ゲスト
(ka0000)
紡ぎの歯車(2)
マスター:西尾厚哉

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在7人 / 4~15人
- ユニット参加人数
- 現在2 / 0~15
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/09/22 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/06 22:00
オープニング
双眼鏡を覗いていた兵が、はっとして目を凝らした。
「ブレガ兵長!」
バルドゥル・ブレガは身を低くしたまま素早く兵の傍に移動する。
「どうした」
「団子に動きが。周囲の剣機らが団子の足元にいろいろ差し込んだんじゃないでしょうか。穴の外に出ようとしています」
「エイセル!」
「は!」
バルドゥルの声に、背後の兵が素早く身を翻した。
ブレガの率いる部隊は森と反対側の山側から見下ろす状態でハンター達が穴に落とし込んだ巨大な剣機団子の様子を見張っていた。
森を隔てて見張るよりはそのほうが確認しやすかったからだ。
問題は、何らかの異変を察知しても対面の森の外に待機する兵にトランシーバーも短伝話も届かないことだ。
結果、誰かが森の待機する兵に手旗信号を送ることになる。
これはこちらの位置をを敵側にも知らせる可能性もあった。
じりじりして待つこと小一時間。
―― ゴオオォオ……ン……
土煙があがるのをバルドゥルは確認する。
「一発か……」
隣の兵の呟き。
いたしかたあるまい。
爆薬のスイッチは長く伸ばした導線の先で、いくつかは剣機が千切る可能性は考えていたし、それでもスイッチを押しに行く兵は命懸けの距離だ。
再度の爆破の様子がないことを確認し、再び手旗を送る。
森側の応答はなかった。
「撤収する」
バルドゥルは言った。ここも危ない。
「それで、結局団子は再び拘束状態になったのか」
バルドゥルの報告を聞いて、オズワルドは難しい表情になる。
「数日間は。また懲りずに下にガラクタを詰めようとするでしょうが、自身の重さがありますからそう簡単にはと思います」
ぎょろりとした目を見開いてバルドゥル・ブレガ兵長は答える。彼は一貫してこの表情だ。
「吸血鬼の姿は確認したか?」
「いえ。あれ以来姿は見せません」
「負傷したという情報もある。武器も無くしたはずだがどうなっているか確認したいところだな。あれがどこに身を隠すか見当がつくか?」
「団子の表面積は約1300平方メートルにも及びます。残念ながら私には。ただ、周囲はたえず剣機が動き回っています。時々動物の死骸を引っ張ってくることも」
「貯蔵庫の補充か」
「恐らく。人間ひとり、動物一匹で同じ量だけ補充できるのかどうなのかは分かりませんが、一つ言えることは減った分は自然回復しない、ということかと思います。近隣に兵を派遣しておいて正解でした」
「楽観はできんよ。狩場を失った動物が人里に降りることをお前も知らんわけじゃあるまい」
オズワルドは頬杖をついてバルドゥルを見やり、バルドゥルは更に目を見開く。
「まあ、流れる血がなきゃ、敵も貯蔵量は増やせんようだな。かといって一般兵に無傷で戦えというのも無理な話だ」
「そうですね……ちょっとした傷でも不要なほど血が流れたと報告する者もおりました。宙を舞う我が血を見るのは不気味であったと。ならば、貯蔵できる時間を上回るほど消費すればあるいは、とも思いましたが」
「団子はもっぱら防御、攻撃は吸血鬼。吸血鬼を先に葬ればあとは団子、か」
オズワルドは椅子の背に身を預け考え込み、バルドゥルは上官の顔をじっと見つめる。
途中でオズワルドはちらりと彼に目を向けた。
「あっち」
「は?」
オズワルドは窓の向こうを指差す。
「あの辺に目を向けてろ。お前にじっと見られていると考えが纏まらん」
バルドゥルは言われた通り、視線を窓の外に向けた。
に、しても、この男瞬きをせんな、とオズワルドは頭の隅でちらりと思う。
暫くしてオズワルドはどん、と両手をデスクに置いた。
「よし決めた。魔導アーマーを一体出す。アーマー所持の第五部隊と副団長が文句垂れるかもしれんが、それは俺が何とか説得する」
「魔導アーマー……」
バルドゥルは呟いた。アーマーを出す戦闘には彼も参加したことがない。
「先に吸血鬼を葬ってその後団子、とも考えたが、決着をつける」
「では……ハンターにも?」
「それはハンターの意志に任せることになる。動き回る剣機と吸血鬼はでかけりゃ倒せるもんでもない。お前の部隊はとにかくハンターの動きを邪魔する奴はとことん押さえろ。序盤でだけでもどかどかやりゃあ、隠れている吸血鬼も姿を見せるだろう」
「は」
バルドゥルは頷いた。
「グロスハイム殿とファティ殿も同行でよろしいですね?」
「留守番してろと言えまい。呼び出したのはこっちだ」
オズワルドは答え、小さく息を吐く。
「グロスハイムはともかく、ピアさんは精神的な消耗度合いが大きい。できれば置いておきたいが、あの子の性分じゃ、それは受け入れまいよ。まがりなりにもハンターだ」
「ララさん」
レイ・グロスハイムに声をかけられて、ララ・デアは顔をあげた。
「師団長は次で決着をつけようと考えてる」
ララは頷いた。
「もし、俺に万が一のことがあったら、これを師団長に」
分厚い封を渡されて、ララは怪訝そうにレイの顔を見た。
「俺が分かる限りのゲルベッツに関する情報と、俺なりの考察が纏めてある。情報はトマスも持っているし、たぶん合わせれば何かの足しになると思う」
「自分で渡すべきだわ」
ララはかぶりを振った。
「戻って来れればもちろん。今渡すと、遺書かと師団長は突っぱねる」
レイはちらと笑みを浮かべ、そして向こうに視線を向ける。その先には疲れ切った様子でソファに座るピアの姿があった。
「……彼女が気になるところではあるけれど。……あの吸血鬼の憎悪は狂気だ。」
「私がサラを探す努力をもっとしていれば……こんなことにはならなかったかもしれないわ……。皆が怪我をして、亡くなって……私がもっと……」
「サラでなければ恐らく他の誰かが」
レイは悲痛なララの顔をじっと見た。
「ララさん。あなたは決してサラの最期を見届けようとしてはいけない。無事にサラを眠らせたいと思うなら……ここで待っていてください」
ララははっとしてレイの目を見つめ返す。
見透かされていた。そう思った。
「帰って来るのよ……あなたもピアさんも」
ララの言葉にレイは何も答えなかった。
「ブレガ兵長!」
バルドゥル・ブレガは身を低くしたまま素早く兵の傍に移動する。
「どうした」
「団子に動きが。周囲の剣機らが団子の足元にいろいろ差し込んだんじゃないでしょうか。穴の外に出ようとしています」
「エイセル!」
「は!」
バルドゥルの声に、背後の兵が素早く身を翻した。
ブレガの率いる部隊は森と反対側の山側から見下ろす状態でハンター達が穴に落とし込んだ巨大な剣機団子の様子を見張っていた。
森を隔てて見張るよりはそのほうが確認しやすかったからだ。
問題は、何らかの異変を察知しても対面の森の外に待機する兵にトランシーバーも短伝話も届かないことだ。
結果、誰かが森の待機する兵に手旗信号を送ることになる。
これはこちらの位置をを敵側にも知らせる可能性もあった。
じりじりして待つこと小一時間。
―― ゴオオォオ……ン……
土煙があがるのをバルドゥルは確認する。
「一発か……」
隣の兵の呟き。
いたしかたあるまい。
爆薬のスイッチは長く伸ばした導線の先で、いくつかは剣機が千切る可能性は考えていたし、それでもスイッチを押しに行く兵は命懸けの距離だ。
再度の爆破の様子がないことを確認し、再び手旗を送る。
森側の応答はなかった。
「撤収する」
バルドゥルは言った。ここも危ない。
「それで、結局団子は再び拘束状態になったのか」
バルドゥルの報告を聞いて、オズワルドは難しい表情になる。
「数日間は。また懲りずに下にガラクタを詰めようとするでしょうが、自身の重さがありますからそう簡単にはと思います」
ぎょろりとした目を見開いてバルドゥル・ブレガ兵長は答える。彼は一貫してこの表情だ。
「吸血鬼の姿は確認したか?」
「いえ。あれ以来姿は見せません」
「負傷したという情報もある。武器も無くしたはずだがどうなっているか確認したいところだな。あれがどこに身を隠すか見当がつくか?」
「団子の表面積は約1300平方メートルにも及びます。残念ながら私には。ただ、周囲はたえず剣機が動き回っています。時々動物の死骸を引っ張ってくることも」
「貯蔵庫の補充か」
「恐らく。人間ひとり、動物一匹で同じ量だけ補充できるのかどうなのかは分かりませんが、一つ言えることは減った分は自然回復しない、ということかと思います。近隣に兵を派遣しておいて正解でした」
「楽観はできんよ。狩場を失った動物が人里に降りることをお前も知らんわけじゃあるまい」
オズワルドは頬杖をついてバルドゥルを見やり、バルドゥルは更に目を見開く。
「まあ、流れる血がなきゃ、敵も貯蔵量は増やせんようだな。かといって一般兵に無傷で戦えというのも無理な話だ」
「そうですね……ちょっとした傷でも不要なほど血が流れたと報告する者もおりました。宙を舞う我が血を見るのは不気味であったと。ならば、貯蔵できる時間を上回るほど消費すればあるいは、とも思いましたが」
「団子はもっぱら防御、攻撃は吸血鬼。吸血鬼を先に葬ればあとは団子、か」
オズワルドは椅子の背に身を預け考え込み、バルドゥルは上官の顔をじっと見つめる。
途中でオズワルドはちらりと彼に目を向けた。
「あっち」
「は?」
オズワルドは窓の向こうを指差す。
「あの辺に目を向けてろ。お前にじっと見られていると考えが纏まらん」
バルドゥルは言われた通り、視線を窓の外に向けた。
に、しても、この男瞬きをせんな、とオズワルドは頭の隅でちらりと思う。
暫くしてオズワルドはどん、と両手をデスクに置いた。
「よし決めた。魔導アーマーを一体出す。アーマー所持の第五部隊と副団長が文句垂れるかもしれんが、それは俺が何とか説得する」
「魔導アーマー……」
バルドゥルは呟いた。アーマーを出す戦闘には彼も参加したことがない。
「先に吸血鬼を葬ってその後団子、とも考えたが、決着をつける」
「では……ハンターにも?」
「それはハンターの意志に任せることになる。動き回る剣機と吸血鬼はでかけりゃ倒せるもんでもない。お前の部隊はとにかくハンターの動きを邪魔する奴はとことん押さえろ。序盤でだけでもどかどかやりゃあ、隠れている吸血鬼も姿を見せるだろう」
「は」
バルドゥルは頷いた。
「グロスハイム殿とファティ殿も同行でよろしいですね?」
「留守番してろと言えまい。呼び出したのはこっちだ」
オズワルドは答え、小さく息を吐く。
「グロスハイムはともかく、ピアさんは精神的な消耗度合いが大きい。できれば置いておきたいが、あの子の性分じゃ、それは受け入れまいよ。まがりなりにもハンターだ」
「ララさん」
レイ・グロスハイムに声をかけられて、ララ・デアは顔をあげた。
「師団長は次で決着をつけようと考えてる」
ララは頷いた。
「もし、俺に万が一のことがあったら、これを師団長に」
分厚い封を渡されて、ララは怪訝そうにレイの顔を見た。
「俺が分かる限りのゲルベッツに関する情報と、俺なりの考察が纏めてある。情報はトマスも持っているし、たぶん合わせれば何かの足しになると思う」
「自分で渡すべきだわ」
ララはかぶりを振った。
「戻って来れればもちろん。今渡すと、遺書かと師団長は突っぱねる」
レイはちらと笑みを浮かべ、そして向こうに視線を向ける。その先には疲れ切った様子でソファに座るピアの姿があった。
「……彼女が気になるところではあるけれど。……あの吸血鬼の憎悪は狂気だ。」
「私がサラを探す努力をもっとしていれば……こんなことにはならなかったかもしれないわ……。皆が怪我をして、亡くなって……私がもっと……」
「サラでなければ恐らく他の誰かが」
レイは悲痛なララの顔をじっと見た。
「ララさん。あなたは決してサラの最期を見届けようとしてはいけない。無事にサラを眠らせたいと思うなら……ここで待っていてください」
ララははっとしてレイの目を見つめ返す。
見透かされていた。そう思った。
「帰って来るのよ……あなたもピアさんも」
ララの言葉にレイは何も答えなかった。
解説
●このシナリオは『紡ぎの歯車(1)』の続きとなります
『歯車』とタイトルにつくシナリオの連作となりますが、
『紡ぎの歯車』は二体の歪虚を討伐することがメインとなりますので、
背後の人間関係を知っておきたい方のみ過去シナリオをご一読ください
●歪虚の詳細情報についてはマスター情報に掲載しています
解説以上のプラスα情報はそちらをご参照いただけると幸いです
●ユニットで参戦することが可能です。
但し、相手が巨大物と飛翔能力を伴う吸血鬼少女、無数の剣機が相手となりますので、
ユニット参戦でなくても戦闘の必要性が充分にあります
●目的
吸血鬼サラ、及び剣機団子を葬る
●現況
剣機団子は穴に落とし込み、現在移動不可能な状態
吸血鬼は姿を隠している
剣機団子の表面積は約1300平方メートルとみられ、どこに吸血鬼が隠れているかは不明
周囲は動き回る剣機の姿が無数に有り
●想定事項
先の戦闘で削がれた剣機団子の殻は修復、貯蔵庫は満杯となっている可能性がある
吸血鬼サラの片腕を負傷、武器として所持していた槍は破損も復活の可能性はある
●師団について
バルドゥル・ブレガ兵長率いる部隊は一般兵(非覚醒者)27名、覚醒者は4名
内訳は猟撃士スキル2名、聖導師スキル1名、バルドゥルは舞刀士。
オズワルドが別部隊より、量産性魔導アーマーを一機投入
●方針
総攻撃により、団子の貯蔵庫の補填速度よりも多く相手に術を使わせ、吸血鬼サラを先に討伐、
先導している剣機の動きを鈍くする。その後団子討伐。
但し、この方針はあくまでも師団が量産性魔導アーマー一機、師団兵30名、ハンターの参加を
前提とした方針であり、ハンター側のユニット攻撃効果などは考慮されていません。
このため、チーム内容が決定した時点でハンター側が修正攻撃案を提示し、
それに基づき師団が動く形をとります
『歯車』とタイトルにつくシナリオの連作となりますが、
『紡ぎの歯車』は二体の歪虚を討伐することがメインとなりますので、
背後の人間関係を知っておきたい方のみ過去シナリオをご一読ください
●歪虚の詳細情報についてはマスター情報に掲載しています
解説以上のプラスα情報はそちらをご参照いただけると幸いです
●ユニットで参戦することが可能です。
但し、相手が巨大物と飛翔能力を伴う吸血鬼少女、無数の剣機が相手となりますので、
ユニット参戦でなくても戦闘の必要性が充分にあります
●目的
吸血鬼サラ、及び剣機団子を葬る
●現況
剣機団子は穴に落とし込み、現在移動不可能な状態
吸血鬼は姿を隠している
剣機団子の表面積は約1300平方メートルとみられ、どこに吸血鬼が隠れているかは不明
周囲は動き回る剣機の姿が無数に有り
●想定事項
先の戦闘で削がれた剣機団子の殻は修復、貯蔵庫は満杯となっている可能性がある
吸血鬼サラの片腕を負傷、武器として所持していた槍は破損も復活の可能性はある
●師団について
バルドゥル・ブレガ兵長率いる部隊は一般兵(非覚醒者)27名、覚醒者は4名
内訳は猟撃士スキル2名、聖導師スキル1名、バルドゥルは舞刀士。
オズワルドが別部隊より、量産性魔導アーマーを一機投入
●方針
総攻撃により、団子の貯蔵庫の補填速度よりも多く相手に術を使わせ、吸血鬼サラを先に討伐、
先導している剣機の動きを鈍くする。その後団子討伐。
但し、この方針はあくまでも師団が量産性魔導アーマー一機、師団兵30名、ハンターの参加を
前提とした方針であり、ハンター側のユニット攻撃効果などは考慮されていません。
このため、チーム内容が決定した時点でハンター側が修正攻撃案を提示し、
それに基づき師団が動く形をとります
マスターより
お世話になっております。西尾厚哉です。
吸血鬼の飛翔能力は鬱陶しいものですが、実は届いている攻撃が過去にいくつかあります。
その射程距離部分を見極めると飛び上っても落とせます。
まだ錬魔院の問題があるので、何とか二体を葬ってしまいたいところ。
皆さまのお力をお借りしたく。
どうぞよろしくお願いいいたします
吸血鬼の飛翔能力は鬱陶しいものですが、実は届いている攻撃が過去にいくつかあります。
その射程距離部分を見極めると飛び上っても落とせます。
まだ錬魔院の問題があるので、何とか二体を葬ってしまいたいところ。
皆さまのお力をお借りしたく。
どうぞよろしくお願いいいたします
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/05 23:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/20 00:18:44 |
|
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相談卓 マキナ・バベッジ(ka4302) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/09/22 21:24:41 |