• 夜煌祭

【夜煌】大祭準備

マスター:藤城とーま

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/19 12:00
完成日
2014/09/25 23:26

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●祭の準備に心は躍る

 リタ・ティトが歪虚に閉ざされて以来、久方ぶりに行われるお祭り――。
 祭りに参加する部族が一つ、スコール族のファリフ・スコール(kz0009)は、高揚感に浮かれていた。
「嬉しいなぁ。お祭りが開催されるんだって。僕らもその手伝いができる……何より、巫女様の祈祷をこの目で拝見することができるんだねっ」
 嬉しそうにあたりを飛び回り、作業へあたっている自部族内外の者へとねぎらいの言葉をかけていた。
(でも、お祭りって……実際どんなことをすればいいんだろう?)
 ファリフは【夜煌祭】とは何なのかを口伝でしか知らない。
 部族会議が発足するよりも前。歪虚と部族らがぶつかり合った大きな戦いの頃、聖山の入口は閉ざされたらしい。そこから、数十年も経っている。
 巫女のリムネラは、大霊堂でその儀式などの事も聞いてはいたかもしれない。しかし……祭りが途絶え幾星霜経った今日、辺境部族の中にも未だ確りと儀式の方法を覚えているものが多く残っているわけでは――なかった。
 それもそのはずで、歪虚との度重なる戦は若人だけではなく年老いた者の命も、容赦なく奪い去っていく。
 口伝えの継承が大半であるの部族たちには、自部族の古い歴史を聞きかじった程度で過ごしたものもいるようだ。
 ある者は『三日三晩寝ずに火の番をする』とも言い、またある者は『一心不乱に踊り、酒を飲んで祖霊に祈る』とも言っていた。つまり……記憶は風化してきている。
 リムネラも、祭りの儀式などには詳しかろうが、数多ある部族の歴史のそれぞれも知っているわけではない。
 ファリフたちスコール族はまだ伝承を部族に広く教えていて――ファリフが長老らに教えを乞えば、良きことだと口を開いてくれるであろう。

「帝国の……要塞とかにいる奴らも祭りに参加するのか?」
 思わず聞こえてきた声に、ぴたと歩みを止めるファリフ。視線を声のする方へ投げれば、痩躯の青年2人が木材を抱えたまま話し込んでいる。
「えー? 部族の祭りに参加するわけねーだろ?」
「でもよ、親帝国の奴も祭りに参加するらしいぜ? ハンターとかならいいけどさ……」
 彼らの不安はファリフにも良く分かる。
 しかし、かけてやるべき言葉も無く、ファリフはその場を離れた。

 個人的に言えば、ファリフも帝国らには知ってほしくない。だが、これは【辺境】全体の催しである。
(お祭りで仲良くなれるものなのかな……でも、参加するなら……意識を一つにしていかなくちゃいけないみたいだし……)
 心に薄くかかったモヤモヤを拭い去ろうと、ファリフは忙しく準備をしている一団へと向かったのだった。

●お祭りにはつきもの

「祈り場づくり……と調理場の準備?」
「さよう。祈りと共に巫女が祈る場所も作って差し上げなければならんのじゃ。調理場は……祭りゆえ、祝いの品も必要じゃ」
 ぱちくり、と目を瞬かせたファリフへ、一言一言噛んで含めるようなスコール族長老の言葉。
 その祭壇には、浄化に必要なものも置かれるという事だ。それがなんであるかは、ファリフもすぐにわかったので神妙に頷いた。
「じゃあ、祭壇というのは……僕ら、祭りの担い手が作っていいの?」
「うム。他部族などとも力を合わせて作るのじゃ。どこの部族が担当した箇所が一番素晴らしいか、などを競わずにな」
 言われてみれば当然であるが、ファリフは僕で出来るかなぁ、と不安そうな面持ちだ。
「不安なようであれば、信頼できる筋やハンターの力を借りても良い。ホレ、他部族も彼らの力を借りる者たちもおる」
 指で示された方向……聖火の組木や食べ物を調理する台のようなものを……明らかに辺境部族とは違う装いの彼らが行っている。
「あ、ほんとだ」
「皆で力を合わせ、作業に当たりなさい。赤き大地に、赤き狼への感謝を込めて」
 細い目を皿に細くさせて微笑んだ長老へ、ファリフは大いに頷き……手近なものへ、ハンターズソサエティの依頼を頼んだのであった。

リプレイ本文

●会場にて

「村で聞いていた口伝とは少しばかり違うようですけれど……夜煌祭……! とても楽しみ……!」
 エテ(ka1888)は周囲を感激したような表情で見渡すと、ああ、と小さく息を漏らす。
 長寿のエルフたちの口伝えの中にも、今回の祭りは久方ぶりということで少々違和感はあるようだ。
 人々が少しずつ記憶や伝統を頼りに行動を起こした結果、新しいものが生まれたのかもしれない。
 そこへ、依頼主であるファリフ・スコール(kz0009)が手を振りながらやってきた。
「こんにちは! 僕はスコール族のファリフ。今日はよろしくね!」
 人懐こい笑みを浮かべ、ファリフはハンター一人一人の顔を見つめた。
 辺境で数年を過ごしたエアルドフリス(ka1856)は、会釈をし、丁寧なあいさつを行うが……ファリフは、堅苦しいのは抜きだと言って笑う。
「んんん~~……」
 と変な声が聞こえてきた。声の主はエアルドフリスではなく、その後ろの……沙姫=司芭月=灰楽礼亜(ka1615)だった。
「いやー、こ・れ・が! ファンタジーっていうやつ!? ファリフちゃんってば雰囲気出てるわ!!」
「え、そ、そう?」
 目をキラキラ輝かせ、やや熱の入った口調で語る沙姫。ファリフは意味も分からず半笑いな顔をしたままだ。
「今日は、みんなに調理場のお手伝いや祭壇の――」
「祭壇ッ!? 聞き間違いじゃないわよね?!」
 辺境の者より、沙姫は格段に食いつきがいい。ビクッと体を震わせたファリフにはお構いなしに、沙姫はちょっと想像力を高める自己世界へ入ってしまった。
「いい響きよねえ……♪ ねぇ、古い遺跡とかないかしら!? それとも昔話とかないかしら!? くぅ~~っ! 身体中をファンタジーの雷光が駆け巡るわね!」
 彼女の脳内では、どんなシチュエーションが映し出されているのだろう。
「すみません、本人はすごく楽しみにしているようなので……気を悪くされたら謝ります」
 ちょっと進行に困ったらしいファリフが呆然としていたが、早くもエンジン全開気味な沙姫の歯止め役……を自負するシエル=アマト(ka0424)が、すまなそうな顔でファリフに頭を下げた。
「夜煌祭のことは、ハンターさん達の間にも広まってるの? 嬉しいなぁ」
 気を取り直したファリフに、エアルドフリスもゆっくりと頷いた。
「俺も辺境を離れて流浪の身となって長く経ちますが、夜煌祭と聞いて久々にこっちへ戻ってきたのです」
「ここを離れた人がまた足を運んでくれるの、凄く嬉しいよ」
 ファリフはそう告げて、簡単に会場の主要な場所を説明する。左側には調理場。右側、杭が先に打ち込まれているところに、祭壇をつくる予定だ。

(ん~……いくら生活費の為とはいえ、これはちょっと早まった、かなぁ……)
 ファリフの説明をとぼんやりと聞……こえているのかいないのか、エハウィイ・スゥ(ka0006)は袖口で口元を覆う。
 視線をどこに置いても、人、人、人である。
(ほんと人多すぎ、熱意すごすぎ、暑苦しい……もうやだお家帰りたい引きこもりたいうわああぁぁ)
 心の中は、働きたくないでござる状態である。
「……はぁ、一応お仕事だし、バレない程度にサボりつつがんばろ……」
 ぽつりと漏らした言葉は幸い誰にも聞かれなかったが、エハウィイとは真逆、やる気に満ち満ちているのはアリソン・メープルウッド(ka2772)である。
 調理方法、そして鮮度も申し分ない食材。そして自らの学びの為……ではあるものの、彼女は結局料理が大好きなようだ。隠しきれない喜びが、その表情に表れている。
「エハウィイさん、これは辺境のお料理を学ぶチャンス……やりますよ!」
「や、私適当でいいし……あああ、この人やる気凄いよどうしよう充実しすぎ」
 楽しげに微笑むアリソンがまぶしい。
「それじゃ、調理場と祭壇づくりをお願いするよ!」
 大きく手を振って、頑張ってと去っていくファリフ。その背を見送ってから、エアルドフリスは浄化の為にも祭は成功させにゃあならん、と咥えたパイプに触れつつ淡々と告げた。
「……が、そう気負っても仕方がない……適度に休息を取りながらやろう。ま、これも滅多に関われるもんじゃあないから貴重な経験だ、くらいに思えばいいんじゃないか」

 そうして、彼らは調理場と祭壇側に分かれて、作業を開始したのだった。


●調理側

 調理場は女の戦場。中には男性もいたが、ほぼ女性に仕事を取られて薪割りや食材運びといった力仕事に従事させられている。
「活気があっていい場所ですね!」
「そぉ? なんか怖いんだけど……」
 うきうきと弾んだ声を出すアリソンと、その後ろに隠れるようにしながら進むエハウィイ。
 2人のすぐ横で、部族の母ちゃんが板の上に丸々と太った鳥を置いた。
「……あら、脂も乗っていて良い鳥ですね」
「そうさ。交易用に木の実をたらふく食わせてたんだ。お祭りに使えるなんて幸せだよ」
 辺境の暮らし向きを考えるに、数もそんなにないであろう鳥を惜しげも無く使うさまを見て、アリソンは胸の奥が熱くなり、調理の手伝いを申し出る。
「ニコニコしながら調理に取り掛かってるし……料理もテキパキして、馴染んでる……」
 辺境の豆を興味深そうに眺めるアリソンを置いて、エハウィイはすかさずサボろうと回れ右。
 しかしその目に映ったのは、若い女性2人が羊肉を前にして話し合っているところだった。
「同盟の人が、パン粉つけて焼くって言ってたのよ」
「え、パンを粉に? もったいなくない?」
 嗚呼、食文化の違いは悲しき哉。どうやら、シャレオツでハイカラな料理を作ろうとしたようだが……。
(あちゃー……問題発生じゃん)
 天はヒキニートを休ませることを許さじ。彼女たちがパンに手をかけた所で『ちょっと待った!』と、思わず間に入ってしまった。
「あのさ、祭りの料理だからってのはわかるけど、作り方分からないなら変に気張らず、いつも食べてるものを作るのも良いと思うよ?」
 女性2人も突然のアドバイスにきょとんとしている。
「勘に頼って『それアカンやろ』的な物作っちゃったり、祭りで浮かれてる時こそ目新しいのにこだわって作ろうとせず、それぞれの部族が普段食べてるものをワイワイ持ち合うのもさ、楽しいじゃん?」
 急に話しかけた方のエハウィイも必死である。しかし、彼女らにも気持ちが伝わったようだ。
 それもそうね、と女性たちが笑ったので、ホッと胸をなで下ろすとスタコラ逃げるようにその場から離れていく。

●祭壇側

 筋肉の乳酸地獄……もとい、石切り場。岩を削るのではなく、ある程度の大きさの石材から加工するようだ。
「変に割られても困るからよ、ここはオッチャンに任しときな!」
 そう言って笑った40~50代のオッチャンはまだまだ若い者には負けない。楔を次々迷いなく打ち込むが、ここは長年の経験か――綺麗に石は左右に割れる。
 一点を決めて楔を打ち、横一列に次々楔を打ち込んでいって割る……というオーソドックスな手法だ。
 割れた石をまた割って、端を削って……綺麗な形になったところで、運び手に渡される。
 数枚の石にロープをかけて荷台に乗せて馬で運ぶか、あるいは木材を地面に並べ敷き、転がして渡す流れだ。
 だが、その石を運んでくるのも実は一苦労なのである。
「石は気を付けて運ばないとねえ、落として割れちゃったりなんかしたら大変だわ」
 神妙な顔で沙姫は呟き、牽引の用意をするためロープを握って待ち構えていた。
「ほらほら男たちぃ、しっかりと運んでよねえ? あたしも手伝うからさ」
 シエル、男の子でしょ! と励ます……のだが、当のシエルは、額に汗して石を運びつつ、笑顔で『ちゃんと運ぶよ』と答えていた。
 石を重ねた所で手早く沙姫がロープで石を結び、馬が装着している器具に括りつける。
「あの、この祭りの歴史や由来、そして意義などをお伺いしたいのですが」
「そうよ、そこなのよ。一体夜煌祭本番はどんな事するの? ねねね? 教えて?」
 シエルと沙姫は馬を引いている男性に話しかけ、祭りについてのあれこれを尋ねていた。
 丁寧に教えてくれる男性の言葉に引き込まれるように、2人は熱心に聞いては時折顔を綻ばせる。
「いやはや、腕力はそこそこあると思っていたが……体を適度に動かしていないと中々に骨だな」
 荷台のバランスを見ながら注意深く乗せたエアルドフリスは、流れ落ちる汗を手の甲で拭う。
 作業を応援するかのように、大地を移動していく風は軽やかに彼らの間を過ぎ去っていく。
 エアルドフリスは風の心地よさに目を細め、空を仰ぎ見た。
「空も大地も、昔と変わらんように見えるが……」
 変わってしまったのは環境か自分か。さて、どうなのだろうな――と自身に呟くように問い、彼は祭壇の方へと向かっていく。

「……過程はどうあれ、生きている間にこのお祭りの大事な準備をする役目として参加できるんですもの。たくさん、頑張ろうっ」
 エテはスクアーロナイフで石の表面を削る。
 飾り彫りで繊細さと美しさを吹き込んでいくかのように、鋭い切れ味を持つナイフは彼女の髪や頬に石粒を飛ばしながらも、彼女の指先の動きに合わせて徐々に表面を掘り進める。
「ほう、エテは流石に器用だ」
 敷石の手伝いに来たエアルドフリスが彼女の後方から覗き込み、感心したように声をかけた。
「ここを取り仕切っている族長さんが、辺境の恵みや自然を表現したものならいいって……なので、こういうのも可愛いと思って」
 指導する男性の声や指定に合わせて石を地面へと敷き、床面が終わると浄化の香草水をかけ、清めてから祭壇の作成に取り掛かるようだが、エテたちはその祭壇の石に直接掘っているのだ。いかに重圧のかかる仕事か、想像に難くない。
「じゃあゆっくり下ろします、よ……!」
 床を作るために運んだ石と違って祭壇に使用する石は大きい。
 シエルたちは数人がかりで指定された場所へと運ぶと、そろそろと傾けながら床へ下ろすと台となる石を組んでいく。
 何時間もかけて皆が力を合わせて作成した祭壇は、なんとも――華やかで繊細なものに仕上がった。
 蔦が側面を囲うように施され、この時期辺境でも多く咲いている花と、周囲を舞う蝶が彫られている。
 そして中央には……エテが苦心して彫り上げた、赤い月と狼のシンボルが埋め込まれていた。
「皆さんと協力できたから……素敵な祭壇になりましたよね……!」
 エテは照れたように沙姫やシエルへ微笑み、互いに声を掛け合った。

●前夜祭

 労働を終え、休憩所に戻ってきたシエルたちを出迎えたのは、どんと盛られた料理の数々。
「慣れない事をやると、とっても体力を消費するのですね……美味しそうなお料理を見たら、お腹、すきました……急激に」
 ぐったりとしていたエテだが、豪華な料理に目を丸くさせた。シエルも同じ気持ちだったようでこくりと首肯する。
「みなさん、お疲れ様でした。丁度料理も出来た所ですよ」
 笑顔で出迎えたのはアリソン。彼女の手には、緑、黄色、赤……野菜が色合い良く盛り付けられた、羊のオニオンソースがけがある。
 部族の女性と協力した料理で、ソースと盛り付けは彼女が、肉の調理は部族の女性が担当した。
「種類も多いが、かなり食べ応えがありそうだ……」
「ですが、これでもまだまだだとか。夜煌祭にはもっとたくさんの方が来ますから、もっと多くの料理が並ぶそうです」
「それは楽しみだ。宴も正のマテリアルを高めるにも良いし……いや、うまいメシは是非とも食いたいという欲なんだが」
 エアルドフリスが言うと、アリソンはそうだろうと思っていましたと、皿を置きながら応じている。
「これでもまだ少ない方とか……祭りってほんと熱気すごい……」
 引きこもりたい気持ちを押し留め、近くを通る部族男性たちを、妄想の世界であれこれ煩悩で絡ませていたエハウィイ。
 これ以上は語れないが、大収穫だったのか彼女の表情は少しニヤついているので、あえて触れないでおく。
「みんな、お疲れ様! すごいね、あんな素敵な祭壇を作ってくれたり、食事も指導してくれたんだね!」
 丁度やってきたファリフがありがとうと礼を告げたところに、これから前祝をやるのだとアリソンは彼女を誘う。
 僕もいいの? と言いながらも魅惑的な誘いは断れず、ファリフもその席に参加させてもらった。
 木製のコップにそれぞれ果実を絞ったジュースや酒などを注ぎ入れ……エテは高々と盃を掲げた。
「夜煌祭の成功を祈って!」

――乾杯! 

 渇いた喉に流し込まれる飲み物は非常に美味で、優しく彼らの疲れを癒す。
 シエルは持参したギターを即興で弾き、部族の人々の手拍子や、これまた適当な歌や踊りをし始める。
「見て見てシエル! 部族の服頼んで貸してもらっちゃったわ~!」
 羊毛で織られた長い丈の衣装を纏った沙姫。寒さ対策できつめに編むため、少々厚めの生地だ。
 ステージで踊りたいと出来上がった祭壇と床を指すと、あれは儀式をする巫女様が立つ神聖な場所なので、まだ駄目だと断られてしまった。
「ハンターのお姉さん、聖なる火の近くにある、広い場所ならどうかな」
 部族の女の子に連れられてきた場所は、休憩所からさほど遠くない。
「ねぇ、僕っ子幼女」
 くいくいと狼毛皮を引っ張るエハウィイに視線を向けるファリフ。
「私さ、こう見えて巫女見習いだったりしたわけで……色々あってこうなってるけどさ」
 今は働いたら負けだと思ってるとは言いづらかったようだが、尊敬のまなざしを向けてくるファリフ。
「幼女は帝国がどうとか、辺境がどうとかなんか色々考えてるみたいだけどさ……祭りって始まっちゃえば皆ワイワイ騒げるもんだよ」
 あんなふうにさ、と楽しげに踊っている彼らを指す。
 だから、難しく考えずパーっと騒ごうよ、とも告げた。
「……笑う乙女の私が言うんだから、間違いなし、だよ。赤き狼の族長さん」
 そう言って、ほんの少しだけ――イモジャージの巫女は、ふわっとした微笑みを向けた。
「……ああん、クリムゾンウェストって……最ッ高オォッ!!」
 沙姫は感極まって心からの想いを叫ぶ。
 そんな様子にシエルは微笑ましい顔をしつつ、曲をその指で紡ぎ続けていたが――……隣から、思いもよらぬエアルドフリスの歌声が聞こえた。
(遠い昔、巫女になるつもりだった頃に仕込まれた、雨と空の巡りに感謝する歌だが)

 今は、ハンター同士……また、部族の人々との絆の巡りを願いつつ、感謝を乗せて歌おう――
 空気に溶けるような歌声は、いつも聞いている彼のものとは思えぬほど意外で……純粋なる願いを乗せた音だった。
 その歌を聴きながら、エテは胸の前でそっと指を組んで目を閉じる。

「リムネラ様が纏めるガーディナのシンボルが……この夜煌祭を見守ってくださるように……」

依頼結果

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参加者一覧

  • もえもえきゅん
    エハウィイ・スゥ(ka0006
    人間(紅)|17才|女性|聖導士
  • 夜煌の月
    シエル=アマト(ka0424
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 夜煌の月
    沙姫=司芭月=灰楽礼亜(ka1615
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 萌え滾る絵心
    エテ(ka1888
    エルフ|11才|女性|魔術師
  • “技”の料理人
    アリソン・メープルウッド(ka2772
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ファリフ様に質問
エアルドフリス(ka1856
人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/09/18 22:39:29
アイコン 大祭成功の為に【相談卓】
エアルドフリス(ka1856
人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/09/18 21:49:40
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/14 13:09:12