紡ぎの歯車(2)

マスター:西尾厚哉

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~15人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/09/22 22:00
完成日
2016/10/05 23:21

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 双眼鏡を覗いていた兵が、はっとして目を凝らした。
「ブレガ兵長!」
 バルドゥル・ブレガは身を低くしたまま素早く兵の傍に移動する。
「どうした」
「団子に動きが。周囲の剣機らが団子の足元にいろいろ差し込んだんじゃないでしょうか。穴の外に出ようとしています」
「エイセル!」
「は!」
 バルドゥルの声に、背後の兵が素早く身を翻した。
 ブレガの率いる部隊は森と反対側の山側から見下ろす状態でハンター達が穴に落とし込んだ巨大な剣機団子の様子を見張っていた。
 森を隔てて見張るよりはそのほうが確認しやすかったからだ。
 問題は、何らかの異変を察知しても対面の森の外に待機する兵にトランシーバーも短伝話も届かないことだ。
 結果、誰かが森の待機する兵に手旗信号を送ることになる。
 これはこちらの位置をを敵側にも知らせる可能性もあった。
 じりじりして待つこと小一時間。

―― ゴオオォオ……ン……

 土煙があがるのをバルドゥルは確認する。
「一発か……」
 隣の兵の呟き。
 いたしかたあるまい。
 爆薬のスイッチは長く伸ばした導線の先で、いくつかは剣機が千切る可能性は考えていたし、それでもスイッチを押しに行く兵は命懸けの距離だ。
 再度の爆破の様子がないことを確認し、再び手旗を送る。
 森側の応答はなかった。
「撤収する」
 バルドゥルは言った。ここも危ない。


「それで、結局団子は再び拘束状態になったのか」
 バルドゥルの報告を聞いて、オズワルドは難しい表情になる。
「数日間は。また懲りずに下にガラクタを詰めようとするでしょうが、自身の重さがありますからそう簡単にはと思います」
 ぎょろりとした目を見開いてバルドゥル・ブレガ兵長は答える。彼は一貫してこの表情だ。
「吸血鬼の姿は確認したか?」
「いえ。あれ以来姿は見せません」
「負傷したという情報もある。武器も無くしたはずだがどうなっているか確認したいところだな。あれがどこに身を隠すか見当がつくか?」
「団子の表面積は約1300平方メートルにも及びます。残念ながら私には。ただ、周囲はたえず剣機が動き回っています。時々動物の死骸を引っ張ってくることも」
「貯蔵庫の補充か」
「恐らく。人間ひとり、動物一匹で同じ量だけ補充できるのかどうなのかは分かりませんが、一つ言えることは減った分は自然回復しない、ということかと思います。近隣に兵を派遣しておいて正解でした」
「楽観はできんよ。狩場を失った動物が人里に降りることをお前も知らんわけじゃあるまい」
 オズワルドは頬杖をついてバルドゥルを見やり、バルドゥルは更に目を見開く。
「まあ、流れる血がなきゃ、敵も貯蔵量は増やせんようだな。かといって一般兵に無傷で戦えというのも無理な話だ」
「そうですね……ちょっとした傷でも不要なほど血が流れたと報告する者もおりました。宙を舞う我が血を見るのは不気味であったと。ならば、貯蔵できる時間を上回るほど消費すればあるいは、とも思いましたが」
「団子はもっぱら防御、攻撃は吸血鬼。吸血鬼を先に葬ればあとは団子、か」
 オズワルドは椅子の背に身を預け考え込み、バルドゥルは上官の顔をじっと見つめる。
 途中でオズワルドはちらりと彼に目を向けた。
「あっち」
「は?」
 オズワルドは窓の向こうを指差す。
「あの辺に目を向けてろ。お前にじっと見られていると考えが纏まらん」
 バルドゥルは言われた通り、視線を窓の外に向けた。
 に、しても、この男瞬きをせんな、とオズワルドは頭の隅でちらりと思う。
 暫くしてオズワルドはどん、と両手をデスクに置いた。
「よし決めた。魔導アーマーを一体出す。アーマー所持の第五部隊と副団長が文句垂れるかもしれんが、それは俺が何とか説得する」
「魔導アーマー……」
 バルドゥルは呟いた。アーマーを出す戦闘には彼も参加したことがない。
「先に吸血鬼を葬ってその後団子、とも考えたが、決着をつける」
「では……ハンターにも?」
「それはハンターの意志に任せることになる。動き回る剣機と吸血鬼はでかけりゃ倒せるもんでもない。お前の部隊はとにかくハンターの動きを邪魔する奴はとことん押さえろ。序盤でだけでもどかどかやりゃあ、隠れている吸血鬼も姿を見せるだろう」
「は」
 バルドゥルは頷いた。
「グロスハイム殿とファティ殿も同行でよろしいですね?」
「留守番してろと言えまい。呼び出したのはこっちだ」
 オズワルドは答え、小さく息を吐く。
「グロスハイムはともかく、ピアさんは精神的な消耗度合いが大きい。できれば置いておきたいが、あの子の性分じゃ、それは受け入れまいよ。まがりなりにもハンターだ」


「ララさん」
 レイ・グロスハイムに声をかけられて、ララ・デアは顔をあげた。
「師団長は次で決着をつけようと考えてる」
 ララは頷いた。
「もし、俺に万が一のことがあったら、これを師団長に」
 分厚い封を渡されて、ララは怪訝そうにレイの顔を見た。
「俺が分かる限りのゲルベッツに関する情報と、俺なりの考察が纏めてある。情報はトマスも持っているし、たぶん合わせれば何かの足しになると思う」
「自分で渡すべきだわ」
 ララはかぶりを振った。
「戻って来れればもちろん。今渡すと、遺書かと師団長は突っぱねる」
 レイはちらと笑みを浮かべ、そして向こうに視線を向ける。その先には疲れ切った様子でソファに座るピアの姿があった。
「……彼女が気になるところではあるけれど。……あの吸血鬼の憎悪は狂気だ。」
「私がサラを探す努力をもっとしていれば……こんなことにはならなかったかもしれないわ……。皆が怪我をして、亡くなって……私がもっと……」
「サラでなければ恐らく他の誰かが」
 レイは悲痛なララの顔をじっと見た。
「ララさん。あなたは決してサラの最期を見届けようとしてはいけない。無事にサラを眠らせたいと思うなら……ここで待っていてください」
 ララははっとしてレイの目を見つめ返す。
 見透かされていた。そう思った。
「帰って来るのよ……あなたもピアさんも」
 ララの言葉にレイは何も答えなかった。

リプレイ本文

 森はできるだけ早く抜けなければならない。
 目的地の前にこんな狭苦しい場所の戦闘は避けたい。
「行け、行け、行け! 止まるな! 死体を見ても放置して行け!」
 バルドゥル・ブレガが兵を煽る。
「ピア。着いたらすぐに自衛スキルを。他の人を守るものは所持している?」
 走りながらルシオ・セレステ(ka0673)に声をかけられながらも、ピア・ファティ(kz0142)は走り抜けたデュミナスの足に、つい視線を注いでしまう。
 コクピットにいるのはザレム・アズール(ka0878)か仙石 春樹(ka6003)。どちらなのかは地上からは分からない。
「ピア」
 ルシオは気もそぞろな彼女の手を引いた。
「ご、ごめんなさい」
「いい? せめて私の後ろに。ずっとだよ?」
「はい。防性強化と防御障壁持ってきました。時計はもう服の中に入れたから前みたいに掴まれたりしません」
 ピアはぽんぽんと自分の胸元を叩いてみせる。
「レイのネックレスは本当にあのままで良かったのか?」
 ルシオの言葉を聞いてピアに無意識にレイ(ソレン)の姿を目で探してしまう。
 もちろん、この状態では彼がどこを走っているのかは分からない。
 マキナ・バベッジ(ka4302)がルシオの提案を受けて自作の歯車のネックレスを準備したのだが、ピアはそのままレイ(ソレン)に本物のほうをつけさせた。
「サラがネックレスを欲しがるんなら渡してもいいと思ったんです。私さえ執着を無くせばもう……持ち主はいません」
 それを聞いて振り向いたルシオの青水晶のような瞳をピアは見つめ返した。
「いいの?」
「その代わり、返してもらうものがありますから」
 今度はピアがルシオの手を握った。
『ピアは意外と強い。どちらかというとレイのほうが危ういかもしれないな』
 森に入る前、ウィルフォードが誰に言うともなしに呟いた言葉を、ふとルシオは思い出す。
 何をするにも無表情なレイの心中を察するのはいつも難儀に思うが、ピアが強いという彼の言葉にはルシオは同感だ。
 それでも、あの団子が葬り去られる時、彼女は冷静でいられるのだろうか。

 バルドゥルが言ったように、死体『らしき』痕跡はいくつかあった。
 千切れた手首だけがぎゅっと握り締めたままの魔導爆弾のレバースイッチをマキナは拾い上げる。まだ爆破に至っていないそのままのレバー。
「無駄だ。たぶん途中で断線されてる」
 ウィルフォード・リュウェリン(ka1931)が放っておけ、というように言う。
 彼の言う通りかもしれない。
 マキナは小さく祈りを捧げて再び前に進む。
 魔導アーマーがなぎ倒す木々が泣くような音をたてた。
 軍のアーマーに乗っているのはまだ若い兵で、名をロルフという。
 バルドゥルが言うには覚醒者ではないが、師団の中ではアーマーの操縦に長けているらしい。
「幌を……!」
 マキナは剥き出しのままのコクピットを懸念して声をあげた。
 彼のこのひと声が大切な武力のひとつを守る結果に繋がったのを知るのは数分後のこと。
「やっと抜けたね」
 やれやれと呟いた春樹は、コクピットから待ち構えている無数の剣機の姿を見、その後いきなり落雷でもあったかと思った。次に頭の中を掻き回されそうな軋み音。
 ガツンと重い衝撃が伝わる。
「な、なに?」
「ピア! クライヴに障壁を!」
 叫んでレイにプロテクションを付与するルシオのグランシャリオにどかりと最初の重い一撃が来る。
「クライヴさん?! どこ?!」
「俺が見つけた!」
 ザレムの声。
 その直後にクライヴ・バンフィールド(ka4999)の周囲にガラスのような破片が散る。
「遠隔攻撃者に任せろ!」
 ロニ・カルディス(ka0551)が叫ぶ。
 ルシオは彼にサルヴェイションを。次にウィルフォード。
「なに? 何が起こった?」
 ゴゥン、ガツンと続く重い衝撃に春樹は呟く。
「うーん……こいつらかー……」
 群がり、よじ登ろうとしている剣機に気づく。
 それでも本能的に防御しようと体は動く。……いや、上手く動かない? なぜ。
 やべえ。やべえよ。
「これが例の? 悪い、俺も助けてくれると助かる。マジにだ」
 操縦レバーを握り締めながら呻くと、前方で火の玉が炸裂したのが見えた。
 ウィルフォードのファイアーボールだ。
「春樹! 前方マシンガンいけ! 味方はいない!」
 ソニックフォンで聞こえるザレムの声に
『あちゃー、自分で何とかしろ、と』
 と思いつつ、言われるがままマシンガンをぶちかました。
 数打ち当たるな状態でも、マシンガンはさすがに威力がある。
 飛び散っていく剣機が見え、
「うほ? 快感? やるじゃん、俺のデュミナース!」
 ちゃっかり呟く。
 行動阻害の効果が切れた。
「……ったく……いきなりでした……ね!」
 クライヴの鬼霧雨がざくりと剣機に一撃を加える。
 重い。こいつはオーク剣機。歪虚になるとこんなに重いのか。
 倒れもせず再び振り上げられた斧はロニのシャドウブリットが封じ、クライヴの鬼霧雨が再び一撃を見舞う。
 まだ倒れない。
「しぶとい……」
 吠え声と共に振り下ろされる斧はマキナのワイヤーウィップが。
 彼と二人がかりでようやく倒れた。
「オーク剣機は……アーマーに任せましょう。僕達は……ゴブリンのほうを減らす方向に」
 マキナの言葉にクライヴは頷く。その方が良さそうだ。
 しかし、
「団子の唸り声は貯蔵量を大幅に減らすはずだ。なぜいきなり」
 ウィルフォードの疑問には背合わせに立ってロニが返す。
「傷を作るな、がしょっぱなから挫かれた。見てみろ」
 言われて目を凝らしてみれば、あちこちで空に昇る赤い粒。
「常に供給確保ときたか」
 サラも馬鹿じゃない。自分が優勢とたかをくくっていた前回、捕獲されてエネルギー切れを起こした。
「それと、この戦闘で最初の唸りの消費量は補填された可能性がある」
 ロニはそう言ってウィルフォードから離れた。
 ルシオの慈雨が青く降り注ぐ。
「怯むな! 攻撃を続けろ!」
 バルドゥルの怒声が響く。
「バルドゥル! 兵を纏めろ! 射程外に!」
 ザレムは言い、
「おい! ロルフ! 気をしっかり持てよ!」
 マキナが幌をあげろと言ったのは本当に幸いだった。
 剣機によじ登られて恐怖を感じたロルフが青い顔でザレムの声にこくこくと頷く。
 春樹の装備したマシンガンは、彼の当初の思惑通り剣機を広範囲に広げない役割を十二分に発揮した。
 そのあとはプラズマカッターで蹴散らす。
 ロルフのアーマーはアサルトライフルを積んでいて、最初の数発は外しまくっていたがやがてザレムのデュミナスが持つ薙刀と共に確実に一体ずつ葬る。
 合間を縫ってアーマーの背後に来る剣機はロニがレクイエムで動きを封じ、マキナとクライヴ、兵達が片っ端から相手にした。
 ふと、ピアが魔導銃の音に顔を巡らせた。
 兵に混じって彼も攻撃をしている。
 近くにはウィルフォードがいた。
「ピア、前に出過ぎるな」
 ルシオが注意する。
「分かってます。でも今回はバンカーですから。こないだソーを持ってて、つくづく自分がマキナさんみたいに動けない人だってよくわかりました」
 マキナは疾影士だよ、とルシオは苦笑するが、ともあれバンカーで攻撃を開始するピアの近くでいつでも盾を使えるよう身構える。
 それにしても
「サラが出ない」
 数十分過ぎたあたりで、大鎌クロノサイズを武器として振るいながらロニは呟く。
「……」
 ふと思い当たった。
 師団の兵が数名、傷が深くて後方に下がる。ヒールで再び参戦するのだが、兵のヒールだってそんなに回数はないだろう。それはルシオの慈雨も同じ。
 剣機は最初のまだ半数。
 サラはこちらを『枯渇』させようとしている。
 頭で警鐘が鳴る。来るぞ、たぶん。また。
「バルドゥル、兵を後方へ。マキナとクライヴも」
 ザレムの声が響いたあと、デュミナスがカノン砲を発射した。
 それは剣機団子を直撃し、カノンの甲高い呻き声とは別に張りつけられた剣機が破壊される悶絶の声を響かせた。
 その声にピアがピクリと動作を止める。
 ルシオのグランシャリオが彼女に向かった攻撃をどかりと受け止めた。
「ピア!」
「はい! すみません!」
 仲間の声に一瞬怯んだ剣機を春樹のカノン砲が吹き飛ばす。
 団子自体と剣機への総攻撃。
 ザレムもやはりなかなか姿を見せないサラに危惧を感じたのかもしれない。
 更にもう一発。
 カノン砲一弾で剥がれる団子の皮はごく一部。
 それでも打ち込まれるたびに響く剣機の声は不気味だった。
「……声」
 ロニは本能的に叫ぶ。
「来るぞ!」
 彼の声の直後、剣機団子は再び軋みの音をあげた。


 腹に響く軋み音と共にサラの姿を見た時、次に何が来るかは容易に察することができた。
 ルシオはピアを盾で庇い、レイに再びプロテクションを。
 ピアはクライヴに防御障壁を。
 ロニはレクイエムで地上の剣機の動きを鈍らせ、マキナは次の動きに身構える。
 刹那、薄ら笑いを浮かべたサラが血の槍を飛ばした。
 兵を後方に移動させたことは救い。
「ウィルフォード!」
 バックラーで槍を受け、気遣うロニの声にウィルフォードは頷く。
「大事ない。かすり傷」
 束の間、ルシオはサルヴェイションか慈雨か迷う。
「いや、サルヴェイション」
『サラの飛翔の距離は恐らく20数メートル』
 森に入る前にマキナがそう言っていた。
 ロニの呪縛を解く。
 シャドウブリッドの影が伸びた。それがサラの右の袖をふわりと薙ぐ。
「片腕が……ない!」
 サラの左腕には槍がある。返しがあったためにマキナからは穂先を切り落として抜いたあの槍だ。
 ルシオは次にウィルフォードの呪縛を解く。
 傷の癒しよりもまず攻撃。
 次のターンあたりで行動阻害の影響はほぼ全員が解けるのだろうが、僅差がきっと戦況に影響する。
「が、腕の再生までは無理だったか」、
 ウィルフォードがウィンドスラッシュで左腕を狙う。
 次に来たのは下から吹きあげる針。
 サラは落ちない。
「手ごたえはあったと思ったが」
 ウィルフォードは草の上にぽつりと落ちた我が身の赤い点に気づく。
 血がサラの攻撃源となる。
「最初の攻撃もこれが理由か」
 播かれた兵の血、自身の血、全てがサラの攻撃を可能とする。それはきっと貯蔵庫の量とは関係がないのだ。
 だから最初に攻撃を通した。
「偽物、出て来い!」
 サラは宙を舞いながら叫ぶ。
「ここだ! 降りて勝負しろ!」
 レイが叫び返した。
「勝負? ふざけるんじゃないわよ!」
 サラの赤い口が大きく開いた。
「お前は血にまみれて死ぬんだ!」
「じっとしてろよ……ったく……」
 春樹の呟きは全員の心中を物語っている。
 もう既に一時間以上もここにいる。剣機もまだいる。団子の破壊も残っている。
 サラひとりにもはや戦闘を長引かせるわけにはいかない。
 だのに、サラは照準を定めさせまいと叫びながらも宙で動き回る。
「春樹」
 ザレムの声がした。自らを指して左を指し、次に春樹を指して右を指す。
「なんですと?」
 デュミナスの頭が傾げられた途端
「サラの逃げ道を無くすんだよ! 俺が左を打ったらお前は右を打て!」
 ザレムの声がトランシーバーでガツンと届いた。
「ああ、ああ、そゆことね」
「そのあとは剣機だぞ!」
「はいはい、オケー」
 サラも実は手詰まりだ。レイを殺すためには自らの動きを止めねばならない。
 動きを止めればロニとウィルフォードが狙う。
 逃げようとすればザレムと春樹が止める。
 サラの口から奇声が発せられた。
 剣機がハンターを狙って動く。少しでも邪魔をするつもりだろう。
 ロニのレクイエムが再び発動する。
「サラ、観念しろ」
 ザレムのカノン砲が空を向いた。
 発射されたカノンから逃れるために移動した先に春樹が一発。
 束の間、逃げ場を探して動きを止めた時をロニとウィルフォードが逃さなかった。
 伸びる影と一陣の風。
「ギャッ……!」
 サラの左腕から槍が落ち、その体も落下する。
 すかさずクライヴの疾風剣、更にバランスを崩したところでマキナのワイヤーウィップが伸びた。
 エンタグルでサラの腕を絡めとる。彼女はこれで取り落した槍も拾えない。
「春樹! 剣機を近寄らせるな!」
 ザレムの声。
「オケー、オケー、わーってまーす」
 この声はザレムに筒抜けなのだが、ザレムは何も言わなかった。
 春樹はのらりくらりとしているようで、最初を伝えればあとは十分な動きをしてくれる。勘がいいのだろう。
「……っ!」
 マキナは歯を食いしばる。異様に力が強い。歪虚とはいえ、サラの小さな体からどうしてこんな抵抗の力が出るのかと思えるほど、ウィップの引きが強かった。
 死に物狂いとはまさにこういうことをいうのだろう。
「トドメを刺してやる」
 レイがぴたりと魔導銃の照準をサラの額に合わせた。
 ロニがジャッジメントを放とうとした時、サラが口を開いた。
「どうせ葬られるならその前に教えて」
 銃口の向こうからひたとレイを見据える。
「あなたはどうして偽者になったの。自分でレイじゃないってわかってたはずよ」
「……!」
 背後でピアが小さく息を飲んだのがルシオには分かった。
「私とレイは歪虚になりたくてなったわけじゃない。でも妃様がこの姿で長らえさせてくれた。それが罪なの? 誰が悪いの? 偽者のあなたは正しいの?」
「歪虚の戯言に惑わされちゃいけないと思いますよ」
 クライヴがゆっくりとサラの背後に回る。
「少しでもこれに心動かされてしまう部分があるなら、自分がいつでも」
 ラディウスを水平に構える。
 クライヴは防御障壁で二度の行動阻害から何とか身をもたせたが、最も負傷の度合いが高い。
 それでも痛みを他に知らせるような表情は全く見せず、むしろこの状態を楽しんでいるかのような冷静な面持ちだ。
 その気迫を感じたのか、サラが一瞬、ちらりと背後を気にする素振りを見せた。
「その妃はお前を助けに来たのか」
 レイは言った。
「来ないわ。呼んだけど、来てくれなかった」
 サラの目から涙が落ちる。
「生身が死んだ時も誰も助けてくれなかった。この姿になっても誰も助けてくれない。どうして」
「じゃあ、ネックレスをあげるから……!」
「ピア!」
 走り出したピアの後をルシオが慌てて追った。
「それでどこかに行って!」
 声に反応したレイの意識が一瞬サラから途切れる。
 その隙をサラは逃さなかった。
「くっ……!」
 マキナがウィップを引き、クライヴが一撃を与える。
 サラの体から鮮血がほとばしるも、彼女は飛び上るなりレイに体当たりし、倒れた彼の首筋に噛みついた。
 肉を食い千切り、散らす赤い粒から針を射る。
 突き刺さる振動でレイの体がびくりと撥ねた。
 まさに執念。いや、狂気。
「クライヴ! もう一度行け!」
 ロニはジャッジメントを放つ。
 剣心一如で繰り出されたクライヴの刃が再び弧を描き、なおも致命の一撃に至らずサラは赤い口で威嚇する。
「神の御名のもと……」
 シャドウブリット。
「安らかに眠れ―――サラ!」
 ロニの声と共に小さな頭が鞠のように遠く飛んだ。

―― ワタシハ ドウシテ……?

 小さな声。
 散った黒髪が赤く変わり、白く透き通った肌はそばかすまみれの幼い少女の表情を垣間見せ、そしてボロボロと崩れ去った。
 レイに跨っていた体も風に紛れるように消え失せて、あとは血まみれになったソレンの体が横たわるのみとなる。


「剣機が動きを止めた。……いや、攻撃の意志を無くしたというべきか」
 ウィルフォードの言葉にマキナは周囲に目を向けた。
 残っていた剣機達は団子の麓でうろうろと所在なさげに動き回っている。
「あんなにも共にいたいと願っていた相棒がいなくなっても、団子はうろたえる様子もないんだな……」
 サラの首が飛んでも団子は唸りをあげることもなく、動きを見せるでもなく、ただ、そこにあり続けている。
 それでも葬らねばならない。
 団子に目立った攻撃力がなくても、サラのような先導歪虚が組むと同じことが繰り返される。
 マキナは口を引き結んで目を伏せた。
「レイ、お願い……目を開けて……」
 ピアが涙声で血まみれのソレンの顔を覗きこんでいた。
 ソレンは重体の状態だった。息があったのが不思議なくらいだ。
「私のせいだわ……私が声をかけたから……」
「ピア、これは結果だ。サラはきっと別のタイミングでも同じことをするつもりだっただろう」
 慈雨で治療を行ったあと、それでも止まらぬ血に応急手当てをして兵に運ばれて行くソレンを見送ってルシオはピアに向き直る。
 その手に彼女は歯車のネックレスを握らせた。
 レイの血で染まったネックレスをピアは見つめる。
「辛いのなら彼と一緒に師団に戻っても良いのだよ? きっと誰も咎めはしない」
 ピアはルシオの顔を暫く見つめたのち、皆の顔を見回した。
 アーマーのコクピットにいる者の表情は分からないのと、思うことは皆それぞれで違うだろうが、ピアは
「いいえ」
 首を振る。
「いつも我儘で迷惑をかけてごめんなさい。戻りません。全部をちゃんと見届けます」
「では、攻撃再開としましょう。長居すべき場所ではないようですから」
 クライヴの言葉は決して冷たく放たれたものではない。
 ゴロゴロと遠くで雷鳴の音がする。初秋の雨は体力を消耗させる。
「足元の剣機を一掃する。そのあと皮を剥がしにかかろう」
 ザレムの声に彼のデュミナスと春樹はカノン砲を放つ。
 ロルフはライフルを。
 ほぼ数分でそれはカタがついた。何といっても相手には戦う意志がないのだから。
 あとは弾が続く限り団子に攻撃を加えて皮を剥がせば良いだけだ。
「鬼が出るか蛇が出るか、と」
 春樹は面倒臭くなったのか、そのままデュミナスの手でベリベリと剥がし取り、引っかかる部分はカッターを使う。
 見ていると歪虚討伐というよりは解体工事だ。
 ガラクタと共に崩れ落ちた剣機は、動き出す前に地上組と兵で封じた。
 どこかがガラクタに張りつけられた状態だから動きが鈍く、こちらもあっけなく葬られる。
 こんなに簡単でいいのか、と思えたのは数十分の間だった。
 相手がデカ過ぎるのだ。
「うわっ」
 いきなり赤い霧が吹き出して春樹が声をあげて後ずさる。
「防衛点強化?」
 ロニが目を細めた。
 まだ貯蔵庫にエネルギーがあると?
 周囲を見回した。
「血を吸い上げている。傷がある限り止めないようだな」
 ウィルフォードが腕についた傷から昇る赤い点を見て言った。
「ではあまり時間がない」
 ロニはシャドウブリットを放つ。
「術が枯渇しても早期決着をつけよう」
「そうだな」
 上方はウィルフォードがファイアーボールを。
 それでも次から次から新しい皮が現れる。

―― ウオォオオ……

「軋み音?!」
 全員で身構える。
「いや……違います……」
 構えの姿勢のままマキナが言う。

―― ウオォォン……

 それは動物の哀しい鳴き声にも聞こえた。
「哀れをそそる攻撃法というなら一理あるかもしれないですね」
 クライヴは言い、ルシオは振り返ってピアを見る。
 ピアは歯を食いしばって団子を見上げていた。
「ピア……本当のレイがあの中にいるのなら呼びかけてごらん。壊れてしまう前に」
 ルシオの声にピアは唇を噛み締めたままルシオの顔を見た。
 ウィルフォードとマキナも気遣わし気に彼女に目を向ける。
「団子が崩れるのも、もう、時間の問題だろう。君がここにいることを……届かせよう」
 ピアが足を踏み出したので、万が一のためにルシオも盾を構えて彼女の前に立つ。
「レイ……」
 ピアは団子を見上げて言った。
「レイ、いる? 私よ……ネックレス、持ってるよ……」
 ピアはネックレスを掲げてみせた。
「探してたんだよね。レイのだよ。私の時計からお祖父ちゃまが……」
 うぐ、とピアは泣き出しそうになるのを堪える。
「お祖父ちゃまが作ってくれたネックレス。出て来て……」

―― ウオォォオン……

 ザレムがはっとする。
「春樹! ロルフ! 下がれ!」
 叫んだ。
「団子が崩壊するぞ!」

 それは不思議な光景だった。
 あれほど強固に纏っていた殻が上部から少しずつ剥がれて落ちていく。
 ピアの声に反応したのか、それともそもそも殻を纏う吸引力が削がれていたのか、それは分からない。
「ピア、下がろう」
 目の前に落ちて来た木材にルシオが彼女の手を引いた。
 ゆっくりゆっくりと剥がれるのを見守ること十数分。
「なんだ、あれは……」
 ロニが目を細めた。
「霧?」
 ゆっくりと回っているかのような赤く色づき揺らめく霧が現れた。
 大きさは5メートルほどになるだろうか。
「亡霊か……!」
 ウィルフォードの言葉にロニがピアを振り返る。
「では、核は……」
 ピアはその顔を見つめ返して、自分が握るネックレスに目を向ける。
「嘘……まさか……ガンギ……?」
「ガンギとは?」
 クライヴが尋ね
「歯車です……直径1センチにも満たない……」
 マキナが答える。
 赤い霧は恐らく霊体。核はその中にある。それを破壊しなければ討伐できない。
「ただの霧だろ。手ぇ突っ込んで掴めばいいんじゃないの?」
「春樹!」
 デュミナスの腕を伸ばした春樹に慌ててザレムが声をあげる。
「うわわ」
 途端に落ちたはずの周囲のガラクタが宙を舞い、春樹に向かう。
 それは周囲にも飛び、全員が回避態勢に。
「また纏い出した。元の状態に戻るぞ」
 ザレムが霧に向かう端材を掴んで遠くに放り投げる。
「霊体を吹き飛ばさないと核がどこにあるか分からない」
「何の攻撃が通るんだ」
 春樹のマシンガンもロルフのライフルも空を抜ける。
 マキナのワイヤーウィップ、クライヴの疾風剣、剣心一如の攻撃も同じ。
「俺とウィルフォードで攻撃する」
 ロニの声にアーマーとマキナ、クライヴが下がる。
 こうしている間にも再び殻が作られようとしている。
 シャドウブリットとファイアーボールは僅かに霧を離散させるも、あっという間に霧は寄せ集まってしまう。その時間、僅か1秒。
 そしてウィルフォードがウインドスラッシュを使った時、状況が変わった。
 霧が集まるのに数秒の差がある。
「属性です……!」
 マキナは言った。
「属性はないと思っていました……でも、ここには……」
 マキナは口早に話せるタイプではない。だが、自分の背後で続々と動いている殻の破片をちらりと振り返り、必死になっている様子が見てとれた。
「何度か、使ってください。スラッシュを……僕が……ガンギの位置を……見ます」
「見つけられるのか? 1センチに満たない歯車だぞ」
 ウィルフォードは言う。
「鋭敏視覚が……それと僕なら……わかります」
 マキナは答えてピアを見た。
「わかります」
 ピアはマキナを見て、ネックレスをぎゅっと握り締める。
「最後の数打だけは残してください」
「分かった」
 霧を見上げるマキナの傍にピアは歩み寄った。
「ファティさん……この悪夢を終わらせましょう……。僕を恨んでも構いません。でも、あなたは……ひとりじゃありません。恨まれても……僕は……僕達は一緒にいますから」
 ピアはマキナの横顔を見つめたあと、彼の手をぎゅっと握り締めた。
 ウィルフォードは最後に2打を残し、ウィンドスラッシュを放つ。
 皆が散る霧の奥を見つめるが、何も見いだせない。
 マキナは果たして核の場所を見つけたのか。
「バンフィールドさん」
 マキナはクライヴを見た。
「リュウェリンさんがスラッシュを使ったあと……あの位置を疾風剣で……攻撃を。あそこです……あそこが刀の中心なら……必ず当たります」
 マキナの指す方向をクライヴは見る。
「自分には何も見えません」
「霧が散ったあとに……素早く移動できるのはバンフィールドさんしか……いないんです……弾いてくだされば……それで……」
「弾けるかどうかも……」
 言いかけてクライヴは口元に笑みを浮かべる。
「分かりました。やりましょう」
「霊体は核を追います。……場所が分かります。僕が外した時は……お願いします」
 振り返ったマキナにロニは頷いた。
 皆が見つめる中、ウィルフォードはウィンドスラッシュを放つ。
 すかさずクライヴの疾風剣。

―― チッ……

 小さな音がしたように思えた。
 クライヴの刀はガンギを弾いたのか。
 その結果は、尾を引く彗星のような霊体の動きで確認できた。
 ダガーを構えたマキナが動く。
 弧を描き落ちて来る彗星の先に彼はスラッシュエッジで飛びかかった。
 ダガーの動きに霊体もついてくる。もちろん巨大な木片も。
 ざくりと地に突き刺した切っ先を狙い、赤い霧は彼をも飲み込んだ。
 ガンガンと音を立てて端材が落ちる。
「マキナさん!」
 ピアが叫ぶ。
「マキナっ!」
 ロニとウィルフォードが駆け寄る。
 失敗したなら、早く霧からマキナを引き摺り出さねばならなかった。
 しかし、すぐに赤い霧は融けるように薄くなり、地にダガーを突き刺したままの姿のマキナが現れた。
「マキナ、大丈夫か。傷を受けたか! ルシオ!」
 顔を覗きこんでルシオを呼ぶロニにマキナは頷いてみせる。
「大丈夫……大丈夫です」
「ガンギ……」
 ウィルフォードはマキナのダガーの先で真っ二つになった小さな歯車をつまみあげた。
 小さな小さな歯車。
 これがあの巨大な団子を作り出していたとはにわかに信じられない。
 ロニの手を借りて立ち上がるマキナにピアが近づく。
 いいか? というウィルフォードの視線にマキナは頷いた。
 ウィルフォードはピアの手につまみあげた歯車を乗せてやる。
「それが……ガンギか?」
 尋ねるとピアは微かに震えながら頷いた。
「ありがとう……ございます……これで、レイも……レイもゆっくり……眠れるんですよね……良かった……良かっ……」
 もう無理だった。
 ピアは足元から崩れ折れ、ガンギを握りしめて号泣した。


 散らばったがらくたをアーマーと共に片付け、剣機団子が嵌っていた穴は兵が埋め戻した。
 目を真っ赤に泣きはらしたピアも端材を抱える。
 彼女は少し落ち着いてからマキナの手をとり、彼にぎゅっと抱きついた。
『マキナさんを恨んだりなんか、絶対に、しません。できません。辛い思いをさせて……ごめんなさい。泣いたりして、ごめんなさい』
 マキナは少し顔を赤らめ、それから
『はい……』
 それだけを答えた。
「ソレンは」
 バルドゥルにウィルフォードが尋ねる。
「手当てをしながら師団に。状況はあまり良いとは言えないと思います」
 バルドゥルは首を振る。
「あの傷で生きているのは覚醒者だったからかもしれません。噛み傷が僅かに頸動脈から逸れていた。咄嗟にでも避けたのではと。それと、どなたか防御魔法をかけておられたのでは」
 ルシオか。
 ウィルフォードは向こうを歩くルシオに目を向けた。
 ルシオはサラが永眠した場所に向かっていた。
 秋の花はさほど数がなかったが、それでも小さな白い花を見つけた。
 それを手向けるつもりだった。
 そして、その場所に来て、同じように花がいくつか置かれていることに気が付いた。
 思わず目が潤む。
 サラ、誰からも慈しみを得られず、求めながらも手を差し伸べられず、執念と狂気にまみれたあなたの安らかな眠りを皆が願っているのだよ。
 ルシオは心の中でそう呟いて、花を置いた。
 ぽつりと落ちたのは血の粒ではなく、雨だった。
「ルシオ! 撤収だ」
 呼ぶ声がする。
「わかった」
 ルシオは答えて最後に花を一瞥し、立ち上がった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディスka0551
  • 時軸の風詠み
    ウィルフォード・リュウェリンka1931
  • 時の守りと救い
    マキナ・バベッジka4302

重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 杏とユニスの先生
    ルシオ・セレステ(ka0673
    エルフ|21才|女性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス(ka0878unit002
    ユニット|CAM
  • 時軸の風詠み
    ウィルフォード・リュウェリン(ka1931
    エルフ|28才|男性|魔術師
  • 時の守りと救い
    マキナ・バベッジ(ka4302
    人間(紅)|16才|男性|疾影士
  • 剣心一撃
    クライヴ・バンフィールド(ka4999
    人間(蒼)|35才|男性|舞刀士
  • 時軸の仕置き人
    仙石 春樹(ka6003
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス(ka6003unit001
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/20 00:18:44
アイコン 相談卓
マキナ・バベッジ(ka4302
人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/09/22 21:24:41