムカロマが声をかける。
京真のヒールとプロテクションを施術してもらったフラヴィが再び前衛へ戻る。
「前衛のお通りですよ」
戻るフラヴィの為に道を開けるように京真がホーリーライトを雑魔に向けた。
ハンター達の見事な連携で十数匹といた雑魔は見事に一掃される。
「凄いわ……」
くるりと周囲を見渡したカペラが心の底からハンターへの賞賛を呟く。
「どうじゃ、カペラ嬢ちゃん、ワシは強かったかの」
京真にヒールを施術されているギルバートが言えば、うんうんとカペラは思いっきり頷く。
「あ」
「あぶないですよ!」
仕事の疲れも取れてないのに戦闘をして足がふらついたカペラがそのまま躓いて顔から土に突っ込んだ。
「無茶をするからじゃ」
ため息混じりにシルヴェーヌが声をかけるとカペラがあははと笑う。前髪と顔が泥だらけだ。
「ま、お風呂入るし」
ごしごしと泥を拭き、前髪を上げたカペラはようやっと顔が見えた。
その顔を見て全員、一瞬、言葉を失った。
「医学的探求しなくてはなりませんでしょうか」
「ドワーフだっていろいろいるよ」
医者として興味をそそられた京真に言い聞かすかのようなフラヴィ。
「……クリムゾンウェストは色々ありますね」
唸るアレグザンダーに美華も頷く。
「お姫様だけあるんじゃない?」
ドワーフという観念に捕らわれてはいけないとリアルブルー出身のハンター達は頷く。
「差はどの種族も一緒だよ」
ふふりと微笑むエルフのカルムカロマが言えば、他の部族達の護衛へと向かう。
「そうだな、まぁ、王様だけあって美人な嫁さんを貰ったってことだな」
「立派な体格と強靭な精神力が必要じゃな」
ドワーフのシュタールとギルバートが言い、当のカペラは髪を束ね、首を傾げるばかり。
●
待っていた部族達をハンター達が誘導する。
部族達はとても怯えていた。
「襲ってきても俺達がいるから大丈夫」
「また追い払うから安心せい」
シュタールとギルバートが明るく声をかける。
「お祭りってどういうものだい?」
部族の中には子供もおり、フラヴィは子供達の警護に当たっていた。
「だいせいれいにびょーきや、たべものがたくさんできるようにおいのりするの! おはなできよめるの!」
「僕達のおじいさんが小さい頃に行った覚えがあったんだけど、ここ数十年は歪虚の動きが凄くて出来なかったんだって」
「でも、できる様になったのはハンターのおかげなの! ありがとう!」
子供達が口々に礼を述べてハンター達の心もくすぐったくなる。
「夜煌祭は賑やかなものかえ?」
シルヴェーヌが声をかけるとカペラは頷く。
「祭壇は厳かで花や薬草の香気に纏われて、参加者はそこで心身を清めるの。まぁ、その匂いが苦手って言っちゃう人間やドワーフはいるけど、私は嫌いじゃないわ」
肩を竦めるカペラにシルヴェーヌはくすっと笑う。
「貴女はとても若いけど、ハンターって、貴女の様な若い子もいるの?」
カペラがシルヴェーヌに声をかける。一般的に辺境部族はシルヴェーヌくらいの外見年齢は成人と見なされる。成人の儀式は必要だが、それはさておいて。
「おるのぅ、わしより幼い子もおる」
「そうなの! ハンターも色々といるのね」
むむと考え込むカペラ。
「祭りの時、何かやった方がいい事とかありますか?」
アレグザンダーが言えば、カペラは人差し指を天へ向ける。
「月よ」
「月ですか」
鸚鵡返しにアレグザンダーが言えば、カペラは頷く。
「香気で身体を清めたあと、月を見るととても心が軽くなるの。祭りの時は満月の時でもあるから、きっととても綺麗なのよ」
「後はパァーッと、歌って騒いで月を愛でながら酒を飲む事じゃ!」
呵呵と笑うギルバートにふむと、京真が思案する。
「お月見ですかね。風流ですね」
「おつきみ?」
カペラが尋ねると、京真はリアルブルーの一部地域で行われていた風習を教える。
「夜煌祭みたいじゃのぅ」
シルヴェーヌが言えばカペラと顔を見合わせて頷く。
祭会場近くをカペラがハンター達に案内した。
まだ設営中で入らせてはもらえなかったが。
「ドワーフは酒をたくさん飲むと聞くね……カペラさんも飲むのかい?」
カルムカロマの問いにカペラは笑顔で「ええ」と返事をする。
カペラはエルフにもドワーフにも人間にもリアルブルー出身者にも接し方は平等とカルムカロマは感じた。
エルフとドワーフは考え方が違い、顔を合わせたら最後、分かり合えず決裂という事もままある。
「私のいる工房は、ドワーフも人間も帝国も辺境もないの。馬鹿みたいなものも受けたりするから、種族や出身で喧嘩してる場合じゃないもの。貴方と会って、エルフにも色々いるって分ったわ」
「そうかい」
カルムカロマはそう応えた。心の中の翳りは儚げな笑みの中に隠して。
もう、祈る事を忘れた。
寂しそうに彼は緑の瞳を細めて祭壇がある方向へと向けた。
リアルブルーからの来訪者にとって、ドワーフはエルフ同様に架空の存在である。
諸説あるが、ドワーフは岩から生まれるとか性別がないと言われている。
しかし、このクリムゾンウェストの人間にとっては同じ世界で暮らす別種の生命体として受けいられている。
今回、特に気になる点といえば、依頼主であるカペラがドワーフ王の娘……つまり、姫であるという事だ。
ハンター達が来たのに関わらず、カペラは髪はボサボサのまま。
医師である紫条京真(ka0777)は物珍しさをあまり隠さずにカペラを凝視する。
「ああ、ごめんね。戦闘でボサボサになるんだから、そのままなのよ」
無邪気に笑うカペラに自身が知るドワーフを思い出したのはフラヴィ・ボー(ka0698)。
ドワーフは元気で酒が好きな洒落っけのある気のいい連中というのがフラヴィの知ってるドワーフ。
その印象は満月美華(ka0515)も同じだった。
「姫様、初めまして」
かしこまってカペラに声をかけたのはシュタール・フラム(ka0024)。
「そんな風に畏まって挨拶されるのなんてどれだけぶりかしら。嬉しいけど、気張らずお気楽にね!」
ドワーフのイメージはクリムゾンウェストでも同じなようなのかと思いつつ、フラヴィは思案する。
シュタールはカペラを「姫さん」と呼ぶことにした。
そう呼ぶとカペラは嬉しそうに化粧をしてないのに赤い唇を笑顔の形にしたからだ。
「祭りというのに、招かねざるものは退場ねがおうかのぅ……」
ため息混じりに呟いたのはシルヴェーヌ=プラン(ka1583)。赤と蒼の瞳は自身が磨く魔術の成果を知りたいがため、キラキラ輝いている。
「全く同感じゃ! カペラ嬢ちゃんの期待には応えなくてはな!」
腹の底から景気よく豪快に笑うのはギルバート(ka2315)。
「カペラさん、行きましょうか」
現場に行く際に声をかけたのはアレグザンダー・ブリッグス(ka1346)だ。
「リアルブルーの人達は丁寧なのね」
アレグザンダーもそうだが、フラヴィや美華、京真にも抱く印象は丁寧だとカペラは思う。
「高い教養を身につけた帝国の人間みたい」
声音は本当に興味をもつ子供そのもののようにカペラが感想を口にする。
「クリムゾンウェストも個々それぞれだし、リアルブルーの面々もそれは同じだがな」
シュタール的にはリアルブルーの科学……CAMが気になっている模様。
「聞きたいことがあれば、聞いてくださいね」
穏やかにアレグザンダーがカペラに声をかける。自分と似たような年頃なのだが、カペラが小柄な事や無邪気な所が微笑ましく、何だか親しみやすく感じてしまうようだ。
「ありがとう! とりあえずは雑魔清掃よね!」
「腕が鳴るわね!」
ぐっと拳を握るカペラに美華も賛同する。
「女の子なんだから、あまり無茶はしないようにね?」
強いのは分るけど……と前置きしてやんわりと声で止めるのはカルムカロマ=リノクス(ka0195)。
穏やかさの中に陰りのような繊細さをもつカルムカロマを見てカペラはふふっと、微笑む。
「わかってる。けど、父がいたら結構あぶなかったかも……」
余裕たっぷりのカペラだったが、とある相手を口に出すと、ドワーフらしからぬげんなりした様子を見せた。
「あの大馬鹿の王だからのぅ」
ギルバートが更に言えば、カペラががっくりと肩を落とすなり、ギルバートのごつごつな手がカペラのくしゃくしゃな髪に落とされる。
「大馬鹿は褒め言葉じゃ。気苦労が多そうじゃのぅ」
「結構……ね」
心当たりでもあるのか、カペラの様子は浮かなかったが、「誉め言葉」でカペラはとても嬉しそうだった。
「カペラ嬢ちゃんの婿になる者は大変じゃの」
「まだ早いよ!」
頭を撫でられてカペラが返すとギルバートは豪快に笑う。
「そろそろじゃ」
真直ぐ見据えるシルヴェーヌの視界に広がるのは薄暗い林だ。
先に光源を取り出したのはシルヴェーヌ。
「明かり、足りるかな」
「思ったよりは明るいと思いますよ」
心配するフラヴィに京真が周囲を見渡す。
「戦闘までは明かりを点けたらどうでしょう」
アレグザンダーが提案すると、フラヴィは頷いてハンディLEDライトを点灯した。それに目を丸くしたのはカペラ。
「それはリアルブルーの?」
問うカペラにフラヴィは頷く。
「どう動いているのかしら……」
カペラの興味はLEDライトへ向いており、技術者の顔を見せている。
「それは後でで……」
雑魔掃除よりリアルブルーの科学に興味を向けてしまったカペラをカルムカロマがやんわりと方向修正させる。
「そうね」
はっと、本来の目的に気を向けるカペラの動きが少し固まる。その動きに気づいたアレグザンダーがカペラを庇うように立つ。
「出てきたわね」
美華の瞳に宿るのは炎だ。燃える炎は煌きとなり、元から赤い髪が紅蓮の炎の如くに色を変える。豊かな髪が揺れると赤いオーラが発生させ、美華の全身を纏っていく。
「そのようじゃのぅ!」
美華に負けず劣らず、戦いへの心の高鳴りを抑えきれずに瞳を輝かせているのはシルヴェーヌ。
「さて、前に出ようかのぅ」
のんびりとした物言いのギルバートが前へ歩いていく。
前衛と呼べる位置に立つと、大きく振ったのはハンマーアンカーだ。全長150センチメートルと槍のように長い柄の先には大きな錨がつけられていた。
「カペラ嬢ちゃんにみっともないところは見せれんのぅ」
乾いた音を立ててハンマーアンカーの柄が開いていたギルバートの片手に収まる。
「風よ……」
唱いだしたのはシルヴェーヌの声。
「その身羽となり、彼の者の翼となれ!」
アリアのような詠唱は緑に輝く風となってギルバートに取り巻く。ドワーフの象徴たる豊かな髭が守りの風に揺らされている。
「くるがよい」
風の恩恵を受けたギルバートは、美髭に隠された唇を笑みに引く。
同時にハンター達が目視した雑魔達が一斉にギルバートへ駆けていく。
「そうはいかせない」
アルケミストタクトを掲げたのはフラヴィ。タクトにマテリアルを流し込み、具現させたのは光の剣。
いち早く間合いを詰めた鹿へとフラヴィが飛び込む。
上段から剣を降り、鹿の脚の付け根ごと斬り裂いていく。
耳をつんざく狒狒の叫び声にフラヴィが振り向く。
「伏せろ!」
本能に任せるようにフラヴィが屈むと、シュタールのアサルトライフルの弾丸が狒狒へ叩き込まれる。
「動きが早い……」
顔をしかめるアレグザンダーだが、状況は見極めていた。
敵達が思った以上に動きが早い。
石を拾った狒狒に気づいたアレグザンダーはその狒狒へ向き直る。弓を引き、意識を高めてマテリアルを一気に矢へ流し込む。
マテリアルを流し込まれた矢は強弾となり、狒狒の上半身を射抜き、倒した。
「狼と鹿が共闘だなんて、歪虚の仕業に他ならないね」
くすりと笑むのはカルムカロマ。陰る緑の瞳が妖しく煌めき、戦闘への高揚を垣間魅せる。
交戦中の前衛達を飛び越えてきた狼達がカルムカロマへと向かっていく。
カルムカロマが一匹の方へと駆けていくと、石つぶてがカルムカロマの横を追い抜かしてもう一匹の狼へ衝撃を与える。
「確実にいきましょ!」
明るい調子の美華にカルムカロマが「勿論だよ」と笑む。
軽いステップを踏むようにカルムカロマは更に現れた狼の攻撃をかわしていく。踵を返したカルムカロマの動きについていけなかった狼の隙を見逃さなかった。
強く地を蹴ったカルムカロマは自身が手にする獲物に力を込め、狼の喉笛を切り裂いた。
ハンター達の戦いぶりを見ていたカペラはなんだか楽しそうだ。
「リアルブルーの人たち、やるわね。フォニケがいったとおり!」
「ご存じですか?」
おやっと、京真が言えば、カペラが「同僚という感じよ」と返した。
「無理はしないでくださいね」
京真がプロテクションをカペラに施すと、彼女は頷いた。
「ええ!」
ドワーフであるが、なかなか身軽にカペラが前へと駆けていく。
乱戦の前衛へ。
「……猪突猛進も程ほどに」
呆れる京真の言葉はカペラに聞こえてない。
カペラが飛び出して行った事に気づいたアレグザンダーはカペラの死角から石つぶてを投げようとする狒々を見つけた。
「依頼人の邪魔をするな」
矢をその方向へ向け、獲物へ静かにアレグザンダーは威嚇射撃を開始した。
「大人しく潰れろ」
淡白なアレグザンダーの言葉とは対照的な狒々の短い鳴き声は威嚇のようであり、狒々の攻撃対象をアレグザンダーへと向ける。
「これでも喰らっとけ!」
シュタールが叫ぶと同時にその狒々に電撃が走り、衝撃で身体を上下に痙攣させる。
二人のサポートを受けたカペラは真直ぐタクトを向けてマテリアルをこめて機導砲を発射させて一条の光が狼を射抜く。
「これは景気がいいのぅ!」
機導砲の輝きを見て楽しそうに目を輝かせるのはギルバートだ。
「負けられないね」
ぽつりと言ったフラヴィだが、その声音は通常よりは弾んでいるように聞こえる。目の前に現れた狼にタクトを向け、一気にマテリアルをこめる。
「風よ……その身、鋭き刃となりて空を翔けよ!」
気づいたシルヴェーヌがウィンドスラッシュを発動させてフラヴィを狙う狼を攻撃させる。風の刃は後ろ足を抉り、狼の跳躍を抑えた。狼は傷つけられようともフラヴィの腕を喰らおうと大きく口を開けた。
彼女は待っていた。この瞬間を、奴が「武器」を見せる瞬間を。
フラヴィが発した光は狼の頭を粉砕し、そのまま地に落ちた。
「下がってください」
尚も戦おうとするフラヴィを止めたのは京真。
「治療も大事じゃ……よ!」
言葉が切れる時に力を溜めてギルバートがハンマーを下ろし、鹿の頭ごと地に落とし、叩き潰す。反動を利用し、横に薙ぎ、突貫する狒々を吹き飛ばした。
「すぐに戻るよ」
「待ってるよ」
下がるフラヴィにカルムカロマが声をかける。
京真のヒールとプロテクションを施術してもらったフラヴィが再び前衛へ戻る。
「前衛のお通りですよ」
戻るフラヴィの為に道を開けるように京真がホーリーライトを雑魔に向けた。
ハンター達の見事な連携で十数匹といた雑魔は見事に一掃される。
「凄いわ……」
くるりと周囲を見渡したカペラが心の底からハンターへの賞賛を呟く。
「どうじゃ、カペラ嬢ちゃん、ワシは強かったかの」
京真にヒールを施術されているギルバートが言えば、うんうんとカペラは思いっきり頷く。
「あ」
「あぶないですよ!」
仕事の疲れも取れてないのに戦闘をして足がふらついたカペラがそのまま躓いて顔から土に突っ込んだ。
「無茶をするからじゃ」
ため息混じりにシルヴェーヌが声をかけるとカペラがあははと笑う。前髪と顔が泥だらけだ。
「ま、お風呂入るし」
ごしごしと泥を拭き、前髪を上げたカペラはようやっと顔が見えた。
その顔を見て全員、一瞬、言葉を失った。
「医学的探求しなくてはなりませんでしょうか」
「ドワーフだっていろいろいるよ」
医者として興味をそそられた京真に言い聞かすかのようなフラヴィ。
「……クリムゾンウェストは色々ありますね」
唸るアレグザンダーに美華も頷く。
「お姫様だけあるんじゃない?」
ドワーフという観念に捕らわれてはいけないとリアルブルー出身のハンター達は頷く。
「差はどの種族も一緒だよ」
ふふりと微笑むエルフのカルムカロマが言えば、他の部族達の護衛へと向かう。
「そうだな、まぁ、王様だけあって美人な嫁さんを貰ったってことだな」
「立派な体格と強靭な精神力が必要じゃな」
ドワーフのシュタールとギルバートが言い、当のカペラは髪を束ね、首を傾げるばかり。
●
待っていた部族達をハンター達が誘導する。
部族達はとても怯えていた。
「襲ってきても俺達がいるから大丈夫」
「また追い払うから安心せい」
シュタールとギルバートが明るく声をかける。
「お祭りってどういうものだい?」
部族の中には子供もおり、フラヴィは子供達の警護に当たっていた。
「だいせいれいにびょーきや、たべものがたくさんできるようにおいのりするの! おはなできよめるの!」
「僕達のおじいさんが小さい頃に行った覚えがあったんだけど、ここ数十年は歪虚の動きが凄くて出来なかったんだって」
「でも、できる様になったのはハンターのおかげなの! ありがとう!」
子供達が口々に礼を述べてハンター達の心もくすぐったくなる。
「夜煌祭は賑やかなものかえ?」
シルヴェーヌが声をかけるとカペラは頷く。
「祭壇は厳かで花や薬草の香気に纏われて、参加者はそこで心身を清めるの。まぁ、その匂いが苦手って言っちゃう人間やドワーフはいるけど、私は嫌いじゃないわ」
肩を竦めるカペラにシルヴェーヌはくすっと笑う。
「貴女はとても若いけど、ハンターって、貴女の様な若い子もいるの?」
カペラがシルヴェーヌに声をかける。一般的に辺境部族はシルヴェーヌくらいの外見年齢は成人と見なされる。成人の儀式は必要だが、それはさておいて。
「おるのぅ、わしより幼い子もおる」
「そうなの! ハンターも色々といるのね」
むむと考え込むカペラ。
「祭りの時、何かやった方がいい事とかありますか?」
アレグザンダーが言えば、カペラは人差し指を天へ向ける。
「月よ」
「月ですか」
鸚鵡返しにアレグザンダーが言えば、カペラは頷く。
「香気で身体を清めたあと、月を見るととても心が軽くなるの。祭りの時は満月の時でもあるから、きっととても綺麗なのよ」
「後はパァーッと、歌って騒いで月を愛でながら酒を飲む事じゃ!」
呵呵と笑うギルバートにふむと、京真が思案する。
「お月見ですかね。風流ですね」
「おつきみ?」
カペラが尋ねると、京真はリアルブルーの一部地域で行われていた風習を教える。
「夜煌祭みたいじゃのぅ」
シルヴェーヌが言えばカペラと顔を見合わせて頷く。
祭会場近くをカペラがハンター達に案内した。
まだ設営中で入らせてはもらえなかったが。
「ドワーフは酒をたくさん飲むと聞くね……カペラさんも飲むのかい?」
カルムカロマの問いにカペラは笑顔で「ええ」と返事をする。
カペラはエルフにもドワーフにも人間にもリアルブルー出身者にも接し方は平等とカルムカロマは感じた。
エルフとドワーフは考え方が違い、顔を合わせたら最後、分かり合えず決裂という事もままある。
「私のいる工房は、ドワーフも人間も帝国も辺境もないの。馬鹿みたいなものも受けたりするから、種族や出身で喧嘩してる場合じゃないもの。貴方と会って、エルフにも色々いるって分ったわ」
「そうかい」
カルムカロマはそう応えた。心の中の翳りは儚げな笑みの中に隠して。
もう、祈る事を忘れた。
寂しそうに彼は緑の瞳を細めて祭壇がある方向へと向けた。
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作戦相談卓じゃ ギルバート(ka2315) ドワーフ|43才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/09/18 00:41:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/16 00:21:26 |